53
アンカー工設置のり面の 健全性評価に関する研究 報告 平成22年9月10日 プロジェクトリーダー 神戸大学名誉教授 沖村

アンカー工設置のり面の 健全性評価に関する研究 …...アンカー工設置のり面の 健全性評価に関する研究 報告 平成22年9月10日 プロジェクトリーダー

  • Upload
    others

  • View
    4

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

アンカー工設置のり面の健全性評価に関する研究

報告

平成22年9月10日

プロジェクトリーダー

神戸大学名誉教授

沖村 孝

研究体制

・研究代表者:神戸大学都市安全センター特別研究員

沖村孝(神戸大学名誉教授)

・参加大学 :神戸大学(沖村孝、芥川真一)

・近畿地整 :道路部

姫路河川国道事務所

近畿技術事務所

・参加企業 :西日本高速道路株式会社

日特建設株式会社

ライト工業株式会社

応用地質株式会社

株式会社ダイヤコンサルタント

研究の背景

切土のり面の安定化工法としてアンカー工が多くののり面で採用されてきたが、アンカー工が昭和32年(1957年)に我が国において初めて導入されて以来、50年近くが経過しアンカー工の腐食や、のり面の劣化等の問題が発生しており、アンカー工設置のり面の健全性を評価することが重要な課題となってきている。

特に昭和63年(1988年)11月に制定された土質工学会(地盤工学会)基準「グランドアンカ-設計・施工基準」(JSF:D1-88)において二重防食が義務づけられ、続いてグラウンドアンカーがその目的に応じて適切に使用されるように、平成2年2月に「グラウンドアンカー設計・施工基準、同解説」が発刊された。これ以前のアンカー(以後「旧タイプアンカー」と呼ぶ)は、防食を重要視していなかったため、アンカーの腐食・劣化等によりアンカーが破損し、飛び出し現象などが見られ、ひいては交通障害を招くおそれがある状況が発生している。

破断したアンカー

旧タイプ鋼棒アンカーが破損して抜け出している写真である。

研究目的

このような背景から、本研究では、近畿圏におけるアンカー工設置のり面の実態把握や現地調査を実施し、この結果から現状を明らかにするとともに、のり面の変状やアンカー緊張力の簡易なモニタリング手法の開発を進めるとともに実際のモニタリングなどを通じて、アンカー工が設置されているのり面の健全性評価手法確立のための課題を明らかにすることを目的とする。

NO

YES

アンカー工設置斜面の抽出

法面の健全性評価を実施

アンカー体の健全性評価 地山の健全性評価

平成2年以前か

磁歪法による軸力測定手法の検討

①目視点検②頭部背面調査③リフトオフ試験④磁歪法による軸力測定⑤モニタリング

①地表踏査②現地調査による確認 ・物理探査 ・ボーリング③変状観測

①アンカー変状状況の確認②アンカー体の健全性確認 ・リフトオフ試験による  軸力測定 ・磁歪法による軸力測定

①斜面変状の確認②地質状況の確認③変状原因の推定④変状速度等の確認

アンカー工が設置された法面の点検手法の検討と健全性評価に向けての課題抽出

評価する路線の抽出

20年度実施

21年度実施

22年度計画

研究の

フローチャート

磁歪センサ磁歪センサ•• 非破壊で鉄表面の応力を計測できる.非破壊で鉄表面の応力を計測できる.

アンカーの軸力推定アンカーの軸力推定

•• アンカー固定部の応力を計測.アンカー固定部の応力を計測.

•• その応力から間接的に軸力をその応力から間接的に軸力を推定推定.

リフトオフ試験装置

調査対象位置図

9号関宮地区

29号シソジカ谷地区

29号原地区

フリーフレーム工法(現場打ち吹付法枠工) 型式F300-2.0m×2.0m許容最大設計アンカー力 約80kN

受圧構造物

自由長 Lf=5.0~9.0m定着長 La=3.0mアンカー長 L=8.0~12.0m

総ネジPC鋼棒 φ23mmゲビンデスターブ(ナット定着方式)

規格

29号 シソジカ谷 地区「旧タイプアンカー」*施工現場 20年度 リフトオフ試験・磁歪法

モニタリング(アンカー)

21年度 地盤調査

モニタリング(地山)

22年度 予定

アンカー引き抜き試験

・モニタリングの継続

調査の経緯H20年点検でアンカー頭部にゆるみ

H20年度 リフトオフ試験 (一部のアンカーで引き抜

け)

→ 断層破砕帯の影響か?

H21年度調査

→ 地質状況の把握(特にアンカー定着部)

→ 地山の変状の観測

アンカー頭部のゆるみ 間詰めモルタル除去後

リフトオフ試験

荷重-変位量曲線

メンテナンスジャッキ

リフトオフ荷重

リフトオフ試験結果シソジカ谷地区

●リフトオフ荷重は、約25~80kNとバラツキのある。

●最下段のI列に大きい荷重が集中している。

●リフトオフ試験荷重で25kN程度のアンカー(B-8,H-8)は、全体の平均に比べ荷重が低いことから、荷重が減少した可能性がある。

3本のアンカーの引き抜けを確認

引原断層の位置

日本の活断層 1991年

確実度Ⅱ 活動度C

近畿の活断層 2000年

L(リニアメント)

引原ダムの東側をほぼ南北に走る。

山地の高度不連続、断層鞍部が続く。

調査地調査地

現地調査の目的・内容

アンカー定着部の地質確認→ アンカーが抜けた原因の究明

• 弾性波探査:1測線 L=100m・断層破砕帯位置の把握

• ボーリング:2箇所・標準貫入試験:N値の把握

・孔内水平載荷試験:岩盤の変形特性の把握

・PS検層:Vp、Vs速度の把握

現状の法面は安定か?• 観測

・孔内傾斜計:地中の変位

・地下水位計:水位変化

No1

No2

現地調査の順序

①主測線設定(平面測量・縦断測量)

②弾性波探査

③調査ボーリングおよび原位置試験

④孔内傾斜計および地下水位観測

ボーリングNo1位置

No1

ボーリングNo2孔位置

No2

477.75

478.26

477.92至 戸倉

477.11

477.77

TA.3

478.41

TA.4

477.72

477.37

TA.5

TA.6

506.48

TA.7

522.22

TA.8

520.00

501.93TA.9

TA.10

493.67

A1T

477.79

A2T

477.95

国道29号

至 山崎

509.97

477.00

477.02

477.02

478.05

478.04

477.94477.83

477.68

477.48477.32

477.54477.40

477.26

477.13476.35

478.37

489.07

488.97

489.26 489.45

489.77

489.56

489.05

490.47

490.60

479.42

485.14

497.00

478.92

477.27

482.02

479.22

481.94

482.80

495.76

496.62

477.80

477.69

478.63

510.03

509.73

506.87

504.54

501.39

499.94

496.71

493.46

488.43

486.04487.86

481.74

476.26

477.75

478.78

479.79

509.96

501.79

496.75497.65

498.26

499.15

481.58

487.82

497.23

497.57

486.84

493.93

497.09

492.83

487.79

496.55

494.21500.97

496.21

501.33

502.19

504.49

505.88

507.28

506.59

512.82

510.07

507.51

499.30

494.36

488.29

495.76

506.34

519.14

517.34

519.90

523.94

526.91

530.31

534.01

536.80

541.41

546.60

535.75

527.86

513.32

513.42

523.24

534.51

543.05

534.05

531.34

529.37

522.46

518.33

516.45

513.00

509.38

538.15

536.63

544.71

549.16

543.25

537.33

535.57

535.79

542.99

529.63

530.49

521.03

514.88

521.79

527.28

513.68

513.97

511.88511.81512.01

505.42

506.02

509.70

508.20 507.82

506.36

506.16

503.63

507.60

504.77

500.73

498.77

497.27

499.28499.35

499.36

497.70

497.42

498.81

501.17

500.84

502.97

502.40

502.02

503.64

499.55

506.21

502.80

494.56

500.47

494.11

486.52

497.24

495.44

502.81

490.48

491.21

501.34

495.75

530.66

506.99

501.57

500.93

495.44

501.93

503.50

502.49

506.14

513.98

519.68

523.22

512.83

504.20

497.29

490.56

485.84

493.04

485.57

485.26

494.19

498.17

501.04

499.81

503.59

499.86

500.94

494.96

502.79

500.92

483.35

483.11

483.71

492.95

499.25

502.40

479.46

(土)

As

As

As

As

S SS

480

485

490

495

500

520

525

530

535

540

545

505

510

515

545

545 545

540

535

530

525

520

515

510

505

495

500

485

490

480

500

500

490

495

480

485

490

495

100

90

80

70

60

50

40

30

20

10

0

弾性波探査L=100m

No2-1,No2-2ボーリング

No1-1,No1-2ボーリング

鞍部

鞍部

急崖部

崩落土砂低速度帯

低速度帯

低速度帯

断層位置

断層位置

崩壊地

推定地すべりブロック①

推定地すべりブロック②

1:5000 30m2010

調査地平面図

鞍部

鞍部

調査地周辺のルートマップ

尾根の鞍部

鞍部

主測線の設定

No2位置

No1位置

主測線弾性波探査測線

リフトオフ試験で引き抜けたアンカー(A-3,7,8)

FH=

GH=482.47

A

AsAs

A-0

GH=482.47

A-5

GH=487.17

A-10

GH=490.51

A-15

GH=495.40

A-20

GH=498.64

A-25

GH=500.68

A-30

GH=502.70A-35

GH=502.34

A-40

GH=504.33

A-45

GH=506.19

A-50

GH=507.37

A-55

GH=510.99

A-60

GH=515.27

A-65

GH=517.05

A-70

GH=519.22

A-75

GH=521.30

A-80

GH=522.85

A-85

GH=524.47

A-90

GH=526.51

A-95

GH=528.20

A-100

GH=530.10

A1

GH=477.75

3.8

1.6

0.8

0.35

3.4

1.6

0.8

0.36

0.35

0.8

1.6

3.8

1.6

1.8

1.61.6

0.8

0.35

3.5

L=8.0mL=8.0m

L=8.0mL=8.0m

L=8.0m

L=8.0m

L=10.5mL=9.0m

A-7:L=8.0m

A-8:L=10.5m

用地境界

No1孔 L=10m

速度層境界

低速度帯

1.6

1.6

3.8

0.8

0.35

弾性波速度値(km/s)

E.L.489.840m

No2孔 L=15mE.L.499.604m

強風化部

弱風化部

未風化部

断層破砕帯

断層破砕帯

断層破砕帯

崖錐堆積物

dep= 10.

00m

489.84

0 mNo1-1

CH

CL

CM

CL

CH

弾性波探査

断層破砕帯1.6、1.8低速度帯

硬質岩盤3.4、3.5、3.8第4速度層

弱風化部1.6第3速度層

強風化部0.8第2速度層

崖錐堆積物及び強風化部0.35、0.36第1速度層

地質Vp速度(km/sec)速度帯

受振器 2.5m間隔に設置

ハンマリングによる起震

調査ボーリング

立会検尺

資材運搬モノレール

ボーリングNo1孔

頁岩

レキ岩

凝灰岩

頁岩(強風化部)

●地質頁岩の強風化部、頁岩、礫岩、凝灰岩

からなる。頁岩の強風化部は、土砂状にまで軟化

しており、N値は6~18。それ以深は非常に硬質な岩盤(CM級及

びCH級岩盤主体)に急変する。

●地下水位地下水位はGL-1.5m程度。ボーリング作業中に掘削水の漏水はな

かった。

●孔内水平載荷試験の位置について頁岩の強風化部および岩盤部において

合計2箇所を予定。

ボーリングNo2孔

頁岩

レキ岩

凝灰岩

頁岩(強風化部)

●地質(No1孔とほぼ同じ)頁岩の強風化部、頁岩、礫岩、凝灰岩

からなる。頁岩の強風化部は、土砂状にまで軟化

しており、N値は2~17。それ以深は非常に硬質な岩盤(CM級

及びCH級岩盤主体)に急変する。

●地下水位地下水位はGL-5.2~8.5m(強風化岩の

下面付近) 。降雨の影響で上下する。

FH=

GH=482.47

A

As

A-0

GH=482.47

A-5

GH=487.17

A-10

GH=490.51

A-15

GH=495.40

A-20

GH=498.64

A-25

GH=500.68

A-30

GH=502.70A-35

GH=502.34

A-40

GH=504.33

A-45

GH=506.19

A-50

GH=50

3.8

1.6

0.80.35

1.8

1.61.6

0.8

0.35

3.5

L=8.0mL=8.0m

L=8.0mL=8.0m

L=8.0m

L=8.0m

L=10.5mL=9.0m

A-7:L=8.0m

A-8:L=10.5m

用地境界

No1孔 L=10mE.L.489.840m

No2孔 L=15mE.L.499.604m

強風化部

弱風化部

未風化部

断層破砕帯

断層破砕帯

崖錐堆積物

dep= 10.

00m

489.84

0 mNo1-1

CH

CL

CM

CL

CH

No2孔 ボーリング位置

No2孔の位置は、アンカー定着部の山側

(アンカー定着部と低速度帯との間)

ボーリングNo2孔位置

引き抜けたアンカーA-7,A-8

アンカー付近断面図

As

断層破

FH=

GH=482.51

A

A-0

GH=482.51

A-5

GH=487.51

A-10

GH=490.55

A-15

GH=495.44

A-20

GH=498.68

A-25

GH=500.72

A-30

GH=502.74A-35

GH=502.38

A-40

GH=504.3

用地境界

崩落土砂

1.8

1.6

0.35

1.6

0.8

0.35

3.5

3.8

0.8

1.6

崖錐堆積物

凝灰岩

礫岩

頁岩A-7:L=8.0m

A-8:L=10.5mL=10.5mL=9.0mL=8.0m

L=8.0m

L=8.0mL=8.0m

L=8.0m

風化頁岩

断層破砕帯

Fs=0.85 Pr=29kN/m

すべり面②

円弧すべり

10 20 30m0

1:500引き抜けたアンカーA-7,A-8

孔内傾斜計・地下水観測1目盛:20mm

1目盛:20mm

雨量:気象庁 大屋観測所

最大傾斜方向観測結果図

日雨量観測結果

横断方向観測結果図

-15.0

-14.0

-13.0

-12.0

-11.0

-10.0

-9.0

-8.0

-7.0

-6.0

-5.0

-4.0

-3.0

-2.0

-1.0

0.0

1/22

1/29

2/5

2/12

2/19

2/26

3/5

3/12

3/19

3/26

深度(m)

-15.0

-14.0

-13.0

-12.0

-11.0

-10.0

-9.0

-8.0

-7.0

-6.0

-5.0

-4.0

-3.0

-2.0

-1.0

0.0

1/22

1/29

2/5

2/12

2/19

2/26

3/5

3/12

3/19

3/26

深度(m)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1/22

1/29

2/5

2/12

2/19

2/26

3/5

3/12

3/19

3/26

日雨量

(mm)

-10

-9

-8

-7

-6

-5

-4

-3

-2

-1

0

地下水位

(GL-m)

日雨量

地下水位

(mm/日)

土砂部下面:GL-8.3m

土砂部下面:GL-8.3m

CM

CH

CM

CL

CM

CM

CL

0 10 20 30 40 50

N値

2

2/35

5

6

11

10

17

6

50/5

50/0

50/10

CM

CH

CM

CL

CM

CM

CL

0 10 20 30 40 50

N値

2

2/35

5

6

11

10

17

6

50/5

50/0

50/10

1目盛:20mm

1目盛:20mm

雨量:気象庁 大屋観測所

最大傾斜方向観測結果図

日雨量観測結果

横断方向観測結果図

-15.0

-14.0

-13.0

-12.0

-11.0

-10.0

-9.0

-8.0

-7.0

-6.0

-5.0

-4.0

-3.0

-2.0

-1.0

0.01/22

1/29

2/5

2/12

2/19

2/26

3/5

3/12

3/19

3/26

深度(m)

-15.0

-14.0

-13.0

-12.0

-11.0

-10.0

-9.0

-8.0

-7.0

-6.0

-5.0

-4.0

-3.0

-2.0

-1.0

0.0

1/22

1/29

2/5

2/12

2/19

2/26

3/5

3/12

3/19

3/26

深度(m)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1/22

1/29

2/5

2/12

2/19

2/26

3/5

3/12

3/19

3/26

日雨

量(m

m)

-10

-9

-8

-7

-6

-5

-4

-3

-2

-1

0

地下

水位

(GL-m)

日雨量

地下水位

(mm/日)

土砂部下面:GL-3.4m

土砂部下面:GL-3.4m

CL

CH

CL

CM

CL

CH

0 10 20 30 40 50

N値

8

8

18

6

50/0

50/10

CL

CH

CL

CM

CL

CH

0 10 20 30 40 50

N値

8

8

18

6

50/0

50/10

孔内傾斜計観測では、両観測孔とも特に有意な変位は観測されていない。

地下水位はおおむね土砂部と岩盤との境界付近にある。No1-1は降雨による

影 響は小さいが、No2-1孔は降雨の影

響を大きく受け、地下水位が大きく上下する。

道路のり面アンカー打設後

道路のり面最上部アンカー破損

後道路拡幅後(地形条件3)

上部地すべり土塊移動後(地形条件2)

地すべり開始(地形条件1)

備考地形・地質・地下水位条件時期安定解析

地形条件

すべり面の形状条件

中規模2

大規模1

備考すべり面形状・すべり面せん断強度すべり面条件

φ=25°C=6.0kN/m2

Fs=1.000

φ=25°C=6.0kN/m2

Fs=1.054

すべり面1↓

すべり面2↓

すべり面1↓

内部摩擦角φ=25°粘着力

C=6kN/m21.059(392.7kN/m)

道路拡幅後(地形条件3)(すべり面1)

5

内部摩擦角φ=25°粘着力

C=6kN/m21.002(357.2kN/m)

上部地すべり土塊移動後(地形条件2)(すべり面2)

4

内部摩擦角φ=25°粘着力

C=6kN/m21.082(352.9kN/m)

上部地すべり土塊移動後(地形条件2)(すべり面1)

3

平均層厚Hより

粘着力cを設定し、φを逆算内部摩擦角φ=25°粘着力

C=6kN/m2

1.000(365.7kN/m)

地すべり開始(地形条件1)(すべり面2)

2

内部摩擦角φ=25°粘着力

C=6kN/m21.054(520.6kN/m)

地すべり開始(地形条件1)(すべり面1)

1

備考安全率

Fs=1.2必要抑止力地形・地質・地下水位・すべり面条件

時期(条件)

計算ケース

すべり面2↓

すべり面1↓

すべり面2↓

すべり面1↓

すべり面1↓

内部摩擦角φ=25°粘着力c=6kN/m2

アンカー力80kN/本

8段(1段破損)

1.130(111.7kN/m)

道路拡幅後アンカー一部破損(地形条件3)(すべり面2)

10

内部摩擦角φ=25°粘着力c=6kN/m2

アンカー力80kN/本

8段(1段破損)

1.161(107.4kN/m)

道路拡幅後アンカー一部破損(地形条件3)(すべり面1)

9

内部摩擦角φ=25°粘着力c=6kN/m2

アンカー力80kN/本9段

1.152(76.0kN/m)

道路拡幅後アンカー設置(地形条件3)(すべり面2)

8

内部摩擦角φ=25°粘着力c=6kN/m2

アンカー力80kN/本9段

1.174(71.7kN/m)

道路拡幅後アンカー設置(地形条件3)(すべり面1)

7

内部摩擦角φ=25°粘着力c=6kN/m20.951

(397.0kN/m)

道路拡幅後(地形条件3)(すべり面2)

6

備考安全率

Fs=1.2必要抑止力地形・地質・地下水位・すべり面条件

時期(条件)

計算ケース

すべり面2↓

すべり面1↓

すべり面1↓

すべり面2↓

すべり面2↓

時系列と安全率の推移1.082

1.059

1.174

1.0020.951

1.054

1.161

1.000

1.1521.130

0.50

0.60

0.70

0.80

0.90

1.00

1.10

1.20

1.30

1.40

1.50

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20時間

安全

地すべり1-安全率Fs

地すべり2-安全率Fs

安全率Fs=1

計画安全率Fsp=1.2

道路拡幅切土後

アンカー施工後

上部地すべり発生後

アンカー破損

モニタリング手法について

モニタリング

シソジカ谷

関宮

データロガによる荷重の計測

シソジカ谷モニタリング位置図

C-10C-4

E-13

I-13

モニタリングの経過

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

2009/04/01 2009/05/01 2009/06/01 2009/07/01 2009/08/01 2009/09/01 2009/10/01 2009/11/01 2009/12/01 2010/01/01

荷重

(kN)

降水

量(mm)

アンカー荷重のモニタリング(シソジカ谷地区)

C‐4

C‐10

E‐13

I‐13

降水量

52kN

41kN

72kN

83kN

39kN

65kN

37kN

63kN減少傾向

平衡傾向

降水量と荷重に連動が見られる

29号シソジカ谷の問題点の整理と今後の検討課題

●問題点現在のところ、地すべりは停止状態であるが、安定計算

の結果では現況は計画安全率(Fs=1.20)を下まわっており、近年頻発する集中豪雨や地震をきっかけに地すべりが動き出すことも十分考えられる。

●検討課題これらのアンカーが抜けた原因は何かを確かめるために、アンカー鋼棒を引き抜き、鋼棒が切れて抜けて来るのか、鋼棒は切れずに定着部分の周面摩擦力が低下して抜けてくるのかを確かめる事。また、変位・地下水位観測は継続し、対策工の追加・補

修の検討が望ましい。

プレストレスコンクリート受圧板許容最大設計アンカー力 329kN以下

受圧構造物

自由長 Lf=11.0m(14.0m)定着長 La=6.0m(9.0m)アンカー長 L=17.0m(23.0m)

()内は最大

PC鋼より線 φ12.7mm×4本

KTB(くさび定着方式)

規格

29号 原 地区1988年11月に制定された土質工学会基準「グランドアンカ-設計・施工基準」に準拠した施工現場

21年度 リフトオフ試験・磁歪法

原地区アンカー受圧板と背面調査結果

止水ゴムの劣化

平成20年度

リフトオフ試験結果原地区

●3本共ほぼ同等の残存荷重を確認した。

●施工後に荷重が大きくなった可能性は低い。

●アンカーの機能に問題はない。

現場吹付法枠工 □400-2.0m×2.0m

許容最大設計アンカー力 50kN以下

受圧構造物

自由長 Lf=7.4~10.4m定着長 La=3.0mアンカー長 L=10.4~13.4m

PC鋼より線 φ12.7mm×2本VSL (くさび定着方式)

規 格

9号 関宮 地区「旧タイプアンカー」*施工現場

22年度 地盤調査予定

モニタリング(地山)

21年度 リフトオフ試験・磁歪法

モニタリング(アンカー)

Coキャップ頭部背面調査結果

関宮地区アンカー

変状箇所では、頭部露出後プレートの浮きが確認された。

平成21年度

関宮地区

●法面下段のアンカーほど残存アンカー力が小さい傾向が見られた。

リフトオフ試験結果

1本のアンカーの引き抜けを確認

③①

③ ④

アンカー任意点における応力状態の変遷

磁歪センサーの向きと主応力の関係

VSLアンカー頭部(室内試験)

測定箇所

現地での磁歪法による測定

リフトオフ試験との比較

磁歪法まとめ

9号関宮地区の問題点の整理と今後の検討課題

●問題点現在のところ変状は見あたらないが、アンカーの上位段

になるほどアンカーにかかる力が大きくなっている。

●検討課題上位段のアンカーにかかる応力の増加が、地質状況に依

存している可能性があり(上部は盛り土の可能性がある)、地盤調査をしてその原因を究明する。また、磁歪法を用いて継続的なモニタリングを実施し、

アンカーにかかる力の経時的な変化を捉える。

アンカーの問題点と今後の課題旧タイプアンカーの問題点

①当時の設計図書及び定着時の荷重の記録が現存しないため、残存荷重を確認しても、評価が困難である。

②頭部コンクリートキャップに大きな変状が生じない限り、残存荷重の増減が不明である。

③地山の劣化による周面摩擦抵抗の減少やアンカー本体の性能低下により、本来の機能が果たせていない可能性がある。(調査を行った3現場のうち2現場で変状を確認)

アンカーの問題点と今後の課題旧タイプアンカーの問題点

④コンクリートキャップによる頭部処理を行っているクサビ式アンカーは、鋼線とクサビの間にセメント分が浸透して、所定の能力を発揮できない場合がある。

今後の展望

これまでの調査により、旧タイプアンカーが設置されたのり面では、地山の劣化やアンカー本体の性能低下に伴い法面の健全性に問題があることが判明したが、この調査結果は、9号と29号の2箇所での結果であり、近畿地方整備局におけるその他の旧タイプアンカーが設置された法面においても、同様な問題が発生しているのかを確認する必要がある。

また、このような法面を早期に発見し、適切な補修を実施するためには、点検手法、点検結果の評価方法、補修方法を示す「手引き」などを作成して、対応することが重要と思われる。