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健康情報 脳と胃腸の不思議な関係 脳と胃腸の不思議な関係 実は深~い関係があるのです。 実は深~い関係があるのです。 自律神経 交感神経 主に昼間に働きます。 カラダを動かしたり、興 奮、緊張を引き金に活性 化します。 また、心拍数や呼吸数を 増やし、血圧を上げます。 消化管の動きを抑制し ます。 ●副交感神経 主に夜に働きます。 交感神経とは逆に、くつ ろいでいる時や、睡眠中 に働きます。 副交感神経が優位にな ると心臓はゆったりと動 き、呼吸は穏やかになり ます。 消化管の働きや消化液 の分泌は盛んになります。 脳の不調は腸に伝わり、腸の不調は脳に伝わる 胃腸は、脳のストレスの影響を最も受けやすい 器官と言われるように、心身のストレスが原因と なって、さまざまな胃腸の疾患を発症したり、症 状が悪化すると考えられています。 カラダの最上部にある脳と、臓器の下部にある胃 腸には、どのようなつながりがあるのでしょうか。 脳と胃腸は、自律神経でつながっています。自 律神経は内臓や血管などに分布し、消化や呼 吸、血液の循環、代謝などの働きを調節するな ど、私たちが自分自身でコントロールできない神 経です。自律神経は交感神経と副交感神経と いう相反する働きを持つ2つの神経からなり、交 感神経はカラダの各器官を刺激して活発にし、 主に昼間に作用します。 一方、副交換神経は、消耗したエネルギーを 回復させ、栄養素を補給するときに働き、主に夜 間に作用します。こうした働きがバランスよく正常 におこなわれることが大切です。

脳と胃腸の不思議な関係健康情報 脳と胃腸の不思議な関係 実は深~い関係があるのです。自律神経 交感神経 主に昼間に働きます。カラダを動かしたり、興

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Page 1: 脳と胃腸の不思議な関係健康情報 脳と胃腸の不思議な関係 実は深~い関係があるのです。自律神経 交感神経 主に昼間に働きます。カラダを動かしたり、興

健康情報

脳と胃腸の不思議な関係脳と胃腸の不思議な関係

実は深~い関係があるのです。実は深~い関係があるのです。

自律神経

●交感神経主に昼間に働きます。カラダを動かしたり、興奮、緊張を引き金に活性化します。また、心拍数や呼吸数を増やし、血圧を上げます。消化管の動きを抑制します。

●副交感神経主に夜に働きます。交感神経とは逆に、くつろいでいる時や、睡眠中に働きます。副交感神経が優位になると心臓はゆったりと動き、呼吸は穏やかになります。消化管の働きや消化液の分泌は盛んになります。

脳の不調は腸に伝わり、腸の不調は脳に伝わる胃腸は、脳のストレスの影響を最も受けやすい

器官と言われるように、心身のストレスが原因と

なって、さまざまな胃腸の疾患を発症したり、症

状が悪化すると考えられています。

カラダの最上部にある脳と、臓器の下部にある胃

腸には、どのようなつながりがあるのでしょうか。

脳と胃腸は、自律神経でつながっています。自

律神経は内臓や血管などに分布し、消化や呼

吸、血液の循環、代謝などの働きを調節するな

ど、私たちが自分自身でコントロールできない神

経です。自律神経は交感神経と副交感神経と

いう相反する働きを持つ2つの神経からなり、交

感神経はカラダの各器官を刺激して活発にし、

主に昼間に作用します。

一方、副交換神経は、消耗したエネルギーを

回復させ、栄養素を補給するときに働き、主に夜

間に作用します。こうした働きがバランスよく正常

におこなわれることが大切です。

Page 2: 脳と胃腸の不思議な関係健康情報 脳と胃腸の不思議な関係 実は深~い関係があるのです。自律神経 交感神経 主に昼間に働きます。カラダを動かしたり、興

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脳のストレスが強いと、 自立神経の働き

が乱れます。 ストレスなどによって交感神

経の働きが強くなると、 胃腸の働きが低

下します。 例えば、 海外旅行で慣れな

い土地に行くと、 その緊張から便秘にな

ることがあります。 これは脳がストレスを感

じ、 胃腸に伝わるためです。

このように脳のストレスが腸に伝わり、

腸が機能異常を起こします。 交感神

経から副交感神経へのスイッチの切り

替えは、 脳の緊張をといてリラックス

させることが大切です。

腸自体に異常がないのに、 大切な試験

の前や重要な会議の前になると、 下痢

をしたり便秘になったりする、「過敏性腸

症候群」。 この症状の人の中には、 う

つ症状やさまざまな不定愁訴が現れるこ

とがあります。 うつ状態は、 脳がストレス

を受けており、 自律神経の失調を引き起こし、 ひどい場合は肩こりや頭痛などの身体症状を伴うこともあります。

生理不順や月経困難症の女性は、 胃

腸の働きが悪いために、 便秘や頭痛を訴

えることもあります。 このような症状は、 自

律神経のバランスが崩れたり、 ストレスに

よって血行が悪くなることが関係していま

すが、 まず胃腸を整えることが必要にな

ってきます。 胃腸の調子がよくなると、 そ

れだけで、 生理不順や月経困難症が

軽くなる場合があります。 このように、 胃

腸がストレスを受けると、 脳で不快な

経験として知覚し、 その脳での反応

が消化管機能を悪化させるという悪

循環を招きます。 こうした脳と胃腸

の関係を「脳腸相関」と言います。

肉体的ストレス :暴飲暴食・冷え等

脳 ・中枢神経 精神的ストレス :不安 ・悩み等

腸 ・腸管神経

ストレス

ストレス悪循環

日本には昔から腹 (腸 )と心 (脳 )の深い関係を示唆する表現がたくさんあります。「腹が立つ」「腹黒い」「太っ腹」「腹の探り合い」「腹に一物あり」などです。このような言葉が数々あるということは、脳と腸の類似性、共通性が医学的に明らかになっていない時代から、日本人は腸と脳の関連性に気づいていたのです。先人の知恵というのは素晴らしいものと感心します。

「脳腸相関」による悪循環

日本には「腹」のつく慣用句がたくさんある!