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水辺のオープンカフェ (広島県京橋川) かわまち楽習 JR広島駅 広島市中心市街地 京橋R-WIN 独立店舗型オープンカフェ:京橋R-WIN 瀬戸内海に面する広島市は、太田川から分か れた6つの川が市内を貫流するデルタ地帯です。 広島市では「水の都整備構想(平成2年)」 に基づき、水辺の緑地整備などが行われてきま したが、構想から10余年を経た平成15年に、 市民と国・県・市が協同で「水の都ひろしま」 構想を策定しました。 この「水の都ひろしま」構想は、主要な取り 組みのいくつかが【都市再生プロジェクト(都 市再生本部(本部長:内閣総理大臣)】に選出 され、約10年間の計画期間を設けて現在も進 められています。 京橋R-WINは、平成17年10月に社会実験 として実施された水辺のオープンカフェで、 JR広島駅と広島市の中心街を繋ぐ地点にある 京橋川に設けられました。 京橋川のオープンカフェには、河川区域に隣接 するホテルなどの店舗がオープンテラスとして河 川区域を利用する「地先利用型」と、完全に独立 した店舗を河川区域に出店する「独立店舗型」の2 種類があります。 今回、事例として紹介する「京橋R-WIN」は、 「独立店舗型」オープンカフェになります。 地先利用型オープンカフェ 「京橋R-WIN実現までの経緯」 平成2年 国・県・市によ る護岸、河岸緑 地などの整備 平成14年7月 平成16年3月 4 水の都ひろしま 構想へと発展 平成14年10月 平成15年1月 平成17年10月 河川区域における新たな占用施設の設置、民間事業者等による営業活動 ●これまでの河川敷地の占用許可 ・公園・緑地・広場など ・これらの施設に付随する売店・トイレ・ 休憩所・ベンチなど及び駐車場の設置 ←小規模なもの限定 ●特例措置 ・民間活動を利用した飲食店・売店・オー プンカフェを設置 ・イベントなどの実施 都市再生を図る 都市再生プロ ジェクトの要望 水の都ひろしま構想 推進計画における京橋RWINの位置づけ 平成16年3月23日 「都市及び地域の再生など のために利用する施設に係 る河川敷地占有用許可準則 の特例措置について」 社会実験として一定の条件の下で、 河川敷地をオープンカフェなどとし て利用 ①占用施設と占用主体 ②河川敷地の利用条件 ・占用施設は、景観及び社会的環境を損な わず、かつ、それらと調和したものであ ること。 ・占用施設から施設利用料を得る場合、そ 収入は施設の維持管理及び良好な水辺 空間の保全、創出を図るための費用に用 いること。 ・占用の許可の期間は3年以内で、河川の状 況等を考慮した適切なものであること。

水辺のオープンカフェ (広島県京橋川) - MLIT · 「独立店舗型」オープンカフェになります。 地先利用型オープンカフェ 「京橋r-win実現までの経緯」

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Page 1: 水辺のオープンカフェ (広島県京橋川) - MLIT · 「独立店舗型」オープンカフェになります。 地先利用型オープンカフェ 「京橋r-win実現までの経緯」

水辺のオープンカフェ (広島県京橋川)かわまち楽習

瀬 内海 す 広島市は 太 か 分か

JR広島駅

広島市中心市街地

京橋R-WIN

独立店舗型オープンカフェ:京橋R-WIN

瀬戸内海に面する広島市は、太田川から分かれた6つの川が市内を貫流するデルタ地帯です。

広島市では「水の都整備構想(平成2年)」に基づき、水辺の緑地整備などが行われてきましたが、構想から10余年を経た平成15年に、市民と国・県・市が協同で「水の都ひろしま」構想を策定しました。

この「水の都ひろしま」構想は、主要な取り組みのいくつかが【都市再生プロジェクト(都市再生本部(本部長:内閣総理大臣)】に選出され、約10年間の計画期間を設けて現在も進められています。

京橋R-WINは、平成17年10月に社会実験として実施された水辺のオープンカフェで、JR広島駅と広島市の中心街を繋ぐ地点にある京橋川に設けられました。

京橋川のオープンカフェには、河川区域に隣接するホテルなどの店舗がオープンテラスとして河川区域を利用する「地先利用型」と、完全に独立した店舗を河川区域に出店する「独立店舗型」の2種類があります。

今回、事例として紹介する「京橋R-WIN」は、「独立店舗型」オープンカフェになります。

地先利用型オープンカフェ

「京橋R-WIN実現までの経緯」

水の都整備構想(広島市)

平成2年

国・県・市による護岸、河岸緑地などの整備

水辺のオープンカフェ

「京橋RーWIN」オープン

平成14年7月

京橋川河岸緑地などが、

国の特例措置適用区域に

指定

平成16年3月

国の都市再生プロジェクト

(第4次決定)に選定

水の都ひろしま構想へと発展

「水の都ひろしま推進協

議会」を設置

平成14年10月

水の都ひろしま構想

(市民&国・県・市)

平成15年1月

推進計画へ

平成17年10月

推進協議会

主催による

社会実験

河川区域における新たな占用施設の設置、民間事業者等による営業活動

●これまでの河川敷地の占用許可

・公園・緑地・広場など・これらの施設に付随する売店・トイレ・

休憩所・ベンチなど及び駐車場の設置

←小規模なもの限定

●特例措置

・民間活動を利用した飲食店・売店・オープンカフェを設置

・イベントなどの実施

都市再生を図る   都市再生プロジェクトの要望

水の都ひろしま構想 推進計画における京橋R‐WINの位置づけ

ト 要

平成16年3月23日

「都市及び地域の再生などのために利用する施設に係る河川敷地占有用許可準則の特例措置について」

社会実験として一定の条件の下で、河川敷地をオープンカフェなどとして利用

①占用施設と占用主体 ②河川敷地の利用条件

・占用施設は、景観及び社会的環境を損なわず、かつ、それらと調和したものであること。

・占用施設から施設利用料を得る場合、その収入は施設の維持管理及び良好な水辺空間の保全、創出を図るための費用に用いること。

・占用の許可の期間は3年以内で、河川の状況等を考慮した適切なものであること。

Page 2: 水辺のオープンカフェ (広島県京橋川) - MLIT · 「独立店舗型」オープンカフェになります。 地先利用型オープンカフェ 「京橋r-win実現までの経緯」

実施主体:水の都ひろしま推進協議会

取り組み項目

将来的には、運営組織が立ち上げられ、運営を移管していくものと考えられる。(水の都ひろしま推進計画における組織づくり)

「水の都ひろしま」の実現に関係する事項について、審議、報告、意見交換を行うとともに、「水の都ひろしま推進計画」の具体化に取組むため、平成14年10月3日に設置

(1) 市民・民間の自由で多様な活用・取組みに対する河川・河岸緑地等の積

市民団体代表、経済・観光関係者、学識経験者、行政機関の関係者25名で構成(オブザーバー:都市再生本部事務局参事官)

組織構成

京橋R-WINの目的

(1) 水辺のにぎわいづくりによる都市の楽しみ方の創出を図る(2) 「京橋川オープンカフェ」を契機として、水辺と市街地の

一体化を促進する

取り組み方針(事業コンセプト)

●水辺に営みと交流をつくる 店舗利用者に限らず、市民、来訪者など、様々な人々の営みや交流がここに生まれるよう、水辺の開放感を生かした使い方であることが求められます。

・ 店舗から街(背後市街地)へ、または、店舗から川への開放性をつくる。

・ 市民に開放された憩いの場を屋外につくる。・ 水辺を生かした活動をつくる。・ 地域とのネットワークをつくる。

●誰もが訪れたくなるカフェに 誰もが訪れたくなるよう、上質で落ち着きがあり かつ安全で安心な空間づくりが

・店舗募集・選定・出店条件、運用ルールの設定・適用・個別店舗との契約、等

推進協議会は、「水の都ひろしま」構想全体の推進母体であり、水辺のオープンカフェ運営はその活動の一環

(1) 市民 民間の自由で多様な活用 取組みに対する河川 河岸緑地等の積極的な開放など全国に先駆けた試行的取組みに関すること

(2) 市民・民間の活動を支援する親水護岸等の整備の推進、並びに沿川景観の向上や川面に顔を向けたまちなみの整備等の推進に関すること

(3) その他、「水の都ひろしま」実現にかかる事項の検討に関すること

京橋R-WINにおける協議会の役割

上質で落ち着きがあり、かつ安全で安心な空間づくりが求められます。

・ 良質なサービスの提供と上質感ある雰囲気づくり・ 水辺の魅力的な灯りとなる店舗づくり、環境づく

り・ 透明感のある開かれた客席づくり

●「水辺の杜」に都会の喧噪を忘れさせてくれる「水辺の杜」となるよう、豊かな緑との融和が感じられるデザインが求められます。

・ 木陰のスケールに馴染む店舗づくり・ 自然と調和する色を基調とした店舗づくり・ 水辺の四季を演出する環境づくり

●水辺と市街地をつなぐ水辺と市街地の分断要素とならないよう、裏側をつくらない物理的な工夫や配慮が求められます。

・ 背後市街地から見た店舗の顔づくり・ 川から見た店舗の顔づくり・ 街から川への眺望を考慮した店舗づくり

※平成18年募集要項より

平成17年3月15日から5月16日まで公募(19件の応募)、協議会に設置した選定委員会により3出店者(4区画)を選定し、平成17年10月20日より営業を開始(3ヶ年経過をもって、1店舗閉店。3店舗は継続)

②周辺事業者の営業環境への影響沿川の商業集積の規模は小さく、距離も離れている

ため、出店による周辺事業者への顕著な影響は出ていない。

③地域への影響出店によって、同地域の歩行者交通量が増え、河岸

利用者が増加したことや、オープンカフェの話題性が高く、テレビや新聞など多数のマスコミ媒体で紹介され、地域の知名度が高まった。独立店舗型オープンカフェは、水辺を活かした良好なロケーションにあり、おしゃれで雰囲気の良い空間となっている。

※平成20年8月には、原爆ドーム前の元安川にもオープンカフェ(イタリアレストラン)がオープンした。簡単にインターネットを通じて市民の声を拾ってみると、目新しさは感じられておらず、水辺のオープンカフェが市民に認知されている様子が伺える。

利用実績

※広島市ホームページより

平成17年度(10月~3月) 34,160人(4店舗合計)平成18年度( 4月~3月) 58,411人(4店舗合計)

①周辺住民の生活環境への影響出店前、周辺住民は騒音・喧嘩を懸念していたが、出店後、

問題は生じておらず、治安・風紀についても、出店による集客や、夜間の照明などにより、安心空間が創出され、歩行者交通量も増加した。

出店によるゴミ散乱の影響も無く、出店者による清掃などにより、逆に河岸の美化が一層進んでいる。また、開業に伴いコーンを置いて駐車の制限を行った結果、違法駐車・駐輪は激減した。

利用状況(広島市ヒアリング情報)