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XMAD9A-11C1-01 1 1 辺の長さが 1 の正四面体 OABC があり,辺 OA の中点を D,辺 OB 2:1 に内分する点 E,辺 OC t : (1 ¡ t)(ただし,0 <t< 1)に内分する点を F とする。4DEF の重心を G,直線 OG と平面 ABC の交点を H とし, ¡! OA = ¡! a ¡! OB = ¡! b ¡! OC = ¡! c とおくとき,次の 各問いに答えよ。 (25 ) ¡! OG ¡! a ¡! b ¡! c t を用いて表せ。 (5 ) ¡! OH ¡! a ¡! b ¡! c t を用いて表せ。 (7 ) 2 つの四面体 ODEFHDEF の体積が等しいとき,t の値を求めよ。また,そのときの四 面体 ODEF の体積を求めよ。 (13 ) 正四面体を題材とした空間ベクトルの問題。同一平面上にある条件(共面条件)や体積比につい て確認してもらう。 G 4DEF の重心であるから, ¡! OG ¡! OD¡! OE¡! OF を用いて「三角形の重心の位置ベクト ル」として立式できる。そのあとで, ¡! OD¡! OE¡! OF ¡! a ¡! b ¡! c を用いて表せばよい。 H ・直線 OG 上の点 ・平面 ABC 上の点(共面条件( 1である。この条件を数式で表す方針でよい。 2 つの四面体の体積を 直接計算して比べるのではなく,4DEF を底面とみて,高さの比に帰 着させるのがうまい。 ¡! OD = 1 2 ¡! a ¡! OE = 2 3 ¡! b ¡! OF = t ¡! c より 三角形の重心の位置ベクト ル。 ¡! OG = ¡! OD + ¡! OE + ¡! OF 3 = 1 6 ¡! a + 2 9 ¡! b + t 3 ¡! c H は直線 OG 上にあるから,k を実数として ¡! OH = k ¡! OG = k 6 ¡! a + 2k 9 ¡! b + kt 3 ¡! c とおける。すると,点 H が平面 ABC 上にあることから 1 「解説 1」を参照せよ。四面 OABC を考えているの で, ¡! a ¡! b ¡! c 1 次独立 であることは断らなくても よいだろう。 k 6 + 2k 9 + kt 3 =1 Ú k = 18 6t +7 0 <t< 1 より,6t +7 n =0 となるので ¡! OH = 3 ¡! a +4 ¡! b +6t ¡! c 6t +7

共面条件(...1 XMAD9A-11C1-01 1 辺の長さが1 の正四面体OABC があり,辺OA の中点をD,辺OB を2:1に内分する点 をE,辺OC をt :(1¡ t)(ただし,0

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Page 1: 共面条件(...1 XMAD9A-11C1-01 1 辺の長さが1 の正四面体OABC があり,辺OA の中点をD,辺OB を2:1に内分する点 をE,辺OC をt :(1¡ t)(ただし,0

XMAD9A-11C1-01

11辺の長さが 1の正四面体 OABCがあり,辺 OAの中点を D,辺 OBを 2 : 1 に内分する点

を E,辺 OCを t : (1¡ t)(ただし,0 < t < 1)に内分する点を Fとする。4DEF の重心をG,直線 OGと平面 ABCの交点を Hとし,¡!OA = ¡!a,¡!OB = ¡!b,¡!OC = ¡!c とおくとき,次の各問いに答えよ。 (25点)⑴ ¡!

OG を ¡!a,¡!b,¡!c,t を用いて表せ。 (5点)⑵ ¡!

OH を ¡!a,¡!b,¡!c,t を用いて表せ。 (7点)⑶ 2つの四面体 ODEF,HDEFの体積が等しいとき,t の値を求めよ。また,そのときの四面体 ODEFの体積を求めよ。 (13点)

正四面体を題材とした空間ベクトルの問題。同一平面上にある条件(共面条件)や体積比について確認してもらう。⑴ 点 Gは 4DEF の重心であるから,¡!OG は ¡!OD,¡!OE,¡!OF を用いて「三角形の重心の位置ベクトル」として立式できる。そのあとで,¡!OD,¡!OE,¡!OF を ¡!a,¡!b,¡!c を用いて表せばよい。⑵ 点 Hは

・直線 OG上の点・平面 ABC上の点(共面条件( ▲1))

である。この条件を数式で表す方針でよい。⑶ 2 つの四面体の体積を 直接計算して比べるのではなく,4DEF を底面とみて,高さの比に帰着させるのがうまい。

⑴ ¡!OD =

12¡!a,¡!OE = 2

3¡!b,¡!OF = t¡!c より

▲三角形の重心の位置ベクトル。

¡!OG =

¡!OD+

¡!OE+

¡!OF

3・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

=16¡!a +

29¡!b +

t3

¡!c

・・・・・・・・

・・・・・・

⑵ 点 Hは直線 OG上にあるから,k を実数として・・・・・・

¡!OH = k

¡!OG ・・

・・・

=k6¡!a + 2k

9¡!b + kt

3¡!c

・・・・・・・・・

とおける。すると,点 Hが平面 ABC上にあることから ▲1「解説 1」を参照せよ。四面体 OABC を考えているので,¡!a,¡!b,¡!c が 1 次独立であることは断らなくてもよいだろう。

k6+2k9+kt3= 1 Ú k= 18

6t+ 7

▲0 < t < 1 より,6t+ 7 n= 0

・・・・・・・・・・・・・・

となるので¡!OH =

3¡!a + 4

¡!b + 6t

¡!c

6t+ 7 ・・・・・・・・・・・・・

・・

・・・・・・

Page 2: 共面条件(...1 XMAD9A-11C1-01 1 辺の長さが1 の正四面体OABC があり,辺OA の中点をD,辺OB を2:1に内分する点 をE,辺OC をt :(1¡ t)(ただし,0

XMAD9A-11C1-02

⑶ 四面体 ODEF,HDEFの体積をそれぞれ V1,V2 とすると,⑵の ▲4DEF を底面とし,2 つの四面体の高さを d1,d2 とするとV1 : V2 = d1 : d2

= OG : GH

・・・・・・

kを用いて・・・・・・

V1 : V2 = OG : GH = 1 : (k¡ 1)・・・・・・

V1 = V2 のとき,OG = GHすなわち k = 2 であるから,⑵より ・・・・・

186t+ 7 = 2

・・・・・・・・・・

Ú t =13

・・・・・・・・・

ここで,辺 ABの中点を M,4OAB の・・・・・・

重心を Nとすると,OA = 1より,OM =・・・・・

p32であり,ON : NM = 2 : 1と合わせて

・・・・・・・・・・

ON =23Þ

p32=

p33 ・・

・・・・・

これと CN ? (平面 OAB)より ▲正四面体 OABC の頂点 C から対面に垂線 CL を下ろしたとき,L は 4OAB の重心 Nと一致する。そのこと自体の証明でない限り,これは既知として用いてよい。

・・・・・

CN =BOC2 ¡ON2 =

F1¡ #

p33

;2

・・・・・・・・・・・

=

E23

・・・・・・・・・

Fから平面 OABに垂線 FPを下ろすと,点 Pは直線 OM上にあり・・・・・

FP : CN = OF : OC =13: 1 ▲ 4OPF∽4ONC

・・・・・・・・・・

Ú FP =13CN =

13

E23

・・・・・・・・・

であるから・・・・・

V1 =13Þ (4ODEの面積) Þ FP ▲「解説 2」も参照せよ。

・・・・・・・・・・

=13Þ # 12Þ12Þ23sin 60±; Þ 1

3

E23

▲ 4ODE

=12OD ÞOEsinÎDOE・・

・・・・・・・・

=

p2108

・・・・・・・・・・

1 ⑵共面条件空間内の 1次独立なベクトル ¡!OA,¡!OB,¡!OCを用いて,¡!OP = x¡!OA+ y¡!OB+ z¡!OC と表される点 Pについて

点 Pが平面 ABC上にある () x+ y+ z= 1が成り立つ(これを「共面条件」という)。また,これは空間内の 1次独立なベクトル ¡!OA,¡!OB,¡!OCを用いて,平面 ABC上の任意の点 Pは

¡!OP = x

¡!OA+ y

¡!OB+ z

¡!OC,x+ y+ z = 1

と表せると言い換えられる。さらに,次元を落として平面上で考えれば,平面上の 1次独立なベクトル ¡!OA,¡!OBを用いて,直線 AB上の任意の点 Qは

¡!OQ = x

¡!OA+ y

¡!OB,x+ y = 1

と表せるということであり,これは共線条件に他ならない。つまり,3次元か 2次元かの違いだけで,本質的には同じ概念といえる。

Page 3: 共面条件(...1 XMAD9A-11C1-01 1 辺の長さが1 の正四面体OABC があり,辺OA の中点をD,辺OB を2:1に内分する点 をE,辺OC をt :(1¡ t)(ただし,0

XMAD9A-11C1-03

2 ⑶ V1 を計算するところは⑶の V1 の計算について整理しておこう。4ODEの面積について,「解答」では面積公式を利用して計算しているが,4OABの面積を Sとおくと

(4ODEの面積) = ODOA

ÞOEOBS

と表されることは知っているだろう(4ODEと 4OABに面積公式を用いて比をとればよい)。

さらに,FP = OFOC

Þ CNであるから,四面体 OABCの体積を Vとおくと

V1 =13Þ (4ODEの面積) Þ FP

=13Þ # ODOA

ÞOEOBS; Þ OF

OCÞ CN

=ODOA

ÞOEOB

ÞOFOC

Þ13S Þ CN

=ODOA

ÞOEOB

ÞOFOCV

と表される。つまり,四面体の体積も,直方体の体積や三角形の面積の場合と同様に,辺の長さの比を利用して計算することができるわけだ。このことは,それ自体を証明する問題ではない限り,既知として用いてもよく,知っておくと便利だろう。

・比の関係を利用して,手際よく図形問題を攻略せよ