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タイトル 平均対数偏差と人口動態効果
著者 木村 和範 KIMURA Kazunori
引用 季刊北海学園大学経済論集 67(1) 17-36
発行日 2019-06-30
《論説》
平均対数偏差と人口動態効果
木 村 和 範
〈要旨〉ムッカジーとショロックスの方式によって平均対数偏差の時点間変化は級内変動級間変動人口動態効果のつに要因分解される本稿では人口動態効果が時点間の級内変動の差の一部と時点間の級内変動の差の一部の和であることを述べて人口動態効果の実体的基礎を明らかにするそして年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正(負)であるにもかかわらず当該年齢階級の人口動態効果の値が逆に負(正)になり得ること(場合によってはゼロにもなり得ること)を数学的に証明するとともにそのことを数値例で示すもってムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差が計測するとされる人口動態効果の有効性にたいして疑義を提起する
〈Abstract〉Mookhergee-Shorrocksian decomposition of the difference in
mean log deviation at two different time points reveals intra-classvariation inter-class variation and the effect of population ageing(hereafter EPA) This paper asserts that the EPA is the sum of apart of the intra-class variation difference between two time pointsand a part of the intra-class variation difference between the sametwo time points The author contests the utility of such adecomposition demonstrating that the Mookhergee-Shorrocksiannumerical value of EPA for one or more age class(es) of householdscould be negative or zero in spite of the increase in thehousehold-share concerned
〈叙述の順序〉はじめに平均対数偏差の要因分解
― 17 ―
北海学園大学名誉教授
⑴ 単一時点⑵ 時点間の差人口動態効果⑴ 級内変動の差の一部と級間変動の差の一部の和としての人口動態効果
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質⑶ 数値例むすび
は じ め に
基準時点と比較時点における平均対数偏差( と )をそれぞれ計算してもそれだけでは人口動態効果を算出できないこと人口動態効果は平均対数偏差の時点変化
にかんする要因分解式によって検出できることをはじめて主張したムッカジーとショロックスの業績⑴は人口構成の変化があたえる所得分布への影響にかんする先駆的研究と位置づけることができる本稿ではその要因分解式の有効性にかんする考察⑵をさらに深めるべく要因分解式
が検出するとされる人口動態効果に論点を限定するそしてムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が計測する人口動態効果の実体的基礎を明らかにするその後仮設した数値例を用いてこの方式によって導出される人口動態効果が見かけ上の格差拡大縮小の計測指標たり得るかどうかを検討する
平均対数偏差の要因分解⑶
⑴ 単一時点基準時点における所得(
単位百万円)の分布にかんする平均対数偏差(全年齢階級)を とし比較時点における
( 単位百万円)については とするそして にたいする第 年齢階級の寄与分を
― 18 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 19 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(1) Mookherjee D and Shorrocks A FʠADecomposition Analysis of the Trend in UKIncome InequalityʡThe Economic Journal Vol92 1982 この論文における要因分解式の誘導については不平等格差の分析手法 対数標準偏差 シュロックス分解(httptakamasaatwebryinfo200805article_html accessed on Jan18 2018)が参考になる(cf 木村和範所得格差の変動にたいする人口動態効果の計測経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第号2018 年月(木村(2018a))平均対数偏差(およびその時点間変化(差))の要因分解式についてはムッカジーとショロックの方式とは異なる別解も誘導されている(同人口構成の変化と所得分布同上第 66 巻第号2018 年月(木村(2018b))
(2) 木村和範平均対数偏差の要因分解経済論
集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019年月(木村(2019))
(3) 次項で取り上げる の時点間変化( )にかんする要因分解式を含め本稿で使用した文字の意味については木村(2019)参照なおの定義式
には対数の真数条件により統計系列を構成するすべての項の値が正であること()が含意されているしたがって基準時点および比較時点における所得分布の相加平均と相乗平均は正でありまた年齢階級別所得分布の相加平均と相乗平均も正である
とし にたいする第 年齢階級の寄与分を
とするこのときムッカジーとショロックスの方式による単一時点における平均対数偏差の要因分解式⑷は以下のとおりである(対数の底は以上とする)
基準時点全年齢階級
級内変動
級間変動
(1-1)
年齢階級別寄与分
級内変動
級間変動
(1-2)
比較時点全年齢階級
級内変動
級間変動
(1-3)
年齢階級別寄与分
級内変動
級間変動
(1-4)
⑵ 時点間の差全年齢階級の所得分布の平均対数偏差にかんする時点間変化
を要因分解するにはそれに先立って年齢階級別寄与分の差
を分解すればよいは年齢階級別寄与分の差の総和
としてあたえられるからであるにたいする年齢階級別寄与分の差
( )は以下のように要因分解される⑸この誘導はすでに明らかであるあえて屋上屋を架するのは要因分解式の誘導過程のなかに人口動態効果の数学的性質を解明する糸口があるからである
級内変動
級間変動
比較時点[(1-4)式]
級内変動
級間変動
基準時点[(1-2)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)
ここで(1-5)式の第項と第項がそれぞれ恒等式
(1-6)
と同型であることに着目して(1-5)式を整理する
― 18 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 19 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(4) 木村(2018a31 頁以下) (5) 木村(2018a34 頁以下)
級内変動の差((1-6)式によって変形した(1-5)式第項)[(1-7)式第項]
級間変動の差((1-6)式によって変形した(1-5)式第項)[(1-7)式第項]
(1-7)
級内変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級内変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級間変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級間変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
(1-8)
級内変動の差の一部((1-8)式第項)[(1-9)式第項]
級間変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)式第項)[(1-9)式第項]
級内変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)第項)[(1-9)式第項]
級間変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)式第項)[(1-9)式第項]
(1-9)
級内変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部(変形した(1-)式第項)[(1-10)式第項]
(1-10)
ここで次のようにおく
(1-11)
(1-11)式を(1-10)式に代入すると次式を得る
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
[(1-12)式第項]
級間変動の差の一部((1-10)式第項)
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
(1-12)
級内変動(第 年齢階級)((1-12)式第項)[(1-13)式第項]
― 20 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 21 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級間変動(第年齢階級)((1-12)式第項)[(1-13)式第項]
人口動態効果(第 年齢階級)((1-12)式第項(1-12)式第項)[(1-13)式第項]
(1-13)
この(1-13)式はムカッジーとショロックスの方式によって誘導される平均対数偏差の差の要因分解式としてつとに明らかであるここまでは目新しいことは何もない全年齢階級にかんする級内変動級間変動人口動態効果はそれぞれ年齢階級別の級内変動級間変動人口動態効果の総和としてあたえられる(1-13)式により全年齢階級にかんする平均対数偏差の時点間変化()は以下のように要因分解されるこれもまたすでに明らかである
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)
人口動態効果
⑴ 級内変動の差の一部と級間変動の差の一部の和としての人口動態効果年齢階級別人口動態効果の数学的性質を考察するには(1-13)式における人口動態効果(
)の数式
によるよりもそこに至る数式展開の過程を(1-10)式まで遡及して年齢階級別人口動態効果の源泉から出発するほうが事柄は明確になる前節であえて年齢階級別人口動態効果の誘導過程を再掲した理由はそこにある前節から明らかなように
については以下の恒等式が成立する
[(1-13)式第項]人口動態効果(第 年齢階級)
[(1-10)式第項]級内変動の差の一部
[(1-10)式第項]級間変動の差の一部
ここから次のことが明らかになるすなわち(1-5)式を起点として(1-11)式による置換を経て要因分解式としての(1-13)式を誘導する過程を見ればその(1-13)式が表す年齢階級別人口動態効果(
)にはつの源泉があることが分かる第の源泉は全年齢階級の平均対数偏差の時点間変化()にたいする年齢階級別寄与分(
)
― 20 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 21 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
変化によってもたらされる所得分布の変化(格差の拡大縮小)を計測するにふさわしい実質的意味をもちうるかどうかということであるこの考察にあたっては一般に平均対数偏差(全年齢階級)の時点間変化()が大きいほど格差が拡大し逆にが小さくなればそれだけ格差が縮小すると考えられていることを想起するこのことにもとづいて人口動態効果を考察するために(1-14)式を再掲する
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)[再掲]
(1-14)式はその構成要素である
人口動態効果(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(2-3)
が大きければ(小さければ)それだけによって計測される所得格差を(たとえ級内変動や級間変動という他の要因が小さくても(大きくても))拡大(縮小)させる方向で作用すると考えられているこのことは年齢階級別人口動態効果についても同様に妥当する全年齢階級の人口動態効果を構成する
人口動態効果(第 年齢階級)
には年齢階級別世帯シェアの時点間変化(
)が大きい正数になるほど格差を拡大させるはずであるということが含意されている同じことであるががより小さい正数であれば格差の拡大にはそれだけ小さい影響をあたえがゼロであれば人口動態効果という概念が存在する余地はなくが負数であれば格差を縮小させる方向で作用していると考えられている要するに一般に年齢階級別の人口動態効果と世帯シェアの関係は次のように理解されている① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ(
)よりも小さい場合(
))年齢階級別人口動態効果に負の値をあたえ(
)平均対数偏差(全年齢階級)の差()の値を小さくすること(格差を縮小させる方向で作用すること)
② 時点における世帯シェアに変化がない場合(
)年齢階級別 人 口 動 態 効 果 が ゼ ロ と な り(
)当該年齢階級は
の値にたいして影響をあたえないこと(格差を縮小も拡大もさせないこと)
③ 世帯シェアの時点間変化()が正の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ( )より
も大きい場合( ))年
齢階級別人口動態効果に正の値をあたえ(
) の値を大きくすること(格差を拡大させる方向で作用すること)
人口動態効果が以上の関係を保証するとき所得格差の計測指標として実質的意味がある項を改めてこの点を考察する
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質年齢階級別人口動態効果(
)の源泉である(2-1)式と(2-2)式を加算して
をもとめれば以下のようになる
(2-1)式
(2-2)式
(2-4)
(2-4)式を整理すれば年齢階級別人口動態効果( )
として
(2-5)
を得ることができることはすでに述べた((1-10)式および(1-13)式参照)年齢階級別人口動態効果の数学的性質を解明するために以下では(2-5)式から
(年齢階級別人口動態効果)と同値の関係にある新たな数式を誘導する(この数式は年齢階級別人口動態効果の簡便式としても機能するがそのことは数値例で言及する)そこで世帯所得()の分布の相加平均
(全年齢階級)を と表し同じ統計系列の分布の相乗平均(全年齢階級)を と表すまた年齢階級別所得分布の相加平均をと表し同様に相乗平均を と表す時点を表すサフィックスはこれまでと変わらない次式は以上の事柄を数式で表している
(2-6)
すでに明らかにしたように平均対数偏差は
(2-7)
であり
(2-8)
である⑹(2-6)式(2-7)式(2-8)式を(2-4)式に代入すると年齢階級別人口動態効果(
)の計算式として新たに次式を得る
(2-4)[再掲]
1048619 1108528
1057298 10486191107792
1108528
1057298 1107792
(2-9)
以上のように年齢階級別人口動態効果の計算式((2-9)式)が新たに誘導されたここで年齢階級別平均対数偏差の時点間変化(
)にかんする要因分解の過程を次頁にまとめる(表)その上で(2-9)式の値が
と の値によって
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(6) 木村和範平均対数偏差の数学的性質にかんする覚書同上第 65 巻第 12 合併号2017 年月(2-7)式と(2-8)式においては全年齢階級の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )および年齢階級別の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )がいずれも正である(脚注参照)このために以下の展開が可能となる
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)表
平均対数偏差の差の要因分解
統計量の差[(1-5)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
[(1-6)式]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1- 8)式第4項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
[(1-11)式]
級内変動
[(1-13)式第項]
級間変動
[(1-13)式第項]
人口動態効果
[(1-13)式第項]
【別解】[(2-9)式]
と
はそれぞれ比較時点と基準時点における全年齢階級にかんする所得分布の相加平均を表し
と
は時点別の第
年齢階級にかんする所
得分布の相乗平均を表す
となることに着目して以下では(2-9)式の
含意を明らかにする目的で
と を別々に取り上げる
①
真数条件を満たして正数となる分数
にはその分子( )と分母(
)の値の大小関係によってその取り得る範囲がとおりあるそれに応じてその対数の値についてもとおりがあるすなわち
のとき
のとき
のとき
(2-10)
②
についても次のとおりがある
(2-11)
以上から年齢階級別人口動態効果(
)の値は
と
の組み合わせによって表のようになる表はムッカジーとショロックスの方式による要因分解式があたえる年齢階級別人口動態効果においては次のような事態が起こりうることを示している(アステリスクを付した箇所参照)① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は正である(
ケースA)② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
と が
背反するつのケース
負
負 正 ケースA
ゼロ ゼロ
正 負 ケースB
ゼロ
負 ゼロ ケースC
ゼロ ゼロ
正 ゼロ ケースD
正
負 負
ゼロ ゼロ
正 正
表 年齢階級別の人口動態効果( ) の符号と世帯シェア変化()の符号との関係
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
《論説》
平均対数偏差と人口動態効果
木 村 和 範
〈要旨〉ムッカジーとショロックスの方式によって平均対数偏差の時点間変化は級内変動級間変動人口動態効果のつに要因分解される本稿では人口動態効果が時点間の級内変動の差の一部と時点間の級内変動の差の一部の和であることを述べて人口動態効果の実体的基礎を明らかにするそして年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正(負)であるにもかかわらず当該年齢階級の人口動態効果の値が逆に負(正)になり得ること(場合によってはゼロにもなり得ること)を数学的に証明するとともにそのことを数値例で示すもってムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差が計測するとされる人口動態効果の有効性にたいして疑義を提起する
〈Abstract〉Mookhergee-Shorrocksian decomposition of the difference in
mean log deviation at two different time points reveals intra-classvariation inter-class variation and the effect of population ageing(hereafter EPA) This paper asserts that the EPA is the sum of apart of the intra-class variation difference between two time pointsand a part of the intra-class variation difference between the sametwo time points The author contests the utility of such adecomposition demonstrating that the Mookhergee-Shorrocksiannumerical value of EPA for one or more age class(es) of householdscould be negative or zero in spite of the increase in thehousehold-share concerned
〈叙述の順序〉はじめに平均対数偏差の要因分解
― 17 ―
北海学園大学名誉教授
⑴ 単一時点⑵ 時点間の差人口動態効果⑴ 級内変動の差の一部と級間変動の差の一部の和としての人口動態効果
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質⑶ 数値例むすび
は じ め に
基準時点と比較時点における平均対数偏差( と )をそれぞれ計算してもそれだけでは人口動態効果を算出できないこと人口動態効果は平均対数偏差の時点変化
にかんする要因分解式によって検出できることをはじめて主張したムッカジーとショロックスの業績⑴は人口構成の変化があたえる所得分布への影響にかんする先駆的研究と位置づけることができる本稿ではその要因分解式の有効性にかんする考察⑵をさらに深めるべく要因分解式
が検出するとされる人口動態効果に論点を限定するそしてムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が計測する人口動態効果の実体的基礎を明らかにするその後仮設した数値例を用いてこの方式によって導出される人口動態効果が見かけ上の格差拡大縮小の計測指標たり得るかどうかを検討する
平均対数偏差の要因分解⑶
⑴ 単一時点基準時点における所得(
単位百万円)の分布にかんする平均対数偏差(全年齢階級)を とし比較時点における
( 単位百万円)については とするそして にたいする第 年齢階級の寄与分を
― 18 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 19 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(1) Mookherjee D and Shorrocks A FʠADecomposition Analysis of the Trend in UKIncome InequalityʡThe Economic Journal Vol92 1982 この論文における要因分解式の誘導については不平等格差の分析手法 対数標準偏差 シュロックス分解(httptakamasaatwebryinfo200805article_html accessed on Jan18 2018)が参考になる(cf 木村和範所得格差の変動にたいする人口動態効果の計測経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第号2018 年月(木村(2018a))平均対数偏差(およびその時点間変化(差))の要因分解式についてはムッカジーとショロックの方式とは異なる別解も誘導されている(同人口構成の変化と所得分布同上第 66 巻第号2018 年月(木村(2018b))
(2) 木村和範平均対数偏差の要因分解経済論
集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019年月(木村(2019))
(3) 次項で取り上げる の時点間変化( )にかんする要因分解式を含め本稿で使用した文字の意味については木村(2019)参照なおの定義式
には対数の真数条件により統計系列を構成するすべての項の値が正であること()が含意されているしたがって基準時点および比較時点における所得分布の相加平均と相乗平均は正でありまた年齢階級別所得分布の相加平均と相乗平均も正である
とし にたいする第 年齢階級の寄与分を
とするこのときムッカジーとショロックスの方式による単一時点における平均対数偏差の要因分解式⑷は以下のとおりである(対数の底は以上とする)
基準時点全年齢階級
級内変動
級間変動
(1-1)
年齢階級別寄与分
級内変動
級間変動
(1-2)
比較時点全年齢階級
級内変動
級間変動
(1-3)
年齢階級別寄与分
級内変動
級間変動
(1-4)
⑵ 時点間の差全年齢階級の所得分布の平均対数偏差にかんする時点間変化
を要因分解するにはそれに先立って年齢階級別寄与分の差
を分解すればよいは年齢階級別寄与分の差の総和
としてあたえられるからであるにたいする年齢階級別寄与分の差
( )は以下のように要因分解される⑸この誘導はすでに明らかであるあえて屋上屋を架するのは要因分解式の誘導過程のなかに人口動態効果の数学的性質を解明する糸口があるからである
級内変動
級間変動
比較時点[(1-4)式]
級内変動
級間変動
基準時点[(1-2)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)
ここで(1-5)式の第項と第項がそれぞれ恒等式
(1-6)
と同型であることに着目して(1-5)式を整理する
― 18 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 19 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(4) 木村(2018a31 頁以下) (5) 木村(2018a34 頁以下)
級内変動の差((1-6)式によって変形した(1-5)式第項)[(1-7)式第項]
級間変動の差((1-6)式によって変形した(1-5)式第項)[(1-7)式第項]
(1-7)
級内変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級内変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級間変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級間変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
(1-8)
級内変動の差の一部((1-8)式第項)[(1-9)式第項]
級間変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)式第項)[(1-9)式第項]
級内変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)第項)[(1-9)式第項]
級間変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)式第項)[(1-9)式第項]
(1-9)
級内変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部(変形した(1-)式第項)[(1-10)式第項]
(1-10)
ここで次のようにおく
(1-11)
(1-11)式を(1-10)式に代入すると次式を得る
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
[(1-12)式第項]
級間変動の差の一部((1-10)式第項)
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
(1-12)
級内変動(第 年齢階級)((1-12)式第項)[(1-13)式第項]
― 20 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 21 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級間変動(第年齢階級)((1-12)式第項)[(1-13)式第項]
人口動態効果(第 年齢階級)((1-12)式第項(1-12)式第項)[(1-13)式第項]
(1-13)
この(1-13)式はムカッジーとショロックスの方式によって誘導される平均対数偏差の差の要因分解式としてつとに明らかであるここまでは目新しいことは何もない全年齢階級にかんする級内変動級間変動人口動態効果はそれぞれ年齢階級別の級内変動級間変動人口動態効果の総和としてあたえられる(1-13)式により全年齢階級にかんする平均対数偏差の時点間変化()は以下のように要因分解されるこれもまたすでに明らかである
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)
人口動態効果
⑴ 級内変動の差の一部と級間変動の差の一部の和としての人口動態効果年齢階級別人口動態効果の数学的性質を考察するには(1-13)式における人口動態効果(
)の数式
によるよりもそこに至る数式展開の過程を(1-10)式まで遡及して年齢階級別人口動態効果の源泉から出発するほうが事柄は明確になる前節であえて年齢階級別人口動態効果の誘導過程を再掲した理由はそこにある前節から明らかなように
については以下の恒等式が成立する
[(1-13)式第項]人口動態効果(第 年齢階級)
[(1-10)式第項]級内変動の差の一部
[(1-10)式第項]級間変動の差の一部
ここから次のことが明らかになるすなわち(1-5)式を起点として(1-11)式による置換を経て要因分解式としての(1-13)式を誘導する過程を見ればその(1-13)式が表す年齢階級別人口動態効果(
)にはつの源泉があることが分かる第の源泉は全年齢階級の平均対数偏差の時点間変化()にたいする年齢階級別寄与分(
)
― 20 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 21 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
変化によってもたらされる所得分布の変化(格差の拡大縮小)を計測するにふさわしい実質的意味をもちうるかどうかということであるこの考察にあたっては一般に平均対数偏差(全年齢階級)の時点間変化()が大きいほど格差が拡大し逆にが小さくなればそれだけ格差が縮小すると考えられていることを想起するこのことにもとづいて人口動態効果を考察するために(1-14)式を再掲する
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)[再掲]
(1-14)式はその構成要素である
人口動態効果(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(2-3)
が大きければ(小さければ)それだけによって計測される所得格差を(たとえ級内変動や級間変動という他の要因が小さくても(大きくても))拡大(縮小)させる方向で作用すると考えられているこのことは年齢階級別人口動態効果についても同様に妥当する全年齢階級の人口動態効果を構成する
人口動態効果(第 年齢階級)
には年齢階級別世帯シェアの時点間変化(
)が大きい正数になるほど格差を拡大させるはずであるということが含意されている同じことであるががより小さい正数であれば格差の拡大にはそれだけ小さい影響をあたえがゼロであれば人口動態効果という概念が存在する余地はなくが負数であれば格差を縮小させる方向で作用していると考えられている要するに一般に年齢階級別の人口動態効果と世帯シェアの関係は次のように理解されている① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ(
)よりも小さい場合(
))年齢階級別人口動態効果に負の値をあたえ(
)平均対数偏差(全年齢階級)の差()の値を小さくすること(格差を縮小させる方向で作用すること)
② 時点における世帯シェアに変化がない場合(
)年齢階級別 人 口 動 態 効 果 が ゼ ロ と な り(
)当該年齢階級は
の値にたいして影響をあたえないこと(格差を縮小も拡大もさせないこと)
③ 世帯シェアの時点間変化()が正の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ( )より
も大きい場合( ))年
齢階級別人口動態効果に正の値をあたえ(
) の値を大きくすること(格差を拡大させる方向で作用すること)
人口動態効果が以上の関係を保証するとき所得格差の計測指標として実質的意味がある項を改めてこの点を考察する
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質年齢階級別人口動態効果(
)の源泉である(2-1)式と(2-2)式を加算して
をもとめれば以下のようになる
(2-1)式
(2-2)式
(2-4)
(2-4)式を整理すれば年齢階級別人口動態効果( )
として
(2-5)
を得ることができることはすでに述べた((1-10)式および(1-13)式参照)年齢階級別人口動態効果の数学的性質を解明するために以下では(2-5)式から
(年齢階級別人口動態効果)と同値の関係にある新たな数式を誘導する(この数式は年齢階級別人口動態効果の簡便式としても機能するがそのことは数値例で言及する)そこで世帯所得()の分布の相加平均
(全年齢階級)を と表し同じ統計系列の分布の相乗平均(全年齢階級)を と表すまた年齢階級別所得分布の相加平均をと表し同様に相乗平均を と表す時点を表すサフィックスはこれまでと変わらない次式は以上の事柄を数式で表している
(2-6)
すでに明らかにしたように平均対数偏差は
(2-7)
であり
(2-8)
である⑹(2-6)式(2-7)式(2-8)式を(2-4)式に代入すると年齢階級別人口動態効果(
)の計算式として新たに次式を得る
(2-4)[再掲]
1048619 1108528
1057298 10486191107792
1108528
1057298 1107792
(2-9)
以上のように年齢階級別人口動態効果の計算式((2-9)式)が新たに誘導されたここで年齢階級別平均対数偏差の時点間変化(
)にかんする要因分解の過程を次頁にまとめる(表)その上で(2-9)式の値が
と の値によって
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(6) 木村和範平均対数偏差の数学的性質にかんする覚書同上第 65 巻第 12 合併号2017 年月(2-7)式と(2-8)式においては全年齢階級の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )および年齢階級別の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )がいずれも正である(脚注参照)このために以下の展開が可能となる
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)表
平均対数偏差の差の要因分解
統計量の差[(1-5)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
[(1-6)式]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1- 8)式第4項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
[(1-11)式]
級内変動
[(1-13)式第項]
級間変動
[(1-13)式第項]
人口動態効果
[(1-13)式第項]
【別解】[(2-9)式]
と
はそれぞれ比較時点と基準時点における全年齢階級にかんする所得分布の相加平均を表し
と
は時点別の第
年齢階級にかんする所
得分布の相乗平均を表す
となることに着目して以下では(2-9)式の
含意を明らかにする目的で
と を別々に取り上げる
①
真数条件を満たして正数となる分数
にはその分子( )と分母(
)の値の大小関係によってその取り得る範囲がとおりあるそれに応じてその対数の値についてもとおりがあるすなわち
のとき
のとき
のとき
(2-10)
②
についても次のとおりがある
(2-11)
以上から年齢階級別人口動態効果(
)の値は
と
の組み合わせによって表のようになる表はムッカジーとショロックスの方式による要因分解式があたえる年齢階級別人口動態効果においては次のような事態が起こりうることを示している(アステリスクを付した箇所参照)① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は正である(
ケースA)② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
と が
背反するつのケース
負
負 正 ケースA
ゼロ ゼロ
正 負 ケースB
ゼロ
負 ゼロ ケースC
ゼロ ゼロ
正 ゼロ ケースD
正
負 負
ゼロ ゼロ
正 正
表 年齢階級別の人口動態効果( ) の符号と世帯シェア変化()の符号との関係
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
⑴ 単一時点⑵ 時点間の差人口動態効果⑴ 級内変動の差の一部と級間変動の差の一部の和としての人口動態効果
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質⑶ 数値例むすび
は じ め に
基準時点と比較時点における平均対数偏差( と )をそれぞれ計算してもそれだけでは人口動態効果を算出できないこと人口動態効果は平均対数偏差の時点変化
にかんする要因分解式によって検出できることをはじめて主張したムッカジーとショロックスの業績⑴は人口構成の変化があたえる所得分布への影響にかんする先駆的研究と位置づけることができる本稿ではその要因分解式の有効性にかんする考察⑵をさらに深めるべく要因分解式
が検出するとされる人口動態効果に論点を限定するそしてムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が計測する人口動態効果の実体的基礎を明らかにするその後仮設した数値例を用いてこの方式によって導出される人口動態効果が見かけ上の格差拡大縮小の計測指標たり得るかどうかを検討する
平均対数偏差の要因分解⑶
⑴ 単一時点基準時点における所得(
単位百万円)の分布にかんする平均対数偏差(全年齢階級)を とし比較時点における
( 単位百万円)については とするそして にたいする第 年齢階級の寄与分を
― 18 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 19 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(1) Mookherjee D and Shorrocks A FʠADecomposition Analysis of the Trend in UKIncome InequalityʡThe Economic Journal Vol92 1982 この論文における要因分解式の誘導については不平等格差の分析手法 対数標準偏差 シュロックス分解(httptakamasaatwebryinfo200805article_html accessed on Jan18 2018)が参考になる(cf 木村和範所得格差の変動にたいする人口動態効果の計測経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第号2018 年月(木村(2018a))平均対数偏差(およびその時点間変化(差))の要因分解式についてはムッカジーとショロックの方式とは異なる別解も誘導されている(同人口構成の変化と所得分布同上第 66 巻第号2018 年月(木村(2018b))
(2) 木村和範平均対数偏差の要因分解経済論
集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019年月(木村(2019))
(3) 次項で取り上げる の時点間変化( )にかんする要因分解式を含め本稿で使用した文字の意味については木村(2019)参照なおの定義式
には対数の真数条件により統計系列を構成するすべての項の値が正であること()が含意されているしたがって基準時点および比較時点における所得分布の相加平均と相乗平均は正でありまた年齢階級別所得分布の相加平均と相乗平均も正である
とし にたいする第 年齢階級の寄与分を
とするこのときムッカジーとショロックスの方式による単一時点における平均対数偏差の要因分解式⑷は以下のとおりである(対数の底は以上とする)
基準時点全年齢階級
級内変動
級間変動
(1-1)
年齢階級別寄与分
級内変動
級間変動
(1-2)
比較時点全年齢階級
級内変動
級間変動
(1-3)
年齢階級別寄与分
級内変動
級間変動
(1-4)
⑵ 時点間の差全年齢階級の所得分布の平均対数偏差にかんする時点間変化
を要因分解するにはそれに先立って年齢階級別寄与分の差
を分解すればよいは年齢階級別寄与分の差の総和
としてあたえられるからであるにたいする年齢階級別寄与分の差
( )は以下のように要因分解される⑸この誘導はすでに明らかであるあえて屋上屋を架するのは要因分解式の誘導過程のなかに人口動態効果の数学的性質を解明する糸口があるからである
級内変動
級間変動
比較時点[(1-4)式]
級内変動
級間変動
基準時点[(1-2)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)
ここで(1-5)式の第項と第項がそれぞれ恒等式
(1-6)
と同型であることに着目して(1-5)式を整理する
― 18 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 19 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(4) 木村(2018a31 頁以下) (5) 木村(2018a34 頁以下)
級内変動の差((1-6)式によって変形した(1-5)式第項)[(1-7)式第項]
級間変動の差((1-6)式によって変形した(1-5)式第項)[(1-7)式第項]
(1-7)
級内変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級内変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級間変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級間変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
(1-8)
級内変動の差の一部((1-8)式第項)[(1-9)式第項]
級間変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)式第項)[(1-9)式第項]
級内変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)第項)[(1-9)式第項]
級間変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)式第項)[(1-9)式第項]
(1-9)
級内変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部(変形した(1-)式第項)[(1-10)式第項]
(1-10)
ここで次のようにおく
(1-11)
(1-11)式を(1-10)式に代入すると次式を得る
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
[(1-12)式第項]
級間変動の差の一部((1-10)式第項)
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
(1-12)
級内変動(第 年齢階級)((1-12)式第項)[(1-13)式第項]
― 20 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 21 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級間変動(第年齢階級)((1-12)式第項)[(1-13)式第項]
人口動態効果(第 年齢階級)((1-12)式第項(1-12)式第項)[(1-13)式第項]
(1-13)
この(1-13)式はムカッジーとショロックスの方式によって誘導される平均対数偏差の差の要因分解式としてつとに明らかであるここまでは目新しいことは何もない全年齢階級にかんする級内変動級間変動人口動態効果はそれぞれ年齢階級別の級内変動級間変動人口動態効果の総和としてあたえられる(1-13)式により全年齢階級にかんする平均対数偏差の時点間変化()は以下のように要因分解されるこれもまたすでに明らかである
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)
人口動態効果
⑴ 級内変動の差の一部と級間変動の差の一部の和としての人口動態効果年齢階級別人口動態効果の数学的性質を考察するには(1-13)式における人口動態効果(
)の数式
によるよりもそこに至る数式展開の過程を(1-10)式まで遡及して年齢階級別人口動態効果の源泉から出発するほうが事柄は明確になる前節であえて年齢階級別人口動態効果の誘導過程を再掲した理由はそこにある前節から明らかなように
については以下の恒等式が成立する
[(1-13)式第項]人口動態効果(第 年齢階級)
[(1-10)式第項]級内変動の差の一部
[(1-10)式第項]級間変動の差の一部
ここから次のことが明らかになるすなわち(1-5)式を起点として(1-11)式による置換を経て要因分解式としての(1-13)式を誘導する過程を見ればその(1-13)式が表す年齢階級別人口動態効果(
)にはつの源泉があることが分かる第の源泉は全年齢階級の平均対数偏差の時点間変化()にたいする年齢階級別寄与分(
)
― 20 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 21 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
変化によってもたらされる所得分布の変化(格差の拡大縮小)を計測するにふさわしい実質的意味をもちうるかどうかということであるこの考察にあたっては一般に平均対数偏差(全年齢階級)の時点間変化()が大きいほど格差が拡大し逆にが小さくなればそれだけ格差が縮小すると考えられていることを想起するこのことにもとづいて人口動態効果を考察するために(1-14)式を再掲する
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)[再掲]
(1-14)式はその構成要素である
人口動態効果(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(2-3)
が大きければ(小さければ)それだけによって計測される所得格差を(たとえ級内変動や級間変動という他の要因が小さくても(大きくても))拡大(縮小)させる方向で作用すると考えられているこのことは年齢階級別人口動態効果についても同様に妥当する全年齢階級の人口動態効果を構成する
人口動態効果(第 年齢階級)
には年齢階級別世帯シェアの時点間変化(
)が大きい正数になるほど格差を拡大させるはずであるということが含意されている同じことであるががより小さい正数であれば格差の拡大にはそれだけ小さい影響をあたえがゼロであれば人口動態効果という概念が存在する余地はなくが負数であれば格差を縮小させる方向で作用していると考えられている要するに一般に年齢階級別の人口動態効果と世帯シェアの関係は次のように理解されている① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ(
)よりも小さい場合(
))年齢階級別人口動態効果に負の値をあたえ(
)平均対数偏差(全年齢階級)の差()の値を小さくすること(格差を縮小させる方向で作用すること)
② 時点における世帯シェアに変化がない場合(
)年齢階級別 人 口 動 態 効 果 が ゼ ロ と な り(
)当該年齢階級は
の値にたいして影響をあたえないこと(格差を縮小も拡大もさせないこと)
③ 世帯シェアの時点間変化()が正の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ( )より
も大きい場合( ))年
齢階級別人口動態効果に正の値をあたえ(
) の値を大きくすること(格差を拡大させる方向で作用すること)
人口動態効果が以上の関係を保証するとき所得格差の計測指標として実質的意味がある項を改めてこの点を考察する
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質年齢階級別人口動態効果(
)の源泉である(2-1)式と(2-2)式を加算して
をもとめれば以下のようになる
(2-1)式
(2-2)式
(2-4)
(2-4)式を整理すれば年齢階級別人口動態効果( )
として
(2-5)
を得ることができることはすでに述べた((1-10)式および(1-13)式参照)年齢階級別人口動態効果の数学的性質を解明するために以下では(2-5)式から
(年齢階級別人口動態効果)と同値の関係にある新たな数式を誘導する(この数式は年齢階級別人口動態効果の簡便式としても機能するがそのことは数値例で言及する)そこで世帯所得()の分布の相加平均
(全年齢階級)を と表し同じ統計系列の分布の相乗平均(全年齢階級)を と表すまた年齢階級別所得分布の相加平均をと表し同様に相乗平均を と表す時点を表すサフィックスはこれまでと変わらない次式は以上の事柄を数式で表している
(2-6)
すでに明らかにしたように平均対数偏差は
(2-7)
であり
(2-8)
である⑹(2-6)式(2-7)式(2-8)式を(2-4)式に代入すると年齢階級別人口動態効果(
)の計算式として新たに次式を得る
(2-4)[再掲]
1048619 1108528
1057298 10486191107792
1108528
1057298 1107792
(2-9)
以上のように年齢階級別人口動態効果の計算式((2-9)式)が新たに誘導されたここで年齢階級別平均対数偏差の時点間変化(
)にかんする要因分解の過程を次頁にまとめる(表)その上で(2-9)式の値が
と の値によって
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(6) 木村和範平均対数偏差の数学的性質にかんする覚書同上第 65 巻第 12 合併号2017 年月(2-7)式と(2-8)式においては全年齢階級の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )および年齢階級別の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )がいずれも正である(脚注参照)このために以下の展開が可能となる
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)表
平均対数偏差の差の要因分解
統計量の差[(1-5)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
[(1-6)式]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1- 8)式第4項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
[(1-11)式]
級内変動
[(1-13)式第項]
級間変動
[(1-13)式第項]
人口動態効果
[(1-13)式第項]
【別解】[(2-9)式]
と
はそれぞれ比較時点と基準時点における全年齢階級にかんする所得分布の相加平均を表し
と
は時点別の第
年齢階級にかんする所
得分布の相乗平均を表す
となることに着目して以下では(2-9)式の
含意を明らかにする目的で
と を別々に取り上げる
①
真数条件を満たして正数となる分数
にはその分子( )と分母(
)の値の大小関係によってその取り得る範囲がとおりあるそれに応じてその対数の値についてもとおりがあるすなわち
のとき
のとき
のとき
(2-10)
②
についても次のとおりがある
(2-11)
以上から年齢階級別人口動態効果(
)の値は
と
の組み合わせによって表のようになる表はムッカジーとショロックスの方式による要因分解式があたえる年齢階級別人口動態効果においては次のような事態が起こりうることを示している(アステリスクを付した箇所参照)① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は正である(
ケースA)② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
と が
背反するつのケース
負
負 正 ケースA
ゼロ ゼロ
正 負 ケースB
ゼロ
負 ゼロ ケースC
ゼロ ゼロ
正 ゼロ ケースD
正
負 負
ゼロ ゼロ
正 正
表 年齢階級別の人口動態効果( ) の符号と世帯シェア変化()の符号との関係
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
とし にたいする第 年齢階級の寄与分を
とするこのときムッカジーとショロックスの方式による単一時点における平均対数偏差の要因分解式⑷は以下のとおりである(対数の底は以上とする)
基準時点全年齢階級
級内変動
級間変動
(1-1)
年齢階級別寄与分
級内変動
級間変動
(1-2)
比較時点全年齢階級
級内変動
級間変動
(1-3)
年齢階級別寄与分
級内変動
級間変動
(1-4)
⑵ 時点間の差全年齢階級の所得分布の平均対数偏差にかんする時点間変化
を要因分解するにはそれに先立って年齢階級別寄与分の差
を分解すればよいは年齢階級別寄与分の差の総和
としてあたえられるからであるにたいする年齢階級別寄与分の差
( )は以下のように要因分解される⑸この誘導はすでに明らかであるあえて屋上屋を架するのは要因分解式の誘導過程のなかに人口動態効果の数学的性質を解明する糸口があるからである
級内変動
級間変動
比較時点[(1-4)式]
級内変動
級間変動
基準時点[(1-2)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)
ここで(1-5)式の第項と第項がそれぞれ恒等式
(1-6)
と同型であることに着目して(1-5)式を整理する
― 18 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 19 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(4) 木村(2018a31 頁以下) (5) 木村(2018a34 頁以下)
級内変動の差((1-6)式によって変形した(1-5)式第項)[(1-7)式第項]
級間変動の差((1-6)式によって変形した(1-5)式第項)[(1-7)式第項]
(1-7)
級内変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級内変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級間変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級間変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
(1-8)
級内変動の差の一部((1-8)式第項)[(1-9)式第項]
級間変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)式第項)[(1-9)式第項]
級内変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)第項)[(1-9)式第項]
級間変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)式第項)[(1-9)式第項]
(1-9)
級内変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部(変形した(1-)式第項)[(1-10)式第項]
(1-10)
ここで次のようにおく
(1-11)
(1-11)式を(1-10)式に代入すると次式を得る
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
[(1-12)式第項]
級間変動の差の一部((1-10)式第項)
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
(1-12)
級内変動(第 年齢階級)((1-12)式第項)[(1-13)式第項]
― 20 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 21 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級間変動(第年齢階級)((1-12)式第項)[(1-13)式第項]
人口動態効果(第 年齢階級)((1-12)式第項(1-12)式第項)[(1-13)式第項]
(1-13)
この(1-13)式はムカッジーとショロックスの方式によって誘導される平均対数偏差の差の要因分解式としてつとに明らかであるここまでは目新しいことは何もない全年齢階級にかんする級内変動級間変動人口動態効果はそれぞれ年齢階級別の級内変動級間変動人口動態効果の総和としてあたえられる(1-13)式により全年齢階級にかんする平均対数偏差の時点間変化()は以下のように要因分解されるこれもまたすでに明らかである
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)
人口動態効果
⑴ 級内変動の差の一部と級間変動の差の一部の和としての人口動態効果年齢階級別人口動態効果の数学的性質を考察するには(1-13)式における人口動態効果(
)の数式
によるよりもそこに至る数式展開の過程を(1-10)式まで遡及して年齢階級別人口動態効果の源泉から出発するほうが事柄は明確になる前節であえて年齢階級別人口動態効果の誘導過程を再掲した理由はそこにある前節から明らかなように
については以下の恒等式が成立する
[(1-13)式第項]人口動態効果(第 年齢階級)
[(1-10)式第項]級内変動の差の一部
[(1-10)式第項]級間変動の差の一部
ここから次のことが明らかになるすなわち(1-5)式を起点として(1-11)式による置換を経て要因分解式としての(1-13)式を誘導する過程を見ればその(1-13)式が表す年齢階級別人口動態効果(
)にはつの源泉があることが分かる第の源泉は全年齢階級の平均対数偏差の時点間変化()にたいする年齢階級別寄与分(
)
― 20 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 21 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
変化によってもたらされる所得分布の変化(格差の拡大縮小)を計測するにふさわしい実質的意味をもちうるかどうかということであるこの考察にあたっては一般に平均対数偏差(全年齢階級)の時点間変化()が大きいほど格差が拡大し逆にが小さくなればそれだけ格差が縮小すると考えられていることを想起するこのことにもとづいて人口動態効果を考察するために(1-14)式を再掲する
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)[再掲]
(1-14)式はその構成要素である
人口動態効果(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(2-3)
が大きければ(小さければ)それだけによって計測される所得格差を(たとえ級内変動や級間変動という他の要因が小さくても(大きくても))拡大(縮小)させる方向で作用すると考えられているこのことは年齢階級別人口動態効果についても同様に妥当する全年齢階級の人口動態効果を構成する
人口動態効果(第 年齢階級)
には年齢階級別世帯シェアの時点間変化(
)が大きい正数になるほど格差を拡大させるはずであるということが含意されている同じことであるががより小さい正数であれば格差の拡大にはそれだけ小さい影響をあたえがゼロであれば人口動態効果という概念が存在する余地はなくが負数であれば格差を縮小させる方向で作用していると考えられている要するに一般に年齢階級別の人口動態効果と世帯シェアの関係は次のように理解されている① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ(
)よりも小さい場合(
))年齢階級別人口動態効果に負の値をあたえ(
)平均対数偏差(全年齢階級)の差()の値を小さくすること(格差を縮小させる方向で作用すること)
② 時点における世帯シェアに変化がない場合(
)年齢階級別 人 口 動 態 効 果 が ゼ ロ と な り(
)当該年齢階級は
の値にたいして影響をあたえないこと(格差を縮小も拡大もさせないこと)
③ 世帯シェアの時点間変化()が正の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ( )より
も大きい場合( ))年
齢階級別人口動態効果に正の値をあたえ(
) の値を大きくすること(格差を拡大させる方向で作用すること)
人口動態効果が以上の関係を保証するとき所得格差の計測指標として実質的意味がある項を改めてこの点を考察する
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質年齢階級別人口動態効果(
)の源泉である(2-1)式と(2-2)式を加算して
をもとめれば以下のようになる
(2-1)式
(2-2)式
(2-4)
(2-4)式を整理すれば年齢階級別人口動態効果( )
として
(2-5)
を得ることができることはすでに述べた((1-10)式および(1-13)式参照)年齢階級別人口動態効果の数学的性質を解明するために以下では(2-5)式から
(年齢階級別人口動態効果)と同値の関係にある新たな数式を誘導する(この数式は年齢階級別人口動態効果の簡便式としても機能するがそのことは数値例で言及する)そこで世帯所得()の分布の相加平均
(全年齢階級)を と表し同じ統計系列の分布の相乗平均(全年齢階級)を と表すまた年齢階級別所得分布の相加平均をと表し同様に相乗平均を と表す時点を表すサフィックスはこれまでと変わらない次式は以上の事柄を数式で表している
(2-6)
すでに明らかにしたように平均対数偏差は
(2-7)
であり
(2-8)
である⑹(2-6)式(2-7)式(2-8)式を(2-4)式に代入すると年齢階級別人口動態効果(
)の計算式として新たに次式を得る
(2-4)[再掲]
1048619 1108528
1057298 10486191107792
1108528
1057298 1107792
(2-9)
以上のように年齢階級別人口動態効果の計算式((2-9)式)が新たに誘導されたここで年齢階級別平均対数偏差の時点間変化(
)にかんする要因分解の過程を次頁にまとめる(表)その上で(2-9)式の値が
と の値によって
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(6) 木村和範平均対数偏差の数学的性質にかんする覚書同上第 65 巻第 12 合併号2017 年月(2-7)式と(2-8)式においては全年齢階級の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )および年齢階級別の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )がいずれも正である(脚注参照)このために以下の展開が可能となる
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)表
平均対数偏差の差の要因分解
統計量の差[(1-5)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
[(1-6)式]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1- 8)式第4項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
[(1-11)式]
級内変動
[(1-13)式第項]
級間変動
[(1-13)式第項]
人口動態効果
[(1-13)式第項]
【別解】[(2-9)式]
と
はそれぞれ比較時点と基準時点における全年齢階級にかんする所得分布の相加平均を表し
と
は時点別の第
年齢階級にかんする所
得分布の相乗平均を表す
となることに着目して以下では(2-9)式の
含意を明らかにする目的で
と を別々に取り上げる
①
真数条件を満たして正数となる分数
にはその分子( )と分母(
)の値の大小関係によってその取り得る範囲がとおりあるそれに応じてその対数の値についてもとおりがあるすなわち
のとき
のとき
のとき
(2-10)
②
についても次のとおりがある
(2-11)
以上から年齢階級別人口動態効果(
)の値は
と
の組み合わせによって表のようになる表はムッカジーとショロックスの方式による要因分解式があたえる年齢階級別人口動態効果においては次のような事態が起こりうることを示している(アステリスクを付した箇所参照)① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は正である(
ケースA)② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
と が
背反するつのケース
負
負 正 ケースA
ゼロ ゼロ
正 負 ケースB
ゼロ
負 ゼロ ケースC
ゼロ ゼロ
正 ゼロ ケースD
正
負 負
ゼロ ゼロ
正 正
表 年齢階級別の人口動態効果( ) の符号と世帯シェア変化()の符号との関係
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
級内変動の差((1-6)式によって変形した(1-5)式第項)[(1-7)式第項]
級間変動の差((1-6)式によって変形した(1-5)式第項)[(1-7)式第項]
(1-7)
級内変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級内変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級間変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
+
級間変動の差((1-7)式第項)の一部[(1-8)式第項]
(1-8)
級内変動の差の一部((1-8)式第項)[(1-9)式第項]
級間変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)式第項)[(1-9)式第項]
級内変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)第項)[(1-9)式第項]
級間変動の差の一部(項を入れ換えた(1-8)式第項)[(1-9)式第項]
(1-9)
級内変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部((1-)式第項)[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部(変形した(1-)式第項)[(1-10)式第項]
(1-10)
ここで次のようにおく
(1-11)
(1-11)式を(1-10)式に代入すると次式を得る
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
[(1-12)式第項]
級間変動の差の一部((1-10)式第項)
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
級内変動の差の一部((1-10)式第項)[(1-12)式第項]
(1-12)
級内変動(第 年齢階級)((1-12)式第項)[(1-13)式第項]
― 20 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 21 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級間変動(第年齢階級)((1-12)式第項)[(1-13)式第項]
人口動態効果(第 年齢階級)((1-12)式第項(1-12)式第項)[(1-13)式第項]
(1-13)
この(1-13)式はムカッジーとショロックスの方式によって誘導される平均対数偏差の差の要因分解式としてつとに明らかであるここまでは目新しいことは何もない全年齢階級にかんする級内変動級間変動人口動態効果はそれぞれ年齢階級別の級内変動級間変動人口動態効果の総和としてあたえられる(1-13)式により全年齢階級にかんする平均対数偏差の時点間変化()は以下のように要因分解されるこれもまたすでに明らかである
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)
人口動態効果
⑴ 級内変動の差の一部と級間変動の差の一部の和としての人口動態効果年齢階級別人口動態効果の数学的性質を考察するには(1-13)式における人口動態効果(
)の数式
によるよりもそこに至る数式展開の過程を(1-10)式まで遡及して年齢階級別人口動態効果の源泉から出発するほうが事柄は明確になる前節であえて年齢階級別人口動態効果の誘導過程を再掲した理由はそこにある前節から明らかなように
については以下の恒等式が成立する
[(1-13)式第項]人口動態効果(第 年齢階級)
[(1-10)式第項]級内変動の差の一部
[(1-10)式第項]級間変動の差の一部
ここから次のことが明らかになるすなわち(1-5)式を起点として(1-11)式による置換を経て要因分解式としての(1-13)式を誘導する過程を見ればその(1-13)式が表す年齢階級別人口動態効果(
)にはつの源泉があることが分かる第の源泉は全年齢階級の平均対数偏差の時点間変化()にたいする年齢階級別寄与分(
)
― 20 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 21 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
変化によってもたらされる所得分布の変化(格差の拡大縮小)を計測するにふさわしい実質的意味をもちうるかどうかということであるこの考察にあたっては一般に平均対数偏差(全年齢階級)の時点間変化()が大きいほど格差が拡大し逆にが小さくなればそれだけ格差が縮小すると考えられていることを想起するこのことにもとづいて人口動態効果を考察するために(1-14)式を再掲する
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)[再掲]
(1-14)式はその構成要素である
人口動態効果(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(2-3)
が大きければ(小さければ)それだけによって計測される所得格差を(たとえ級内変動や級間変動という他の要因が小さくても(大きくても))拡大(縮小)させる方向で作用すると考えられているこのことは年齢階級別人口動態効果についても同様に妥当する全年齢階級の人口動態効果を構成する
人口動態効果(第 年齢階級)
には年齢階級別世帯シェアの時点間変化(
)が大きい正数になるほど格差を拡大させるはずであるということが含意されている同じことであるががより小さい正数であれば格差の拡大にはそれだけ小さい影響をあたえがゼロであれば人口動態効果という概念が存在する余地はなくが負数であれば格差を縮小させる方向で作用していると考えられている要するに一般に年齢階級別の人口動態効果と世帯シェアの関係は次のように理解されている① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ(
)よりも小さい場合(
))年齢階級別人口動態効果に負の値をあたえ(
)平均対数偏差(全年齢階級)の差()の値を小さくすること(格差を縮小させる方向で作用すること)
② 時点における世帯シェアに変化がない場合(
)年齢階級別 人 口 動 態 効 果 が ゼ ロ と な り(
)当該年齢階級は
の値にたいして影響をあたえないこと(格差を縮小も拡大もさせないこと)
③ 世帯シェアの時点間変化()が正の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ( )より
も大きい場合( ))年
齢階級別人口動態効果に正の値をあたえ(
) の値を大きくすること(格差を拡大させる方向で作用すること)
人口動態効果が以上の関係を保証するとき所得格差の計測指標として実質的意味がある項を改めてこの点を考察する
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質年齢階級別人口動態効果(
)の源泉である(2-1)式と(2-2)式を加算して
をもとめれば以下のようになる
(2-1)式
(2-2)式
(2-4)
(2-4)式を整理すれば年齢階級別人口動態効果( )
として
(2-5)
を得ることができることはすでに述べた((1-10)式および(1-13)式参照)年齢階級別人口動態効果の数学的性質を解明するために以下では(2-5)式から
(年齢階級別人口動態効果)と同値の関係にある新たな数式を誘導する(この数式は年齢階級別人口動態効果の簡便式としても機能するがそのことは数値例で言及する)そこで世帯所得()の分布の相加平均
(全年齢階級)を と表し同じ統計系列の分布の相乗平均(全年齢階級)を と表すまた年齢階級別所得分布の相加平均をと表し同様に相乗平均を と表す時点を表すサフィックスはこれまでと変わらない次式は以上の事柄を数式で表している
(2-6)
すでに明らかにしたように平均対数偏差は
(2-7)
であり
(2-8)
である⑹(2-6)式(2-7)式(2-8)式を(2-4)式に代入すると年齢階級別人口動態効果(
)の計算式として新たに次式を得る
(2-4)[再掲]
1048619 1108528
1057298 10486191107792
1108528
1057298 1107792
(2-9)
以上のように年齢階級別人口動態効果の計算式((2-9)式)が新たに誘導されたここで年齢階級別平均対数偏差の時点間変化(
)にかんする要因分解の過程を次頁にまとめる(表)その上で(2-9)式の値が
と の値によって
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(6) 木村和範平均対数偏差の数学的性質にかんする覚書同上第 65 巻第 12 合併号2017 年月(2-7)式と(2-8)式においては全年齢階級の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )および年齢階級別の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )がいずれも正である(脚注参照)このために以下の展開が可能となる
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)表
平均対数偏差の差の要因分解
統計量の差[(1-5)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
[(1-6)式]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1- 8)式第4項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
[(1-11)式]
級内変動
[(1-13)式第項]
級間変動
[(1-13)式第項]
人口動態効果
[(1-13)式第項]
【別解】[(2-9)式]
と
はそれぞれ比較時点と基準時点における全年齢階級にかんする所得分布の相加平均を表し
と
は時点別の第
年齢階級にかんする所
得分布の相乗平均を表す
となることに着目して以下では(2-9)式の
含意を明らかにする目的で
と を別々に取り上げる
①
真数条件を満たして正数となる分数
にはその分子( )と分母(
)の値の大小関係によってその取り得る範囲がとおりあるそれに応じてその対数の値についてもとおりがあるすなわち
のとき
のとき
のとき
(2-10)
②
についても次のとおりがある
(2-11)
以上から年齢階級別人口動態効果(
)の値は
と
の組み合わせによって表のようになる表はムッカジーとショロックスの方式による要因分解式があたえる年齢階級別人口動態効果においては次のような事態が起こりうることを示している(アステリスクを付した箇所参照)① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は正である(
ケースA)② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
と が
背反するつのケース
負
負 正 ケースA
ゼロ ゼロ
正 負 ケースB
ゼロ
負 ゼロ ケースC
ゼロ ゼロ
正 ゼロ ケースD
正
負 負
ゼロ ゼロ
正 正
表 年齢階級別の人口動態効果( ) の符号と世帯シェア変化()の符号との関係
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
級間変動(第年齢階級)((1-12)式第項)[(1-13)式第項]
人口動態効果(第 年齢階級)((1-12)式第項(1-12)式第項)[(1-13)式第項]
(1-13)
この(1-13)式はムカッジーとショロックスの方式によって誘導される平均対数偏差の差の要因分解式としてつとに明らかであるここまでは目新しいことは何もない全年齢階級にかんする級内変動級間変動人口動態効果はそれぞれ年齢階級別の級内変動級間変動人口動態効果の総和としてあたえられる(1-13)式により全年齢階級にかんする平均対数偏差の時点間変化()は以下のように要因分解されるこれもまたすでに明らかである
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)
人口動態効果
⑴ 級内変動の差の一部と級間変動の差の一部の和としての人口動態効果年齢階級別人口動態効果の数学的性質を考察するには(1-13)式における人口動態効果(
)の数式
によるよりもそこに至る数式展開の過程を(1-10)式まで遡及して年齢階級別人口動態効果の源泉から出発するほうが事柄は明確になる前節であえて年齢階級別人口動態効果の誘導過程を再掲した理由はそこにある前節から明らかなように
については以下の恒等式が成立する
[(1-13)式第項]人口動態効果(第 年齢階級)
[(1-10)式第項]級内変動の差の一部
[(1-10)式第項]級間変動の差の一部
ここから次のことが明らかになるすなわち(1-5)式を起点として(1-11)式による置換を経て要因分解式としての(1-13)式を誘導する過程を見ればその(1-13)式が表す年齢階級別人口動態効果(
)にはつの源泉があることが分かる第の源泉は全年齢階級の平均対数偏差の時点間変化()にたいする年齢階級別寄与分(
)
― 20 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 21 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
変化によってもたらされる所得分布の変化(格差の拡大縮小)を計測するにふさわしい実質的意味をもちうるかどうかということであるこの考察にあたっては一般に平均対数偏差(全年齢階級)の時点間変化()が大きいほど格差が拡大し逆にが小さくなればそれだけ格差が縮小すると考えられていることを想起するこのことにもとづいて人口動態効果を考察するために(1-14)式を再掲する
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)[再掲]
(1-14)式はその構成要素である
人口動態効果(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(2-3)
が大きければ(小さければ)それだけによって計測される所得格差を(たとえ級内変動や級間変動という他の要因が小さくても(大きくても))拡大(縮小)させる方向で作用すると考えられているこのことは年齢階級別人口動態効果についても同様に妥当する全年齢階級の人口動態効果を構成する
人口動態効果(第 年齢階級)
には年齢階級別世帯シェアの時点間変化(
)が大きい正数になるほど格差を拡大させるはずであるということが含意されている同じことであるががより小さい正数であれば格差の拡大にはそれだけ小さい影響をあたえがゼロであれば人口動態効果という概念が存在する余地はなくが負数であれば格差を縮小させる方向で作用していると考えられている要するに一般に年齢階級別の人口動態効果と世帯シェアの関係は次のように理解されている① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ(
)よりも小さい場合(
))年齢階級別人口動態効果に負の値をあたえ(
)平均対数偏差(全年齢階級)の差()の値を小さくすること(格差を縮小させる方向で作用すること)
② 時点における世帯シェアに変化がない場合(
)年齢階級別 人 口 動 態 効 果 が ゼ ロ と な り(
)当該年齢階級は
の値にたいして影響をあたえないこと(格差を縮小も拡大もさせないこと)
③ 世帯シェアの時点間変化()が正の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ( )より
も大きい場合( ))年
齢階級別人口動態効果に正の値をあたえ(
) の値を大きくすること(格差を拡大させる方向で作用すること)
人口動態効果が以上の関係を保証するとき所得格差の計測指標として実質的意味がある項を改めてこの点を考察する
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質年齢階級別人口動態効果(
)の源泉である(2-1)式と(2-2)式を加算して
をもとめれば以下のようになる
(2-1)式
(2-2)式
(2-4)
(2-4)式を整理すれば年齢階級別人口動態効果( )
として
(2-5)
を得ることができることはすでに述べた((1-10)式および(1-13)式参照)年齢階級別人口動態効果の数学的性質を解明するために以下では(2-5)式から
(年齢階級別人口動態効果)と同値の関係にある新たな数式を誘導する(この数式は年齢階級別人口動態効果の簡便式としても機能するがそのことは数値例で言及する)そこで世帯所得()の分布の相加平均
(全年齢階級)を と表し同じ統計系列の分布の相乗平均(全年齢階級)を と表すまた年齢階級別所得分布の相加平均をと表し同様に相乗平均を と表す時点を表すサフィックスはこれまでと変わらない次式は以上の事柄を数式で表している
(2-6)
すでに明らかにしたように平均対数偏差は
(2-7)
であり
(2-8)
である⑹(2-6)式(2-7)式(2-8)式を(2-4)式に代入すると年齢階級別人口動態効果(
)の計算式として新たに次式を得る
(2-4)[再掲]
1048619 1108528
1057298 10486191107792
1108528
1057298 1107792
(2-9)
以上のように年齢階級別人口動態効果の計算式((2-9)式)が新たに誘導されたここで年齢階級別平均対数偏差の時点間変化(
)にかんする要因分解の過程を次頁にまとめる(表)その上で(2-9)式の値が
と の値によって
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(6) 木村和範平均対数偏差の数学的性質にかんする覚書同上第 65 巻第 12 合併号2017 年月(2-7)式と(2-8)式においては全年齢階級の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )および年齢階級別の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )がいずれも正である(脚注参照)このために以下の展開が可能となる
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)表
平均対数偏差の差の要因分解
統計量の差[(1-5)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
[(1-6)式]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1- 8)式第4項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
[(1-11)式]
級内変動
[(1-13)式第項]
級間変動
[(1-13)式第項]
人口動態効果
[(1-13)式第項]
【別解】[(2-9)式]
と
はそれぞれ比較時点と基準時点における全年齢階級にかんする所得分布の相加平均を表し
と
は時点別の第
年齢階級にかんする所
得分布の相乗平均を表す
となることに着目して以下では(2-9)式の
含意を明らかにする目的で
と を別々に取り上げる
①
真数条件を満たして正数となる分数
にはその分子( )と分母(
)の値の大小関係によってその取り得る範囲がとおりあるそれに応じてその対数の値についてもとおりがあるすなわち
のとき
のとき
のとき
(2-10)
②
についても次のとおりがある
(2-11)
以上から年齢階級別人口動態効果(
)の値は
と
の組み合わせによって表のようになる表はムッカジーとショロックスの方式による要因分解式があたえる年齢階級別人口動態効果においては次のような事態が起こりうることを示している(アステリスクを付した箇所参照)① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は正である(
ケースA)② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
と が
背反するつのケース
負
負 正 ケースA
ゼロ ゼロ
正 負 ケースB
ゼロ
負 ゼロ ケースC
ゼロ ゼロ
正 ゼロ ケースD
正
負 負
ゼロ ゼロ
正 正
表 年齢階級別の人口動態効果( ) の符号と世帯シェア変化()の符号との関係
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
変化によってもたらされる所得分布の変化(格差の拡大縮小)を計測するにふさわしい実質的意味をもちうるかどうかということであるこの考察にあたっては一般に平均対数偏差(全年齢階級)の時点間変化()が大きいほど格差が拡大し逆にが小さくなればそれだけ格差が縮小すると考えられていることを想起するこのことにもとづいて人口動態効果を考察するために(1-14)式を再掲する
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)[再掲]
(1-14)式はその構成要素である
人口動態効果(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(2-3)
が大きければ(小さければ)それだけによって計測される所得格差を(たとえ級内変動や級間変動という他の要因が小さくても(大きくても))拡大(縮小)させる方向で作用すると考えられているこのことは年齢階級別人口動態効果についても同様に妥当する全年齢階級の人口動態効果を構成する
人口動態効果(第 年齢階級)
には年齢階級別世帯シェアの時点間変化(
)が大きい正数になるほど格差を拡大させるはずであるということが含意されている同じことであるががより小さい正数であれば格差の拡大にはそれだけ小さい影響をあたえがゼロであれば人口動態効果という概念が存在する余地はなくが負数であれば格差を縮小させる方向で作用していると考えられている要するに一般に年齢階級別の人口動態効果と世帯シェアの関係は次のように理解されている① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ(
)よりも小さい場合(
))年齢階級別人口動態効果に負の値をあたえ(
)平均対数偏差(全年齢階級)の差()の値を小さくすること(格差を縮小させる方向で作用すること)
② 時点における世帯シェアに変化がない場合(
)年齢階級別 人 口 動 態 効 果 が ゼ ロ と な り(
)当該年齢階級は
の値にたいして影響をあたえないこと(格差を縮小も拡大もさせないこと)
③ 世帯シェアの時点間変化()が正の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ( )より
も大きい場合( ))年
齢階級別人口動態効果に正の値をあたえ(
) の値を大きくすること(格差を拡大させる方向で作用すること)
人口動態効果が以上の関係を保証するとき所得格差の計測指標として実質的意味がある項を改めてこの点を考察する
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質年齢階級別人口動態効果(
)の源泉である(2-1)式と(2-2)式を加算して
をもとめれば以下のようになる
(2-1)式
(2-2)式
(2-4)
(2-4)式を整理すれば年齢階級別人口動態効果( )
として
(2-5)
を得ることができることはすでに述べた((1-10)式および(1-13)式参照)年齢階級別人口動態効果の数学的性質を解明するために以下では(2-5)式から
(年齢階級別人口動態効果)と同値の関係にある新たな数式を誘導する(この数式は年齢階級別人口動態効果の簡便式としても機能するがそのことは数値例で言及する)そこで世帯所得()の分布の相加平均
(全年齢階級)を と表し同じ統計系列の分布の相乗平均(全年齢階級)を と表すまた年齢階級別所得分布の相加平均をと表し同様に相乗平均を と表す時点を表すサフィックスはこれまでと変わらない次式は以上の事柄を数式で表している
(2-6)
すでに明らかにしたように平均対数偏差は
(2-7)
であり
(2-8)
である⑹(2-6)式(2-7)式(2-8)式を(2-4)式に代入すると年齢階級別人口動態効果(
)の計算式として新たに次式を得る
(2-4)[再掲]
1048619 1108528
1057298 10486191107792
1108528
1057298 1107792
(2-9)
以上のように年齢階級別人口動態効果の計算式((2-9)式)が新たに誘導されたここで年齢階級別平均対数偏差の時点間変化(
)にかんする要因分解の過程を次頁にまとめる(表)その上で(2-9)式の値が
と の値によって
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(6) 木村和範平均対数偏差の数学的性質にかんする覚書同上第 65 巻第 12 合併号2017 年月(2-7)式と(2-8)式においては全年齢階級の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )および年齢階級別の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )がいずれも正である(脚注参照)このために以下の展開が可能となる
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)表
平均対数偏差の差の要因分解
統計量の差[(1-5)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
[(1-6)式]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1- 8)式第4項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
[(1-11)式]
級内変動
[(1-13)式第項]
級間変動
[(1-13)式第項]
人口動態効果
[(1-13)式第項]
【別解】[(2-9)式]
と
はそれぞれ比較時点と基準時点における全年齢階級にかんする所得分布の相加平均を表し
と
は時点別の第
年齢階級にかんする所
得分布の相乗平均を表す
となることに着目して以下では(2-9)式の
含意を明らかにする目的で
と を別々に取り上げる
①
真数条件を満たして正数となる分数
にはその分子( )と分母(
)の値の大小関係によってその取り得る範囲がとおりあるそれに応じてその対数の値についてもとおりがあるすなわち
のとき
のとき
のとき
(2-10)
②
についても次のとおりがある
(2-11)
以上から年齢階級別人口動態効果(
)の値は
と
の組み合わせによって表のようになる表はムッカジーとショロックスの方式による要因分解式があたえる年齢階級別人口動態効果においては次のような事態が起こりうることを示している(アステリスクを付した箇所参照)① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は正である(
ケースA)② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
と が
背反するつのケース
負
負 正 ケースA
ゼロ ゼロ
正 負 ケースB
ゼロ
負 ゼロ ケースC
ゼロ ゼロ
正 ゼロ ケースD
正
負 負
ゼロ ゼロ
正 正
表 年齢階級別の人口動態効果( ) の符号と世帯シェア変化()の符号との関係
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]
を構成する級内変動の差
級内変動の差[(1-5)式第項]
を恒等式
(1-6)[再掲]
によって整理したときに得られる
級内変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-1)
である年齢階級別人口動態効果の第の源泉は
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
(1-5)式[再掲]を構成する級間変動の差
級間変動の差[(1-5)式第項]
を同じ恒等式
(1-6)[再掲]
を用いて整理することによって得られる
級間変動の差[(1-7)式第項]
の一部すなわち
(1-10)式第項
(2-2)
である要するに年齢階級別人口動態効果
( )の源泉は次の式
(2-1)[再掲]
(2-2)[再掲]
である(2-1)式と(2-2)式のいずれもが現実の(全年齢階級および年齢階級別の)所得分布と年齢階級別世帯シェアの変化から計算されるこの意味で(2-1)式と(2-2)式には実体的基礎があるこのためにこれらを合算して得られる年齢階級別人口動態効果にも実体的基礎が存在しその総和としての全年齢階級の人口動態効果もまた実体的基礎を有すことになる以上人口動態効果の対象反映性について述べたその上で検討すべきはこのような実体的基礎を有する人口動態効果が世帯シェアの
変化によってもたらされる所得分布の変化(格差の拡大縮小)を計測するにふさわしい実質的意味をもちうるかどうかということであるこの考察にあたっては一般に平均対数偏差(全年齢階級)の時点間変化()が大きいほど格差が拡大し逆にが小さくなればそれだけ格差が縮小すると考えられていることを想起するこのことにもとづいて人口動態効果を考察するために(1-14)式を再掲する
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
級内変動(全年齢階級)
級間変動(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(1-14)[再掲]
(1-14)式はその構成要素である
人口動態効果(全年齢階級)
人口動態効果(全年齢階級)
(2-3)
が大きければ(小さければ)それだけによって計測される所得格差を(たとえ級内変動や級間変動という他の要因が小さくても(大きくても))拡大(縮小)させる方向で作用すると考えられているこのことは年齢階級別人口動態効果についても同様に妥当する全年齢階級の人口動態効果を構成する
人口動態効果(第 年齢階級)
には年齢階級別世帯シェアの時点間変化(
)が大きい正数になるほど格差を拡大させるはずであるということが含意されている同じことであるががより小さい正数であれば格差の拡大にはそれだけ小さい影響をあたえがゼロであれば人口動態効果という概念が存在する余地はなくが負数であれば格差を縮小させる方向で作用していると考えられている要するに一般に年齢階級別の人口動態効果と世帯シェアの関係は次のように理解されている① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ(
)よりも小さい場合(
))年齢階級別人口動態効果に負の値をあたえ(
)平均対数偏差(全年齢階級)の差()の値を小さくすること(格差を縮小させる方向で作用すること)
② 時点における世帯シェアに変化がない場合(
)年齢階級別 人 口 動 態 効 果 が ゼ ロ と な り(
)当該年齢階級は
の値にたいして影響をあたえないこと(格差を縮小も拡大もさせないこと)
③ 世帯シェアの時点間変化()が正の場合(比較時点における世帯シェア(
)が基準時点のそれ( )より
も大きい場合( ))年
齢階級別人口動態効果に正の値をあたえ(
) の値を大きくすること(格差を拡大させる方向で作用すること)
人口動態効果が以上の関係を保証するとき所得格差の計測指標として実質的意味がある項を改めてこの点を考察する
― 22 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 23 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質年齢階級別人口動態効果(
)の源泉である(2-1)式と(2-2)式を加算して
をもとめれば以下のようになる
(2-1)式
(2-2)式
(2-4)
(2-4)式を整理すれば年齢階級別人口動態効果( )
として
(2-5)
を得ることができることはすでに述べた((1-10)式および(1-13)式参照)年齢階級別人口動態効果の数学的性質を解明するために以下では(2-5)式から
(年齢階級別人口動態効果)と同値の関係にある新たな数式を誘導する(この数式は年齢階級別人口動態効果の簡便式としても機能するがそのことは数値例で言及する)そこで世帯所得()の分布の相加平均
(全年齢階級)を と表し同じ統計系列の分布の相乗平均(全年齢階級)を と表すまた年齢階級別所得分布の相加平均をと表し同様に相乗平均を と表す時点を表すサフィックスはこれまでと変わらない次式は以上の事柄を数式で表している
(2-6)
すでに明らかにしたように平均対数偏差は
(2-7)
であり
(2-8)
である⑹(2-6)式(2-7)式(2-8)式を(2-4)式に代入すると年齢階級別人口動態効果(
)の計算式として新たに次式を得る
(2-4)[再掲]
1048619 1108528
1057298 10486191107792
1108528
1057298 1107792
(2-9)
以上のように年齢階級別人口動態効果の計算式((2-9)式)が新たに誘導されたここで年齢階級別平均対数偏差の時点間変化(
)にかんする要因分解の過程を次頁にまとめる(表)その上で(2-9)式の値が
と の値によって
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(6) 木村和範平均対数偏差の数学的性質にかんする覚書同上第 65 巻第 12 合併号2017 年月(2-7)式と(2-8)式においては全年齢階級の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )および年齢階級別の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )がいずれも正である(脚注参照)このために以下の展開が可能となる
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)表
平均対数偏差の差の要因分解
統計量の差[(1-5)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
[(1-6)式]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1- 8)式第4項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
[(1-11)式]
級内変動
[(1-13)式第項]
級間変動
[(1-13)式第項]
人口動態効果
[(1-13)式第項]
【別解】[(2-9)式]
と
はそれぞれ比較時点と基準時点における全年齢階級にかんする所得分布の相加平均を表し
と
は時点別の第
年齢階級にかんする所
得分布の相乗平均を表す
となることに着目して以下では(2-9)式の
含意を明らかにする目的で
と を別々に取り上げる
①
真数条件を満たして正数となる分数
にはその分子( )と分母(
)の値の大小関係によってその取り得る範囲がとおりあるそれに応じてその対数の値についてもとおりがあるすなわち
のとき
のとき
のとき
(2-10)
②
についても次のとおりがある
(2-11)
以上から年齢階級別人口動態効果(
)の値は
と
の組み合わせによって表のようになる表はムッカジーとショロックスの方式による要因分解式があたえる年齢階級別人口動態効果においては次のような事態が起こりうることを示している(アステリスクを付した箇所参照)① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は正である(
ケースA)② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
と が
背反するつのケース
負
負 正 ケースA
ゼロ ゼロ
正 負 ケースB
ゼロ
負 ゼロ ケースC
ゼロ ゼロ
正 ゼロ ケースD
正
負 負
ゼロ ゼロ
正 正
表 年齢階級別の人口動態効果( ) の符号と世帯シェア変化()の符号との関係
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
⑵ 年齢階級別人口動態効果の数学的性質年齢階級別人口動態効果(
)の源泉である(2-1)式と(2-2)式を加算して
をもとめれば以下のようになる
(2-1)式
(2-2)式
(2-4)
(2-4)式を整理すれば年齢階級別人口動態効果( )
として
(2-5)
を得ることができることはすでに述べた((1-10)式および(1-13)式参照)年齢階級別人口動態効果の数学的性質を解明するために以下では(2-5)式から
(年齢階級別人口動態効果)と同値の関係にある新たな数式を誘導する(この数式は年齢階級別人口動態効果の簡便式としても機能するがそのことは数値例で言及する)そこで世帯所得()の分布の相加平均
(全年齢階級)を と表し同じ統計系列の分布の相乗平均(全年齢階級)を と表すまた年齢階級別所得分布の相加平均をと表し同様に相乗平均を と表す時点を表すサフィックスはこれまでと変わらない次式は以上の事柄を数式で表している
(2-6)
すでに明らかにしたように平均対数偏差は
(2-7)
であり
(2-8)
である⑹(2-6)式(2-7)式(2-8)式を(2-4)式に代入すると年齢階級別人口動態効果(
)の計算式として新たに次式を得る
(2-4)[再掲]
1048619 1108528
1057298 10486191107792
1108528
1057298 1107792
(2-9)
以上のように年齢階級別人口動態効果の計算式((2-9)式)が新たに誘導されたここで年齢階級別平均対数偏差の時点間変化(
)にかんする要因分解の過程を次頁にまとめる(表)その上で(2-9)式の値が
と の値によって
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(6) 木村和範平均対数偏差の数学的性質にかんする覚書同上第 65 巻第 12 合併号2017 年月(2-7)式と(2-8)式においては全年齢階級の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )および年齢階級別の所得分布にかんする相加平均と相乗平均( )がいずれも正である(脚注参照)このために以下の展開が可能となる
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)表
平均対数偏差の差の要因分解
統計量の差[(1-5)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
[(1-6)式]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1- 8)式第4項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
[(1-11)式]
級内変動
[(1-13)式第項]
級間変動
[(1-13)式第項]
人口動態効果
[(1-13)式第項]
【別解】[(2-9)式]
と
はそれぞれ比較時点と基準時点における全年齢階級にかんする所得分布の相加平均を表し
と
は時点別の第
年齢階級にかんする所
得分布の相乗平均を表す
となることに着目して以下では(2-9)式の
含意を明らかにする目的で
と を別々に取り上げる
①
真数条件を満たして正数となる分数
にはその分子( )と分母(
)の値の大小関係によってその取り得る範囲がとおりあるそれに応じてその対数の値についてもとおりがあるすなわち
のとき
のとき
のとき
(2-10)
②
についても次のとおりがある
(2-11)
以上から年齢階級別人口動態効果(
)の値は
と
の組み合わせによって表のようになる表はムッカジーとショロックスの方式による要因分解式があたえる年齢階級別人口動態効果においては次のような事態が起こりうることを示している(アステリスクを付した箇所参照)① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は正である(
ケースA)② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
と が
背反するつのケース
負
負 正 ケースA
ゼロ ゼロ
正 負 ケースB
ゼロ
負 ゼロ ケースC
ゼロ ゼロ
正 ゼロ ケースD
正
負 負
ゼロ ゼロ
正 正
表 年齢階級別の人口動態効果( ) の符号と世帯シェア変化()の符号との関係
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
― 24 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 25 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)表
平均対数偏差の差の要因分解
統計量の差[(1-5)式]
級内変動の差[(1-5)式第項]
級間変動の差[(1-5)式第項]
[(1-6)式]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級内変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1-8)式第項]
級間変動の差の一部[(1- 8)式第4項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
級内変動の差の一部[(1-10)式第項]
級間変動の差の一部[(1-10)式第項]
[(1-11)式]
級内変動
[(1-13)式第項]
級間変動
[(1-13)式第項]
人口動態効果
[(1-13)式第項]
【別解】[(2-9)式]
と
はそれぞれ比較時点と基準時点における全年齢階級にかんする所得分布の相加平均を表し
と
は時点別の第
年齢階級にかんする所
得分布の相乗平均を表す
となることに着目して以下では(2-9)式の
含意を明らかにする目的で
と を別々に取り上げる
①
真数条件を満たして正数となる分数
にはその分子( )と分母(
)の値の大小関係によってその取り得る範囲がとおりあるそれに応じてその対数の値についてもとおりがあるすなわち
のとき
のとき
のとき
(2-10)
②
についても次のとおりがある
(2-11)
以上から年齢階級別人口動態効果(
)の値は
と
の組み合わせによって表のようになる表はムッカジーとショロックスの方式による要因分解式があたえる年齢階級別人口動態効果においては次のような事態が起こりうることを示している(アステリスクを付した箇所参照)① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は正である(
ケースA)② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
と が
背反するつのケース
負
負 正 ケースA
ゼロ ゼロ
正 負 ケースB
ゼロ
負 ゼロ ケースC
ゼロ ゼロ
正 ゼロ ケースD
正
負 負
ゼロ ゼロ
正 正
表 年齢階級別の人口動態効果( ) の符号と世帯シェア変化()の符号との関係
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
となることに着目して以下では(2-9)式の
含意を明らかにする目的で
と を別々に取り上げる
①
真数条件を満たして正数となる分数
にはその分子( )と分母(
)の値の大小関係によってその取り得る範囲がとおりあるそれに応じてその対数の値についてもとおりがあるすなわち
のとき
のとき
のとき
(2-10)
②
についても次のとおりがある
(2-11)
以上から年齢階級別人口動態効果(
)の値は
と
の組み合わせによって表のようになる表はムッカジーとショロックスの方式による要因分解式があたえる年齢階級別人口動態効果においては次のような事態が起こりうることを示している(アステリスクを付した箇所参照)① 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は正である(
ケースA)② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
と が
背反するつのケース
負
負 正 ケースA
ゼロ ゼロ
正 負 ケースB
ゼロ
負 ゼロ ケースC
ゼロ ゼロ
正 ゼロ ケースD
正
負 負
ゼロ ゼロ
正 正
表 年齢階級別の人口動態効果( ) の符号と世帯シェア変化()の符号との関係
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
は負である(
ケースB)③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果(
)はゼロである(
ケースC)なお
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正であるにもかかわらず()
すなわち
のときには
当 該 年 齢 階 級 の 人 口 動 態 効 果( )
はゼロである(
ケースD)なお上で述べた③(ケース C)のときと同様に
が成立するときには
と
が相互に逆数の関係にある
すでに述べたように年齢階級別人口動態効果は級内変動の差の一部と級間変動の差の一部をその実体的基礎とするしかし上で見たように年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)が (複合同順)となる
つのケース(Aと B)および年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負(または正)にもかかわらず()年齢階級別人口動態効果(
)が となるつ
のケース(Cと D)があるこれらのつのケースにおいてムッカジーとショロックスの方式による年齢階級別人口動態効果(
)は年齢階級別世帯シェアの時点間変化()に見合う値をあたえないこのことは実体的基礎をもつ年齢階級別人口動態効果が世帯シェアの変化の影響を計測するために果たすべき期待に応えられずその計算結果が実質的意味をもちえないということと同義である年齢階級別人口動態効果(
)には実体的基礎があるということは
が実質的意義をもつということとはただちには結びつくものではない以下では項を改めて上述したつのケースについてその数値例を掲げムッカジーとショロックスの方式による要因分解式が算出する年齢階級別人口動態効果に内在する問題点を例示する
⑶ 数値例① 年齢階級別世帯シェアの 2時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果が正になる(
)数値例本稿末尾に掲載した付表(a)(b)(c)から関連数値を抜き出してケース A(表参照)の数値例を表に掲げるこの表によれば第年齢階級については以下のとおりである(強調箇所参照)
― 26 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 27 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
② 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のときに当該年齢階級の人口動態効果が負になる( )
数値例ケース B(表参照)の数値例を表(次頁)として掲げるこれは前掲した表における基準時点のデータを比較時点のデータとみなし逆に比較時点のデータを基準時点のデータとみなして入れ替えたものである(付表(a)(b)(c))この数値例によれば第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
③ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が負()のときに当該年齢階級の人口動態効果(
)がゼロになる(
)数値例ケース C(表参照)の数値例を表
(30 頁)に掲げる
(2-9)[再掲]
は年齢階級別人口動態効果の新たな計算式であるしたがって表(前掲)および表(前掲)が依拠する付表(a)(b)(c)および付表(a)(b)(c)のような平均対数偏差にかんする基準時点と比較時点ごとの要因分解表ならびに時点間の平均対数偏差の差にかんする計算表を作成しなくても年齢階級別人口動態効果を計算することができる以下では(2-9)式による年齢階級別人口動態効
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 46667
比較時点( ) 47000
相乗平均(百万円)
基準時点() 17321 46692 39149
比較時点( ) 18171 53566 48990
世帯シェアの時点間変化() [00000] 01333 -00833 -00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
00562 00024 -00015
人口動態効果(全年齢階級)
00571
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースA)
(注記)この欄の数値(したがって全年齢階級にかんする人口動態効果の値)は付表(c)における第式(ムッカジーとショロックスの方式による要因分解式)の計算結果と同一であるこのことからも(2-5)式はあたえる年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式であることが分かるこのことは表についても妥当する
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b) 付表(c)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
果の算出に必要な最小限の数値を表章した表(次頁)を掲げるに留める⑺数値例では第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
④ 年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正()のとき当該年齢階級の人口動態効果がゼロになる( )
数値例ケース D(表参照)の数値例を表
(31 頁)に掲げる叙述の目的は題意に叶う数値例を示すことにあるそのためには表における基準時点と比較時点の世帯所得
を入れ替えればよいこのとき第年齢階級については以下のようになる(強調箇所参照)
む す び
本稿はムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性をとくに人口動態効果に着目して検討することを目的としたこの検討過程において年齢階級別人口動態効果(
)の新たな計算式として
(2-9)[再掲]
を誘導した(2-9)式の誘導過程もまた
にはつの源泉があることを示しているその第の源泉は年齢階級別級内変動の差の一部をなす
― 28 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 29 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
(7) このことはケース Aとケース B についても妥当するそうであるにもかかわらずケースA とケース B については付表を掲げたその理由は(2-9)式の結果が付表(c)付表(c)に表章された年齢階級別人口動態効果の値と一致しこのゆえに(2-9)式が年齢階級別人口動態効果を計算するための簡便式としての機能を果たしていることを示そうとしたからである
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースB)
(出所)付表(a) 付表(b)
付表(a) 付表(b)付表(c)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
相加平均(百万円)
基準時点() 47000
比較時点( ) 46667
相乗平均(百万円)
基準時点() 18171 53566 48990
比較時点( ) 17321 46692 39149
世帯シェアの時点間変化() [00000] -01333 00833 00500
69688 08769 11436
08432 -00570 00583
年齢階級別人口動態効果
-00562 -00024 00015
人口動態効果(全年齢階級)
-00571
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
(2-1)[再掲]
である第の源泉は年齢階級別級間変動の差の一部をなす
(2-2)[再掲]
であるこのつの源泉の和が年齢階級別人口動態効果(
)であるこのことは
には実体的基礎があることを意味するそれは
の総和としての全年齢階級にかんする人口動態効果にも実体的基礎が存在することを含意するこのように考えると(2-9)式があたえる年齢階級別人口動態効果(
)(および
その総和(
)としての全年齢階級
の人口動態効果(
))
は見かけ上の格差の計測指標ではなく
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 12 3 7 2比較時点 10 2 5 3
世帯所得(百万円)
基準時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
比較時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
相加平均(百万円)
基準時点() 60000
比較時点( ) 50000
相乗平均(百万円)
基準時点() 54288 50000 92674
比較時点( ) 34641 60000 38840
世帯シェア基準時点 [10000] 02500 05833 01667比較時点 [10000] 02000 05000 03000
世帯シェアの時点間変化() [00000] -00500 -00833 01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
-00051 00000 -00053
人口動態効果(全年齢階級)
-00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースC)
(注)第年齢階級はケースB(表)の第年齢階級と同様である
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
て実質的な格差の拡大縮小を計測するための指標としての機能を果たすかに見えるしかしながら他方では(2-9)式ならびに本稿で仮設した数値例(表~表)が示す よ う に年 齢 階 級 別 人 口 動 態 効 果(
)は年齢階級別世帯シェアの変化(増減)()を適正に反映しない場合があるこのとき
の数値は実質的意味を喪失する要因分解式があたえる人口動態効果がその背後に実体的基礎をもつという
こととその計算結果が実質的意味をもつということはこれを峻別して考える必要があるこのことはムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の要因分解式が有効であるかどうかという問題を提起するそれだけではない
の有効性にたいする疑義はその総和すなわち
― 30 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 31 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
世帯数基準時点 10 2 5 3比較時点 12 3 7 2
世帯所得(百万円)
基準時点
3000040000
4470046800590007000090000
280004500046500
比較時点
400005000080000
39068393954011241573555006780080889
8745098210
相加平均(百万円)
基準時点() 50000 35000 62100 39833
比較時点( ) 60000 56667 52048 92830
相乗平均(百万円)
基準時点() 34641 60000 38840
比較時点( ) 54288 50000 92674
世帯シェア基準時点 [10000] 02000 05000 03000比較時点 [10000] 02500 05833 01667
世帯シェアの時点間変化() [00000] 00500 00833 -01333
15952 10000 08335
02028 00000 -00791
年齢階級別人口動態効果
00051 00000 00053
人口動態効果(全年齢階級)
00103
表 年齢階級別人口動態効果( ) と関連統計量(ケースD)
(注)第年齢階級はケースA(表)の第年齢階級と同様である
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
としてあたえられる全年齢階級にかんする人口動態効果についてもその有効性を検討することの必要性を示唆する全年齢階級にかんする人口動態効果は級内変動級間変動とともに世帯シェアの時点間変化がもたらす平均対数偏差の変動()にたいする影響を計測している全年齢階級の世帯シェアは年齢階級別世帯シェアの総和であるから基準時点と比較時点を問わずその値はであるしたがって全年齢階級にかんする世帯シェアの時点間変化はゼロ(=[比較時点の世帯シェア(全年齢階級)]-[基準時点の世帯シェア(全年齢階級)]=1-1)
であるこのように世帯シェアに変化がないときには人口動態効果はゼロになるはずである⑻そうであるにもかかわらず表(第数値例)から表(第数値例)までのつのケースについては表に示すように全年齢階級にかんする世帯シェアの変化と人口動態効果とは齟齬を来しているこのこともまたムッカジーとショロックスの方式による平均対数偏差の差の要因分解式の有効性にかんする主張が安全ではないことを物語っている
(2019 年 3 月 12 日提出)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
数値例 第(ケースA)
第(ケースB)
第(ケースC)
第(ケースD)
世帯シェアの変化 00000人 口 動 態 効 果 00571 -00571 -00103 00103
表 世帯シェアの時点間変化と人口動態効果(全年齢階級)
(出所)表表表表
(8) 要因分解式(一般式)において全年齢階級にかんする人口動態効果がゼロになることの証明については木村(2018b13 頁)付表(c)および付表(c)に表章した第式(ムッカジーとショロックスの方式によらない別解として誘導された要因分解式)では全年齢階級にかんする人口動態効果の数値はいずれもゼロである
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
― 32 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 33 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相加平均の対数(
) 06690 03010 07460 06368相乗平均(
) 37873 17321 46692 39149
平均対数偏差( ) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースA)
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相乗平均( ) 38043 18171 53566 48990平均対数偏差(
) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② -00208 -00275 00062 00031
00000 00322 01035
③ 00031 -00291 -01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ 00011 ⑦ 00912
⑧ 01333 -00833 -00500
第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times③ -00376 00007 -00158 -00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ 00571 00562 00024 -00015合計 00011 00521 -00283 -00227
[参考]第式
級内変動 ①times② -00183 -00049 -00149 00014級間変動 ①times(⑥-②) 00195 00051 00155 -00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 00122 -00076 -00046合計 00011 00124 -00070 -00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースA)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
― 34 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月) ― 35 ―平均対数偏差と人口動態効果(木村)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
2871739352
132
27795
83
世帯シェア( ) ① [10000] 03000 05000 02000
相加平均(
) 47000 20000 60000 55000相加平均の対数(
) 06721 03010 07782 07404相乗平均(
) 38043 18171 53566 48990
平均対数偏差( ) ② 00918 00416 00493 00503
③ 03711 -01061 -00683
00502 00426 00416級内変動 ①times② 00472 00125 00246 00101級間変動 ①times③ 00446 01113 -00530 -00137合計 00918 01238 -00284 -00036
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(a) 基準時点における所得分布(ケースB)
世帯所得(原系列の単位百万円)全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級
231768136865
13
3781686
265
世帯シェア( ) ① [10000] 01667 05833 02500
相加平均(
) 46667 20000 55714 43333相乗平均( ) 37873 17321 46692 39149平均対数偏差(
) ② 00907 00625 00767 00441
③ 03680 -00770 00322
00282 00140 00466級内変動 ①times② 00662 00104 00448 00110級間変動 ①times③ 00245 00613 -00449 00080合計 00907 00717 -00001 00191
(平均対数偏差)=(相加平均の対数変換値)-(相乗平均の対数変換値)年齢階級別の計算式(全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計)
付表(b) 比較時点における所得分布(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)
― 36 ― 北海学園大学経済論集 第 67 巻第 1号(2019 年 6 月)
全年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 第年齢階級 備考(付表(a)(b)の表側との対応)
① [10000] 02333 05417 02250
② 00208 00275 -00062 -00031
00000 -00322 -01035
③ -00031 00291 01004
④ 00521 00630 00472
06706
03010 07621 06886
⑤ 03695 -00915 -00180 ⑥ -00011 ⑦ 00912
⑧ -01333 00833 00500
第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times③ 00376 -00007 00158 00226人口動態効果 (④+⑤)times⑧ -00571 -00562 -00024 00015合計 -00011 -00521 00283 00227
〔参考〕第式
級内変動 ①times② 00183 00049 00149 -00014級間変動 ①times(⑥-②) -00195 -00051 -00155 00011人口動態効果 ⑦times⑧ 00000 -00122 00076 00046合計 -00011 -00124 00070 00043
ムカッジーとショロックスの方式によるの要因分解式[(1-13)式]全年齢階級の数値は年齢階級別
変動の数値の合計別解(木村(2018b頁))による
の要因分解式は以下のとおり
級内変動
級間変動
人口動態効果
全年齢階級の数値は年齢階級別の数値の合計
[付表(a)(b)(c)と付表(a)(b)(c)にかんする注記]付表(a)(b)(c)は木村和範平均対数偏差の要因分解経済論集(北海学園大学経済学部)第 66 巻第
号(小坂直人教授野嵜久和教授退職記念号)2019 年月で使用した数値例と同じである旧稿では年齢階級別世帯シェアの時点間変化が正を示す年齢階級にかんする考察を目的として数値例を仮設したしかし本稿における表では年齢階級別世帯シェアの時点間変化()が負ゼロ正の順に配列されているこのために本稿の表と旧稿との整合性を図るためにが正となる旧稿の数値例を付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)としたまたが負となる数値例としては旧稿の数値例にたいして時点を入れ換え本稿では付表(a)(b)としそれにもとづく要因分解表を付表(c)とした
付表(c) 時点の差の要因分解にかんする計算表(ケースB)