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連続プロセスとバッチプロセス 4
バッチプロセス連続プロセス
原料の供給,加工,排出が別々に起きる。(工程例)攪拌造粒,流動層造粒,混合
原料の供給,加工,排出が同時的に起きる。(工程例)乾式造粒,打錠,カプセル充てん
Time-based scale-up Volume-based scale-up
工程ごとの比較 5
供給 造粒・乾燥 混合 打錠・FC
定量供給機
規定量秤量乾燥後中間体として取り出し
乾燥後取り出さずに混合工程へ
混合後中間体として取り出し
混合後取り出さずに打錠ホッパーへ
打錠は連続FCはバッチ製造
バッチ生産
連続生産
打錠は連続FCはバッチ or 連続
6
1.製剤開発・技術移管の効率化 早い治験薬供給
処方プロセス設計=生産立ち上げ
S-up起因の品質・安定性変化最小化
=安定性評価期間短縮
効率的な工程最適化検討
4.コスト削減 少ない設置面積
少ない投資コスト
(初期投資は必要)
省要員
省在庫
省原薬使用量(40%以下)
3.品質 工程理解の推進(QbD)
→工程の早期完成/堅牢化
PATによるリアルタイム品質管理
逸脱品の排除による工程の安定化
開発時と生産時のデータ比較が容易
(スケールバイアス無し)
2.フレキシビリティ 柔軟なバッチサイズ
柔軟な物量対応
連続生産の利点
青: 開発中ベネフィット, 黒: 商用生産時ベネフィット
連続生産システム構築におけるポイント 7
バッチプロセスを連続プロセスへ
Flow
Plug
Integration
バッチプロセスを小バッチ自動化プロセスへ
次工程へ自動的につなぎ,全体を統合し,品質を保証
8
小バッチ自動化流動層乾燥
小バッチ自動化リボン混合
バッチ生産ライン
流動層造粒
コンテナ混合
ロータリー打錠
マニュアル秤量 定量供給
コーミル整粒
流動層乾燥
連続湿式造粒(二軸造粒)
コーミル整粒
ロータリー打錠
連続生産ラインFlow化
Integration
Flow化
Integration
Plug化
Integration
Integration
Plug化
Integration
PAT
PAT
PAT
PAT
連続生産システムの基本フロー
本講演では二軸造粒に関する基礎データ及びシステム構築時の留意点を説明する。
Ⅱ-1 プラセボによる基礎検討 10
造粒物
液
粉
連続供給
造粒
乾燥
袋混合
二軸湿式造粒
流動層乾燥
袋混合
打錠
整粒
処方,製造方法の観点でプラセボを用いた基礎検討を実施。
評価項目:二軸造粒の製造性,整粒後 粒子径,素錠の硬度/崩壊時間 等
Ⅱ-1-1 処方検討 11
処方成分量(mg) ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧
乳糖 154.8 136.8 118.8 ― 154.8 154.8 ― ―D-マンニトール ― ― ― 154.8 ― ― 136.8 118.8
結晶セルロース(MCC) ― 18.0 36.0 ― ― ― 18.0 36.0ヒドロキシプロピルセルロース
(HPC-L) 5.4 5.4 5.4 5.4 ― ― 5.4 5.4
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)
― ― ― ― 5.4 ― ― ―
ポリビニルピロリドン(PVP) ― ― ― ― ― 5.4 ― ―
(造粒部 Total) 160.2低置換度ヒドロキシプロピル
セルロース(L-HPC)18.0
ステアリン酸マグネシウム 1.8(素錠部 Total) 180 (杵:8mmΦ)
賦形剤/結合剤種類,結合液(水)量の影響を評価した。
二軸造粒の製造性と整粒品の特性まとめ 12
結合液(水)供給速度(粉体供給速度に対する速度比率),%
5 10 15 20 25 30 40
① 乳糖, HPC-L ○ ○ ○ - - - -
② 乳糖, HPC-L, MCC 10% × ○ ○ ○ ○ × -
③ 乳糖, HPC-L, MCC 20% × × ○ ○ 〇 ○ ○
④ D-マンニトール, HPC-L ○ ○ ○ × - - -
⑦ D-マンニトール,HPC-L, MCC 10% ○ ○ ○ ○ - - -
⑧ D-マンニトール,HPC-L, MCC 20% ○ ○ ○ ○ ○ - -
⑤ 乳糖, HPMC ○ ○ × - - - -
⑥ 乳糖, PVP ○ ○ ○ × - - -
製造可能 〇製造不可(ペースト)×
整粒品細末20%以上 ×
賦形剤種類,MCC処方量が粒度分布に与える影響 13
01020304050
850µm on
500µm on
355µm on
250µm on
180µm on
150µm on
106µm on
75µm on
75µm pass
重量
割合
(%) 0% MCC (5%)
10% MCC(5%)20% MCC(5%)
0
10
20
30
40
50850µm
on
500µm on
355µm on
250µm on
180µm on
150µm on
106µm on
75µm on
75µm pass
重量
割合
(%)
0% MCC(15%)10% MCC(15%)20% MCC(15%)
乳糖ベース処方
D-マンニトールベース処方
01020304050
850µm on
500µm on
355µm on
250µm on
180µm on
150µm on
106µm on
75µm on
75µm pass
重量割合
(%) 0% MCC(5%)
10% MCC(5%)20% MCC(5%)
01020304050
850µm on
500µm on
355µm on
250µm on
180µm on
150µm on
106µm on
75µm on
75µm pass
重量
割合
(%) 0% MCC(15%)
10%MCC (15%)20% MCC(15%)
マンニトールのほうが造粒が進みやすい。乳糖処方ではMCCが多いと細末が多くなる。
*()内は結合液の割合を示す
結合剤の種類が粒度分布に与える影響 14
0
10
20
30
40
850µm on
500µm on
355µm on
250µm on
180µm on
150µm on
106µm on
75µm on
75µm pass
重量
割合
(%)
処方1(HPC‐L)
処方5(HPMC)
処方6(PVP)
0
10
20
30
40
850µm on
500µm on
355µm on
250µm on
180µm on
150µm on
106µm on
75µm on
75µm pass
重量
割合
(%)
液添加(5%) 液添加(10%)
粉添加(5%) 粉添加(10%)
PVP>HPC-L>HPMCの順に造粒性が良い。 HPMCではあまり造粒が進まず,粉添加・液添加の影響は小さい。
**()内は結合液の割合を示す
結合剤種類の影響
*乳糖ベース処方,結合液割合:5%
HPMC(液添加 vs 粉添加)* **
打錠品特性値 15
打圧を上げることで硬度は上昇するが、崩壊とのバランスには注意が必要。結合液が多すぎると崩壊時間遅延傾向あり。
処方① 処方③処方② 処方⑥ 処方⑦ 処方⑧処方④ 処方⑤
**()内は結合液の割合を示す
Ⅱ-1-2 製造法検討 16
湿塊物orque
結合剤の添加方法
バレル温度
軸回転速度
粉供給速度
結合水添加速度軸配置(造粒エレメント数,パドル角度)
結合液(水)温度
整粒条件
二軸造粒における製造パラメータが顆粒特性に及ぼす影響を調査した。
結合液温度及びバレル温度が顆粒特性に与える影響 17
液温度:25℃
結合液(水)温度の影響は小さい。 バレル温度が高いほど造粒が進み,75℃では粗粒が多い。
*処方:D-マンニトール,結晶セルロース,PVP
液温度:75℃
05
10152025303540
850µm on
500µm on
355µm on
250µm on
180µm on
150µm on
106µm on
75µm on
75µm pass
重量
割合
(%)
HL-1575umHM-1575umHH-1575um
バレル温度:25℃バレル温度:50℃バレル温度:75℃
05
10152025303540
850µm on
500µm on
355µm on
250µm on
180µm on
150µm on
106µm on
75µm on
75µm pass
重量
割合
(%)
LL-1575umLM-1575umLH-1575um
バレル温度:25℃バレル温度:50℃バレル温度:75℃
軸回転速度,粉供給速度の影響 18
粉供給速度,軸回転速度が遅い程、顆粒の滞留時間は長くなる。 本処方では顆粒特性に及ぼす影響は小さい。
条件 HH LH HL LL
軸速度(rpm) 850 425 850 425
粉供給速度(kg/hr) 25 25 12.5 12.5*処方:D-マンニトール,結晶セルロース,HPC-L
0
10
20
30
40
HH LH HL LL
平均
滞留
時間
(秒
)
平均滞留時間
010203040506070
1000
μm o
n
710μ
m o
n
500μ
m o
n
355μ
m o
n
250μ
m o
n
180μ
m o
n
125μ
m o
n
90μm
on
90μm
pas
s
重量
割合
(%)
粒度分布
HHLHHLLL
小括:プラセボ検討のまとめ 19
処方 考察
賦形剤(乳糖,D-マンニトール,MCC)
D-マンニトールのほうが乳糖に比べて造粒は進みやすい。MCC添加で結合剤水量のアローアンスが広がるが,20%を越えると微粉増加。
結合剤(HPC-L,HPMC,PVP) PVPはHPMC,HPCに比べて微粉を抑えて造粒可能(溶解速度の差)。
製造条件 考察
結合水添加量増加に伴い粒径増大(微粉減少)し,空隙率,比容積も上昇。ペースト化するため上限あり。処方により許容される水分幅は変わる。
結合剤添加方法 検討した処方では粉添加・液添加による影響は小さかった。
バレル温度 75℃まであげると粗大粒が多くなる (~50℃までは影響小さい)
軸配置(造粒エレメント数,パドル角度)
12枚から16枚へエレメント数を増加させると粗大粒低下,微粉増加。パドル角度は詰りに影響したが,詰まらない状態では顆粒特性値に顕著な違いなし。
軸回転速度 軸回転速度,粉供給速度が遅いほど,滞留時間は長くなった。顆粒特性に及ぼす影響は小さかった。粉供給速度
処方
製造方法
Ⅱ-2 アクティブへの適用事例 20
処方A:内末,外末に崩壊剤を加え,結合剤はHPC微粉グレード。処方B:内末に崩壊剤を加え,結合剤はHPC通常グレード。
処方成分 FBG TSG 処方A TSG 処方B主薬* ① ① ①
D-マンニトール ② ② ②
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC) ③ ③ ③×2ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L) ④
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SSL-SFP) ④
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SSL) ④
結晶セルロース(MCC) ⑤ ⑤ ⑤
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC) ⑥ ⑥
ステアリン酸マグネシウム ⑦ ⑦ ⑦
OPADRY ⑧ ⑧ ⑧
フィルムコーティング錠 Total 139.0 mg 139.0 mg 139.0 mg
流動層造粒(FBG)と二軸造粒(TSG)で比較
*原薬の溶解度:JP1 (pH1.2)=>100 μM, JP2 (pH6.8)=19.8μM
二軸造粒品と流動層造粒品の粒度比較 21
二軸造粒では両処方ともにブロードな粒度分布を示し,流動層造粒品は一峰性の粒度分布を示した。
0
10
20
30
40
50
60
850
μm o
n
500
μm o
n
355
μm o
n
250
μm o
n
180
μm o
n
150
μm o
n
106
μm o
n
75 μ
m o
n
75 μ
m p
ass
重量割合(
%)
FBGTSG 処方ATSG 処方B
*結合水添加量処方A:12.5%処方B:17.5%
結合液(水)量と粒度分布の関係 22
両処方とも結合液(水)の割合を増大させるにつれて微粉の減少,粗大粒の増加が認められた。
0
10
20
30
40
5085
0 μm
on
500
μm o
n
355
μm o
n
250
μm o
n
180
μm o
n
150
μm o
n
106
μm o
n
75 μ
m o
n
75 μ
m p
ass
重量割合(%)
TSG 処方A
7.5%
10%
12.5%
15%
0
5
10
15
20
25
30
35
850
μm o
n
500
μm o
n
355
μm o
n
250
μm o
n
180
μm o
n
150
μm o
n
106
μm o
n
75 μ
m o
n
75 μ
m p
ass
重量割合(%)
TSG 処方B
15%17.5%20%22.5%
結合液割合
結合液割合
打錠品の特性値 23
二軸造粒品では流動層造粒品に比べて圧縮成形性は悪いが,十分な硬度が得られた(50 N以上,錠剤径 7mm)。顆粒の比容積の違いに起因している。
405060708090
100110120
0 5 10 15
硬度
(N)
打圧(kN)
TSG-処方ATSG-処方BFBG
項目TSG-処方A
TSG-処方B FBG
摩損度(%)(1000回転)
0.40 0.40 0.24
含量均一性(%)
平均 99.6 98.5 99.2
RSD 1.4 1.2 1.4
判定値 3.2 3.0 3.3
圧縮成形性の比較 打錠品特性
溶出性の比較(0.1N HCl) 24
FBG
*パドル法,50rpm, 試験液:0.1 N HCl 二軸造粒品,流動層造粒品ともに酸性液では15分値90%以上の結果が得られた。
TSG
0
20
40
60
80
100
0 5 10 15 20 25 30
溶出
率(
%)
時間(分)
処方A
処方B
0
20
40
60
80
100
0 5 10 15 20 25 30溶
出率
(%)
時間(分)
FBG
中性試験液における溶出性 25
USP pH4.5 USP pH6.8
中性試験液において,二軸造粒品では溶出遅延が認められた。→本原薬は中性試験液において濡れ性が悪い。二軸造粒品では濡れ性の改善が十分でないと考察された。
*パドル法,50rpm
0
20
40
60
80
100
0 15 30 45 60
溶出
率(
%)
時間(分)
TSG 処方ATSG 処方BFBG
0
20
40
60
80
100
0 15 30 45 60溶
出率
(%)
時間(分)
TSG 処方ATSG 処方BFBG
粒度別溶出 26
Passの分画で溶出遅延が認められ,造粒が不十分な細末は濡れ性の改善が不十分だと考えられた(FBGに比べて造粒品質のバラつきが生じている)。
*パドル法,50rpm→120分時点で250rpmに変更。試験液: USP 6.8
0
20
40
60
80
100
0 30 60 90 120
溶出
率(
%)
時間(分)
TSG 処方A
500 um on250 um on150 um on75 um onpass
0
20
40
60
80
100
0 30 60 90 120
溶出
率(
%)
時間(分)
TSG 処方B
500 um on250 um on150 um on75 um onpass
小括:アクティブ検討のまとめ 27
項目 TSG 処方A TSG 処方B FBG
粒度分布 高速撹拌造粒に類似 一峰性
造粒液量 10~12.5% 15~20%
乾燥時間 3.5~8.5 min 7~11.5 min
混合均一性 RSD<2.5
比容積 (loose) ≈1.8 ≈1.9 ≈2.6
硬度 >50N
摩損度 (1000 r) <1%
崩壊 7.5-10 min 4.8-7.3 min
含量均一性 AV<4
溶出性 酸性液(0.1 N HCl)では15分値90%以上中性試験液ではTSG品に遅延傾向あり
二軸造粒品でも製品への適用は可能。ただ流動層造粒に比べて造粒時間が短く,顆粒特性が品質に影響を及ぼす場合もあるので,化合物特性を見ながら適用可否を判断する必要がある(開発途中で製造方法を変える場合も注意が必要)。
連続生産システム構築におけるポイント 29
バッチプロセスを連続プロセスへ
Flow
Plug
Integration
バッチプロセスを小バッチ自動化プロセスへ
次工程へ自動的につなぎ,全体を統合し,品質を保証
連続生産システム事例 30
原料レシーバ・定量供給
造粒前リボン混合
定量供給二軸造粒
ホッパー
6連式流動層乾燥
コーミル整粒
検量・後添加・リボン混合
ロータリー打錠
PATID, 混合均一性
PAT素錠含量
滑択剤添加・リボン混合
1 kg/plug1 kg/plug
1 kg/plug
PAT混合均一性
PAT乾燥後水分粒度分布
1 kg/plug
Plug Plug
Plug
Plug
Flow
PATを用いた良品・不良品判定と排除システム
Plug毎の帳簿など,Data integrity・GMPに適した記録類を整備
Flow式とPlug式の比較事例(造粒品と後末の混合)31
Flow式 Plug式二軸造粒品
(粒度二峰性)
定量供給機
粒度の小さい造粒品から切り出されてしまう偏析リスク有
定量供給機(外末)
Plug顆粒が一括排出
切り出し供給機(外末)
二峰性の造粒品をPlug内で一括混合可能
バッチ生産と連続生産(セミ連続・フル連続)のシステム比較 32
セミ連続,フル連続それぞれの特徴を把握しながら,PAT,排除システムを構築する必要がある。
方式 バッチセミ連続
Plug含むフル連続全てFlow
工程トラブル時の他工程への影響 小 小 大
逸脱品の範囲特定 易 易 難
制御システムの複雑性・難易度 実現済要RT制御一部統一化
要RT制御要統一化
スタートアップ時のロス(小量への適用性)
小 小~中 大
工程をまたいだリアルタイム制御 不可 不可 可
S-up難易度高
(量的)低
(時間的)低
(時間的)
開発時の製品理解コスト(特に大スケールでの原薬・工数)
高 低 低