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[担当教員]種田 和正
[B36]
吉里吉里 2 を使用したアドベンチャーゲームの作成
安藤 光
1. はじめに
アドベンチャーゲームやノベルゲームの作成によく使わ
れる吉里吉里 2 を使用してゲームを作成した。
2. 開発環境
・OS Windows 7
・実行環境 吉里吉里 2 ver. 2.32
・言語 TJS2
・ワークフレーム KAG3
TJS2 はオブジェクト指向のスクリプト言語であり、主に
マルチメディアタイトルの作成に使われる。この TJS で実装
されたアドベンチャーゲーム向けのワークフレームが
KAG3 である。これにより TJS2 の知識がなくとも、KAG3
のスクリプト(HTML のようなタグで記述)でゲームを作成
することが出来る。KAG3 を経由して TJS2 で書かれたゲー
ムはその実行環境である吉里吉里 2 上で動作する。また吉里
吉里 2 自身は一般的な OS である Windows 2000/XP/Vista/7 上
で動作するので作ったゲームを配布するのにも適している。
3. ゲーム作成の流れ
アドベンチャーゲームはストーリーが肝心である。まずは
完成度の高いストーリーを作成することから始まる。次にそ
の世界観を引き出すような絵や音楽を作成する。あとはそれ
らがうまく連動するような制御プログラムを書いて完成で
ある。このようにゲームを作り上げるには作家・画家・作曲
家・プログラマのスキルが必要である。しかしプログラム以
外は素人の自分にとって、すべてを用意するのは大変であっ
た。そこで昔話・桃太郎を題材にし、物語に沿った簡単な絵
を用意することで代用した。
4. ゲームの内容
ゲームは昔話・桃太郎に基づいて作った。ストーリーは大
きく4つに分かれている。
① 川で洗濯していたおばあさんが桃をみつけ、切ってみる
と桃太郎が生まれる。
② 成長していく桃太郎と、村を荒らす鬼。
③ 鬼退治を決意し、きび団子をこしらえ鬼が島を目指す。
道中では犬・猿・雉に出会う。
④ 鬼が島に到着し、鬼退治をする。
進行はクリックにより文章が進んでいく本に近い形であ
るが、場面によって背景や登場人物が切り替わるビジュアル
や、選択肢による物語の分岐といったギミックを盛り込んで
ある。
工夫した点は本来のストーリーに「仲間が足りず、鬼が倒
せない」という展開(いわゆるバッドエンド)を追加したこ
とである。これは仲間に出会うときにきび団子をせがまれる
が、“あげない”を選択することにより発生する。
図 1 ゲーム画面
5. まとめ
かねてより自分でゲームを作ってみたいと思っており、そ
の中でも特に気に入っているアドベンチャーゲームにチャ
レンジした。開発は、商用・同人問わず広く使われている吉
里吉里 2 で行うことにした。ストーリーについては以前から
温めていた物があり、これを完成させて実装する予定であっ
た。しかしながらスケジュール通りに作業が進まず、やむを
得ず既成の物で代用することにした。またそれにあわせて絵
や制御プログラムを書き、一応の完成物をみるに至った。
作成を通じて感じたことは、改めて吉里吉里 2 がよくでき
ているということ。特に凝ったことをしなければ僅かな
KAG3 の知識だけでゲームが作れてしまう。製作者はその分
ストーリーや作画に注力することで完成度の高い作品が作
れるだろう。
いつかはオリジナルの作品を完成させるために今後も継
続して開発を行っていく。現在は TJS2 や KAG3 のさらなる
習得に力を入れている。これらは C 言語や JAVA などと比べ
てマイナーな言語であるため情報が乏しく、トライ&エラー
の連続である。目標は高く険しいかもしれないが、大学で学
んだ専門的な知識はもちろんのこと、この研究を通して知っ
た自分の手で作ることの楽しさや充実感を糧にがんばって
いきたい。
[参考文献]
[1] 吉里吉里 ダウンロードページ,
http://kikyou.info/tvp/
[2] KAG System リファレンス,
http://devdoc.kikyou.info/tvp/docs/kag3doc/contents/