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長野県 長野県の砂防 ■ 1 長野県の概要……………………………1 (1) 位置と地勢 (2) 地質 (3) 気象 ■ 2 長野県の土砂災害………………………3 (1) 長野県の土砂災害 (2) 過去の主な土砂災害 (3) 災害伝承 (4) 近年の土砂災害 ■ 3 砂防事業の取組…………………………9 (1) 事業の概要 (2) 砂防事業 (3) 地すべり対策事業 (4) 急傾斜地崩壊対策事業 (5) 雪崩対策事業 (6) 災害関連緊急事業 (7) 特定緊急事業 (8) 激甚災害対策特別緊急事業 (9) 火山噴火対策 (10) 土砂災害防止法 (11) 大規模土砂災害に対する取組 (12) 防災情報の提供 (13) 住民主導型警戒避難体制の構築 (14) 直轄砂防事業 ■4土砂災害から地域を守る砂防…………29 ■5地域の早期復興のための砂防…………31 (1) 土石流災害への対応 (2) 地すべり災害への対応 (3) がけ崩れ災害への対応 (4) 雪崩災害への対応 ■6施設等の維持管理と様々な連携………35 (1) 指定地及び危険箇所 (2) 長寿命化計画 (3) 地域との協働 (4) 長野県砂防ボランティア協会 (5) 小水力発電 ■7歴史的砂防施設…………………………40 ■8地域づくりを支える砂防………………42 ■9砂防の沿革………………………………43 10組織………………………………………46 2015.8

長野県の砂防 - Nagano Prefectural Government · の活火山が分布して今なお活動をつづけ ています。 ... 融雪、地震等の誘因が複合的に重なり大規模な

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長野県

長野県の砂防

■1長野県の概要……………………………1 (1)位置と地勢 (2) 地質 (3) 気象■2長野県の土砂災害………………………3   (1)長野県の土砂災害 (2)過去の主な土砂災害 (3)災害伝承 (4)近年の土砂災害■3砂防事業の取組…………………………9 (1)事業の概要 (2)砂防事業 (3)地すべり対策事業 (4)急傾斜地崩壊対策事業 (5)雪崩対策事業 (6)災害関連緊急事業 (7)特定緊急事業 (8)激甚災害対策特別緊急事業 (9)火山噴火対策 (10)土砂災害防止法

 (11)大規模土砂災害に対する取組 (12)防災情報の提供 (13)住民主導型警戒避難体制の構築 (14)直轄砂防事業■4土砂災害から地域を守る砂防…………29■5地域の早期復興のための砂防…………31 (1)土石流災害への対応 (2)地すべり災害への対応 (3)がけ崩れ災害への対応 (4)雪崩災害への対応■6施設等の維持管理と様々な連携………35 (1)指定地及び危険箇所 (2)長寿命化計画 (3)地域との協働 (4)長野県砂防ボランティア協会 (5)小水力発電■7歴史的砂防施設…………………………40■8地域づくりを支える砂防………………42■9砂防の沿革………………………………43■10組織………………………………………46

2015.8

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30

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90

森林率         山地率

長野県

全国

1

位置と地勢

長野県は、本州の中央部に位置し、東に群馬・埼玉、南に山梨・静岡・愛知、西に岐阜・富山、北に新潟と8県に隣接しています。東西約 120km、南北約 212km と南北に長く、総面積は 13,562k㎡、北海道、岩手、福島に次いで全国第4位の面積を有する県です。

また、本県は、「日本の屋根」とも呼ばれ、四方を 3,000m 級の山々に囲まれています。県土の 85%が山地であり、また 79%を森林が占め、全国平均に比して高い割合となっています。

北アルプス、南アルプス等は、千曲川(信濃川)をはじめ、木曽川、天竜川、姫川等の長大河川の水源となっています。県内を流れる河川は急勾配で縦横の浸食が著しく、加えて急峻な地勢と脆弱な地質とが相まって多大な土砂を生産しています。

森林率および山地率山地面積:H26 統計年鑑より作成森林面積:H26 林野庁資料より作成

長野県の概要

0[mm]

500

1000

1500

2000

2500

長野 松本  飯田 木曽

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150

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250

300

1月

2月

3月

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5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

長野

松本

飯田

木曽

地質

気象

(2)

(3)

県内には、日本列島を東北日本と西南日本に二分する糸魚川静岡構造線が南北に走っており、また諏訪湖付近から西南日本を二分する中央構造線が南に延びています。

特に糸魚川静岡構造線の東側は、いわゆるフォッサマグナ地帯で、新第三紀層が広く分布しており、東南端には古生層、中生層がみられます。

また県の東北部には、浅間山、草津白根山、西部に、御嶽山、乗鞍山、焼岳等の活火山が分布して今なお活動をつづけています。

以上のような状況に加え、全体的に地質構造も複雑で、断層や破砕帯が多く、また熱水変質を受けた地質も各地に見られ、これが山地崩壊や地すべり災害発生の素因をなしています。

本県の気象は一様ではなく、南部地方は太平洋側、北部地方は日本海側、中部地方は内陸性で、気温は寒暖の差が大きくなっています。

降雨分布も地域性が大きく、西部から南部にかけては、年降水量 2,000mm に達し、東北部は 1,000mm 前後の少雨地帯となっています。

また、降雪量は北部県境付近及び西部山岳地方が多く、豪雪地帯となっています。

月別降水量の平年値 年間降水量の平年値気象庁資料より作成平年値は1981年~2010年の観測値から算出

地質構造図

長野県の概要

(1)

(2)

平均

合計土石流

地すべり

がけ崩れ

1325

10 4 6

28 217 4 9 13

20

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117

21

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9

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4

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5

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140件数

H17429

2013

H18136615025

H19254

1110

H2014374

H214316216

H2270311128

H233999

21

H2417377

H2518594

H264415209

46161713

2 長野県の土砂災害

長野県内の土砂災害

過去の主な土砂災害(昭和 20年から平成 26年)

本県の危険箇所数は全国でも上位であり、(土石流危険渓流 5,912 箇所8位、 地すべり危険箇所 1,241 箇所1位、急傾斜地崩壊危険箇所 8,868 箇所 15 位)県土の広さと地形、地質の複雑さから下記のような土砂災害が多く発生しています。

以上に加え、台風・集中豪雨等による降雨、融雪、地震等の誘因が複合的に重なり大規模な災害に至った例もあります。

・県北部に広く分布する新第三、四紀層地域での地すべり、土石流

・浅間山、御嶽山等、火山地帯での大規模崩壊、地すべり、土石流、泥流

・姫川流域等フォッサマグナ周辺での崩壊、地すべり、土石流

・千曲川、天竜川、木曽川等の河岸段丘及び山麓の崖錐地帯等のがけ崩れ

発生年月日 名称 主な被災地 被災状況S20.10.3 ~ 11 阿久根台風 県下全域 死者 42 名、行方不明1名、重傷6名、全壊 102 戸、半壊4戸S24.8.31 ~ 9.1 キティ台風 県下全域 死者1名、半壊 45 戸S25.8.3 ~ 5 熱帯低気圧による豪雨 東信・北信 死者 19 名、重傷 15 名、軽傷 72 名、全壊 105 戸、半壊 50 戸S32.6.26 ~ 28 梅雨前線豪雨 上伊那郡・下伊那郡 死者 14 名、行方不明6名、重傷6名、軽傷 53 名S33.9.17 ~ 18 台風 21 号 県東部・北部 死者 17 名、重軽傷 130 名S34.8.14 台風7号 県下全域 死者 65 名、行方不明6名、重傷 81 名、軽傷 301 名、全壊 1,391 戸、半壊 4,091 戸S34.9.26 伊勢湾台風 県下全域 死者 21 名、行方不明6名、重傷 43 名、軽傷 202 名、全壊 1,567 戸、半壊 8,853 戸S36.6.23 ~ 30 梅雨前線豪雨 県下全域(特に上伊那郡・下伊那郡)死者107 名、行方不明 29 名、重傷119 名、軽傷1,045 名、全壊 903 戸、半壊 621 戸S40.8.3 ~ 松代群発地震 長野市松代町 各地に「地すべり災害」発生、重軽傷 15 名、全壊 10 戸S41.6.24 大雨 南木曽町 重傷1名、軽傷9名、全壊 37 戸、半壊 24 戸S44.8.4 ~ 5 台風7号 県南部 死者9名、行方不明6名、重軽傷 11 名、全壊 10 戸、半壊7戸S56.8.22 ~ 23 台風 15 号 須坂市宇原川 死者 11 名、重傷3名、軽傷 20 名、全壊 10 戸、半壊 20 戸S57.8.1 ~ 3 台風 10 号 県下全域 死者4名、重傷4名、軽傷 13 名、全壊 23 戸、半壊 44 戸S57.9.11 ~ 13 台風 18 号 県下全域 死者2名、重軽傷 37 名、全壊3戸、半壊3戸S58.9.28 ~ 29 台風 10 号 県下全域 死者9名、重軽傷 44 名、全壊 53 戸、半壊 92 戸S59.9.14 長野県西部地震 王滝村 死者 29 名、重傷3名、軽傷7名、全壊 14 戸、半壊 73 戸S60.7.26 集中豪雨による地すべり 長野市地附山 死者 26 名、重軽傷4名、全壊 55 戸、半壊5戸H3.9.18 ~ 19 台風 18 号 県下全域 死者1名、全壊 10 戸、半壊3戸H7.7.11 ~ 13 梅雨前線豪雨 県北部 重傷1名、全壊 46 戸、半壊 105 戸H8.12.6 蒲原沢土石流 小谷村 死者 14 名、重軽傷8名H10.9.15 ~ 16 台風5号 県下全域 死者3名H10.9.21 ~ 22 台風7、8号 県下全域 重軽傷 10 名、全壊2戸、半壊 12 戸H11.6.24 ~ 7.3 梅雨前線豪雨 県下全域 半壊1戸H11.8.14 ~ 15 豪雨 県下全域 死者1名、半壊4戸H12.9.10 ~ 12 豪雨 県下全域 重軽傷2名、半壊2戸H12.9.16 ~ 18 豪雨 佐久地域 重軽傷1名H16.10.20 台風 23 号 県下全域 重軽傷8名、全壊1戸、半壊2戸H18.7.15 ~ 24 7月豪雨 県下全域(主に県中部) 死者 12 名、行方不明1名、重軽傷 20 名、全壊 22 戸、半壊 34 戸H23.3.12 長野県北部地震 栄村 軽傷 12 名、全壊 3 戸、半壊 169 戸H26.7.9 豪雨 南木曽町 死者1名、全壊 10 戸H26.11.22 神城断層地震 県北部(白馬村、小谷村) 全壊 81 戸、半壊 163 戸 

年別災害発生数

長野県の土砂災害

台風 7 号災害 昭和 34 年 8 月 松本市 女鳥羽川

梅雨前線豪雨災害 昭和 36 年大鹿村 桐久保沢

大雨による土砂災害 昭和 41 年 6 月南木曽町 神戸沢

台風 15 号災害 昭和 56 年 8 月 須坂市 宇原川土石流に巻き込まれた人家

茶臼山地すべり災害 昭和 16 年 6 月撮影 長野市

2 長野県の土砂災害

長野県西部地震災害 昭和 59 年 9 月 御嶽山崩れ

地附山地すべり災害 昭和 60 年 7 月 長野市地すべりにのまれた家屋

平成 18 年豪雨災害 平成 18 年 7 月 19 日土石流により破壊された車と住宅 辰野町赤羽

平成 26 年豪雨災害 平成 26 年 7 月9日土石流が発生した南木曽町梨子沢

梅雨前線豪雨災害 平成 7 年 7 月 小谷村 湯原沢土石流に巻き込まれた人家と道路

(3)

長野県の土砂災害

災害伝承

古くから多くの土砂災害を被ってきた長野県内には、災害の記憶と教訓を風化させず、次の世代に伝えるために、各地に災害伝承の碑や、記録が残されています。

南木曽町伊勢小屋沢に、蛇抜けの碑があります。昭和28年の「蛇抜け」(土石流災害)で亡くなった3人の霊をなぐさめるとともに、この災害で得られた教訓を後世に伝えることを願って建てられたものです。毎年、南木曽中学校の生徒が碑の清掃を行っています。

昭和 36 年、伊那谷での豪雨災害に遭った小学生、中学生、高校生たちが書いた作文を、個人で編集、発行した文集です。当時の子どもたちの感じた災害の怖さや悲しさを伝えています。

小谷村にある「歳月茫々碑」は、作家幸田文が日本各地の崩壊地をめぐって執筆したエッセイ「崩れ」のなかで、稗田山の大崩壊について綴った一節を引いたものです。

平成4年に建てられましたが、平成7年の豪雨で土石流にのまれ、翌年 80m ほど下流から発見され、現在地に据えられました。

白い雨が降るとぬける尾 ( 根の ) 先 谷 ( の出 ) 口 ( お ) 宮の前 ( には家を建てるな )雨に風が加わると危い長雨後 谷の水が急に止まったらぬける蛇ぬけの水は黒い蛇ぬけの前にはきな臭い匂いがする

みんなながれてしまった駒ヶ根市中沢小学校南分校一年 M ・ Mぼくは、かなしくてないてしまいました。うちがながれてしまいました。きるものもながれてしまいました。おこめもながれてしまいました。みそぐらもながれてしまいました。みんなながれてしまいました。かなしかった。かみいたがながれて、いねもみんなながれてしまいました。(後略)

蛇抜けの碑(じゃぬけのひ)

濁流の子(だくりゅうのこ)

歳月茫々碑(さいげつぼうぼうひ)

「濁流の子」に収められた作文の一部はインターネット上で公開されています。語り継ぐ “ 濁流の子 ” アーカイブス http://lore.shinshu-u.ac.jp/

[信州大学附属図書館 / 天竜川上流河川事務所 / 天竜川総合学習館かわらんべ]

資料提供天竜川総合学習館

かわらんべ

(4)

2 長野県の土砂災害

近年の土砂災害

平成 18 年 7 月 15 日から 24 日にかけての梅雨前線による豪雨によって、諏訪、上伊那地域を中心に多くの土砂災害が発生しました。特に、岡谷市周辺では、土石流が集中的に発生し、10 名の命を奪う大きな被害となりました。

平成 26 年 7 月 9 日、台風 8 号の影響による局地的豪雨によって、南木曽町梨子沢で土石流が発生しました。

この災害により中学生1名が犠牲となったほか、住宅や道路、鉄道にも大きな被害を与えました。

長野県では、次の降雨に備えて護岸の応急工事や堰堤の除石工事を実施したほか、関係機関とともに周辺地区の避難基準の引き下げの検討など地元自治体の警戒避難体制構築の支援を行いました。

■平成 18 年 7 月 豪雨

■平成 26 年 7 月 豪雨

岡谷市 小田井沢川

全景

岡谷市 志平川

応急工事による仮設護岸

カメラが捉えた土石流[国土交通省 中部地方整備局]

長野県の土砂災害

平成 26 年 9 月 27 日の御嶽山噴火は、死者 58 名、行方不明 5 名にのぼる戦後最大の火山災害となりました。(平成 27 年 8 月時点)

この噴火により、国土交通省では、県内で初めてとなる土砂災害防止法に基づく緊急調査を実施するとともに、降灰の影響による土石流の影響範囲のシミュレーションを公表しました。

長野県では、降雨による土石流や融雪による泥流

平成 26 年 11 月 22 日 22 時頃、長野県北部を震源とする地震が発生し、長野市(鬼無里・戸隠)、小谷村、小川村で震度 6 弱を観測したほか、県内各地で揺れが観測されました。

この地震により、小谷村を中心に、地すべりや落石、山地の崩壊などの被害が発生しました。 地震後、長野県では、国の支援を受けて土砂災害危険箇所の緊急点検を実施するとともに、土砂災害のおそれが

ある箇所の観測体制を整備しました。また、震度5強以上を観測した市町村に対しては、地震による地盤のゆるみを考慮し、土砂災害警戒情報の発表

基準を引き下げて運用しています。(平成 27 年 8 月時点)

■平成 26 年 9 月 御嶽山噴火後の二次災害対策

■平成 26 年 11 月 神城断層地震

噴火の状況

小谷村 中土地区地すべりの発生と伸縮計による監視

除石工事火砕流の発生[国土交通省 中部地方整備局]

に備え、既設砂防堰堤の緊急除石工事や仮設護岸工事を実施したほか、関係機関とともに市町村へ助言を行い、警戒避難体制構築への支援を行いました。

■ 発生日時 : 平成 26 年 11 月 22 日(土) 午後 10 時 08 分ころ■ 震源   :長野県北部■ 震源の深さ :5キロメ-トル■ 地震の規模:マグニチュ-ド 6.7

■ 長野県内各地の震度  震度6弱   :長野市(戸隠・鬼無里)、         小谷村、小川村  震度5強  :信濃町、白馬村  震度5弱以下:上記以外の県内市町村

地震解説資料第1号平成 26 年 11 月 23 日 00 時 00 分気象庁長野地方気象台

「 平 成 26 年 11 月 22 日 22 時 08 分頃の長野県北部の地震について」より

震度  4  5弱  5強  6弱  6強  7

(1)

(百万円)

21,877 21,294

15,125 14,417

10,779 9,112 8,112

10,91415,232 13,832

9,840 10,481 11,764 11,289

9,901

2,194 2,484

1,994 1,223

1,549

1,074 1,252

1,168

1,069 1,965

1,647 1,461 1,136 1,558

2,255

6,457

954

1,060 585

2,252

196

7,785

516

108 1,229

2,067 139

840

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

H12  H13  H14  H15  H16  H17  H18  H19  H20  H21  H22  H23  H24  H25  H26

災害関連事業

県単事業

公共事業

30,528

18,179

24,732

16,224

14,581

10,382

17,149

12,598

16,40917,026

13,554

11,942

12,90112,986

12,995

3 砂防事業の取組

事業の概要

長野県は、土砂災害のおそれのある危険箇所が極めて多く、これまでも、県民が安心して暮らせる地域づくりに向けた、砂防、地すべり、がけ崩れ対策等の事業を進めてきました。しかしながら、相次ぐ災害から生命、財産を守るためには、一層のハード対策の推進とともに、災害発生に備えて円滑な避難行動をとれるよう支援するソフト対策が重要となっています。

■事業体系

■事業予算の推移

ハード対策の強化・推進~人命・財産の保全~

地域との協働による維持管理の推進

ソフト対策の充実~人命を守る情報提供等~

ハード対策とソフト対策の一体的かつ効率的な減災対策の推進

砂防事業地すべり対策事業急傾斜地崩壊対策事業雪崩対策事業  など

土砂災害警戒区域等の指定警戒避難のための情報提供  など

地域のボランティアによる砂防施設の機能維持  など

最終予算(受託費を除く)

※県単事業には砂防等調査費を含む  ※ H19 ~ H21 の公共事業には激甚災害対策特別緊急事業を含む

10

砂防事業の取組

①近年災害が発生した地域における再度災害防止対策②災害時の避難行動に支援が必要とされる方が入所する要配慮者利用施設の対策③避難所として指定されている施設や避難路の対策④火山噴火に起因した土砂災害の軽減対策  ⑤既存施設をできるだけ有効に活用していくための砂防施設等の長寿命化対策

①土砂災害(特別)警戒区域の指定のための基礎調査の推進と調査結果の速やかな公表②土砂災害警戒情報の適時適切な市町村長への通知と、一般へ周知するための取組③土砂災害警戒区域等の指定の促進と警戒避難体制構築のための市町村への支援

ハード対策

緊急を要する箇所や優先的に取り組む箇所の対策などの課題に対して、重点的に取り組みます

土砂災害の危険の周知と災害に備えるための取組を進めます

長野県総合5か年計画(しあわせ信州創造プラン)長野県では、平成 25 年度から平成 29 年度の 5 年間の施策方針を策定し、推進しています。このうち、安全のための施策を総合的に展開する中で、地域防災力の向上のため、下記の指標を目標とし

て取り組みを行っています。

地域特性に配慮した防災訓練

要配慮者利用施設を守るがけ崩れ対策 土砂災害防止法指定説明会

■重点施策

ソフト対策

土砂災害防止法に基づく基礎調査の完了目標 平成 27 年度区域指定の完了目標 平成 28 年度

地域特性に配慮した防災訓練実施市町村数

要配慮者利用施設の土砂災害対策着手数

18市町村(H24)

19施設(H23)

77市町村(H29)

55施設(H29)

11

(2)

3 砂防事業の取組

砂防事業

明治 31 年(1898 年)、牛伏川(松本市)において補助砂防事業を実施して以来、今日まで 110 余年間にわたり各種の砂防事業を実施してきました。土砂災害から県民の生命や財産を守り、安全な郷土を築くため、景観や環境にも配慮しながら取り組んでいます。

通常砂防事業は、流域内の荒廃面積の割合が高く、土砂流出の著しい渓流において、土石流等の土砂災害から、下流の人家、耕地及び公共施設等をまもるため、砂防堰堤、床固工、山腹工等を整備する事業です。

■通常砂防事業

火山砂防事業は、火山地域において、土石流及び火山噴火に伴う火山泥流、火砕流、溶岩流等の異常な土砂流出による災害から、下流の人家、耕地及び公共施設等をまもるため、砂防堰堤、床固工、堆積工(遊砂地)等を整備する事業です。

■火山砂防事業

月沢砂防堰堤 施工場所:松本市 四賀 H=21.0m L=155.2m V=26,647㎥県内でも珍しい、右岸はコンクリート、左岸はロックフィルの複合堰堤

■砂防堰堤

(砂)西湧井沢 中野市 西涌井沢砂防堰堤

(砂)月沢 松本市 月沢砂防堰堤

流域の荒廃(根羽川村 萸ぐ み

野の

川)

県内の火山地域

12

No. 渓流名 市町村名 堰堤名 高さ(m)

長さ(m)

堤体積(㎥)

貯砂量(㎥)

完成年度

1 上山沢南 木 曽 町与 川 40.0 96.0 41,493 870,000 S472 松 川高 山 村高 井 36.0 166.4 49,694 257,000 S51

3 一の沢安 曇 野 市( 穂 高 町 )浅 川 35.0 97.0 47,986 869,400 S60

4 小川川喬 木 村矢 筈 33.0 110.0 47,120 1,360,300 S535 松 川飯 田 市市 の 瀬 31.5 88.5 17,050 620,000 S476 大泉川南 箕 輪 村大泉所2号 31.0 157.0 64,218 570,000 S487 牛伏川松 本 市牛 伏 寺 30.0 127.0 49,606 299,500 S46

7 中房川安 曇 野 市( 穂 高 町 )信濃坂上 30.0 88.5 17,111 342,400 S47

7 北又沢飯 田 市(南信濃村)北 又 30.0 100.0 34,988 376,000 S48

7 遠山川飯 田 市(南信濃村)本 谷 30.0 113.0 42,988 1,834,800 S53

7 烏 川安 曇 野 市( 堀 金 村 )大 平 原 30.0 103.0 51,493 451,400 H3

7 柳 川平 谷 村 靭 30.0 86.0 33,418 253,100 H4

7 篠 沢長 野 市(信州新町)篠 沢 30.0 96.5 30,645 721,000 H11

7 金熊川大 町 市( 八 坂 村 )長 畑 30.0 99.0 37,660 565,300 H14

砂防事業の取組

(砂)臼川 青木村 臼川砂防堰堤

※( )内の市町村名は設置当時の名称

(砂)上山沢 南木曽町 与川砂防堰堤

多量な流出土砂に対処するため、大きな貯砂量と調節機能を持つ、高さ 15m 以上の砂防堰堤を大型砂防堰堤と分類しています。

大型砂防堰堤の建設は、昭和 42 年から実施され、平成 26 年度末までに 179 基が完成しています。また、大型砂防堰堤の副次的効果として、満砂になるまでの間、貯留された流水を利活用することができます。

■大型砂防堰堤

与川砂防堰堤 施工場所:南木曽町 上山沢 H=40.0m L=96.0m V=41,493㎥県下最大の堰堤高を誇る大型砂防堰堤

大型砂防堰堤の整備状況堤高ベスト10(平成 27 年 8 月時点)

13

3 砂防事業の取組

■さまざまなタイプの砂防堰堤

重力式 砂防堰堤【梶本沢第 2 砂防堰堤(生坂村)】

アーチ式 砂防堰堤【坪根砂防堰堤(長野市)】

鋼製スリット式(透過型) 砂防堰堤【駒形砂防堰堤(筑北村)】

鋼製スリット式(部分透過型) 砂防堰堤【千畳敷沢砂防堰堤(上松町)】

ワイヤネット式 砂防堰堤 【濁沢(小谷村)】

砂防ソイルセメント 砂防堰堤【南黒川沢砂防堰堤(小谷村)】

14

(3)

砂防事業の取組

地すべり対策事業

本県の地すべり対策工事は、明治 17 年上水内郡小川村全域にわたって発生した地すべり災害(富地すべり)を契機に、明治 19 年に内務省直轄事業として始められました。その後、昭和 33 年に「地すべり等防止法」が制定され地すべり対策事業が順次、進められてきました。

本県においては、急峻な地形や複雑で脆弱な地質構造から、集中豪雨等により頻繁に地すべり災害が発生しています。地すべり防止区域において、地すべり防止施設等の新設等を行うことにより、人家、公共建物、河川、道路等の公共施設その他に対する地すべり等による被害を除去し又は軽減し、国土の保全と民生の安定を図っています。

小谷村 前沢 小谷村 清水山地下水排除工(集水井、集水ボーリング工)の施工状況

抑止工(鋼管杭工、アンカー工)の施工中、完成状況

山ノ内町 落合

15

(4)

3 砂防事業の取組

急傾斜地崩壊対策事業

急傾斜地崩壊対策事業は、集中豪雨や台風などによるがけ崩れ災害を防止するための事業で、本県では昭和43年に山ノ内町星川地区で開始しました。以来、「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」に基づき、事業を進めています。

急傾斜地崩壊危険区域内の自然斜面で、急傾斜地の所有者等が崩壊防止工事を行うことが困難又は不適当なものについて、急傾斜地崩壊防止施設の設置等を行い、急傾斜地の崩壊による災害から国民の生命を保護します。斜面の安定を図りつつ、緑化などを行うことで景観や環境に配慮した工事を行っています。

飯田市 羽場赤坂(擁壁工)

南木曽町 吾妻 (法枠工)

大町市 旭町 (連続繊維補強土工)

安曇野市 桜坂小瀬幅 (崩壊土砂防止柵工)

16

(5)

砂防事業の取組

雪崩対策事業

雪崩対策事業は、雪崩による災害から人命を守るため、昭和 60 年度に集落の保全を目的とした事業として創設されました。本県では昭和 62 年から飯山市倉本地区、白馬村沢渡地区で事業を開始して以来、雪崩防止施設の整備を行っています。

豪雪地帯対策特別措置法により指定された豪雪地帯において、雪崩対策事業を実施して雪崩防止施設の設置等を行います。現在は雪崩の発生源で対策を行う雪崩予防工を実施することが多くなっています。

小谷村 月岡(雪崩予防工)

栄村 青倉(雪崩防護工)

着手前

着手前

施工後

施工後

千曲市 屋代駅裏

南牧村 湯沢

■要配慮者利用施設を保全するがけ崩れ対策

17

(6)

(8)

(7)

3 砂防事業の取組

災害関連緊急事業

激甚災害対策特別緊急事業

特定緊急事業

災害関連緊急事業は、風水害、震災、火山活動等による土砂の崩壊等の危険な状況に対処するための砂防設備を緊急的に設置する事業です。

特定緊急事業は、土砂災害により人的被害、家屋被害が発生した一定の地区において、被害をもたらした同規模の土砂災害が再び発生した場合でも、安全が確保されるよう、災害関連緊急事業と一体的な計画に基づき、一定期間内(おおむね3年)に緊急的に施設整備を実施する事業です。

長野市信更町 川久保沢 被災状況

長野市 地附山地すべり 被災状況

砂防堰堤と渓流保全工を整備

対策後

(砂防堰堤は災害関連緊急事業、渓流保全工は特定緊急事業)

昭和 60 年 地附山地すべり災害

平成 22 年発生災害(7月豪雨)

激甚災害対策特別緊急事業は、土石流等による激甚な土砂災害の発生した地域のうち一連地区において、再度災害を防止するため、一定期間内に一定の計画に基づく対策工事を実施する事業です。

18

(9)

新潟焼山

草津白根山

浅間山焼岳

乗鞍岳

御嶽山

平常時からの準備事項

緊急に実施する対策

リアルタイムハザードマップによる危険区域の想定

火山監視機器の緊急整備

緊急ハード対策施設の施工(除石、遊砂地、導流堤など) 火山山麓緩衝帯の設定

緊急支援機材の備蓄

火山防災ステーション機能の強化光ケーブル等の情報通信網の整備

砂防事業の取組

火山噴火対策

長野県内および周辺には、国内に 47 ある常時観測火山のうちの6つの火山があります。(平成 27 年 8 月時点)火山噴火にともなう火砕流、土石流、融雪型火山泥流による被害を防ぐため、砂防事業を行っています。

■火山噴火警戒避難対策事業

火山地域における住民の安全確保や、火山噴火時等の緊急対策の実施のため、火山活動の状況、異常な土砂の動き等を監視、情報伝達するために、ワイヤーセンサー、雨量計、監視カメラ等を整備しています。

また、降灰に起因する土石流と融雪型火山泥流に関するハザードマップを作成しています。

火山噴火に伴い発生する土砂災害に対して、被害をできる限り軽減するため、「平常時からの準備事項」と「緊急に実施する対策」について検討し、定めた計画です。

浅間山では、この計画に基づき、平成 24 年から直轄火山砂防事業を実施しています。

(浅間山、御嶽山)

■火山噴火緊急減災対策砂防計画(浅間山、草津白根山、御嶽山、焼岳、新潟焼山)

御嶽山ハザードマップ

平成 27 年 6 月 16 日浅間山の噴火を捉えたCCTV

火山噴火緊急減災対策砂防計画のイメージ

年月 火山 現象平成 2 年 浅間山 ごく小規模な水蒸気噴火平成 3 年 御嶽山 ごく小規模な水蒸気噴火平成 7 年 焼岳 水蒸気爆発平成 9 ~ 10 年 新潟焼山 小規模な水蒸気噴火平成 15 年 浅間山 ごく小規模な水蒸気噴火平成 16 年 浅間山 小規模なマグマ噴火平成 19 年 御嶽山 水蒸気噴火平成 21 年 浅間山 小規模なマグマ水蒸気爆発平成 26 年 御嶽山 水蒸気噴火平成 27 年 浅間山 小規模噴火※

近年の火山活動

※火山活動が継続中であり、現象は確定していない県内および周辺の火山

緊急に実施する対策 平常時からの準備事項

19

(10)

3 砂防事業の取組

土砂災害防止法(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)

土砂災害から住民の生命を守るため、土砂災害のおそれのある区域について、危険の周知、警戒避難体制の整備、一定の開発行為の制限、建築物の構造規制、既存住宅の移転促進等のソフト対策の推進を図ります。

平成 13 年 土砂災害防止法施行

・土砂災害のおそれのある場所の危険の周知・警戒避難体制の整備・一定の開発行為の制限・建築物の構造規制・既存住宅の移転促進

平成 25 年 一部改正 ・大規模土砂災害に対する危機管理体制の強化(緊急調査)

平成 27 年 一部改正

・土砂災害の危険性のある区域の明示・円滑な避難勧告等の発令に資する情報の提供・避難体制の充実・強化・国による援助

がけ崩れ 土石流 地すべり

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)土砂災害か発生した場合に、住民の生命又は身体に危害が生ずるおそれのある区域

警戒避難体制の整備○市町村の地域防災計画に警戒避難体制についての事項が定められます○高齢者、障がい者、乳幼児など災害時要配慮者が利用する施設○土砂災害ハザードマップにより土砂災害の危険性や避難に関する事項が周知されます

特定の開発行為に対する許可制○住宅分譲地や社会福祉施設、学校、医療施設の建築のための開発について、必要な対策が行 われているかどうか、県が審査して許可をします

建築物の構造規制○土石等が建築物に及ぼす力に対して安全な構造となるように、建築確認制度が適用されます

建築物の移転勧告および移転の支援○土砂災害の危険が急迫しているとき、建物の所有者あるいは占有者に対して特別警戒区域外 への移転を勧告します○家屋の移転に係る費用について、支援措置があります

土砂災害特別警戒区域(レッドーゾーン)土砂災害が発生した場合に、建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれのある区域

20

1011,482

4,174

8,055

11,563

13,171

18,079

20,919 21,339

25,026

1011,482

4,174

8,055

11,563

13,171

18,079

20,919 21,339

25,026

181,334

3,636

6,731

9,56210,843

14,832

17,149 17,468

20,543

11,944

181,334

3,636

6,731

9,56210,843

14,832

17,149 17,468

20,543

2 47

10 11 1214

1618

26

0

10

20

30

40

50

60

70

80

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

H16   H17   H18   H19   H20   H21   H22   H23   H24   H25   H26

警戒区域指定数累計

特別警戒区域指定数累計

指定完了市町村数

県内土砂災害危険箇所数=16,021

→ H14~   調査開始

[箇所数累計] [市町村数]

11,94414,56814,568

K06-418-064

K06-418-065

K06-418-066

K06-418-080

K06-418-085

K06-418-078

K06-418-076

K06-418-077

K06-418-075

K06-418-081

K06-418-082

K06-418-079

K06-418-071

K06-418-084

K06-418-083

K06-418-067

K06-418-072K06-418-068

K06-418-073

K06-418-074

K06-418-070

K06-418-069

K06-418-089

K06-418-090

K06-418-086

K06-418-087

K06-419-001

K06-419-002

K06-419-003

K06-419-005

K06-419-004

K06-419-030

K06-419-006

K06-419-007

K06-419-008

K06-419-009

K06-419-010

K06-419-011

K06-419-012

K06-419-014

K06-419-013

K06-419-015

K06-419-019

K06-419-017

K06-419-016

K06-419-018

K06-419-025

K06-419-024

K06-419-023

K06-419-020

K06-419-021

K06-419-022

K06-419-026

K06-419-028

K06-419-027

K06-419-035

K06-419-041

K06-419-040

K06-419-039

K06-419-037

K06-419-038

K06-419-036

K06-419-029

K06-419-031

K06-419-032

K06-419-033

K06-419-034

K06-419-044

K06-419-045

K06-419-042

K06-419-043

K06-419-048

K06-419-049

K06-419-054

K06-419-053

K06-419-051

K06-419-052

栗下1

栗下2

栗下3

半場3

半場1

南1

南2

軒松2

軒松1

軒松1

半場2

半場4 本村2

本村1

本村3

帯山5

帯山3

帯山2

帯山7

帯山6

帯山1

柿の島

屋敷1

屋敷2

屋敷5

屋敷4

八日市場1

八日市場4

八日市場2

八日市場3

八日市場5

八日市場6

中立1

八日市場7

八日市場8

下中根10

上島1

上島2

上島5

上島3

上島4

下中根5

下中根4下中根2

下中根1

下中根7

下中根9

下中根3

下中根8

須沢5

須沢4

須沢3

須沢1

須沢2

上中根1

須沢6

須沢7

須沢9

須沢12

須沢15

須沢14

須沢13

下中根11

木沢1

鳴6

下中根6

木沢3

木沢2

木沢11

木沢12

木沢7

木沢6

木沢9

K06-419-056

川合2

川合3

K06-419-057

須沢8

須沢10

須沢11

土砂災害警戒区域・特別警戒区域 (急傾斜地の崩壊) 長野県 飯田市 南信濃

0 60 120 180 240 30030

1:2,500

自然現象の種類

告示年月日

箇所名

急傾斜地の崩壊

平成  年  月  日

縮 尺

1:5,000

図面番号

土砂災害

特別警戒区域

(著しい危害の

おそれのある

土地の区域)

土砂災害区域 (危害のおそれのある土地の区域)

土石流の移動高さが1m以下の場合、

土石等の移動による力が100kN/㎡を超える区域

土石等の堆積高さが3mを超える場合、

土石等の堆積高さが3mを超える区域

それ以外の区域

土砂災害防止法施行令第4条第1号ロ及び

ハに規定する力の大きさ等は別紙による

2 宮田村

つつじが丘・大原・大久保・大田切地区

凡  例

6

別図  土砂災害警戒区域図  及び

  土砂災害特別警戒区域図

自然現象の種類

告示年月日

箇所名

急傾斜地の崩壊

平成  年  月  日

縮 尺

図面番号

土砂災害

特別警戒区域

(著しい危害の

おそれのある

土地の区域)

土砂災害区域 (危害のおそれのある土地の区域)

土石流の移動高さが1m以下の場合、

土石等の移動による力が100kN/㎡を超える区域

土石等の堆積高さが3mを超える場合、

土石等の堆積高さが3mを超える区域

それ以外の区域

土砂災害防止法施行令第4条第1号ロ及び

ハに規定する力の大きさ等は別紙による

4長野県 飯田市 南信濃

凡  例

15

1:2,500

この区域図は、H13年に撮影した航空写真上に指定区域を示したものです。

±

A3縮小版は縮尺1:5,000

砂防事業の取組

 長野県内では、平成 13 年度から指定のための調査を実施し、平成 16 年度に白馬村で初の指定を行いました。平成 27 年3月末時点で、25,026 箇所の土砂災害警戒区域を指定しています。 

指定の流れ

区域図区域数の変遷

指定の範囲は、建設事務所、砂防事務所、県庁砂防課、市町村役場で閲覧できるほか、一部をインターネットでも確認できます。長野県ホームページから「信州くらしのマップ」をご覧ください。

長野県統合型地理情報システム「信州くらしのマップ」は、長野県の防災情報や施設情報などを電子地図上で提供するサービスです。

土砂災害警戒区域、特別警戒区域や、砂防等指定地、危険箇所を閲覧することができます。

信州くらしのマップ http://wwwgis.pref.nagano.lg.jp/

基礎調査の実施地形や土地の利用状況などを現地で調査します

住民説明会の実施指定の対象となる土地をお持ちの方等に説明します

基礎調査結果の公表調査が終了した時点で建設事務所、砂防事務所ホームページ等で指定予定区域を公表します

県報告示告示をもって指定となります公示図書は建設事務所、砂防事務所等で縦覧できます

21

(11)

王滝川→

土石流の影響範囲

土石流の影響範囲

土石流の影響範囲

3 砂防事業の取組

大規模土砂災害に対する取組

大規模な土砂災害が急迫している場合、国や県は緊急調査を実施し、被害の想定される区域と時期を市町村に通知するとともに、一般に周知します。

■土砂災害防止法に基づく緊急調査

<国が調査を実施するもの>○河道閉塞による湛水を発生原因とする土石流○河道閉塞による湛水○火山噴火に起因する土石流

<県が調査を実施するもの>○地すべり

対象となる事象

深層崩壊とは、山崩れ ・ がけ崩れなどの斜面崩壊のうち、すべり面が表層崩壊よりも深部で発生し、表土層だけでなく深層の地盤までもが崩壊土塊となる比較的規模の大きな崩壊現象です。

表層崩壊と比較して発生頻度は少ないですが、ひとたび起こると大きな被害を引き起こすことがあります。国土交通省により、深層崩壊について調査が行われ、結果がマップとして公表されています。また、深層崩壊の

推定頻度が特に高い地域を中心に、大規模崩壊の検知システムが整備されています。

■深層崩壊対策

H26 御嶽山噴火で国が実施したシミュレーション

年 マップ種類 内容

平成 22 年 深層崩壊推定頻度マップ 明治時代以降に豪雨又は融雪により発生した深層崩壊の事例により、過去に多く発生している地質及び地形の範囲を示したマップ

平成 24 年 深層崩壊跡地密度マップ 深層崩壊の推定頻度の特に高い地域を 5km メッシュごと集計し、深層崩壊の跡地の分布状況から全国的な深層崩壊の発生傾向を整理したマップ

平成 24 年~ 深層崩壊渓流レベル評価マップ 地質条件等が同質の一定区域における深層崩壊の相対的な危険度を示したマップ

深層崩壊推定頻度マップ深層崩壊渓流レベル評価マップ

渓流(小流域)レベル評価区域図における相対的に

「危険度の高い」渓流数313渓流(調査数6,588渓流)

22

(12)

大雨注意報 大雨警報(土砂災害)

土砂災害警戒情報

○○○○

砂防事業の取組

防災情報の提供

土砂災害警戒情報は、長野県と気象台が共同で発表する情報で、大雨により土砂災害のおそれが高まったときに発表します。市町村が避難勧告発令の判断基準としたり、住民が自主避難のための参考とすることを目的としています。

土砂災害警戒情報は、短期間の降雨の状況(60 分間積算雨量)と長期間の降雨の状態(土壌雨量指数)を指標として判断します。

土砂災害の発生のおそれが高い領域を区分する線をCL(土砂災害発生基準線)と呼び、過去の災害履歴等を考慮し、5km × 5km のメッシュごとに設定します。

雨の状態を時間ごとにプロットした線をスネークラインと呼び、1km × 1km のメッシュごとに作成します。

避難にかかる時間を考慮し、2 時間後までのスネークラインの予測が CL を超える時に土砂災害警戒情報を発表します。なお、土砂災害警戒情報の発表は市町村単位を基本としていますが、一部地域を分割しています。 スネークライン図

FAX 等で市町村へ通知します

■土砂災害警戒情報

土砂災害のおそれが高い領域

スネークライン

CL(土砂災害発生基準線)

23

3 砂防事業の取組

降雨の状況や土砂災害の危険度、土砂災害警戒情報等の発表状況などの防災情報をインターネット上で公開しています。長野県ホームページから「河川砂防情報ステーション」をご覧ください。

大雨・洪水・大雪の注意報と警報、土砂災害警戒情報、地震(震度4以上)の情報をメール配信しています。河川砂防情報ステーションより登録できます。

■長野県河川砂防情報ステーション http://www.sabo-nagano.jp/dps/

■防災情報メール

雨量局ごとの 60 分雨量や累積雨量が閲覧できます。 10 分ごと 1 時間先までの雨量予測と、1 時間ごと 6時間先までの雨量予測が閲覧できます。

現在から 3 時間先までの土砂災害の危険度が閲覧できます。

1km メッシュごとのスネークグラフが閲覧できます。

[email protected]上記アドレスへ空メールを送ると登録手続きが始まります。QR コードからも送信先アドレスが取得できます。

24

(13)

長和町南牧村

小諸市

小谷村

小川村

安曇野市

生坂村 千曲市

佐久市青木村

長野市

喬木村

砂防事業の取組

住民主導型警戒避難体制の構築

住民の皆さんが自ら地域の防災を考え、いざというときに自主避難できる体制づくりを支援しています。平成22 年度から、モデル地区を選定し、取組を行ってきました。

平成 26 年度からは、県や市町村職員がファシリテーターとなり、地区防災マップ作成事業などを活用し、多くの地区で取組を進めています。

防災講演会 住民懇談会 避難訓練土砂災害に関する知識を身につけます○警戒避難体制の必要性○避難の心構え○防災教育の事例  など

地域の災害特性を話し合い、独自の避難ルールを定め、防災マップをつくります。○地域の危険箇所を把握する○避難方法を考える○避難体制を住民に周知する

作成したマップを活用した避難訓練を行い、マップを検証します。

▶ ▶

平成 26 年度までの実施状況

●モデル地区 (県事業により群馬大学がファシリテー ターとなって実施したもの)●地区防災マップ支援事業等 (県や市町村職員がファシリテーターと なって実施したもの) 地区防災マップの作成例

25

利根川水系砂防事務所浅間山出張所

18,844

15,826

13,685

11,057

13,190

10,341 11,756 11,890

12,983

15,627

10,168 10,539

13,554

10,301 10,428

0

4,000

8,000

12,000

16,000

20,000

H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

百万円

3 砂防事業の取組

(14)直轄砂防事業

本県は明治の初期から内務省による直轄砂防工事が実施されています。本県における砂防工事の発祥は明治 13 年の木曽川支流 蘭

あららぎ

川です。つづいて信濃川支流の佐野川、浅川、岡田川が起工され、本流の河川改修と関連して荒廃の著しい水源地域における事業を推進するとともに、土砂災害から人命を守るため、総合的な土砂災害対策を図っています。

また、下伊那郡大鹿村・飯田市南信濃の両地区で全国でも最大級の規模の「天竜川上流直轄地すべり対策事業」が着手されています。

最近は、環境・景観に配慮した工法が取り入れられ、直轄事務所ごとに工夫を凝らした堰堤工、山腹工等が施工されています。

国土交通省松本砂防事務所 信濃川水系犀川上流の梓川・高瀬川・籠川・鹿島川 姫川水系の平川・松川・浦川・姫川下流・根知川等国土交通省湯沢砂防事務所 信濃川水系の中津川流域国土交通省天竜川上流河川事務所 天竜川水系の小渋川・三峰川・遠山川・太田切川 中田切川・与田切川・片桐松川・新宮川の各流域国土交通省多治見砂防国道事務所 木曽川水系の滑川・伊奈川・与川・蘭川等国土交通省富士川砂防事務所 富士川水系の釜無川流域国土交通省利根川水系砂防事務所 浅間山

■長野県で直轄砂防事業を 行っている砂防事務所

■直轄砂防事業費の推移

26

砂防事業の取組

信濃川上流水域・姫川水系

信濃川上流域の直轄砂防は、北アルプスの槍ヶ岳を源とし、奈川を合流して松本平に抜ける梓川流域と、同じく槍ヶ岳より大町ダムを経て篭川、鹿島川を合流し松本平に至る高瀬川流域の2流域があります。直轄砂防事業は、昭和 7 年に梓川筋で着手し、23 年には高瀬川の主要幹川を直轄編入し、

姫川は、青木湖の北から平川、松川、浦川等を合流しながら新潟県糸魚川市へ流下する河川です。ここは、ほぼ姫川に沿って糸魚川-静岡構造線が走っており地質は非常に脆弱で、浦川の大規模な崩壊に代表される多数の崩壊地そして地すべりで特徴づけられる我が国でも屈指の荒廃河川です。

○信濃川水系犀川上流域

○姫川水系 荒廃著しい焼岳

施工中の浦川下流第1号砂防堰堤

小赤沢砂防堰堤群

信濃川水系中津川流域

中津川中上流域は、苗場山・鳥甲山等の火山により広く火山噴出物で覆われ地質が非常に脆いことから、崩壊による土砂流出が多く、大正 13 年に発生した小赤沢の土石流災害では死者 13 名もの大災害が発生するなど古来より土砂災害の常襲地帯となっています。

このため昭和 27 年に直轄砂防事業に着手し、以来今日まで「湯沢砂防事務所」により奥信濃・秋山郷地区の砂防事業が進められています。この地域は「秘境秋山郷」と呼ばれ、豊かな自然環境と多くの温泉等の観光資源に恵まれており、全国的に広く知られているため、砂防事業の実施に当たっては、自然環境や山里景観との調和に配慮した砂防施設整備を進めています。 小赤沢第 22 号砂防堰堤

・「焼岳」の噴火に備えた減災対策の検討と情報基盤整備・「上高地」の河床上昇の原因究明のための土砂移動動態調査・「白骨温泉」保全のための「湯川上流砂防堰堤群」の推進・「境川里山砂防設備」「篭川床固工群」の推進など、地域や他機関と協働し安心安全のため砂防事業を進めています。

直轄砂防事業は、昭和 37 年より平川、松川、昭和 39年より浦川で事業に着手し、・平成7年7月豪雨災害のフォローアップとして葛葉 地区などの砂防設備の整備・浦川流域など重荒廃地域の重点的な整備・「猿倉砂防堰堤」の推進など自然環境に配慮しながら地域の安心安全のため砂防事業を進めています。

27

天竜川流域は、中央構造線をはじめとする多くの断層が走り、破砕・変成作用を受けた脆弱な地質構造と急峻な地形により、幾多の土砂災害を起こしてきました。

天竜川水系の直轄砂防事業は、昭和12年に小渋川に内務省名古屋土木出張所小渋川砂防工場が設置されたことにより始まり、昭和26年に三峰川、昭和34年に片桐松川を直轄砂防事業に編入しました。

昭和36年6月の伊那谷災害では、各所で山腹崩壊、土石流が発生、死者・行方不明者130名を出す大災害となり、中でも大鹿村大西山の大崩壊では一瞬にして42名の人命

を奪うという痛ましい災害が発生しました。

この災害を契機として、太田切川、中田切川、与田切川、新宮川、山室川、藤沢川、その後、昭和52年に遠山川を編入し、現在に至っています。

昭和63年からは、大鹿村入谷(にゅうや)地区・飯田市南信濃此田(このた)地区において、地すべり対策事業にも取り組んでいます。

天竜川流域の地域の安全・安心な社会を守るため、防災はもとより周辺の自然環境・景観・生態系に配慮した砂防事業を進めています。

天竜川水系

木曽川水系

木曽川砂防流域は、長野県木曽谷の木曽駒ヶ岳をはじめとする中央アルプスから恵那山に連なる木曽山脈にかけて、急峻な山地が連なり木曽川に向かって急傾斜地を形成しています。地質は、主に花崗岩及び石英斑岩からなり、特に花崗岩の風化が激しく断層の発達も大きいため、崩壊土砂の生産が活発です。このため、この流域では過去から大規模な土砂災害に見舞われており、平成26(2014)年7月にも木曽郡南木曽町梨子沢において、1名の尊い命が失われる土石流災害が発生しました。

多治見砂防国道事務所では、昭和7(1932)年の四ッ目川災害(中津川市)を契機に昭和12(1937)年から岐阜県側で中津川流域に直轄事業として着手し、昭和53(1978)年からは長野県側で滑川・伊奈川・与川・蘭川流域に着手しています。

現在では、長野県木曽郡上松町、南木曽町、大桑村、及び岐阜県中津川市において、地域の安全・安心のため、過去の土砂災害の再度災害防止として、砂防堰堤、渓流保全工などのハード対策と併せてCCTVカメラや光ケーブルなどのソフト対策を実施しています。

梶谷川 梶谷第4砂防えん堤(飯田市)昭和36年6月災害 小渋川上流(大鹿村)

前回とおなじ写真

3砂防事業の取組

3 砂防事業の取組

天竜川水系

木曽川水系

天竜川流域は、中央構造線をはじめとする多くの断層が走り、破砕・変成作用を受けた脆弱な地質構造と急峻な地形により、幾多の土砂災害を起こしてきました。

天竜川水系の直轄砂防事業は、昭和 12 年に小渋川に内務省名古屋土木出張所小渋川砂防工場が設置されたことにより始まり、昭和 26 年に三峰川、昭和 34 年に片桐松川を直轄砂防事業に編入しました。

昭和 36 年 6 月の伊那谷災害では、各所で山腹崩壊、土石流が発生、死者・行方不明者 130 名を出す大災害となり、中でも大鹿村大西山の大崩壊では一瞬にして 42 名の人命を奪うという痛ましい災害が発生しました。

この災害を契機として、太田切川、中田切川、与田切川、新宮川、山室川、藤沢川、その後、昭和 52 年に遠山川を編入し、現在に至っています。

昭和 63 年からは、大鹿村入谷(にゅうや)地区・飯田市南信濃此田(このた)地区において、地すべり対策事業にも取り組んでいます。

天竜川流域の地域の安全・安心な社会を守るため、防災はもとより周辺の自然環境・景観・生態系に配慮した砂防事業を進めています。

木曽川砂防流域は、長野県木曽谷の木曽駒ヶ岳をはじめとする中央アルプスから恵那山に連なる木曽山脈にかけて、急峻な山地が連なり木曽川に向かって急傾斜地を形成しています。地質は、主に花崗岩及び石英斑岩からなり、特に花崗岩の風化が激しく断層の発達も大きいため、崩壊土砂の生産が活発です。

このため、この流域では過去から大規模な土砂災害に見舞われており、平成 26(2014)年 7 月にも木曽郡南木曽町梨子沢において、1 名の尊い命が失われる土石流災害が発生しました。

多治見砂防国道事務所では、昭和 7(1932)年の四ッ目川災害(中津川市)を契機に昭和 12(1937)年から岐阜県側で中津川流域に直轄事業として着手し、昭和 53(1978)年からは長野県側で滑川・伊奈川・与川・蘭川流域に着手しています。

現在では、長野県木曽郡上松町、南木曽町、大桑村、及び岐阜県中津川市において、地域の安全・安心のため、過去の土砂災害の再度災害防止として、砂防堰堤、渓流保全工などのハード対策と併せて CCTV カメラや光ケーブルなどのソフト対策を実施しています。

昭和 36 年 6 月災害 小渋川上流(大鹿村)

滑川第 1 砂防堰堤(上松町)

梶谷川 梶谷第4砂防えん堤 ( 飯田市 )

平成26年梨子沢土石流(CCV 画像・土砂補足状況)

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砂防事業の取組

富士川水系

浅間山

富士川は南アルプスの鋸岳を水源に駿河湾に注ぐ急流河川で、上流域の地質は秩父古生層から成り、フォッサマグナの西側に位置し大小の断層が交差して岩には亀裂が多く、きわめて脆弱な地質構造のため土砂流出が著しい地域であり、何度も土砂災害に見舞われてきました。直轄砂防事業は、昭和7年「内務省東京土木事務所釜無川砂防工場」が設置され、釜無川上流域の事業が開始されました。以後、昭和34年の災害を契機として、富士川砂防事務所が設置され富士川水系の釜無川上流域、右支川及び早川において、人家等への直接的土砂災害防止、富士川の河床安定を図るための直轄砂防事業を実施しています。

浅間山は、有史以降たびたび噴火を繰り返し、天明 3 年(1783) の大噴火では、火砕流・泥流等の発生により、山麓や利根川上中流域に大きな被害をもたらしました。また、中規模噴火は、概ね 20 年間に1度程度発生し、最近では 2004 年、2009 年に噴火するなど、国内の火山の中でも活発な火山です。

浅間山周辺は、6 市町村約 20 万人が居住し、別荘やリゾート施設もあり、国道 (18,144,146 号 )、北陸新幹線、上信越自動車道等の重要な交通網が整備されています。このため、ひとたび浅間山が噴火すれば周辺地域が被害を受けることはもちろん、国内においても大きな影響が出ることが予想されます。

利根川水系砂防事務所においては、平成 24 年度より「火山噴火緊急減災対策」事業に着手しています。この事業は、浅間山の噴火の際に発生する可能性のある融雪型火山泥流と噴火後の土石流を対象として、平常時対策(砂防堰堤等の基本対策施設の建設、資機材の備蓄及び緊急対策施設用地取得等を実施)と緊急時対策(火山活動、地域特性等を考慮して迅速かつ効果的に調査・工事を実施)の 2 本柱で行います。

現在は、緊急時対策で用いる備蓄用コンクリートブロックの製作を行うと共に、基本対策施設である砂防堰堤建設に向け、鋭意作業を続けているところです。

また、事業区域の多くが上信越高原国立公園内であるため、自然環境 ・ 景観 ・ 生態系にも配慮し、事業を進めていきます。

昭和57年災害 武智川(富士見町) 武智川下流床固群

コンクリートブロックの製作・備蓄状況

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累加雨量

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(mm/h)

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累加雨量

最大時間雨量 22mm

連続雨量 142mm

H25.9.16 14時30分頃

土石流発生

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累加雨量

(mm/h)

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(mm/h)

時間雨量

累加雨量

最大時間雨量 57mm

連続雨量 116mm

H26.7.9 17時40分頃

土石流発生

木曽川→

南木曽小学校

読書保育園

国道19号JR中央本線

梨子沢第1砂防堰堤

梨子沢第2砂防堰堤

梨子沢砂防堰堤

4 土砂災害から地域を守る砂防

栄村 中条川

南木曽町 梨子沢

平成 25 年 9 月16 日の台風第 18 号に伴う豪雨により発生した土石流を砂防堰堤が受け止め、下流の国道、鉄道や人家等を土砂災害から守りました。

平成 26 年7月 9 日の豪雨により発生した土石流を砂防堰堤が受け止め、下流の被害を軽減しました。

梨子沢砂防堰堤(高さ 20.0m)(長野県施工)

梨子沢第 2 砂防堰堤(J 型 高さ 14.5m)(国土交通省施工)

梨子沢第 1 砂防堰堤(格子型 高さ 12.5m)(国土交通省施工)

砂防堰堤(格子型) 土石流捕捉後(捕捉量 21,000㎥)

土石流発生時の状況(H25.9.16)

砂防堰堤(格子型 高さ 11.5m) (平成 25 年 2 月完成)

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土砂災害から地域を守る砂防

岡谷市 ヒライシ沢

長野市信更町 東の沢

小谷村 カクレ沢

平成 18 年7月の豪雨により発生した土石流を平成 17 年 3 月に完成した砂防堰堤が受け止め、下流の病院や老人ホーム、国道 20 号等への被害を防ぎました。

平成 22 年7月の豪雨により発生した土石流を工事施工中の砂防堰堤が受け止め、下流の人家、県道等への被害を防ぎました。

平成 26 年 11 月の神城断層地震により発生した地すべりによる土塊を砂防堰堤が受け止め、下流の県道等への被害を防ぎました。

間下砂防堰堤H=9.0m L=59.0m 平成 17 年 3 月完成

東の沢砂防堰堤H=14.5m L=39.0m平成 22 年 9 月完成

間下砂防堰堤

ヒライシ沢

国道20号

老人ホーム病院

東の沢

2004.6.07 2014.11.23

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(1)

5 地域の早期復興のための砂防

土石流災害への対応

平成 21 年 8 月 8 日集中豪雨 唐沢川砂防堰堤

平成 22 年 7 月 2 日梅雨前線豪雨 中之組沢砂防堰堤

平成 22 年 7 月 14 日梅雨前線豪雨 梅の久保沢砂防堰堤

平成 25 年 9 月 16 日台風第 18 号 栗代川 1 号砂防堰堤

諏訪市 唐沢川 1 号 H=10.5mL=49.0m 平成 23 年 3 月完成2 号 H=10.0mL=61.0m 平成 23 年 2 月完成

青木村 中之組沢 H=10.0m L=59.0m 平成 24 年 5 月完成

飯田市 梅の久保沢 H=10.0m L=38.0m平成 24 年9 月完成

阿智村 栗代川 H=8.5m L=87.0m 平成 26 年 3 月完成

2 号砂防堰堤

1 号砂防堰堤

土石流により被害を受けた地域で 2 次災害を防止し、早期復興を支援するため砂防堰堤等を造っています。

32

(2)

地域の早期復興のための砂防

地すべり災害への対応

平成 22 年 7 月 15 日に安曇野市高萩地籍において、延長約70m、末端部幅約 100 mの地すべりが発生しました。国道 143 号に土砂が滑落すると共に、斜面上部に引張亀裂が発生したため災害関連緊急地すべり対策事業を実施しました。

安曇野市 高萩

工事概要    法枠工  A=4,100m2、アンカー工 N=156 本、鉄筋挿入工Σ L= 2,380m        横ボーリング工 3群 Σ L=390m

地すべり発生状況

伸縮計による監視対策実施後

33

5 地域の早期復興のための砂防

小谷村 池原平成 25 年4月の融雪の影響により地すべりが発生しました。下流に位置するJR大糸線、一般県道、一級河川姫川へ直接被害を及ぼす危険があり緊急的な地すべり対策工事

が必要なことから、災害関連緊急地すべり対策事業を実施しました。

工事概要   横ボーリング工 4群 Σ L=516 m、アンカー工 N=40 本、       吹付法枠工 A=360㎡

上空から撮影した池原地域の状況

対策工:横ボーリング工、法枠工 対策工:アンカー工

対策実施後

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(3)

(4)

地域の早期復興のための砂防

がけ崩れ発生状況 対策実施後

対策実施後

がけ崩れ災害への対応

雪崩災害への対応

平成 18 年7月の梅雨前線豪雨により斜面が崩壊し、1名が亡くなり、人家全壊 2 戸、半壊 1 戸の被害が発生しました。

 斜面崩壊が拡大し、がけ下の集落の被害が拡大する危険があるため緊急的な急傾斜地崩壊対策工事が必要なことから、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業を実施しました。

平成 22 年 2 月に大雪により雪崩が発生し、ホテル1棟、ホテル前に駐車していた観光バス等が被害を受けました。

平成 22 年度から対策工として、雪崩予防柵の設置を行い、平成26 年度に完了しました。

辰野町 小野中村

山ノ内町 硯川

工事概要  吹付法枠工 A=870㎡  集水ボーリング工 L=120㎡  植生ネット工 A=1500㎡      明暗渠工 L=70m  暗渠工 L=50m  重力式擁壁工 L=68m

対策前雪崩発生状況雪崩によりバスが埋まりました

35

(1)

渓流数 箇所数 面積 [ha]

砂防指定地 1,942 2,798 54,965.96

地すべり防止区域 - 314 9512.43

急傾斜地崩壊危険区域 - 747 1,059.36

計 3,859 65,537.75

Ⅰ※1 Ⅱ Ⅲ 計

土石流危険渓流平成 15 年調査

4,027 1,093 792 5,912

地すべり危険箇所平成 9 年調査

- - - 1,241

急傾斜地崩壊危険箇所平成 15 年調査

3,197 3,784 1,887 8,868

雪崩危険箇所 ※2平成 15 年調査

1,292 548 - 1,840

6 施設等の維持管理と様々な連携

土砂災害を防止するため、一定の行為を制限する区域として、法律により、砂防指定地、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域を指定しています。指定地では、対策工事を実施するほか、標識、標柱を設置し、管理に努めています。

砂災害が発生するおそれのある箇所を調査し、土石流危険渓流、地すべり危険箇所、急傾斜地崩壊危険箇所、雪崩危険箇所として公表しています。関係機関と協力してパトロールを実施しています。

■砂防指定地等

■危険箇所

■土石流危険渓流土石流発生の危険性がある渓流

■地すべり危険箇所地すべりが発生しているあるいは地すべりが発生するおそれがある箇所

■急傾斜地崩壊危険箇所斜面の角度が 30 度以上かつ高さ5m 以上の箇所

指定地及び危険箇所

※1 土石流危険渓流等のランク分け「Ⅰ」:人家 5 戸以上等の箇所「Ⅱ」:人家 1 ~ 4 戸の箇所「Ⅲ」:人家はないが今後新規の住宅立地等が見込まれる箇所

※ 2 雪崩危険箇所豪雪地帯指定市町村の中で、斜面の角度 15 度以上、がけ高10m 以上の人家等に被害を与えるおそれのある箇所

(平成27年3月末)

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(2)

完成年(西暦)※対象データ数:点検完了データ※有効データ数:完成年が不明のものを除く

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2007

2009

2011

2013

2015

単年

度ごとの完

成施設

数(基

完成施設数

累計施設数

平成昭和

施設等の維持管理と様々な連携

長寿命化計画

砂防関係施設は、土砂災害を防ぎ、地域の安全安心に大きく寄与している一方で、そのストックは年々増加しています。そのため、既存施設の機能低下を防止して、所定の機能・性能を長期にわたり確保し、かつトータルコストの縮減と予算の平準化を図るよう取り組みます。

■長寿命化計画に関する国の動向◇平成 25 年 2 月「砂防関係事業に係る施設の緊急点検の実施について」(砂防部保全課通知)◇平成 26 年 5 月「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」が決定◇平成 26 年 6 月「砂防関係施設の長寿命化計画策定ガイドライン(案)」(砂防部保全課通知)◇平成 26 年 9 月「砂防関係施設点検要領(案)」(砂防部保全課通知)◇平成 27 年 2 月「砂防関係施設の点検について」(砂防部保全課通知)

■長野県の取り組み◇平成 25 年度に緊急点検実施要領(案)に基づく緊急点検を実施 緊急点検施設数 ・砂防設備(砂防堰堤等) 約 18,500 施設(砂防堰堤 3,330 基他) ・地すべり防止施設 約 5,600 施設 ・急傾斜地崩壊防止施設 約 2,700 施設 

施設の劣化・損傷状況の例

砂防設備の損傷砂防堰堤の基礎部の異常洗掘による施設安定性の低下

地すべり防止施設の劣化排水機能の低下、集水井の主要部材の劣化 斜面保護機能及び施設安定性の低下

急傾斜地崩壊防止施設の劣化

①現在、完成後50年以上経過している砂防堰堤 490基(全体の約20%)②10年後に完成後50年以上となる砂防堰堤  1,016基(全体の約40%)③20年後に完成後50年以上となる砂防堰堤  1,435基(全体の約60%)

砂防堰堤基礎部の洗掘の進行

集水ボーリングの目詰り

全体的なライナープレートの腐食 擁壁前面にクラック

◇砂防関係施設管理計画の策定・ 災害時に砂防関係施設が適切に機能を発揮

できるよう、緊急点検結果に基づいて砂防関係施設管理計画(案)及び点検要領(案)を定めました。

・災害時等に速やかな点検を行うために、GIS 機能を有する施設管理データベースを構築しました。

◇長寿命化計画の策定・ 砂防関係施設管理計画(案)と、砂防関係施

設の長寿命化計画策定ガイドライン(案)に基づき、砂防関係施設長寿命化計画を策定するとともに、適切な維持管理を実施します。

砂防堰堤の年代別整備状況

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(3)

6 施設等の維持管理と様々な連携

年度 表彰者

平成 24 年度牛伏・鉢伏友の会薬師沢砂防惣代長野県砂防ボランティア協会

平成 25 年度千曲市桑原振興会長野市信更地区住民自治協議会

地域との協働

長野県が管理する砂防指定地等において、草刈りや土砂撤去等の日常の維持管理活動にご協力頂いている団体の活動資金を支援しています。平成 27 年 3 月末時点で、70 地区 67 団体と確認書を締結しています。

平成 24 年度より、土砂災害防止功労知事表彰を創設し、土砂災害防止に功績のあった個人・団体を表彰しています。

■砂防等施設維持管理ボランティア活動支援事業

■表彰

薬師沢(小川村)では、明治時代に築かれた砂防堰堤を地域で大切に守り伝えています。「砂防惣代」と呼ばれる代表者を中心とした維持管理体制は、堰堤築造当時から 100 年以上続いています。

牛伏川(松本市)では、地域の有志の皆様により、草刈りや清掃等の活動が行われています。また、土砂に埋没した施設の発掘作業により、築造当時の姿の再現も進んでいます。

薬師沢での活動 牛伏川での活動

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(4)

施設等の維持管理と様々な連携

長野県砂防ボランティア協会

長野県砂防ボランティア協会は、砂防の知識を有する行政 OB、地質コンサルタント、地すべり学会員などで構成される土砂災害に関する専門家のボランティア団体です。阪神・淡路大震災を契機に、平成 8 年 11 月 19 日に設立され、平成 26 年 11 月末時点で 244 名が会員として登録しています。主に、砂防に関する啓発活動や土砂災害防止施設の点検・維持管理・パトロールなどの活動を行っています。豪雨や地震による災害の際には、土砂災害危険箇所の緊急パトロールも行っており、平成 26 年 7 月の南木曽町土石流災害や 11 月の長野県神城断層地震の際も緊急パトロールを行いました。

平成 21 年 1 月 14 日には、長野県知事と「土砂災害時等における緊急応援に関する協定」を締結しました。平成 24 年 6 月には国土交通大臣より土砂災害防止功労者表彰、11 月には、長野県知事より長野県土砂災害防止活動知事表彰を受賞しました。また、同年、長崎県治水砂防ボランティア協会と姉妹協会協定を締結し、広範囲な協力体制や連携を強化し土砂災害防止に取り組んでいます。

活動内容○土砂災害に関連する変状の発見及び行政への連絡○土砂災害に関する知識の一般の方への普及、啓発活動○土砂災害時の被災者の援助活動○その他、土砂災害防止に役立つ活動全般

危険箇所点検パトロール 平成 26 年 11 月長野県神城断層地震における緊急点検

薬師沢維持管理活動 啓発活動(地附山の地すべり学習おやこ大会)

39

(5)

6 施設等の維持管理と様々な連携

No 水系名 河川名 砂防堰堤名 堰堤所在地

最大使用水量

(㎥ /s)

有効落差(m)

発電力(kw)

発電開始年月日

堰堤管理者名(発電所管理者名)

発電所名(利用先)

1 信濃川 普通樋ノ口沢

浅刈砂防堰堤

長野市(大岡) 0.1 13.7 7 H20.4.1 長野県

(長野市)

大岡浅刈小水力発電所

(大岡小中学校に供給し電力需要の 30%を供給)

2 信濃川 1 級馬曲川

大明神砂防堰堤

下高井郡木島平村 0.22 65.0 95 S63.10 長野県

(木島平村)

馬曲川発電所(馬曲温泉に供給して温泉施設に利用)

3 天竜川1 級小 河 内 沢川

御所平第2砂防堰堤

下伊那郡大鹿村 4.5 266.4 10,000 H2.5.1

国土交通省天竜川上流河川事務所

(長野県企業局)

大鹿発電所(中部電力に売電)

4 木曽川 普通北股沢

北股沢第4号床固工

木曽郡上松町 0.1 10.5 6 H13.9.20

国土交通省多治見砂防国道事務所

(―〃―)

滑川砂防公園ミニ水力発電所

(滑川砂防公園に供給)

5 信濃川 1 級鳥川

須砂渡砂防堰堤 安曇野市 2.2 14.6 230 H22.9.27 長野県

(中部電力株式会社)

須佐度水力発電所

(売電)

小水力発電は、太陽光発電や風力発電等と並んで、CO2を排出しないクリーンエネルギーとして注目されています。既設の砂防設備を活用した小水力発電は、既存ストックの有効活用や中山間地の電力供給といった意義もあります。

小水力発電事業の実施にあたっては、適地選定から事業の実施まで幅広い技術や経営、制度上の知見、経験が必要となることから、きめ細やかな支援が求められます。平成 25 年に関係部局※による「小水力発電キャラバン隊」を設置し、県内各地で合同相談会を開催しています。

※環境エネルギー課、農地整備課、企業局、土地改良事業団体連合会、砂防課

○浅刈砂防堰堤長野市(大岡)の浅刈砂防堰堤では、既存の農業用取水

を利用して発電を行っています。電気は、大岡小・中学校へ供給し、環境教育にも役立てられています。

○高井砂防堰堤高山村の高井砂防堰堤では、平成 23 年に松川小水力発

電開発検討委員会を設置し、住民、有識者、村、県の関係者により発電の実効性、発電所の運営方法などを検討してきました。平成 27 年の発電開始に向けて工事を行っています。

長野県内の砂防堰堤を利用した発電所

小水力発電

大岡浅刈小水力発電所

発電所↓

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7 歴史的砂防施設

長野県では、明治初期から砂防工事が行われてきました。当時造られた砂防施設は、100 年以上経った今も現役で地域の安全を守りつづけています。また、その一部は、大切に維持管理され、文化財となっています。

牛伏川では明治 14 年から砂防工事が実施され、多くの堰堤や水路が造られました。階段状の石張り水路は大正5年から 7 年にかけて県工事として実施したもので、フランスのサニエル渓を参考に設計されたと言われています。

佐野川流域では明治 14 年から信濃川下流対策として内務省直轄による砂防工事が行われ、100 基以上の堰堤が造られました。荏沢川には現在4基の石積堰堤が現存しており、地元有志により草刈りや清掃が行われています。

薬師沢では、たび重なる地すべりから棚田を守るため、地元の強い要望により明治19年から工事が行われ、多くの石張水路や堰堤が造られました。「砂防惣代」は当時つくられた制度で、砂防工事の調整等を実施していました。現在は維持管理を担っています。

昭和 19 年に完成した日本で初めてのアーチ式砂防堰堤です。

上高地の玄関口に位置し、流下する膨大な土砂を調節しています。

小渋川流域では、昭和8年から長野県が、昭和12 年から直轄により砂防工事を実施しています。

上蔵堰堤は、昭和 28年に完成した、天竜川流域唯一のアーチ式砂防堰堤です。

麻績川流域では、明治 20 年から砂防工事が行われ、石積堰堤等が造られました。当時記された「農民日記

(歳中日記帳)」に、工事が始まった様子や、地元の関係者が工事に関わったとみられる記述が残されています。

平成 24 年 重要文化財

平成 21 年 登録有形文化財

平成 21 年登録有形文化財

平成 14 年登録有形文化財

平成 21 年 登録有形文化財

平成 26 年登録有形文化財

牛伏川階段工(松本市)

荏いざわ

沢川石堰堤(千曲市)

薬師沢石張水路工(小川村)

釜ヶ淵堰堤(松本市) 上わ ぞ

蔵堰堤(大鹿村)

芦澤石積堰堤(麻績村)

[松本砂防事務所] [天竜川上流河川事務所]

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7 歴史的砂防施設

明治 17 年から 19 年にかけて石張水路が整備されました。この完成を記念して「山布施村砂防工事碑」が建てられ、碑文には当時砂防を重要視していたことが標されています。

上流の大規模崩落により天井川となっていたところを、昭和 61 年からの工事で切り下げました。周辺は砂防学習公園として整備され、旧水路は園路として活用されています。

釜無川本川で最初に着手された重力式コンクリート砂防堰堤です。釜無川では最大規模の堰堤です。

明治時代に、夜間瀬川の氾濫により上河原温泉と呼ばれた繁華街が流失しました。地元の強い要望に応え、明治 37 年に横湯川上流で直轄砂防工事が開始されました。

長年埋没していましたが、昭和 62 年に発掘されました。明治 13 年頃、オランダ人技師デレーケの指導で施工され、県内で最も古い砂防工事と言われています。

平成 21 年 登録有形文化財

山布施沢(長野市)

蜂ヶ沢(安曇野市)

釜無川唐沢砂防堰堤(山梨県北杜市 /富士見町)

夜間瀬川(山ノ内町)

蘭あららぎ

川支大おおがけ

崖砂防堰堤(南木曽町)

夜間瀬川

牛伏川

梓川

小渋川

(上藏)

(釜ケ淵)

荏沢川

芦澤川

薬師沢

蘭川

蜂ヶ沢

山布施沢

釜無川

位置図

重要文化財

登録有形文化財

その他主な歴史的砂防施設[富士川砂防事務所]

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8 地域づくりを支える砂防

「水と緑の砂防モデル事業」により、景観に配慮した流路工、床固工を整備しました。両岸にはラベンダー園となっており、観光客が訪れています。

「特定利用者面保全事業」により、地すべり対策と、斜面を利用した公園整備を一体的に実施しました。スカイスポーツ公園は、パラグライダーを楽しむ多くの人で賑わいます。

穂高温泉郷の中心部に位置する富士尾沢川は、「ふるさと砂防モデル事業」により整備され、訪れた人々の憩いの場となっています。

角間川は、過去に土砂災害に繰り返し見舞われ、甚大な被害に遭ってきました。「セイフティ・コミュニティモデル事業」により、砂防工事に伴う残土等を利用し、宅地開発・公園整備等を行い、土石流対策の万全を期するとともに地域の開発を行いました。

昭和 60 年 7 月 26 日、地附山地すべりが発生、老人ホームのお年寄り 26 名が犠牲になりました。

集水井や杭工などの対策工事が行われ、地すべり跡地は公園として開放されています。園内にある地附山観測センターは見学も可能です。

茶臼山地すべりは、昭和の初めに、年間 10m 以上の滑動をしていました。当時、地すべり対策事業はなく、砂防事業により堰堤等の様々な対策工事が試みられました。跡地には恐竜公園、植物園などが整備され、多くの人が訪れる場となっています。

八代沢(池田町) 大倉(生坂村)

富士尾沢川(安曇野市) 角間川(諏訪市)

地附山(長野市) 茶臼山(長野市)

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9 砂防の沿革

明治5.6年 ヨハネス・デレーケ氏らによって淀川、木曽川、信濃川等の改修計画調査立案明治13年 オランダ人技師の指導により南木曽町蘭川で工事実施

明治14年~ 佐野川、浅川、岡田川、蜂ヶ沢、山布施沢、牛伏川、泥沢等で工事実施内務省直轄砂防事業で犀川、土尻川沿いで地すべり防止工事

明治17年 茶臼山地すべり発生

明治19年 内務省第三区土木監督署設置内務省直轄砂防事業で小川村富吉地すべり防止工事

明治30年 砂防法制定

明治31年 補助事業で牛伏川に本県初めての県営砂防工事茶臼山、犀川、土尻川等に補助砂防事業として地すべり防止工事

明治37年 夜間瀬川に石積堰堤施工明治38年 蜂ヶ沢他11渓流で第1期砂防工事竣工。第三区土木監督署が新潟土木出張所に改称明治44年 稗田山大崩壊大正7年 内務省新潟土木出張所の管下で各地に砂防工事が設置される

昭和7年

全国的に実施された農村匡救事業により、砂防事業費が大幅に伸びる内務省新潟土木出張所信濃川水系砂防事務所設置赤木正雄博士の計画による夜間瀬川の流路工実施夜間瀬川砂防事務所設置

昭和9年 長野県治水砂防協会発足昭和11年~ 梓川に赤木博士によるわが国初のアーチ堰堤建設(釜ヶ淵堰堤)

昭和12年 内務省名古屋土木出張所小渋川水系砂防工場設置国において地すべり対策費が予算計上

昭和14年 砂防課が河川課から独立、犀川砂防事務所、千曲川砂防事務所、鹿塩川砂防事務所設置昭和17年 土尻川砂防事務所、姫川砂防事務所設置昭和21年 茶臼山等に地すべり発生

昭和22年 飯田市に天竜川工事事務所設置新潟、富山、長野県の「三県地すべり対策協議会」を結成

昭和23年 「三県地すべり対策協議会」は「全国地すべり対策協議会」に発展昭和27年 14県において補助地すべり対策事業開始(茶臼山等)昭和33年 「地すべり等防止法」建設農林両省提案により制定昭和35年 治山・治水緊急措置法が制定。第1次5箇年計画樹立昭和36年 伊那谷梅雨前線豪雨の大災害(6月)

昭和39年 信濃川水系砂防事務所を松本砂防工事事務所に改称昭和天皇、茶臼山御視察

昭和40年 松代群発地震発生(8月)昭和41年 天竜川工事事務所を天竜川上流工事事務所に改称

昭和42年 大型砂防堰堤調査建設に着手建設省は急傾斜地崩壊対策事業を補助事業として開始

昭和43年 山ノ内町星川で急傾斜地崩壊対策事業を実施昭和44年 「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」制定昭和52年 木曽川水系滑川、与川、伊奈川、蘭川で直轄事業実施昭和53年 天竜川水系遠山川流域で直轄事業実施

昭和56年砂防事業100年記念長野県大会開催(7月)台風15号により須坂市宇原川で大規模な土石流発生(9月)砂防激甚災害対策特別緊急事業により6基の堰堤建設

昭和59年

長野県西部地震発生、死者行方不明者29名、御嶽山腹大崩壊・松越地区の崩壊等土砂災害多発(9月)砂防激甚災害対策特別緊急事業により10基の堰堤建設地すべり激甚対策特別緊急事業を王滝村3地区で実施災害復旧事業で地すべり防止施設・急傾斜地崩壊防止施設も対象となる(清水山地すべり施設等採択される)

昭和60年雪崩対策事業を補助事業として開始長野市地附山で地すべり発生、死者26名(7月)災害関連緊急地すべり・地すべり激甚災害対策特別緊急事業を実施

昭和61年 総合土石流対策モデル事業で王滝村に雨量観測局等土石流監視施設を設置、警戒避難体制を確立長野市茶臼山地すべり対策(保全整備)事業実施

昭和62年 「セイフティ・コミュニティモデル事業」を諏訪市角間川で実施飯山市、白馬村で補助雪崩対策事業実施

年  次 記      事

黒字 県のできごと  青字 国のできごと  赤字 災害

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砂防の沿革

昭和63年

「水と緑の砂防モデル事業」を富士見町立場川等で実施「緑の砂防ゾーン創出事業」を白馬村犬川等で実施「土石流危険渓流総合整備事業」を姫川砂防事務所で実施「地すべり監視モデル事業」を長野市御所平で実施直轄地すべり対策事業大鹿村入谷、南信濃村此田地区で実施

平成元年

「火山対策砂防事業」を諏訪市角間川等で実施「総合土石流対策モデル事業」を長野地区で実施「砂防学習ゾーンモデル事業」を松本市牛伏川で実施「避難関連急傾斜地崩壊対策事業」を松川町松川で実施「雪対策砂防事業」を栄村橋場川で実施犀川砂防事務所発足50周年記念式典開催(10月)

平成2年

「流域保全砂防事業」を木曽町児野沢で実施「砂防ダム機能増進事業」を小谷村濁沢で実施「ふるさと砂防モデル事業」を富士尾沢川で実施「急傾斜地崩壊施設緊急改築事業」を飯田市水の手で実施「総合雪崩対策モデル事業」を小谷村月岡で実施長野県砂防課発足50周年記念式典開催(11月)

平成3年「県単地すべり防止施設修繕事業」創設「うるおいの斜面整備事業」南木曽町妻篭宿で実施「県単急傾斜地崩壊防止施設修繕事業」創設

平成4年

「火山噴火警戒避難対策事業」創設「火山噴火警戒避難対策事業」を浅間山・御嶽山で実施「特定利用斜面緊急保全事業」を生坂村大倉で実施「特定地下水関連地すべり対策事業」を池田町天崎で実施「地すべり地域総合対策事業」を中条村日下野で実施「緑の斜面保全整備事業」を長野市狐池で実施「わがまちの斜面整備事業」を喬木村寺の前で実施姫川砂防事務所発足50周年記念式典開催(10月)白馬村で雪崩防災週間シンポジウム開催(12月)

平成5年

「水と緑豊かな渓流砂防事業」創設「ふるさと砂防事業」創設土尻川砂防事務所発足50周年記念式典開催(1月)栄村青倉地区で県内初の雪崩防止策を設置

平成6年 小谷村清水山で地すべり発生

平成7年

「ふるさと砂防事業」を上田市三郎川で実施「ふれあい斜面整備事業」伊那市沢で実施「わがまちの斜面構想策定事業」に長野市等認定梅雨前線豪雨災害により県北部一帯に激甚な災害をうける(7月)災害関連緊急砂防事業を小谷村等の45渓流で実施砂防激甚災害対策特別緊急事業を12渓流で実施災害関連緊急地すべり対策・急傾斜地崩壊対策事業を小川村等37箇所で実施長野県治水砂防協会設立60周年式典開催

平成8年「情報基盤緊急整備事業」創設長野県砂防ボランティア協会設立(11月)小谷村・糸魚川市境の蒲原沢で土石流発生死者14名(12月)

平成9年新潟、宮城、長野の「3県5砂防事務所サミット」小谷村で開催「地震と土砂災害シンポジウム」長野市で開催(9月)都市山麓グリーンベルト整備構想を岡谷、諏訪、下諏訪で開始

平成10年

「砂防渓畔林増進事業」を信濃町鳥居川で実施長野オリンピック冬季競技大会開催(2月)長野パラリンピック冬季競技大会開催(3月)白馬村倉下で地すべり発生(3月)南信濃村須沢で崩壊性地すべり発生(10月)砂防学会シンポジウムを長野市で開催(10月)

平成11年「災害弱者関連施設に関わる調査および対策事業の強化」土砂災害の防止に関する郵便局との基本協定を6町村で締結長野市下石川で地すべり発生(9月)

平成12年 秋雨により下伊那郡を中心に各地で土砂災害多発阿智村井ノ洞、根羽村井戸入沢等で土砂災害

平成13年土砂災害防止法施行(4月)基礎調査開始白骨で県内初の災害関連雪崩対策事業が採択される

年  次 記      事

45

9 砂防の沿革

平成14年

牛伏川階段工が有形文化財に登録(8月)釜ヶ淵堰堤が有形文化財に登録(8月)インタープリベント2002が松本市等で開催(8月)降雨情報等をリアルタイムで配信する「砂防情報ステーション」の運用開始(4月)

平成15年砂防指定地管理条例施行(4月)濁沢で概成堰堤のスリット化を施工飯島町で土砂災害相互通報システム完成

平成16年

土砂災害防止法区域指定1号(12月 白馬村)台風23号により県下全域に被害を受ける浅間山が中噴火濁沢でワイヤーネット式砂防堰堤を施工「信州・長野県における土砂災害対策のあり方」を発表

平成17年「総合流域防災事業」創設防災メールの配信を開始(4月)長野県治水砂防協会設立70周年記念式典開催(8月)

平成18年白馬村で雪崩防災シンポジウム開催(1月)第1回土砂災害に対する全国統一防災訓練実施(6月)豪雨により県中部(岡谷市、辰野街、諏訪市など)に激甚な災害を受ける 土砂災害による死者12名(7月)

平成19年

御嶽山が小噴火「土砂災害を知り、減災に取り組む」シンポジウムを岡谷市で開催(5月)「土砂災害講習会」を長野市で開催(6月)土砂災害警戒情報の運用を開始(6月)「地震による土砂災害の教訓を継承し、現代に活かす~善光寺地震から160年~」シンポジウムを長野市で開催(9月)

平成20年 「第26回土砂災害防止推進の集い(全国大会)を松本市で開催(6月)

平成21年

荏沢川石堰堤が有形文化財に登録(1月)薬師沢石張水路工が有形文化財に登録(1月)釜無川唐沢堰堤が有形文化財に登録(2月)小渋川上蔵堰堤が有形文化財に登録(4月)浅間山が小規模噴火(2月)「土砂災害のおそれのある災害時要援護者関連施設に関わる調査および土砂災害対策の推進」長野県砂防ボランティア協会と災害協定締結

平成22年

社会資本整備交付金創設砂防設備等緊急改築事業創設池田町相道寺で地すべり発生(4月)「砂防学会通常総会並びに研究発表会(長野大会)を長野市で開催(5月)局地的豪雨により長野市、飯田市、青木村などで土砂災害多発地附山地すべり25年行事開催(日本地すべり学会中部支部と共催)地附山親子観察会の開催を開始(日本地すべり学会中部支部と共催)住民主導型警戒避難体制構築の取組を開始(佐久市苦水地区)

平成23年

地域自主戦略交付金創設長野県北部地震発生(最大震度6強)(3月)栄村中条川で斜面崩壊発生土砂災害防止法改正(国による緊急調査の実施が追加)伊那谷36災害50年シンポジウム開催(天竜川上流河川事務所との共催)

平成24年

宇原川災害30年座談会を開催「河川砂防情報ステーション」の運用開始浅間山直轄火山砂防事業に新規着手(利根川水系砂防事務所浅間山出張所開設)牛伏川階段工が重要文化財に指定される(7月)長野県土砂災害防止功労者表制度の創設防災遺産シンポジウム「重要文化財牛伏川階段工」を開催

平成25年

長野県総合5か年計画[しあわせ信州創造プラン]策定防災・安全交付金創設急傾斜地崩壊防止施設緊急改築事業創設小谷村池原地区で地すべり災害防災遺産シンポジウム「芦澤石積堰堤」を開催

平成26年

芦澤石積堰堤が有形文化財に登録(10月)南木曽町梨子沢で土石流災害(死者1名)(7月)御嶽山噴火(戦後最大の火山災害)(9月)神城断層地震発生(最大震度6弱)(11月)土砂災害防止法改正(土砂災害警戒情報を法律に明記)

平成27年 小川村、小谷村で平成7年豪雨災害20年シンポジウム開催(7月)長野県治水砂防協会設立80周年記念式典開催(8月)

年  次 記      事

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10 組織

都市・まちづくり課建築住宅課

(計画調査課)(用地課)(関連事業課)

流 域 下 水 道 事 務 所

平成27年4月1日

公営住宅室宅地住宅相談所

長野県建設部砂防課〒 380-8570長野市大字南長野字幅下 692-2t e l:026-235-7316mail:[email protected]平成 27 年 8 月発行

表紙の写真  薬師沢(小川村)昭和10年撮影裏表紙の写真 地附山の昆虫かんさつと地すべり学習       おやこ大会(長野市)平成27年7月