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Excelを用いた熱伝導の数値シミュレーション 中央大学附属高等学校 裕人 研究背景・目的 中央大学附属高校の教室棟は 西側が寒く 東側が暖かい シミュレーションの理論と手法 天井は太陽光で温められるから高温一定 床は太陽光に当たらないから低温一定とみなせる 教室は条件が複雑なので 同環境にある体育館をモデルに実験した T:温度 D:熱拡散率 t:時間変化 (x, y, z):空間座標 境界条件:天井と地面の温度を一定として考える 実験方法 時間経過による体育館の温度変化 時間経過によって天井側から熱が拡散し 体育館全体が温まっていく様子が再現された この境界条件の下ではある 地点での温度は最終的に ある一定の温度勾配を示す ことがわかった →これは教室も同じだと予想される 今後の課題 これまで行ったシミュレーションに奥行きを 加えた3 次元シミュレーションを行う 細かい条件を考慮した教室のモデル シミュレーションを行いより正確な結果を得る 教室で実際に温度を測定し、シミュレート結果との 整合性を確認 する 西側の教室は他の建物の影になって熱が入らない 1階は地面に熱が逃げるため温度が下がる 実験結果と考察 天井:高温一定 床:低温一定 時間経過でどのように 温度が変化するか? 熱放出 熱流入 伝導を表す方程式=拡散方程式 [1] Excelを用いた2次元シミュレーション 差分法 :解析領域をメッシュに 分割し各点の温度を求める ⇒ Excelのセルを メッシュとして扱う 境界条件からこの問題は 定常熱伝導として扱えるので, 基礎方程式は次のようになる [2] 参考文献 t = 0 sec t = 415 sec t = 830 sec t = 1245 sec t = 2075 sec t = 4150 sec 最高 温度 最低 温度 [1] 日本機械学会:JSMEテキストシリーズ 伝熱工学. 丸善出版, 1–48. (2005) [2] 伊藤 章: https://chemeng.web.fc2.com/ExcelCe/exhc.html 校舎・体育館 日陰! 日なた! 教室や体育館の温度差について シミュレーションで検証する 各座標軸を差分化して以下のように表す [2] パラメータ 体育館の寸法 高さ15.39m ×幅32.4m 時間ステップ Δt 41.5 sec 天井の温度 46.5 地面の温度 27.0 室外気温 27.0 セル分割数 高さ15 ×幅32 シミュレーションしやすいように モデルを単純な形で近似した T i, j T i+1, j T i, j+1 T i, j-1 T i-1, j 2 2 2 2 2 2 T T T T D t x y z 2 2 2 2 0 T T D x y 2 1, 1, , 2 2 , 2 i j i j ij ij T T T T x h 2 , 1 , 1 , 2 2 , 2 ij ij ij ij T T T T y h , 1, 1, , 1 , 1 1 4 ij i j i j ij ij T DT T T T この式を基礎方程式に代入して以下の式が得られる [2] ある点の温度はその周囲 4点の平均から求まる T i, j :点(i, j)の温度

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Excelを用いた熱伝導の数値シミュレーション中央大学附属高等学校 泉 裕人

研究背景・目的

中央大学附属高校の教室棟は

西側が寒く 東側が暖かい

シミュレーションの理論と手法

天井は太陽光で温められるから高温一定床は太陽光に当たらないから低温一定とみなせる

教室は条件が複雑なので同環境にある体育館をモデルに実験した

T:温度 D:熱拡散率 t:時間変化 (x, y, z):空間座標

境界条件:天井と地面の温度を一定として考える

実験方法

時間経過による体育館の温度変化

時間経過によって天井側から熱が拡散し体育館全体が温まっていく様子が再現された

この境界条件の下ではある地点での温度は最終的にある一定の温度勾配を示すことがわかった→これは教室も同じだと予想される

今後の課題

これまで行ったシミュレーションに奥行きを加えた3次元シミュレーションを行う

細かい条件を考慮した教室のモデルでシミュレーションを行いより正確な結果を得る

教室で実際に温度を測定し、シミュレート結果との整合性を確認する

◆西側の教室は他の建物の影になって熱が入らない◆1階は地面に熱が逃げるため温度が下がる

実験結果と考察天井:高温一定

床:低温一定

時間経過でどのように温度が変化するか?

熱放出

熱流入

熱伝導を表す方程式=拡散方程式[1]

Excelを用いた2次元シミュレーション

差分法:解析領域をメッシュに分割し各点の温度を求める⇒ Excelのセルを

メッシュとして扱う

境界条件からこの問題は定常熱伝導として扱えるので,基礎方程式は次のようになる[2]

参考文献

t = 0 sec t = 415 sec t = 830 sec

t = 1245 sec t = 2075 sec t = 4150 sec

最高温度

最低温度

[1] 日本機械学会:JSMEテキストシリーズ 伝熱工学.丸善出版, 1–48. (2005)

[2] 伊藤 章: https://chemeng.web.fc2.com/ExcelCe/exhc.html

校舎・体育館

日陰! 日なた!

教室や体育館の温度差についてシミュレーションで検証する

各座標軸を差分化して以下のように表す[2]

パラメータ 値体育館の寸法 高さ15.39m × 幅32.4m

時間ステップ Δt 41.5 sec

天井の温度 46.5 ℃

地面の温度 27.0 ℃

室外気温 27.0 ℃

セル分割数 高さ15 × 幅32

シミュレーションしやすいようにモデルを単純な形で近似した

Ti, j Ti+1, j

Ti, j+1

Ti, j-1

Ti-1, j

2 2 2

2 2 2

T T T TD

t x y z

2 2

2 20

T TD

x y

21, 1, ,

2 2

,

2i j i j i j

i j

T T TT

x h

2, 1 , 1 ,

2 2

,

2i j i j i j

i j

T T TT

y h

, 1, 1, , 1 , 1

1

4i j i j i j i j i jT D T T T T

この式を基礎方程式に代入して以下の式が得られる[2]

ある点の温度はその周囲4点の平均から求まる

Ti, j:点(i, j)の温度