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青山学院大学における サイバーキャンパスへの 取り組み サイバーキャンパスの求められる背景 すでに世界のインターネット人口が1億6,000万人を超 え、急速な情報技術の進展と併せて本格的なネットワー ク社会の時代に突入している。特に、産業界では、グロ ーバルな電子商取引の実現による国際競争力の実現に必 死であり、グループや業界の枠組みを超えた効率的な相 互連携をベースにした合理的なビジネス・モデルの実現 を推進している。このような産業界の熾烈な競争社会の 構図は、大学にとっても、もはや対岸の問題ではなくな っている。 この社会構造の変化に対応した教育要請の実現に合わ せ、各国政府では迅速に社会や経済の変化に対応し、学 玉木 欽也氏 ニシス 塚田 勝之 事例紹介

青山学院大学における サイバーキャンパスへの 取り組み · 青山学院大学における サイバーキャンパスへの 取り組み サイバーキャンパスの求められる背景

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青山学院大学におけるサイバーキャンパスへの取り組み

サイバーキャンパスの求められる背景

すでに世界のインターネット人口が1億6,000万人を超

え、急速な情報技術の進展と併せて本格的なネットワー

ク社会の時代に突入している。特に、産業界では、グロ

ーバルな電子商取引の実現による国際競争力の実現に必

死であり、グループや業界の枠組みを超えた効率的な相

互連携をベースにした合理的なビジネス・モデルの実現

を推進している。このような産業界の熾烈な競争社会の

構図は、大学にとっても、もはや対岸の問題ではなくな

っている。

この社会構造の変化に対応した教育要請の実現に合わ

せ、各国政府では迅速に社会や経済の変化に対応し、学

青山学院大学経営学部 教授

玉木 欽也氏

日本ユニシス株式会社新事業企画開発部 市場開発室

塚田 勝之

事例紹介

生の職業的、総合的なスキルを高め、また生涯学習の機

会を進めるよう求めている。

大学では、環境に対応した教育の内容、手法、提供方

法の実現に関してその再評価と変革を含めた教育戦略の

再構築が求められている。一方、受講者側ではこのよう

な環境変化により、より選択肢が増え、生涯学習機会の

拡大に合わせて、産業界と同様によりコスト・パフォー

マンスの高さを要求するようになってきた。その結果、

求められる大学側の教育環境の変化のためには情報技術

の応用が重要な役割を持つという考え方が再認識される

ようになってきた。

青山学院大学AMLプロジェクト

青山学院大学では日本ユニシスと共同で青山学院大学

AML(Aoyama Media Lab.)プロジェクトとして、いち早く

新しい教育方法論の構築を中心としたプロジェクトを推

進している。これは、1997年度からスタートさせた経

営学部ACC(Aoyama Cyber Campus)プロジェクトでの実験

をベースにし、1998年度から99年度にかけて通産省(情

報処理振興事業協会)の「教育の情報化推進事業」の一環

として、青山学院大学(経営、理工、文学部)、青山学院

初等部の各教員・アシスタント約50名(700人日)、システ

ム・ベンダ4社(日本ユニシス、SAPジャパン、オフィッ

クス、大日本印刷)約50名(3,500人日)の規模の産学官共

同プロジェクトとして、実証実験と部分的に本番の授

業・演習を実施中である。

さらに次年度より他大学および企業との連携を意識し

た、実現化を踏まえたプロジェクト・スキームの構築に

入り、国内外の教育・研究機関へ向けて次世代のバーチ

ャル・キャンパスのモデル創りのための展開方策を示し

ていく予定である。また、新しい教育提供モデルとして、

企業とのバリュー・チェーンを編成し、知識をいかに有

効化(Bytes of Knowledge化)し、さらに構成化し、受講者

に最適化して提供していくかというテーマをもとにした

ビジネス・モデルの検討に入っている。

AMLプロジェクトでは、主に「教育方法開発グループ」

と「新教育基盤開発グループ」の体制で推進している。ま

た、米国スタンフォード大学で協調教育方法を提唱し実

践しているPBL(Project Based Learning)研究所との提携強

化を進め、その方法論を一部に採り入れている。各

WP(ワーキング・パッケージ)は以下のとおりである。

*WP1 新製品開発プロジェクト協調型演習グループ

*WP2 グローバル・コンカレント・エンジニアリング

AMLプロジェクトの体制

AMLプロジェクトの目標と課題

AMLプロジェクトの主な目標は、社会や経済の環境変

化に適応可能な教育方法を実現し、学生の総合的なスキ

ルを高めることにある。特に個別の学問領域を伝統的な

講義形式のみで学ぶ弊害を排除し、社会・経済はプロセ

ス連携しているという当然の前提に立つことにより、解

決手法を導き出す。

それらのプロセスに対応した連携・問題解決方法を学

習するための手段として、バーチャルな企業環境を学内

に構築し、現実の業務および業務プロセスを体得可能な

教育環境を整備し、併せて複数の教育提供方法を連携さ

せた総合的な学習環境を構築することにある。 (図2)

それらを実現するための教育システムとして、主に教

育・教材DB、各種教育アプリケーション(各教育提供シ

(CE)協調型演習グループ

*WP3 生販物統合化情報システム協調型演習グループ

*WP4 グローバル・サプライチェーン・マネジメント

(SCM)協調型演習グループ

*WP5 集合教育型遠隔授業システムによる教育方法開

発グループ

*WP6 一貫教育におけるマルチメディア型総合学習グ

ループ

*WP7 新教育基盤開発グループ (図1)

ステム)、各種教育支援アプリケーション、各業務の利

用プロダクト(ERPソフトウェア、シミュレータ、プロ

ジェクト・マネジメント・ツール、開発ツール)の適用お

よび開発を実施する。

将来、上記のような教育システムの開発に合わせてそ

れらの教育を円滑に実現するための、教員サポート・セ

ンター、新教育教材開発センター、教材提供センターの

運用が望まれる。

上記目的実現のためには、個別の大学のみで一貫した

システムをつくりあげるのは不可能である。実現に当た

ってはグローバル・レベルで各大学、研究機関、企業に

て実施中の各機能と連携することが現実的である。主に

教材の相互利用、教員サポート・センターなどの機能に

関しては大学間でのネットワーク化を進め、改めて次期

プロジェクトの実行に移す必要がある。来年度よりこの

プロジェクト成果の公開を含めた議論の場をコンソーシ

アムとして立ち上げる準備をしている。

また、開発した成果の展開に関しては、TLOなどの機

関を通し展開を図るとともに、企業からの受託研究体制

の早急な準備も併せて必要となる。

主な実施内容(WP1~WP4)

教育方法の研究開発と実証に関しては、単にインター

新しい教育方法�

実験環境(教育環境:教室、ネットワーク、サーバ・クライアント)�

実証実験(新教育方法の有効性検証のための模擬授業・演習)�

教育情報基盤�システム�

教育用ソフトウェア(機能開発)�

教材(テキスト、デジタル教材、�データ教材)�

図2 AMLプロジェクトの目標

サイバービジネス�

協調型演習の教育方法�

WP7 新教育基盤開発[日本ユニシス]�

WP6マルチメディア型一貫教育�

WP1�新製品開�発プロジ�ェクト�

オフィック�ス� SAP ジャパン�

スタンフ�ォード�大学�

総合学習:�初等部の「調べ学習」�

大日本印刷�

WP2�グロー�バル�CE

WP4�グロー�バル�SCM

WP5�集合教�育型遠�隔授業�システ�ム�

WP3�製販物�統合情�報シス�テム�

図1 AMLプロジェクトの組織体制

業務�

他の�サイト�

他の�サイト�

他の�知識�DB/�サイト�

他の�学内�サイト�

配信�ビジネ�スとの�連携�

メディア・ラボ(バーチャル・カンパニー)� コンテンツDBセンター�

XML文書管理基盤�

演習講習センター�

集合教育� 自習教育� 教務システム�

業務�

受講支援�

業務プロセス�

他の教育提供システムとの連携�イントラ(教員サービス)�

イントラ(学生サービス)�

公開ホームページ�

WWWサーバ室�

協調演習�システム�

プロジェクト�管理システ�ム�

シナリオ�作成シス�テム�

運営支援�

業務�

収集�機能�

配信�機能�

開発環境�

業務�業務�業務�

講師/受講者� 管理者�

WEBブラウザ�

WEBサーバ�

CORBA

XML

教育管理機能�教育共通機能�協調型演習教育機能�

今後の教育機能�集合教育、自己学習、...� 文書管理機能�

HTTP

HTTP

IIOP

シナリオ作成機能�ネットワーク会議�

クライアント�

サーバ�

サイバー�ビジネス�協調型演習�機能/�一貫教育�機能�

新教育基盤システム�

図3 全体概要イメージ図

図4 新教育基盤機能全体図

ネットを利用した遠隔教育環境と教材を提供する仕組み

を提供するものではなく、提供方法・教員・教員支援・受

講側のレベル・受講者支援・教材・支援システム・ITが総合

的に連携した環境において実施する。

●教育対象モデル

教育対象モデルとしては、基本的に製造業のバーチャ

ル環境とリアル環境との連携を伴うマネジメント・モデ

ル(玉木 欽也版)をベースとしたバーチャル空間を構築す

る。 (図3・図4)

●対象業務

対象業務としては、製品開発プロセス、その製品開発

に関連したコンカレント・エンジニアリング、生産・物

流・販売の統合化、サプライチェーン・マネジメントに関

係した業務プロセスを想定する。対象とする仮想製品は、

学生に馴染みやすいノート型PCをケーススタディとし

て取り上げている。

理工学部�

集合教育LAN

サーバ室�・サーバ群�

理科室�・一貫教育端末群�

801研究室�・協調演習端末�

企業�

Stanford Unv

UCB Unv

Georgia Tec Unv

インターネット�

②集合教育�

①協調型演習�

③一貫教育�

8号館�

総研ビル�

ACCLAN

802研究室�・協調演習端末�

7階ACC企画室�・各種サーバ�・協調演習端末�

6階ACCコンピュータルーム�・端末群�

6階ACCスタッフルーム�・各種サーバ�

7階研究室�・講師端末�

初等部� 全学LAN

初等部LAN

ACCLAN

図5 物理配置図

●教育提供形態

このサイバービジネス協調型演習の教育方法

(WP1.2.3)では、3タイプの授業・演習の提供形態を組み

合わせる。

①「協調グループ型(Collaboration)」:プロジェクト型の演

習の進行であり、仮想プロジェクトチームを編成させ

て一貫した演習テーマの中でそれぞれの学生は異なっ

た業務担当者の役割を果たし、個々の領域を学ぶとと

もに総合的なテーマに関しても同時に学ぶ。

②「集合教育型(On Demand)」:ITを利用した授業形式で

以降は�製・販・物�SCM�の領域�

マーケティング・リサーチ(MR)�

新製品企画�

市場調査� カスタマ情報収集� カスタマ情報分析� カスタマ情報加工� 製品評価�

3.1MR施策計画�3.1.1計画策定�3.1.2MR対象選定�3.1.3MR施策案�3.1.4対象アクイジション�

1.3.1ポジショニング�1.3.2セグメンテーション�1.3.34P決定�1.3.4ポーターモデル�1.3.5マーケット総量・シェア�1.3.6価格ゾーン�

1.5.1形状�1.5.2デザイン�1.5.3外観色�1.5.4表示装置�1.5.5プロセッサ�

1.5.6メモリ容量�1.5.7ディスク装置�1.5.8CD-ROM�1.5.9フロッピー�1.5.10モデム�

2.1.1形状�2.1.2デザイン�2.1.3外観色�2.1.4表示装置�2.1.5プロセッサ�2.1.6メモリ容量�2.1.7ディスク装置�2.1.8CD-ROM�2.1.9フロッピー�2.1.10モデム�

2.2.1CPU配置�2.2.2メモリ配置�2.2.3Disk配置�2.2.4CD配置�2.2.5FD配置�2.2.6モデム配置�2.2.7干渉チェック�2.2.8基本仕様�   の決定��

2.3.1仕様理解�2.3.2図面作成�

1.4.1ビジョン決め�1.4.2製品コンセプトの決定�

DTP

各APをキックするAPIを持つ�

PDM(コンフィグレーション管理)図面/文書/部品表他�

各種File保持(XML)�

SWは一般的に言われているものを記述�具体的にどのSWで実装かはこれ以降�

MR分析� 3D CAD 2D CAD

3.2MR施策実施�3.2.1施策手段�3.2.2施策実施�

支援AP�

マーケット・リサーチ(WP1),�新製品企画(WP1),�基本詳細設計(WP2)�に絞って記述�

新製品開発フロー�対象品はノート型PC

Stanford�Univ.�Layer 現Stanfordは4サーバ� HIGH FIVE PBL(Problem,Project,Product,Process,People Based LearningTM)�

教育内容である新商品開発フロー�

基盤SW�

教育コース�

1.3市場分析�

1.4製品戦略策定�

1.5意匠設計�

1.6.1目標売上高の設定�1.6.2目標利益の決定�1.6.3原価見積�1.6.4目標原価検討�1.6.5予算編成�

1.6.6経営指標分析�1.6.7プロジェクト投資評価�1.6.8開発日程の決定�1.6.9プロジェクト投資案決定�

1.7.1製品コンセプトの説明�1.7.2意匠の説明�1.7.3事業計画の説明�1.7.4製品コンセプトの承認�1.7.5意匠の承認�1.7.6事業計画の承認�

1.6事業計画� 1.7企画デザインレビュー�

2.5.1製品仕様承認�2.5.2最終事業計画承認�2.5.3品質承認�2.5.4市場投入日程承認�

2.5最終デザインレビュー�

基本詳細設計�

2.2製品レイアウト�

2.4.1金型設計�2.4.2部品製作�   方法の検討�2.4.3デジタル・�   モックアップ�2.4.4試作準備�2.4.5試作�2.4.6試作評価�

2.3詳細設計�

2.1部品選択� 2.4生産設計�

API API API

DB

APIAPI

ビデオ�会議� ビデオ会議�

市場の理解�

・競合の理解�(シェア、価格、� 性能)�・市場動向�・トップからの� メッセージ�

シェア等の�情報はgiven

製品企画書案�(仕様)�

事業計画書� 部品表(案)� 部品表、�2DCADデータ�

MR施策計画書�(案)�

製品評価レポート�試作品、�デジタルモデル�試作評価レポート�

基本仕様書、�3DCADモデル�

・製品全容図の� 理解�・各部位の理解�・用語の理解�・機能の理解�・製品技術動向� の理解�・商品開発プロ� セスの理解�(リードタイム)�

・ビジョン決め�・製品コンセプ� トの決定�

・形状(筺体)�・デザイン�・外観色�・表示装置�・プロセッサ�・メモリ容量�・ディスク装置�・CD-ROM�・フロッピー�・モデム�

・形状(筺体)�・デザイン�・外観色�・表示装置�・プロセッサ�・メモリ容量�・ディスク装置�・CD-ROM�・フロッピー�・モデム�

・CPU配置�・メモリ配置�・Disk配置�・CD配置�・FD配置�・モデム配置�・干渉チェック�・基本仕様の� 決定�

・仕様理解�・図面作成�

・金型設計�・部品製作方法� の検討�・デジタル� モックアップ�・試作準備�・試作�・試作評価�

・製品仕様承認�・最終事業計画� 承認�・品質承認�・市場投入日程� 承認�

・計画策定�・MR対象選定�・MR施策計画案�(時期、方法� 予定リサーチ数)�・アクイジション� プログラム�

・施策手段�(媒体確保、� 各種インフラ構� 築、分析手法)�・施策実施�(媒体出稿、� レスポンス、分析� データ集計)�

・製品コンセプ� トの説明�・意匠の説明�・事業計画の� 説明�・製品コンセプ� トの承認�・意匠の承認�・事業計画の� 承認�

・目標売上高の設定�・目標利益の決定�・原価見積�・目標原価検討�・予算編成�・経営指標分析�・プロジェクト投資評価�・開発日程の決定�・プロジェクト投資案� 決定�

・ポジショニング�・セグメンテー� ション�・4P決定�・ポーターモデル�・マーケット総量・� シェア�・価格ゾーン�(上代)�

商品構造の�理解�

市場分析� 製品戦略�策定�

意匠設計� 事業計画� 企画デザイン�レビュー�

最終デザイン�レビュー�

部品選択� 生産設計/�試作�

MR�施策計画�

MR�施策実施�

製品�レイアウト�

詳細設計�(図面作成)�

コマ�

科目�

授業内容詳細�

教材�

出力�

1W 1W 2W 3W 4W 5W 6W 7W 8W 9W 9W 10W MR1W MR2W

Net Show DBサーバ� WEBサーバ�

Net�Show

授業�シナリオ�

授業�記録�

電子�教材�

他�

基盤システム(UNISYS)�

図6 AML WP1、WP2の授業内容とアプリケーション機能

講義を受ける形態とともに、遠隔授業、自宅での自習

形態までを含む。

③「折衷型」:集合型で授業を受けることと、自習、小グ

ループでの協調型の演習を併用する。

●演習

受講者は、企業の各部門に従事しているそれぞれの業

務担当者として、新規の製品開発プロジェクトの計画に

小グループを構成して参加し、サイバービジネス環境で

経営業務・プロジェクト・マネジメント業務・各部門の業

務を学ばせる。これら演習では、学生間、教員と学生間、

さらに企業側アドバイザーと学生間でのプロジェクト進

行に関わるさまざまな連携とコミュニケーションをはじ

めとする業務調整能力、プレゼンテーション技術などが

必要となる。 (図5)

*ケース1:新製品開発プロジェクト協調型演習(WP1)

製造業における企業活動の中の新製品開発業務に焦点

を当て、前述の仮想企業を用いて、学生にこの新製品開

発プロジェクトに参加させる。実践的企画・開発環境を

提供することにより、製品の企画からマーケティング・

リサーチ、事業計画に至る一連のビジネス・プロセスを

体験させる。この演習では、新製品開発におけるプロセ

スの基本的な理解から、製品企画・事業計画立案に至る

実践的な演習を通して、総合的な見地からの基礎および

応用知識を学生に体得させるカリキュラムを提供し、求

められる教育効果・学習効果の測定を実施している。

この演習に当たっては、各受講者の連携を効果的に図

るために「新製品開発に関わる各種データベース」「各種

マルチメディア教材」「業務シミュレーション」「各種イン

タラクティブ教材」「掲示板」「画像配信」「ネットワーク会

議」「電子質問箱」「質問等管理」「双方向TV会議」「プロジ

ェクト管理」などの情報技術を利用する。

授業は9つのテーマを基本として構成する。

①市場の理解

②商品構造の理解

③市場分析

④製品戦略

⑤意匠設計

⑥事業計画

⑦マーケティング・リサーチ施策計画

⑧マーケティング・リサーチ施策実施 (図6)

DTP

PDM(コンフィグレーション管理)図面/文書/部品表他�

MR分析� 3D CAD 2D CAD支援AP�

教育内容である新商品開発フロー�

マーケティング・リサーチ�

市場調査�

新製品開発�

マーケット・リサーチ(WP1)、�新製品企画(WP1)、�基本詳細設計(WP2)、�に絞って記述�

新商品開発フロー�対象品はノート型PC

カスタマ情報収集� カスタマ情報分析� カスタマ情報加工� 営業評価�

MR施策�計画書(案)�

製品評価�レポート�

マーケティング�リサーチ�施策計画�

市場�分析� 製品戦略�

策定�意匠�設計�

部品�選択�

製品�レイアウト�

詳細�設計�

3D生産�設計�

試作品�

以降は�ERP�SCM�の領域�

事業�計画�

事業計画書�

基本詳細設計�

製品企画書�(仕様)� 部品表(案)�基本仕様書� 部品表� 試作評価�

レポート�

企画�デザイン�レビュー�

マーケティング�リサーチ�施策実施�

最終�デザイン�レビュー�

部品表�

SWは一般的に言われているものを記述�具体的にどのSWで実装かはこれ以降�

図7 AMLプロジェクトWP1、WP2のカリキュラムフロー

*ケース2:グローバル・コンカレント・エンジニアリング協調型演習(WP2)

製造企業において効果的な製品設計プロセスを実施す

ることは競争力向上の基本となる。中でもコンカレン

ト・エンジニアリングの起点となる「開発期間の短縮」「品

質向上」は重要である。したがって、その目標を達成す

るには設計部門だけの努力では不足であり、他部門との

迅速かつ効果的な連携が要求される。特にグローバルな

市場からの部品調達を担う購買部門、実際にモノ作りを

担当する生産部門との連携、特に製品企画と設計部門は

重要である。

本実証実験ではスタンフォード大学、UCバークレー、

ジョージア工科大学との共同演習を実施し、特に新製品

開発プロジェクト業務との情報共有やコラボレーション

環境で進めていくことを重要視する。学生各人がマルチ

メディア教材・インタラクティブ教材を利用しながら、

サイバー環境上に構築された仮想企業の中で、製品設計

業務を擬似的に体験することが前提となる。

その結果、講師側から要求される業務達成の目安とな

る成果物を、学生が能動的に作成することができるよう

にする。学生は仮想企業の一員として割り当てられた業

務を短期間に学習できるようになる。

これらは、新製品開発、生産工程の効率化を実施する

上で、現実的に企業内で起こり得る情況を仮想現実とし

て提示することにより、広範な視点から的確に問題点を

抽出し、解決できる人間を育成するための効果的な方法

を検証するものである。 (図7・図8)

*ケース3:グローバル・サプライチェーン・マネジメント(SCM)協調型演習

この演習では、前述の仮想企業の中でのPCの新製品

計画をケーススタディの対象としている。テーマとして

はグローバルSCMのビジネス・モデルを学習するもの

で、演習を通して、ITを手段として的確に活用しながら

全社的なSCM戦略を立案できるビジネス・リーダーを養

成することが目的となる。

授業・演習内容としては次の3つが中心となる。この

演習においても前述のコラボレーション・システムを利

図8 画面イメージ(From Documents to Workspaces-Shared Project Web Workspace)

サプライチェーンの最適化�

インフォメーションフロー�

仕入先�

部品在庫� 製品在庫�

キャッシュフロー� 物流�製造�

流通在庫�

モニター�本体� キーボード� マウス�

パソコン�部品表�

顧客�

図9 WP4のイメージ

用し、さらに仮想企業のベースとしてSAP R/3とSCMシ

ミュレータを活用する。

①新製品開発段階における部品調達戦略

②SCMの視点からみた販売管理業務プロセス

③SCMの視点からみた生販物

・PC製品の部品構成表に含まれるキーコンポーネント

ごとの部品特性の問題分析

・新製品開発段階におけるPC製品の部品構成表の改良

案策定

・販売管理業務プロセスのモデル化

・SCM思考販売業務プロセスのモデル化

・キーコンポーネントの最適化、地域、最適サプライヤ

ーの選定シミュレーション (図9)

プロジェクトの次期展開について

このプロジェクトは2000年1月に実験を完了するが、

それ以降、本格展開のためのプロジェクトとして新しい

体制での研究を含め、継続を予定している。プロジェク

トとしての主要なテーマは下記のとおりである。

①AOYAMAメディア・ラボ

企業業務のビジネス・プロセスおよびライフサイクル

に沿った業務機能(システム)を配置する。

システムとしては主に各プロダクト(SAP R/3システ

ム、プロジェクト・マネジメント・ツール、シミュレータ

などの企業の中の業務機能)を配置する。本ラボは新教

育システムの中核となるもので、将来は他の大学、企業

教育内容(マーケット・リサーチ、新製品企画等)�

支 援 A P

メディア・ラボ(バーチャル・カンパニー)�

生産プロジェクト�

マーケティング・プロジェクト�

ビジネスのライフサイクル・チェーンをベース�にした各ラボ機能による教材開発�

流通プロジェクト� エコ・プロジェクト�

市場調査・�

分析�

商品化・�

宣伝�

販売・�

受注� 出庫�

物流�

納品�

商品企画�

研究�

設計�

調達�

製造�

在庫�

請求�

入金�

保守�

廃棄�

仮想市場� 仮想メーカ・製品・部品� 仮想配送業者・ルート� ……� ERP(SAP)� シミュレータ�

共通基盤�ナレッジ・教材DB

図10 メディア・ラボのイメージ

との機能連携によるバーチャル・カンパニーを構成する

構想である。

また各業務機能は個々の研究所機能を果たし、次世代

の研究ラボとなりうる。 (図10)

②教育教材データベース・センター

教材を一元的に管理する。主にXML文書管理機能を中

核にし、機能としては教材を配信・収集する機能を持つ。

DBへのアクセスやダウンロードの際に認証を行う。

また教材を作成する際のツールの提供もここで行う。

本センターは将来企業との連携によるコンテンツ提供

(販売)センターとして、ECに必要な各機能を装備させた

上で、共同事業展開される。また、並行して知識DBお

よび知識マネジメントの機能も整備される。 (図11)

③総合演習センター

①の演習を実施する。本センターでは、プロジェク

ト・マネジメント機能をはじめとする教員側支援機能と

協調演習システムをはじめとする受講者側機能が配置さ

れ、本センター以外(海外も含む)と連携した教育環境を

提供する。(図12)

Business Structure for EEC

Bytes of�Knowledge �Store

Producer Tools

Content �Knowledge Producers

Clearinghouse of�Knowledge Bytes

Consumer�Tools

Learners�Knowledge Consumers

Learning Aggregator �Dynamic Broker(ing)

From Dr.Fruchter's presentation June 1999

Introduction�-Nihon Unisys�-Why I am Here ��Internet�Commerce�-Trends�-Needs and � Issues��IC businesses �-Trials �-Business�-Approach��Outsourcing �Services�-Horizontal�-Vertical��Electronic�Education �Commerce TM �-Knowledge � delivery �-Business� Structure ��Clearing�House service �for Public�Works �-Background� and plan�-Overview�-Business� Structute ��Conclusion�-CIFE to me� and Nihon � Unisys

Education Portal

Global Knowledge Portal Global People Portal

図11 Electronic Education Commerce :EECTM(Dr. Fruchter's TM under registration)概要図

図12 Going NationWide

David MurrayApprenticeStanford

Sergio MoyaConstructionManagerStanford

Kristy KinselApprenticeStanford

TeamPacific

Keith SolomonArchitectGeorgia Tech

Andrew Sparks, Structural Engineer Cal Poly