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『商品テストほっと情報(平成『商品テストほっと情報(平成『商品テストほっと情報(平成『商品テストほっと情報(平成30303030年度試買テスト結果)』年度試買テスト結果)』年度試買テスト結果)』年度試買テスト結果)』
岩手県立県民生活センター
アルカリ乾電池など使い切り電池は、多くの家庭で使用されていますが、使い方を誤ると液漏れ、
発熱、破裂等が起きることがあり、これらは機器の故障原因になるだけでなく、漏れた液による化学
火傷など重大事故の原因になることがあります。実際、岩手県内でも電池の液漏れによる事故が報告
されています。
電池で液漏れ、発熱、破裂等が起きるのは、電池自体に問題がある場合もありますが、誤使用によ
って起きる場合も多く、誤使用をなくすことで事故を少なくできると考えられます。
このため、多くの家庭で使われているアルカリ乾電池について、取扱上の注意事項を整理し、情報
提供することとしました。
★★★★ 電池に電池に電池に電池に法規制法規制法規制法規制などなどなどなどはあるのはあるのはあるのはあるの????
一般家庭で使用される電池については、リチウムイオン蓄電池(電気用品安全法の対象)を除き
法的規制はありません。しかし、日本工業規格に電池に関する規定があり、今回テストしたアルカ
リ乾電池などの一次電池については、JIS C8500「一次電池通則」(2017)及び C8514「水溶液系
一次電池の安全性」(2018)等の規定があります。
(参考)一次電池:アルカリ乾電池、マンガン乾電池、ボタン電池など使い切りの電池のこと。
JIS C8514(2018)には、アルカリ乾電池などを取り扱う際の安全性に関する様々な情報が規定
されており、製品へ表示すべき「取扱上の注意事項」として、次の点を表示するよう求めています。
【使用上の注意事項について】
逆装填、充電、ショート、加熱、火中投入、分解、種類又は大きさが異なる電池の混合使用、
及び新しい電池と使用した電池との混合使用はしない。
【誤飲の注意事項について】
判定ゲージ内に納まる電池は、誤って飲み込むおそれがあるので、電池は乳幼児の手の届か
ない所に置く、万一電池を飲み込んだ場合には、直ちに医師に連絡し、指示を受ける。
★★★★ テストしたテストしたテストしたテストしたアルカリ乾電池アルカリ乾電池アルカリ乾電池アルカリ乾電池
家庭内の多くの機器で使用されている単4及び単
3のアルカリ乾電池についてテストしました。また、
参考に単3マンガン乾電池もテストしました。
テスト品は、盛岡市内の家電量販店及び100円シ
ョップで購入しました。
アルカリ乾電池アルカリ乾電池アルカリ乾電池アルカリ乾電池 ~液漏れ事故などを防ごう!~
写真-1 テスト品
2
★★★★ テスト品の表示テスト品の表示テスト品の表示テスト品の表示を調べましたを調べましたを調べましたを調べました
表示者名、容器包装リサイクル法識別マーク、水銀使用の有無、製造国及び JIS C8500(2017)
の表示規定項目は、全てのテスト品に表示がありました。表示箇所は、容器包装リサイクル法識別
マークは容器包装に、それ以外は本体に表示がありました。項目によっては両者に表示があるテス
ト品もありました。なお、JIS C8500(2017)では、「形式」及び「(+)及び(-)極性」は電池
本体に、それ以外は本体又は容器包装のいずれかに表示するよう求めています。
表-1 テスト品一覧表
表示
者名住所
電話
番号HP 形式
使用推奨期限
(又は製造時期)
(+)及び
(-)極性
公称
電圧
製造事業
者等※
取扱上の
注意事項
電池名等
※
1 ◎ ● ◎ × ● ○ 日本 LR03 02-2027 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 4 537 134
2 ◎ ● ◎ × ● ◎ インドネシア LR03 03-2027 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 4 475 119
3 ◎ ○ ◎ × ● ◎ 日本 LR03 08-2027 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 2 321 161
4 ◎ × ○ × ● ○ 中国 LR03 09-2027 ○ 1.5V ◎ ○ ◎ 4 537 134
5 ○ × × × ● ○ タイ LR03 11-2026 ○ 1.5V ○ ○ ○ 4 494 124
6 ◎ ○ ◎ × ● ◎ 日本 LR03 05-2022 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 4 356 89
7 ◎ ● ◎ ● ● ◎ 中国 LR03 10-2023 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 4 95 24
8 ◎ ◎ × × ● ◎ 中国 LR03 09.2023 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 5 108 22
9 ◎ ● ● × ● ○ 日本 LR6 04-2027 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 4 626 157
10 ◎ × ◎ ◎ ● ◎ 日本 LR6 12-2026 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 3 410 137
11 ◎ × ◎ ◎ ● ◎ 日本 LR6 11-2028 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 4 518 130
12 ◎ ● ● × ● ○ タイ LR6 07-2027 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 2 289 145
13 ◎ ● ◎ × ● ◎ 日本 LR6 10-2022 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 2 270 135
14 ◎ ● ◎ ● ● ◎ 中国 LR6 10-2023 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 4 95 24
15 ◎ ◎ ◎ × ● ◎ 日本 LR6 10-2023 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 2 105 53
16 ◎ × ○ × ● ○ 中国 LR6 10-2023 ○ 1.5V ◎ ○ ◎ 4 108 27
17 ◎ ◎ × × ● ◎ 中国 LR6 10.2023 ○ 1.5V ◎ ◎ ◎ 5 108 22
参考1
○ × × × ● ○ 中国 R6P 05-2019 ○ 1.5V ○ ○ ◎ 4 235 59使用推奨期限は底面(-極)に
刻印
参考2
◎ × ○ × ● ○ 中国 R6P 02-2020 ○ 1.5V ◎ ○ ○ 4 108 27使用推奨期限は底面(-極)に
刻印
備考
アルカリ
単4
単3
マンガン
単3
水銀0使用
製造国
JIS C8500(2017)による表示項目本/
セット税込価格
(円)税込単価(円/本)
種類
電池大きさ No.
問合せ先 容器包装リサイ
クル法識別マーク等
◎:本体及び容器包装に表示有、○:本体のみに表示有、●:容器包装のみに表示有、×:表示なし
「下線付き文字・数字」:本体及び容器包装に表示有、「下線なし文字・数字」:本体のみに表示有
※製造事業者等:製造事業者又は供給事業者名称、商標又はその記号、電池名等:電池名称又は略称(表示することが望ましい。)
問い合わせ先は、ほとんどのテスト品に住所、電話番号、ホームページアドレス(HP)いずれ
かの表示がありました。表示がないテスト品でもそのホームページをみれば、問合せ先を知ること
は可能でした。
写真-2 表示例
(電池本体) (容器包装 裏面) 写真-3 マンガン乾電池(底面刻印)
の推奨使用期限
3
また、全ての電池が製造時期ではなく使用推奨期限を表示していて、使用者にとっては分かりや
すい表示でした。
マンガン乾電池の使用推奨期限が電池底面に刻印されているなど、電池本体の表示は文字が小さ
く読みにくい場合もありましたが、誤使用による事故を起こさないために、使用前に表示内容を確
認することが大切です。
★★★★ 価格(消費税込)について価格(消費税込)について価格(消費税込)について価格(消費税込)について
購入したテスト品は、2本セット~5本セットのものがあり、セット価格で95円~626円で
した。また、1本当たりに換算すると22円~161円で、価格幅がありました。
★★★★ 電池電池電池電池を使うにはを使うにはを使うにはを使うにはどんな注意が必要なの?どんな注意が必要なの?どんな注意が必要なの?どんな注意が必要なの?
テストした電池には取扱上の注意事項として、「使用上の注意事項」、「誤飲の注意事項」、「保管
上の注意事項」及び「液漏れ時の対処法」について表示がありました。内容は以下のとおりです。
使用上注意すべき点使用上注意すべき点使用上注意すべき点使用上注意すべき点として、として、として、として、
電池電池電池電池をををを装填装填装填装填する際は、する際は、する際は、する際は、
・(+)、(-)を逆に入れない。
・異種電池等を混合使用しない。
・新旧電池を混合使用しない。
電池電池電池電池をををを装填装填装填装填した後は、した後は、した後は、した後は、
・使い切った電池はすぐに取り出す。
・長期間使用しない場合は、機器から電池を取り出す。
その他その他その他その他に、に、に、に、
・充電しない。
・ショートさせない。
・加熱しない。
・火に入れない。
・分解しない。
・落下等衝撃を与えない。
・加圧等変形させない。
・改造しない。
・水に濡らさない。
・外装フィルム(ラベル)を傷つけたりしない。
乳幼児などが電池を誤飲しない乳幼児などが電池を誤飲しない乳幼児などが電池を誤飲しない乳幼児などが電池を誤飲しないようようようよう、、、、
・乳幼児の手の届かない所に置く。
・電池を飲み込んだ場合はすぐ医師に相談する。
電池を保管する際に注意すべき点として、電池を保管する際に注意すべき点として、電池を保管する際に注意すべき点として、電池を保管する際に注意すべき点として、
・ネックレス等金属製のものと一緒に携帯・保管しない。
・車中等直射日光、高温、高湿になる場所に保管しない。
電池の液漏れがあった際の電池の液漏れがあった際の電池の液漏れがあった際の電池の液漏れがあった際の対処法として、対処法として、対処法として、対処法として、
・電池のアルカリ液が目・皮膚等へ付着したときは、すぐに水で洗い流し、医師の治療を受け
る。
4
・電池のアルカリ液をなめたときは、すぐうがいをし、医師の治療を受ける。
表-2 取扱上の注意事項
【JIS C8514(2018)による表示事項】
+、-逆接続しない
異種電池等混用しない
新旧電池混用しない
充電しない
ショートさせない
加熱しない
火にいれない
分解しない
乳幼児の手の届かない所に置く
電池を飲み込んだ場合はすぐ医師に相談する
1 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
2 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ● ● ● ◎ ◎
3 ◎ ◎ ◎ ● ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
4 ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ×
5 ○ ○ ○ ○ ○ × × × ○ ○
6 ◎ ◎ ◎ ● ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
7 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ×
8 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ×
9 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × ×
10 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × ×
11 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × ×
12 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × ×
13 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × ×
14 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ×
15 ◎ ◎ ◎ ● ◎ ◎ ◎ ◎ × ×
16 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ×
17 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ● ×参考
1○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ×
参考2
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ×
種類
電池大きさ
No.
マンガン
単3
装填時 その他
アルカリ
単4
単3
使用上の注意事項誤飲の注意事項
【JIS C8514(2018)にない表示事項】
使い切った電池はすぐに取り出す
長時間機器を使用しない場合は、機器から電池を取り出す
落下等衝撃を与えない
加圧等変形させない
改造しない
水に濡らさない
外装フィルム(ラベル)を傷つけたりしない
ネックレス等金属製のものと一緒に携帯・保管しない
車中等直射日光、高温、高湿になる場所に保管しない
電池のアルカリ液が目・皮膚等へ付着した時は、すぐに水で洗い流し、医師に治療を受ける
電池のアルカリ液をなめた時は、すぐうがいをし医師の治療を受ける
1 ◎ ● ● ● × ● × ● ● ◎ ◎
2 ● × × ● × × × × × ◎ ×
3 ◎ × ● ● × × × ● × ◎ ●
4 ○ × × × × × ○ × × ○ ×
5 ○ × × × × × × × × ○ ×
6 ◎ × ● ● × × × ● × ◎ ●
7 ◎ × ◎ ◎ × × × × × ◎ ×
8 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × ◎ ◎ ◎ ◎
9 ◎ × ● ● × × × ● × ◎ ×
10 ◎ × ● ● × × × ● × ◎ ×
11 ◎ × ● ● × × × ● × ◎ ×
12 ◎ × ● ● × × × ● × ◎ ×
13 ● × × ● × × × × × ◎ ×
14 ◎ × ◎ ◎ × × × × × ◎ ×
15 ◎ × ◎ ◎ × × × ● × ◎ ●
16 ○ × × × × × ○ × × ○ ○
17 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × ◎ ◎ ◎ ◎参考
1○ ○ × × × × × × × ○ ○
参考2
○ × × × × × × × × ○ ○
マンガン
単3
アルカリ
単4
単3
使用上の注意事項保管上の注意事項 液漏れ時の対処法
装填後 その他
種類
電池大きさ
No.
◎:本体及び容器包装に表示有、○:本体のみに表示有、●:容器包装のみに表示有、×:表示なし
5
★★★★ どうして電池に液漏れなどが起きるのどうして電池に液漏れなどが起きるのどうして電池に液漏れなどが起きるのどうして電池に液漏れなどが起きるの????
アルカリ乾電池などの液漏れには、未使用電池の液漏れと電池使用中や使用後の液漏れがありま
す。
未使用電池の液漏れは、長期保管や外部要因(輸送中や店頭陳列中の落下変形、高温・多湿など
の悪条件等)により発生します。つまり、何らかの要因で電池自体に目では判断がつかないような
変形やサビ、内部部品の劣化などが発生し、電池の密封度が劣化した箇所から自然に電解液(アル
カリ乾電池の場合は水酸化カリウム)が漏れ出る現象が一般的です。
一方、電池使用中や使用後の液漏れは、誤使用などにより電池内部で過度にガスが発生し、内部
圧力が高圧になった際、電池が破裂しないよう安全弁など圧力を外部に逃がすしくみが働き、電池
内部の電解液が一部放出されることで起きています(主にアルカリ乾電池)。仮に圧力を外部に逃
がすことができない場合は、破裂の危険があります。
つまり、使用中や使用後の液漏れは、破裂の危険を回避するために発生していることが多いです。
従って、液漏れや破裂を起こさないためには、電池内部で過度なガスを発生させる原因となる過放
電やショートなどを起こさせないことが大切になります。
過放電は、電池の逆接続、新旧電池や異種電池の混合使用、一次電池の充電、使い切った電池の
放置、機器スイッチを入れたまま放置などで起きると言われています。また、ショートは、ネック
レスなど金属製のものと電池を一緒に携帯・保管したり、電池の外装フィルム(ラベル)等の絶縁
部を損傷すると起きると言われていますので、こうした使い方をしないことが大切です。
(参考)過放電:終止電圧(電池が機器を動作させることができなくなる電圧)以下まで過度に
放電された状態。
★★★★ 誤った使い方をして、液漏れなどが起きるか試してみました!誤った使い方をして、液漏れなどが起きるか試してみました!誤った使い方をして、液漏れなどが起きるか試してみました!誤った使い方をして、液漏れなどが起きるか試してみました!
テストは、表-3に示す条件で行いました。
テストでは、およそ1日1回、テスト機器(LED ライト、電球ライト)のスイッチを切り、液
漏れ等がないか確認し、各電池の電圧を測定しました。また、長期間スイッチを切った状態にした
場合は、電池の能力が回復することがあるので、再度スイッチを入れる前に各電池の電圧を測定し
ました。(全てのテストの電圧測定結果は、巻末資料)
LED ライト(単3用)
電球ライト(単3用) LED ライト(単4用)
写真-4 テストの状況
6
・同じ銘柄の電池を長期間使用してみました!
アルカリ乾電池の電圧は、どのテストでも0.9
V近くまで3本の電池がほぼ同じように低下し、そ
の後最初に0.9Vを切った電池のみ低下し続け、
その他の電池はほとんど低下しませんでした。
一般的にアルカリ乾電池の終止電圧は0.9V前
後に設計されているので、どの電池の電圧も終止電
圧近くまで同じように低下し、その後最初に終止電
圧を切った電池のみ低下し続けたと考えられます。
一方、マンガン乾電池(テスト5)では、電圧の
低下は電池によって様々で、アルカリ乾電池のよう
な顕著な傾向は見られませんでした。
このテストでは、終止電圧以下になった電池が過
放電状態になっていると考えられますが、液漏れな
どの現象は確認できませんでした。
No. 液漏れ等の原因
になる使い方 電池の種類 テスト品名 テスト機器
1
同種電池の
長期間使用
単4アルカリ No.2:3本 LEDライト(単 4用)
2 単4アルカリ No.4:3本
3 単3アルカリ No,10:3本
LEDライト(単 3用) 4 単3アルカリ No,11:3本
5 単3マンガン 参考 1:3本
6 新旧電池の
混合使用
単4アルカリ No.1:3本 LEDライト(単 4用)
7 単3アルカリ No.17:3本 LEDライト(単 3用)
8
異種電池の
混合使用
単4アルカリ No.5:2本、No.8:1本 LEDライト(単 4用)
9 単4アルカリ No.3:1本、No.6:2本
10 単3アルカリ No.13,15,16:各1本
LEDライト(単 3用) 11 単3アルカリ No.9:2本、No.12:1本
12 単3アルカリ
単3マンガン
No.16:2本
参考 2:1本
13 (+)、(-)
逆接続 単3アルカリ No,14:4本 電球ライト(単 3用)
表-3 電池液漏れテスト テスト条件
図-1 電池電圧の経時変化
(同種電池の長期間使用)
7
・新旧電池を一緒に使用してみました!
新しい電池では、電圧は当初1.55Vから1.
4Vまで低下しましたが、その後はあまり低下し
ませんでした。一方、使用済の古い電池では、最
初に0.9Vを切った電池のみ電圧が低下しまし
た。
新旧電池を一緒に使用した場合、未使用電池の
電圧はほとんど低下せず、また、使用済み電池で
は、そのうち1本の電池のみ電圧が低下し続ける
と考えられます。
このテストでも、終止電圧以下になった電池が過放電状態になっていると考えられますが、液
漏れなどの現象は確認できませんでした。
・種類の違う電池を一緒に使用してみました!
アルカリ乾電池同士を組み合わせて使用した場
合、電圧は0.9V近くまで3本の電池がほぼ同
じように低下し、その後最初に0.9Vを切った
電池のみ電圧が低下し続け、その他の電池はほと
んど低下しませんでした。
新しいアルカリ乾電池だけを使用したケースで
は、種類の違う電池を一緒に使用した場合も、同
じ銘柄の電池を長期間使用した場合と同じように、
終止電圧近くまではどの電池も同じように電圧が
低下し、その後は最初に終止電圧を切った電池の
み電圧が低下し続けると考えられます。
一方、アルカリ乾電池とマンガン乾電池を組み
合わせて使用した場合、アルカリ乾電池の電圧は、
およそ1.2Vまで低下した後ほとんど低下せず、
マンガン乾電池のみ低下し続けました。
このテストでも、終止電圧以下になった電池が
過放電状態になっていると考えられますが、液漏
れなどの現象は確認できませんでした。
・一つの電池を(+)、(-)逆に接続し、使用してみました!
テスト開始2時間以内にライトが消灯したので、テスト機器から電池を取り出そうとしました
が、逆接続した片側の電池2本が装填部に貼り付き取れませんでした。強制的に取り外したとこ
ろ、電池外装フィルム(絶縁部)の一部が剥がれ、電池装填部に貼り付きました。
また、装填部では、電池の(+)極、(-)極方向を示す絵が変形していました。これは、電
池が過剰に発熱して起きたと考えられます。
また、取り出した電池を数日間放置したところ、白い粉状の物質が生成し、この粉状物質に水
を加え、pH試験紙で液性を確認したところアルカリ性を示しました。この白い粉状の物質はア
図-2 電池電圧の経時変化
(新旧電池の混合使用)
図-3 電池電圧の経時変化
(異種電池の混合使用)
8
ルカリ乾電池から漏れた電解液と考えられます。
以上から、一つの電池を(+)、(-)逆に接続したことで電圧のバランスが崩れ、逆接続した
電池が他の電池に強制的に充電される状態となり、電池内部で急激に化学反応が起って発熱し、
過度にガスが発生して内部圧力が高まり、安全弁が働き液漏れしたと考えられます。
★★★★ 複数の電池を使う機器で電池交換する複数の電池を使う機器で電池交換する複数の電池を使う機器で電池交換する複数の電池を使う機器で電池交換するときときときときに注意すること!に注意すること!に注意すること!に注意すること!
誤った使い方をして液漏れなどが起きるか試したテストで、液漏れ現象を確認できたのは、「(+)、
(-)逆接続テスト」だけでした。しかし、それ以外のテストでは、少なくとも1本の電池が終止
電圧以下まで電圧が低下しており、過放電の状態になっていると推定されるので、テストをさらに
続ければ液漏れ現象が起きたと考えられます。
また、終止電圧以下まで電圧が低下し続けた電池は、最初に終止電圧以下となった電池、使用済
み電池、マンガン乾電池など、一緒に使用した電池の中でパワーが劣る状態にあった電池でした。
このことから、パワーの異なる電池を一緒に使用すると、最も弱い電池のみ電圧が低下し続け、
過放電状態になり、液漏れなどを起こす可能性があると考えられます。
従って、複数の電池を使う機器では、電池を交換する場合にパワーの異なる電池を使用してはい
けないので、
・全ての電池を新しい電池に交換する。
・全て同じ種類の電池を使用する。
ことが大切になります。
装填状態 正常 正常 正常 逆接続 備考
電池No. 14-1 14-2 14-3 14-4
点灯前 1.55V 1.55V 1.55V 1.55V -
2時間後 1.4V 1.4V 1.2V 1.3V
電池 14-3,14-4貼り付き取れず、強制的に
取る。外装フィルム(絶縁部)が機器に貼
り付いていた。
表-4 (+)、(-)逆接続テスト 電圧測定値
液漏れ等で、①電球ライト内電池の絵が変形。②電池外装ラベルが剥がれている。③漏れた液が白く粉状に乾燥、液性はアルカ
リ性(pH試験紙による)。
写真-5 液漏れ等が起こった状況(+、-逆接続テスト)
1111
2222
3333
9
また、電池間の電圧バランスを崩さないために(+)、(-)逆接続しないよう注意し、
・装填前には、必ず(+)、(-)が正しいか確認する。
ようにしましょう!
【消費者へのアドバイス!】【消費者へのアドバイス!】【消費者へのアドバイス!】【消費者へのアドバイス!】
電池の液漏れ事故などを防ぐために、次の点に注意しましょう!
●●●●電池を電池を電池を電池を交換交換交換交換するするするするときときときとき
・・・・使用推奨期限など電池の表示を確認する。使用推奨期限など電池の表示を確認する。使用推奨期限など電池の表示を確認する。使用推奨期限など電池の表示を確認する。
・・・・(+)、(-)(+)、(-)(+)、(-)(+)、(-)が正しいか確認するが正しいか確認するが正しいか確認するが正しいか確認する。。。。
・・・・全ての電池を新しい電池に交換する。全ての電池を新しい電池に交換する。全ての電池を新しい電池に交換する。全ての電池を新しい電池に交換する。
・・・・全て同じ種類の電池を使用する。全て同じ種類の電池を使用する。全て同じ種類の電池を使用する。全て同じ種類の電池を使用する。
●●●●電池を電池を電池を電池を使用中使用中使用中使用中
・・・・電池が無くなったとき電池が無くなったとき電池が無くなったとき電池が無くなったときはははは、電池を機器から取り外す。、電池を機器から取り外す。、電池を機器から取り外す。、電池を機器から取り外す。
・・・・機器を使用しないとき機器を使用しないとき機器を使用しないとき機器を使用しないときはははは、必ずスイッチを切る。、必ずスイッチを切る。、必ずスイッチを切る。、必ずスイッチを切る。
・・・・長期間機器を使用しないとき長期間機器を使用しないとき長期間機器を使用しないとき長期間機器を使用しないときはははは、電池を機器から取り外す。、電池を機器から取り外す。、電池を機器から取り外す。、電池を機器から取り外す。
●●●●電池が液漏れした電池が液漏れした電池が液漏れした電池が液漏れしたときときときとき
・・・・電池の電池の電池の電池のアルカリ液が目・皮膚等へ付着したアルカリ液が目・皮膚等へ付着したアルカリ液が目・皮膚等へ付着したアルカリ液が目・皮膚等へ付着したときときときときはははは、すぐに水で洗い流し、医師、すぐに水で洗い流し、医師、すぐに水で洗い流し、医師、すぐに水で洗い流し、医師のののの治治治治
療を受ける。療を受ける。療を受ける。療を受ける。
・・・・電池のアルカリ液をなめた電池のアルカリ液をなめた電池のアルカリ液をなめた電池のアルカリ液をなめたときときときときはははは、すぐうがいをし、医師の治療を受ける。、すぐうがいをし、医師の治療を受ける。、すぐうがいをし、医師の治療を受ける。、すぐうがいをし、医師の治療を受ける。
10
【さらに詳しく知りたい人のために (^0^)! 】
【参考文献】
・News Release「電池の発熱、液漏れ、破裂に注意しましょう!-災害用の懐中電灯やラジオの点
検を-」、2018.7.20、消費者庁、独立行政法人国民生活センター
・相談解決のためのテストから No.75「液漏れしたアルカリ乾電池」、2014.8.7、独立行政法人国
民生活センター
・相談解決のためのテストから No.127「乾電池の液漏れによって重度の化学やけどを負った農薬
散布器」、2019.1.17、独立行政法人国民生活センター
・日本工業規格 JIS C 8500「一次電池通則」:2017、日本工業標準調査会
・日本工業規格 JIS C 8514「水溶液系一次電池の安全性」:2018、日本工業標準調査会
・日本工業規格 JIS C 8515「一次電池個別製品仕様」:2017、日本工業標準調査会
【ホームページ】
・一般社団法人電池工業会HP
・独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)HP>国・地域別にみる>貿易・投資相談 Q&A>
電池の輸入手続き:日本
・パナソニック株式会社HP>サポート>よくある質問
・FDK株式会社HP>製品情報>電池>FUJITSU DENCHI>乾電池のお話し
・マクセル株式会社HP>個人のお客様>FAQ>「アルカリ乾電池」よくある質問
・東芝ライフスタイル株式会社HP>商品情報>電池・充電器・懐中電灯>電池Q&A
・三菱電機株式会社>個人のお客様>よくある質問FAQ>生活関連商品>乾電池
・オーム電機株式会社>ユーザーサポート>電池の安全で正しい使い方