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2010 年度 下水道新技術研究所年報 [要約版] ― 60 ― 建設技術審査証明事業(下水道技術) 拡径破砕機による改築推進工法 EXP工法 大林道路株式会社,東亜グラウト工業株式会社,株式会社イセキ開発工機 1. 技術の概要 EXP工法は,老朽化した鉄筋コンクリート管, 塩ビ管,陶管などの既設管きょを内側から拡径・破 砕し,同径または同径以上の新設管に非開削で入れ 替える改築推進工法である。 本技術は,油圧で作動する拡径破砕機(以後エク スパンディットと言う)を人孔または立坑に設置し たチェーン引込用装置と押込装置で既設管内に引 込・拡径・破砕し,拡径破砕した管きょ内に押込装 置で新設管を押し込む非開削かつ無排土で施工でき る下水道管きょ等の改築推進工法である。 本技術で使用する拡径破砕機は,円錐形をしてお り細くなった先端を押し込むことで,既設管の段差 や屈曲部,および扁平化した塩ビ管も施工可能であ る。 2. 適用範囲 既設管種:鉄筋コンクリート管,塩ビ管,陶管 既設管径:呼び径 200~600 mm 新設管種,管径: 呼 び 径 推進工法用鉄筋コンクリート管 200~600 推進工法用塩ビ管 200~450 推進工法用レジンコンクリート管 200~650 推進工法用セラミック管 200~600 施工延長:最大 200 m 人孔:1~3 号(一部改築が必要) 3.開発目標と審査の結果 本技術の開発目標および審査の結果は,次に 示すとおりである。 (1)施工性:同径もしくは同径以上の新管に非開 削で入れ替えができ,次の条件下においても 施工できると認められる。 扁平量 60 mm 以下の塩ビ管 ② 段 差 50 mm 以下の継手部 ③ 屈曲角 10°以下の継手部 (2)影響度:施工に伴う周辺地盤への影響は,以 下に示す条件で片側最大 115 mm の拡径をした 場合,既設管からの離隔が 80 cm の位置にお ける地盤変形量が,上方向,横方向とも 20 mm 以下であると認められる。 土質:N 値=1~10 土被り:1.0 m 以上 200 250 300 350 400 450 500 600 200 ☆★ 250 ☆★ 300 350 ☆★ 400 ☆★ 450 ☆★ 500 600 既設管内径(mm) ☆:新設管として推進工法用コンクリート管を使用する場合 ★:新設管として推進工法用塩ビ管を使用する場合 表-1 適用可能な管径 写真-1 エクスパンディット到達・回収 図-1 標準施工断面図 拡径時 坑口止水装置 チェーン 既設管 エンジン式 油圧ユニット 縮小時(押込時) 既設管破砕片 新設管 油圧ホース エンジン式 油圧ユニット 新設管 スライド筒・アダプターリング 油圧ホース 操作盤 到達立坑 発進立坑 引込装置 押込装置 拡径破砕機(EXP)

EXP工法...EXP工法は,老朽化した鉄筋コンクリート管, 塩ビ管,陶管などの既設管きょを内側から拡径・破 砕し,同径または同径以上の新設管に非開削で入れ

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Page 1: EXP工法...EXP工法は,老朽化した鉄筋コンクリート管, 塩ビ管,陶管などの既設管きょを内側から拡径・破 砕し,同径または同径以上の新設管に非開削で入れ

2010 年度 下水道新技術研究所年報 [要約版]

― 60 ―

建設技術審査証明事業(下水道技術)

拡径破砕機による改築推進工法

EXP工法

大林道路株式会社,東亜グラウト工業株式会社,株式会社イセキ開発工機

1. 技術の概要

EXP工法は,老朽化した鉄筋コンクリート管,

塩ビ管,陶管などの既設管きょを内側から拡径・破

砕し,同径または同径以上の新設管に非開削で入れ

替える改築推進工法である。

本技術は,油圧で作動する拡径破砕機(以後エク

スパンディットと言う)を人孔または立坑に設置し

たチェーン引込用装置と押込装置で既設管内に引

込・拡径・破砕し,拡径破砕した管きょ内に押込装

置で新設管を押し込む非開削かつ無排土で施工でき

る下水道管きょ等の改築推進工法である。

本技術で使用する拡径破砕機は,円錐形をしてお

り細くなった先端を押し込むことで,既設管の段差

や屈曲部,および扁平化した塩ビ管も施工可能であ

る。

2. 適用範囲

既設管種:鉄筋コンクリート管,塩ビ管,陶管

既設管径:呼び径 200~600 mm

新設管種,管径:

管 種 呼 び 径

推進工法用鉄筋コンクリート管 200~600

推進工法用塩ビ管 200~450

推進工法用レジンコンクリート管 200~650

推進工法用セラミック管 200~600

施工延長: 大 200 m

人孔:1~3号(一部改築が必要)

3.開発目標と審査の結果

本技術の開発目標および審査の結果は,次に示すとおりである。 (1)施工性:同径もしくは同径以上の新管に非開

削で入れ替えができ,次の条件下においても

施工できると認められる。

① 扁平量 60 mm 以下の塩ビ管

② 段 差 50 mm 以下の継手部

③ 屈曲角 10°以下の継手部

(2)影響度:施工に伴う周辺地盤への影響は,以

下に示す条件で片側 大115 mmの拡径をした

場合,既設管からの離隔が80 cmの位置にお

ける地盤変形量が,上方向,横方向とも20 mm

以下であると認められる。

土質:N値=1~10

土被り:1.0 m 以上

200 250 300 350 400 450 500 600

200 ☆★

250 ☆★ ☆

300 ★ ☆ ☆

350 ★ ☆★ ☆ ☆

400 ★ ☆★ ☆ ☆

450 ★ ★ ☆★ ☆ ☆

500 ☆ ☆ ☆

600 ☆ ☆ ☆ ☆

既設管内径(mm)

新設管呼び径

☆:新設管として推進工法用コンクリート管を使用する場合

★:新設管として推進工法用塩ビ管を使用する場合

表-1 適用可能な管径

写真-1 エクスパンディット到達・回収 図-1 標準施工断面図

拡径時

坑口止水装置

チェーン 既設管

エンジン式

油圧ユニット

縮小時(押込時)

既設管破砕片

新設管

油圧ホース

エンジン式

油圧ユニット

新設管

スライド筒・アダプターリング

油圧ホース操作盤

到達立坑 発進立坑

引込装置 押込装置拡径破砕機(EXP)