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Sustainability Report 2018 GRI Report 73 環境 マネジメント 地域社会 個人(お客様) 環境 水資源保護 基本的な考え方 ザ コカ・コーラ カンパニーは、2020年までに水資源の持続可能性におけるグローバル・リー ダーとなることを目標に掲げています。製造過程における水使用量削減(Reduce リデュース)、 製造過程で使用する水の循環(Recycle リサイクル)、地域の水源保護(Replenish リプレニッ シュ)の3つに取り組むことで、2020年までに全世界で製品および製造で使用した量と同等量の 水を自然に還元することを目指してきました。日本においては2016年末に還元率が100%を 超え、当初の予定から4年先行して、2020年の目標を達成しました。2017年にはこれをさらに 推し進めた結果、還元率は241%にまで増加しました。日本のコカ・コーラシステムでは引き続き、 この取り組みを継続・拡大していきます。 つくるときの水も、 ムダにしません。 つかったら、 きれいにして かえします。 水源調査 森づくり 雨量調査 水処理 排水管理 再利用 28.4 2012 2017

水資源保護 - Coca-Cola(Japan)Company...Sustainability Report 2018 RI Report 74 マネジメント 個人(お客様) 地域社会 環境 環境 水資源保護 Reduce 水使用量削減

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  • Sustainability Report 2018 GRI Report 73

    環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

    環境水資源保護

    基本的な考え方

    ザ コカ・コーラ カンパニーは、2020年までに水資源の持続可能性におけるグローバル・リー

    ダーとなることを目標に掲げています。製造過程における水使用量削減(Reduce リデュース)、

    製造過程で使用する水の循環(Recycle リサイクル)、地域の水源保護(Replenish リプレニッ

    シュ)の3つに取り組むことで、2020年までに全世界で製品および製造で使用した量と同等量の

    水を自然に還元することを目指してきました。日本においては2016年末に還元率が100%を

    超え、当初の予定から4年先行して、2020年の目標を達成しました。2017年にはこれをさらに

    推し進めた結果、還元率は241%にまで増加しました。日本のコカ・コーラシステムでは引き続き、

    この取り組みを継続・拡大していきます。

    つくるときの水も、ムダにしません。

    つかったら、きれいにしてかえします。

    水源調査森づくり 雨量調査

    水処理

    排水管理

    再利用

    28.4

    2012

    2017

  • Sustainability Report 2018 GRI Report 74

    環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

    環境水資源保護

    Reduce 水使用量削減

    全国のコカ・コーラシステムの工場では、世界共通で導入している独自のマネジメントシステム

    「KORE(Coca-Cola Operating Requirements)」の厳しい品質基準を遵守しながら、製造時に使

    用する水の効率化を進めています。2017年の実績としては製造における水使用量1,794万㎥、

    排水量1,294万㎥となりました。

    また、現在製品1Lを製造するのに平均3.76Lの水を使用していますが(2017年実績)、水使用効

    率はこの5年間で28.4%改善しました。今後も水の効率的利用、排水管理の取り組みを推進して

    いきます。

    水はお茶やコーヒーの抽出など製品そのものに使われるほか、容器やラインの洗浄・殺菌工程な

    どで使用されますが、製造工程における水の使用量の管理を徹底するとともに、使用した水の循

    環利用も行っています。

    水使用量の削減を実現する施策の実施例として、北陸コカ・コーラプロダクツの砺波工場や

    北海道コカ・コーラプロダクツの札幌工場、みちのくコカ・コーラボトリングの花巻工場では

    「エレクトロン・ビーム」殺菌システムを導入しています。これにより、空PETボトルの殺菌工

    程で薬剤を使用せず、洗浄水の大幅な削減が可能となります。

    また、コカ・コーラシステムの最先端の工場では、洗浄用の水や加熱用の水など、さまざまな工程

    で使われた水を、RO膜という特殊なフィルターに通して不純物を取り除くプロセスなどを通じ

    て、洗浄・加熱用等に再利用しています。

  • Sustainability Report 2018 GRI Report 75

    環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

    環境水資源保護

    Recycle 排水管理

    コカ・コーラシステムの工場では、容器や設備の洗浄水、冷却水などの排水は、適正に処理した後

    に下水道や河川に放流しています。下水道に放流する工場では、浮遊物の除去やpHの調整などを

    行い、法令や地域の下水道局から要請された基準を満たした上で放流しています。河川に放流す

    る工場では、微生物を使った「活性汚泥法」などによって工場敷地内で浄化し、国内法で定められ

    た水質基準(水質汚濁防止法など)とコカ・コーラシステム独自のマネジメントシステム「KORE

    (Coca-Cola Operating Requirements)」の基準を照らしあわせ、より厳しい方の基準によって

    管理しています。適正処理された水は必ず、一度工場敷地内の調整槽に蓄えられます。いくつも

    の工程を経て、万一にも適正に処理されていない水が敷地外へ流れ出ないよう、厳しく監視して

    います。

    これらの排水管理の取り組みにより、国内法および「KORE」の基準を継続して100%満たしてい

    ます。

    工場敷地内の調整槽

    排水管理の流れ

    水処理

    排水処理

    河川や下水道

    井水・上水・工業用水

    製品へ

    製造工程において、工場の床清掃などの用途に使用

    排水処理

    再利用

  • Sustainability Report 2018 GRI Report 76

    環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

    環境水資源保護

    北海道コカ・コーラボトリング株式会社札幌市白旗山での植樹活動

    コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社岐阜県恵那市中野方での田植え体験

    Replenish 水資源保護

    工場の水源特定と水源の脆弱性調査

    コカ・コーラシステムでは、製品および製造で使用した量と同等量の水を自然に還元するグロー

    バル目標の一環として、国内の工場水源の特定と水源の脆弱性を査定するための調査を実施し、

    科学的な調査結果に基づき水資源保護活動を計画的に行っています。

    専門機関の協力のもと工場の水源域を科学的な調査を通じて特定した上で水源の脆弱性を評価

    し、水源保護計画を策定しています。この水源保護計画は工場周辺のステークホルダーとの協

    調・協働を前提として策定され、各地の地域特性・自然環境特性に合った水源保護活動につなげ

    ていくことを目的としています。2012年末までに日本国内のコカ・コーラシステム全工場で水

    源の調査と保護計画の策定が完了しており、水資源保護計画については、水源エリアの自然環境

    が持続的に水を育み蓄える力を持ち続けていけるよう、土地や自然環境の特徴を踏まえた手法

    による水資源保護計画を策定しています。

    水資源保護計画に沿った取り組みの結果、全国21のコカ・コーラボトリング工場のうち、現在14の

    工場で水の還元率目標を達成しています。

    2016年には日本全体で、還元率が100%を超え、当初の予定に先行して2020年の目標を達成

    いたしました。2017年にはこれをさらに推し進めた結果、還元率は241%にまで増加しまし

    た。コカ・コーラシステムでは引き続き、この取り組みを継続・拡大していきます。

    水源を保護する活動

    コカ・コーラシステムでは、全国25ヵ所の工場水源域における水資源保護活動を行っています。

    北海道札幌市の白旗山での植樹や岐阜県恵那市での森林・棚田保護事業の取り組み、熊本県での

    阿蘇草原再生事業や水田湛水事業への参画など、ボトラー各社の工場水源域内として特定され

    た地域において、その地域特性に応じた、水資源保護活動を推進しています。

    2013年には日本コカ・コーラ株式会社と日本製紙グループが森林資源および水資源の保全・保

    護に関する中長期の協働活動協定を締結しました。協定の一環として、コカ・コーラ ボトラーズ

    ジャパン株式会社の水源地である群馬県片品村の日本製紙株式会社の社有林にて、水源保全に

    つながる地域の方の活動サポートや植樹活動、体験型の環境教育プログラムを実施しています。

  • Sustainability Report 2018 GRI Report 77

    環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

    環境水資源保護

    自動販売機を活用した「ヤンバルクイナ生態調査プロジェクト」

    水源域の自然環境保全および地域の生物多様性保全の取り組みとして、日本コカ・コーラ

    と沖縄コカ・コーラボトリング株式会社では、2010年5月より「NPO法人どうぶつたち

    の病院 沖縄」と協働でヤンバルクイナ※1の生態調査プロジェクトを行っています。

    このプロジェクトでは、沖縄コカ・コーラボトリング株式会社が提供した清涼飲料の自

    動販売機に、「NPO 法人どうぶつたちの病院 沖縄」がICレコーダー録音機を設置し、1日

    24時間、2,200日以上にわたりヤンバルクイナの鳴き声・時期・鳴き方などを録音して

    います。

    さらに、国立沖縄工場高等専門学校の協力を得て、同校の開発した技術により採取した

    膨大な音データの中からヤンバルクイナの鳴き声を電子処理により抽出することに成

    功し、「NPO 法人どうぶつたちの病院 沖縄」がその抽出された鳴き声データを調査・解

    析することにより、日本で初めて、地域の自然環境音からヤンバルクイナ保護のために

    必要な条件を抽出することに成功しました。

    今後この継続的な調査結果をもとに、「NPO 法人どうぶつたちの病院 沖縄」による、ヤン

    バルクイナが生息する周辺環境音や車両走行音などの人工音がヤンバルクイナの生活

    に与える影響を解明していくことで、多発傾向にあるヤンバルクイナの交通事故防止な

    どの対策に活用されることが期待されています。

    ※1 ヤンバルクイナは浦添工場の水資源であるヤン

    バル地域にのみ生息する国の天然記念物で、国内鳥

    類の中で絶滅に最も近いとされる鳥です

  • Sustainability Report 2018 GRI Report 78

    環境マネジメント 地域社会個人(お客様)

    環境水資源保護

    京都大学の水文学研究室に研究サンプルとしてミネラルウォーター製品を提供

    日本コカ・コーラは、ミネラルウォーター製品の水源域が科学的に特定されているとい

    う特徴を活かし、京都大学の水循環研究に協力し、PETボトル入りミネラルウォーター

    製品を研究サンプルとして提供しています。研究にあたる京都大学大学院農学研究科

    は、「研究においてはデータの信頼性が重要である。その意味で、全世界に同じ会社名で

    展開している企業が地下水を採取した場所やその水源地、時刻を保証することの意義は

    大きい。グローバル企業であるコカ・コーラ(コカ・コーラ社)からのミネラルウォーター

    提供で、信頼のおける地下水データを継続的に入手できる。地球規模での研究を進める

    うえで、その意義はかけがえのないものだ」と語っています。

    2013年7月以降、全国5ヵ所の工場で生産されたコカ・コーラシステムのミネラル

    ウォーター「い・ろ・は・す」および「森の水だより」を利用した研究が行われています。

    水文学研究では、雨水の安定同位体比情報(質量の異なる水分子の存在比率)をいわば

    「水指紋」として用いることで、大気中の水の循環を解明しています。ミネラルウォー

    ターの同位体比の地理的分布が明らかになれば、大気中および地下での水の蒸発、移

    動、凝結のプロセスや地下水資源の現状を知るうえで大きな手がかりとなると期待され

    ています。

    また、米国のコカ・コーラ財団では、この研究を含む京都大学院農学研究科の森林水文学

    研究に対して、助成を行っており、今後、京都大学と日本コカ・コーラ、およびコカ・コーラ

    財団は、水資源保全、水災害防止、気候変動抑制など、環境分野における現地観測・予測検

    証研究を通じて、持続可能な社会のあり方に関する課題に協働で取り組んでまいります。