8
─ 121 ─ はじめに バイステック,F.P. は、「ケースワークの原則-援助関係を形成する技法」において、ケー スワーカーの役割の中で、クライエントの話を聴く能力とクライエントを観る能力について次 のように述べている。 「クライエントが彼の経歴や感情を彼なりの方法で話すことができるようになれば、ケース ワーカーはクライエントについていっそう多くのことを理解することができるようになる。そ して、ワーカーはクライエントを、さまざまな家族との関係や地域とのつながりのなかで生き ている人として捉えることができるようになる。また、ワーカーは、クライエントをとり巻く 社会的状況を観察できるようになり、さらにクライエントを社会的状況との関連の中で、クラ イエントの感情や問題を理解することも可能になってゆく。」 注1 このように、クライエントの話を聴く能力、すなわち傾聴する力は、対人援助関係を形成す るうえで基本的かつ重要な位置付けにある。 本稿では、最初に、授業を通して学生が傾聴することの意義と傾聴する際の留意点について 学んだプロセスについて述べる。 次に、学生の感想文を紹介し、「お話を聴く会」を通じて学生が傾聴することから何を学ん 傾聴することを学び、傾聴することから学ぶ ─京都市上京老人福祉センター「お話を聴く会」の取組みから─ 佐藤順子 本稿は平成 24 年度社会福祉援助技術演習 2A において行った、傾聴することの意義と姿 勢を学ぶことをねらいとした授業の実践報告である。授業では、傾聴することの意義と傾聴 する際の留意点についての事前学習を経て、京都市上京老人福祉センターにおいて、同セン ター利用者の参加を得て「お話を聴く会」を 2 度にわたって開催した。 この取組みを通して、学生は傾聴することの大切さと傾聴するときに留意することなどを 学んだだけでなく、利用者の家族や地域のこと、故郷のことや戦争中の生活体験なども聴く ことができた。さらに、傾聴するという経験を通して、学生は利用者と援助者の間に存在す る対人援助関係の持つ双方向性-人と人との出会い-を形成することの大切さについて認識 する契機となったと言えよう。 キーワード:相談援助演習の教育目標・対人援助関係の形成・傾聴の技法・傾聴することか ら学ぶもの

傾聴することを学び、傾聴することから学ぶ - Bukkyo u · 2014. 4. 3. · ─ 122 ─ 傾聴することを学び、傾聴することから学ぶ ─京都市上京老人福祉センター「お話を聴く会」の取組みから─

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─ 121 ─

はじめに

バイステック,F.P. は、「ケースワークの原則-援助関係を形成する技法」において、ケー

スワーカーの役割の中で、クライエントの話を聴く能力とクライエントを観る能力について次

のように述べている。

「クライエントが彼の経歴や感情を彼なりの方法で話すことができるようになれば、ケース

ワーカーはクライエントについていっそう多くのことを理解することができるようになる。そ

して、ワーカーはクライエントを、さまざまな家族との関係や地域とのつながりのなかで生き

ている人として捉えることができるようになる。また、ワーカーは、クライエントをとり巻く

社会的状況を観察できるようになり、さらにクライエントを社会的状況との関連の中で、クラ

イエントの感情や問題を理解することも可能になってゆく。」注1

このように、クライエントの話を聴く能力、すなわち傾聴する力は、対人援助関係を形成す

るうえで基本的かつ重要な位置付けにある。

本稿では、最初に、授業を通して学生が傾聴することの意義と傾聴する際の留意点について

学んだプロセスについて述べる。

次に、学生の感想文を紹介し、「お話を聴く会」を通じて学生が傾聴することから何を学ん

傾聴することを学び、傾聴することから学ぶ─京都市上京老人福祉センター「お話を聴く会」の取組みから─

佐 藤 順 子〔 抄 録 〕

本稿は平成 24 年度社会福祉援助技術演習 2Aにおいて行った、傾聴することの意義と姿

勢を学ぶことをねらいとした授業の実践報告である。授業では、傾聴することの意義と傾聴

する際の留意点についての事前学習を経て、京都市上京老人福祉センターにおいて、同セン

ター利用者の参加を得て「お話を聴く会」を 2度にわたって開催した。

この取組みを通して、学生は傾聴することの大切さと傾聴するときに留意することなどを

学んだだけでなく、利用者の家族や地域のこと、故郷のことや戦争中の生活体験なども聴く

ことができた。さらに、傾聴するという経験を通して、学生は利用者と援助者の間に存在す

る対人援助関係の持つ双方向性-人と人との出会い-を形成することの大切さについて認識

する契機となったと言えよう。

キーワード:相談援助演習の教育目標・対人援助関係の形成・傾聴の技法・傾聴することか

ら学ぶもの

Page 2: 傾聴することを学び、傾聴することから学ぶ - Bukkyo u · 2014. 4. 3. · ─ 122 ─ 傾聴することを学び、傾聴することから学ぶ ─京都市上京老人福祉センター「お話を聴く会」の取組みから─

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傾聴することを学び、傾聴することから学ぶ ─京都市上京老人福祉センター「お話を聴く会」の取組みから─

だか、また、傾聴することが持つところの、対人援助関係を形成するための技法に留まらない、

人と人との出会いの重要性に対する学生の気づきについて考えたい。

Ⅰ 講義の流れと概要

本講義の概要について以下、順を追って紹介する。

第 1回 秋学期オリエンテーションー秋学期を通して身につけてほしい三つの力注2

①傾聴することの意義と姿勢を理解する力

②初対面の人とコミュニケーションをはかり、傾聴することができる力

③聴き取ったことを記録する力

第 2回 グループ討議:傾聴とはどのようなことか、また、どのようなことに留意すれば良

       いと思うか

第 3回 グループ討議の発表、講義注3

第 4 回 外部講師による講義

「社会福祉協議会における電話訪問事業注4 傾聴ボランティア育成の取組について」

講師 滋賀県草津市社会福祉協議会 担当職員

第 5回 ロールプレイを通して傾聴の場面についてのイメージを習得する

2 人一組になり、傾聴するときの留意点(話を聴くときの態度、問いかけ、相づち、

繰り返し、沈黙の技法など)について実際に体験する

第 6回 京都市上京老人福祉センターを見学し、同センター山口所長より施設概要、事業の

取組み注5 などについて講義を聴く

第 7回 「お話を聴く会」のチラシを 2人一組のグループ毎に作成する

第 8回 どのようなお話を聴くか、2人一組のグループ毎に話し合ってメモをしておく。

なお、役割分担として一人は主に話を聴き、一人は記録をとることとするが、話す

中で役割が変更することは差支えないとした。

第 9回 上京老人福祉センターで「お話を聴く会(第 1回)」に参加する

第10回         同上 (第 2回)

第11回 聴き取った内容の記録をまとめ、グループ毎にアルバムを作成する(資料 1参照)

第12回         同上

第13回 上京老人福祉センターを訪問し、聴き取りをさせて頂いた利用者にアルバムを手渡

第14回 秋学期の講義を通して学んだことについて発表する

第15回 「お話を聴く会」に参加した感想文を作成する

「お話を聴く会」は、写真 1の通り「佛大生とお話サロン」という名称で、上京老人福祉センター

内に掲示され、また、職員から個別に参加者を募って頂いた。参加者数は 2回にわたって延べ

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福祉教育開発センター紀要 第 11 号(2014 年 3 月)

─ 123 ─

12 名であった(写真 2参照)。

「上京老人福祉センター内に掲示されたお話を聴く会(佛大生とお話サロン)の案内」(写真 1)

「会場の様子」(写真 2)

「学生が作成したアルバムより抜粋」(資料 1)

〇〇さん

この前はいろいろなお話を聞かせてもらい、ありがとう

ございました。

終戦の時のお話には、とても驚きました。

〇〇さんのお話を聞いて、私も歴史を勉強しようと思い

ました!!

寒い日が続きますが、お体に気を付けて下さい。

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傾聴することを学び、傾聴することから学ぶ ─京都市上京老人福祉センター「お話を聴く会」の取組みから─

Ⅱ 学生の感想文から見えてくるもの-傾聴することを学び、傾聴することから学ぶ

次に、「お話を聴く会」に参加した学生の感想を以下、抜粋して紹介する。

感想文の記述は、(1)傾聴する上での姿勢について心がけたこと・大切にしたこと、(2)

傾聴することのむつかしさ、(3)傾聴することから学んだことについての 3つの視点から分

類した。なお、( )内は筆者の補足である。

(1)傾聴する上での姿勢について心がけたこと・大切にしたことについて

・傾聴という面で私が心がけたことは、(相手の)目を見て相づちをうつことである。共感す

ることもあったし、初めて聞いて驚く話もあったので、「興味を持って聴いている」という

姿勢を示せるように気をつけていた。そういう姿勢から相手の方も心を開いて、「自分の話

を聴いてくれる」と思ってもらえるきっかけになり、信頼関係を築くためにも大切なことだ

と思った。

・その人が話せる環境をうまく作り出してあげないといけないと思った。

・高齢者だけでなく、福祉分野全般において傾聴することは大切な支援の一つになると感じた。

(2)傾聴することのむつかしさについて

・「お話を聴く会」はたくさん勉強になったことがあった。まずは、傾聴の姿勢のむつかしさ

である。オーバーアクションで相づちを打つ、(相手の)目を見て話を聴くなどはすぐに実

践できたが、初対面の人と話をすることで、話の内容に加えて(聴き手が)質問したり、空

白の時間の合間に「〇〇なんですね」と会話を挟むのが難しかった。

・話を聴くということは、話をしてくれる人に対して「興味をもって聴くぞ」という姿勢で聴

かないと、相手に失礼だと思った。

・人によったら、自分からはあまり話さない人やずっと話続ける人など(お話をする人の)タ

イプがいろいろあるので、話をするときも考えながらしないといけないと思った。

・自分より何世代も上の人と話をするときには、ある程度、知識を身につけておかないといけ

ないと思った。その人の生きてこられた時代背景を知ってから、傾聴することが大切だと気

づいた。

(3)傾聴することから学んだことについて

・戦争中の食べ物や配給に地域間格差があった話など、教科書に載っていない話を聴けた。砂

糖や大豆がお米の代わりとして配られ、やみ市に行かないと生きられないといった状況に戦

争の怖さを知った。

・利用者は私たちに熱心に話をして下さって、たまに笑う笑顔がとても幸せそうだった。(私)

は今、楽しい暮らしをしているんだなと感じた。

・私たちが今便利だと思っているネットやケータイも、お年寄りからすればあまり良いと思っ

ていない人が多くて、便利すぎるのもあまり良くないと感じた。

・お年寄りは人と人とのつながりを大切にしているし、私たち若い世代が見習わないといけな

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福祉教育開発センター紀要 第 11 号(2014 年 3 月)

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いと思った。

・「お話を聴く会」で、利用者が「ここで出逢えたことはとても縁のあることだから、大切に

していかないとね」と言っておられたことはとても印象的であった。出会えた縁を大切に思っ

てくださる方がいること、アルバムをとても喜んでくださる方がいることはとても幸せなこ

とだと思う。

以上のように、「傾聴することは信頼関係を築くためにも大切」、「その人が話せる環境をう

まく作り出してあげないといけない」、「傾聴することは大切な支援の一つになる」といった、

傾聴する上での姿勢や大切さについて理解を深めた記述が見られた。

また、同時に、傾聴する姿勢のむつかしさとして、「興味をもって聴くぞ、という姿勢で聴

かないと、相手に失礼だと思った」、「質問したり、空白の時間の合間に『◯◯なんですね』と

会話を挟むのが難しかった」、「(お話をする人の)タイプがいろいろあるので、話をするとき

も考えながらしないといけない」、「その人の生きてこられた時代背景を知ってから、傾聴する

ことが大切だと気づいた」など、実際に傾聴にあたってどのような技法や知識が必要か、講義

だけでは得られなかった気づきを示す記述が見られた。

さて、社会福祉援助関係を形成する上で、「傾聴すること」の役割はバイステック. F. P. が

述べたように、「クライエントの感情や問題を理解する」ことにあることは言うまでもない。

と同時に、「傾聴すること」は話し手と聴き手が対話することの原点でもある。

稲沢公一は、援助関係について次のように指摘している「援助関係とは、援助を目的として

取り結ばれる人と人との関係である。すなわち、援助関係とは、もともと『援助を目的とする』

という側面と、『対人関係』という二つの構成要素を含んで成り立っている」注6。 

この指摘によると、援助関係を形成する技法の一つである「傾聴すること」は、同時に「対

人関係を取り結ぶこと」でもあると言えよう。

また、いぬい・たかしが「われわれが対話できるということは、自分が体験したことでない

ことをー自分の仲間の体験を、あたかも自分自身の体験であるかのごとく自分の中に組みこん

で、そして、これから選ぶ行為をより正しいものにすることができる」注7 と述べているように、

「お話を聴く会」の実践は学生にとって傾聴の技法を身につけることだけに留まらず、利用者

との対話によって学生がそれまで持っていた、自分自身に対する認識に変化をもたらしたもの

と言えよう。

例えば、「教科書では学べなかった戦争の怖さ」「ネットやケータイなど便利すぎるのもあま

り良くない」「今、楽しい暮らしをしている私」「人と人とのつながりを大切にする高齢者を見

習わないといけない」という気づきである。

そして、「出会えた縁を大切に思ってくださる方がいること、アルバムをとても喜んでくだ

さる方がいることはとても幸せなこと」という記述に見られるように、対人援助関係を形成す

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傾聴することを学び、傾聴することから学ぶ ─京都市上京老人福祉センター「お話を聴く会」の取組みから─

るための技法である「傾聴すること」の根幹をなすところの、人と人との出会いが持つ重みを

発見することが「傾聴することから学ぶこと」の収穫物であったと言えよう。

むすびにかえて

2007 年、社会福祉士法及び介護福祉士法の改正に伴って社会福祉士養成カリキュラムも新

たになり、時間数の増加だけでなく、名称もそれまでの社会福祉援助技術演習から相談援助演

習へと変更され注8、相談援助演習の内容についても具体的に示されている注9。

なかでも、上述してきたように、対人援助関係を築くための技法の基礎である、傾聴するこ

との意義と姿勢を学ぶことをねらいとした授業の取組みは、次の点を示したと言えよう。

すなわち、学生は援助相談技法である傾聴の習得にとどまらない新しい気づき-利用者の戦

争体験をはじめとする生活史や現在の生活、具体的には家族や地域との関係など-をも得るこ

とができ、さらには、学生は自身についての認識の転換をも体験したと言えよう。

このように、社会福祉実践における対人援助関係は、ソーシャルワーカーが利用者に対して

援助するというかたちで一方的に結ばれるものではなく、ソーシャルワーカーと利用者との双

方向的な関係性の上に成り立つものである。

そして、これらの関係性の上に、ソーシャルワーカー自身が自身の認識をも変化させて行く。

今後の社会福祉援助専門職の養成を考える上で、ソーシャルワーカーと利用者の関係性をど

のように捉えるかについて、実践的な方法を通して理解することをも教育目標の一つとして目

を配る必要があると考える。

注1 F. P. バイステック著 尾崎新・福田俊子・原田和幸訳(1996)「ケースワークの原則──援助関

係を形成する技法」(新版訳)誠信書房 42 ページより引用

2 本講義のシラバスでは、講義の目的・ねらいを以下の通り記載した。

社会福祉援助者に求められる豊かな人間性を育むために、福祉援助の対象となる人々の生活を理

解し、困難の背景とその環境を理解する力をつける。そのために援助対象となる人々の生活や労働、

人生等を含めた全体像を理解し、生活とは何か、生活を支える援助について考える。また、学生

が自分自身の生活と人生を振り返ることによって自己理解を深めることも目的とする。

3 講義で使用した教材として使用した文献は以下の通りである。

・野村 拓・垣田さち子・吉中丈志(2002)「聞きとってケア コミュニケーション(術)として

の庶民史」 

・ホームファミリーケア協会(2009)「新 傾聴ボランティアのすすめ──聴くことでできる社会

貢献」 三省堂 

4 社会福祉法人 滋賀県草津市社会福祉協議会では電話訪問事業を実施している。具体的には、独

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福祉教育開発センター紀要 第 11 号(2014 年 3 月)

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居高齢者などに対し、傾聴ボランティアが話し相手となって電話をかけ、また、場合によっては

訪問することにより、孤立や孤独、認知症を予防し、利用者が安心して日常生活をおくれるよう

に援助を行なっている。

平成 24 年 11 月現在、12 名の傾聴ボランティアが事業に登録し、活動している。

5 京都市上京老人福祉センターは老人福祉法第 20 条の 7にもとづいて設置され、社会福祉法人 京

都市社会福祉協議会によって運営されている。

 同センターの事業は以下の通りである。

①生きがいづくり

自由画、俳句、民謡、健康運動などの教養教室・歴史探訪などの教養講座・ボランティア講座・

世代間交流事業

②仲間づくり

書道や大正琴などの同好会活動・カラオケ、民謡などのつどい事業・体操やレクリエーション

を通して仲間づくり、健康づくりを行なう生きいきサロン

③健康づくり・介護予防事業(毎日のすこやか体操、簡易体力測定など)

平成 23 年度の延べ利用者数は 39,684 人で、一日平均利用者数は 135 人であった。

6 古川孝順・岩崎晋也・稲沢公一・児島亜紀子(2002)「援助するということ 社会福祉実践を支え

る価値規範を問う」有斐閣 175 頁より引用

7 いぬい・たかし(1974)「私の中の私たち 認識と行動の弁証法」いかだ社 50 頁より引用

8 カリキュラムの改正に伴う相談演習についての検討については中村剛(2011)「相談援助演習の

考え方と教育内容──実践力の育成に焦点を当てて」関西福祉大学 社会福祉学部論集 67 - 76

頁に詳しい。

9 厚生労働省によると、相談援助演習の内容に含まれ、実習を行なう前に学習を開始し、十分な学

習をしておく事項として、以下の項目が挙げられている。

ア 自己覚知

イ 基本的なコミュニケーション技術の習得

ウ 基本的な面接技術の習得

エ 次に掲げる具体的な課題別の相談援助事例(集団に対する相談援助事例を含む)を活用し、

総合的かつ包括的な援助について実践的に習得する。

・社会的排除

・虐待(児童・高齢者)

・家庭内暴力(DV)

・低所得・ホームレス

・その他の危機状態にある相談援助事例(権利擁護活動を含む)

オ エに掲げる事例を題材として、次に掲げる具体的な相談援助場面及び相談援助の過程を想定

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傾聴することを学び、傾聴することから学ぶ ─京都市上京老人福祉センター「お話を聴く会」の取組みから─

した実技指導を行うこと

・インテーク・アセスメント・プランニング・支援の実際・モニタリング・効果測定・終結と

アフターケアである。

但し、実習における学生のアチーブメントはそれぞれ異なることが想定され、実習前の相談援

助演習の学習と実習後の相談援助演習の学習の連続性はどのような方法で担保されればよいのか、

今後、検討が必要であろう。

参考文献F. P. バイステック著 尾崎新・福田俊子・原田和幸訳(1996)「ケースワークの原則──援助関係を

形成する技法」(新版訳)誠信書房 

古川孝順・岩崎晋也・稲沢公一・児島亜紀子(2002)「援助するということ 社会福祉実践を支える価

値規範を問う」有斐閣

ホームファミリーケア協会(2009)「新 傾聴ボランティアのすすめ──聴くことでできる社会貢献」

三省堂

野村拓・垣田さち子・吉中丈志(2002)「聞きとってケア コミュニケーション(術)としての庶民史」

社会福祉援助技術教育に関する委員会理論・演習部会(2008)「社会福祉援助技術演習(相談援助演習)

教育の課題及びカリキュラム案の検討について」2008 年度 全国社会福祉教育セミナー 資料

謝 辞

京都市上京老人福祉センター山口前所長をはじめ木下職員、「お話を聴く会」に参加して頂

いた利用者の皆さんに御礼申し上げます。

また、本稿に感想文およびアルバムを引用することを了解してくれた学生の皆さんに感謝し

ます。

(さとう じゅんこ  佛教大学福祉教育開発センター)