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講演Ⅱ 「蚊(ヒトスジシマカ)の生態」
一般財団法人 日本環境衛生センター 東日本支局
武藤 敦彦 氏
30
31
感染症を媒介する蚊対策講習会
-蚊(ヒトスジシマカ)の生態-
2016.6.14
一般財団法人日本環境衛生センター東日本支局 環境生物・住環境部
武 藤 敦 彦
我が国で発生している主なねずみ・害虫媒介性感染症(2014年)・つつが虫病・・・・320名(ツツガムシ)
・日本紅斑熱・・・・241名(マダニ)
・ライム病・・・・・・17名( 〃 )
・SFTS・・・・・・61名( 〃 )
・日本脳炎・・・・・・・2名(蚊)
・レプトスピラ症・・・48名(ネズミ)
〔・腸管出血性大腸菌感染症
・・・・・・4,151名(ハエも関与?)〕
輸入症例 マラリア・・・・・60名(蚊)
デング熱・・・・179名(蚊)
チクングニア熱・・16名(蚊)
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0
50
100
150
200
250
300
350
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
'99 '00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15
死亡
者数
(人
)
患者
数(人
)
アメリカ合衆国におけるウエストナイル熱発生状況
患者数
死亡数
発生州数
13
10
40
46
41
44
44
43
44
38
41
44
50
48
45
45
日本でウエストナイル熱媒介蚊として注意する必要がある蚊
コガタアカイエカアカイエカ、チカイエカネッタイイエカ
オオクロヤブカ
ヒトスジシマカ
その他ヤマトヤブカキンイロヤブカヤマダシマカセスジヤブカシナハマダラカイナトミシオカ など
33
デング熱について
• 熱帯、亜熱帯の多くの国に存在し、年間1億人の患者が発生している。重篤な場合は死亡率の高い出血熱となる。
• ネッタイシマカおよびヒトスジシマカ(我が国にも普通に見られる)が媒介する。
• ワクチンはない。
• 日本でも戦後数万人規模の流行があった。
• ハワイ諸島では、タヒチで感染して帰国した住民から、ヒトスジシマカの媒介によって、2001~2002年にかけて122名の患者が発生した(60年ぶりの発生)。2010年には、フランスでも国内感染が起こった。
わが国におけるデング熱の症例報告数
0
50
100
150
200
250
報告
数
'99 '00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14
輸入症例数
国内感染症例数
年
人
34
チクングニア熱について
• 従来からアフリカやアジアの一部で流行が知られていたが、2005年にコモロ諸島などで大規模な流行が起こり、大西洋島嶼国に広がった。レユニオン島では人口77万人のうち約1/3に当たる24万人以上が感染した。
• 現在、東南アジア諸国にも広がり、インド、スリランカ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、タイなどでも数百人~数万人規模で発生している。
• ネッタイシマカおよびヒトスジシマカ(我が国にも普通に見られる)が媒介する。
• ワクチンはない。
• イタリア北部では、インド?で感染して帰国した住民から、ヒトスジシマカの媒介によって、2007年に204名の感染が確認された。フランスでも2010年に国内発生が確認された。
わが国におけるチクングニア熱の輸入症例2013年は8都府県、2014年は9都府県で確認されている
0123456789
10111213141516
患者
数
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 年
人
35
デング熱とチクングニア熱の媒介蚊
1)ネッタイシマカ
⇒熱帯、亜熱帯に分布
2)ヒトスジシマカ
⇒熱帯から温帯まで広く分布
(日本にも分布)
ヒトスジシマカ成虫
体長:4~5mm
36
ヒトスジシマカの幼虫と蛹
産卵場所:水際
37
ヒトスジシマカの生活史
• 卵期間:数日~数か月
• 幼虫期間:7~10日(夏季)
• 蛹期間:3~5日(夏季)
• 成虫寿命:1か月以上
38
ヒトスジシマカの生態・習性• 吸血時間帯:昼間(とくに朝夕に多く、日中は
日陰での飛来数が多くなる。発生初期や終期の低温の時期は日中の飛来数が増加する。夜間はほとんど吸血活動を行わない)
• 吸血場所:主として屋外(屋内に侵入して吸血することもある)
• 飛翔距離:数m(1日でも最大100m程度)
• 発生期間:5~11月(東京、神奈川)
• 越 冬:卵
28
25
1917
10
13
2121
16
9
5
2
1416
0
5
10
15
20
25
30
6:30 7:30 9:00 11:00 13:00 15:00 17:00
捕集
数(匹
)
090819
090919
8分間人囮法による捕集数
39
ヒトスジシマカの飛来数調査実施場所
神奈川県大磯町
長野県上田市調査法:人囮法(大磯町は8分、上田市は6分)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
4/17
4/27 5/7
5/17
5/27 6/6
6/16
6/26 7/6
7/16
7/26 8/5
8/15
8/25 9/4
9/14
9/24
10/4
10/14
10/24
11/3
11/13
11/23
12/3
12/13
捕集
数(匹
)
5年間(2010~2014年)の捕集数の推移(大磯町)
2014
2013
2012
2011
2010
40
0
5
10
15
20
25
30捕
集数
(匹
)
5年間(2010~2014年)の捕集数の推移(上田市)
2014
2013
2012
2011
2010
上田市の結果は 信州大学 平林先生の調査による
各調査地点における飛来期間、最多飛来数記録日および年平均気温
調査地 調査年 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月年平均
気温(℃)
2010 16.4
2011 16.0
2012 15.7
2013 16.5
2014 16.0
2010 12.5
2011 11.8
2012 11.7
2013 12.2
2014 11.7
大磯町
上田市
10/56/9
10/126/9
10/66/18
10/156/10
10/126/5
11/30
11/9
11/18
11/20
11/14
5/9
5/12
5/13
5/15
5/23 8/14(79匹)
7/24(47)
9/29(50)
8/10(37)
7/12(41)
8/20(16)
8/26(22)
8/31(24)
8/12(24)
8/11(16)
上田市の結果は 信州大学 平林先生の調査による
41
4
21
2
7
98
1213
38
41
13
23
16
12
14
32
12
15
26
1312
5
2
5
2
0 01 1
0 0 000 0 0 0 0 00 0 0
6
1
5
1
343
100 00 0
6
3
0
29
25
23
31
20
14
2
00
5
10
15
20
25
30
35
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
4/29 5/13 5/27 6/10 6/24 7/8 7/22 8/5 8/19 9/2 9/16 9/30 10/14 10/28 11/11 11/25 12/9
捕集
時気
温(℃)
捕集
数(匹
)
ヒトスジシマカ捕集数の変動(大磯町)2014年
捕集数 朝(~10:00)
昼(11:00~15:30)
夕(16:00~)
捕集時 気温(朝)
気温(昼)
気温(夕)
0 0
6
4
2 1
2 3
7
9 8
12 13
29
38
41
13
23
16
25
32
23
15
26
31
13 12
20
0
14
5
2 2
6
0 1 1
5
1 0
3 4 3
1 1 0 0
-5
0
5
10
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20
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0
5
10
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20
25
30
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45
4/1 4/15 4/29 5/13 5/27 6/10 6/24 7/8 7/22 8/5 8/19 9/2 9/16 9/3010/1410/2811/1111/2512/9
気温
(℃
)
捕集
数(匹
)
捕集数と日最低・平均気温の推移(大磯町) 2014年
捕集数
日最低気温
日平均気温
42
0000000000
1
0
1
000
11
00
4
2
3
00
5
0
2
5
1111
00
2
0
222
88
13
9
8
66
8
6
3
2
4
7
4
3
2
16
10
7
8
9
5
2
9
6
13
5
13
3
55
4
7
0
2
0
1
0
2
6
3
5
00
3
2
3
1
3
4
00 00000000000
5
10
15
20
25
30
35
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
5/1 5/15 5/29 6/12 6/26 7/10 7/24 8/7 8/21 9/4 9/18 10/2 10/16 10/30
気温
(℃
)
捕集
数(匹
)
捕集数と日最低・平均気温の推移(上田市) 2014年
捕集数
日最低気温
日平均気温
上田市の結果は 信州大学 平林先生の調査による
飛来が確認された最低気温
大磯町 上田市
年
温度
(℃
)
43
各温度帯における飛来数(2012~2014年の平均値)
℃
飛来
数(匹
)
ヒトスジシマカの発生源(幼虫の生息場所)
• 野外に放置された空き容器に溜まった水などの小水域⇒池沼や水田などの大きな水域には発生しない。また、河川などの流水にも発生しない
• 比較的きれいな水域⇒落葉が入った程度の水域に発生する。腐っているような水や浄化槽などの有機物が多い水には発生しない
44
ヒトスジシマカの発生源
45
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47
蚊 の 幼 虫 調 査
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ご静聴ありがとうございました