財団法人中東協力センター - JCCME2008/07/02 · Etisalat (Emirates Telecommunications Corporation) Annual Statistical Bulletin 2003 Organization of Petroleum Exporting

【主要参考資料】Statistical Abstract 2003

Ministry of Planing

Statistical Bulletin 2004 First QuarterCentral Bank of UAE

Agriculture Statistics Year Book 2002Ministry of Agriculture and Fisheries

UAE in Figures 2003Ministry of Planning

Annual Report 2003Technical Affairs, Federal Electricity and Water Authority

Investor's GuideJebel Ali Free Zone Authority, Dubai

Dubai Business Handbook 2003/4Department of Tourism and Commerce Marketing, Dubai

Dubai Tourism Guide 2004Department of Tourism and Commerce Marketing, Dubai

Annual Report 2003Etisalat (Emirates Telecommunications Corporation)

Annual Statistical Bulletin 2003Organization of Petroleum Exporting Countries (OPEC)

UAE Yearbook 2005Trident Press Ltd, London

UAE in FocusTrident Press Ltd, London

UAE Country Profile 2004The Economic Intelligence Unit (EIU), London

アラブ首長国連邦　ARCレポート 2004（財）世界経済情報サービス（ワイス）

【主要参考ウェブサイト】Ministry of Information and Culturehttp://www.uaeinteract.com

Ministry of Planning http://www.uae.gov.ae/mop

Central Bank of UAEhttp://www.cbuaegov.ae

Abu Dhabi National Oil Company (ADNOC)http://www.adnoc.com

Abu Dhabi Water and Electricity Authorityhttp://www.adwea.gov.ae

Dubai Electricity and Water Authorityhttp://www.dewa.gov.ae

Jebel Ali Free Zonehttp://www.jafza.co.ae

Dubai Port Authorityhttp://www.dpa.co.ae

Department of Tourism and Commerce Marketing, Dubaihttp://www.dubaitourism.ae

Etisalat (Emirates Telecommunications Corporation)http://www.etisalat.co.ae

在UAE日本国大使館http://www.uae.emb-japan.go.jp

アブダビ日本人学校http://www2.marimo.or.jp/UAEJapan

ドバイ日本人学校http://www.japanese.sch.ae

在日UAE大使館http://www.uaeembassy.jp

日本貿易振興機構（ジェトロ）http://www.jetro.go.jp

【写真・資料提供】（順不同）

在日U A E大使館ドバイ政府観光・商務局東京事務所ドバイ政府ジュベル・アリ・フリーゾーン庁駐日代表事務所エミレーツ航空　東京事務所

平成17年3月発行

発行者（財）中東協力センター（JCCME）

〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14-17 三創九段ビル6階

TEL：03-3237-6721 FAX：03-3237-8018財団法人中東協力センター

アラブ首長国連邦の産業基盤

2005年改訂版

The United Arab Emirates2

アラブ首長国連邦（U A E）は、過去2 0年間において

近代的な道路網を建設・整備してきており、各首長国

は片側3車線または4車線の快適な高速道路（無料）で

結ばれています。2 0 0 3年現在の高速道路の総延長距離

は4 , 0 3 0キロに達しています。これら幹線道路に加え、

アブダビやドバイなどの大都市の中心部と地方の村落

や新規開発のニュータウンを結ぶ舗装道路も発達して

います。U A Eは緑化事業に莫大な労力と資金を投入し

てきているため、市内の主要道路には街路樹や美しい

草花が植樹されています。また、各首長国から隣国の

オマーン、サウディアラビア、カタールへ伸びる高速

道路網も整備されています。これらの高速道路はすべ

て無料です。

近年の急激な人口増により、U A E国内を走る車両数

も増え続けており（2 0 0 3年現在、7 9万2 , 0 0 0台）、例え

ばアブダビの場合、その台数は5年前と比較すると8 0％

以上も増加しています。このため、アブダビやドバイ

をはじめとする大都市は深刻な交通渋滞に悩まされて

います。この交通渋滞を緩和するため、既存道路の拡

張や新たな海岸道路、バイパス道路、橋、立体交差点、

トンネルなどの建設が進められています。ドバイでは、

道路網の整備だけでは交通渋滞の根本的な解決になら

ないとの判断から、市街鉄道網（Light Rail Transport）

の建設が計画されています。第1期計画によると、ドバ

イ国際空港とジュベル・アリを結ぶ延長5 0キロ（内

3 0％が地下、7 0％が高架）の鉄道が2 0 0 9年に完成の予

定になっています。

■交通機関

車両は右側通行です。市内の交通機関としては、一

般のタクシー、予約制の無線タクシー、ハイヤー、レ

ンタカー、ミニバスなどがあります。タクシーは街中

で容易に拾うことができますが、料金メーターが装置

されているものとそうでないものとがあります。メー

ター制でないタクシーの場合、乗る前に運転手と料金

を決めてから乗車する必要があります。各首長国間や

都市と地方を結ぶ長距離タクシー、アブダビとアル・

アイン間、ドバイとマスカット間の長距離バス便など

もあります。アブダビやドバイでは、公共のバスが市

内を循環しており、また、アラビア語で「アブラ」と

呼ばれる水上タクシーがドバイ・クリークで運行され

ています。

レンタカー会社は、ハーツ社（H e r t z）やエイヴィス

社（A v i s）などの国際大手企業を含め、数多くありま

す。U A Eの自動車免許証の取得制度は各首長国により

多少異なっていますが、有効な国際免許証、日本の免

許証、パスポートおよび写真2枚を用意すれば、U A E全

土にて使用可能な仮運転許可証を容易に取得すること

ができます。

The United Arab Emirates 3

ドバイ市主要道路

ドバイの水上交通

アル・アインの道路


送電網は建国後いち早く内陸遠隔地方まで整備され、

発電・送電施設はその後の電力需要の増加に合わせ、

大規模な拡充・近代化が行われてきています。2 0 0 3年

の総発電量は前年の4 5 6億2 , 8 0 0万キロワット時から4 8 1

億6 , 3 0 0万キロワット時へと約6％あまり増加していま

す。発電に使用する燃料は、天然ガス、原油、重油、

ディーゼル油ですが、総発電量の約9 7％が天然ガスに

よって賄われています。また、アブダビ、ドバイ、シ

ャルジャの3カ国だけで、U A Eの総発電能力の9 0％を占

めています。

発電量、発電能力ともに国内最大を誇るアブダビで

は、電気・水事業の再編・民営化が1 9 9 7年から開始さ

れています。 1 9 9 8年に創設された「アブダビ水・電気

庁（A D W E A）」が発電・造水、送電・送水、販売の各

部門を担当するグループ会社を8社設立し、電気・水部

門のリストラに着手しています。また、長期民営化計

画の一環として、A D W E AはB O O（建設・所有・操業）

方式による独立水・電気生産会社を国際企業との合弁

にて4社設立しています。これら各社に占めるA D W E A

の出資比率は 6 0％です。一方、一連の民営化と平行し

て、施設の拡張や新規建設プロジェクトも進められて

おり、2 0 0 3年の発電能力は5 , 2 4 6メガワットに達してい

ます。電気・水の消費量を抑えるため、 A D W E Aは

2 0 0 4年3月から「生活スタイルを見直そう－水とエネル

ギーを節約しよう」と題した省エネルギー・キャンペ

ーンを大々的に展開し、エネルギー消費に関する国民

の意識改革にも取り組んでいます。

ドバイでは、 1 9 9 2年に設立された「ドバイ電気・水

庁（D E W A）」が年平均1 0％で伸び続ける電力需要に対

応するため、発電・造水施設の新規建設や既存施設の

能力増強を行っています。2 0 0 3年の発電能力は3 , 8 3 3メ

ガワット（ガス・タービン2 , 6 6 0、スチーム・タービン

1 , 1 7 3）でした。また、シャルジャにおいても電力需要

を満たすための各種プロジェクトが「シャルジャ電

気・水庁（S E W A）」によって実施されています。2 0 0 2

年の発電能力は1,498メガワット（ガス・タービン1,055、

スチーム・タービン4 3 2、ディーゼル・タービン1 1）に

達しています。一方、その他の首長国では、「連邦電

気・水庁（F E W A）」が電力網の改良や施設建設など、

多くのプロジェクトに携わっています。


発電施設（ウンム・アル・ナール島、アブダビ）

送電施設


U A Eは水需要のほとんどを海水蒸留水で賄い、一部

を地下水に依存しています。 2 0 0 3年の全生産量は約

2 , 1 6 4億ガロンでした。大型造水プラントはアブダビ国

内のウンム・アル・ナール、タウィーラならびにドバ

イ国内のジュベル・アリに集中しており、多段式フラ

ッシュ法により海水の淡水化が行われています。造水

プラントによる水の生産量はサウディアラビアに次い

で世界第2位にランクされています。

アブダビでは生産水のほとんどが家庭、緑化、農業

用として消費されています。1 9 8 0年代から1 9 9 0年代半

ばまでの間、アブダビの水需要は1桁台の増加率で推移

していましたが、1 9 9 6年からは2桁台に伸びています。

需要増に伴い造水プラントの能力は年々増強され、

1 9 7 0年の4 0 0万ガロン/日から2 0 0 3年には4億4 , 9 0 0万ガロ

ン/日まで拡大されています。これら造水プラントで生

産された水の年間供給量は1 9 9 3年の3 5 2億5 , 2 0 0万ガロ

ンから2 0 0 3年には1 , 2 0 4億1 , 4 0 0万ガロンへと増加してい

ます。また、送水パイプラインとポンプ・ステーショ

ンの増設工事も行われ、パイプラインの総延長は1 , 3 0 0

キロ（ 2 0 0 3年）に、ポンプ・ステーション数は 3 4

（2 0 0 3年）にそれぞれ増加し、これによってポンプ・ス

テーションの能力は1 2億4 , 5 0 0万ガロン/日に拡大してい

ます。これら造水関連施設の拡充に加え、地下水の有

効利用のため、水資源の管理・開発、既存水井戸の調

査や新規掘削なども行われているほか、貯水用ダムも

建設されています。貯水用ダムはフジャイラ、ラス・

アル・ハイマ、ウンム・アル・カイワンの山岳地方を

中心として整備されています。


造水装置（ウンム・アル・ナール島、アブダビ）

造水装置（ウンム・アル・ナール島、アブダビ）

シャルジャ給水塔


U A Eはアラビア湾の戦略的要地に位置しているため、

古くから海上貿易の中心的地域になっています。現在、

U A Eには石油ターミナルを含め、1 5の商業港（貨物総

取扱能力7 , 0 0 0万トン）があり、その他にも小規模な港

が数多くあります。各首長国にはそれぞれ近代的な商

業港が整備されており、ドバイが3港、シャルジャが2

港を有しています。これらの港から石油、原料、製品

が世界に輸出され、また、国内の産業向けや消費者用

の物資、原材料などが輸入されると同時に、多くの貨

物が湾岸諸国、インド亜大陸、東アフリカ、イラン向

けに再輸出されています。貨物取扱量が年々増加して

いるため、主要港では港湾施設の拡張工事が実施され

ています。

●ザーイド港（アブダビ）

1 9 7 2年に設立されたザーイド港にはコンテナ貨物や

一般貨物、石油製品などを取り扱う2 1のバースがあり、

内1 7バースは一般貨物用のバースで、埠頭の全長は

3 , 3 8 0メートル、水深は9～1 5メートルです。総面積4 1

ヘクタールのコンテナ・ターミナルは1万5 , 0 0 0 T E U *の

取扱能力を有しており、その取扱量は年1 0％の率にて

増加しています。2 0 1 3年に終了予定の港湾施設拡張計

画によると、コンテナの取扱能力を倍増することにな

る、長さ6 5 0メートルの新コンテナ倉庫の建設と水路の

水深を1 3メートルから 1 6メートルに深掘りする工事が

2006年までに完了する予定です。

*TEUは20フィートコンテナ換算個数

●ラーシド港、ハムリーヤ港ならびに

ジュベル・アリ港（ドバイ）

合計で1 0 0バース以上を所有するこれらの港は、U A E

の海上貿易では重要な役割を担っており、2 0 0 3年のコ

ンテナ貨物総取扱量は前年を2 3％上回る5 1 5万T E Uでし

た。中でもジュベル・アリ港はU A E最大の港であり、

また世界最大の人造港でもあります。同港はジュベ

ル・アリ自由貿易区の玄関港として建設され、コンテ

ナ貨物、一般貨物、バルク貨物を取り扱う6 7のバース

とタンカー用の4バースを有しています。海上貿易のハ

ブとしてのU A Eの優位性を確保するため、コンテナ用

地の拡張などの工事が各港において進められています。

●ハーリド港ならびに

コール・ファッカン港（シャルジャ）

シャルジャ首長国はシャルジャ市にハーリド港を、そ

してインド洋側の飛び地にコール・ファッカン港を有し

ています。両港のバース数は合計1 7で、2 0 0 3年の貨物総

取扱量は1 6 0万T E Uでした。また、2 0 0 4年上半期の取扱

量は、前年同期と比較すると、ハーリド港が2 6％、コー

ル・ファッカン港が2 3％それぞれ増加しています。

ハーリド港は、タンカーやコンテナ船などの大型船

舶から沿岸貿易船、タグボート、はしけなどの小型船

に至るまで幅広い種類の船舶を収容することができる

バースと埠頭を備えています。コール・ファッカン港

は水深の大きい、コンテナ貨物用ターミナルで、東西

を結ぶ大洋航路に近接し、かつ、ホルムズ海峡の外側

に位置しています。同港とU A Eの湾岸工業地区・都市

部は高速道路で結ばれています。

●アジュマン港

アジュマン港はコンテナと一般貨物を扱う8バースを

有しています。港内に設立されているアジュマン自由

貿易区の玄関港になっていますが、水深が8メートルと

浅いため、4万～5万トンの船舶が入港できるよう、

1 0 . 5メートルまで深掘りする工事が進捗中です。一般

貨物のほかに、化学薬品、古紙、飼料などを保管する

特別倉庫もあります。

●アハマド・ビン・ラーシド港（ウンム・アル・カイワン）

ならびにサクル港（ラス・アル・ハイマ）

サクル港はラス・アル・ハイマ市の北2 5キロに位置

するコール・フワイル工業地帯の一角にある港で、近

くの採石場と工場から出荷されるセメント、大理石、

砂利などを積み出しています。

●フジャイラ港

2 0 0 3年の入港船舶数は、2 0 0 2年の1 , 9 5 7隻から1 , 4 7 6隻

に減少しましたが、貨物取扱量は増加しています。ま

た、ほとんどがバンカーオイルですが、7 9 0万トンの石

油を2 0 0 3年に取り扱っています。全長8 2 0メートルの新

ターミナルやバンカーオイルの陸上貯蔵施設の建設が

進められています。フジャイラは世界で2番目に大きい

バンカーオイル供給基地になっています。

上記の近代的商業港の他に、フジャイラにセメント

とバンカーオイルを取り扱う小規模なディッバ港があ

ります。また、石油・ガスの積出施設は、ジュベル・

ダナ、ルワイス、ザーイド港、ウンム・アル・ナール、

ダス島、ジルク島、ハイル・ダルマ島、ムバッラズ島、

アブー・ブクーシュにあります。


ドバイ港ドッグ

ジュベル・アリ港

U A Eには国際空港が6港（アブダビ、ドバイ、シャル

ジャ、ラス・アル・ハイマ、フジャイラおよびアル・

アイン）開港しています。各空港に乗り入れている航

空会社や利用旅客数ならびに取扱貨物量が年々増加し

ているため、空港諸施設の近代化・拡張工事がこれら

ほとんどの空港において推進されています。中でもド

バイ空港は最新の設備を備えた世界でも屈指の近代的

空港であり、湾岸最大の物流拠点となっています。エ

アフランス、ルフトハンザ、英国航空など世界の主要

航空会社のほとんどが乗り入れており、その数は105社、

世界1 4 5の諸都市を結んでいます。2 0 0 3年の乗降客数は

1 , 8 0 0万に達しており、2 0 1 0年には4 , 0 0 0万に増加すると

予測されています。一方、アブダビ空港には世界の航

空会社5 0社が乗り入れており、約9 0の諸都市に旅客便

を運航しています。2 0 0 3年度の乗降客は4 3 0万人を数え

ています。また、シャルジャ空港はU A Eでは一番古い

歴史を持つ空港で、ロシア・C I S（独立国家共同体）諸

国との関係が深く、これら諸国の航空会社を中心とし

て、エジプト航空、パキスタン航空、タイ航空、シン

ガポール航空などの会社が乗り入れ、ロンドンやシン

ガポール、ボンベイ、香港行きなどの便を運航してい

ます。ラス・アル・ハイマ、フジャイラ、アル・アイ

ンの各空港にもアラブ諸国、インド、パキスタン、C I S

諸国の各都市を結ぶ国際便を運航している多くの航空

会社が乗り入れています。なお、これら6国際空港は

2 0 0 4年9月1日より、空港使用料としてD H 3 0（約8 4 0円）

を旅客から徴収しています。

U A Eが運営に関与している主要航空会社は次の通り

です。（1）ガルフ航空：U A E、バハレーン、オマーン

の3カ国で共同運航しているガルフ航空は世界3 4カ国、

4 5都市に路線網を確立しており、2 0 0 3年の旅客数は約

6 0 0万人でした。（2）イッティハード航空：アブダビ首

長国が2 0 0 3年7月に設立した航空会社で、アル・アイン

や中東諸国、欧州路線に運航しています。（3）エア・

アラビア： 2 0 0 3年2月3日にシャルジャ首長国が設立し

た、中東では初の低運賃サービス航空会社で、同年1 0

月から運航を始めました。現在、バハレーン、クウェ

イト、シリアなど近隣中東諸国とインド亜大陸の合計

1 0カ国、1 3都市の路線に週5 6便を運航しています。（4）

エミレーツ航空：ドバイ首長国が1 9 8 5年から運航を開

始した、世界で最も早く成長を遂げた航空会社です。

収益率では世界の航空会社の中で5位以内にランクされ

ているなど、いまや世界有数の航空会社に成長してい

ます。その路線網は世界5 4カ国、7 8都市におよび、日

本の関西空港にも週7便（直行便）が運航されています。

2 0 0 3 / 4年の会計年度における乗客数は1 , 0 4 0万人に達し

ています。

The United Arab Emirates 11The United Arab Emirates10

ドバイ国際空港

ドバイ国際空港

エミレーツ航空機

最新技術を駆使した近代的な通信設備が完備されて

います。国内通信事業は公共機関のイッティサラート

社（E t i s a l a t；Emirates Telecommunications Corporation）

が運営・管理し、国内・国際電話から携帯電話、イン

ターネット、ケーブルテレビに至るまで幅広いサービ

スを提供しています。同社は通信網の拡張・改良、新

技術の導入、設備の拡充に約2億7 , 0 0 0万ドル（2 0 0 3年）

の資金を投入するなど、従来から積極的な設備投資を

行ってきており、その結果、U A Eは世界で最も進んだ

通信インフラを有する国のひとつに成長しています。

2 0 0 4年、連邦政府はイッティサラート社の独占事業を

廃止し、通信事業を自由化する、と発表しましたが、

その時期や自由化の対象となる事業分野も明確にはな

っていません。

2 0 0 4年年央の固定電話加入者総数は1 1 6万3 , 0 0 0人で、

加入率は住民1 0 0人当たり2 8人となり、また、飛躍的に

増加している携帯電話の加入者数は3 3 0万8 , 0 0 0人で、

住民1 0 0人当たり8 1人の加入率となっています。携帯電

話の加入率は湾岸6カ国の中では最高を誇っています。

インターネットの加入者も前年同期比1 2％増の3 3万

2 , 0 0 0人に達しています。イッティサラート社はまた、

ザンジバル・テレコム（Zanzibar Telecom : Zantel）に

3 4％、スーダンのスダテル（ S u d a t e l）に4 . 6％、カター

ル・テレコム（Qatar Telecom）に1％の権益をそれぞれ

保有するなど、海外にも積極的に進出しています。

電話料金は別表の通りですが、市内通話は公衆電話

やホテルの電話以外の一般固定電話からの場合、無料

です。

U A Eの郵便事業は、 U A E総合郵便庁が再編され、

2 0 0 1年に設立された「エミレーツ郵便会社（E m P o s t）」

によって管理されており、業務の効率化による郵便料

金の値下げや、D H Lなどの国際大手企業との提携によ

る新規サービスなどが実施されています。手紙や葉書

などの郵便物の各家庭への個別配達はありませんので、

基本的にはすべて郵便私書箱を使って受領することに

なります。日本宛郵便料金は葉書がDH 2（約5 6円）、

封書がDH 3.5（約98円）です。


アル・イッティハード新聞社

光通信網

イッティサラート本社

今日、石油産業とならび国の工業化の象徴となって

いるのが自由貿易区（フリーゾーン：F Z）です。F Zは

先進国から外資を導入する目的だけではなく、世界の

最先端技術やマネジメント手法をも国内に移転するこ

とを目的として設立されたものです。中でも、1 9 8 5年

にドバイに開設された U A E初のF Zである「ジュベル・

アリ自由貿易区（J A F Z）」が大きな成功を収めていま

す。世界最大の人口港ジュベル・アリ港を有し、事務

所ビル、工場用地、その他各種サービスが完備され、

進出企業は次の投資インセンティブも付与されていま

す。

（1）外資100％企業の設立（2）法人税免除（50年間、更新可能）（3）資本・利益の100％国外送金の自由（4）個人所得税免除（5）輸出入関税免除（6）国外からの労働力輸入の自由

開設以来、世界 1 0 0カ国以上から大手企業を含む

2 , 7 7 0社（2 0 0 4年2月現在）が進出しており、累積投資

額は2 0 0億ドルを超えたとされています。進出企業の国

別内訳は、湾岸・中東諸国が全体の3 5％、アジア・太

平洋諸国が2 8％、欧州諸国が2 7％、残りが北米とその

他諸国、となっています。日本からは7 8社が進出して

います。

ドバイ首長国はまた、中東のI T・メディア産業のハ

ブとなることを目指し、情報技術関連の3つのF Zを近

年、開設しました。（1）ドバイ・インターネット・シ

ティ（D I C）、（2）ドバイ・メディア・シティ（D M C）、

および（3）ドバイ・アイデア・オアシス（D I O）で、

D I CとD M Cには、合計6 5 0社あまりが進出しています。

D I CにはマイクロソフトやI B M、コンパック、キャノ

ンなどの国際大手I T企業が名を連ね、そしてD M Cには

ロイター通信社、C N N社、B B Cワールドなどの報道機

関が進出しています。

これらのF Z以外に、ドバイ国際空港F Z、シャルジャ

F Z、シャルジャ国際空港F Z、ハムリーヤF Z、アジュマ

ンF Z、フジャイラ F Z、ラス・アル・ハイマF Zがあり、

進出企業数も順調に伸びています。これらのF Zでは、

J A F Zと同様の投資インセンティブが付与されていま

す。一方、アブダビ政府は、同市沖合いのサディーヤ

島にF Zを開設するため、インフラの整備・拡充工事を

実施しています。

2 0 0 4年3月末現在のU A E進出日本企業は 1 5 6社を数え

ています。内訳は、アブダビ 2 8社、ドバイ 1 2 4 社

（JAFZ 78社、その他FZ 8社、市内38社）、その他首長国

4社です。


ジュベル・アリ港

ドバイ・メディア・シティジュベル・アリ自由貿易区全景


U A Eの石油確認埋蔵量は2 0 0 3年末現在、世界の総埋

蔵量の8 . 6％に相当する9 7 8億バーレルに達しています。

この量は世界第5位であり、2 0 0万バーレル/日の生産水

準で換算すると、約1 3 0年分に匹敵します。一方、天然

ガスの埋蔵量は2 1 2兆立方フィートで、世界の3 . 4％を

占めており、石油の埋蔵量と同様、世界第5位を誇って

います。U A Eの中で石油・ガスを産出しているのは、

アブダビ、ドバイ、シャルジャ、ラス・アル・ハイマ

の4首長国で、アブダビが石油・ガス両方の埋蔵量と生

産量において圧倒的なシェアを占めています。

●アブダビ首長国

アブダビの石油確認埋蔵量はU A E全体の9 4 . 3％にあ

たる9 2 2億バーレルで、2 0 0 3年の平均生産量は前年を3 0

万バーレル/日ほど上回る約2 0 0万バーレル/日でした。

最高石油評議会（Supreme Petroleum Council : SPC）が

アブダビの石油・ガス産業の全般を管掌し、アブダビ

国営石油会社（ A D N O C）が石油・ガスの探鉱、生産、

精製、販売ならびに石油化学、ガス液化処理などの事

業を傘下のグループ企業1 5社を通じ、運営・統括して

います。また、その他外国石油会社もA D N O Cの管轄下

にあります。

グループ企業の内、アブダビ陸上操業会社（ADCO）、

アブダビ海上操業会社（A D M A - O P C O）およびザクム

開発会社（Z A D C O）の3社が石油・ガスの探鉱・生

産・輸出などの操業に従事しています。これら以外に、

日本の企業グループが設立したアブダビ石油（A D O C）

とムバラス石油（M O C O）および、日本企業が資本参

加しているトタール・アブ・アル・ブクーシュ石油

（T B K）とアル・ブンドク石油（B O C）の合計4社が石

油操業を行っています。また、日本のジャパン石油開

発（J O D C O）がA D M A - O P C OとZ A D C Oの2社に出資し

ています。

アブダビの天然ガス埋蔵量は1 9 6兆1 , 0 0 0億立方フィ

ートで、U A E全体の約9 3％を占めています。ガスの液

化事業はアブダビ・ガス工業会社（G A S C O）とアブダ

ビ・ガス液化会社（A D G A S）の2社によって実施され

ています。 G A S C Oは陸上油田の随伴ガスを処理して、

L P Gを生産・輸出しており、一方、 A D G A Sは海上油田

の随伴ガスと構造性ガスからL N GとL P Gを生産し、ア

ジアや欧米諸国に輸出しています。

精製部門は、アブダビ石油精製会社（T A K R E E R）

が管轄しており、ルワイス製油所とウンム・アル・ナ

ール製油所を操業しています。2 0 0 3年現在の精製能力

は合計5 0万8 , 0 0 0バーレル/日で、内訳はルワイスが4 2万

バーレル/日、ウンム・アル・ナールが8万8 , 0 0 0バーレ

ル/日です。

●ドバイ首長国

2 0 0 4年1月現在のドバイの石油確認埋蔵量は4 0億バ

ーレルと推定されていますが、回収可能量は1 6億～2 0

億バーレルだろうとの見方もあります。同国唯一の石

油操業会社であるドバイ石油会社（D P C）が操業を行

っていますが、生産量は石油、ガスともに年々減少の

傾向にあります。G D Pに占める石油部門の比率は1 9 8 5

年当時 5 0％近くだったものが、2 0 0 3年度はわずか7％

まで落ち込み、2 0 1 0年には1％以下になると予測され

ています。

ドバイの天然ガス埋蔵量は4兆1 , 0 0 0億立方フィート

です。海上油田の随伴ガスは全量、油田に再注入され

ているため、陸上のマルガム・ガス田のみが天然ガス

の供給源になっています。同ガス田の生産量も石油と

同様に減少してきていることから、毎年1 0～1 5％の率

にて増加しているガス需要を賄うため、ドバイはシャ

ルジャやアブダビなど国外から天然ガスを輸入してい

ます。

原油の精製施設はありませんが、コンデンセートを

処理する製油所（能力1 2万バーレル/日）が1 9 9 9年にエ

ミレーツ国営石油会社によって操業が開始され、L P G、

ジェット燃料、バンカー油などを生産しています。

●シャルジャ首長国とラス・アル・ハイマ首長国

シャルジャの石油操業はクレセント石油会社（C P C）

が行っています。天然ガスの生産量は国内需要を大幅

に上回っているため、余剰分はドバイなど海外に輸出

されています。シャルジャとラス・アル・ハイマ両首

長国の石油・ガスのデータは次表の通りです。

●ドルフィン・ガスプロジェクト

自国の天然ガス資源の開発と同時に、U A E政府は将

来のガス需要に対応するため、カタール沖合いのノー

ス・フィールドガス田からパイプラインによって天然

ガスをアブダビ、ドバイ、オマーンに供給する計画、

「ドルフィン・ガスプロジェクト」を推進しています。

計画は順調に進捗しており、U A E向けガスの供給は

2006年から開始される予定です。


油田

The United Arab Emirates18 The United Arab Emirates 19

U A Eの石油化学事業はガス開発の進捗に伴い、徐々

に発展してきています。主な石油化学関連事業は以下

の通りです。

● アブダビ首長国

（1）アブダビ・ポリマー会社（Abu Dhabi PolymersCo., Ltd : Borouge）

B o r o u g eは、アブダビ国営石油会社（A D N O C）とコ

ペンハーゲンを本拠地とする欧州の大手ポリオレフィ

ン製造会社ボレアリス社（Borealis A/S）との間で、6

対4の出資比率にて1 9 9 8年に設立された合弁会社です。

生産能力が6 0万トン/年のエチレン・プラントと生産能

力が各々2 2万5 , 0 0 0トン/年のポリエチレン・プラントふ

たつが、ルワイスにて操業を行っています。ポリエチ

レン・プラントの生産能力は2 0 0 5年第1四半期までに合

計58万トン/年まで増強される予定です。

（2）ルワイス肥料工業会社（Ruwa is FertilizerIndustries : FERTIL）

アブダビ国営石油会社（A D N O C）とトタール・フィ

ナ・エルフ社が出資比率2対1で1 9 8 0年1 0月に設立した

合弁会社です。同社の目的は、陸上で生産されるガス

を利用し、国内および海外向けの肥料を生産すること

です。 1 9 8 4年4月、生産能力1 , 0 5 0トン/日のアンモニ

ア・プラントと同1 , 5 0 0トン/日の尿素プラントが操業を

開始しました。その後、技術面の改善と生産能力の増

強が行われてきた結果、アンモニアと尿素の生産能力

は各々1 , 3 4 0トン/日と1 , 8 5 0トン/日まで拡大しています。

現在、余剰のアンモニアを含め、年間6 0万トンの尿素

が輸出されています。

（3）アブダビ肥料工業会社（Abu Dhabi FertilizerIndustries Company：ADFERT）

同社は、水溶性、粒状、液状などの肥料を1 9 9 8年6月

から生産しており、プラントの生産能力は年間2 0万ト

ンです。

●ドバイ首長国

（1）ユニオン・ケミラ会社（Union Kemira Company）ドバイ初の肥料プラントは、現地企業のユニオン農

業グループ（Union Agricultural Group）とフィンランド

のケミラ社が出資比率5 1対4 9で設立した合弁企業ユニ

オン・ケミラ社によって建設され、1 9 9 0年に操業を開

始しています。化学肥料の生産能力は6,000トン/年です。

（2）ケミラ・エミレーツ肥料会社（Kemira EmiratesFertilizer Company : KEFC）

ユニオン・ケミラ社と同一グループのK E F Cは、生産

能力6万トン/年の肥料プラントをジュベル・アリに建

設し、2 0 0 1年に操業を開始しました。また、アンモニ

アの生産能力が2 2万6 , 0 0 0トン/年と尿素の生産能力が4 0

万トン/年のプラントが 2 0 0 3年上半期に生産を開始して

います。

（3）ドバイガス会社（Dubai National Gas Co., Ltd. :DUGAS）

D U G A Sはドバイ政府が1 0 0％出資している国有会社

です。同社は、カナダのシミター石油会社（S c i m i t a r

O i l s）との合弁により生産能力が5 0万トン/年のM T B E

（Methyl Tertiary Butyl Ether）プラントを建設し、1 9 9 5

年2月から生産を開始しています。このM T B Eプラント

はG C C（湾岸協力会議）諸国ではサウディアラビアに

次いで2番目のものです。

●アジュマン首長国

生産能力 6 0 0トン/日の肥料プラントが1 9 8 7年1 2月か

ら操業を行っています。


ルワイス肥料工業会社プラント

ルワイス肥料工業会社プラントアブダビ・ポリマー会社プラント

U A E政府は他の湾岸産油国と同様、石油依存体質か

らの脱却を目指し、外資導入と製造業の育成に向けた

フリーゾーンの開設や観光産業の拡大など、経済の多

様化を図ってきています。こうした経済環境下、2 0 0 3

年の銀行部門は、原油価格の高騰や株式市場の拡大、

公共・民間両部門における投資の増大などにより順調

に業績を伸ばし、非石油部門の成長に貢献しています。

2 0 0 4年3月、「金融フリーゾーン法」が制定され、U A E

国内での外資1 0 0％による金融機関の設置が可能となり

ました。

●UAE中央銀行

通貨局の発展的解消により1 9 8 0年にU A E中央銀行が

創設されました。中央銀行は国家金融政策の立案・実

施をはじめ通貨ディルハムの発行、通貨価値の安定と

自由交換の保証など、金融行政全般を指導・監督して

います。外貨の持ち込み・国外送金ともに規制はなく、

ディルハムとの交換も自由にできます。

●商業銀行

2 0 0 4年3月末現在の銀行数は、地場銀行が2 1行（3 4 9

支店）、外国銀行が2 5行（8 7支店）です。外国銀行とし

ては、Citibank、Standard Chartered Bank、Barclays Bank、

B L C（F r a n c e）などの欧米銀行のほか、近隣アラブ諸

国の銀行が進出しています。また、純利益と総資産を

ベースとした地場銀行のトップテンは別表の通りです。

これら商業銀行は、低金利による収入減を補うための

新規事業分野の開拓、既存の金融商品の改良など、サ

ービスの多様化に取り組んでいます。金利はイスラム

法では禁止されていますが、U A Eでは事実上認められ

ており、中央銀行が公表しています。

2 0 0 3年、みずほコーポレート銀行はドバイのマシュ

レク銀行（Mashreq Bank）本店内にジャパンデスクを

設置し、在U A Eの日本企業に対し預金や貸出、送金な

どのサービスを提供しています。

●証券取引所の開設

1 9 9 9年3月にドバイ証券取引所（Dubai Financial

M a r k e t：D F M）が、同年9月にアブダビ証券取引所

（Abu Dhabi Securities Market：A D S M）がそれぞれ開設

されました。オンラインで結ばれている両取引所は開

設以来、上場企業数、取引量、市場時価総額など急速

に伸びています。A D S Mはアブダビ市のほかシャルジ

ャとラス・アル・ハイマにも立会い場を設けています。


U A E硬貨

U A E紙幣

U A Eの観光産業はドバイ首長国を中心として飛躍的

な発展を見せています。ドバイは1 9 9 0年代初めから本

格的な観光産業の開発に乗り出しました。ヨーロッパ、

米国、日本などに広報活動事務所を開設すると共に、

リゾートホテル、芝付きゴルフ場、各種スポーツ施設、

大規模商業コンプレックスなどを建設し、観光インフ

ラの拡充・整備を推進してきました。また、より多く

の観光客を呼び込むため、エミレーツ航空を単独にて

設立し、ドバイ国際空港の拡張・近代化も行っていま

す。2 0 0 3年、ドバイ政府はU A Eの観光開発の中では最

大規模となる娯楽施設、「ドバイランド」の建設計画を

発表しました。世界最大のモールとなる「アラビア・

モール」や「アドベンチャー・ワールド」、「スポー

ツ・ワールド」、「ショッピング・ワールド」などのア

トラクション施設が完成すれば、1日2 0万人の観客を動

員できると見込んでいます。こうした観光施設の追加

によって、ドバイは訪問客数を2 0 1 0年までに1 , 5 0 0万人

に、2 0 1 5年には4 , 0 0 0万人まで拡大するとの壮大な計画

を立てています。ドバイ政府観光・商務局の統計によ

ると、2 0 0 3年のドバイへの訪問客は4 9 8万2 2 8人に達し、

その内日本人客は3万5,682人（前年比23％増）でした。

一方、アブダビをはじめとする他の首長国でもホテ

ルの新規建設や各国特有の観光資源の開発などを進め

ています。アブダビはショッピングモールやゴルフ場

の新設などに取り組み、シャルジャはインド洋側の飛

び地コール・ファッカンの景勝地とショッピングモー

ル、オールドスークを観光の目玉にし、また、インド

洋に面しているフジャイラは山岳オアシスと美しい海

岸・島々という観光資源を開発しています。

●観光コース・スポット

U A Eの主な観光コース・スポットは次の通りです；

アブダビ市内（石油展示館、カスル・アル・ホスン、

ダウ船建造所、手工業品センター、競駱場）、ドバイ市

内（ドバイ・クリーク、スーク、ダウ船建造所、シェ

イク・サイードの館、ジュメイラモスク、ドバイ博物

館、ゴルフコース、ブルジュ・アル・アラブ、ワンダ

ーランド）、サファリツアー（四駆車砂漠ドライブ、ワ

ディ探検、砂漠キャンプ、サンドスキー、ラクダ乗り、

バーベキュー）、ハッタ・ツアー（山岳オアシス）、ア

ル・アイン・ツアー（ブライミ・オアシス、ヒッリ遺

跡、ヒッリ遊園地、ジャバル・ハフィート、動物園）、

シャルジャ市内（オールドスーク、考古学博物館、美

術遺産博物館）。


ドバイ市内

ベドウィン・ビレッジでの食事

●農　業

U A Eは砂漠性気候という過酷な自然条件のため、農

業はラス・アル・ハイマをはじめとする北部首長国に

おいてデーツ（なつめやし）の生産を中心として営ま

れてきていました。近年、政府の農業奨励政策の推進

により、北部地方に加えアル・アイン周辺部や南西部

のリワー・オアシス近辺に、野菜、果樹、牧草などの

農園が広がっています。

トマト、キャベツ、たまねぎ、なす、きゅうり、豆

類など各種野菜のほか、デーツはもちろんのことマン

ゴーやライム、その他カンキツ類、イチジク、アーモ

ンドなどの果物も生産されており、生産高は年々増加

の傾向にあります。また、酪農、養鶏、畜産業も拡大

しており、食肉やミルクなどの生産量が着実に伸びて

います。2 0 0 3年現在、U A Eは食糧需要の約 3 0％を自国

産で賄っています。2 0 0 3年の食糧品別の自給率は次の

通りです。デーツ；1 0 0％、野菜；5 8％、食肉；3 1％、

家禽肉；17％、ミルク；83％、鶏卵；39％。

●漁　業

漁業の中心地は、ラス・アル・ハイマ、ウンム・ア

ル・カイワン、フジャイラの北部首長国です。2 0 0 2年

の漁獲高は9万7 , 5 7 4トン、漁師数は1万7 , 2 0 0人、漁船数

は5 , 1 9 1隻です。農水産省は水産資源の保護のため、漁

期や地域、漁具などを規制しており、また、各漁船に

U A E国民もしくはG C C諸国の国民の乗船を義務付けて

います。ウンム・アル・カイワンには日本の協力で水

産資源開発センターが開設され、ハタ、アイゴ、ボラ、

エビなどの養殖の研究が続けられています。なお、

UAEの魚介類自給率は現在、100％に達しています。


野菜畑

漁港灌漑農場

U A Eの衛生・医療環境は大変良好で、近代的医療設

備を誇る国立総合病院のほか、私立の総合病院、公私

立のクリニックも多数あり、U A E市民は世界最高水準

の医療サービスを享受しています。新生児や乳幼児の

死亡率は国際目標値を下回っています。また、国民の

平均寿命も1 9 9 8年には7 5歳以上に達しており、高齢者

に対する福祉サービスも充実しています。アブダビ、

シャルジャ、アジュマン、ラス・アル・ハイマの4都市

に開設されている老人ケアセンターは、最新の医療機

器を備え、専門医や看護士たちが入居者の完全介護に

当たっています。

国立の病院やクリニックでは、外国人もU A E国民と

同様に診療は無料でしたが、ヘルス・カード制が導入

され、外国人の診療は有料となりました。ヘルス・カ

ードの年間登録料は別表の通りです。軽い病気やけが

の場合、ヘルス・カードを提示すれば、医療センター

（Medical Care Center）ではDH 20（約560円）、国立病院

ではDH 50（約1 , 4 0 0円）の安い初診料にて診療を受け

ることができます。私立の医療機関の診療費は国立よ

りかなり高く、例えば初診料はD H 2 0 0（約5 , 6 0 0円）前

後もします。


病院（アブダビ）

単純作業労働者を含め技術職や専門職の労働力の多

くを外国人に依存しているU A Eでは、国の経済開発ニ

ーズに沿った自国民の教育・訓練の普及・充実を目指

しています。 U A Eの一般教育は、初等教育、中学教育

および高校教育からなり、日本と同じく6・3・3制を採

用しており、義務教育課程は中学校までです。実業教

育は工業、商業および農業の3課程に分かれています。

U A Eの国立学校と外国人私立学校があります。国立

校は男子校と女子校に分かれており、男女共学の学校

はありません。国立校の授業料は無料ですが、共学の

外国人私立校は有料です。欧米、インド亜大陸、アジ

ア諸国など多くの国々の外国人私立学校があり、各国

の教育システムに基づいた授業が行われています。日

本人学校はアブダビとドバイに開校されています。

大学は、U A E初の大学として 1 9 7 6年にアル・アイン

に創設されたアラブ首長国大学（U A E大学）をはじめ、

同国最初の女子大学であるザーイド大学や高等技術単

科大学などがあります。また、著名な私立大学として

は、ドバイ・アメリカン大学、シャルジャ・アメリカ

ン大学、アジュマン科学技術大学が開校しています。

U A E大学は国内最大の総合大学で、全寮制になって

います。授業料から寮費、食費、送迎費に至るまです

べて無料です。女子の大学進学率が非常に高く、U A E

大学では全学生数1万6 , 1 2 8人（2 0 0 2 / 0 3年度）の内、女

子学生が1万2,391人（約76.7％）を占めています。


シャルジャ・アメリカン大学

技術専門学校（アブダビ）女子校（アブダビ）

U A Eの総人口4 0 4万人（2 0 0 3年）のうち約半数がアブ

ダビ、ドバイ、シャルジャの3大都市圏に集中していま

す。U A Eは自国民より外国人が多数を占め、その大半

がインド亜大陸、ヨーロッパ、東南アジア、中東諸国

からの人々です。このような様々な国のビジネスマン

たちや観光客が高層ビルの林立する街中を往来してい

ます。

電力・水施設、最新技術を備えた通信設備、発達し

た陸海空の輸送網などのインフラストラクチャーの完

備、高度なサービスを提供する金融機関の存在、高品

質を誇るオフィスと居住施設の整備、快適な社会生活

など、U A Eを取り巻くビジネス環境は非常に良く整っ

ています。所得税が無く、関税率も低いなどの税制面

の優遇措置も保証されているため、多くの外国企業が

U A Eに進出しています。大都市には、近代的なオフィ

スビルが数多くあり、中には通信設備や家具などを備

え付けたオフィスも用意されていますので、ビジネス

マンは借りたその日から仕事が開始できます。

国際会議や展示会、セミナーの誘致を産業政策の柱

のひとつと位置付けているドバイは、I M F（国際通貨

基金）の総会や2年に一度開かれる国際航空ショーなど

を開催しており、世界各国から何万人ものビジネスマ

ンを集めています。

●勤務時間

官庁、民間企業の勤務時間は概ね別表の通りです。

イスラム教を国教としているため、金曜日が週休日に

なっており、土曜日から一週間が始まります。

ラマダン月（断食月）は勤務時間が通常、2時間短縮

されます。

●祝祭日

祝祭日は主にイスラムの宗教行事に準拠しています。

イスラム暦は西暦より通常、1 1日短いため、イスラム

の祭日の西暦対応月日は毎年移動します。

●現地時間

GMTに4時間プラス（日本時間とは5時間マイナス）

●通　貨

通貨単位：UAEディルハム（DH）

1ディルハム＝100フィルス（Fils）

為替レート：US$1＝DH 3.6725（対米ドル固定制）

1ディルハム＝約28円（2005年1月現在）

●オフィス賃借料

都市によって相違はありますが、ドバイの事務所賃借

料の目安は1平方フィート当り年額でDH 60～1 0 0（約

1,680～2,800円）位です。


エミレーツ・タワー・ホテル＆オフィス

ドバイ市内

見本市

商談

U A Eのホテル業は湾岸最大の規模を有し、デラック

スな超高級ホテルから庶民的なホテルまで質・量とも

に充実しています。近年、ドバイ首長国を中心にU A E

各首長国が観光事業の拡大に力を注いでいることから、

風光明媚な海岸沿いなど各地にリゾートタイプのホテ

ルが続々と出現しており、2 0 0 3年末現在の総ホテル数

は3 6 6に達しています。ビジネスや観光でU A Eを訪れる

人々は、その訪問の目的や滞在期間に合わせた宿泊施

設を選ぶことができます。一流ホテルには、会議施設、

西欧料理をはじめとする各種料理の高級レストラン、

有名ブランド商品を扱うショッピング施設、屋内スポ

ーツ施設、プール、その他レジャー施設などが併設さ

れています。また、空港やショッピングセンターへの

送迎サービスも提供されています。

主要ホテルと通常宿泊料金は別表の通りですが、料

金は連泊割引や顧客割引などがありますので、各ホテ

ルに確認する必要があります。


BURJ AL ARAB HOTEL

RITZ CARLTON HOTEL

LE MERIDIEN HOTEL SHERATON JUMEIRAH BEACH HOTEL

●外国人用住宅

在留外国人ビジネスマンと家族はコンパウンド形式

の高級アパートメント（フラット）や一戸建てのヴィ

ラに居住しています。コンパウンドの多くは、居住者

専用のプール、室内トレーニング・ジム、テニスとス

カッシュのコート、衛星放送受信設備などを備えてお

り、また、2 4時間体制による治安対策も講じられてい

ます。長期滞在客用のアパートメントホテルもありま

すので、外国人在留者はそれぞれの家族構成に従い、

住宅を選択することができます。賃借料は家具付か家

具なし、建物の立地条件などにより異なります。家具

付住宅の年間賃借料の目安は別表の通りです。

年間賃借料の例（アブダビ市内）

《フラット》

3 LDK DH 120,000 （約336万円）

4 LDK DH 150,000 （約420万円）

《ヴィラ》

4 LDK DH 200,000 （約560万円）

年間賃借料の例（ドバイ市内）

《フラット》

1 LDK DH 100,000 （約280万円）

2 LDK DH 115,000 （約322万円）

3 LDK DH 140,000 （約392万円）

●ショッピング・食事

買い物は U A Eでは一種のレクリエーションであり、

観光客を同国に誘引する目玉のひとつとなっています。

U A Eの諸都市では、近代的なショッピングモール、カ

ルフールなどの欧米型の大規模スーパーマーケット、

そして伝統的なアラブのスーク（市場）が混在し、多

くの買い物客で賑わっています。アブダビとドバイに

は2 0を超えるショッピングモールがあり、食料品から

日用雑貨、洋服、化粧品、時計、金製品、家電製品、

家具に至るまで、ありとあらゆる商品を販売していま

す。アブダビには、「She Zone」という名の女性専用の

モールもあり、また、映画館などの娯楽施設を併設し

ているところもあります。一方、スークも楽しいショ

ッピング・スポットです。アラブでは有名なゴール

ド・スーク（金の市場）、スパイス市場、カーペット専

門のイラン市場、果物・野菜市場、魚市場、変わった

ところでは、らくだ市場など、アラブの香りがする

様々なスークがあります。なお、大手スーパーマーケ

ットの中には日本食品を販売している店もあり、品数

も豊富ですが、価格は日本の2～3倍位です。

人口の大半が外国人で占められているため、U A Eで

は世界各国の料理を楽しむことができます。アラブ料

理は言うに及ばず、フランス、イタリア、スイス、ギ

リシャ、ドイツなどヨーロッパ各国の料理や地中海料

理の高級レストランが主要ホテルにあり、また、中国、

日本、タイ、韓国などのアジア料理店も揃っています。

なお、アルコール飲料はホテル内では許可されていま

すが、街中のレストランでは禁止されています。

●ディルハムの交換

外国為替についての規制はなく、外貨とディルハム

は市中の銀行と公認両替商にて自由に交換することが

できます。


スーク（市場）

Documents

財団法人中東協力センター - JCCME2008/07/02 · Etisalat (Emirates Telecommunications Corporation) Annual Statistical Bulletin 2003 Organization of Petroleum Exporting