14
総合都市研究第 72 2000 阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 1. はじめに 2. 既往の調査研究 3. 阪神・淡路大震災とその復旧・復興フロー図 4. 阪神・淡路大震災の各被害の消長 5. 過去の震災における事例 6. 調査結果の比較・検討 7. おわりに 荏本孝久# 205 蓮池大悟H 天国邦博付事 望月利男**** 震災の規模すなわち震災が地域社会に与えるダメージは、地震動の大きさや地震動によ る直接の震害の被害量とは必ずしも一致しない。今後の震災予防を考える上で、震災を著 しく拡大した要因を過去の事例から抽出することは極めて重要である。最近の地震災害は 直接被害だけでなく、様々な被害が間接的に影響を受け合い、過去の地震と比べても被害 が長期化する傾向が明瞭となっている。特に今後の震災予防にとって災害の消長の時間的 推移が重要であると考えられる。 これまでの関東大震災、福井地震、新潟地震については、地震発生後 1 年程度の期間に ついて被害の時間的推移がすでに調査報告されている。本研究では、阪神・淡路大震災の 被害を整理し、各被害の波及構造について現在に至る約 5 年間の時間的推移を追跡調査し た。 淡路大震災と命名された。この地震において阪神 1 .はじめに 地区の被害は、想像を絶するものであり、この地 震発生と前後して、日本列島は地震活動期に入っ 1995 年兵庫県南部地震 (M7.2)では神戸・大 たと考えられている。 阪聞の阪神地区に衝撃的な被害を与えた。阪神・ 震災の規模すなわち震災が地域社会に与えるダ *神奈川大学工学部・東京都立大学都市研究所非常勤研究員 **神奈川大学大学院工学研究科(修士課程) ***東京都立大学大学院都市科学研究科(博士課程) 米本本*東京都立大学大学院都市科学研究科

阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207 がすでに調査報告されており、震災から1年程度の

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Page 1: 阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207 がすでに調査報告されており、震災から1年程度の

総合都市研究第72号 2000

阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査

1. はじめに

2. 既往の調査研究

3. 阪神・淡路大震災とその復旧・復興フロー図

4. 阪神・淡路大震災の各被害の消長

5. 過去の震災における事例

6. 調査結果の比較・検討

7. おわりに

荏本孝久#

205

蓮池 大 悟H

天国邦博付事

望月利男****

要 約

震災の規模すなわち震災が地域社会に与えるダメージは、地震動の大きさや地震動によ

る直接の震害の被害量とは必ずしも一致しない。今後の震災予防を考える上で、震災を著

しく拡大した要因を過去の事例から抽出することは極めて重要である。最近の地震災害は

直接被害だけでなく、様々な被害が間接的に影響を受け合い、過去の地震と比べても被害

が長期化する傾向が明瞭となっている。特に今後の震災予防にとって災害の消長の時間的

推移が重要であると考えられる。

これまでの関東大震災、福井地震、新潟地震については、地震発生後1年程度の期間に

ついて被害の時間的推移がすでに調査報告されている。本研究では、阪神・淡路大震災の

被害を整理し、各被害の波及構造について現在に至る約5年間の時間的推移を追跡調査し

た。

淡路大震災と命名された。この地震において阪神

1 .はじめに 地区の被害は、想像を絶するものであり、この地

震発生と前後して、日本列島は地震活動期に入っ

1995年兵庫県南部地震 (M7.2)では神戸・大 たと考えられている。

阪聞の阪神地区に衝撃的な被害を与えた。阪神・ 震災の規模すなわち震災が地域社会に与えるダ

*神奈川大学工学部・東京都立大学都市研究所非常勤研究員

**神奈川大学大学院工学研究科(修士課程)

***東京都立大学大学院都市科学研究科(博士課程)

米本本*東京都立大学大学院都市科学研究科

Page 2: 阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207 がすでに調査報告されており、震災から1年程度の

206 総合都市研究第72号 2000

表1 追跡調査項呂

調査項目行政の対応 国の対応

兵庫県の対応火災フイフフイン被害 ガス

電気

水道下水道電話

交通網被害 鉄道道路港湾

メージは、地震動の大きさや地震動による直接の

震害の被害量とは必ずしも一致しない。このよう

な現象は最近の近代的な大都市を直撃する地震災

害を考えると、直感的にイメージすることができ

る。その理由としては、個々の建築物の耐震性能

も然る事ながら、それ以上に当該地域の総体とし

ての耐震性能が大きく関与していることが考えら

れる。例えば、ライフライン施設で支えられる社

会生活、産業活動、ハイテク情報システムの拡大、

その地域の立地、地域計画の良否、当時の気象条

件、危険物の分布状況、震災に対する関係機関や

住民の対応、さらに産業基盤や時代背景までもが

直接間接に震災の大きさに影響を及ぼすことは充

分に予想される事である。従って今後の震災予防

を考える上で、地震発生後の被害の時系列的な推

移を記録にとどめ、これら様々な要因の中から震

災を著しく拡大した要因を過去の事例から抽出す

ることは極めて重要である。

地震災害で被害が発生したとき、その後、様々

な条件環境下で、被災地は復旧・復興に向けての

活動が行われていく。しかし、それぞれの機能の

完全な復旧あるいは復興の定義は簡単ではなく、生

活基盤、産業基盤の復旧・復興にはそれぞれ時間

がかかる。

阪神・淡路大震災でも震災から約5年が経過し、

都市再生、生活再建へ向けて各分野で復旧・復興

に関わる活動が行われてきた。しかし、復旧・復

興まで非常に時間がかかっており、今現在も行わ

ーーーーーー一 調査項目

住宅被害 避難所・避難者(待機所)仮設住宅

住宅

産業被害 酒造業ケミカルシューズ瓦製鉄造船

貿易

観光商業

報道機関被害 新聞社テレビ

れている。最近の地震災害は直接被害だけでなく、

様々な被害が間接的に影響を受け合い、過去の地

震と比べても被害が長期化する傾向が明瞭となっ

ている。

特に今後の震災対策あるいは、震災予防にとっ

て災害の消長の時間的推移が重要であると考えら

れる。

これまでに関東大震災、福井地震、新潟地震に

ついては地震発生後1年間程度の期間について被害

の時間的推移については調査、報告されている。本

研究では被害が長期化している阪神・淡路大震災

の被害を整理し、各被害の波及構造について、現

在に至る約5年間の時間的推移を追跡調査するもの

である。

2.既往の調査研究

過去に発生した被害地震の調査報告書は数多く

残されているが、被害の時系列的な推移について

まとめられたものは数少ない。東京都における震

災予防研究が始められた 1980年代位から地震被害

が地域に与えるダメージの大きさについて考察す

る上で、時間的推移を考慮することが不可欠であ

るとの観点から、考えられる震災のイメージから

この種の研究が進められている円)。

一方、実際に発生した過去の震災の事例として

阪神・淡路大震災以前に発生した関東大震災、福

井地震、新潟地震については、被害の時間的推移

Page 3: 阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207 がすでに調査報告されており、震災から1年程度の

荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207

がすでに調査報告されており、震災から 1年程度の

期間について震災が社会に与える影響についての

検討が行われているい7)。

阪神・淡路大震災についても、地震発生後約1年

間に至る震災関連新聞記事による震災事象の推移

についての検討8) や震災 20ヶ月間における災害の

全体像を発生から復旧・復興に向けての推移をイ

ベントマトリックスとし、把握するとともに震災

後の地域防災計画の改定の方向を分析することに

より、阪神・淡路大震災後の教訓を生かした防災

対策の基本的な方向を指摘した研究がされている九

また、このような被害の時間的推移の調査をも

とに、地震が発生した場合のシナリオを想定し、地

震発生直後から応急活動ごとに時間的推移が想定

され、被害想定がされている。さらに、震災の時

系列的変化を考慮して震災に及ぼす地域の自然環

境や社会環境の条件が極めて重要であるとの概念

から、これらの環境指標を用いて地域の地域防災

ポテンシャルを評価して地震対策に関連づけよう

とする研究が行われている10)。いずれにしても、震

害を地域社会との関連で考察する上で被害の時系

列的変化は極めて重要である。

3. 阪神・淡路大震災とその復旧・復興フ

ロー図

1)追跡調査項目

本研究で対象としている阪神・淡路大震災の地

域社会に与えるダメージの概要を把握するために、

阪神・淡路大震災による被害の消長に関わる時系

列的な変化について整理を行った。主に文献によ

る調査により、地震の概要と地震による被害の概

要をまとめ、これらとすでに調査報告されている

関東大震災、福井地震、新潟地震を参考にして、基

本的な追跡調査項目を決定した。追跡調査項目と

して決定したものは、表Iに示すように『行政の対

応』、『火災』、『ライフライン被害』、『交通網被害』、

『住宅被害』、『産業被害』、『報道機関被害』の 7つ

に大分類された 24項目である。

2)復旧・復興フロー図

復旧・復興フロー図とは、震災で生じた被害に

ついて復旧・復興までの被害事象を時間経過とと

もに連結し、波及構造を示す図である。阪神・淡

路大震災による 5年間の復旧・復興フロー図を図 1

~図5に示す。縦軸に本研究で追跡調査項目として

設定した震災で起きた主な被害を並べた。上から

下に向かつて、行政機関の対応、火災の消長、ラ

イフライン・交通機関の復旧状況、産業の復興状

況、避難状況、住宅の復興状況、報道経過などを

並べ、横軸にそれぞれの被害の時間的推移を示し

た。この復旧・復興フロー図により、各被害の復

旧・復興までの流れが理解できるようになってい

る。

作成には、追跡調査項目に関する被害事象を文

献から抽出し、それぞれを時間経過に沿って連結

する方法を取った。文献には阪神・淡路大震災に

関する表2に示した文献1)-6)を用いた12-1九最

初に参考文献1)-3)をもちいて地震発生日 (1995

年 1月 17日)から 1998年3月末までの大まかな

フロー図を作成した。また、参考文献 4)、5)に

より多少の補足を行った。

その後、参考文献 6)の神戸新聞の記事による

作成を行った。東京本社および大阪本社発行の読

売、朝日、毎日新聞を参考にして作成を試みたが、

情報が少なく作成を行う事ができなかった。その

ため地元の「神戸新聞jを使用することになった。

「神戸新聞」には、毎週もしくは隔週で阪神・淡路

大震災の復旧・復興に関する多くの出来事を詳細

にまとめた「週間日誌」が掲載されており、 1997

年3月24日から 1999年 11月21日までの「週間

日誌」を使用して詳細検討を行った上でフロー図

の作成を行った。

最終的には、図 1-図5に示すように、地震発生

日から 1999年 11月21日までの約5年間の復旧・

復興フロー図を 5つの期間に区分して作成した。

地震発生日から 3ヶ月間(図 1参照)の主な被害

事象は、

行政の対応の各本部である県災害対策本部、緊

急対策本部、現地対策本部の設置

地震発生から 2日目に大規模火災の鎮火

地震発生から6日目に電気、 13日目に電話、 84

日目にガスの復旧

Page 4: 阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207 がすでに調査報告されており、震災から1年程度の

208 総合都市研究第72号 2000

表2 フロー図作成使用文献

参考文献番号 文献名 使用期間

1 ) 阪神・淡路大震災復興誌[第1巻] 1995年1月17日-1996年3月31日

2) 阪神・淡路大震災復興誌[第2巻]1996年度版 1996年4月1日-1997年3月31日

3) 阪神・淡路大震災復興誌[第3巻]1997年度版 1997年4月1日-1998年3月31B

4) 阪神・淡路大震災被災地の“神戸"の記録

震災から約1年間一安全な社会づくりに向けた市民からのメッセージー

5) 阪神・淡路大震災誌ー1995年兵庫県南部地震 1995年1月17日-1996年3月30日

6) 神戸新聞『週間日誌』、『ニュースダイジェスト』 1997年3月24日-1999年11月21日

地震発生から 6日日に避難者数ピーク

2月2日より仮設住宅の入居開始

1月末に高速道路の応急復旧完了

3ヶ月後から 2年後(図 2参照)まででは、

地震発生から 90日目に水道が復旧

104日目に下水道が仮復旧

218日目に鉄道復旧

215日目に避難所すべて廃止、翌日に 12ヵ所

の待機所設置

8月 11日に 48.000戸の仮設住宅すべて完成

2年後から 3年後(図3参照)まででは、

地震発生から 804日目に神戸港復旧

業種、企業規模、地域による差があるものの、

97年度に産業が全体としては震災前の水準に

回復

97年度に製鉄業が、概ね震災前の水準に回復

3年後から 4年後(図4参照)まででは、

1430日日に被災地の待機所解消

98年度の神戸の観光客数が震災前に回復

4年後から 1999年 11月21日(図 5参照)までで

は、

1556日目に下水道、東灘処理場が復旧

1999年度内に仮設住宅解消予定と発表

などがあげられる。

4. 阪神・淡路大震災の各被害の消長

1)各被害の復旧・復興までの日数

阪神・淡路大震災復旧・復興フロー図をもとに、

追跡調査項目にあげた 24項目をさらに詳しく分類

した 30項目について、図6に示すように復旧・復

興までの日数を算出した。復旧・復興までの日数

を算出するにあたり、行政の対応についてはそれ

ぞれの対策本部の解消日、火災は大規模火災の鎮

火日、ライフライン被害、交通網被害については

復旧完了日、住宅被害については住宅の復興以外

の避難所・待機所・仮設住宅についてはそれぞれ

の解消日、産業被害については生産量・売上高な

と、が震災前の水準に回復した時点、報道機関被害

については制作状態が震災前の状態に戻った時点

で復旧・復興したと判断した。

まだ復旧・復興に至っていない項目、またはあ

る程度までの被害波及構造はわかっているものの

その後の波及構造が不明なものもあり、まだ完全

とは言えない状態となっている。ライフライン、交

通網被害に関しては、被害波及構造がわかってい

るが、産業については、産業構造の関連性が複雑

で分野別に差が大きく、完全には復興していない

ということもあるが、特に被害波及構造について

十分にはわからなかった。今後の課題といえる。

図6より、阪神・淡路大震災において、ライフラ

インなど都市機能は比較的早く復旧していること

が分かる。現在では、基盤施設の都市機能はほぼ

完全に復旧したと言える。しかし、産業や住宅の

復興にはなお多くの時聞がかかっていることが分

かる。産業に関しては今でも復旧・復興までには

至っていない。

Page 5: 阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207 がすでに調査報告されており、震災から1年程度の

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阪神淡路大震災復旧・復興フロー図(1)図1

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阪神淡路大震災復旧・復興フロー図 (2)図2

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阪神淡路大震災復旧・復興フロー図 (3)図3

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阪神淡路大震災復旧・復興フロー図 (4)図4

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政治社会関連

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阪神淡路大震災からの都市復興のための緊急蝿冨〈怠築学会〉

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阪神淡路大震災復旧・復興フロー図 (5)図5

Page 10: 阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207 がすでに調査報告されており、震災から1年程度の

214 総合都市研究第72号 2000

阪神・淡路大震災 (1995/1/17)

国緊急対簸本節

目聖書ZZEZi; 水道

下JS型~~l目iEZ

500 1 000 1 500

回融(日) (1999/11/21現在〕

図6 阪神・淡路大震災の復旧・復興

|】都野宮田監|

関東大震災 (1923/9/1)

14

500 1000 1500 日韓 (8) (軍誕から1年桂現在)

図7 関東大震災の復旧・復興

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500 1 000 1 500

日韓(臼) (震提から1年後現在〕

図8 福井地震の復旧・復興

ZILEI--↑二円ド一

2000 500 1 000 1500

回数(日) (震提から1年桂現在)

2000

図9 新潟地震の復旧・復興

ライフライン復旧の比較

2000

図10 ライフライン被害の比較

交通網被害の比較

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港湾「ーー

道路「一一ーーー 1

2000 • _ a a ,~ ,. 橿旧 彊興までの回数(日)※?のあるものは不明の潮崎がある

図11 交通網被害の比較

Page 11: 阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207 がすでに調査報告されており、震災から1年程度の

荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査

火災の比較

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図12 火災の比較

大分類ごとに大きく被害の復旧・復興までの日

数を見てみると、概ね

『地震動→構造物被害→火災→ライフライン被害→

放送機関被害→行政の対応→交通網被害→住宅被

害→産業被害』

の順に復旧・復興している。住宅および産業に関

しては特出して被害が長期化していることが分か

る。

また、図 1-図5に示したフロー図の破線で表し

た影響を見ると分かるように、様々な被害が影響

を受け合っていることが分かる。水道の断水・漏

水は火災の消火活動、ガスの復旧活動に間接的に

影響を与え、道路の通行止め・渋滞により各ライ

フラインの復旧作業や救援活動などに多くの影響

を与えた。また、さらにはライフライン被害の影

響が産業にも被害を及ぼした。その一方では、電

気が復旧することにより、火災が起きる通電火災

が発生した例もある。このような被害の相互の関

連性が前述の復旧・復興までの日数に大きく影響

したことは明らかであろう。

しかし、今回の各被害の因果関係に関する調査

は不十分である。今後、さらに調査を行い、因果

関係が明らかになれば、被害の波及構造をさらに

明らかにすることが可能になると思われる。

215

報道機関被害の比較

一」50 100 150 200

橿旧 橿興までの回数(日〕 ※つのあるものは不酬の期聞がある

図13 報道機関被害の比較

また、関東大震災、福井地震、新潟地震のフロー

図とさらに若干の調査を行い、図7-図9に示すよ

うに、復旧・復興までの日数を算出し、阪神・淡

路大震災とこれら3地震との比較も行った。しかし、

この3地震の資料が少なく、すべての項目に関して

の比較は行うことが出来なかった。特に産業に関

する資料はなく、比較することは現時点では不可

能であった。

5.過去の震災における事例

図10-図13は、阪神・淡路大震災、関東大震災、

福井地震、新潟地震の震災における 1年間の被害の

時系列推移を示した既往の調査結果から抽出した

復旧・復興に関わる日数を示したものである。

これらの震災における結果と、阪神・淡路大震

災の調査を比較すると、図10-図13に示すように、

阪神・淡路大震災では、ガス、水道、電気などの

ライフラインに関しては、他の地震と比べてもほ

ぼ同じぐらい、もしくは阜く復旧していることが

わかる。それに対して、鉄道、道路、港湾などの

交通網の復旧に時間がかかっていたことがわかる。

火災に関しては、他の地震と比べても早く消火さ

れている。また、報道機関被害の新聞社も他の地

震よりも早く復旧している。

阪神・淡路大震災におけるガス、水道、電気な

Page 12: 阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207 がすでに調査報告されており、震災から1年程度の

216 総合都市研究第72号 2000

どのライフラインなど復旧が早かった被害は、な

ぜ復旧が早かったのか今後さらに調査が必要であ

る。また、同じく鉄道、道路、港湾などの交通網

の復旧がなぜ遅れてしまったのかの要因を解明す

ることが重要と思われる。今後さらに、このよう

な追跡調査を続けていき、震災を著しく拡大した

要因、逆に震災の防止に著しく効果のあった要因

が抽出できれば、地震が発生したときに被害を最

小限に押さえることができ、震災予防や被害の波

及構造を含めた被害量評価に結び付けることがで

きるものと思われる。

6.調査結果の比較・検討

今後の震災予防を考える上で、震災を著しく拡

大した要因を過去の事例から抽出することは極め

て重要である。最近の地震災害では過去の地震と

比べても被害が長期化する傾向が明瞭となってい

るため、特に災害の消長の時間的推移が重要であ

ると考えられる。

本研究では阪神・淡路大震災の被害を整理し、各

被害の波及構造について現在に至る約5年間の時間

的推移を追跡調査した。

この結果、各被害の時間的推移を復旧・復興フ

ロー図にまとめた。フロー図の作成により、阪神・

淡路大震災における以下のことがわかった。

・各被害の時間的推移

-各被害の関連性

・各被害の復旧・復興までの日数

本研究では、これらをもとに各被害の復旧・復

興までの日数について比較・検討を行った。阪神・

淡路大震災においてはライフラインなど都市機能

は比較的早く復旧している。現在では、基盤施設

の都市機能はほぼ完全に復旧したといえる。逆に

産業や住宅の復興には時聞がかかった。産業に関

しては今でも復興には至っていない。

また、阪神・淡路大震災と既に調査されていた

過去の震災の事例である 1923年関東大震災、 1948

年福井地震、 1964年新潟地震との比較も行った。

ガス、水道、電気などのライフラインに関しては、

他の地震と比べてもほぼ同じぐらい、もしくは早

く復旧している。それに対して、鉄道、道路、港

湾などの交通網の復旧に時聞がかかっていた。こ

のことは生活・産業の復旧・復興の長期化も合わ

せて阪神地域の立地条件と、都市機能の高度化に

よるものと思われるが、今後さらなる検討を必要

とする。

7. おわりに

本研究では、今後の震災予防において、災害の

消長の時間的推移が重要であるとの観点から、阪

神・淡路大震災後5年間の被害の時系列追跡調査を

行った。ここで、整理および作成したフロー図に

より、ライフライン、交通網などの都市機能の復

旧については、概括的な外枠について十分整理す

ることができたと思われるが、産業構造を含む詳

細な都市構造の復興過程に関しての分析は不十分

である。また、それぞれの被害の因果関係も付け

加えていく必要がある。そのため、さらにフロー

図作成は新聞などの文献を使用し、継続して行っ

ていく必要がある。

今後、このような追跡調査を継続し、震災を著

しく拡大した要因、逆に震災の防止に著しく効果

のあった要因を明らかにし、震災予防や被害の波

及構造を含めた被害量評価に結び付けることが重

要であると考えている。

参考文献

1)中林一樹「地震が地域社会に与えるダメージとして

の“被害の大きさ"についてJ,W総合都市研究Jl5,

1978.

2)中林一樹「地震が地域社会に与えたダメージとその

地域特性について -1978年宮城県沖自身を例と

して-J, W総合都市研究Jl8, 1979.

3)中林一樹「地震による都市的災害の様相に関する基

礎的考察J,W総合都市研究Jl14, 1981.

4)瀬尾和大・佐間野隆憲「震災が地域社会に及ぼす影

響 その1.一関東大震災(1923)における事例研

究一J,W建築防災Jl1986. 9.

5)瀬尾和大・佐間野隆憲、「震災が地域社会に及ぼす影

響 その 2.一福井地震(1948)における事例研究

J, W建築防災Jl1986. 10.

6)瀬尾和大・佐間野隆憲「震災が地域社会に及ぼす影

Page 13: 阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207 がすでに調査報告されており、震災から1年程度の

荏本・蓮池・天国・望月・阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 217

響 その3一新潟地震 (1964)における事例研究

-J, r建築防災Jl1986. 11

7)瀬尾和大・佐間野隆憲「震災が地域社会に及ぼす影

響 その 4. 現時点での総括-J, r建築防災』

1986. 12

8)荏本孝久・望月利男「阪神・淡路大震災に関わる新

聞記事情報の整理 震災の時系列分析に向けてJ,

『地域安全学会論文報告書Jl1996. 11.

9)中林一樹「阪神・淡路大震災の全体像と防災対策の

方向J,r総合都市研究Jl61, 1996.

10)天国邦博・荏本孝久・望月利男「地震防災ポテンシャ

ルの評価手法に関する基礎的研究一都市特性と被害

量による定量評価-J, r総合都市研究Jl61, 1996.

11) 震災復興調査研究委員会編『阪神・淡路大震災復興

誌[第1巻JJl(財)21世紀ひょうご創造協会, 1997.

3.

12)震災復興調査研究委員会編『阪神・淡路大震災復興

誌[第2巻J1996年度版Jl(財)21世紀ひょうご創

造協会, 1998. 3.

13)震災復興調査研究委員会編『阪神・淡路大震災復興

誌[第3巻J1997年度版Jl(財)阪神・淡路大震災

記念協会, 1999. 3

14) 1.17神戸の教訓|を伝える会編『阪神・淡路大震災

被災地の“神戸"の記録 一安全な社会づくりに向

けた市民からのメッセージ Jl (株)ぎょうせい,

1996.

15)朝日新聞大阪本社阪神・淡路大震災誌編集委員会編

『阪神・淡路大震災誌-1995年兵庫県南部地震』朝

日新聞社, 1996.

16) r神戸新聞』神戸新聞社, 1997. 4. 1.-1999. 11. 23.

Key Words (キー・ワード)

The 1995 Hanshin-Awaji Great Seismic Disaster (1995年阪神・淡路大震

災), Time Historical Follow-up Survey of Damage Aspects (被害の時系列

追跡調査), Indirect Functional Interaction of Seismic Damages (被害の関

連性), Seismic Damage Transition Period (震災の推移期間)

Page 14: 阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査荏本・蓮池・天国・望月:阪神・淡路大震災における被害の時系列追跡調査 207 がすでに調査報告されており、震災から1年程度の

218 総合都市研究第72号 2000

Summary on Time Historical Follow-up Survey for Damage Aspects due to the

1995 Hanshin-Awaji Great Seismic Disaster

Takahisa Enomoto七DaigoHasuike * *, Kunihiro Amakuni * * * and Toshio Mochizuki *叫*

*Faculty of Engineering, Kanagawa University **Graduate Student, Kanagawa University

判事GraduateStudent, Tokyo Metropolitan University

****Graduate School of Urban Science, Tokyo Metropolitan University Comprehensive Urban Studies, No.72, 2000, pp.205-218

The scale of seismic disaster, name1y the total damages which were influenced into the

regional society due to the seismic strong motions or the volumes of direct damages for the

structures, for example bui1dings, roads and manufacturing facilities and so on, affected by the strong motions. Considering on the future seismic disaster mitigation, it is very important to follow-up and pock-up the main factors which were strongly influenced into the seismic disaster

spreading in the past bigearthquake disasters. In recent earthquake damages, it's very c1ear

tendency that the disaster period exceed much longer than the past earthquake disaster period

due to not only the direct damages but also the indirect functional interactions between the

mu1tiple damage aspects. Especially, it's very important for the future seismic disaster

mitigation to survey and summarize the time historical transition concerned to the ups and

downs in the several seismic disaster aspects.

Unti1 now, there were several research works on the imaginary processings and

considerations about seismic disaster transition or scenario against to the seismic disaster

mitigation. And also in the 1923 Great Kanto Earthquake, the 1948 Fukui Earthquake and 1964 Niigata Earthquake, the time historical transition of damage aspects during one year after the

respective destructive earthquakes were already summarized and reported. In this paper, we have done the follow-up survey and summarized the time historical transition of damage aspects

due to the 1995 Hanshin-Awaji Great Seismic Disaster during five years in order to pick-up the

main factors and to cosider the future seismic disaster mitigation.