Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
クリニカルスキルアップセンター 1
主訴 動悸 息苦しい 既往 15年前から高血圧と言われていた 状況 約2週間前から足がむくんでいることが気になっていた 一週間前から咳が出るようになったが気にしていなかった 数日前から動悸と息苦しさが気になって受診した
採血 TP 5.8 g/dl Alb 2.8 g/dl ナトリウム 160 mEq/L カリウム 4.6 mEq/L クロール 103 mEq/L 尿素窒素 21 mg/dL クレアチニン 1.1 mg/dL AST 43 IU/L ALT 38 IU/L
WBC 3.7 ×10^3/μL RBC 3.45 ×10^6/μL Hgb 9.6 g/dL Hct 29.9 %
クリニカルスキルアップセンター 2
胸部レントゲン
クリニカルスキルアップセンター 3
検査項目 単位 C 総蛋白 g/dL 7.5 アルブミン g/dL 4.0
ナトリウム mEq/L 140
カリウム mEq/L 6.5
クロール mEq/L 100
尿素窒素 mg/dL 20.0
クレアチニン mg/dL 1.0
総ビリルビン mg/dL 1.0
直接ビリルビン mg/dL 0.5
AST IU/L 500 ALT IU/L 50 ALP IU/L 250
コリンエステラーゼ IU/L 200
LDH IU/L 550 CK IU/L 650
ブドウ糖 mg/dL 100
HbA1c % 5.0
心筋梗塞
Na +
K +
Ca 2+
Na +
Na +
Na +
Na +
K +
K +
K +
K + Na
+
Ca 2+
Ca 2+
+30mV
-80mV
0mV
細胞内の電位 分極状態(静止膜電位)
脱分極状態
心筋細胞と心電図
クリニカルスキルアップセンター 4
Na +
K +
Ca 2+
Na +
Na +
Na +
Na +
K +
K +
K +
K + Na
+
Ca 2+
Ca 2+
心筋細胞と心電図
細胞 内 外
Na 7 140
K 140 4
Ca 0 2.5
自覚症状と病歴(急性心不全疑い)
全身所見の観察 血圧測定 動脈血ガス 採血 胸部X線
心音聴診 呼吸音聴診
12誘導心電図
心エコー検査 初期治療
急性心筋梗塞疑い
末梢静脈路確保
緊急心臓カテーテル
心不全治療
急性心不全 循環器疾患最新の治療2008-009 より 一部改変
クリニカルスキルアップセンター 5
心臓の解剖
1903年にオランダのウィレム・アイントホーフェンが海底電信受信用の弦線電流計を改良して心電計を開発した。
最初の心電計
1924年にノーベル生理学医学賞を受賞
クリニカルスキルアップセンター 6
0
mV
0
mV
0
クリニカルスキルアップセンター 7
P
S
T
Q
R
0
心電図波形の名称
心電図波形の名称
RS型
QR型
rsR型
クリニカルスキルアップセンター 8
正常な心電図の見方
電極から見て、近づく電気は上向き(+)、遠のく電気は下向き(-) 参考書に書いてある波形はⅡ誘導
P
S
T
Q
R
PQ≦0.2秒(5mm)
QT<RR/2
HR=1500/RR
みぎ ひだり
あか
くろ
きいろ
みどり
Ⅰ誘導:左手(+)→右手(-)、左室前壁、高位側壁を反映 Ⅱ誘導:左足(+)→右手(-)、下壁横隔膜面を反映 Ⅲ誘導:左足(+)→左手(-)、下壁横隔膜面を反映 aVR:右手と不関電極(左手と左足結合電極)、右心室内腔を反映 aVL:左手と不関電極(右手と左足結合電極)、左室高位側壁を反映 aVF:左足と不関電極(右手と左手結合電極)、下壁横隔膜面を反映
四肢誘導
クリニカルスキルアップセンター 9
R L
F
R L
F
(+) (-) Ⅰ誘導
クリニカルスキルアップセンター 10
Ⅰ誘導
Ⅱ誘導
Ⅲ誘導
Ⅰ誘導
R L
0°
aVF誘導
クリニカルスキルアップセンター 11
R L
Ⅰ誘導 0°
aVF誘導
クリニカルスキルアップセンター 12
ノイズの原因は?
右室
右室
左室
左室
中隔
中隔
正常心臓
右心負荷
クリニカルスキルアップセンター 13
R: +3mm S: -8mm
R: +4mm S: -1mm
= -5mm
= +3mm
Ⅰ誘導 0°
aVF誘導
クリニカルスキルアップセンター 14
右軸偏移 右室肥大、WPW、前側壁MI、急性右心負荷(PEなど)、左脚後枝ブロック、右胸心
I陰性QRS;II陽性QRS
左軸偏移 左軸偏位:下壁梗塞、左脚前枝ブロック、WPW、心室頻拍、左室肥大
I陽性QRS+II陰性QRS
クリニカルスキルアップセンター 15
クリニカルスキルアップセンター 16
1)胸骨柄(突起)の真下が第二肋間。 2)第四肋間鎖骨右辺がV1、左辺がV2 3)第四肋間と鎖骨中線が交った点から一肋間下げて、第五肋間がV4
4)V2とV3の中間点がV3 5)V4と同じ高さで、左前腋窩線がV5、左中腋窩線がV6
胸部誘導
移行帯
クリニカルスキルアップセンター 17
反時計回転 移行帯がV1方向へ移動 左室の圧負荷、容量負荷、正常男性
時計回転 移行帯がV6方向へ移動 右室の圧負荷、容量負荷、右室肥大、横隔膜低位、肺気腫
クリニカルスキルアップセンター 18
V1 V2 V3 V4 V5 V6
正 常
時計回転
反時計回転
移行帯
G
Ⅱ誘導
G
MCL5誘導
V5波形に近似
R波が観察しやすい ST変化が観察しやすい
モニター心電図
クリニカルスキルアップセンター 19
G
MCL1誘導
G
NASA誘導
V1波形に近似 V2波形に近似
P波が観察しやすい 筋電図が入りにくい
モニター心電図
刺激伝導系
クリニカルスキルアップセンター 20
刺激伝導系 P波:心房の興奮
QRS波:心室の興奮
T波:心室の弛緩
洞結節 60~100
房室結節 40~60 ヒス束
50~55
プルキンエ
線維 40~45
心室筋 30~40
心臓の筋肉は勝手に動く
刺激が伝わる道がある
洞結節は指揮者のようなもの
上位の刺激につられて下位が動く
クリニカルスキルアップセンター 21
洞徐脈
HR 41/分 R-R間隔 1.432秒
HR 60
P波に連続するQRS波を認める洞調律であるが、P-P間隔が広い
房室接合部調律 房室結節 40~60
クリニカルスキルアップセンター 22
心室調律
HR 45/分 R-R間隔 1.329秒
HR 60
心室調律30~40
心房細動と心房粗動
心房細動では房室伝導系(房室結節、ヒス束)の伝導能の許す範囲において多数の興奮を心室に伝えます。
心房粗動の成因としては、興奮旋回説と異所中枢機能亢進説とがあります。興奮旋回は、興奮旋回路、一方向性伝導、緩徐伝導部位の条件が必要です。
クリニカルスキルアップセンター 23
心房細動 心房細動の特徴的心電図所見 (1) P波の消失 (2) f波の出現 (3) 絶対性不整脈
HR 63/分 R-R間隔 0.944秒
心房粗動は、Ⅱ、Ⅲ,aVFで基線が静止することなく、大きい鋸歯状波を示します(F波)。F波の数は220~370/分で、極めて規則的に出現します。
房室伝導障害がない心房粗動は、2個のF波の内、1個のみが心室に伝わる(2:1伝導)型で、このような場合は不整脈を認めません。
心房粗動
クリニカルスキルアップセンター 24
洞結節 60~100
房室結節 40~60 ヒス束
50~55
プルキンエ
線維 40~45
心室筋 30~40
心臓の筋肉は勝手に動く
刺激が伝わる道がある
洞結節は指揮者のようなもの
上位の刺激につられて下位が動く
不整脈は音痴なオーケストラ
代償性休止期の例 間入性
完全代償性
不完全代償性
N N V N N
N N V N N N
N N S N N N N
クリニカルスキルアップセンター 25
上室性期外収縮 心房性期外収縮、房室接合部性期外収縮の総称
P波を認める 洞リズムより早期のQRS波 正常QRS波と同波型
心室性期外収縮 P波を認めない 洞リズムより早期のQRS波 幅広QRS波
クリニカルスキルアップセンター 26
右室流出路起源
V1で下向きの波型 Ⅱで上向きの波型
右室心尖部起源
V1で下向きの波型 Ⅱで下向き波型
クリニカルスキルアップセンター 27
左室流出路起源
V1で上向きの波型 Ⅱで上向きの波型
左室心尖部起源
V1で上向きの波型 Ⅱで下向きの波型
クリニカルスキルアップセンター 28
+30mV
-80mV
0mV
絶対不応期
相対不応期
如何なる刺激にも反応しない
強い刺激に反応する
心室性期外収縮の連結期
連結期が短い早期発生型は、心室筋の再分極(T波)で不安定な時期にあたるため、心室細動などの危険性が増大する。
連結期:先行するR波と期外収縮のR波の間隔
クリニカルスキルアップセンター 29
心室性期外収縮2連発
心室性二段脈
クリニカルスキルアップセンター 30
心室性三段脈
多源性VPC 心室性期外収縮の発生源が複数あるものを多源性といいます。 特にQRS波の形が多様な不規則性の場合は危険度が増します。
クリニカルスキルアップセンター 31
ショートラン 同じ波型の心室性期外収縮が3連発以上続くとR on T現象になりやすい
心室性期外収縮の重症度
Lown分類(度)
心電図所見
0 期外収縮なし
1 稀発性、単発性
2 頻発性(1/分又は30/時)
3 多源性
4 反復性
4a 二連発(couplets)
4b 多連発(salvos)
5 R on T
クリニカルスキルアップセンター 32
刺激伝導系
ブロック・・・刺激伝導障害
房室ブロック(AVB)
房室伝導系の障害により心房の刺激が心室に伝導されない PQ延長もしくは、QRS波の消失
クリニカルスキルアップセンター 33
Normal
Ⅰ°AVB
Ⅱ°AVB Wenckebach型 (Mobitz I型)
Ⅲ°AVB
Ⅱ°AVB Mobitz Ⅱ型
房室ブロックの心電図
1度 房室ブロック(ⅠAVB)
クリニカルスキルアップセンター 34
2度 房室ブロック(ⅡAVB)
3度 房室ブロック(ⅢAVB)
クリニカルスキルアップセンター 35
ブロック・・・刺激伝導障害
右脚ブロック(RBBB)
右脚の障害により、左室側から右室側に向けて遅れて興奮が伝わる V1の幅広R波(上向き)
右脚ブロック(RBBB) 右室は左室より遅れて興奮するため、V1で上向き波形となる。 完全右脚ブロックはQRS波の幅が0.12秒以上 不完全右脚ブロックは0.1秒以上0.12秒未満
クリニカルスキルアップセンター 36
ブロック・・・刺激伝導障害
左脚ブロック(LBBB)
左脚の障害により、右室側から左室側に向けて遅れて興奮が伝わる V1はS波(下向き) V6は幅広R波(上向き)
左脚ブロック(LBBB)
クリニカルスキルアップセンター 37
WPW症候群 (Wolff-Parkinson-White syndrome)
ブルガタ症候群
1992年に Dr.Brugadaらが特異な心電図を伴う特発性心室細動による失神発作や突然死を報告した。
ブルガダ型心電図の特徴 右脚ブロック、右側胸部誘導(V1~3)の著しいST上昇saddle-back(馬の背)タイプまたはcoved(弓を折り曲げたような)タイプがあるが、 covedタイプの方が危険度が高いといわれている。これらの心電図のQTc間隔は正常である。 原因および治療 ブルガダ症候群の約20%にナトリウムイオンチャンネル遺伝子(SCN5A)の欠陥が認められる。東南アジアで多く、発生頻度0.16%で40歳代男性に多い。
既往歴、家族歴を考慮し日本循環器学会のガイドラインに沿って植え込み型除細動器(ICD)の適応となる。
クリニカルスキルアップセンター 38
ブルガダ型心電図 saddle-back type
ブルガダ型心電図 coved type
クリニカルスキルアップセンター 39
正常心電図の読み方
① 感度は1cm=1mV
② 紙送り速度25mm/sec
③ 心拍数=300÷5mmマス数
④ aVRの波形は下向き
⑤ Ⅰ誘導、Ⅱ誘導が上向き
⑥ V3またはV4に移行帯
⑦ P波の有無、PQ時間、QRS幅、ST、T波
受診時の身体所見
脈拍数 ( 回/分 整脈・不整脈 )
呼吸数 ( 回/分 )
SPO2 ( )
瞳孔左右 ( 右 拡大・収縮 左 拡大・収縮 )
対光反射 ( 右 あり・なし 左 あり・なし )
収縮期血圧/拡張期血圧 ( / mmHg )
心聴診 ( 正常・過剰心音・:収縮期雑音・拡張期雑音 )
呼吸聴診( 正常・異常・副雑音 ― 分布 )
腹部聴診( 正常・減弱・亢進 )
クリニカルスキルアップセンター 40
処方 メチルジゴキシン錠 0.25mg (ラニラピッド®) 1錠 1日一回 朝食 14日分
治療効果の確認 7日目
脈拍数 ( 回/分 整脈・不整脈 )
呼吸数 ( 回/分 )
SPO2 ( )
瞳孔左右 ( 右 拡大・収縮 左 拡大・収縮 )
対光反射 ( 右 あり・なし 左 あり・なし )
収縮期血圧/拡張期血圧 ( / mmHg )
心聴診 ( 正常・過剰心音・:収縮期雑音・拡張期雑音 )
呼吸聴診( 正常・異常・副雑音 ― 分布 )
腹部聴診( 正常・減弱・亢進 )
経過:処方投与の14日後に悪心と嘔吐が出現した。
服薬開始15日後 TDM結果 血中ジゴキシン濃度(トラフ値) 2.5 ng/dl
脈拍数 ( 回/分 整脈・不整脈 )
呼吸数 ( 回/分 )
SPO2 ( )
瞳孔左右 ( 右 拡大・収縮 左 拡大・収縮 )
対光反射 ( 右 あり・なし 左 あり・なし )
収縮期血圧/拡張期血圧 ( / mmHg )
心聴診 ( 正常・過剰心音・:収縮期雑音・拡張期雑音 )
呼吸聴診( 正常・異常・副雑音 ― 分布 )
腹部聴診( 正常・減弱・亢進 )