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司法書士・新実践力 - LEC東京リーガルマインド...東京リ‐ガルマインド 無断複製・頒布を禁じます 147 司法書士・新実践力Power Up講座・不動産登記法

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東京リ‐ガルマインド 無断複製・頒布を禁じます

司法書士・新実践力Power Up講座・不動産登記法 147

第2章 根抵当権移転

第1節 確定前の根抵当権移転

一 意 義

■ 根抵当権の全部譲渡・分割譲渡・一部譲渡・共有者の権利移転

全部譲渡 分割譲渡 一部譲渡 共有者の権利譲渡

具体例

2個の同順位の根

抵当権となる

準共有の根抵当権

となる

譲渡契約

の当事者 譲渡人と譲受人

譲渡可能

時 期 元本確定前のみ [14-20-1]

設定者

の承諾

必要(効力要件)[24-20-3,24-21-3]

(共有者の権利放棄の場合には不要)

利害関係

人の承諾

不要

[26-23-イ]

必要(効力要件)

(注) 不要 不要

他の共有

者の同意

権利譲渡:必要

(効力要件)

権利放棄:不要

登 記 対抗要件 対抗要件 対抗要件 対抗要件

共同根抵当

権の場合

すべての不動産について「全部譲渡」「分割譲渡」「一部譲渡」の登記をしな

ければ,その効力を生じない(398の17Ⅰ)

根抵当権で

担保される

債権

譲受人の債権は,次のいずれも担保される

① 「全部譲渡」「分割譲渡」「一部譲渡」前に発生した債権

② 「全部譲渡」「分割譲渡」「一部譲渡」後に発生した債権

(注) 分割譲渡される根抵当権を目的とする権利を有する(ex.転抵当権者)が利害関係人となる。

① 各譲渡において設定者の承諾が必要(効力要件)とされているのは,根抵当権者の

変更を望まない設定者の利益を保護するためである。

② 共有者の権利譲渡において他の共有者の同意が必要(効力要件)とされている理由

は以下の2つである。[20-21-オ,24-20-イ]

(前) X

(後) Y

(前) X

(後)XY

500万

300万 200万

(前) X

(後)XY

(前)XY

(後)XZ

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東京リ‐ガルマインド 無断複製・頒布を禁じます

司法書士・新実践力Power Up講座・不動産登記法 148

① 甲乙共有の根抵当権(極度額金3,000万円)を丙に一部譲渡

[課税標準]金3,000万円×1/3=金1,000万円

② 甲単有の根抵当権(極度額金3,000万円)を乙丙に一部譲渡

[課税標準]金3,000万円×2/3=金2,000万円 [23-20-ア]

(注5)共同根抵当権の場合に,最初の申請以外のときは,前登記証明書(財務省令で定める書面)を添

付した場合に限って不動産1個につき1,500円納付すれば足りる(登録税13Ⅱ)。

■関連知識■

<全部譲渡>

① 登記原因の日付が元本確定前であっても,元本確定後に申請する全部譲渡の登記は受

理されない。 [20-21-ア,26-23-オ]

本来,根抵当権の全部譲渡の登記は,登記が「対抗要件」である。

↓しかし

全部譲渡により根抵当権者が変わり,担保される債権が変わってしまう。

↓そもそも

債権の範囲の変更は,確定前に登記が必要である(登記が効力要件)。

↓そこで

それに準じて,全部譲渡の登記も確定前に限り申請が認められる。

② 利益相反

a 全部譲渡の譲渡人と譲受人の代表取締役が同一人である場合

→ 譲渡人である会社にとって利益相反となる(登研371号)。

b A㈱が根抵当権設定者で,代表取締役が同一人であるA㈱及びB㈱が債務者である

確定前の根抵当権を全部譲渡する場合

→ A㈱にとって利益相反となる(登研664号)。[20-21-イ]

X B㈱

(代取:甲)

全部譲渡

根抵当権

A㈱

Y (代取:甲)

発展論点

ワンポイント解説