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新規水添スチレン系熱可塑性エラストマー
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
4ご注意
目 次
1
1 S.O.E.®とは 特長と基本物性........................................................................................................2
2 S.O.E.® の基本特性........................................................................................................................3-61. S1605・S1611・S1606・S1609 の Tanδ
2. 溶解特性3. 振動減衰挙動4. 耐傷付き性5. 耐摩耗性
3 S.O.E.® の応用データ................................................................................................................. 7-141. 衝撃吸収用発泡体として2. 低反発発泡体用材料として3. 保護フィルムの粘着層として4. 無機フィラーとの配合5. 合成皮革として6. アスファルトの改質例7. PPE 樹脂の改質例
4 ご注意................................................................................................................................................15
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
4ご注意
2
S.O.E.®は、当社が独自に設計したスチレン・ブタジエン共重合体を水素添加することによって製造された水添スチレン系熱可塑性エラストマーです。S.O.E.®は、soft(middle) ブロックの構造に特長があり、それにより極性樹脂との高い相容性・密着性や制振性・耐表面摩耗性が発現します。
特長
1 S.O.E.® とは
基本物性
項目
密度
MFR
硬さ
引張強さ
伸び
300%引張応力
グレード S1605
1.00
5.0
-
87
32.3
460
12.6
18
4.0
標準
S1611
0.99
12.0
4.0
71
23.0
600
4.0
9
5.0
選択水添
S1606
0.96
4.0
0.8
67
20.0
490
3.6
-13
65
低温性能
S1609
1.00
-
2.5
87
26.0
640
4.0
19
5.0
選択水添
測定規格
ISO 1183
ISO 1133
ISO 7619
ISO 37
測定条件
-
230℃2.16kgf
190℃2.16kgf
デュロメータータイプA
ダンベルタイプ 1A500mm/min
単位
g/cm3
g/10min
g/10min
-
MPa
%
MPa
℃
%
非油展
形状 ペレット
・SP値が高く、極性樹脂との相容性・接着性が良好です。・無機フィラーを取り込み易い材料です。・室温付近で制振性・低反発性を有します。・耐摩耗性や耐傷付き性が良好です(TPOの摩耗性向上材としてご利用頂けます)。・耐薬品性(酸・アルカリ・アルコール)に優れています。・軟質 PVC( 塩ビ)のような感触を備えています。
主な特徴
Tgピーク
反発弾性
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
4ご注意
1. S1605・S1611・S1606・S1609 の Tanδ
3
2 S.O.E.® の基本特性
2. 溶解特性
貧溶剤・非溶剤
エタノール
メタノール
イソプロパノール
n- ペンタン
n- ヘキサン
アセトン
溶剤
シクロヘキサン
トルエン
キシレン
THF
クロロホルム
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
2.0
-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60
tanδ
(-
)
温度(℃)
S1605
S1606
S1609
S1611
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
4ご注意
3.振動減衰挙動
4
TUFTEC®H1052
S.O.E.®S1605
S.O.E.®S1611
S.O.E.®S1609
ショアーA硬度 10s
65°
67°
67°
54°
54°
61°
61°
温度
23℃
23℃
50℃
23℃
50℃
23℃
50℃
共振周波数[Hz]
15.800
7.031
4.875
6.969
3.938
7.313
5.250
損失係数
0.052
0.799
0.093
0.809
0.110
0.779
0.113
共振周波数[Hz]
33.800
26.938
12.719
22.125
10.250
26.875
12.688
損失係数
0.082
0.466
0.166
0.442
0.218
0.464
0.259
試料
2次共振1次共振
片持ち梁法による損失係数測定データ
SS9000の振動減衰挙動
-1
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
1.2
1.3
1.4
1.5
1.6
1.8
1.9
時間(秒)
H1052(SEBS)の振動減衰挙動
-1
-0.5
0
0.5
1
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9 1
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
1.6
1.7
1.8
1.9
時間(秒)
S.O.E.® の振動減衰挙動 H1052(SEBS) の振動減衰挙動
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
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4. 耐傷付き性
5
鉛筆硬度試験
耐傷付き性に関しては、軟質塩ビ樹脂と同等以上の性能を示します。
荷重 : 100 g使用鉛筆の硬度 : 9Hスクラッチ方向 : 右から左
S.O.E.® 軟質塩ビ樹脂
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
4ご注意
5.耐摩耗性
6
S.O.E.® 軟質塩ビ樹脂
耐摩耗性についても軟質塩ビ樹脂と同等以上の性能を有しております。
学振摩耗試験後の状態(1万回摩耗後)摩擦材: カナキン 3号綿布荷重: 500g摩擦面: R形状、幅 19.5mm
オレフィン系エラストマー
(4000回摩耗後)
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
4ご注意
1. 衝撃吸収用発泡体として
7
3 S.O.E.® の応用データ
S.O.E.®は優れた衝撃吸収性能を有し、スポーツシューズのショックアブソーバー部分に使用可能です。
S.O.E.®を配合した発泡体物性
物性S.O.E.®
Compression Remolded
硬さ Asker C 35 33
反発弾性Ball drop
% 22℃7 8
比重 - 0.164 0.170
引張強さKgf/cm²
MPa
17
1.7
16
1.6
伸び % 210 240
引裂強さKgf/cm
N/cm
5.6
55.0
4.6
45.1
引裂強さ(Split)Kgf/cm
N/cm
1.0
9.8
1.0
9.8
圧縮永久歪み % 48 39
単位
スポーツシューズ※赤い部分:ショックアブソーバー
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
4ご注意
2.低反発発泡体用材料として
8
EVAに S.O.E.®を併用して架橋発泡させた時の配合例と発泡体物性
S.O.E.®と EVAをブレンドして架橋発泡することで EVA発泡体に低反発性を付与することが出来ます。
推奨用途:自動車、家電製品、OA機器、音響機器、シューズ等の制振材、防音材、吸音材、遮音材
S.O.E.® S1605 S1611 S1609
組成
S.O.E.®S1605 50
S.O.E.®S1611 50
S.O.E.®S1609 50
EVA 50
添加剤≒10
(架橋剤、発泡剤、フィラー)
比重 0.30
物性
(a) 製造性 均一発泡性 △ ○ ○
(b) 引裂強度 (N/cm) 100 140 120
(c) 剥離強度 (N/cm) 24 31 28
(d) 圧縮永久歪(%)70℃
(e) ウイリアム摩耗性
35 25 30
○ ◎ ◎
(f) 反発弾性(ボールドロップ) 12% 18% 12%
主な特徴 -低温で硬く 低反発性になりにくい 優れる
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
4ご注意
3. 保護フィルムの粘着層として
9
S.O.E.® はインフレーション成形、キャスト成形のどちらの製法にも対応しており、タフテックとS.O.E.® を配合した「粘着層」を使用することで、保護する相手材との接着力をコントロールすることが可能になります。保護フィルムとして使用すると、輸送時には剥離せず、剥がす際には糊が製品に残ることなくきれいに剥がすことができます。
合成樹脂板等(被保護材)との剥離性
タフテック® 50% 70% 90%
被保護材
のり層配合
S.O.E.® 50% 30% 10%
○ ○ ○
△ ○ ○
△ ○ ○
金属
合成樹脂板
化粧合板
被保護材に合わせて、タフテック®と S.O.E.®の配合比を選ぶことがポイントです。
フィルム構成
層 配合
表層 特殊ポリオレフィン
中間層 ポリオレフィン
のり層 タフテック®+ S.O.E.®
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
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10
4. 無機フィラーとの配合
60
65
70
75
80
85
90
0 10 20 30 40 50 60 70
硬度
(JIS
A)(10秒後)
S.O.E. への無機フィラー添加量(%)
Mg(OH)2
CaCO3
Talc
・ S.O.E.®は、炭酸カルシウムや水酸化マグネシウム等の無機フィラーを多量に配合しても、硬くなりすぎません。
・ 配合物のコスト低減が可能です。
・ S.O.E.®は、水酸化マグネシウム等の難燃剤を多量に配合出来ます。S.O.E.®/Mg(OH)2 (45/55) で V-O、(UL-94)相当の難燃性を付与できます。
・ S.O.E.®は、他のポリオレフィン系樹脂(EVAや PE)とも相容性が良く、S.O.E.®/無機フィラー /ポリオレフィン系樹脂の配合を組むことも可能です。
各種無機フィラー含有率と硬度の関係
S.O.E.®使用のチューブS.O.E.®/CaCO3=100/75
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
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5. 合成皮革として
11
S.O.E.®はポリオレフィン系樹脂とブレンドすることにより、各種軟質 PVCレザー・ウレタンレザー代替用途に応用できます。
合成皮革:カーシート・シューズアッパー・鞄(表 /裏)・テーブルクロスなど
しなやかな感触ドレープ性能耐久性・耐候性強度・摩耗性
カーシート 鞄の裏貼
家具用レザー シート
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
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12
6. アスファルトの改質例
S.O.E.®シリーズは、アスファルトとの相容性に優れたポリマーです。S.O.E.®/ アスファルト配合物は、常温付近に tanδピークを示す為、制振材料として有用です。
S.O.E.®/アスファルト配合物の粘弾性特性
S.O.E.®/アスファルト配合物各種の tanδ
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
1.6
-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70
tanδ
温 度 (℃)
S1605
S1606S1609
配合 :S.O.E.® /ストアス 60-80=15/85
装置 :ARES2 (Torsion Rectangular)
測定条件:Frequency=6.28rad/s
Strain=0.5%
tanδ tanδ tanδ tanδ
ピーク温度(℃) ピーク値 ピーク温度(℃) ピーク値
S1605 17.1 1.55 19.1 1.36
S1606 -13 1.72 8.1 1.31
S1609 19 1.31 29.1 1.43
ポリマー単味 S.O.E.®:15%配合物(AS:85%)
グレード
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
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7. PPE 樹脂の改質例
13
S.O.E.®は S1605・S1606 は、PPE 樹脂と非常に優れた相容性を有します。PPE 樹脂の分散粒子系を細かく出来るため、柔軟性に優れた PPE 樹脂が設計出来ます。更に、リン系難燃剤を配合することで、難燃性の高い柔軟な難燃組成物の設計が可能になります。
PPE 樹脂 /リン系難燃剤 /S.O.E.®系 or SEBS 組成物の TEM写真
S1605+PPE 組成物
SEBS(St30%)+PPE 組成物
S1606+PPE 組成物
SEBS(St67%)+PPE 組成物
1S.O.E.®とは
2S.O.E.® の基本特性
3S.O.E.® の応用データ
4ご注意
14
PPE 樹脂(30%)+S.O.E.® or SEBS(60%) + リン系難燃剤(10%)組成物の
PPE 分散粒子径と燃焼時間の関係
① S1605
② S1605/S1606=6/4
③ S1605/S1606=4/6
④ S1606
⑤ SEBS (St30%)
⑥ SEBS (St67%)
A88
A90
A79
A76
A97
D73
75
100
160
250
400
30
18
20
24
26
38
20
PPE組成物の硬度 PPE+SEBS+リン系難燃剤組成物燃焼時間 (sec)PPE分散相平均径(nm)グレード
0
5
10
15
20
25
30
35
40
0 100 200 300 400 500
燃焼時間(sec)
PPE分散相平均径(nm)
① S1605
④ S1606③
⑤
⑥ ②
1S.O.E.®とは
2S.O.E. ® の基本特性
3S.O.E. ® の応用データ
4ご注意
4 ご 注 意
15
本カタログの技術データ(数値・グラフ)は、定められた試験法に基づいて得られたものであり、個々の用途に最適なグレードを選ぶ目安としてご参照ください。この資料の記載内容は現時点で入手できる資料、情報、データに基づいて作成しており、新しい知見により改訂されることがあります。なお、これらは情報提供であって保証するものではありません。従って、ご使用に際しては使用環境・設計等を充分考慮し、製品に問題ないことを貴社がご判断の上、貴社の責任においてご使用ください。
(1) 取り扱い上のご注意次の事項は、旭化成(株)の販売する水添スチレンブタジエン系熱可塑性エラストマー(S.O.E.®)の取り扱いの要点です。S.O.E.® の安全な取り扱いにご活用ください。なお、S.O.E.® の取り扱い上の注意については、安全データシートを別途作成していますので、ご使用前に必ずご一読ください。(S.O.E.®以外で貴社がご使用になる添加剤などの安全性については貴社にてご調査下さるようお願い致します。)
①安全衛生上の注意点S.O.E.®の乾燥・溶融時に発生するガスの眼、皮膚への接触や吸入を避けるように気を付けてください。また、高温のタフテックには直接触れないようにしてください。乾燥・溶融などの各作業においては局所排気装置の設置や保護具(保護眼鏡・保護手袋など)の着用が必要です。
②燃焼に関する注意点S.O.E.®は可燃性ですので、取り扱い・保管は熱および発火源から離れた場所で行ってください。万一燃焼した場合は一酸化炭素などの有毒ガスを発生する場合があります。消火には水・泡消火剤・粉末消火剤が使用できます。
③廃棄上の注意点S.O.E.® は焼却や埋立てにより処理することが出来ますが、処理に際しては「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に従って、公認の産業廃棄物処理業者もしくは地方公共団体に委託して処理してください。 また、自ら処理する時は、焼却設備を用いて大気汚染防止法などの諸法令に適合した処理を施してください。焼却時には一酸化炭素などの有毒ガスを発生する場合がありますのでご注意ください。
④保管上の注意点S.O.E.®は直射日光、湿気を避けた冷暗所に保管してください。
⑤加工上の注意点S.O.E.®の種類により、適切な加工条件(温度など)がありますので、ご使用の祭は、事前に弊社担当とご相談ください。
(2) 医療用途・食品用途へのご使用に関して医療用途につきましては、いかなる使用方法に於いても、弊社の同意なく使用される事を固くお断り致します。万一、弊社の同意なく使用され、事故を起こしても弊社は責任を負いません。また、食品包装容器等の食品用途に関しましては、適合グレードがありますので、弊社にご相談の上、ご使用ください。
(3) その他S.O.E.®のご使用に際しては、工業所有権(既出願・権利化された特許・実案など)にもご注意ください。
旭化成株式会社パフォーマンスプロダクツ事業本部エラストマー事業部 エラストマー営業第二部〒100-0006東京都千代田区有楽町一丁目 1番 2号 日比谷三井タワーTEL 03-6699-3253 FAX 03-6699-3268
www.akelastomer.com
旭化成のエストラマー情報サイト
2019 年 4 月改訂