Upload
others
View
6
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
住所不定者の退院援助住所不定者の退院援助入院患者の退院支援事例から考察入院患者の退院支援事例から考察
(福)大阪社会医療センター付属病院
医療ソーシャルワーカー 奥村 晴彦
外来風景外来風景
相談室
診療依頼診療依頼書書⇒⇒依頼制度(減免)依頼制度(減免)
公 的 機 関 か ら の 依 頼
西成区保健福祉センター市立更生相談所
西成労働福祉センター
診療費の支払いに困っていますので、お互いの信用の上で借用します。生活に余裕ができたら返済します。
入院患者の現状入院患者の現状
住所不定76%
居宅24%
生活保護97%
保険3%
住所不定者の生活保護住所不定者の生活保護
居宅を原則として、窓口で対応されず居宅を原則として、窓口で対応されず
入院となっても行旅病人扱いで退院とともに保入院となっても行旅病人扱いで退院とともに保護が廃止護が廃止⇒⇒治療継続できない治療継続できない
退院後就労できない場合は施設入所対応退院後就労できない場合は施設入所対応
施設入所待機の間は転医施設入所待機の間は転医
経営的理由からの転院経営的理由からの転院⇒⇒病院間の利害関係病院間の利害関係
敷金支給申請できない敷金支給申請できない
居宅保護の転機居宅保護の転機
生活保護裁判生活保護裁判
権利意識の向上権利意識の向上
支援団体の取り組み支援団体の取り組み
自立支援特別措置法自立支援特別措置法⇒⇒厚生労働省通知厚生労働省通知
簡易宿泊所の転用住宅化簡易宿泊所の転用住宅化⇒⇒福祉マンション福祉マンション
サポーティブマンションの出現サポーティブマンションの出現⇒⇒敷金保証人無敷金保証人無
不動産戦略不動産戦略⇒⇒福祉適用物件の増加福祉適用物件の増加
福祉住宅物件案内福祉住宅物件案内
○○○不動産
00-123-4567×××ホーム
98-765-4321
MSWMSWのかかわりのかかわり
入院時入院時
入院手続きを入院手続きをMSWMSWが行うが行う
⇒⇒入院時のインテーク面接を行う入院時のインテーク面接を行う
入院患者の情報収集と援助(医療費等)入院患者の情報収集と援助(医療費等)
退院時退院時
退院許可は医師、退院日の設定は退院許可は医師、退院日の設定はMSWMSW⇒⇒面接により退院後の生活設計を考える面接により退院後の生活設計を考える
退院時における患者の希望退院時における患者の希望
どうしてよいのか、わからないどうしてよいのか、わからない
治療を受けたい治療を受けたい
団体生活は望まない団体生活は望まない
自分で生活したい自分で生活したい
仕事ができないので生活保護を受けたい仕事ができないので生活保護を受けたい
就労できるまで、生活を支えてほしい就労できるまで、生活を支えてほしい
就労のため、住居を確保したい就労のため、住居を確保したい
住居設定後居宅保護申請住居設定後居宅保護申請
0
20
40
60
80
件
敷金支給無し 1 44 21 6 7
敷金支給有り 3 12 42 42 44
平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
福祉マンション 生活保護裁判支援団体活動
ホームレスに対する生活保護の適用について
退院(住居設定)調整期間退院(住居設定)調整期間
退院許可日から退院日までの期間退院許可日から退院日までの期間
平成平成1212年年44月~平成月~平成1616年年88月末現在月末現在
住所不定から居宅設定した数:住所不定から居宅設定した数:256256人人平均:平均:22.4722.47日日最長:最長: 4848日日最短:最短: 44日日
住居設定の効果住居設定の効果
自分の生活を自分で責任を持つ自分の生活を自分で責任を持つ
プライベート空間を持つプライベート空間を持つ
安定した生活作りの基盤となる安定した生活作りの基盤となる
居宅保護の対象になる居宅保護の対象になる
治療継続につながる治療継続につながる
就職に際して不利益を受けない就職に際して不利益を受けない
衣食住という人間として基本的なものを確保衣食住という人間として基本的なものを確保
居宅生活の課題居宅生活の課題ひとりの生活が寂しい(話し相手がいない)ひとりの生活が寂しい(話し相手がいない)
相談相手がいない相談相手がいない⇒⇒キーパーソン不在キーパーソン不在
日常生活習慣の改善日常生活習慣の改善
食生活、金銭管理、生活パターンの変更食生活、金銭管理、生活パターンの変更
⇒⇒家賃滞納で退居する場合が多い家賃滞納で退居する場合が多い
居宅保護の場合、日中の過ごし方の問題居宅保護の場合、日中の過ごし方の問題
サポート体制の構築サポート体制の構築
自己実現に向けて自己実現に向けて
癌患者でターミナルケアが予想される場合癌患者でターミナルケアが予想される場合
居宅生活が可能かどうか?居宅生活が可能かどうか?
⇒⇒すぐに再入院の見込みがある場合すぐに再入院の見込みがある場合
MSWMSWの援助内容にみる葛藤が存在するの援助内容にみる葛藤が存在する
家族との関係はどうするのか?家族との関係はどうするのか?
支援体制についてはどうなのか?支援体制についてはどうなのか?
緊急時の受け入れ体制はどうか?緊急時の受け入れ体制はどうか?
退院を支援する退院を支援する
入院を契機に住居を確保することができる入院を契機に住居を確保することができる
野宿生活から脱出することができる野宿生活から脱出することができる
地域のネットワーク体制の点検と構築地域のネットワーク体制の点検と構築
自己決定に基づく支援自己決定に基づく支援
無料低額診療施設の無料低額診療施設のMSWMSWの役割の役割
⇒⇒生活問題に焦点生活問題に焦点を当て、退院調整できるを当て、退院調整できる
社会的?入院も生活支援の手段である社会的?入院も生活支援の手段である
病院内での理解とチーム医療病院内での理解とチーム医療
退院援助事例退院援助事例
事例の概要事例の概要
5252歳の日雇い労働者で、野宿・無保険。直歳の日雇い労働者で、野宿・無保険。直腸癌術後延命が望めず退院援助する。腸癌術後延命が望めず退院援助する。2020年来音信不通の兄弟と連絡をとることが年来音信不通の兄弟と連絡をとることができ、でき、MSWMSWの退院援助により兄弟が本音の退院援助により兄弟が本音で向き合い退院後の生活を考える。結果とで向き合い退院後の生活を考える。結果として敷金支給を受けて郷里に帰り、兄弟のして敷金支給を受けて郷里に帰り、兄弟の住む近くでアパートを借りて居宅保護を受住む近くでアパートを借りて居宅保護を受け、家族関係を修復でき、治療も継続し新け、家族関係を修復でき、治療も継続し新しい生活を始めることになる。しい生活を始めることになる。
52歳、男性
MSW
家族母、兄夫婦
福祉事務所 福祉事務所
大学病院
医療センター
医師看護師
音信不通
生活保護申請
退院相談退院相談
情報提供
生活保護申請
治療
家族関係の修復家族関係の修復
連絡・調整
あいりん地区
郷 里
52歳、男性
敷金支給申請
生活
52歳、男性
生活
直腸癌
退院援助事例から考察する退院援助事例から考察するⅠⅠ
退院援助していく過程において患者のニーズ退院援助していく過程において患者のニーズをとらえていく際に、末期患者の自己決定は最をとらえていく際に、末期患者の自己決定は最大限尊重することが望まれるが、生活していく大限尊重することが望まれるが、生活していくには、さまざまなサポートが必要となってくる。には、さまざまなサポートが必要となってくる。特に単身者の場合は家族関係が希薄である特に単身者の場合は家族関係が希薄であるが、家族調整援助も重要な要素を占め、入院が、家族調整援助も重要な要素を占め、入院を契機として家族関係を回復することにより、を契機として家族関係を回復することにより、身内という強力なサポートを獲得することにつ身内という強力なサポートを獲得することにつながることもある。ながることもある。
退院援助事例から考察する退院援助事例から考察するⅡⅡ
この事例は、今までどおり退院後もあいこの事例は、今までどおり退院後もあいりんりん地地区で単身生活していくつもりであった患者が、区で単身生活していくつもりであった患者が、MSWMSWの介入により、音信不通となっていた家の介入により、音信不通となっていた家族と連絡を取りあうことができ、族と連絡を取りあうことができ、MSWMSWが本音でが本音で向き合える人間関係の調整役となることで、郷向き合える人間関係の調整役となることで、郷里に帰ることを決断し、第二の人生を送ること里に帰ることを決断し、第二の人生を送ることとなったものである。今までの生活パターンを、となったものである。今までの生活パターンを、家族とともに(特に親のために)暮らしていこう家族とともに(特に親のために)暮らしていこうという本人の意思の元に変化させた、いわばという本人の意思の元に変化させた、いわば行動変容アプローチに通じる支援である。行動変容アプローチに通じる支援である。
退院援助事例から考察する退院援助事例から考察するⅢⅢ
本事例は終末期の生活創造に直接関わっ本事例は終末期の生活創造に直接関わったものであり、ソーシャルワークの重要性たものであり、ソーシャルワークの重要性と援助における社会的責任というものを考と援助における社会的責任というものを考えさせられるとともに、入院を転機として再えさせられるとともに、入院を転機として再出発することができ、患者と出発することができ、患者とMSWMSWの出会の出会
いがいかに大切なものであるかを再確認いがいかに大切なものであるかを再確認した事例であった。した事例であった。
野宿生活からの脱却野宿生活からの脱却⇒⇒ 人間らしい生活人間らしい生活
無料低額診療施設無料低額診療施設
医療施設であり、社会福祉施設である無医療施設であり、社会福祉施設である無料低額診療施設の役割として、さまざまな料低額診療施設の役割として、さまざまな援護を要する人々の援護を要する人々の生活を主体生活を主体として考として考えていくことができるところである。えていくことができるところである。
治療終了後、退院までの生活設計期間は治療終了後、退院までの生活設計期間は社会的入院ではなく、病院生活から社会社会的入院ではなく、病院生活から社会生活への生活へのインターバルとしてとらえる支援インターバルとしてとらえる支援期間期間、すなわち、すなわちソーシャルサポートソーシャルサポートである。である。
社会保障を補完し、医療を守る砦である。社会保障を補完し、医療を守る砦である。