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【重要なポイント】 - JPMA...【重要なポイント】 治験責任医師または治験分担医師は、治験責任医師が治験依頼者との事前の文書に よる合意および治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、

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  • 【重要なポイント】

    治験責任医師または治験分担医師は、治験責任医師が治験依頼者との事前の文書による合意および治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱または変更を行ってはならないとされています。(GCPガイダンス第46条)

    治験実施計画書とは倫理性・科学性を遵守するための手順であり、当該手順を適切に実施するための教育や体制が必要です

    治験実施計画書に従って治験を行うためには、治験開始前に治験実施計画書や手順書の理解・確認を行うことが重要です。

    治験実施計画書に基づいて治験を実施することが治験薬の有効性や安全性に関する信頼性のある情報を収集することに繋がります。

    <治験119に関連する事例>質問番号:2008-40 「治験に影響を与え、又は被験者の危険を増大させるようなあらゆる変更」の例

    <参考資料>

    GCP第46条ガイダンス(一部抜粋)

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  • 治験実施計画書からの逸脱とは「治験実施計画書に規定された試験デザインや手順からのすべての変更、相違、乖離」のことを指します。

    ※例えば温度管理の逸脱なども治験薬管理手順からの逸脱に該当します。

    【なぜ逸脱を特定することが必要ですか?】

    適格性の基準を逸脱した場合には、被験者の安全性を確保できない可能性があります。また、データの欠測が多い場合には被験者の安全性の確保に問題が生じる可能性だけでなく、試験として成立しない可能性もあります。このような観点から治験実施計画書からの逸脱を特定し、再発を防止する必要があります。

    <治験119に関連する事例>質問番号:2007-11 治験実施計画書からの逸脱記録が必要な範囲(その1)<参考資料>

    「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)について (一部抜粋)

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  • 逸脱が発生した場合には、被験者の安全性を確保できない可能性や、得られたデータの科学的価値が低下し、データを使用できない可能性もあります。

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  • 【被験者の安全性の確保】

    治験実施計画書から逸脱した場合には、まず第一に被験者の安全性を確保することが重要です。

    逸脱の内容に応じて、被験者へ必要な処置を行い、治験を中止すべきかの判断や、安全性に関する追跡調査を行う等、必要な措置を講じる必要があります。

    【逸脱事例のモニターへの報告】

    逸脱が発生した場合、まず第一に被験者の安全性を確保し、タイムリーにモニターへ逸脱事例を報告してください。

    モニターは、被験者の安全性が確保され、逸脱に対して適切な対応がされているかを確認します。(GCPでは、モニターは治験実施計画書からの逸脱について、逸脱の内容や理由、再発防止措置等の情報を、モニタリング報告書等に適切に記録する責務を負っています。)

    製薬会社(治験依頼者)は逸脱の原因と再発防止策を検討し、同じ逸脱を防ぐために、必要に応じて他施設にも情報共有を行います。

    【逸脱の是正・再発防止策】

    被験者の安全性を確保した上で、逸脱事項を是正します。同じ逸脱を発生させないために再発防止策を講じることが重要です。

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  • 【逸脱の是正】

    被験者の安全性を確保した上で、逸脱事項を是正します。(併用禁止薬等の使用中止、欠測項目の再測定等)逸脱した原因を取り除きます。

    【再発防止策】

    逸脱が発生した理由を確認し、同じ逸脱が生じないよう策を講じて下さい。

    また、逸脱の内容や再発防止策は医療機関内で情報共有し、同じ逸脱を繰り返さないことが重要です。

    逸脱を繰り返し発生し、改善されないような場合には、当該実施医療機関での治験を中止するよう治験依頼者から求められる場合もあります。

    【PDCAサイクル】マネジメントの手法の一つ。「Plan(計画を立てる)」→「Do(実行する)」→「Check(実行した結果を評価する)」→「Action(うまくいっていないところを改善する)」というPDCAサイクルを回していくことで、これまで以上の成果を出すことができるという考え方です。

    逸脱を発生させないこと、同じ逸脱を再発させないことが重要です。

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  • 【重要ポイント】

    逸脱が発生した根本原因を分析しましょう。根本原因がわかれば根本的な解決が可能になります。

    Root Cause Analysisは医療過誤発生時の原因分析時にも使用される手法です。事実確認を行い、その根本原因を分析し、その原因に対して対策を検討していきます。

    「なぜなぜ分析」は起こった事例や行動について、なぜそこでその事例が起こったか、そんな行動をしてしまったか、根本的にこれ以上「なぜ」がない状態まで掘り下げていきます。

    良い再発防止策の要素例

    ・対策が具体的である(あいまいな対策は×)

    ・実現可能(壮大すぎる対策は×)

    ・適切な期限内に実施できる

    ・対策の実施が確認できる

    ・責任の所在が明確できる(みんなで実施は×)

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  • 【逸脱に関する記録の確認】

    治験責任医師または治験分担医師は、治験実施計画書から逸脱した行為を理由のいかんによらずすべて記録しておくこととされています。(GCPガイダンス第46条)

    逸脱であるか否かを判断するために必要な情報が記録されていることの確認し、もし原資料から読み取れない場合には記録を残してください。全ての逸脱について記録に残されている必要があります。

    その際、様式や体裁に決まりはありません。実施医療機関で定められた手順に則り、タイムリーに記録を残して下さい。

    【逸脱内容の把握】

    再発防止のための適切な対応がなされるよう、認知できる形式で記録して下さい。モニターが直接閲覧の際に逸脱を認知できるよう、原資料等に必要な情報を記録することが重要です。

    逸脱事例を一覧表にまとめることにより、逸脱が発生しやすい場面や傾向を把握でき、対策を講じることが出来ます。

    ・ALCOA:Attributable、Legible、Contemporaneous、Original、Accurate※「原資料について」参照

    <治験119に関連する事例>質問番号:2010-31 治験実施計画書からの逸脱記録が必要な範囲(その3)質問番号:2012-06 治験実施計画書からの逸脱記録が必要な範囲(その4)<参考資料>

    実地調査チェックシート

    治験に係る文書又は記録について(平成25年2月14日 厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)

    逸脱に関する記録のあり方について―GCP運用通知の改正を受けて―(Clinical Research Professionals/No.10/2009/2)

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  • 【緊急の危険回避のための逸脱】

    治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のために、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、治験責任医師は、逸脱又は変更の内容及び理由並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合にはその案を可能な限り早急に治験依頼者並びに実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して治験審査委員会に提出してその承認を得るとともに、実施医療機関の長の了承及び実施医療機関の長を経由して治験依頼者の合意を文書で得ること。

    【重大な影響を与える逸脱】

    治験責任医師は、治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、治験依頼者、実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して治験審査委員会等に速やかに報告書を提出すること。

    <治験119に関連する事例>質問番号:2008-22 治験実施計画書からの逸脱記録が必要な範囲(その2)<参考資料>

    GCP第46条ガイダンス

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  • 【緊急の危険回避のための逸脱が発生した場合の報告の流れ】

    ①治験責任医師

    ・逸脱又は変更の内容と理由を記録する。

    ・治験実施計画書の改訂が適切な場合にはその案を作成する。

    ・「緊急の危険を回避のための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書」を治験依頼者と実施医療機関の長へ提出する。

    ②治験依頼者

    ・緊急の危険を回避するための逸脱について合意する。

    ・「緊急の危険を回避のための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書」を作成し、医療機関の長へ通知する。

    ③実施医療機関の長

    ・IRBへ「緊急の危険を回避のための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書」を提出する。

    ④IRB・逸脱の内容について、治験の継続の適否を判断し、実施医療機関の長へ審査結果通知書によって通知する。

    ⑤医療機関の長

    ・IRBの審査結果を治験依頼者及び治験責任医師へ通知する。

    <参考資料>

    GCP 第46条ガイダンス

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