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平成25年度茨城学びの会夏のセミナー
授業を中心とした
学校づくり
平成25年8月18日・筑波学院大学
石岡市立杉並小学校 樫村康司
「学びの共同体としての学校づくりを実践する先生方」との出会い
・学校づくりのヒントと勇気をいただく。
・引き受けた学校の現実をとらえる視点と対応する方略を学ばせていただく。
・校長として学校経営のビジョンを明確に打ち出すことができた。
・軸足をしっかり定めぶれることなく学校づくりを進めることができた。
・かかわってくださった多くの方々に感謝している。
・学びの共同体としての学校づくりの実践を報告し、お礼に代えたいと思います。
• いじめ・暴力問題・児童間のトラブル
• 校内の安全管理・防災対策・アレルギー対応
• 学力向上・配慮を要する児童生徒
• 授業中指導の困難な児童生徒
• 保護者のクレーム・虐待・家庭の貧困による未納
• 地域との連携・不審者対応・登下校休日の安全
• 教職員のメンタルヘルス・事件事故防止
• などなど・・・・・・・・・学校は抱えている。
学校を取り巻く様々な課題
求められているもの
○教師には
• 信頼・人間性・教育の専門家としての確かな力量
• 意識改革 研修の充実
○校長には
• 教育の専門家としてのプロ意識
• 高い使命感
• 学校経営の改善への意欲と態度
• 改善すべき問題や課題の発見
• 具体的解決に導くリーダーシップ
学校づくりの方向性
• 学びの共同体の
活動システムの活用
① 教室における協同的学び
② 職員室における教師の学び
の共同体と同僚性の構築
③ 保護者や市民が参加する
学習参加
授業づくりを中心にして
実践報告内容
1 高浜小学校 (平成21.22.23年度) 「授業を中心とした学校づくり」 2 杉並小学校 (平成24.25年度) 「学ぶ楽しさを実感する学校づくり」 3 学校づくりにおける校長の役割
石岡市立高浜小学校 平成21年度
• 学校教育目標
•・よく学ぶ子ども
•・明るく、仲良く生活できる子ども
•・たくましい子どもの育成
2 校長としての取り組み
(1)こんな学校をつくりたい
児童が育つ、教師が育つ、高浜小学校
(2)高浜小学校の実態と課題の把握
(平成21年)
① 児童数 120名 7学級 教職員 14名
② 豊かな自然環境と歴史のある地域、
地域,保護者共に学校教育について協力
的である。
③ のびしろのある子どもたち
信頼関係づくり
授業づくり
(3)校長の基本姿勢 ① 教師は教育現場(教室)で育つ
授業が変わると、 教師が変わる。
( あせらず、根気よく、軸足を変えることなく)
② 学校経営の責任者として、
職責の重さと内容を自覚し、「子どもたちと教職員を守り育てる」ことを肝に銘じ、誠実に全力投球する。
子どもには愛情を、教職員には信頼と感謝の念を常に持って共に歩んでいく。
③ 保護者・地域・教育関係機関・外部の力を活用する。
(4)校長として実践したこと
授業づくりの研修を通して、教職員の人間性と専門性を高め
意識改革を促していくために、次の取組を行う。
① 学校経営ビジョンの提示
(学校づくりビジョンを教職員と共有するために)
② 授業研修態勢づくり
(授業スタイルを変革するために)
③ 学校運営組織の編み直し
(授業づくりに集中できる環境を構成するために)
④ 外部講師・地域の教育資源の活用
(授業づくりの理論・実践方法・教材を学ぶために)
「授業を中心とした学校づくり」
学校経営の実際
(1年目の実践)
平成21年度 高浜小学校の活動記録
(1)ビジョンの共有のために、
職員会議で学校経営ビジョンを語る。 1 学校教育目標
よく学ぶ子どもの育成
明るく仲良く生活できる子どもの育成
たくましい子どもの育成
2 学校経営の基本方針 (1)全職員・児童、保護者・地域・学外協力者と共に、授業を中心とした学びの共同体としての
学校づくりを行い、「学ぶことの楽しさ」と「人は信じるに足りる」ことを実感させる。
(2)児童個々の可能性を引き出し、気づかせ、最大限に伸ばす。
・学力を保障する。(知)・感性豊かな心を育てる。(徳)・健康な体を育てる。(体)
(3) 学校教育のすべての活動を「子どものためになるか」という判断基準で確かめ、整理と重点化を図ってすすめる。
4/1印刷配布
シンプルな計画
① 学校の当面する課題
「児童が学び合い、育つ授業(行事)づくり」
② 重点施策 学びの共同体の活動システムの活用 授業(行事)づくりのために、
○全職員による研修会の実施
○授業公開(一人学期一回)と研究協議会の実施
○外部講師等の積極的な活用 等
取り組む方向性を提示する。 4/22職員会議
(2)授業研修態勢づくり
(教職員の意識改革を促す方策)
① 校内研修会の構想を提示し、推進する。
ア 研修テーマは、
「学校研究テーマ」と「個人研究テーマ」
イ 一人学期一回以上の「授業公開」を実施
ウ 授業研修会の工夫
・教材研究
・ビデオによる授業記録
・研究協議会
• 研修時間の確保、授業参観の負担をなくすため ○ 週時程と年間計画への位置づけ
○ ビデオ記録の活用
• 授業公開に関しては、 ○ 自身の専門性を高める研修(与えられる研修
から、求める研修へ)にすること
○ 普段の授業を公開すること
○ 指導案は略案A4版1枚とすること
・
研究協議会では、
○ 授業中の児童の姿や表情から学んだことを話題とする
○ 教師批判にはしない 等
協議会の作法とする。構想に従いできることから、丁寧に先生方と対話し、研修資料、参考情報を伝えながら進めた。
(3)学校運営組織の編み直し
① 各種会議の整理と目的の明確化 ア 全員による職員朝会は行わない。担任は教室で子ども を迎える。 ・連絡確認事項は 職員集会・生徒指導連絡会(週1金曜日 放課後) 職員会議(月1回) イ 三者(校長・教頭・教務)の打ち合わせの定期実施 ・毎朝午前8時15分から、職員室行事黒板前実施 (日程・各自の予定、児童の情報等) ・週1回1時間の週時程に位置づけ ・三者会用紙を活用し、現状と課題を確認しながら、組織 としての対策を話題 ※ 三者の役割分担等が明確になる。 改革を進める上で、必要なことはおろそかにしない。 足下を固めていく。 資料p3・4
学校経営を考える視点
マズローの欲求段階説にヒントを得て • <実践の方向>
学校教育目標の実現
本人の「夢」を大切に育てる。
授業(行事)の充実
◎質の高い「学び」体験
モノ、他者、自分自身との対話づくり
児童最優先の学校・学級経営
何でも話し合える雰囲気の醸成は、教師
「聴く・つなぐ・もどす」 あら探しより種さがし」から
委員会・係・当番・お手伝い等
命・安全最優先
◎児童と正対する対応
◎死角をなくす校内環境づくり
◎日常的安全点検と早期対応
清潔できれいな学校環境づくり
三者会用紙
教師のかかわり方の変換
• どの子にも
学びを保障する。
○ できない子のためにわかりやすく丁寧に授業を進めていることを検討
○ どの子も生かした授業づくりへ
保護者対応
• 「行動の四角形」と「わたしメッセージ」の紹介
• 保護者の話はすべて教師へのクレームか。
冷静な受け取り方と対応法の例
※基本は聴くこと
② 運営機構・組織の編み直し
ア 校務分掌はできるだけシンプル
(一役一人)にする。
イ 運営委員会の位置づけと参加者に研究主
任を加える。
③ 運営面での改善
ア 研究主任を中心に、運営委員会・職員会
議で毎月の研修計画を確認する。
イ 週時程や日課時間の変更は極力せず、児
童・教師の学校生活のリズムを守る。
(4)外部の力を借りる。
• 授業づくりを推進していく中での疑問が教職員から出てきた。
• 教職員との対話を心がけ、授業づくりを支援しながら、コーディネーターとして、教師と外 部講師・実践校とつなぐかかわりを続ける。
• (百聞は一見にしかず)(感動やあこがれが人を変えるきっかけになる) 資料p4・5
① 外部講師から学ぶ機会づくり
ア 指導主事や教育の研究者・実践者(杉山二季先生・川嶋環先生等)を高浜小学校へ招く。
イ 優れた芸術家(藤島博文画伯)・科学者を招く。
(児童への日本画教室、科学体験授業等の実現)
② 他校の実践から学ぶ機会づくり
ア 市内研究指定校、学び合いの授業実践校(浜之郷小・並木小・久那土小・龍・城南中等)へ職員を派遣する。
イ 目から鱗の職員も、自らの授業に取り入れようとする意欲が見えた。
③ 担任教師が自ら講師を呼んでの授業づくりを推奨する。
ア 地域の歴史、環境・地質・考古学の専門家、祖父母との昔あそび体験、保護者の読み聞かせ等などの実践が出てくる。
ゲストティーチャーは川嶋先生
日本画体験教室 藤島博文 藤島大千 先生に学ぶ
科学ボランティアの先生と
モーターづくり
酵母菌 納豆菌を観察 ゲストティーチャーは微生物研究の博士
手作りラジオ体験 6年生
つくば産業総合研究所見学 太陽の光が電気になるしくみ
みそ造り体験
2年生 昔のあそび体験
ゲストティーチャーはおうちの方
お父さんが先生・高浜青屋囃子
(5)1年目の成果と課題
① 学校経営ビジョンの提示は、教職員へ校長の経営姿勢が伝わり有効であった。
② 授業研修態勢の提案は、すぐ受け入れられることが難しかった。決して新しいことではないが、不安・負担感があった。授業研修の日常化を推進し、授業者一人年間3回の公開研究授業を実施できた。
③ 学校運営組織の編み直しは、担任の負担感を少なくし、授業づくりに集中するために必要であった。
④ 外部講師・実践校の参観から、授業づくりへの興味とあこがれが芽生えてきた。
平成22年度
高浜小学校の活動記録
学び合う児童・教職員・保護者地域
<2年目の実践> 平成22年度
(1)1年目の継続 経営(研修)の
スタイルは変えない。
• ① 学校経営ビジョン(継続)の提示 ② 学校運営組織の編み直し(一部改善)③ 授業研 修態勢づくり(継続) ④ 外部講師・地域の教育資源の活用(継続)繰り返しすることで 定着を図る。
• ② 石岡市教育研究会研究指定校となる。研究発表会は、ゴールでなく途中経過と認識する。
(2)研究の概要 (研究推進委員会)
• 研究主題
子どもが学び合い育つ授業づくりのあり方 ~人・もの・できごととの対話を通して~ • すべての児童に学びを保障する。魅力ある授業をつくることをめざして、
① 教師同士の協力と学び合いの実現
ア 授業研究の工夫 イ 教材研究の工夫 ウ 個人研究
② 児童同士の協力と学び合いの実現
ア 夢中になって学ぶ児童
イ 他者に心を開きながら協同的に学ぶ児童
ウ 確かな学力を身につけた児童
(3)研修の内容及び経過
① 教師同士の協力と学び合いの実際
ア 授業研究の工夫
6月の研修で研究協議会で何をどのように話題にしてすすめればよいのか。何を語ればよいのか疑問が出される。
研究主任に質問事項としてまとめることを提案、次回予定の講師に指導を依頼する。実践すると新たな課題が出てきた。職員の意識の変化が見えてくる。
イ 教材研究の工夫
「教材を語る会」を研修日(月曜放課後)に位置づける。
教科領域の教材の扱い方について情報交換と授業づくりの構想を話し 合った。
他の職員からの多様な視点で話題が出され、新たなアイディアが生まれた。授業実践への自信となる。
ウ 個人研究
研究テーマを個人毎にたてる。教員評価との関連で、教員評価の「自己申告書」の中に研究テーマを加える。授業参観や面談を通して,1年間個人研究の支援をする。進捗状況・成果など適時面談して共有する。 資料p6
毎時間ちゃんとした授業づくりを行うための14の課題
提案
• 1 人の話を聴く態度を徹底的に躾る。
• 2 「ねえ、これどうするの?」と問い合い、答え合うやわらかな関係をつくる。
• 3 「わからない」と言える心と教室の雰囲気をつくる。
• 4 仲間や教師とじっくり対話する関係をつくる。
• 5 小グループでの協同的な活動を入れる。
• 6 実験・観察、作業等、子供たちが教材とじっくり対話する活動を入れる。
• 7 「学び」の途中経過や成果を表現し、鑑賞し合う活動を入れる。
• 8 教材(テキスト)に戻る習慣をつける。
• 9 よりレベルの高い課題を提示する。
• 10 机の配置(例 コの字型 テーブル型)等の教室環境を工夫する。
• 11 探求を生み出す教材について、たゆまぬ研究を行う。
• 12 どの子の考えやつぶやきもすばらしいと受け入れる構えを持つ
• 13 確かな学力とは何かを常に問いながら、学力をつける指導の工夫をする。
• 14 ノート指導等を通して、子供たち一人ひとりの学びの過程を細やかに見取る。
• 参考文献 久那土小研究資料
② 授業研修態勢づくり
(研究推進委員会の充実)
ア 研究発表会の準備 全員体制
○指導案検討グループ
○紀要作成グループ
○当日の運営・環境グループ
グループでの活動は、目的を同じく行動す
ることになり同僚性を深めた。
③ 外部講師からさらに学ぶ
ア 教育の研究者・実践者(佐藤雅彰先生他)
教職員 (22/8/5講師・佐藤雅彰先生への感想から) ・自力解決とは、人を頼ってでも課題解決できることを学びました。
・グループの人数や学び合いをしたら全体にもどすことを学びました。 ・・・もっと研修を積み重ねていきたい。
・全員の学びを実現するためには課題のレベルを少し高めに設定すべきこと、自力解決の時間は意外と短くてよいのだということ、子ども同士のかかわりの様子を見て、援助の必要性を的確に判断し、教師がどうかかわればよいかということ、比較検討の仕方工夫について学ぶことができました。
・子どもにとって魅力ある授業をつくること、研究協議会では授業公開した先生が、「またつぎもやってみたい」となるような話し合いにすることを学びました。
学び合う授業づくりが具体的になってきた。
授業は、グループで学び合い
研究協議会
6年生高浜の土地のつくりを
専門家から学ぶ(9/29) 岡村地質
外部講師の模範授業
かかわり方を学ぶ
研究発表会(11/18) 市内の多くの先生方に
高浜小学校の授業を見てもらいました。
研究発表会(11/18)
5年算数・提案授業
11/18
研究発表会参観者の感想 ・三つの驚き 子どもの笑顔に、子どもの会話に、子どもの集中に驚きました。
・先生と子どもの関係の良さを感じました。
・○○先生の専門知識と子どもを見取る目の鋭さが光る授業でした。
・研究協議では、様々な観点の意見が飛び出し、深まっていく様子が見られた。
(4) 2年目の成果と課題
① 児童同士の協力と学び合いが実現する。
ア 夢中になって学ぶ姿、他者に心を開きながら協同的に学ぶ姿、確かな学力を身につける児童の姿が見られるようになる。
② 自信が生まれる。研究発表会(11/18)の参観者の感想から、研修を推進するエネルギーをもらえた。
校内研修振り返りレポート集の作成
③ 「校内研修振り返りレポート集」から
・ 教師の変容をあらためて実感する。
・ 自分の学んだこと、実践したことが自分の言葉で書いてある。
・ 自身の学んできた物語を書くことで、授業への意識・教師としての考えがより明確になる。
・ 全員が振り返れたこと、読むことで学んだことを共有できることが、次へ繋がる。
<3年目の実践>
平成23年度
高浜小学校活動記録
(1)2年目の継続 経営(研修)のスタイルは変えない。 (2)研修の内容及び経過 ① 研究概要の説明・前年度からいる教員が提案授業を 実施する。 人事異動による教職員入れ替えにより、研究の継続が難 しい。高浜小学校の授業研究の共有をする。
② 外部講師の活用を図る。 (佐藤雅彰先生・川嶋環先生など) 学び合いの授業づくりの現状を見てもらい、教職員の育 ちに必要な指導をしてもらう。
教材研究の在り方と課題づくり・子どもの見取り・教科による探究の違いなど
•
校内授業研修 算数・理科ふしぎなことが・
・
保護者の学習参加 資料p30
教師の居方の多様性
(3)これまでの成果と課題
① 継続の難しさを実感する。ゼロからのスタートとしないために、研究概要の説明・提案授業の実施は効果があった。
② 研究推進委員のもと自主的な研修がすすめられ、1学期一人一回の授業公開を実現する。
③ 講師の活用により、児童にとって魅力ある授業づくりのために、深い教材理解・教師のかかわり方(聴く・つなぐ・もどす)・教科毎の探究過程を学ぶ。
今後学んだことを授業実践に活かすことが課題となる。
授業づくりの延長としての
児童活動・学校行事
• ありがとう集会
・学習発表会 平成24年3月2日(金)
石岡市立高浜小学校
• お世話になった方をお招きしました。
• ありがとうのきもちをお手紙に書いて渡しました。
3年生・6年生・1年生
4年生・2年生
4 <授業を中心とした学校づくり研修3年間の収穫>
(1)特に目立ったことではないが、次のようなことから、取組との関連を考えている。
① 学校が以前より静かになってきた。落ち着いて自習やドリル練習ができている。不登校が0の状態である。やるべき役割をきちんと判断して活動できるようになってきた。保健室や職員室での会話を場に応じてできる子が育っている。授業中、仲間とかかわって課題を解決する活動が多くなっている。
② 教職員の指導力と同僚性が育まれ、活力を生み出している。児童の情報や教材の話題がよく交わされている。4年学びのサポート指導が協力体制のもとすすめられた。
③ 地域の方より「あいさつが高浜小の子はよくできる」とほめられる。協力を惜しまない地域の方による安全ボランティア・環境整備活動ボランティアが行われる。
3 杉並小学校 「学ぶ楽しさを実感する学校づくり」
< 1年目の実践> 平成24年度
(1)杉並小学校の実態と課題の把握
(平成24年度) 創立35年
① 児童数 423名 16学級(特2含)
教職員 23名
② 新旧住民が混在し、保護者の教育観も多様である。欠損家庭16%、経済的支援必要
学校教育について協力的である。
③ のびしろのある子どもたち・保護者地域との信頼関係づくり
◎ 継承されてきた学校文化が生きている。
ハーモニー集会・全校縦割班活動・等
(2)校長としてのかかわり
① 学校経営ビジョンの提示
• 杉並小学校の教育方針
(1) 本校の学校教育目標
「よりよい自分を求めて,
健やかに生きる子の育成」
※ 杉並小学校の方向性 学びの共同体の活動システムの活用3つの活動システム
① 教室における協同的学び
② 職員室における教師の学びの共同体と同僚性の構築
③ 保護者や市民が参加する学習参加
(2)基本方針
• 児童が輝く,教職員が輝く,保護者・地域と共に歩む学校とするために次のことをすすめる。
① 全職員・児童・保護者・地域・学外協力者と共に、学び合い・支え合う学校づくりを行い,「学ぶことの楽しさ」と「人は信ずるに足りる」ことを実感させる。
② 児童個々の可能性を引き出し,気づかせ、最大限に伸ばすために,授業・行事等の在り方を研修し,よりよいものを目指す。
③ 学校教育のすべての活動を「子どものためになるか」という判断基準で確かめ,整理と重点化を図ってすすめる。 4/1提案
② 授業研修態勢づくり
(授業スタイルを変革するために)
• はじめを丁寧にする。急がずじっくり腰を据えて取り組む方針とした。まず教職員と個人面談を実施する。5月中旬までかかる。 施設設備の把握と環境の整備にもつとめる。
• 研修は「ア 教師の指導力の向上・(教育の専門家としての成長)を第一番に進めることを表明する。
• 教員評価の組織目標を「学ぶ楽しさを実感する授業をつくる」とし全職員と面談する。
• 個人の研修テーマの意識付けを行う。
• 夏休みの校内研修会の実施
校内研修会講師 川嶋先生・岩本先生から学ぶ。
• 研究推進委員会の設置と研究の方向性を職員へ提案
③ 学校運営組織の編み直し (授業づくりに集中できる環境を構成するために)
• 5月になって年度当初に企画し運営してきて、改善が必要な箇所や校務分掌を変更する。
④ 外部講師・地域の教育資源の活用 (授業づくりの理論・実践方法・教材を学ぶために)
• 4月のPTA総会あいさつで学校経営の方針と具体策、保護者の協力依頼の表明する。
• 5月23日に学ぶ楽しさを実感する授業づくり研修会の実
施
ベテラン教師(川嶋環先生の師範授業)から学ぶ<低・中・髙学年ブロック毎による校内授業研修> その後低学年ブロック・中学年ブロック・髙学年ブロックごとに授業研修を行う。
• 「学力向上推進チームプロジェクト訪問」授業に向けて、
教材の検討・指導案原案作成、学級での授業実践、研究協議会を実施する。授業参観し協議会を始める。
(3)1年目の成果と課題
• 教職員や地域・保護者の実態把握・観察と対話を続け、9月より校内研究授業を開始できる。
授業公開と授業協議会実施。
年度末までにほぼ全員が授業を公開。
• 教材研究の大切さとベテランから学べる授業技術があることに気づく。
• 各ブロック毎の研修会は、教職員の話し合いが活発になる。
• 今後 話し合いの質。校外の研修会への参加。
<2年目の実践> 平成25年度
(1)1年目の継続 経営(研修)のスタイルは変えない。
① 学校経営ビジョン(継続)の提示
② 学校運営組織の編み直し(一役一人制へ)
③ 授業研修態勢づくり(継続) 4月が勝負
年間研究授業日の計画
杉並小学校授業づくりの14の取り組みの共有
教職員へ、児童へ
④ 外部講師・地域の教育資源の活用を活発に推進(継続) 保護者・地域協力者の参加による教育活動(行事)
小中連携授業参観を提案
(2) 石岡市教育研究会研究指定校(1年目)となる。
(3) 1学期の成果と課題 14の取り組みから
1、 人の話を聴く態度を徹底的に躾る。
• 全校朝会、ハーモニー集会、終業式の聞く態度
• 各教室でも先生や仲間の声を丁寧に聴いている姿。
2 「ねえ、これどうするの?」と問い合い、答え合うやわらかな関係をつくる。
• 研修授業の時や普段
の授業の中で、さりげなく訪ね合い学びあっている姿
• グループで頭が近づいている様子
3「わからない」と言える心と教室の雰囲気
をつくる。
• 間違いは恥ずかしいことではない。学校・教室は間違いが許されるところだ。間違いや分からないということから、学びがスタートして高いレベルまで学びあっている教室
4仲間や教師とじっくり対話する関係をつくる。
• 7/8佐藤雅彰先生のお話の中に、ある小学校では、先生が、B問題を単元修了の時子どもたちに出します。最初教師は説明はしないそうです。子どもたちは仲間と頭を寄せて考えるようになります。これを繰り返したら、その学校は学力が県平均を上回り、市内でも上位になっていたとのことでした。教師の説明は必要になってからでよいのでは・・・・。
• 杉並小学校の教室でも
5 小グループでの協同的な活動を入れる。
• 意識的に取り入れている教室
6 実験・観察、作業等、子供たちが教材と
じっくり対話する活動を入れる。
• 先生方の準備と工夫
• 活動する姿がいきいきしていた。
• 夢中になって活動している時間。
7 「学び」の途中経過や成果を表現し、 鑑賞し合う活動を入れる。
• 子どもが子どもに説明をする時間や場面
• 興味を持って聴いている子供の姿
• 聞く方も語る方も共に学んでいる。
8 教材(テキスト)に戻る習慣をつける。
• 「そう思ったのは、教科書のどこから」「どんなことからそう思ったの」と進めていただいたことから、子どもたちが「ここに、こう書いてあるから・・・」と説明
9 よりレベルの高い課題を提示する。
• 授業研修で、チャレンジした授業を見せていただく。子どもたちの学びがより深まる。
• 算数・国語・理科はB問題にあたる課題を活用へ。
10 机の配置(例 コの字型 テーブル型)等の教室環境を工夫する。
• コの字型の机配置、児童の対話に役立つ。
11 探求を生み出す教材について、 たゆまぬ研究を行う。
• 探求する教材研修については、相互の授業参観から学び合った。
12 どの子の考えやつぶやきもすばらしいと 受け入れる構えを持つ
• どの教室でも子どもたちの発言やつぶやきに対応
13 確かな学力とは何かを常に問いながら、学力をつける指導の工夫をする。
• 学校サポーターの協力
• 日々の授業、朝の時間等に取り組む。
14 ノート指導等を通して、子供たち一人ひとりの学びの過程を細やかに見取る
• ノートに学習の記録を書いたり、貼り付けたりする指導を継続。
• 学んだことをキーワードでまとめる取り組み
• 「いつどんなことを学んだの」と振り返る資料としてノートを活用
保護者・地域市民と共に歩む
• 保護者と教師の相互信頼が無くては、教育効果は高められません。子どもに対する社会の責任、保護者と教師の責任、教師と保護者と地域市民が、子どもの成長に対して責任を共有しながら、日々の教育活動を行うことが必要と考えています。
• 子どもと教師、教師と同僚、教師と保護者、教師と地域市民の信頼関係をつくれば、杉並小学校の教育はさらに発展し、もっと創造性を発揮できます。お互いが責任を担い協力し合うことがいま一番大切だと考えています。
• 学校教職員も全力で努力致しますが、保護者・地域市民の皆様もご理解とご支援を引き続きお願い致します。
外部講師・地域保護者の協力
学校の風景
• 休み時間の風景・縦割り班遊び
• 7/19の終業式の日、養護教諭が「今日は欠席0の日になりました。今年度初めてです。」の報告
• 学校が楽しいとする児童 7月アンケート
※ 二学期への期待がふくらむ。
実践を振り返る
授業づくりの研修を通して、教職員の人間性と専門性を高め
意識改革を促していくために、次の取組を行った。
① 学校経営ビジョンの提示
② 授業研修態勢づくり
③ 学校運営組織の編み直し
④ 外部講師・地域の教育資源の活用
5 学んだこと (教師が育つための校長の役割について)
(1)校長の教職員へのかかわり方は次のようになる。
①②③ ④ ミッション
働きかけ ア 校長の提案 校長 ・直接・間接(組織通し)
イ 教職員の提案を支援 ○ マネジメント
教職員 対話 ウ 教師の事実に寄り添う (PDCA)
(認め・励まし・困り感の
共有) ○ 専門知識
エ 教師の話を聴く
情報収集
つなぐ
児童・生徒 保護者
地域住民 外部協力者
関係機関 先進校実践研究者 迂回する働きかけ ④
校長は自らのミッション・ビジョンの達成のため
• 専門知識をもとにマネジメントの手法を 使って、教職員に(ア・イ・ウ・エ)のかかわり方をしている。
• 最初は校長からの提示を直接・間接にしてきた。
• その後教職員からの提案を生かし、支援する働きかけも行うようになる。教職員の状況に応じて、使い分ける。
• 教職員と対話する中で「聴くこと」を意識するようになった。聴くことから支援や教師の事実へ寄り添う活動も生まれる。
(2)「 聴く つなぐ もどす」の必要性を学ぶ
①「聴く」
授業研修資料を渡し、説明しても理解しもらえないとき、個別に聴くかかわりが教職員との信頼関係づくりになる。
②「つなぐ」
授業の事実から何と何がつながっているのか読み解くこと。課題や活動がどんな意味や価値とつなげることで、新たな気づきや発見が生まれる。
③「もどす」
必要に応じて研修の資料や授業の教材へもどすことで、研修が深まる。
(3)現職教育について
• 「人は簡単には変わらない。
行動を変えることで変わる」(先輩校長)
• 教師が教育現場(教室)で育つために、授業研修のやり方を変えると、教師も変わる。
• 教職員が授業づくりを通して、同僚・児童生徒などの「人」から、具体的な「もの」から、教室の「できごと」から学べる授業研修の活動が、教職員の専門性を高め、意識を変えていくことに繋がる。
• 求められる教師の姿を示し、方向性を持って、焦らずじっくりと授業づくり(教材研究・授業公開・授業の振り返り)を日常的に続けることにある。
(4)「つなぐ」働きかけを学ぶ。
• 教師を取り巻く児童・生徒 保護者・地域住民・外部協力者・関係機関・先進校実践研究者に働きかけ、教師へのかかわりをつくること、特に教師自ら相談や協力を得やすいような環境をつくていくことで、育つチャンスをつくっていることを学ぶ。
学校づくりのまとめ
教職員の意識改革は「授業を中心とした学校づくり」を通してできる。
•授業を変えれば、
教師が変わる。
児童が変わる。
学校が変わる。 保護者・地域が変わる。
○ おわりに
• 授業を中心とする学校づくりの過程で、教職員との対話が生まれ、たくさんのエネルギーをもらえた。
• 始まりはゆっくりでも、着実に実践し、成果を示してくれた高浜小学校教職員に感謝している。また杉並小学校の教職員とこれからも今年度の研修を充実した内容にするよう取り組んでいきたい。
• これまで軸足がぶれないで学校づくりを進められたのも、茨城学びの会メンバー・快く参観を了解いただいた先進校の先生方や久那土小学校古屋先生・学びの共同体研究会のスーパーバイ ザーの先生方・外部講師の先生方のご指導ご支援のお陰と感謝しております。今回のつたない報告が参考になれば幸いです。
• 「学び続ける者だけが教えることができる。学んだ証は変わること」校長も自己変革をしながら、子どもには愛情を、教職員には信頼と感謝の念を常に持って、これからも教職員と共に学んでいきます。
子どもたちはわたしたちの未来 健全な社会の構成者として、社会参加し、
生きていける能力を育てましょう。
ご静聴ありがとうございました。 杉並小から望む筑波山