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1 of total 35 Mototsugu Hamada System LSI Design 2018/10/26 4. 送受信機アーキテクチャ 慶応大学 黒田研究室 濱田 基嗣

送受信機アーキテクチャ - Keio University4.3.3 近年のダイレクトコンバージョン送信機 4.3.4 ヘテロダイン送信機 キャリアリーク ミキシングスプリアス

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4. 送受信機アーキテクチャ

慶応大学 黒田研究室

濱田 基嗣

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自己紹介

96年4月 東芝入社

◼ 96年 黒田先生と出会う

◼ 99年 石黒先生と出会う

02/8月~04/2月 Stanford大学客員研究員

16年4月 慶応大学 特任教授

専門分野

◼ ワイヤレスLSI設計

◼ 低電力LSI設計

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目次4.1 一般的考察

チャネル選択と帯域選択送信系から受信系へのフィードスルー

4.2 受信アーキテクチャ4.2.1 基本的なヘテロダイン受信機イメージ周波数の問題ハイサイド/ローサイド・インジェクションイメージ除去イメージ除去 vs チャネル選択デュアル・コンバージョンミキシングスプリアス

4.2.2 最新のヘテロダイン受信機ゼロセカンドIFスライディングIF受信機

4.2.3 ダイレクトコンバージョン受信機LOリークDCオフセット偶数次歪フリッカノイズI/Qミスマッチ(I/Q不整合)ミキシングスプリアス

4.2.4 イメージ除去受信機90°位相シフトHartley方式Weaver方式キャリブレーション

4.2.5 ローIF(Low-IF)受信機ポリフェーズフィルタ双直交ダウンコンバージョン

4.3 送信アーキテクチャ4.3.1 一般的考察4.3.2 ダイレクトコンバージョン送信機キャリアリークミキサの線形性送信器の線形性プリング受信帯域のノイズ

4.3.3 近年のダイレクトコンバージョン送信機4.3.4 ヘテロダイン送信機キャリアリークミキシングスプリアス

4.3.5 他の送信アーキテクチャ4.4 OOK送受信機

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目次4.1 一般的考察

チャネル選択と帯域選択送信系から受信系へのフィードスルー

4.2 受信アーキテクチャ4.2.1 基本的なヘテロダイン受信機イメージ周波数の問題ハイサイド/ローサイド・インジェクションイメージ除去イメージ除去 vs チャネル選択デュアル・コンバージョンミキシングスプリアス

4.2.2 最新のヘテロダイン受信機ゼロセカンドIFスライディングIF受信機

4.2.3 ダイレクトコンバージョン受信機LOリークDCオフセット偶数次歪フリッカノイズI/Qミスマッチ(I/Q不整合)ミキシングスプリアス

4.2.4 イメージ除去受信機90°位相シフトHartley方式Weaver方式キャリブレーション

4.2.5 ローIF(Low-IF)受信機ポリフェーズフィルタ双直交ダウンコンバージョン

4.3 送信アーキテクチャ4.3.1 一般的考察4.3.2 ダイレクトコンバージョン送信機キャリアリークミキサの線形性送信器の線形性プリング受信帯域のノイズ

4.3.3 近年のダイレクトコンバージョン送信機4.3.4 ヘテロダイン送信機キャリアリークミキシングスプリアス

4.3.5 他の送信アーキテクチャ4.4 OOK送受信機

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送受信アーキテクチャの選択

アーキテクチャの選択は、達成可能なRF性能のみによって決定されるものではなく、

複雑度、コスト、消費電力、外付け部品の数

といった他の指標によるところもある。

過去10年間を見てみると、集積度を上げることが、これら多くの指標を同時に改善することが明らかになってきている。

加えて、アーキテクチャ設計と回路設計が密接な関係にあり、両者間でのやり取りが重要になってきている。

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日本の周波数使用状況

周波数は国民の財産

◼ 効率良く詰め込みたい/シャノンの定理

TV帯域のすぐ隣に携帯電話帯域

◼ スカイツリーのそばと基地局のそばで大きく異なる環境

それぞれの帯域がさらに細かいチャネルに分かれる

◼ 帯域選択とチャネル選択が必要

http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/search/myuse/use/index.htm

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周波数の有効利用のために

送信機は帯域外にノイズを出さない

◼ 狭帯域変調

◼ 線形増幅

受信機は所望波のみを切り出して処理

◼ 帯域選択とチャネル選択

◼ 線形増幅

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初段のBPFで全て解決?(受信系)

初段のフィルタで所望波のみを切り出せば、受信系の線形性要求は緩和できるんじゃないの?

そんなフィルタを作るのは困難

◼ 高いQ値が必要(妨害波は近くて強い)

◼ 周波数可変でないといけない(使うチャネルはその時々で異なる)

コストをかけていいなら不可能ではない

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チャネル選択と帯域選択

帯域選択:所望波を含む帯域を選択する

◼ 外付けフィルタ

◼ Q値(フィルタ次数)低め

チャネル選択:所望派を含むチャネルのみを選択

◼ 内蔵フィルタ

◼ Q値(フィルタ次数)高め

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デュプレクサ

周波数分割多重システムで利用

帯域内損失(~2dB)

◼ 消費電力(特に送信系)

それほど高くない除去性能(30dB@20MHz)

◼ 線形性要求

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送信系から受信系へのフィードスルー

送信機出力の-50dBの信号が受信系に流れる

LNAにとって-20dBmの帯域外妨害波となる

受信系の線形性要求が高くなる

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基本的なヘテロダイン受信機

ヘテロ(異なる)とダイン(混ぜ合わせる)

所望チャネルを低い周波数に変換する

低いQ値のフィルタでチャネル選択を可能にする

IFは中間周波数の略

ミキサはノイズが大きいので前段にLNAを入れる

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ヘテロダイン受信機のスペクトル成分

±wLOは所望チャネルを±(win±wLO)に移動する

±(win+wLO)の成分はLPFによって取り除かれる

チャネルが複数あるとき:wLO一定かwIF一定か?

正の周波数/負の周波数とは?

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イメージ周波数の問題

wLOはwinとwimを同じ周波数に移動する

wim=win+2wIF= 2wLO ー win wimをイメージ周波数と呼ぶ

イメージ周波数に強い妨害波があると大変

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ハイサイド/ローサイド・インジェクション

wLO>win:ハイサイドインジェクション

高周波回路設計の実現性、イメージ周波数付近の干渉波の強度、その他システム要求に基づいて決定

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イメージ除去

LNA/ミキサ間にイメージ除去フィルタ(IC外)

所望帯域に対しては損失が小さくイメージ周波数帯では減衰が大きくなる特性

2wIFが大きいときには特性のよいものを得やすい

LNAの前に入れる場合はフィルタの損失が課題

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イメージ除去 vs チャネル選択

wIF大:イメージ除去容易/チャネル選択困難

wIF小:イメージ除去困難/チャネル選択容易

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ミキシングスプリアス

ミキサは入力されたLO信号が正弦波であっても、実際のRF入力との掛算は方形波のLOと行われる

RF入力とLOのすべての高調波との掛算を考慮しなければならない

RFミキサは、win±mwLOの成分を生成する

この干渉波をミキシングスプリアスとよぶ

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ダイレクトコンバージョン受信機

最もシンプルな受信機だが、実用化は最近

正と負の周波数を区別する必要があり直交構成

“ゼロIF”、“ホモダイン”アーキテクチャとも呼ばれる

利点/欠点は次ページ

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ダイレクトコンバージョン受信機の得失

利点

イメージ周波数がない

設計プロセスが大きく単純化される

チャネル選択がローパスフィルタで可能

鋭い遮断特性のアクティブフィルタのオンチップ化が可能

ミキシングスプリアスの数が著しく減る

欠点

LOリーク

DCオフセット

偶数次歪

フリッカノイズ

I/Qミスマッチ

詳細を次ページ以降で解説

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LOリーク

LOの電力の一部をアンテナから放出する現象 放出経路(1):ミキサのLOとRFとの端子間容量とLNAの出力と入力の

間の抵抗もしくは容量 放出経路(2):特にLOが大きなオンチップ・インダクタを使っている場合は、

入力パッドへの基板の結合 同じ帯域の他の受信器を鈍感化 許容レベルとしては-50~-70dBm

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DCオフセット

所望波VRFとともにリーク成分が増幅され、LOとミキシングされる

この効果は“LO自己ミキシング”と呼ばれ、ベースバンドに直流成分を生み出す

直流成分はベースバンド信号の処理を困難にする(直流成分をカットしにくいDCRならでは)

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AC結合によるオフセットキャンセル

C1がDCオフセットをブロック

周波数ゼロHzに近い信号スペクトルも部分的に切り取ってしまい、シンボル間干渉(ISI)を引き起こす

経験則として、ISIを無視できるレベルにするためには、ハイパスフィルタの遮断周波数f1=(2pR1C1)

-1はシンボルレートの1/1000以下

シンプルなAC結合は実用では稀

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DACによるオフセットキャンセル

オフセット分を修正する電流を流す方法

レジスタ値は電源投入時にオフセットが最小となるように決定

微細化(デジタル制御回路の集積化)によりこのような構成が現実的になった⇒近年DCRが実用化された理由

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偶数次歪

DCRは、3次に加えて、2次の非線形性に敏感 LNA出力にビート成分が生じる ミキサやLOの波形の非対称性によって、周波数変換なしでミキサ出力に現れる 所望波にビート成分が重なり、信号を劣化させる 2次成分は傾き2を持つ

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フリッカノイズ

DCRは、BB信号までの利得が小さいので、ノイズが影響を与えやすい フリッカノイズのペナルティは以下で表される

ペナルティが見えないようにFE利得を設計する

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RF/LO信号の90°シフトによる直交化

RF信号を位相シフトするにはノイズ/電力/利得の厳しいトレードオフをとる必要が出てくるため、図4.46(b)の方法が好まれる。

RF信号は、振幅のDRが大きい、損失を嫌う、など位相シフタ挿入には適さない(講師補足)

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RF/LO信号の90°シフトによる直交化

90°位相シフト回路の誤差と直交ミキサにおけるミスマッチは、ベースバンドのI/Q出力の振幅および位相の不整合となって現れる

ベースバンド回路自身もまた利得と位相のミスマッチに著しく寄与することもある

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伝搬遅延がI/Qミスマッチに与える影響

I/Qミスマッチはヘテロダイン形式よりもDCRの方が大きくなる傾向 その理由は、(1)直交ミキサを高周波が伝搬するときミスマッチの影響を受けやす

い (2)LOの直交位相そのものが高周波ではミスマッチしやすい

18度 3.6度

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I/Qミスマッチの影響の定式化

定式化のため、すべてのI/QミスマッチをLOの振幅と位相に背負わせる 利得ミスマッチのみ、あるいは位相ミスマッチのみ存在するケースについて次ページ

で解説

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利得ミスマッチの影響の定式化

直交ベースバンドシンボルは振幅に関して異なる倍率がかかっていることがわかる さらに重要なことは、コンスタレーション上の点がずれていることである

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位相ミスマッチの影響の定式化

互いに他方の出力の一部が足しあわされて信号劣化を招く コンスタレーションは一方の対角線にそって圧縮され、他方の対角線にそって伸長

される

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I/Qミスマッチの影響の定量化

RF受信器の設計において、アーキテクチャや回路ブロックを適切に選択できるよう、最大許容I/Qミスマッチを知ることが必要

ビットエラーレート(BER)を異なる利得/位相ミスマッチの組み合わせに対してプロットし、性能への影響が無視できる最大ミスマッチを求める

本例では、利得/位相ミスマッチが-0.6 dB/6°以下であれば影響が無視できることがわかる

1次変調としてQPSKを用いたOFDMシステムにおける I/Qミスマッチの影響(▽:ミスマッチなし、○: q=6°、e=0.6 dB、□:q=10°、e=0.8 dB、△: q=16°、e=1.4 dB)

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I/Qミスマッチのキャリブレーション

あるいは、位相を調節するブロックや、利得を調節するブロックをLOやベースバンド信号経路にそれぞれ挿入し、ミスマッチを十分小さくするという手法も可能

必要精度を得るためにはキャリブレーションが必要

既知の信号をRF入力し、ミスマッチを正確に知ることができる

いったんミスマッチ量がわかれば、検波前に補正可能

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まとめ

無線通信における送受信アーキテクチャを概観した

携帯電話とRFCMOS技術の進展により、シンプルなアーキテクチャの採用が広がっている

アーキテクチャ決定の際には、利害得失を考慮し、システムにあわせた最適な選択を行う必要がある