Japanese Association of Behavioral and Cognitive Therapies 

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Japanese 　Assooiation 　of 　Behavioral 　and 　Cognitive 　Therapies

行動療 法研究，37（1），21−31，2011

〈資　料〉

日本語版 Environmental　Reward 　Observation　Scale（EROS ）

　　　　　　　　　　の 作成 と信頼性 ・妥当性 の 検討

国里　愛彦1・2

高垣 　耕企3　岡島　義

4・　5　中島　俊5

石 川　信一

　　　 金井　嘉宏7　岡本　泰昌

1坂野　雄二

8　山脇　成人1

要　約

　本研究は、環境中の 報酬知覚 に つ い て測定す る 自己 記 入 式 尺 度 の Environmental　Reward 　Observa−

tion　Scale （EROS ）日本語 版を作成 し、信 頼 性 と 妥 当性 の 検 討 を行 う こ とを 目的 と した。大学生 と専門

学校生 を対象 に 調査 を行 い 、414 名 （男性 269名、女性 145名 ；平均年齢 18，89± 0．93歳） を解析対象

と し た。探索的 ・確認的 因 子 分析の 結 果、日本 語 版 EROS は 1 因子 構 造 を示 し た 。 信頼性 に お い て 、

日本語版 EROS は十分な内的整合性 と再検査信頼性を示 した。 項 目反 応理 論 に よ る検討 を行 っ た結 果、

広 範囲な 特性値 に お い て 測定精度 の 高 い こ とが 示 された 。 日本語版 EROS は 、抑 うつ ・不 安症状 や 行

動抑制 傾 向との 負の 相関、行動賦 活傾向 と正 の 相関 を示 した 。 不安症状 を統制 した場合、日本語版

EROS は ア ン ヘ ドニ ア 症 状 との 相関が 最 も強 い 値 を示 した 。 以 上 よ り、日本版 EROS の 構成概念妥当

性が確認 され た。

キーワード ： ア ン ヘ ドニ ア　うつ 病　行動 活性化　環境 中の 報酬知覚

問題 と目的

　興味また は喜び の 喪失は ア ン ヘ ドニ ア と も呼

ばれ 、うつ 病 に お ける 中核 症状 の 一つ で あ る

（American　Psychiatric　Association，2000）。 ア

ン ヘ ドニ ア は 、 うつ 病 の 予後 を悪化 させ る リス

ク フ ァ ク タ ーの

一つ とされて い る （McFarland

et　aL 　2006）。 不安 と抑 うつ に対する統合的 な ア

プロ ーチ に お い て は、ネガ テ ィ ブ情動の 高さは

多 くの 感情障害に共通 して い るが、ア ン ヘ ドニ

アの ような ポジ テ ィ ブ情動の 低さは抑うつ 症状

1広島大学大学院医歯薬学総合研究科

2日本学術振興会特別研究員

3北 海道医療大学大学院心理 科学研 究科

4財 団 法人 神経研 究所附 属 睡眠 学 セ ン ター

5東 京 医 科大学 睡 眠 学 講 座

6宮崎大学教育文化学部

7広島大学大学院総合科学研究科

8北海道医療大学心理科学部

　（2010（平成 22）年 11月 10 日受理 ）

もしくは 社交不安症状 にお い て特異的に認め ら

れ る こ とが指摘 され て きて い る （Brown　et　a1．，

1998）。 治療的介入 にお い て も、ネガ テ ィ ブ情

動 の 低減 に焦点 を当て た介入だけでな く、ポジ

テ ィ ブ情動の 増加に焦点を当て た介入が提案 さ

れて きて い る 。 その ような介入法の一

つ に行動

活性化がある 。

　Lewinsohn　et　al．（1978）は 、 うつ 病 に なる と

行動 に 随伴 した正 の 強化 を受ける機会が減少す

る こ と に 注 目 し、快 出 来事質 問票 を作成 し

（MacPhillamy＆ Lewinsohn，1976）、 快活 動 を

増や す こ とや社会的ス キル を身に つ ける行動活

性化 プロ グ ラ ム を作成 した 。 同 時期、うつ 病に

対す る認知療法 （Beck 　et　al．，1979）の 中で も行

動活性化が使用 され、認知的技法 と行動的技法

を用 い た複合的な治療パ ッ ケージに よっ て うつ

病の 認知行動療法は展開 した 。 しか し 、 Jacob−son ら の 研究グ ル ープが 認知療法の 要因分析を

行V 丶 行動活性化、認知再構成、フ ル パ ッ ケー

一 21 一

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行 動 療 法 研 究 第 37巻 第 1号

ジの 認知療法の 3 群で 効果 を比較 した 結果 、 3群 間の 効果 は、治療直後、半年後そ して 2 年後

の フ ォ ロー

ア ッ プの すべ て にお い て差が 認め ら

れなか っ た （Gortner　et　al．．　1998；Jacobson　et　al．，

1996）ロ

　 これ ら の 研究か ら、Martell　et　al．（2001）に

よ る行動活性化 法や Lejuez　et　al．（2001）に よ

る 短期行 動活性化法 （brief　behavioral　activa −

tion　treatment　for　depression：BATD ）が新 た

に開発 された 。 これ らの 治療パ ッ ケー

ジは、機

能分析 を重視 した個別的ア プ ロー

チ を と る点、

うつ 病 におけ る回避行動 を扱 う点 、 文脈主義 ア

プ ロー

チ をとる点が 従来の 行動活性化 と異な

る 。 行動活性化の 治療効果 に つ い て メ タ分析が

行われ て お り、行動活性化 は統制群 と比較 して

治療効果が 高 く、認知行動療法やそ の 他の 心理

療法 と比較 して も、その 効果 に遜色が ない とさ

れ て い る （Cuijpers　et　al．，2008；Mazzucchelli　et

aL ，2009）。

　行動活性化で ターゲ ッ トとなる よ うなア ン ヘ

ドニ ア を測 定す る 尺 度 と して は、Fawcett−

Clark　Pleasure　Capacity　Scale （Fawcett　et　al．，

1983）や Chapman 　Physical　Anhedonia　Scales

（Chapman 　et　aL ，1976）が有名で あ るが 、項 目

数が多 く、文化差が大 きい 点が指摘 されて い る

（Snaith　et　al．，1995）。 また 、 ア ン ヘ ドニ ア 自体

が うつ 病の 症状で あ り、症状の 評価指標として

使用す る こ とは で きて も、 行動に随伴する正 の

強化が 減 っ て い るか どうか とい う行動活性化の

メ カ ニ ズ ム の 検討 には 向か な い 。MacPhillamy

＆ Lewinsohn （1976）が作成 した快 出来事質問

票は 、320項 目の 快出来事 に つ い て経験頻度 と

そ の 快度を求め る もの で、網羅的に環境中 の 報

酬 を検討し、行動に随伴す る正 の 強化 に つ い て

測定す る尺度で あ る 。 しか し、快出来事質問票

は実施に 1時間近 くかか り、治療経過 中に反復

測定す る こ とは臨床上難 しい 。 また、快 出来事

質問票にお い て挙げられ て い る項 目が すべ て の

人 にお い て快事象で はない こ と 、 正 の 強化 され

る活動はすべ で 快活動で あ る とは限 らない とい

う問題 が 指摘され て い る （Manos　et　aL 　2010）。

その た め 、 個 々 の 快事象に よ らずに、広 く行動

に随伴 する正 の 強化 の 程度に つ い て 測定で きる

尺度が 臨床 と研究の 両方か ら求め られて い た 。

　こ れ ら を 踏 ま え て 、Armento ＆ Hopko

（2007）は、行 動 に随伴す る正 の 強化 に つ い て

主観的 に評価する 自記式質問紙 Environmental

Reward　Observation　Scale（EROS ）を作成 して

い る 。 EROS の 作 成 に あ た り、Armento ＆

Hopko （2007）は 、行動 に随伴す る正 の 強化子

に つ い て 、1）潜在的に 強化 され 得 る 出来事 の

数 、 2）環境 にある 強化子の 利用可能性、3）強

化を引 き起 こす よ うな道具的行動の 三 つ の 側面

か ら項 目収 集 を行 い 、10項 目か らな る原 版

EROS を作成 した 。　 EROS は個 々 の 快事象に対

する 反応で は な く、個人が生活す る環境中で 経

験する強化子が 多い の か 少ない のか、どの くら

い 自分 の 行動 に対 して 正 の 強化子が随伴 して い

るか どうか につ い て、主観的かつ 全体 的に評価

を行 う。 ま た 、 EROS は個 々 の 快事象を取 り上

げない ため項 目数が少な く、短時間で 個人の 環

壌中の 主観的報酬知覚を測定す る こ とが可能 と

なる 。 EROS は 、 内的整合性 、 再検査信頼性 と

もに十分 な値 を示 し て い る （Armento ＆ Hop −

ko，　2007）。　 EROS と抑 うつ 症状 や不安 との 間に

は負の 相 関が 、 行動賦活系傾向や快出来事質問

票と の 間に は正 の 相 関関係 が確 認 されて い る

（Armento ＆ Hopko，2007）。　 EROS が 高い ほ ど

環境 中の 主観的報酬知覚が高 い こ と を意味 し、

EROS が 高い ほ ど行動賦活傾 向 も高 く、抑 うつ

や不 安 は低 くな る 。 また 、 Arment ＆ Hopko

（2007）は 、 実験協 力者 に 1週 間の 活動 モ ニ タ

リ ン グを依頼 し、活動 とその 結果 と して の 報酬

価の大 きさ を記録させ た 。 そ して 、EROS か ら

生活上 の 報酬価の 高 い 行動 と低 い 行動 に 費や し

た 時間を予測で きる こ とを明 らか に して い る。

こ の結果か ら、EROS は 、 生活上の 行動に随伴

する正 の 強化子に つ い て の 予測的妥当性も有 し

て い る とい える 。

　また、EROS と抑 うつ 症状 との 関連は快 出来

一 22一

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国里・高垣 ほ か ： 日本語版 Environmental　Reward 　Observati。 n 　Scale （EROS ）の 作 成 と信頼性 ・妥当性 の 検討

事 質問票 と抑 うつ 症状 との 関連 よりも強 い こ と

が示 されてお り、快活動 した数 よ りも個 々 の 活

動 に よ らない 主 観的報酬知覚の ア セ ス メ ン トが

重要 と い える （Armento ＆ Hopko，2007）。 行動

活性化法 を行 っ て い る ときに、快出来事質問票

に お い て 多 くの 活動が 報告 され て も、 それがそ

の 個人の 価値に沿 っ て な い 場合や 回避行動で あ

る 場 合 は 、 うつ 病 の 改 善に は つ なが ら な い

（Martell　et　a1．，2001）。　 EROS を用 い て 、行動活

性化法 を行 っ て い る と きの 主観的な報酬知覚 を

モ ニ ターす る こ とで 、介入手続 きが価値 に従 っ

た行動 を増や して い るのか 、ター

ゲ ッ ト行動を

行 うこ とで 十分な正の 強化を受け られ た と患者

が感 じるこ とがで きて い るの か検討す る こ とが

で きる 。 これ らが で きて い な い 場合は 、 価値の

明確化、活動の 再検討 もし くは環境調整 を行う

な ど、EROS に基づ い て個別的な ア プ ロー

チ を

行 うこ とが可能 となる 。

　 近年、EROS は行動活性化 における治療効果

の 評 価 指 標 と し て も使 用 さ れ て きて い る 。

Daughters 　et　al．（2008）の 物質関連 障害患者 に

対 す る 行 動活性 化 （Life　Enhancement 　Treat−

ment 　for　Substance　Use：LETS 　Act1）や Gawry −

siak　et　al，（2009）の 大学生 の抑 うつ の 問題 に対

する短期行動活性化法にお い て、治療効果の評

価 指標の一

つ と して EROS が 使用 され て い る 。

Daughters　et　al．（2008）　と Gawrysiak　et　al．

（2009）にお い て は、行動 活性化 を行 うこ とで

EROS の 得 点が有意に 高 くなる こ とが報告 され

て お り、行動活性化 に よ っ て 環境 中の報酬知覚

が 高くな る こ とが 示 されて い る 。

　 以上の よ うに 、 EROS は行動活性化 における

中心概念 の一

つ で ある行動に随伴 する報酬の 知

覚に つ い て の 主観的評価を少な い 項 目で簡易 に

測定す る こ とがで き、 十分な信頼性 ・妥当性が

認 め られ て い る 。 行 動活 性化 を行 う うえで 、

EROS を用い て主観的な行動に随伴する正 の 強

化につ い て ア セ ス メ ン トす る こ とは 臨床的に 有

用 で あ る 。 また、Martell　et　al．（2001）の 行 動

活性化 法や Lejuez　et　al．（2001）の 短期行 動活

性化法を本邦に導入 する に際 し、これ らの パ ッ

ケー

ジが 海外 と同様な効果 と作用 メ カ ニ ズム を

示 すの か EROS を用 い て 検討す る こ とが今 後

必 要 と な る 。 そ の た め、本研 究 は 日本 語 版

EROS を作成 し、そ の 信頼性 と妥当性に つ い て

検討 を行 うこ とを目的 と した。

方 　法

1． 調査対象

　 4 年制大学 、 また は専 門学校 に通 う学生 534

名か ら調査へ の 協力 を得 た 。 記入漏れや 記入 ミ

ス の あ っ た 回 答を 除 き、414名 （男性 269名 、

女性 145 名 ；平均年齢 18．89± 093 歳）を解析

対 象 と した 。 なお、再 検査信 頼性 の 検討 の た

め 、 172名 （男 性 64 名、 女性 108名 ；平 均 年

齢 1891 ± 083 歳）に は 、調査 か ら 2 週 間後に

再度調査 を実施 した 。

2． 調査内容

（1） EROS

　原版 EROS ・（Armento ＆ Hopko，　2007）は、1

因子 10 項 目か らな る 自記式 の 質問紙 で あ る 。

原著者 の 許諾 を得 た うえで EROS を日本語 に

翻訳 し 、 日本語 に堪i能なネイテ ィ ブ ス ピーカ ー

に よ る バ ッ ク トラ ン ス レ ーシ ョ ン を行 っ た 。 日

本語版 と原版 との等価性 を検討するため、バ ッ

ク トラ ン ス レ ーシ ョ ン を行 っ た もの と原版 と の

比較 を原著者に依頼 し、等価性 に つ い て確認 を

得 た 。 EROS に は 、逆転 項 目が 含 まれ て お り、

項 目 2、 項 目 5、 項 目 6、 項 目 7、 項 目 9 は逆転

項 目 とな る 。 EROS 日本 語版 も原版 EROS に

従 い 、4 件法 （「1．全 くそ う思 わ な い 」〜

「4．

と て もそう思 う」）で 実施 した 。

（2）　 Behavioral　Activation　System ／Behavi−

oral 　lnhibition　System　Scale（BIS／BAS 　Scale）

　Carver ＆ White （1994）に よ っ て 作成され た

BIS／BAS 　Scaleを、高橋 ら （2007）が邦 訳 し、

信頼性 と妥当性 を確認 した 日本語版 BIS／BAS

尺度 を使用 した 。 本尺度は 、 行動抑制シ ス テ ム

と行動活賦活 シ ス テ ム の 20 項 目か ら構成 され

る。行動抑制シス テ ム は 1因子 で あ り、行動賦

一 23一

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行 動 療 法 研 究 第 37巻 第 1号

活 シ ス テ ム は、報酬反応 性 （Reward　respon −

siveness ： BAS ＿RR ）、駆 動　（Drive： BAS −D ）、

刺激探 求 （Fun　seeking ：BAS ＿FS）の 3 因子 か

ら構成 され る 。 回答 は 4 件法で 求めた 。

（3）　Beck 　Depression　Inventory−1工 （BDI −II）

　 Beck　et 　al．（1996）に よ っ て作成 され た BDI−

IIを 、　 Kojima 　et　al、（2002）が邦訳 し、 信頼性 と

妥当性 を確認 した 日本語版 BDI −IIを使用 した 。

本尺 度は 21項 目か ら構成 され、4 件法に よ っ

て 回答 を求める抑 うつ 症状評価尺度で ある 。 な

お 、本研究にお い て は、倫理的配慮か ら自殺 に

関する項 目 9 は実施 しなか っ た 。 また 、 合計得

点の 検討と ともに、Pizzagalli　et　al．（2004）に

従 い 、ア ン ヘ ドニ ァ傾向を測定す る下位尺度得

点 （項 目 4＋ 項 目 12＋ 項 目 15＋ 項 目 21＞、メ

ラ ン コ リ親和傾 向を測定する 下位尺度得点 （項

目 4＋ 項 目 5＋ 項 目 11＋ 項 目 12＋ 項 目 16 の

b＋ 項 目 21） も算 出 した 。

（4）　Center　 for　 Epidemiologic　Studies　 De−

pression　Scale （CES −D ）

　Radloff（1977）に よ っ て作成 さ れ た CES −D

を島ら （1985）が 邦訳 し、信頼性と妥当性を確

認 した 日本語 版 CES−D を使用 した 。 本尺度 は

20 項 目から構成 され、4 件法に よ っ て 回答 を求

め る抑 うつ 症状評価尺度で ある。

（5＞　State−Trait　Anxiety　Inventory （STAI ）

　Spie！berger　et　al．（1970）に よ っ て作成 され た

STAI を肥 田野 ら （2000）が 邦訳 し、信頼性 と

妥 当性 を確認 した 日本語版 STAI を使用 した 。

本尺度で は状態 不安 と特性不安 が測定で きる

が 、本研究で は特性不安を測定 した 。 STAI の

特性不 安は 20 項 目か らな り、 4 件法 で 回答 を

求 めた 。

3． 調査手続 き

　質問紙は講義前、また は終了後に 配布 ・実施

された 。 調査実施にあた り、調査 の概要、調査

へ の 協力が 自由意思 で ある こ と、い っ た ん調査

に協力 して も撤回が可能で ある こ と、個人情報

保護 に つ い て書面お よび口頭で 説明 し、同意が

得 られ た者か ら回答 を求 め た 。 なお 、 本 調査

は、北海道医療大学心理科学部倫理委員会の 承

認を得たプ ロ トコ ル に従 い 実施 した 。

4． 分析

　 日本語版 EROS の 因子構造 を検討する ため、

探索的 ・確認的因子分析を行 っ た。項 目検討に

お い て は、項 目反応理論 を適用 した検討 を行 っ

た 。 項 目反応理論 は、項 目の 特徴 （項 目母数）

と調査対象者の 特性値 （θ）とを独立 に推定す

る理論で ある 。 本研究で は、項 目母数 と して識

別力 と困難度 （境界特性値） を検討す るた め 、

2 母数 ロ ジス テ ィ ッ ク モ デ ル を用 い た 。 信頼性

の 検討 は 、 再検査信頼性 、 Cronbachの α 係数

に よる内的整合性、項目反応理論 に よ る テ ス ト

情報関数か ら検討 した。構成概念妥当性 にお い

て 、EROS と行動 抑 制 ・行 動賦 活傾 向 （BIS／

BAS 　Scale）、抑 う つ くBDI −II，　 CES −D ）、不 安

（STAI ）との 関連性 を検討 した 。 なお、抑 うつ

と不安は 、 同 じネガ テ ィ ブ情動を基盤 として お

り関連性が強 い 。 そ の た め、本研究で は、偏相

関分析 を用 い て 、 特性不 安 を統制 した EROS

と抑 うつ 症状 との 関連 も検討 した 。 解析 に は、

R （ver ．2．10．1）を使用 し、項 目反応 理 論 に R

の ltmパ ッ ケージ （ver ．　O．9−3）と Polycorパ ッ

ケージ （ver ．　O．7−7）を用い た 。

結　果

1， 日本語版 EROS の 因子 構造の検討

　 日本語版 EROS に対 して、最尤 法に よる探

索 的因子分析 を行 っ た （Table　1）。 ス ク リープ

ロ ッ トと 固有値 落差 か ら、1 因子解 を採用 し

た 。 項 目 2 と項 目 7 の 因子 負荷量 が や や低 い

が 、 それ以外 の 項 目は ．43 か ら ．70 と十分 な因

子負荷 を示 した 。 探索 的因子分析結果 の 交差妥

当性を検討す るため 、 確認的因子分析を行 っ た

と こ ろ 、十 分 なモ デ ル 適 合度 が確 認 で きた

（AGFI ニ．90，　CFIr89 ，　RMSEA ＝．08）。

2， 項 目反応理論に よ る項 目検討

　項 目反応理論 を用 い て、EROS 各項 目に対 し

て 、識別力 （α）と境界特性値 （b）を推定 した

（Table　1）。 識 別力 に つ い て は、項 目 2 と項 目

一 24 一

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国里・高垣 ほ か ： 日本語版 Environmental 　Reward 　Observation　Scale（EROS ）の 作成 と信 頼性 ・妥 当性 の 検討

Table 　lFactor 　 Loadings ，　 Iteエn −Total　 Correlations，　 Discrimination　 Parameters

Parameters （b）of　the　Environmental　Reward 　Observation　Scale（a ），and 　Threshold

No ItemFactor　 Item−total

loading　correlationbO bl　 　 b2

1

2

3

4

5

6

7

8∩

コ

0

　

　

1

生活上 の多くの 活動が楽しい

最近、私は経験 した多くの 出来事に よっ て 不

幸にな っ て い る こ と に気が つ い た’

一般に、私は 自分 の 時間 の過ご し方に とて も

満足 して い る

生活の 中で 楽 しみ を見つ ける こ とは私に と っ

て 簡単 だ

他の 人 は もっ と満ち足 りた 生 活を送 っ て い る

よ うにみえる申

か つ ては楽 しか っ た活動が もは や満足で きな

い痢

私は楽 しい 気分に なる ような趣味をも っ と見

つ けられた らと思 う’

私は 自分の 成果に満足 して い る

私の 生活 は退屈だ’

私が行 う活動はた い て い 好ま しい 結果に な る

O、59

0．33

O．70

O．68

0．43

0．45

O．25

0、540．680．45

O．61

α45

0．70

0，69

O．56

O．55

O．41

0．570．720

．51

092　　− 270　　− 079　　1ユ9

0．40　　− 5，43　　− 2，79　　0．65

1．17　　− 1，38　　− 0，02　　1．37

1，16　　− L63　　− 0．19　　1．00

0．56　　− 1．28　　　0．83　　2．73

0．60　　− 3．11　　− 1．22　　1．23

0．28　　− 1．03　　　2．00　　4、82

076　　− 1．07　　　　0．99　　2．831ユ0　　− 1．67　　− 0．28　　0910．63　　

− 1．82　　　 1．17　　382

Contribution（％）　　28，10’Reverse−scored 　item

　 　　 　 〔a ）　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （b）　 　 　 　 　 6　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 40

　 　 　 　 　 　 　 　 35　 　 　 　 　 5

　　　　塁4 　 ，

3°

　　　　9　 薹2s

　　　　∈3　 羣

2°

　　　　錐2 　 ・5

　 　 　 　 　 　 　 　 10

　 　 　 　 　 1　 　 　 　 　 　 　 　 5

　 　 　 　 　 0　 　 　 0

　 　 　 　 　 　 −4 −3 −2 −101234 　−4 −3 −2 −101Z ヨ 4

　 　　 　　 　　 　　　 Trait　Value （θ）ofEROS 　　　　　　　　　　　　　　　　　Trait　Value （θ）ofEROS

Fig．1　Test　Information　Curve （a）and 　Test 　Characteristic　Curve （b）of　the　ErlvirQnmental　Reward

　 　　 Observation　Scale

7が や や低 い 値を示 したが、それ以外の 項 目は

適度 な値 を示 して い た 。 境界特性値に 関 して 、

項 目 2 は困難度が高 く、項 目 7 は困難度が低い

傾向が あっ た 。

3． 日本語版 EROS の 信頼性の検討

　日本語版 EROS の 内的整合性 を検討 した と

こ ろ 、 Cronbachの α 係数は 0．78で あ っ た。ま

た 再 検査信頼 性は 、r ＝O．75 で あ っ た 。 項 目反

応理 論に よるテ ス ト情報曲線を検討 した とこ ろ

（Fig．1a ）、 広範囲の 特性値 （θ）にお い て 、測

定精度が高い こ とが 示 され た 。 なお 、 特性値と

合計得点とをプ ロ ッ トしたテ ス ト特性 曲線 も

一 25 一

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行 動 療 法 研 究 第 37巻 第 1号

Fig1 （b）に示す 。

4， 構成概念妥当性

　各質問紙 の 平均 と標準偏差 を Table　2 に示

す 。 t検定を用 い て 、　 EROS の 性 差 を検討 した

と こ ろ、有 意 な性 差 は 認 め られ な か っ た

（t（412）一一〇．94，　n ．s．）。

　 EROS と抑 うつ 、不安、

行動抑制 ・行動賦活傾向との 関連を検討す る た

め に、単相 関分析 を行 っ た （Table　2）。　 EROS

と抑 うつ に関 して は 、 CES −D 、　 BDI −II、 そ して

BDI −IIの 下 位尺 度 と もに 中程度 の 負 の 相 関 が

認め られ た 。 また、EROS は特性不安と強 い 負

の 相関 を示 した 。 行動抑制 ・行動賦活傾向との

関連性に お い て は、EROS は行動抑 制傾向と負

の相関、行動賦活傾 向の駆動とは正の相関 を示

した 。

　 EROS と特性不安 との 関連性が強 い ため、特

性不安の 影響を除い た抑うつ 症状、行動抑制 ・

行 動賦 活傾 向と EROS と の 関連を検討 す る た

め に、STAI を統制 した偏 相 関分析 を行 っ た

（Table　3）。 不安 を統制 して も抑 うつ 症状 や 行

動賦 活傾 向との 有意 な関連性が認め られ た 。 な

お、特性不安を統制 した場合、抑うつ 症状の 中

Table　2　Correlations　among 　Self−Report　Assessment　Instrumen亡s，　Means 　and 　Standard　Deviations（SD ）

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ユ1

1，EROS

2、BIS3

、BAS4

、BAS 　 D

5．BAS ＿RR

6．BAS 　 FS

7，CES−D8，　 BDI．II9．BDI −H

　 　 Anhedonia

lO．　 BDI−II

　 　 MelallchQlia

ll、　 STAI −TMeanSD

1．00　　　− 0．39鱒嘔　　0．06

　 　 　 1．DO　　　　O．36脚拿

1．00

0ユ6榊

一D．020．43韓91

．00

0．060．36騨零

0．87榊

o．46吶韓

1．00

一〇．02　　　

− O．57騨寧　一〇、55騨曠　一〇．54纐躍　一〇．45寧鱒

一〇．33．騨　　　0．46i”　　　0．43鱒辱　　 0．19喀鱒　　　0．29嘔鱒

一〇．78宰牌 　　　O，08　　　　0，05　　　− 0，02　　　　0，040．03　　　

− O．09　　　− 0．08　　　

− 0．07　　　− 0．06

− 0．53鱒「　　 O．05　　　　0．02　　　− 0．06　　　

− 0，011．00　　　

− 0．09　　　− 0．09　　　

− 0．03　　　− 0．06

　 　 　 　 1．00　　　　　0．76帥．　　　0．58ホホゆ　　　0．61ホ鱒

　 　 　 　 　 　 　 　 1．00　　　　0．76牌，　　 0．81畔申

25．30　　　20，54　　　33，86　　　　11．65　　　15．34　　　　19．11　　　 16，99　　　　11，785．Ol　　　　4．58　　　11．97　　　　　2、61　　　　2．6ユ　　　　12．62　　　　9．71　　　　8．37

1．OO

1．501、75

一〇、65鎚曠

0．61寧寧喀

0．02− 0ユ2霧

0ρ2− 0．050

．72掌鱒

0．71辮

084騨゚　　 0．45韓゚

1、OO0 、52ホ帥

　 　 　 1，002．02　　　48、572、22　　　　1D．57

IV σte．　EROS ＝Environmenta ［Reward 　Observation　Scale、　BIS＝・Behavioral　lnhibitien　System，　BAS ＝Behavieral　Activation

System，　BAS＿D ；　Behavioral　Activation　System　Drive，　BAS ＿RR 三Behavioral　Activation　System　Reward 　Responsjveness ，BAS ＿FS ＝Behavbral 　Activation　System　Fun　Seeking，　CES −D ＝Center　for　Epidem正ologic 　Studies　Depression　Scale，　BDI−II＝Beck　Depression　Inventory−II，　STAI 　T ＝State−Trait　Anxiety 　Inventory −Trait　version拿ヵ＜ ．05，

鱒p＜ 、Ol，

．鱒ρ＜ ．001

Table　3　Partial　Correlation　among 　Self−Repert　Assessment　lnstruments　with 　STAI−T　Scores　Controlled

BIS　 BAS 　 BAS 　D 　 BAS 　RR 　 BAS 　FS 　 CES−D　 　　　　 BDI一工工　　　　 BDI−IIBDI −1工　 　　　 Anhedonia　 Melancholia

EROS 　　O．01　 0．IO’

　　 0．11順 0ρ9 一〇，08　　

− 0．19騨率　 一〇ユ7棉覇　　　

一〇，36富ホi 一〇．18

嚀脚

ムlote．　 EROS 　＝　Environmental　 Reward 　Observation　Scale，　 BIS； Behavioral　 Inhibition　System，

BAS ＝Behavioral　Activation　System，　BAS ＿D ＝Behavioral　Activation　System　Drive ，　 BAS ＿RR ＝Behavioral　Activation　 System　 Reward 　 Responsiveness，　BAS −FS ＝ Behavioral　ActivatiQn　SystenlFun 　 Seeking，　 CES−D ニ Center　 for　 Epidemiologic　 Studies　 Depression　 Scale，　 BDI −II＝ Beck 　 Depression

hlventory−II，　STAI 　T ＝State−Tr 証t　Anxiety 　InventQry−Trait　version寧ヵ＜．05，

材1）＜ ．Ol，

事”i）〈．001

一 26 一

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国里 ・高垣 ほ か ： 日本 語版 Environrnenta1　Reward 　Observation　Scale（EROS ）の 作成 と信頼 性 ・妥 当性 の 検討

で も、ア ン ヘ ドニ ア症状 との 関連が最 も強か っ

た。

考　察

　本研 究の 目的は、日本語版 EROS を作成 し、

その 信頼性 と妥当性 を検討す る こ とで あ っ た 。

本研究にお い て、 日本語版 EROS の 信頼性 と

妥当性を確認する こ とが で きた 。

　探索的因子分析 と確認的因子分析の 結果、日

本語版 EROS にお い て も原版 EROS と同 じく

1因子構造が認 め られ 、因子的妥当性が確認で

きた 。 IT 相関 も O．41〜0．72 と十分な値を示 し 、

内的一貫性に優れ て い る 。 しか し 、 項 目 2 と項

目 7 の 因子負荷量は低い 値 を示 した 。

　EROS の 各項 目に つ い て 項 目反応理論を適用

した と こ ろ 、多くの 項 目にお い て 、適度な識別

力 と境界特性値が 認め られ た 。 しか しなが ら、

項 目 2 と項 目7 は識別力が低 く、 項 目 2 は境界

特性値 が極端 に低 く、項 目 7 は境界特性値が極

端 に高か っ た 。 両 項 目 とも逆 転項 目で あ る の

で 、 項 目 2 の 「最近 、 私 は経験 した多 くの 出来

事 に よっ て不 幸に な っ て い る こ と に気 が つ い

た」 に対 しては 、 多 くの 人が 同意 しに くく、 項

目 7 の 「私 は楽 しい 気分 に なる よ うな趣味 を

もっ と見つ けられ たらと思 う」 に対 して は、多

くの 人が 同意 しやす い こ とが 明 らか とな っ た 。

原版 EROS にお い て は、項 目 2 （0、72）と項 目7

（O．59）の 因子負荷量 は他 の 項 目に 比べ て決 し

て低 くな く （Armento ＆ Hopko，2007）、 日本 と

米国 とで項 目 2 と項 目 7 に対す る反応が異 なる

可能性がある 。 項 目 2 と項 目 7 に対す る反応が

日米間で異なる の は、一つ に は項 目 2 と項 目 7

にお い て 原版との 等価性が低 くなっ て い る可能

性がある 、 もし くは主観的報酬知覚にお い て は

日米 の 文化差が あ り、 日本 に お い て は項 目 2 や

項目 7 は極端 な反応 を引 き起 こ して しまう可能

性が考 えられる 。

　Cronbachの α 係数を用 い た内的整合性 の 検

討 の 結 果、α 係 数 は O．78 を示 し、日 本語 版

EROS は十分な内的整合性 を示す こ とが明 らか

とな っ た 。 また、2 週 間の 間隔 をお い た再検査

信頼性 の 検討 の 結 果、2 時点 問の 相 関係 数 は

O．75で あ り、時間的な一貫性 に関 して も日本語

版 EROS は 十分な値 を示 した。項 目反応理 論

に お ける テ ス ト情報曲線は、特性値の 程度に対

応 したテ ス トの 測定精度 をプ ロ ッ トした もの で

ある が、日本語版 EROS は特性値が一2 か ら 2

の 間で高い 値を示 した 。 これ は、特定の 特性値

の 者に の み測定精度が高い の で はな く、環境中

の 報酬知覚が低 い 者か ら高 い 者 まで 、 広範囲の

特性値の 者 を精度高 く測定で きる こ とを意味す

る 。 日本語版 EROS は 、 環境 中の 報酬 知覚が

低 くなる と予想 され る 臨床群か ら 、 環境中の 報

酬知覚が高 くなる と予想 される健常群 まで幅広

い 対象者に対 して 精度高 く測定する こ とが 可能

で ある 。

　 日本語版 EROS に つ い て構成概念妥当性 を

検討するた めに 、 EROS と抑 うつ、 不安 、 行動

抑制 ・賦活傾向 との 関連 に つ い て 検討 した 。 原

版 と同 様に、 日本語版 EROS に お い て も、抑

うつ 症状 と中程 度の 負 の 相 関関係が認 め られ

た 。 こ の 結果は抑 うつ 症状が環境中の 報酬1知覚

の 減退や行動 に随伴す る正 の 強化子減少 と関連

す る とす る うつ 病の 行 動理 論 （Ferster，1973：

Lewinsohn＆ Amenson，1978）を支持す る結果

で あ っ た 。 ま た 、 環境 中の 報酬知覚が 高 い 者

は、活発 に行動する一

方で 、行動抑 制は低 い と

考 えられ る 。 こ れ に つ い て、BIS／BAS 尺 度 を

用 い て 検討 した と こ ろ 、 EROS は行動抑制 と中

程度 の 負 の 相 関、行動賦活 と弱 い 正 の 相関 を示

し、原版 と も一致する結果で あっ た 。

　 本研究で も 、 特性不安 と EROS と の 間 に は 、

強 い 負の 相関が認め られた 。 近年、不安障害 と

うつ 病との合併が 注 目され て きてお り、 不安障

害と抑うつ に共通する基盤 として ネガテ ィブ情

動性 が挙 げ られて い る （Barlow 　et　aL ，2004）。

ネガテ ィ ブ情動性は、回避 ・逃避行動 を引 き起

こ し、結果 と して 正 の 強化子 に接触する機会を

少 な くす る と推測 され る 。 その ため、EROS は

不安 に も抑 うつ に も中程度か ら強 い 負の 相関を

一 27 一

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行 動 療 法 研 究 第 37巻 第 1号

示 した と考えられ る 。 こ の ネガ テ ィ ブ情動性 の

影響 を除外するため に 、特性不安 を統制 した偏

相関分析 を行 っ た と こ ろ 、弱い なが らも抑 うつ

と EROS に は負の相 関関係が 認め られ 、抑 う

つ 症状 の 中で もア ン ヘ ドニ ア 症状 と EROS と

は最 も強 い 相関 を示 した 。 ネガテ ィ ブな情動性

の 影響が除外 され て も 、 環境 中の 報酬知覚の 程

度 とア ン ヘ ドニ ァ 症状 に は関連 が認 められた 。

なお 、行動賦 活傾 向と EROS に は弱 い 正 の 相

関関係が 認め られ 、 特 に 動 因 と EROS と の 間

には不安 を統制 して も一貫 して正 の 相 関関係が

認め られた 。 EROS は 、 報酬反応性 よ りも動因

と の 関連が強 く、報酬 へ の 感受性 自体 よ りも、

報酬 に向けた行動始発 に関連 して い る と考えら

れる 。 しか し、 先行研究に 比べ、 本研究で 確認

さ れ た EROS と行 動賦 活傾向 と の 関 連は 弱 い

もの で あ っ た 。 こ の 点 につ い て は、行動活性化

に特化 した Behavioral　Activation　for　Depress−

ion　Scale（Kanter　et　aL，2007）に よ っ て 測定 さ

れ る行動賦 活傾向との 関連 を検討する な ど 、 今

後の さらなる検討が必要 とい える 。

　 以 上 の よ うに、本 研 究 に お い て 日 本語 版

EROS が 開発 され 、信頼 性 と妥当性が 示 され

た 。 日本語版 EROS は、抑 うつ 症状 と の 関連

性が強 く、ア ン ヘ ドニ ア症状改善の 指標 として

も使 え る か も しれ ない 。 EROS は項 目が 10 項

目と少 な く、快出来事質問票に比 べ て短時間で

実施す る こ とが で きるため 、質問紙実施にお け

る患者 へ の 負担が少な い。 その た め 、 介入経過

中も継続的に測定する こ と も可能で あ り、介入

に よ る 環境 に対す る主観的な報酬知覚の 変化を

評価する こ とが で きる 。こ れ に よ り、 行動活性

化の 手続 きが うま くい っ て い るか どうかを、行

動の増加量や抑 うつ 気分の低下だ けで な く、 環

境か ら強化 され て い る と感 じ る程度か らも評価

で きる 。 行動の 増加 や抑うつ 気分の一

時的な減

少 自体は、負の 強化に よっ て も生 じる ため 、 日

本語版 EROS に よ っ て 評価 し て い くこ とは 臨

床上 有効で ある 。 また 、 今後行動活性化の 介入

効果や介入 メ カ ニ ズ ム に 関する研 究に 日本語版

EROS の 使用が期待 され る 。

　最後に、本研 究の 限界と今後の 課題に つ い て

述 べ る 。 まず、日本 語版 EROS の 開発 に お い

て は 、バ ッ ク トラ ン ス レー

シ ョ ン を行うなど翻

訳の 等価性が担保で きる よ うに翻訳 を行 っ て き

た が 、項 目 2 と項 目 7 は原 版 EROS との 等価

性が低 い 可能性が示唆 された 。 今後 、 文化差な

ど の 要 因を詳細 に検 討す る に は、原版 EROS

が作成 され た米国にお い て実施 した デー

タ と国

内で の デー

タを使用 して 、 項 目反応理論 におけ

る特異機能項 目分析 を行 う必要が あ る と思われ

る 。

　第 2 に、本研究 にお い て は 、日本語版 EROS

の 妥当性検討にお い て、快出来事質問票 もし く

は セ ル フ モ ニ タ リ ン グを用 い た検討 を行 っ て い

な い 。 快出来事質問票は 項 目数が 多い が 、多く

の 快活動が挙げられて お り、行動に 随伴する正

の 強化子 に つ い て の検討 を行 う場合 、 重要 で あ

る と考え られる 。 また、実際 の 生活場面で の セ

ル フ モ ニ タ リ ン グを行 っ て低報酬価行動 と高報

酬価行動 に従事 した時間 を EROS が 予測 する

こ とが 報告 さ れ て い る （Armento ＆ Hopko，

2007）。 今 後 、 EROS の 妥 当性 検討 に お い て 、

快出来事質問票や セ ル フ モ ニ タリ ン グ を用 い た

検討も行う必要が ある。

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enm ･fi teVl rbi :H pt:fftu Environmental Reward Observation Scale (EROS) OeErk tEvadS - ng'meoit:t

Development

Scale

of the Japanese Version of Environmental

(EROS) and Examination of its Reliability

Reward Observation

and Validity

YoshihikoKuNIsATOi'2 KokiTAKAGAKI3 IsaOKAJIMA4'5 ShunNAKAJIMA5

Shin-ichilSHIKAwA6 YoshihiroKANAI7 YujiSAKANo8

YasumasaOKAMOTOi ShigetoYAMAwAKIi

i Graduate School of Biomedical Sciences, Hiroshima University

2 The Japan Society fbr the Promotion of Science

3 Graduate School of Psychological Science, Health Sciences University of Hokkaido

4 Japan Somnology Center, Neuropsychiatric Research Institute

5 Department of Somnology, Tokyo Medical University

6 Faculty of Education and Culture, University of Miyazaki

7 Graduate School of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University

8 School of Psychological Science, Health Sciences University of Hokkaido

Abstract

The purposes of the present study were to develop the .Japanese version of the

Environmental Reward Observation Scale (EROS) and to examine its reliability and validity. The

questionnaires were administered te undergraduate students and vocational scheol students, and

data from 414 students (269 male, 145 female, mean age=18.89 ± O.93) were analyzed.

Exploratory and confirmatory factor analyses revealed that the scale had one factor structure,

correspondent with the original version of EROS. The scale showed adequate internal consistency

and test-retest stability. In the test information function of item response theory, the scale showed

high measurement accuracy in broad trait values. The scale was negatively correlated with

depressive and anxiety symptoms and behavioral activation, and positively with behavioral

inhibition. Controlling the eifects of anxiety. the scale had the strongest correlation with anhedonia

symptoms. These results suggested that the Japanese version of EROS has construct validity.

Key Words: anhedonia,depressien, behavioral activation, environmental reward observation

-31-