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特待生制度 始まる 2020年度薬学部入試における成績優秀者を対象 とし、特待生制度(授業料全額免除)を実施いたしま す。詳しくは大阪大谷大学のHPをチェック。 600 m 2019年7月14日掲載用 のだ。 そこで得られたデータの解 析が研究の中心になる。ゼミ 生3人1組がグループになり、 互いに助け合いながら作業 を進める。ポスドク(博士研究 員)や大学院生も加わり、学 部生の研究をサポートするの も戸村ゼミの特長だ。6年生 の有村綾菜さんは「研究に没 頭できる環境が戸村ゼミの 魅力。充実した毎日にやりが いを感じています」と語る。 指導する戸村教授は「自分 の手を動かしながら課題を 設定し、考える力をつけてほ しい。研究で鍛えた論理的な 思考は薬剤師の業務にも必 ず役立つはず」と話す。 ゼミ生の多くが卒業後に 薬剤師の国家試験を突破し、病院や調剤薬局で活躍している。大阪 大学で博士号を取得し、現在は東京大学で研究職に就いている卒業 生も。今春開設された大学院薬学研究科で学んでいる学生もいる。 2020年度入試から成績上位者の授業料を全額免除する制度もス タートした。戸村教授は「優秀な学生が将来、大学院で研鑽を積み、 薬学研究に携われるよう全力でサポートしていきたい」とエールを 送る。 薬学部はゼミ単位で最先端研究を進めている。免疫学講座を担当 する戸村道夫教授は人間の免疫機能を身体全体で可視化する研究 の第一人者。ゼミ生は戸村教授の指導のもと、大学院レベルの高度 な研究に取り組んでいる。 薬学部実験研究棟2階の動物飼育室。ずらりと並んだケージの中 で約1,200匹ものマウスが飼育されている。紫色の光をあてると細 胞が緑から赤に変色する光変換蛍光タンパク質を備えた「カエデマ ウス」だ。戸村教授はこのマウスを使い、免疫細胞がどのように体内 の臓器間を移動するかを調べるシステムを世界で初めて確立。がん や皮膚アレルギー疾患の免疫機能の解明につなげている。 ゼミ生は実験前に培養室でマウスの血液や組織を調べる。実験に 使えるマウスかどうかのスクリーニング作業だ。これが終わると研究 室がある4階で実験に取りかかる。マウスの皮膚や腸、がん組織など に紫色の光を照射し、顕微鏡で免疫細胞の移動の変化を追いかける 大阪大谷大学薬学部 チームで取り組み、 チームで支える 医薬品化学講座を担当する広川美視准教授は、約20年大手製薬 会社で研究員生活を送った後、大学教員に転身した。天然素材の有 機系新薬の開発が主な研究テーマだ。研究員時代に培った豊かな 経験や実践的なプロの創薬技法をゼミ生も学んでいる。 「薬物・劇薬を使うときは使用簿に 広川研究室のゼミルーム。常に多くの薬品を扱うため、壁際のホ ワイトボートには研究中の化合物の化学構造式と並んでこんな警 告がつづられていた。ゼミ生が注意喚起のために書き込んだもの だ。誰でも自由に書き込めるメッセージボードの役割を果たしてお り、ゼミルームは学生同士の交流の場にもなっている。 だが、隣の実験室でひとたび作業が始まると様相は一転。皆、真 剣な表情で実験器具と向き合う。薬学部でも実験に費やす時間が 最も長いゼミの一つだ。作業終了が夜8時を回ることも多く、ゼミ生 はインスタントラーメンや弁 当などの夜食を持参し、ゼミ ルームで自分で調理しなが ら実験を続ける。 ゼミ生が実験を行う際、広 川准教授が心掛けているの がマンツーマンでの〝口頭指 導〟。書面ではなく逐一、ポイ ントを伝えることで学生自身 に考えさせるのが狙いだ。 「実験に必要なのは忍耐 力。文献通りに行ってもうま くいかないことの方が多い からです。失敗すれば時間も 余分にかかりますが、経験を 積むことでしか体得できな い〝さじ加減〟を学んでほし い」と広川准教授。 「ゼミ生は皆仲が良く、誕生日にはたこ焼きパーティーで盛り上 がります」と、6年生の北山綾菜さんと谷有花さん。ともに調剤薬局 やドラッグストアの内定を得て「薬剤師になる夢に一歩近づきまし た」。来春の国家試験突破を目指す。 同じく6年生の野上雅司さんは「実験が成功したときの達成感は 忘れられません」と話し、将来は行政職の薬剤師を目指している。 広川准教授は「薬のことは薬剤師が一番という自負を持ち、現場 で信頼される人材になってほしい」と話している。 覚えやすい構造式かるたが人気 医薬品化学講座 広川 美視准教授 免疫学講座 戸村 道夫教授 企画・制作/産経新聞社メディア営業局 戸村 道夫/とむら・みちお 医学博士。東北大学薬学部卒業、同大薬学 研究科修士課程を修了。東レ研究員、理化学 研究所上級研究員、京都大学医学研究科特 定准教授などを経て、2015年から大阪大 谷大学薬学部教授。全身レベルの免疫細胞 移動を追跡できるシステムで、細胞移動・機 能の分子制御メカニズムの解明による免疫 疾患制御法の確立を目指している。 広川 美視/ひろかわ・よしみ 薬学博士。大阪大学大学院薬学研究科薬品 化学専攻修士課程を修了。1989年、大日本 製薬(現大日本住友製薬)創薬研究所に入 り、抗菌剤や抗がん剤など新規医薬品の創 製研究や医薬品の分子設計などを行った。 07年4月から大阪大谷大学薬学部准教授。 大学院薬学研究科が始動 「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)の23階にあ るサテライトキャンパス。今春、大学院薬学研究科が 始動し、社会人らが学んでいる。大阪市内では初の薬 学系大学院となり、21世紀の新時代にふさわしい薬 学人材の育成を目指す。 大学院薬学研究科は今年4月にスタート。講義は社 会人でも出席できるよう毎週土曜の午後に開かれ、公 的機関の研究員や病院薬剤師ら社会人学生4人を含 め、6人が学んでいる。講義室で授業を受けるほか、明 石海峡大橋が見渡せるミーティングルームで教授ら と活発に討議を交わす。 「毎回の授業が待ち遠しい。ここで得た知識を臨床 現場でも生かしたい」。そう話す大西美香さんは同大 薬学部を卒業した4期生。総合病院の薬剤師として勤 務しながら研究職を目指し、社会人入試で合格した。 「カテーテル栄養にともなう感染症予防を研究した い」と話す。 「生体機能薬学」「衛生薬学」「臨床薬学」の3分野 で、4年かけて博士の学位を取得する。目指すのはグ ローバル化とICT(情報通信技術)に対応できる人材 だ。薬学研究科長の那須正夫教授はNASA(米航空 宇宙局)やJAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携し、 国際宇宙ステーションの微生物を研究する第一人者。 薬学の発想だけに捉われず、幅広い学びを可能にす る充実したカリキュラムが特長という。 その一つが「医療国際比較演習」。インターネット で自分の研究分野に関する海外の資料を調べ、その 成果を英語で発表する。また、「情報薬学特論」では世 界とつながるうえで欠かせないネット環境の可能性、 危険性を探り、薬学研究に役立てる。 那須研究科長は「国際的な視野で地域に貢献でき る人材を育てていきたい」と話している。 あべのハルカス サテライトキャンパス 幅広い学びで、薬学人材を育成 地域を支える大学の使命 大阪大谷大学 学長 浅尾 広良教授 手厚い少人数教育を実践 プロの目を持った人材に 「プロの目で現場の課題を探り、解決で きる人間を育てたい」 薬学部の人材育成像について冨田晃司 学部長はこう語る。 実践力を育むカリキュラムが充実。手厚 い少人数教育を実践する。学生約5人に対 し担任教員が1人付き、生活相談にも応じ る「アドバイザー制」を導入。学力が不十分 と感じている学生には薬学教育支援・開発 センターが補講をし、薬剤師国家試験に必 要な物理や化学の個別授業も行う。 「チーム医療や地域医療で薬剤師の役割 が増し、高度な対人能力が欠かせない」と 冨田学部長。「コミュニケーション演習」で は、薬局を想定した服薬指導を行う。学生 の人間的成長を計るプログテストも今春か ら取り入れた。薬学以外の講師を招き、幅 広い知識や技能を身に付ける「スキルアッ プセミナー」を開催。栄養や健康食品のス ペシャリストの養成を目指し、薬学部では珍 しい「NR・サプリメントアドバイザー」「健 康食品管理士」の資格を得る課程もある。 大学院レベルの教育を実践 失敗から学ぶ実験の醍醐味 今年1月30日。学内の薬学教育支 援・開発センターで「新春構造式かる た大会」が開かれ、薬学部の1年から 5年 の 約90人 の 学 生と教 職 員が参 加。研究室対抗の熱戦を繰り広げた。 構造式かるたは覚えにくい化学構 造式をゲーム感覚で身につけてもら おうと同センターが開発。入門編の 「基本構造編」と応用編の「医薬品 編」があり、読み上げられた医薬品の 特徴をヒントに、その化学構造式が 描かれた札を取り合う。昨年から年 始のかるた大会や1年生の授業で使 われている。発案者の一人でもある 同センターの青江麻衣講師は「学生 同士が切磋琢磨し、楽しみながら薬 学の理解を深めてほしい」と語る。 薬剤師の国家試験では近年、化学 構造式から医薬品名が分からないと 解けない問題も多く出題されてお り、学生の評判も上々。薬学部6年の 小山貴士さんと萩家朱美さんは「国 家試験の勉強にもすごく役立ってい ます」と口をそろえた。 大阪大谷大学 薬学部 医療社会高度化にチームでえる 薬学のスペシャリストを養成 大阪大谷大学(大阪府富田林市)は2006年に薬学部(6年制)を新設し、今春8期生を社会に送 り出した。これまで800人以上が薬剤師の国家試験を突破し、病院や調剤薬局、企業や行政などの 研究職の第一線で活躍する。また、今年4月、大学院薬学研究科を開設。講義科目などは、日本一の 超高層複合ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)のサテライトキャンパスで開講している。医 療社会の高度化に応える薬剤師として、「高い専門知識」と「人間力」を備える人材の育成を目指す 大阪大谷大学が取り組む「薬学教育」を紹介する。 社会 つなぐ 医療 貢献 本学は今年で創立54年目を迎えます。こ の間、一貫して建学の精神「報恩感謝」に基 づく人間教育を実践し、4学部6学科を備え た総合大学へと発展を遂げて参りました。 女子大学時代は高等教育の機会拡大と ともに社会で指導的役割を果たせる女性を 育成し、2006年には薬学部の新設に合わ せて男女共学化を実現しました。卒業生は 約2万6千人に上り、高い専門性と確かな人 間力を備えた教員や薬剤師をはじめ、地域 の発展を担う人材が社会の第一線で活躍 していることを誇りに思います。 いま世の中は大きな転換期にあり、予測 困難な時代のなかで直面する課題を受け 止め、解決できる強くてしなやかな感性と 行動力が求められています。本学には学部 の垣根を越え、互いに切磋琢磨し合える環 境があります。そこで学んだ教育資源を社 会に還元し、地域を支えることが大学に課 せられた重要な使命と確信しております。 薬学部 学部長 冨田 晃司教授 薬学教育支援・開発センター 学長メッセージ 薬学部が目指すもの せっさたくま けんさん

大阪大谷大学 S190714 全12d+3dカラー · とし、特待生制度(授業料全額免除)を実施いたしま す。詳しくは大阪大谷大学のHPをチェック。

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Page 1: 大阪大谷大学 S190714 全12d+3dカラー · とし、特待生制度(授業料全額免除)を実施いたしま す。詳しくは大阪大谷大学のHPをチェック。

特待生制度始まる

 2020年度薬学部入試における成績優秀者を対象とし、特待生制度(授業料全額免除)を実施いたします。詳しくは大阪大谷大学のHPをチェック。

600m

2019年7月14日掲載用

のだ。 そこで得られたデータの解析が研究の中心になる。ゼミ生3人1組がグループになり、互いに助け合いながら作業を進める。ポスドク(博士研究員)や大学院生も加わり、学部生の研究をサポートするのも戸村ゼミの特長だ。6年生の有村綾菜さんは「研究に没頭できる環境が戸村ゼミの魅力。充実した毎日にやりがいを感じています」と語る。 指導する戸村教授は「自分の手を動かしながら課題を設定し、考える力をつけてほしい。研究で鍛えた論理的な思考は薬剤師の業務にも必ず役立つはず」と話す。 ゼミ生の多くが卒業後に薬剤師の国家試験を突破し、病院や調剤薬局で活躍している。大阪大学で博士号を取得し、現在は東京大学で研究職に就いている卒業生も。今春開設された大学院薬学研究科で学んでいる学生もいる。 2020年度入試から成績上位者の授業料を全額免除する制度もスタートした。戸村教授は「優秀な学生が将来、大学院で研鑽を積み、薬学研究に携われるよう全力でサポートしていきたい」とエールを送る。

 薬学部はゼミ単位で最先端研究を進めている。免疫学講座を担当する戸村道夫教授は人間の免疫機能を身体全体で可視化する研究の第一人者。ゼミ生は戸村教授の指導のもと、大学院レベルの高度な研究に取り組んでいる。 薬学部実験研究棟2階の動物飼育室。ずらりと並んだケージの中で約1,200匹ものマウスが飼育されている。紫色の光をあてると細胞が緑から赤に変色する光変換蛍光タンパク質を備えた「カエデマウス」だ。戸村教授はこのマウスを使い、免疫細胞がどのように体内の臓器間を移動するかを調べるシステムを世界で初めて確立。がんや皮膚アレルギー疾患の免疫機能の解明につなげている。 ゼミ生は実験前に培養室でマウスの血液や組織を調べる。実験に使えるマウスかどうかのスクリーニング作業だ。これが終わると研究室がある4階で実験に取りかかる。マウスの皮膚や腸、がん組織などに紫色の光を照射し、顕微鏡で免疫細胞の移動の変化を追いかける

大阪大谷大学薬学部

チームで取り組み、チームで支える

 医薬品化学講座を担当する広川美視准教授は、約20年大手製薬会社で研究員生活を送った後、大学教員に転身した。天然素材の有機系新薬の開発が主な研究テーマだ。研究員時代に培った豊かな経験や実践的なプロの創薬技法をゼミ生も学んでいる。 「薬物・劇薬を使うときは使用簿に!」 広川研究室のゼミルーム。常に多くの薬品を扱うため、壁際のホワイトボートには研究中の化合物の化学構造式と並んでこんな警告がつづられていた。ゼミ生が注意喚起のために書き込んだものだ。誰でも自由に書き込めるメッセージボードの役割を果たしており、ゼミルームは学生同士の交流の場にもなっている。 だが、隣の実験室でひとたび作業が始まると様相は一転。皆、真剣な表情で実験器具と向き合う。薬学部でも実験に費やす時間が最も長いゼミの一つだ。作業終了が夜8時を回ることも多く、ゼミ生

はインスタントラーメンや弁当などの夜食を持参し、ゼミルームで自分で調理しながら実験を続ける。 ゼミ生が実験を行う際、広川准教授が心掛けているのがマンツーマンでの〝口頭指導〟。書面ではなく逐一、ポイントを伝えることで学生自身に考えさせるのが狙いだ。 「実験に必要なのは忍耐力。文献通りに行ってもうまくいかないことの方が多いからです。失敗すれば時間も余分にかかりますが、経験を積むことでしか体得できない〝さじ加減〟を学んでほしい」と広川准教授。 「ゼミ生は皆仲が良く、誕生日にはたこ焼きパーティーで盛り上がります」と、6年生の北山綾菜さんと谷有花さん。ともに調剤薬局やドラッグストアの内定を得て「薬剤師になる夢に一歩近づきました」。来春の国家試験突破を目指す。 同じく6年生の野上雅司さんは「実験が成功したときの達成感は忘れられません」と話し、将来は行政職の薬剤師を目指している。 広川准教授は「薬のことは薬剤師が一番という自負を持ち、現場で信頼される人材になってほしい」と話している。

覚えやすい構造式かるたが人気

医薬品化学講座 広川 美視准教授

免疫学講座 戸村 道夫教授

企画・制作/産経新聞社メディア営業局

戸村 道夫/とむら・みちお医学博士。東北大学薬学部卒業、同大薬学研究科修士課程を修了。東レ研究員、理化学研究所上級研究員、京都大学医学研究科特定准教授などを経て、2015年から大阪大谷大学薬学部教授。全身レベルの免疫細胞移動を追跡できるシステムで、細胞移動・機能の分子制御メカニズムの解明による免疫疾患制御法の確立を目指している。

広川 美視/ひろかわ・よしみ薬学博士。大阪大学大学院薬学研究科薬品化学専攻修士課程を修了。1989年、大日本製薬(現大日本住友製薬)創薬研究所に入り、抗菌剤や抗がん剤など新規医薬品の創製研究や医薬品の分子設計などを行った。07年4月から大阪大谷大学薬学部准教授。

大学院薬学研究科が始動!

 「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)の23階にあるサテライトキャンパス。今春、大学院薬学研究科が始動し、社会人らが学んでいる。大阪市内では初の薬学系大学院となり、21世紀の新時代にふさわしい薬学人材の育成を目指す。 大学院薬学研究科は今年4月にスタート。講義は社会人でも出席できるよう毎週土曜の午後に開かれ、公的機関の研究員や病院薬剤師ら社会人学生4人を含め、6人が学んでいる。講義室で授業を受けるほか、明石海峡大橋が見渡せるミーティングルームで教授らと活発に討議を交わす。 「毎回の授業が待ち遠しい。ここで得た知識を臨床現場でも生かしたい」。そう話す大西美香さんは同大薬学部を卒業した4期生。総合病院の薬剤師として勤務しながら研究職を目指し、社会人入試で合格した。「カテーテル栄養にともなう感染症予防を研究したい」と話す。 「生体機能薬学」「衛生薬学」「臨床薬学」の3分野で、4年かけて博士の学位を取得する。目指すのはグ

ローバル化とICT(情報通信技術)に対応できる人材だ。薬学研究科長の那須正夫教授はNASA(米航空宇宙局)やJAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携し、国際宇宙ステーションの微生物を研究する第一人者。薬学の発想だけに捉われず、幅広い学びを可能にする充実したカリキュラムが特長という。 その一つが「医療国際比較演習」。インターネットで自分の研究分野に関する海外の資料を調べ、その成果を英語で発表する。また、「情報薬学特論」では世界とつながるうえで欠かせないネット環境の可能性、危険性を探り、薬学研究に役立てる。 那須研究科長は「国際的な視野で地域に貢献できる人材を育てていきたい」と話している。

あべのハルカス サテライトキャンパス幅広い学びで、薬学人材を育成

地域を支える大学の使命

大阪大谷大学 学長浅尾 広良教授

手厚い少人数教育を実践

プロの目を持った人材に 「プロの目で現場の課題を探り、解決できる人間を育てたい」 薬学部の人材育成像について冨田晃司学部長はこう語る。 実践力を育むカリキュラムが充実。手厚い少人数教育を実践する。学生約5人に対し担任教員が1人付き、生活相談にも応じる「アドバイザー制」を導入。学力が不十分と感じている学生には薬学教育支援・開発センターが補講をし、薬剤師国家試験に必

要な物理や化学の個別授業も行う。 「チーム医療や地域医療で薬剤師の役割が増し、高度な対人能力が欠かせない」と冨田学部長。「コミュニケーション演習」では、薬局を想定した服薬指導を行う。学生の人間的成長を計るプログテストも今春から取り入れた。薬学以外の講師を招き、幅広い知識や技能を身に付ける「スキルアップセミナー」を開催。栄養や健康食品のスペシャリストの養成を目指し、薬学部では珍しい「NR・サプリメントアドバイザー」「健康食品管理士」の資格を得る課程もある。

大学院レベルの教育を実践

失敗から学ぶ実験の醍醐味

 今年1月30日。学内の薬学教育支援・開発センターで「新春構造式かるた大会」が開かれ、薬学部の1年から5年の約90人の学生と教職員が参加。研究室対抗の熱戦を繰り広げた。 構造式かるたは覚えにくい化学構造式をゲーム感覚で身につけてもらおうと同センターが開発。入門編の「基本構造編」と応用編の「医薬品編」があり、読み上げられた医薬品の特徴をヒントに、その化学構造式が描かれた札を取り合う。昨年から年

始のかるた大会や1年生の授業で使われている。発案者の一人でもある同センターの青江麻衣講師は「学生同士が切磋琢磨し、楽しみながら薬学の理解を深めてほしい」と語る。 薬剤師の国家試験では近年、化学構造式から医薬品名が分からないと解けない問題も多く出題されており、学生の評判も上々。薬学部6年の小山貴士さんと萩家朱美さんは「国家試験の勉強にもすごく役立っています」と口をそろえた。

大阪大谷大学薬学部

医療社会の高度化にチームで応える薬学のスペシャリストを養成

 大阪大谷大学(大阪府富田林市)は2006年に薬学部(6年制)を新設し、今春8期生を社会に送り出した。これまで800人以上が薬剤師の国家試験を突破し、病院や調剤薬局、企業や行政などの研究職の第一線で活躍する。また、今年4月、大学院薬学研究科を開設。講義科目などは、日本一の超高層複合ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)のサテライトキャンパスで開講している。医療社会の高度化に応える薬剤師として、「高い専門知識」と「人間力」を備える人材の育成を目指す大阪大谷大学が取り組む「薬学教育」を紹介する。

社会をつなぐ 医療に貢献

 本学は今年で創立54年目を迎えます。この間、一貫して建学の精神「報恩感謝」に基づく人間教育を実践し、4学部6学科を備えた総合大学へと発展を遂げて参りました。 女子大学時代は高等教育の機会拡大とともに社会で指導的役割を果たせる女性を育成し、2006年には薬学部の新設に合わせて男女共学化を実現しました。卒業生は約2万6千人に上り、高い専門性と確かな人間力を備えた教員や薬剤師をはじめ、地域

の発展を担う人材が社会の第一線で活躍していることを誇りに思います。 いま世の中は大きな転換期にあり、予測困難な時代のなかで直面する課題を受け止め、解決できる強くてしなやかな感性と行動力が求められています。本学には学部の垣根を越え、互いに切磋琢磨し合える環境があります。そこで学んだ教育資源を社会に還元し、地域を支えることが大学に課せられた重要な使命と確信しております。

薬学部 学部長冨田 晃司教授

薬学教育支援・開発センター

学長メッセージ

薬学部が目指すもの

せっさたくま

けんさん