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透過型電子顕微鏡-TEM-
TEM: Tunneling Electron Microscopeトンネル型電子顕微鏡/透過型電子顕微鏡
外形/形態観察 SEM構造観察 TEM表面超微細構造観察 AFM/STM(SPM)金属定量分析/状態分析 EPMA表面状態分析 AES
TEMで何がわかるか?1. 試料の大きさ・形状がわかる
直接倍率10万倍の場合、10 nm (100Å) 粒子はCCDカメラ上で1 mmCCDカメラは製品毎に解像度は異なるが、画素サイズは1μm~30μm前後⇔電子的に拡大して原子/分子レベルでの微結晶の形状、粒度分布、凝集の度合い、表面構造の観察が可能
電子線の回折条件を満足した微少領域では、格子縞(フリンジ)を観察できる
2. 微少領域の電子線回折像が得られる非晶質試料ならハロー単結晶なら2次元点配列の単結晶パターン多結晶からはDebye-Scherrerリング
TEMの電子線は通常のX線回折(XRD)よりも約2桁波長が短いXRDでは同定できないような超微粒子の結晶構造も明らかにできる
通常のXRDが試料の平均構造⇔微少領域限定の情報が得られる。
(2)結晶の配向性・格子欠陥・転移とそれらの種類、性質、方位などを観察
(3)TEM+EDSで、極微細領域の元素(Beよりも原子番号の大きな元素)を標準試料が無くても(スタンダードレス)、定性・定量分析できる。
どんな試料が測れる?(TEM)TEMの試料室は、10-4-10-5 Paの高真空に排気される
↓試料はまず、この高真空条件に耐えるものであること。(ガスを放出したり、原型をとどめないものは高倍率で観察不可能)
高エネルギーの電子ビームが、試料を透過できる程度に薄くできること。試料の厚さには注意せねばならない。高エネルギーの電子線によりダメージを受ける可能性も高い。
TEMの標準試料ホルダーには、直径3 mmの銅メッシュまたはマイクログリッド(支持膜付き銅メッシュ)を1つ装着できる。観察試料は当然直径3 mm以下。
微粒子試料: 適当な溶媒に分散させた後、マイクログリッドに滴下、乾燥する。分散液の濃度が高すぎると粒子が重なって観察しにくい。
生物試料: 附属のミクロトームを使ってスライスする。
無機大型(厚膜)試料: 附属のイオンミリング装置で薄膜化する
サンプルホルダー(メッシュ)
ミクロングリッド断面図
STEMミクロングリッド150Cu 100枚 ¥1,800
色々なメッシュ
材質
CuMoPtSUSEtc.
写真転載:http://www.okenshoji.co.jp/veco-mesh.htm
TEMの試料作り
厚さ数ミクロン以下表面が清浄
ムサシノ電子製 MODEL 150超精密ディンプリンググラインダー
電解研磨法試料金属を陽極として電解し薄膜にする手法。金属材料の観察に適する。
イオンミリング法あらかじめ機械研磨で薄くした試料にArイオンを照射して薄膜化する手法。半導体積層膜などの観察に利用。
FIB法Gaイオンビームを試料表面上に収束させ素パッタエッチングする手法。半導体デバイス中の欠陥などサブミクロンでの位置精度を要求する試料に適する。
ミクロトーム法ガラスナイフやダイヤモンドナイスなどで試料薄片を作成する手法。高分子材料などに。
日立集束イオンビーム加工観察装置 FB-2100
TEM(透過型
電子顕微鏡)
試料に電子線を照射して、そのまま試料を透過する電子を結像させることにより、 試料内部の微細構造を観察する。
解像度: 0.1nm (1Å)加速電圧: 300KeV
焦点合わせ
焦点合わせ2
a:非点収差あり b:非点収差無
倍率の校正方法• 通常使用レベルであれば、TEMの倍率は既に較正されているので、表示されている倍率を信じて構わない。
• それ以上に倍率精度が必要、または較正する必要があるときは、TEM倍率測定用材料 (Calibration sample)を使う。
TEM倍率測定用ポリスチレンラテックス(Latex Specimen on Grid)左からφ0.23µm、0.5µm、1.09mµ (x10,000)
写真等はhttp://www.okenshoji.co.jp/tem-sample.htmより引用
金単結晶0.204、0.143、0.102nm分解能測定用
カーボングラファイト3.4Åマイクログリット支持
パイロフェイライト4.5Åマイクログリット上 白金パラジウムカーボン支持膜上蒸着
TEMカーボングレーティング1,000/2,000線/mm
http://www.okenshoji.co.jp/tem-sample.htm
知っておきたい光学基礎用語(1)解像度は普通何で表す?
→開口数(NA値)が目安開口数(NA値)光学系の明るさ、または解像力を表す量のひとつ。屈折率nの媒質中にある光軸上の物点が入射瞳に入る角度(開口角)を2θとするとき、nSinθで表される数値。一般的に顕微鏡用対物レンズにNA値として表示され、明るさよりも解像力を示す数値とされている。なお、FナンバーとNA値の関係は、Fナンバーの逆数の1/2がNAとなる。つまり、F1.0=NA0.5、F1.4=NA0.357、F2=NA0.25となる。
→対物レンズの口径が大きくて、焦点距離が短いほど理論的解像度は良くなる→一方で、曲率半径の大きなレンズ/反射面を作らなくてはならないので工作精度的には厳しくなる。
焦点深度=±λ(波長)
2×NA2
解像力=kλ(波長)
NA
TEMの光学系
どこを絞ると解像度が良くなるか?
TEM: ○界面に存在するひずみによるコントラスト、欠陥の様子×基板とGaN膜自体では明確にはコントラスト
STEM ×欠陥、基板界面のひずみといった回折コントラスト○基板とGaN膜そのもののといった組成の違い
→TEMは回折コントラスト(結晶に起因)に関係する像例.欠陥評価、電子線回折測定、グレインサイズの評価etc
→STEMは組成に起因するコントラストに関係する像例.化合物半導体の積層構造の確認など+電子線プローブ走査から、EDS,EELSといった面分析が可能
TEM STEMサファイア基板上のGaN膜の観察例
http://www.nanoscience.co.jp/knowledge/TEM/knowledge01.html
TEM回折像
対物絞りとコントラスト
TEMトモグラフの応用-透過電子顕微鏡像の三次元再構成システム -
TEMトモグラフとは?1枚の試料を傾斜させながら得られた画像データを用いて自動的に3次元構成を行うシステム
http://www.jeol.co.jp/technical/eo/touka/tomography/tomography.htmより
○ラット小腸吸収上皮細胞のデスモゾーム(画像化領域 580×580×115 nm)加速電圧 : 120kV(CCDカメラ)倍率 : ×145kステージ傾斜角度 : +60°~ -60°(2.5°ステップ 49枚)<試料>切片の厚さ :80nm パラホルムアルデヒド単独固定
○Gyroid (ポリマー)(画像化領域 70×70×25 nm)加速電圧 : 200kV 倍率 :×20kステージ傾斜角度 : +60°~ -60°(2.5°ステップ 49枚)
<試料>切片の厚さ : 150~200nm 四酸化ルテニウム染色
試料御提供:京都大学 長谷川先生京都工芸繊維大学 陣内先生
../../2005/desmo.mpeg../../2005/desmo.mpeg../../2005/gyroid.mpeg../../2005/gyroid.mpeg
Ce doping TiO2 Powder
amorphous
Crystal
Pure TiO2 NaOH mod.
0.263nm(31-2)
0.303nm(211)
0.262nm
0.300nm
0.188(020)
0.3005nm(211)
Ce doping TiO2 needle crystal TEM photograph
0.367(110)
0.365(110)0.365(110)
10nm
3.5-4.2nm
Long shot of Ce Doping Nano Needle crystal TiO2
SEMCe 1wt% TiO2 /10M-NaOH Ce 1wt% TiO2 /10M-NaOH
TiO2 /10M-NaOH TiO2 /10M-NaOH
参考文献
サンプル調製・電顕全般
現場で役立つ電子顕微鏡資料作成法関西電子顕微鏡応用技術研究会編 1999年 金芳堂
電子顕微鏡 基礎技術と応用 2000~凍結技法で広がる超微の世界~
第11回電顕サマースクール 実行委員会編 2000年 学際企画
電顕全般概説(アウトライン)
第2版 機器分析のてびき 第3巻 泉美治 他 化学同人 1980年
フレネル回折・回折スポット理論概要
応用物理工学選書 応用光学I 鶴田匡夫 編 1990年 倍風館
など。