Upload
others
View
3
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
金融業(三菱銀行) 流通業(セブンイレブン)
製造業(日本精工)
金融業 流通業 製造業
三菱銀行の情報システム発展史
• 株式会社三菱東京UFJ銀行 • 三大メガバンク(みずほ、三井住友) • 100兆円の預金
– 7割を企業等への貸出、3割を証券投資へ
• ITにより多大な省力効果 – 高度成長期は1.5倍の要員数で50倍の預金や貸出業務を支えた
金融業
第一次オンラインシステム
• 1960年代おわりごろ • 紙ベース → コンピュータベース • 68年 内国為替(国内で現金の輸送を伴わない取引)
• 69年 預金 – 三菱銀行の特徴 機器を一社で統一しない
• 中央 UNIVAC • 内国 FUJITSU
– ちなみに三井銀行はIBMで統一
金融業
73年ー全国銀行データ通信システム
• 国内の金融機関同士の内国為替取引をコンピュータと通信回線を用いてオンライン処理するシステムのこと
金融業
第一次オンラインシステムの課題
• ピーク日、ピーク時の処理に不安 • 貸付、外国為替等はまだオンライン化されず • 機器の陳腐化が進み、更新が必要
金融業
第二次オンラインシステム • 70年代半ば • 74年に貸付、75年に外国為替のオンライン実現
• 76年からすべての勘定科目のオンライン送信が開始され、貸借対照表の検証が実施可能となる
• 79年に顧客情報ファイル(CIF)もオンライン化
金融業
第二次オンラインシステムの特徴
• 総合化・業務拡大、徹底的省力化
• 課題 – 売り手(IT業者)が提供するソフトウェアは当時の銀行の要求を満たすものではなかった
– 優秀な人材をこの分野に投入し続けなければならず維持管理や発展性に負担がかかっていた
金融業
第三次オンラインシステム • ハード・ソフトの全面的更新 • 記帳系、情報系、国際系、証券系、対外控除系などのサブシステムからなる
ハブ
経営情報
内国為替
外国為替
国際業務
その他
有価証券
融資
預金 システム構造:「Hub AND SPOKE」
金融業
ダウン対策の高度化
• 2系統システム:ホットスタンバイ • 新商品、新サービスへの迅速な対応 • 情報戦略の高度化
– 記帳系 – 情報系
金融業
一層充実した情報化機能
• MISチームが組成され第三次オンラインの情報系システムのコンセプトが固められた
• 基本情報システム • オンライン稼働中にもデータ更新 • 拡張情報システム • 国際ネットワークの機能と相俟って情報の鮮度と管理の性能の向上
• 「商用手形支払人信用照会システム」稼働
金融業
対外系システムの拡張
① CAMSが発足(キャッシュマネジメントサービス) 「会計情報サービス」「資金移動サービス」「金融経済情報サービス」
② ポータブル端末機を取引先の電話機に接続し、オンラインで処理できる
③ 共同CMSがスタート ④ 個人向けに「CAMSホームバンキング」が開始 ⑤ ほぼ全ての民間金融機関のオンライン提携が
完了
金融業
事故対応(事業継続)
• 長崎集中豪雨(82年7月23日) • 世田谷電話局ケーブル火災(1984年) • 阪神大震災(95年1月17日)
金融業
セブンイレブンの情報システムの発展
• セブン&アイグループはセブン&アイHLDGを持ち株会
社とする流通を中核事業とする企業グループ
• 金融、ITサービス • 営業利益ではコンビニエンスストアの事業が81%
流通業
セブンイレブンの歴史
• 1972年にイトーヨーカドーのマネージャがアメリカのサウスランド社を訪問したのがきっかけ
• 73年「ヨークセブン」 • 78年「セブンイレブンジャパン」 • セブンイレブンの競争優位の源泉
– 加盟店、本部、取引先の三者間情報システム
流通業
情報システムの体系
• セブンイレブンはコンビニ業界の3割を占める • コンビニは大きなバックヤードをもたない
• 店舗と本部の役割分担
– 店舗 → 発注、陳列、販売、売上分析、経営管理 – 本部 → 各店舗の経営業務の支援、
店舗開発、商品開発
流通業
第一次店舗システムとベンダオンライン
• 第一次店舗システム-1978年 • 発注端末機「ターミナルセブン」
– 各加盟店が発注データをホストコンピュータに転送
– 発注データは集約され、取引先用に発注伝票が発行される
• ベンダオンラインシステム-1979年 – 人工衛星
流通業
コンピュータによる一極集中管理
• 一極集中 → 分散処理へ • リアルオンラインと会計システム
– 処理精度の向上と業務効率の改善が図られた地区事務所で店舗からの発注データを画面に呼び出し、仕入データをチェックし、登録できるようになった
流通業
第二次総合店舗システム • POS • POSの開発の基本方針
1. 操作が簡単 2. 単品動向の把握だけでなく、発注方式への連
動も同時に 3. 店、本部、取引先の総合的なメリット
流通業
セブンイレブンのPOS
• 開発は11社が参加 • マーケティング目的のPOS導入は世界初 • 新発注システム(EOB・・・エレクトロニックオーダーブック)
– 1982年 – 売り場で棚を見ながら足りないものを発注入力できる
– EOBに入力するとオンラインで発注情報が転送される
流通業
第二次店舗システムの展開と効果
• POS情報分析システム • 1983年から店舗の経営効率が再び上昇
流通業
第三次総合店舗情報システム
• 販売データのグラフ化 • グラフィックパソコンと双方向POSシステム
– グラフィックパソコン • 画面が鮮明、キーボードが簡略で操作しやすい、コストが安い
– 双方向POSレジスタ • 精算した金銭の情報を把握するだけでなく、ホストコンピュータに在庫照会などの問い合わせをすることができる
流通業
店舗での情報分析
• 買い上げ商品をPOSレジのスキャナで読み取り、客の性別、年齢層をキー入力すると、販売商品情報と購買顧客情報をグラフィックパソコンを操作することによって見ることが可能
流通業
第三次総合店舗情報システムの展開と課題
• 死に筋商品の削除 • 売れ筋商品の導入促進 • 個店データによる指導 • 加盟店の自主性強化 • 取引先総合システムなどの拡充
流通業
第四次総合店舗情報システム • ストアコンピュータ(SC)
– 発注、データ表示、店舗設備機器の稼働監視 • グラフィックオーダーターミナル(GOT)
– ノート型の発注パソコン – 販売動向、商品情報、発注のための参考情報を表示
• スキャナターミナル(ST) – 検品スキャナ(納品数と発注数の差異分析)
• ISDNによって本部のPOS情報把握がスピードアップした
流通業
第五次総合店舗情報システム
• 1993年 第五次双方店舗情報システムプロジェクト始動 – 仮説をもった発注、品揃え支援、情報活用、 店内コミュニケーション支援、機会ロスの防止
• 第一次から第四次が重視していた店舗システムに加え、ネットワークシステム、本部情報システム、会計システム、発注、物流、取引先システムなど全面的にカバー
流通業
店舗システムとPOSレジスタシステム
• 第5次総合店舗情報システムの中核は店舗システム
• 1999年新型POSレジスタの導入 • 発注端末機GOTの改善
流通業
第六次総合店舗情報システム
• 2004年 – コストの3割削減 – 2007年までに稼働させること
• 2006年より稼働 – 単品管理をシームレスに – 「仮説・発注・検証」を支援 – 品揃えや在庫管理を容易に
流通業
POSレジとマルチメディアシステム
• POSレジは非接触ICカード – 電子マネーnanaco
• レシートへのクーポン券の発行
流通業
本部情報分析システム
• 大規模データベースによるマーチャンダイジング情報の充実
• 品揃え評価、サービス業務確認、業務の実施状況等でチームマーチャンダイジング、グループマーチャンダイジングへ
• 第四次・・・地区単位の集計分析 • 第五次・・・個店単位での集計 • 第六次・・・立地特性、周辺施設情報を用いた個店対応力の強化が図れる
流通業
ネットワークシステム
• 光ファイバー • 店内は無線LAN
• セブンイレブンの店舗、端末は他の事業の基盤となる – 常にイノベーションを試みる – 組織能力との整合性 – 費用対効果の重視
流通業
日本精工の情報システム • ボールベアリング(玉軸受)の国産
• 現在の事業分野
– 産業機械軸受 – 自動車軸受 – 機械製品 – メカトロ部品
特殊要因 ベアリングは十数万点 在庫 多品種少量生産 多納期
製造業
細田氏の功績
• 1968年細田正勝氏コンピュータ部門のトップ • 1967年日本生産性本部主催の訪米視察団に参加
• NSKの現状を改善できるのはデータベースを中心として企業統合リアルタイムシステムだけとトップに報告
• 日本精工がベアリング業界ナンバーワンに!
製造業
1970年代以前
• ピラミッド型組織と分業分権 – データ処理の遅れや誤り、重複作業の繰り返し
• 1965年 第三世代コンピュータ • 1967年 細田の訪米視察
– オンライン、リアルタイム • 経営近代化
– 数十名のコンピュータ化創造開発専従者(CCS) • 週1回の会議
製造業
NSK総合情報システム
• 問題点 – 仕事に他部門が関わり、時間がかかる – あらゆる面で人手がかかりすぎ
• 最終的な施策
– 物流の効率化 – CAD/CAM
• 1969年NSK総合情報システム計画としてまとめられる
製造業
生販技統合システム(MAGMA) • ASPACSⅠによる総合生産販売システム
– 1969年開発開始 – 70年生産オンラインシステム – 71年販売オンライシステム – 72年物流システム
• ASPACSⅠの特徴 – 生産販売システムだけでなく物流システムも含む – データベースによる納期の確認や回答など顧客サービスができる
製造業
ASPACSⅡ
• 1975年 • 主要工場に情報システムの出先部門を開設
– コンピュータによる在庫管理を全倉庫に拡張 – ユーザーの生産予測情報を磁気テープに集め販売予測に反映させる
– 売掛金照合システム
製造業
FENICS
• 営業活動との連携 – 営業部門の基本的流れを製造図面のデータベース化などで解決
– コンピュータからファクシミリへの出力 – エキスパートシステムを高度化 → BEST
• 80年代BESTなど技術系システムを総称してFENICSと呼ぶようになる
製造業
販売店・協力会社への展開
• 自社販売と販売店販売のルートがある • COSMOSシステム
– NSKのホストコンピュータを使った販売店の販売業務処理システム
• PERTNERシステム – 公衆回線。一般代理店や協力会社との業務の効率化
• 販売PERTNERシステム – NSKと代理店間の受発注、納品、仕入れ、販売店の販売管理、在庫管理
• 生産PERTNERシステム – 各工場と協力会社システムのリンク
製造業
NSKMAGMAシステム
• 販売店、代理店、協力企業との連携を強め、CIMを完成させるとともに、企業の壁を越えてSCMのビジネスモデルを構築していった
製造業
経営情報システムへの展開 • NSKのMAGMAシステム
– 基幹業務系システムの拡充だけでなく、マネジメント系システムにも拡充されていく
• 87年、NSKは大崎へ新本社移転 – 新しいOAシステムと新本社システム
• 新経営情報システム(FOCUS+IDEAL) – 役員から担当者まで同じ情報を使って話ができる – あらゆる角度からの検索に対応するIDEALデータベース – メニューに従った操作 – 非定型業務の資料も経営者・管理者の要求に柔軟に対応して出力できる
新しい皮袋には 新しい酒を!
製造業
• 会議室システム – 正面にスクリーン、会議テープルにモニタ
• 経営情報をダイレクトに表示、書面カメラやビデを操作卓から操作
• その他のシステム – 整理伝票の起票入力システム、応接室・会議室予約システム、保管文書管理システム、役員在籍情報システム
• 人事・給与システム – OMR 画期的な省力化 – 人事データベース MS/DB(DL/1) – CICSオンライン
製造業
• 人事部、工場担当者、情報システム部門で構成する事務改善委員会でアイディアをまとめながら、社会保険料や生命保険料の支払い手続き、所得税、住民税などの納税手続きを本社へ集約するなど、様々な試みを行った
製造業
MAGMAの海外展開-欧州- • 1970年代後半 • 国内のシステムを使って、現地の実情に合わせたシステムの構築の支援
• 欧州の販売システム – 77年 ドイツ – 77年 イギリス – 78年 フランス – 82年 オランダ – 84年 イタリア
欧州ではかなりの部分の共有化が可能で
あった
製造業
MAGMAの海外展開-米国- • 米国 独自のコンピュータシステムで稼働していた
• ASPACS-H – 国内のASPACSシステムを米国用に改良
• 製品の設計標準の統一 • 製品名やコードの共通化 • 業務処理方法の変更
• ASPACS-EC – 日本、アジア、北米、欧州
製造業
例:海外拠点とのデータのやりとり • フロッピーディスクを社内転送便
– 発注/仕入、納品・船積/着荷 • 衛星通信
– 経理データ、進捗データの照会 – 技術システム
• 85年 これらを一つのメニュー画面から操作(NWINSシステム)
• 91年 米国・イギリスとの間に音声やファクシミリデータをやり取り可能に
製造業
MAGMAによる経営への貢献 ① 生産の安定化 ② ユーザーサービスの向上 ③ 物流費の削減 ④ 企業決定、経営予算と実績の一体化 ⑤ 作業の標準化による責任のバトンタッチシステムの
確立 ⑥ 事務処理の精度向上とリアルタイムフィードバック ⑦ クイックアクションによる作業効率向上 ⑧ 事務処理の省力化 ⑨ 伝票、その他経費の削減
製造業
MAGMAによる組織・人への貢献 ① 組織の構造の変化 ② 情報の階層化をなくす
– 本社の企画・管理担当、営業担当、工場担当など様々な人間がリアルタイムで販売・生産・損益などの情報の確認ができる
• 新たな経営スタイルや企業文化の誕生
製造業
日本精工情報システム発展史からの知見と教訓
• ITステージ理論にあてはまらない発展
部分的なOA化
部門内での効率化
組織全体の最適化
バリューチェーン
全体での価値創造
PCS・バッチ処理など
生販技統合システム
COSMOS・PARTNER
製造業
日本精工の成功要因
① 理解あるトップとトップを動かすカリスマ ② トラブルに対するトップの理解と我慢 ③ 明確かつ具体的なビジョン ④ 基盤業務からのシステム化
製造業