12
鹿島における広帯域受信システムの開発 氏原秀樹 岳藤一宏 関戸衛(NICT鹿島・時空標準) S: 電波源のフラックス, k: ボルツマン定数, B:バンド幅, τ:積分時間 Dx,Dy : X,Y局のアンテナの直径, ηx, ηy : X,Y局のアンテナ開口効率 小型局のアンテナ直径:1.5倍かつη:2倍でSNRの改善:1.5×√2 2.12.....同じSNRなら観測時間τ1/4 Gala-V(ガラパゴスVLBI)=T&F Transfer の広帯域化プロジェクト:VLBIで遠隔地間の原子時計を比較する。 鹿島34mと干渉計を組むMARBLEを「感度/コスト」で最適化 ・中期計画(5カ年)内に成果:3年くらいで広帯域化フィードの実用化が必要 34mアンテナ:カセグレン光学系に合う広帯域フィードを新規開発 ・小型局:能率の良い広帯域フィードを開発、同時に主鏡を1.5m/1.6m2.4mへ大口径化して感度改善 Station 1 Station 2 T&F Transfer 開口能率が高くなくても帯域幅でカバーできる

鹿島における広帯域受信システムの開発 - NICT...NINJA Feedを搭載した34mアンテナの開口能率(2015/8/6) ・3.0-12.8GHzで開口能率30-40% ・12.8-14.4GHz以上での性能劣化はWR350D36-SMA変換器の特性劣化のため

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Page 1: 鹿島における広帯域受信システムの開発 - NICT...NINJA Feedを搭載した34mアンテナの開口能率(2015/8/6) ・3.0-12.8GHzで開口能率30-40% ・12.8-14.4GHz以上での性能劣化はWR350D36-SMA変換器の特性劣化のため

鹿島における広帯域受信システムの開発 氏原秀樹 岳藤一宏 関戸衛(NICT鹿島・時空標準)

 S: 電波源のフラックス, k: ボルツマン定数, B:バンド幅, τ:積分時間 Dx,Dy : X局,Y局のアンテナの直径, ηx, ηy : X局,Y局のアンテナ開口効率小型局のアンテナ直径:1.5倍かつη:2倍でSNRの改善:1.5×√2 =2.12.....同じSNRなら観測時間τは1/4

Gala-V(ガラパゴスVLBI)=T&F Transfer の広帯域化プロジェクト:VLBIで遠隔地間の原子時計を比較する。 鹿島34mと干渉計を組むMARBLEを「感度/コスト」で最適化 ・中期計画(5カ年)内に成果:3年くらいで広帯域化フィードの実用化が必要 ・34mアンテナ:カセグレン光学系に合う広帯域フィードを新規開発 ・小型局:能率の良い広帯域フィードを開発、同時に主鏡を1.5m/1.6m→2.4mへ大口径化して感度改善

Station 1 Station 2

T&F Transfer

→開口能率が高くなくても帯域幅でカバーできる

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VLBI小型可搬局MARBLEの高感度化改修現フィード:ETS-LINDGREN 3164-05 Open Boundary Quad-Ridged Horn

・フィードを交換→受信帯域は2/8GHzを3.2-14.4GHzに、開口能率は40-20%を50%程度にしたい

・主鏡を交換→1.5m,1.6mを2.4mに大口径化とともにカセグレン化

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E面/H面でビームが非対称

特に高周波側で光学系の見込み角と合わない 3

2GHz

Ampl

itude

(dB)

-30

-23

-15

-8

0

Angle(deg)

-90 -60 -30 0 30 60 90

E-planeH-plane

8GHz

Ampl

itude

(dB)

-30

-23

-15

-8

0

Angle(deg)

-90 -60 -30 0 30 60 90

E-planeH-plane

Beam Patterns @2.0GHz

beam patterns @8.0GHz

-10dB beam width

Return Loss

これまでフィードに使っていたOpen Boundary Quad-Ridged Horn

108度

108度

光学系見込み角

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Effi

cien

cy[%

]

0

20

40

60

Frequency[GHz]

3 6 9 12 15 18

4

旧光学系での開口能率(2016/3/3午後の測定) ・定在波ひどい? ・10GHz以上で開口能率20%を切る

Efficiency2016/3/3(旧1.6m)

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新たにパラボラ直焦点用広帯域フィードを開発:「NINJAフィード」と命名

• 旧MARBLEのままでの交換を想定してビームは中心から54度で-10dB、リターンロス<-12dB

• MARBLEの光学系をカセグレンに変更したので不採用

Return Loss   

-10dB落ちビーム幅   

←ともにCOMSOLでのシミュレーション値

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6

MARBLE用フィードを再設計、交換(2016/9/30)

・軸長を短縮してレンズ面を62mm下げ、高さ調整範囲を確保

・1.8kg軽量化(LNAなど受信機類抜きでは40%減)

旧 新 差

PTFEレンズ 1381g 550g -831g

フィード 1871g 1500g -371g

導波管変換器

(52x42-WRD350D24)

845g 245g -600g

4097g 2295g -1802g

LNAはオオモリ密閉タンク(約2万円, 1.9kg)内に収納

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2016/3/3(旧1.6m)Tsys R-Sky(zenith)[K]

Tsys

[K]

100

150

200

250

300

350

400

450

500

Frequency[GHz]

3 6 9 12 15 18

これまでとほぼ変わらず気温は15度とした。

SEFD

SEFD

[Jy

]

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

3,000,000

3,500,000

4,000,000

Frequency [GHz]

3 6 9 12 15 18

100万Jy~200万Jyくらい

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SEFD[Jy]

SEFD

[Jy]

200,000

400,000

600,000

800,000

1,000,000

Frequency[GHz]

3 6 9 12 15 1811GHz以下でSEFDが20万Jy~50万Jy以下

2016/9/30Tsys[K]

Tsys

[K}

100150200250300350400

Frequency[GHz]

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18

AZEL270deg,45degでR-Skyを実施。3回測定して中央値を使用した

約15GHzまで250K以下約11GHzまで200K以下

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Efficiency [%]

Effi

cien

cy[%

]

0

20

40

60

Frequency[GHz]

3 6 9 12 15 18

2016/9/30(新2.4m)

Efficiency Ef

fici

ency

[%]

0

20

40

60

Frequency[GHz]

3 6 9 12 15 18

Eff_mar25Eff_mar42016/3/4,3/25(ともに新2.4m)

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NINJA Feedを搭載した34mアンテナの開口能率(2015/8/6)

・3.0-12.8GHzで開口能率30-40%

・12.8-14.4GHz以上での性能劣化はWR350D36-SMA変換器の特性劣化のため

・試作した2偏波用同軸導波管変換器では2GHz帯のRFIを通してしまい、使えなかった

0

10

20

30

40

50

60

3 5 7 9 11 13 15

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NINJAフィードでの34mアンテナのTsys:10GHz程度まで150K程度(RBW:10MHz,VBW:50kHz,ave:100, JST15:30)

Tsys R-Sky(zenith)[K]

100

200

300

400

500

600

700

800

900

3 6 9 12 15 18

SEFD[Jy]

500

1500

2500

3500

4500

3 6 9 12 15 18

CygAでの34mアンテナのSEFD測定(RBW:10MHz,VBW:50kHz,ave:100,JST23:30)

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• 現状は広帯域フィードは2本だが、さらに搭載可能 • 広帯域フィードの2偏波化 • 受信機の冷却(34mアンテナは半田さん代表で科研費応募中) • 能率測定の自動化、鏡面測定 • MARBLEの感度向上、海外実験に向けた整備

まとめさまざまな光学系に対応できる広帯域フィードを開発、鹿島VLBIグループで利用を始めた 国内だけでなくSKAやVGOSなど広帯域受信が必要なシステムでの利用を目指したい

今後の予定

謝辞 ・メタノール受信対応:国立天文台共同研究開発経費(山口大 藤沢教授代表) ・NINJAフィード:原案はNICTインセンティブ経費(FY2013) ・フィードや付帯部品はNICT試作室が製作、天文台にも依頼中 ・フィードの測定:京大METLAB