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高強度酸化物分散強化型合金

北海道大学 大学院工学研究科

材料科学専攻

教授 鵜飼 重治

2

研究背景

酸化物分散強化型合金

Oxide Dispersion Strengthened (ODS) AlloysOxide Dispersion Strengthened (ODS) Alloys

基地組織を高温でも安定化→優れた高温強度を発現

Fe基フェライト鋼

Ni基Co基

今回の提案

20nm

酸化物粒子（Y2O3）

基地マトリックス

Fe基フェライト鋼の例

3

ODS合金の開発状況

Ni基ODS超合金（PM1000, MA6000等）

Fe基フェライト系高CrODS鋼（PM2000等）

1000

900

800

700

600

500

400

1100

使用温度（℃）

1200

高速増殖炉使用条件で優れた高温強度を実現→実用化技術開発（日本原子力研究開発機構）

Fe基マルテンサイト系9CrODS鋼の開発

12CrODS鋼の開発

Al添加16CrODS鋼の開発

単相組織、優れた高温強度、耐酸化性

Ni基ODS超合金の開発

Co基ODS超合金の開発

4

Fe基ODSフェライト鋼の研究開発（１）

9Cr-0.13C-2W-0.2Ti-0.35Y2O3

12Cr-0.03C-2W-0.3Ti-0.23Y2O3

16Cr-0.03C-2W-0.1Ti-4Al-0.35Y2O3

特許第3073981号：「鉄基分散強化型合金管の製造方法」特許第3171185号：「酸化物分散強化型鋼の製造方法」特開2004-84071 ：「高温強度に優れたマルテンサイト系酸化物分散強化型鋼およびその製造方法」特開2004-68121 ：「粗大結晶粒組織を有する高温クリープ強度に優れたフェライト系

酸化物分散強化型鋼の製造方法」 など

特許第3127759号 ：「再結晶組織を有する酸化物分散強化型フェライト鋼とその製造方法」特開2004-131816 ：「酸化物分散強化型フェライト鋼管の製造方法」 など

特願2008-234517 ：高耐食性・高強度「スーパーODS鋼」燃料被覆管

5

100 1,000 10,00010

100

200

50

300

開発したODSフェライト鋼

世界のODSフェライト鋼

9-12Crフェライト鋼

ナノ・ミクロンサイズで組織制御

破断時間（h）

クリ

ープ

破断

強度

（M

Pa）

700℃

フェライト鋼で世界最高のクリープ破断強度

Fe基ODSフェライト鋼の研究開発（２）

6

H8年度日本金属学会技術開発賞受賞

Fe基ODSフェライト鋼の研究開発（３）

日本原子力研究開発機構で実用化が進められている

7

高温強度を改善したNi基ODS超合金

－Fe基ODSフェライト鋼の研究実績を基に開発－

8

従来技術とその問題点（１）

温度 (ºC )

クリ

ープ

破断

強度

(MP

a) a

t 1000 h

800

700

600

500

400

300

200

100

0800 900 1,000 1,100 1,200

γ’析出強化型Ni基超合金

ガスタービン等で実用化されている超耐熱合金

γ’金属間化合物：Ni3(Al,Ti)の利用

1,000℃以上で基地に溶解

1,000℃以上では使用できない

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従来技術とその問題点

実用化Ni基ODS超合金

50 nm50nm

50 nm

50 nm PM1000論文より

Fe基ODSフェライト鋼

プランゼー社製PM1000Alは耐酸化のために不可

欠な添加元素Y2O3とAlが複合酸化物（Y2O3-Al2O3）を形成して、

酸化物粒子が粗大化し、分散効果が十分に発揮されていない。

・

・

10

本発明の着眼点

-1300

-1200

-1100

-1000

-900

-800

-700

-600

-500

600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200

温度（K）

Y2O3

HfO2

ZrO2

Al2O3

TiO2 Alより酸化物を形成

しやすいHf元素をAl

と共に複合添加

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実施例（１）

Ni-0.5Al-0.4Hf-1Y2O3

50nm

粒子直径：8nm粒子間隔：51nm

50nm

Ni-0.5Al-1Y2O3

粒子直径：14nm粒子間隔：179nm

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0 1 2 3 4 5

HfO2/Y

2O

3

Y2Hf2O7

base:Ni-0.5Al-1Y2O3

YAlO3 Y2Hf2O7+HfC

平均

粒子

間距

離λ(nm)

0

50

100

150

200

250

0

200

400

600

800

1000

20 30 40 50 60 70 80

2θ

Y2Hf2O7

HfC0

200

400

600

800

1000

25 30 35 40 45 50 55 602θ

Y2Hf2O7

Ni

YAlO3(YAH)Ni

20 30 40 50 60 70 80

2θ

(a) (b) (c) (a)

(b)

(c)

実施例（２）

Y2Hf2O7形成による酸化物粒子の超微細化

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効 果

0.5Al

2Al4Al

2Al

4Al0.5Al

250

300

350

400

450

500

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

C

Hf濃度（wt%）

0

100

200

300

400

500

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

B

Hf濃度（wt%）

0

5

10

15

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

Par

ticle

Siz

e(n

m)

Hf添加量 (wt%)

0

50

100

150

200

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

l s (nm

)

Hf濃度(wt%)

粒子

直径

サイ

ズ（nm

）

粒子

間隔

（nm

）

Hf濃度（wt%） Hf濃度（wt%）

0.5Al

2Al4Al 2Al

4Al

0.5Al

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新技術の概要

耐高温酸化性および耐腐食性に有効なAl含有下（２wt%未満）であっても、酸化イットリウムと酸化アルミニウムとの反応により生成する複合酸化物粒子（YAlO3）の粗大化を、ハフニウムを複合添加（0.4～3.2wt%の範囲）して、酸化イットリウムと酸化ハフニウムの複合酸化物（Y2Hf2O7）とすることにより、酸化物粒子の粒子径および分散間隔を小さくし高温強度を向上させたNi基ODS超合金

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従来技術との比較

従来のNi基ODS超合金（Al含有）：・酸化物粒子の分散間隔：150nm～200nm

本技術（Al含有+Hf添加）：・酸化物粒子の分散間隔：50nmまで低下・降伏応力の増加量：約200MPa（1,000℃）

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想定される用途

1,000℃以上での優れた高温強度、耐酸化性・ガスタービン静翼・バーナー部品、熱処理用冶具、燃焼器などの高温加熱炉部材

想定される業界

• 耐高温素材製造

• 耐高温素材加工

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実用化に向けた課題

• 現在、Ni基ODS超合金の素材開発を行った

段階。

• 今後、企業の方のご意見を参考に、適用部位に適した加工技術開発を行う。

• 接合技術開発（加圧抵抗接合、ＨＩＰ接合、ろう付け等）も行っているが、早期実用化を想定すると、出来れば接合の不必要な部位への適用を考えたい。

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企業への期待

• 開発したNi基ODS超合金の適用部位の検討。

• これに基づく、素材加工技術を有する企業との共同研究を希望。

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称 ：酸化物分散強化型合金

(Ni基ODS超合金）

• 出願番号 ：特願２００８-２１２１８５

• 出願人 ：北海道大学

• 発明者 ：鵜飼重治、大貫惣明、林 重成、

星野 堅

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Fe基ODSﾌｪﾗｲﾄ鋼の非原子力分野への適用

•温度範囲：600℃～1,000℃

•フェライト系耐熱鋼として世界最高の高温強度

•Ni基と比べ低い熱膨張係数（熱疲労損傷の抑制）

•製造技術はほぼ確立

•10件の特許申請

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フェライト相（ハード粒）

焼き戻しマルテンサイト相（ソフト粒）

引張強度、クリープ強度、曲げ強度、せん断強度、

延性、靭性

全く新しい概念

酸化物分散強化型(ODS)繊維状複合材料

大幅性能向上

例えばボルト

技術の特長

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700℃～1,000℃で使用される高温部材

想定される用途

企業への期待

• 開発したFe基ODSﾌｪﾗｲﾄ鋼の適用部位選定。

• これに基づく、素材加工技術を有する企業との共同研究による実用化を希望。

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お問い合わせ先

北海道大学 産学連携本部

事業化推進部 城野 理佳子

ＴＥＬ ０１１－７０６－９５５９

ＦＡＸ ０１１－７０６－９５５０

e-mail kino＠mcip.hokudai.ac.jp