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/ ネルギー 聞 題 と学 校 教 育 につ いて 昭和 57年 10月 12日 昭和 52年 および 58年 中学および 高校 学習指導要領が 9年 ぶ りに 改 訂 され 、それに 準 拠 した 新 しい 教科書は 、選択期間を経 、中学が 56 年 か ら、 高 校 が 57年 か ら全 面 的 使 用 され て い る。 資源・ ネルギー 原子力問題のこれら教科書 に お け る扱 われ 方 と学 習指導 における 問題点を 概 篠 す る。 EI]教 科書 に お け る記 述 の 傾向 昭和 48年 石油危機を経たこともあ つて 、以前 教科書に比じ 、資 源・ ネル ギー FHE題 の重要性、その 国際性、資源 有隈性、 代替 ネル ギー 開発や節約 必要性 につ いて いずれの 教 科 書 も相 のスベース を割 いて 取 り上 げ て い る。 (1)中 「社会」の地理的分野、公民的分野、「 理科」の 1分 野、第 2 分野 に お い て これ らの 問題が われているが、生徒 の理解をうるた めに 種々の 図表、写真を使 つて工夫がこ らされているものの 、全体 優々の 現象、 その 各償 1面 がば らば らに記述 され てお り、 それ を の世代が如何に 統合誕断す きか とい う視 点 は ほ とん ど欠如 して い る。従 って生徒 残 りやすいことは、 ネル ギー 施設が環境 を破壊するとか、原子力発電所 事故 とか、廃棄物問題が未解決と か、住民の心配、対立とかい た暗い 側面だけ ではないかと思われ る。 と くに 代替 ネル ギー と して の 原子力発電の 「必要性」をの

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エネルギー聞題 と学校教育について

昭和 57年 10月 12日

昭和 52年および58年に中学および高校の学習指導要領が 9年ぶりに

改訂され、それに準拠 した新 しい教科書は、選択期間を経て、中学が56

年から、高校が 57年から全面的に使用されている。資源・ エネルギー ●

原子力問題のこれら教科書における扱われ方 と学習指導における問題点を

概篠する。

EI]教科書における記述の傾向

昭和 48年の石油危機を経たこともあつて、以前の教科書に比じ

て、資源・ エネルギーFHE題の重要性、その国際性、資源の有隈性、

代替エネルギー開発や節約の必要性について、いずれの教科書も相

当のスベースを割いて取 り上げている。

(1)中 学

「社会」の地理的分野、公民的分野、「理科」の第 1分野、第 2

分野においてこれらの問題が扱われているが、生徒の理解をうるた

めに種々の図表、写真を使つて工夫がこらされているものの、全体

的に優々の現象、その各償1面がば らばらに記述されており、それを

次の世代が如何に統合誕断すべきかという視点はほとんど欠如 して

いる。従 って生徒の頭に残 りやすいことは、エネルギー施設が環境

を破壊するとか、原子力発電所の事故 とか、廃棄物問題が未解決と

か、住民の心配、対立とかいつた暗い側面だけではないかと思われ

る。 とくに代替エネルギーとしての原子力発電の「必要性」をのベ

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ているところには、必ず「放射餞の危険」とか「 スリーマイル事

畿」とかが免罪符のようこ附記されている。~ `

轡 高 校 ´

新指導要領によって今回社会科の中に「現代社会」が新設され、

広領域的な総合学習をめざしている。その小項量の中に「人回問題

と資源・ エネルギー」があり、エネルギーについては、生活とエネ

ルギー、資源の有限性、資源ナショ`ナ リズム、日本の対外依存、新

エネルギー開発、節約、が扱われている。

中学の場合よりも海容が構繊になっているものの、やはり優々の事

柄の羅列に終 っており、総合響断力を養うといった側面ほ極めて不

充分 といえよう。原子力発電についても、「必要だが一――危険性、

心配、廃棄物、兵器に関係 一……がある」という形のものが大半で

ある。対照的に太陽、バイオマスー……の「 自然」エネルギーにつ

いては将来の希望が強調されている。「物理」等における記述は、

科学的説明が主であり、毒題は少ないようである。

[=]今後の問題点

各教科書の記述内容は、約 3年間のいわゆる「自表紙」の襲間に

広 く関係者が雲を通す機会があり、い くつかの是正の意見がでてそ

れが取入れたので、明らかな「 あやまり」と指摘できるものはほと

んどないといっていいであろう。 (原子力の安全性のようなセンシ

ティプな事柄については、「 ―――という意見もある」とか、「 ま

だかなりの疑間が残 っている」といった表現が多 く、中々誤 りとは

断じ難い。)従って問題は、教育の現場において、このような教科

書を教師がどう使いどう教えているかということである。 とくに受

験偏重や教師の質が理われ、教育の荒廃が叫ばれている中で、資源・

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飢な姉鉦晴∞

嘩一である。毎年鋼

エネ駐晴駒撫轄お

以 上

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