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鉱物資源マテリアル・フロー 2005 平成 17 12 調査協力:社団法人メタル経済研究所 平成 17 年度 情報収集事業報告書 第5号

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鉱物資源マテリアル・フロー 2005

平成 17 年 12 月

調査協力:社団法人メタル経済研究所

平成 17 年度 情報収集事業報告書

第 5号

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はじめに IT 革命の進展、環境型社会構築に向けての意識改革や各種規制の強化等をはじめと

する 21 世紀の社会経済構造改革による鉱物資源に対する新規需要の増大、リサイクル

の重要性等、資源を巡る環境は大きく変化している。これら鉱物資源を安定的に供給

するためには、その需給の状況・動向等を的確に把握し、マテリアル・フローとして

資源の包括的なマテリアル・バランスの構築が不可欠である。 本報告書は、このような状況を踏まえ、銅、鉛、亜鉛、金、レアメタル等以下に示

す 40 鉱種を対象に、我が国に鉱物資源がどのような形態で輸入され、加工・製品化さ

れ、リサイクルされているかを調査分析し、鉱種毎のマテリアルフローを作成しとり

まとめたものである。 銅、鉛、亜鉛、金、銀、アルミニウム、鉄、マグネシウム、錫、ニッケル、クロム、

マンガン、コバルト、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、タンタル、

ゲルマニウム、ストロンチウム、アンチモン、プラチナ、パラジウム、チタン、ベ

リリウム、ジルコニウム、レニウム、リチウム、ホウ素、ガリウム、バリウム、セ

レン、テルル、ビスマス、インジウム、セシウム、ルビジウム、タリウム、ハフニ

ウム、レア・アース

なお、本調査については、鉱物資源のマテリアルフロー分析に関する調査研究等に

優れた実績を持つ社団法人メタル経済研究所の協力を得て実施したものであり、同研

究所関係者に感謝申し上げます。

最後に、本報告書が関係各位の参考となれば幸いです。

平成 17 年 12 月

独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構

金属資源開発調査企画グループ

おことわり:本報告書の内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源

機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の

努力を行ってはおりますが、本報告書の内容に誤りのある可能性もあります。本報告

書に基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機

構及び執筆者は何らの責任を負いかねます。

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-i-

鉱物資源マテリアル・フロー 2005

目 次 はじめに 1. 銅(Cu) 1.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 1 1.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 3

2. 鉛(Pb) 2.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 7 2.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 8

3. 亜鉛(Zn) 3.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 11 3.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 12

4. 金(Au) 4.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 15 4.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 17

5. 銀(Ag) 5.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 21 5.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 23

6. アルミニウム(Al) 6.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 27 6.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 28

7. 鉄(Fe) 7.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 31 7.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 33

8. マグネシウム(Mg) 8.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 37 8.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 38

9. 錫(Sn) 9.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 41 9.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 43

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-ii-

10. ニッケル(Ni) 10.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 47 10.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 48

11. クロム(Cr) 11.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 51 11.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 52

12. マンガン(Mn) 12.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 57 12.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 58

13. コバルト(Co) 13.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 63 13.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 65

14. タングステン(W) 14.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 71 14.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 72

15. モリブデン(Mo) 15.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 77 15.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 78

16. バナジウム(V) 16.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 83 16.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 84

17. ニオブ(Nb) 17.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 89 17.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 90

18. タンタル(Ta) 18.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 93 18.2 リサイクルの現状と評価 ………………………………………………… 94

19. ゲルマニウム(Ge) 19.1 マテリアルフロー分析 …………………………………………………… 99 19.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………101

20. ストロンチウム(Sr) 20.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………105 20.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………106

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-iii-

21. アンチモン(Sb) 21.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………109 21.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………110

22. プラチナ(Pt) 22.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………115 22.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………116

23. パラジウム(Pd) 23.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………121 23.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………123

24. チタン(Ti) 24.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………127 24.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………129

25. ベリリウム(Be) 25.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………133 25.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………134

26. ジルコニウム(Zr) 26.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………139 26.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………140

27. レニウム(Re) 27.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………145 27.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………146

28. リチウム(Li) 28.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………151 28.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………152

29. ホウ素(B) 29.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………157 29.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………158

30. ガリウム(Ga) 30.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………161 30.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………162

31. バリウム(Ba) 31.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………167 31.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………169

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-iv-

32. セレン(Se) 32.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………173 32.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………174

33. テルル(Te) 33.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………179 33.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………180

34. ビスマス(Bi) 34.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………183 34.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………184

35. インジウム(In) 35.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………187 35.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………188

36. セシウム(Cs) 36.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………193 36.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………194

37. ルビジウム(Rb) 37.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………197 37.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………197

38. タリウム(Tl) 38.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………201 38.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………202

39. ハフニウム(Hf) 39.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………205 39.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………206

40. レア・アース(RE) 40.1 マテリアルフロー分析 ……………………………………………………211 40.2 リサイクルの現状と評価 …………………………………………………213

本調査は、以下の企業・団体の協力を得ました。

社団法人日本メタル経済研究所: 総論、銅、鉛、亜鉛、金、銀、ニオブ、タンタル、ストロンチウム、

アンチモン、プラチナ、パラジウム、チタン、ベリリウム、ガリウム、

バリウム、セレン、テルル、インジウム、タリウム、ハフニウム、レ

ア・アース

神 鋼 リ サ ー チ 株 式 会 社: アルミニウム、鉄、マグネシウム、錫、ニッケル、クロム、マンガ

ン、コバルト、タングステン、モリブデン、バナジウム、ゲルマニ

ウム、ジルコニウム、レニウム、リチウム、ホウ素、ビスマス、セ

シウム、ルビジウム

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1 銅 (Cu)

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-1-

1.銅 (Cu) 1.1 マテリアルフロー分析

わが国の銅地金(電気銅)の供給は、国内の銅製錬所で生産されるものが大

部分であり、2004 年の電気銅生産量は 1,380 千 t であった。電気銅の国内生

産能力が内需を上回っているため、輸入品は一部に留まっており、2004 年の

電気銅輸入は 88 千 t であった。電気銅の国内生産に関して主要原料となる鉱

石のほとんどは、チリをはじめとする海外に頼っている。海外からの輸入銅鉱

石は、銅鉱山において選鉱された銅品位 30%ほどの精鉱である。 鉱石以外には、銅屑、銅合金屑などのスクラップや製錬工程での副産物など

が原料として使われる。欧州や米国、中国などでは銅屑を主な原料とする二次

地金製造も行われているが、日本ではこのような銅二次地金の生産は行われて

いない。回収された銅屑、銅合金屑は、種別や品位、形態によって製錬所ある

いは電線や伸銅品の工場に戻り、再溶解されて原料として用いられる。銅合金

については、鋳物原料として再溶解された二次合金インゴットが製造されてい

るが量は少ない。 銅の用途としては電線と伸銅品が主で、他には少量だが銅鋳物等がある。銅

加工メーカーは、銅の原料として電気銅と銅屑 (銅合金屑も含む )を利用してい

る。わが国において、電気銅のほぼ 6 割は電線用で、残りが伸銅品に消費さ

れる。電気銅に銅屑および銅合金屑の銅分を合算した銅の中間原料全体では、

伸銅品向けが電線向けをやや上回る。 2004 年の国内消費実績を原料及び用途別に見た場合、経済産業省の鉄鋼・

非鉄金属・金属製品統計によれば、電気銅 1,229 千 t が電線用 759 千 t、伸銅

品用 446 千 t 等に消費され、銅屑(銅故屑も含む)601 千 t は電線用 126 千 t、伸銅品用 429 千 t 等に向けられた。銅合金屑(銅合金故屑を含む)592 千 t は

伸銅品用 362 千 t、製錬所 141 千 t 等に消費された(銅量ベース、銅合金屑の

銅品位は想定による)。また、これら銅、銅屑、銅合金屑を合算すると、電線

用に 885 千 t、伸銅品用に 1,237 千 t、製錬所・その他用に 261 千 t が消費さ

れた。また電気銅 195 千 t、銅屑 302 千 t が輸出されている。

電線・ケーブルで銅消費の多い主要品種は、裸線、巻線、電力・通信用ケー

ブル、被覆線などである。2004 年における需要部門別の銅電線・ケーブルの

出荷内訳は、輸出が 31 千 t、国内向けが 804 千 t であり、国内向け出荷のう

ち電気・機械 160 千 t(20%)、建設 150 千 t(19%)、自動車・船舶 127 千 t(16%)、通信・電力・鉄道 97 千 t(12%)などとなっている。

伸銅品は、銅製品の他に、亜鉛やニッケル、錫、アルミニウム等を添加した

銅合金(黄銅製品や青銅製品など)を含み、その形態は展伸材(板条管棒線な

ど)が主体である。2004 年の伸銅品出荷(消費と外販)は 897 千 t で、うち

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-2-

国内消費は 726 千 t、輸出は 172 千 t であった(銅合金の銅品位は想定による)。

国内消費部門別では、電気機械 254 千 t(国内出荷の 35% )、金属製品 168 千

t(23% )、一般機械 140 千 t(19% )などとなっている。品種別では銅製品 53%に対して黄銅などの銅合金製品が 47%を占め、形態別では圧延加工による板

条 46%、押出・抽伸加工による管材 20%、残り 34%が同加工による棒線と

なっている(比率は銅量ベース)。 2000 年から 2004 年までの電気銅需給の推移は下表のとおりである。国内

生産量は製錬所の能力増強により 2000 年に増加し、その後は年産 1,400 千 t台であったが、2004 年には原料となる銅精鉱が逼迫したことなどにより減産

となった。国内需要は 2001 年に IT バブル崩壊の影響を受けて大きく落ち込

んだが、2004 年には 1,200 千 t 台に回復している。輸入量は 200 千 t から 100千 t 前後に減少しており、一方で輸出量も減少している。

電気銅の国内需給推移 (単位:千 t)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 生産 海外鉱出 1,289 1,287 1,211 1,250 1,188 スクラップ出 112 108 110 105 114 その他出 36 31 80 75 78 計 1,437 1,426 1,401 1,430 1,380 輸入 203 156 114 79 88 供給計 1,640 1,583 1,515 1,509 1,468 国内需要 電線 844 706 742 714 759 伸銅品 474 372 388 418 446

その他 29 22 32 27 24 計 1,347 1,100 1,163 1,158 1,229 輸出 299 416 378 290 195 需要計 1,646 1,516 1,541 1,448 1,424 (経済産業省「鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計」) 次頁に 2000 年、2003 年、2004 年における電線、伸銅の主要製品分野ごとの

消費量推移を示す。2000 年をピークに IT バブル崩壊による影響から全般的に

銅の消費は落ち込んだものの、電線・伸銅それぞれの年間消費量に対する各部

門の比率は年による変化はあまり大きくないが、自動車・船舶部門の電線は比

率の増加と消費量の増加が見られる。これとは逆に通信・電力部門では消費量

が年々低下すると共に比率も同様に下がっている。これは光ケーブルの普及が

影響してるものと考えられる。

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-3-

主要製品分野ごとの消費量推移 (単位:千 t)

出典:日本電線工業会資料、日本伸銅協会資料をもとに作成 1.2 リサイクルの現状と評価

2004 年における市場や加工工程からの排出銅屑の量は、鉄鋼・非鉄金属・

金属製品統計によれば、銅屑及び銅故屑 525 千 t、銅合金屑及び銅合金故屑

512 千 t(銅量、品位は想定)である。一部は輸出される一方で、少量ながら

輸入屑もある。これらの屑は、製錬所に廻って再び地金の原料として利用され

たり、伸銅品や電線の工場で直接再溶解されたりしてリサイクルが行われてい

る。ただし上記の統計値には低品位の銅屑などは集計されておらず、実際には

製錬所では統計に含まれていない低品位銅屑も処理している。 ・電線

廃電線は一般に、回収した非鉄問屋などが皮剥き(被覆材除去)やナゲット

化処理(粉粒状にチップ化)を行って、電線メーカーや伸銅メーカーに戻され

る。鉄道・電力・通信や公共工事などで排出される廃電線・ケーブルは、ほぼ

100%回収される。その他の用途の廃電線は処理ルートが多岐にわたり、回収

されるものと埋め立てられるものがある。機器用や自動車用の電線(ハーネス

など)は、解体工程の中で回収されるものや、シュレッダー工程で細かく裁断

された後、選別回収されるものがある。船舶用についても、廃電線は廃船処理

時にほぼ全て回収される。建築物の屋内配線等の廃電線は、ビルや建物の撤去

工事で分別回収される。 ・伸銅品

機能材として電子・電気部品に使用される多種多様な、1つ1つは小さいが

銅量 比率 銅量 比率 銅量 比率電線 195 22% 153 20% 160 20%伸銅 290 34% 235 34% 254 35%電線 119 13% 120 16% 127 16%伸銅 66 8% 52 8% 57 8%電線 130 15% 102 13% 97 12%

電線 8 1% 7 1% 8 1%伸銅 169 20% 137 20% 140 19%電線 154 17% 139 18% 150 19%伸銅 33 4% 25 4% 24 3%

伸銅 201 23% 164 24% 168 23%電線 280 32% 249 32% 261 33%伸銅 101 12% 78 11% 82 11%

電線 886 770 803合計 伸銅 860 691 725

年合計 1,746 1,461 1,528

建設

金属製品・鉄鋼

その他

電気・機械

自動車・船舶

通信・電力

その他機械

2000年 2003年 2004年

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-4-

多大な数量の銅及び銅合金の銅分回収が課題である。半導体、端子・コネクタ

や銅箔等としてあらゆる電子・電気機器に使用されている。2001 年に施行さ

れた家電リサイクル法への対応により、家電メーカーなどが銅を含めた有価金

属の回収、リサイクル化を進めている。しかし同法の対象は 4 品目(電気洗

濯機、テレビ、エアコン、電気冷蔵庫)であり、その他の多くの電子・電気機

器への対応も進める必要がある。建築関係では、銅屋根板などが主であるが、

建物解体時にまとめて回収される。産業用エアコンをはじめとする熱交換器類

に使用される銅(銅管等)は比較的まとまっているので、廃機器の解体業者や

非鉄問屋などで解体、回収されている。日用品などの銅の金属製品は、生産・

出荷の状況は多岐に渡っており、排出の実態についても不明な点が多い。

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-5-

銅(

Cu)

2004年

ベー

ス量

の単

位:千

t(銅

量)

原料

中間

製品

終製

品リサ

イク

ル (f)

スクラップ

スクラップ輸

入スクラップ輸

出主

要製

品分

野スクラップ

114

(a)

302

(a)

輸入

電気

・機械

約40

%銅

鉱石

輸入

国別

内訳

(d)

電線

20

(e)

電線

160

(b)

 チ

リ668

伸銅

36

(c)

伸銅

254

(c)

国イ

ンド

ネシ

ア188

内 

オー

ストラ

リア

103

輸出

自動

車・船

舶消

約50

%カ

ナダ

101

電線

31

(b)

電線

127

(b)

費 

その

他213

伸銅

172

(c)

伸銅

57

(c)

126

(a)

電 線通

信・電

力ほ

ぼ10

0%輸

出電

気銅

輸出

荒引

線電

線97

(b)

195

(a)

31

(e)

伸銅

-160

(a)

製835

錬75

9(a

)(b

)そ

の他

機械

輸入

約80

%鉱

石1,2

21

(a)

所電

気銅

電線

8(b

)市

1,2

29

(a)

電線

804

伸銅

140

(c)

場輸

出そ

の他

1,3

80

伸伸

銅72

6製

(a)

銅建

設事

業品

約70

%輸

入電

気銅

446

(a)

品電

線150

(b)

メ88

(a)

伸銅

24

(c)

│898

カ791

(a)

(c)

金属

製品

・鉄

鋼│

約10%

電線

-

伸銅

168

(c)

そ24

(a)

の鋳

物・

その

他不

明他

電解

銅箔

など

電線

261

(b)

135

(a)

伸銅

82

(c)

不明

・埋立

上流

側と

下流

側(

終製

品)の

数字

は、

出典

の違

いや

流通

を含

む各

工程

の「在

庫」や

「歩

留」な

どが

ある

ため

必ず

しも

一致

しな

い。

出典

(a):

経済

産業

省「鉄

鋼・非

鉄金

属・金

属製

品統

計」

(d):

経済

産業

省「主

要非

鉄金

属の

国別

・形

態別

輸入

状況

」(b

):日

本電

線工

業会

(e):

日本

貿易

月表

(c):

日本

伸銅

協会

(f):

日本

メタ

ル経

済研

究所

推定

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-6-

銅(Cu)

リサイクルの現状

製品種類

回収率%

回収・処分状況

電力・通信・

a.通信事業用電線

10

0 非鉄問屋経由で皮剥き、ナゲット処理後に電線メーカー戻し

鉄道用電線

b.送配電線

10

0 回収ルート、再資源化ルートともに確立されており、

c.鉄道用電線

10

0 銅品位も高くほとんど

100%

リサイクルされている

小計

平均

100

機器・

d.家電

65

家電リサイクル法によりエアコン、洗濯機、冷蔵庫、テレビからの回収率は向上

金属製品類

e.電子・通

信機器

50

解体・シュレッダーで回収されたり、リユース(輸出)されたりするもの以外は処分

f.その他電機

10

%以下

量がまとまれば事業所から回収される他はスイッチ、コネクタ、照明等小型製品が多く処分

g.事務機器等

40

複写機等でリース会社や大手メーカー等による回収およびリユース(輸出)以外は処分

h.ガス石油機器

25

湯沸器の熱交換部の一部が解体・シュレッダーで回収、回収率は減少傾向

i.金属製品日用品

10

生産・排出・回収とも不明部分が大きい、板金製品等の一部が回収

小計

平均

40

自動車

j.自

動車

50

解体・シュレッダー処理による回収、中古部品のリユースが増加可能性、廃車輸出もある

産業用

k.産業用機械

80

解体回収される、海外リユース分もあるが把握されていない

機械機器・

l.産

業用冷凍空調

85

解体回収される、熱交換部に銅がまとまっているため回収率は高い

船舶など

m

.重電

80

解体回収される、一部小型のモーター開閉機器等は海外で再資源化

n.船舶等輸送機器

80

解体回収されるが大型船舶などはほとんど海外で再資源化

小計

平均

80

建設関係

o.建設関連電線

80

新築系、補修系は回収率が

80%以上と高いが、解体系は

70%以下

廃棄物

p.建設関連伸銅品

60

屋根、樋、管材等まとまった製品は回収、解体系小型製品は解体廃棄物に混入

q.建設物付設機器

70

(この機器の回収分は

o.建設関連電線、

p.建設関連伸銅品の回収量に含まれるが、回収量は少ない)

小計

平均

70

合計

平均

70

(日本メタル経済研究所推定)

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2 鉛 (Pb)

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2. 鉛(Pb) 2.1 マテリアルフロー分析 表 1に最近(2000年~2004年)の鉛地金の供給量を示す。環境対策による鉛レス化の進展はあるが、蓄電池の代替品が当面出現しそうにないので、一定量の生産は確保されて

おり、その供給規模は 250千 tで輸入は 10千 tである。原料ではリサイクルの進展によりスクラップ出が増加している。 表 1 鉛地金の供給状況(2000年~2004年) (単位:t) 区 分 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2004/2003

年比(%) 供 給 287,252 291,507 261,502 259,699 244,630 ▲ 5.8

年 初 在 庫 23,413 18,312 37,677 23,983 12,943 ▲46.0生 産 239,384 236,042 213,138 226,426 221,212 ▲ 2.3

国内鉱出 8,672 5,671 5,578 4,642 5,596 20.6海外鉱出 120,797 121,687 102,166 100,818 88,676 ▲12.0スクラップ出 87,547 85,719 77,594 95,279 97,308 2.1

その他出 22,368 22,965 27,800 25,687 29,732 ▲15.7

輸 入 24,455 37,153 10,687 9,290 10,375 11.6(出典:鉱山、各年 2,3月号) 鉛の製造業者としては、主に鉛精鉱から生産する製錬(一次)業者と再生(二次)業

者がある。一次製錬業者は従来、鉛精鉱から乾式法で粗鉛を製造し、電解法により高純

度電気鉛を製造してきた。最近は、蓄電池のリサイクルが義務づけられてため、廃蓄電

池を原料に電気鉛を製造する割合が増加している。再生鉛は各種鉛屑や廃蓄電池から反

射炉、小型溶解炉、電気炉等の簡易製錬設備により生産される。最近は、蓄電池のメン

テナンスフリー化が指向され電極材料が鉛-カルシウム系のものが増加し、再生処理が

困難となっている。 鉛の用途は蓄電池向けが 80%程度を占める。ついで無機薬品、はんだ等である。無機薬品は大半がブラウン管等管球ガラス製品用で酸化鉛(リサージ)の形態で使用される。

はんだは錫との合金であり、用途により比率を変えて使用するが、平均的には鉛比率は

30~40%である。その他に主にシートの形態で放射線遮蔽材や防音材に使用される。 表 2に 2000年以降の用途別消費量と製錬・再生というリサイクル用途を除いた消費量比率を( )内に示す。

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表 2 鉛の用途別消費量と比率(2000年~2004年) (単位:t)

(出典:鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計年報、各年号) 2.2 リサイクルの現状と評価 鉛蓄電池は自動車用バッテリーが中心でリサイクルシステムが確立されており、回収

率も 95%以上となっている。リサイクルシステムの課題は、鉛地金の相場が再生鉛価格より低くなること(鉛相場に関係なく、適正化な価格で回収鉛を購入する制度のため)

による日本の電池メーカーの負担増と、輸入蓄電池の回収も日本の電池メーカーがコス

ト負担をしていること等である。 無機薬品は管球ガラス用が大半で、テレビのブラウン管やパソコンの CRT等に使われている。特にブラウン管のファンネル部は放射線遮蔽のため約 25%の鉛が含まれる。家電リサイクル法の施行によりブラウン管はほぼ完全回収され再使用されている。その他

の無機薬品はリサイクルされていない。 はんだは現在リサイクルされていない。ただし、家電リサイクル法対応の中で基板の

はんだを回収する動きもある。今後は鉛フリーはんだの実用化が進み使用量自体が減少

する見込みである。 電線被覆用は地下ケーブルの被覆として使用されてきたが、現在は使用量が激減し、

ほぼゼロとなっている。地下ケーブル更新工事の際に廃ケーブルは発生し、ほぼ 100%回収されている。 その他の鉛の排出源としては、一般廃棄物の焼却灰や二次飛灰に含まれるものや、製

鋼用電気炉ダストから亜鉛と共に回収されるものがあるが、排出、回収量ともわずかで

ある。 2004年の市場からの排出鉛屑の鉛量は、鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計年報によると85千トンであり、廃蓄電池も加えたリサイクル鉛量はである。排出鉛屑は、末尾掲載のマテリアルフロ-図に示すように、製錬所や再生工場に供給されるものと、最終製品に

リサイクルされるものがあり、廃蓄電池は基本的に製錬所や再生工場に供給される。

区 分

鉛蓄電池 229,435 75% 223,227 77% 209,379 81% 205,139 78% 168,004 77%

無機薬品 38,302 12% 29,325 10% 20,146 8% 23,568 9% 25,875 12%

鉛管板・はんだ 15,280 5% 13,225 5% 19,994 8% 13,310 5% 13,058 6%

製錬 137,728 132,168 114,210 174,189 148,794

再生 92,934 95,627 87,944 76,092 84,443

その他 24,065 8% 22,461 8% 9,529 4% 22,032 8% 11,610 5%

計 537,744 516,033 461,202 514,330 451,784

2004年2000年 2001年 2002年 2003年

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鉛(P

b)

2004

年ベース

(単位:千

t)

(出典:鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計年報、

2004

年)

原料

中間

製品

最終

製品

リサ

イク

(220)

くず

輸入

主要

製品の

例(4)

国鉛

蓄電

池・

自動

車用

蓄電

池内

(168)

・産

業用

蓄電

池消

95%程

度リ

サイ

クル

再生

・民

生用

蓄電

池費

(62)

工程

(66)

(62)

再生

地金

無機

薬品

・ガ

ラス製

品リ

サイ

クルな

し(26)

・塩

ビ安

定剤

・塗

料く

ず(3

1)

市 場輸

出鉛

管板

・は

んだ

・板

金用

製100%程

度リ

サイ

クル

(13)

・配

線用

、板

金用

品(127)

メ製

錬│

工程

地金

(228)

その他

・お

もり

カ鉱

石等

(221)

(12)

・放

射線

防御

│リ

サイ

クルな

し(94)

在庫

増減

等(10)

(3)

(75)

輸入

輸出

供給

量(294)

消費

全体

(219)

不明

・埋

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-10-

鉛(Pb) リ

サイ

クル

の現

使用済み

品の存在

形態

/量

主な

応用

製品

利用形態

(千

t)

(注

①)

リサ

イク

ルの

実態

サイ

クル

のサ

イク

(注

②)

リサイク

ル率

リサイク

現状評価

(A~

G)(

③)

(注④

蓄電池

リサージ

鉛丹

塊・粉状

200

製錬

メー

カー

・再

生メ

カー

でリ

サイ

クル

5~

10年

95%

電線

5り

サイ

クル

業者

10年

100%

鉛管

金属

3)リ

サイ

クル

なし

0%

C

分別され

にくい。

はんだ

(30)

リサイク

ルなし

0%

D

分別が技

術的に困

難。

ブラ

ウン

添加剤

ラス

に含

-廃

家電

処理

業者

5~

10年

100%

電リ

サイ

クル

法施

行に

より

全回収。

塩化ビニ

安定剤

添加剤

ラス

チッ

クに

-リ

サイ

クル

なし

0%

B

塩化

ビニ

ルの

リサ

イク

ルに

より

極一部は

リサイク

ルされ

ている。

顔料

加剤

塗料

等に

含有

リサ

イク

ルな

0%

B

塗料

自体

が分

別回

収が

困難

業界

推定

(注

)①

量の

単位

②サイ

クル:

現状

評価

(

)内

の使

用量

純分

)内は推

定使用

年数

A:

応用製品

が消耗

品である

:経済

性がない

④リサイ

クルの

ボトルネ

ックと

解決の難

易度

その

他は

発生

量純

その他

は実リサ

イク

ル年

:添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

F:

需要

開発が十

分にさ

れていな

毒性、保

管の危

険性の有

無など

C:

リサ

イク

ルの

流通

シス

テム

がな

い G

:そ

の他

D:

効果

的な

リサ

イク

ル技

術が

ない

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3 亜鉛 (Zn)

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3 亜鉛(Zn) 3.1 マテリアルフロー分析 表 1 に 近(2000 年~2004 年)の亜鉛地金の供給量を示す。供給及び生産ともほぼ横

ばいで推移している。在庫が減少すれば生産は増加の方向で推移するであろう。地金

の供給規模は 780 千トンで輸入は 40 千トンである。原料ではリサイクルの進展によ

りスクラップ出の増加傾向が継続している。 表 1 亜鉛地金の供給状況(2000 年~2004 年) (単位:t)

(出典:鉱山、各年 2,3 月号) 亜鉛の生産業者としては、主に亜鉛精鉱から生産する製錬(一次)業者と再生(二

次)業者がある。一次製錬業者は亜鉛精鉱を焙焼した後、硫酸に溶解して電解採取で

生産するか、鉛と同時製錬可能な溶鉱炉(ISP)により生産する。二次製錬業者はめっき

工場から発生するドロス、滓類や亜鉛屑等から溶融分離にて再生地金を生産している。 亜鉛の用途はめっき等鉄の防蝕向けが 56%を占める。ついで真鍮・青銅等の銅合金

用(伸銅品)が 14%、ダイカスト用が 9%、酸化亜鉛等の化成品が 8%、乾電池向けの

亜鉛板が 1%である。その比率はあまり変化がない。亜鉛めっき鋼板は自動車、家電、

建材に使用される。溶融亜鉛めっきは構造物等に向けられる。比率は 3:1 である。酸

化亜鉛はタイヤの加硫剤がほとんどである。 表 2 に 2000 年~2004 年の用途別消費量を、()内に精錬を除いた用途別比率を示す。

2000年 2001年 2002年 2003年 2004年2004/2003年比(%)

838,415 819,716 774,997 769,003 762,684 ▲ 0.8103,262 111,779 113,640 76,609 85,683 11.8654,384 644,358 639,925 651,246 634,637 ▲ 2.6

国内鉱出 64,756 46,625 46,762 49,434 47,095 ▲ 4.7海外鉱出 476,948 494,652 500,421 483,270 487,735 0.9スクラップ出 22,890 23,242 1,784 3,893 4,348 11.7その他出 89,790 79,839 90,958 114,649 95,459 ▲ 16.7

80,769 63,579 21,432 41,148 42,364 3

区    分

供      給年 初 在 庫生     産

輸     入

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表 2 亜鉛の用途別消費量と比率(2000 年~2004 年) (単位:t)

(出典:鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計年報、各年号) 3.2 リサイクルの現状と評価 亜鉛めっき鋼板の国内消費(2004 年)は、自動車用と建材用が各々約 24%、家電用

が約 12%となっている。溶融亜鉛めっきは建材(鋼管、仮設機材、建築物等)で約 50%、

土木(カードレール、グレーチング等)で約 20%、鉄塔等構造物用鋼材や鉄道・通信

等で約 20%となっている。 伸銅品はその大半が真鍮用(六四黄銅といわれる銅:亜鉛=60:40 が一般的)であ

り、電子機器の板材やプラント用管材、各種部品に使用される。 ダイカストは自動車部品が 50%を占め、その他模型やおもちゃ等に使用される。軽

量化指向の中で、アルミニウム含有量の大きいものやプラスチックに代替されつつあ

る。 化成品は酸化亜鉛が主体で、ゴム製品(タイヤの加硫剤)が 50%を占め、その他で

は電子部品用フェライトバリスター(ソフトフェライトコア原料)、塗料(塗膜強化剤)、

陶磁器(上薬)等に使用される。 2004 年の市場や加工工程からの排出亜鉛屑等の亜鉛量は、鉄鋼・非鉄金属・金属製

品統計年報によると 80千 tである。末尾掲載のマテリアルフロー図によるとこれらは、

製錬所や再生工場に供給されるものと、 終製品にリサイクルされるものがある。 めっき工程から発生するドロス・滓類から 30%程度リサイクルされている。また、

製鋼用電気炉ダスト中に含まれる亜鉛の 60%が製錬所で回収されている。 伸銅品は銅の回収(直接溶融といわれる再溶解のみで製品化する方法)の中でリサ

イクルされている。 ダイカストは自動車部品の一部がシュレッダー経由で 15%程度リサイクルされてい

る。 化成品はその用途からリサイクルされていない。

区 分

亜鉛めっき鋼板 341,172 44% 315,609 44% 237,729 42% 253,250 44% 234,680 41%

その他めっき 125,528 16% 149,701 21% 84,356 15% 92,262 16% 87,077 15%

伸銅品 92,150 12% 73,699 10% 77,757 14% 79,854 14% 80,982 14%

ダイカスト品 62,906 8% 60,826 8% 43,242 8% 49,375 9% 50,858 9%

化成品 65,986 9% 57,878 8% 56,397 10% 44,890 8% 47,850 8%

亜鉛板 6,173 1% 7,966 1% 7,933 1% 3,835 1% 3,468 1%

製錬 2,297 1,213 390 390

その他 78,964 10% 52,882 7% 56,527 10% 55,599 10% 63,761 11%

計 775,176 719,774 564,331 579,455 568,676

2004年2000年 2001年 2002年 2003年

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亜鉛

(Zn)

2004

年ベース

(単位:千

t)

(出典:鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計年報、

2004

年)

原料

中間

製品

最終

製品

リサ

イク

(189)

くず

輸入

主要

製品

の例

(2)

輸出

国(15)

亜鉛

めっ

き・

自動

車部

品部

材内

(322)

・建

材、

構造

物消

30%程

度リ

サイ

クル

再生

・電

気機

器費

工程

(19)

(32)

再生

地金

伸銅

品・

黄銅

板管

棒15%程

度リ

サイ

クル

(81)

・他

銅合

金製

くず

(57)

市ダ

イカ

スト

・自

動車

部品

場輸

出輸

出(62)

(51)

・電

気機

械製

15%程

度リ

サイ

クル

・一

般機

械品

(100)

メ製

錬│

工程

地金

化成

品・

ゴム

(タ

イヤ

)カ

鉱石

等(635)

(615)

(48)

・電

子部

品│

リサ

イク

ルな

し(535)

・塗

その

他・

乾電

池類

リサ

イク

ルな

し(42)

(20)

輸入

不明

・埋

立在

庫増

減等

(65)

供給

量(634)

消費

全体

(569)

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亜鉛(Zn) リ

サイ

クル

の現

使用済み

品の存在

形態

/量

主な

応用

製品

利用形態

量(千t

(注

①)

リサ

イク

ルの

実態

サイ

クル

のサ

イク

(注

②)

リサイク

ル率

リサイク

現状評価

(A~

G)(

③)

備 考

(注

④)

亜鉛めっ

金属

面付着

200

製錬

メー

カー

5~

20年

30%

A,D

分別

が技

術的

に困

難。

伸銅品

10

りサ

イク

ルな

0%

D

銅との分

離が困難

ダイ

カス

合金

5

リサ

イク

ル業

5~

10年

15%

C

化成品

属、

酸化

物添加剤

粉体

20

リサ

イク

ルな

0%

A,B,C,D

回収

が困

難で

ある

業界

推定

(注

)①

量の

単位

②サイ

クル:

現状

評価

(

)内の

使用

量純

)内は推

定使用

年数

A:

応用製品

が消耗

品である

:経済

性がない

④リサイ

クルの

ボトルネ

ックと

解決の難

易度

その

他は

発生

量純

その他

は実リサ

イク

ル年

:添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

F:

需要

開発が十

分にさ

れていな

毒性、保

管の危

険性の有

無など

C:

リサ

イク

ルの

流通

シス

テム

がな

い G

:そ

の他

D:

効果

的な

リサ

イク

ル技

術が

ない

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4 金 (Au)

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-15-

4.金(Au) 4.1 マテリアルフロ-分析 (1)原料および中間製品 ・新産金

かつて日本には新潟県の佐渡など有名な金山がいくつかあったが、現在ほとん

ど唯一稼働中であるのは鹿児島県の菱刈鉱山のみである。同鉱山は金含有率が非

常に高く、鉱石 1t 中に平均 45~50g の含有量であるが、これは世界の鉱山平均

値のおよそ 10 倍といわれており、年間 7~8t の金が採掘されている。 我が国において新産金と呼ばれるものの多くは、銅・鉛・亜鉛鉱山から産出さ

れた鉱石を輸入し、貴金属スクラップなどの二次原料と共に処理し、銅・鉛・亜

鉛等を精錬する過程で副産物として生産される。これら新産金は、最終工程が電

気分解で産出されることから電気金とも呼ばれ、後述する二次原料のみから生産

される再生金とは区別される。2004 年における我が国の新産金は 133t であり、

過去最高を記録した 2003年に比べて約 2割減となった。これは銅製錬所の減産、

特に金含有量の多いインドネシアのグラスベルグ鉱山からの銅精鉱入荷減の影響

が大きい。 一方で 2004 年の金輸入量は、国内生産の減少から前年比 60%以上の増となる

70t(貿易統計ベース)であった。 ・再生金

廃棄物からの金の回収・精製は古くから行われている。現在は、パソコンや携

帯電話の内部に使用されていたプリント基板、IC、セラミックパッケ-ジ、リ-

ド・フレ-ムや使用済みタ-ゲット、メッキの廃液並びに使用しなくなった宝飾

製品等が回収・精製され、金地金にされている。製錬所へ戻らずに二次加工業者

によって再生されるものを再生金としているが、2004 年の再生金の生産量は 30tであった。 ・私的保有金の放出

金地金を私的財産の一部として保有する人々がおり、さまざまな理由から保有

する金地金を売却し現金化している。こうした地金は毎年相当な量に達しており、

買取業者を経て精製加工後、新たな金地金として再利用されている。我が国の

2004 年における私的保有金の放出は 47t に達しており、日本だけでも民間にこの

ような金地金の備蓄が相当量あるものと推定される。 (2)最終製品

2004 年の金の国内需要は私的保有金を含めて 282t であり、用途別には電気通

信機・機械部品用が約半分を占め、次いで宝飾・美術工芸等が約 10%、めっき用、

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-16-

歯科・医療用と続く。実需以外に、資産の一部として金地金を購入するという私

的保有金が、上記需要量のうち 76t(27%)あった。

・電気通信機・機械部品用 化学的に安定していること、銀や銅に次いで電気を良く通すこと、加工性に富

んでいること等の金の特性を生かして、プリント基板、IC、セラミックパッケ-

ジ、リ-ドフレ-ムといった半導体分野やその他のさまざまな工業用分野で使用

されている。 ・宝飾・美術工芸用

金は古くから装身具等に使用されてきたが、日本において広く一般大衆がジュ

エリ-と呼ばれる宝飾用金製品を身に着けるようになったのはここ数十年のこと

である。我が国ではジュエリ-としての金製品はほとんどが 18 金であり、この

18 金は割金の配合によってさまざまな色合いを出すことができる。イエローゴー

ルドを中心として、ピンクゴールド、グリーンゴールド、ホワイトゴールドなど

がある。また美術・工芸用としては、金製の置物、おりん等仏具が挙げられる。 ・歯科・医療用

古くより貴金属が歯の治療に使用されてきたが、現在の代表的な鋳造用合金と

しては、通称「キンパラ」と呼ばれている「金銀パラジウム合金」が挙げられる。

この合金は銀を主成分とし金 12%、パラジウム 20%を含む合金で、日本では保険

適用の対象となっており、ここ三十数年の長きに渡って歯科治療材料の中心をな

してきた。他に歯科用合金としては、22 金、20 金、18 金、14 金等があり、金は

歯科治療に欠かせない重要な金属である。

2000 年から 2004 年までの金の需給推移は次表のとおりである。新産金の生産

増は、国内銅製錬所の能力増強によって銅精鉱やスクラップの処理量が拡大した

ことによる。国内需要は、電気通信機、機械部品向けがボンディングワイヤ需要

の伸びなどから大きく増加している。これは情報通信機器など IT 関連向けに加

え、デジタル機器向けの需要増加が背景にある。

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金の需給推移 (単位:t)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 新産金 116 119 147 164 133 再生金 15 20 23 27 30 輸入 11 1 16 14 20 私的保有放出 37 36 49 61 47 供給計 179 176 236 266 230 国内需要 電気通信機・機械部

品 86 67 116 130 134

歯科・医療 12 12 14 14 14 メッキ 9 5 8 9 17 その他(消費) 36 13 8 8 9 宝飾品 23 36 35 30 27 美術・工芸品 4 3 4 3 2 メタル 2 2 1 1 1 その他(退蔵) 1 1 2 2 2

私的保有 53 71 116 75 76 計 225 209 304 273 282 輸出 - 8 3 24 13 払出計 225 218 307 297 295

(経済産業省「金流通統計」、輸出入量は貿易統計の数値と一致していない) 4.2 リサイクルの現状等

金のスクラップは、金または金合金等の製造工程で発生する歩留り材、金また

は金合金を材料として部品または製品の製造工程で発生する不良品等、さらに使

用済みとなった金製品及び使用済みとなった製品に組み込まれたものに分類され

る。 最終製品に至るまでの製造工程で発生する歩留り材や不良品などについては、

リサイクルのル-トが確立しており、ほぼ全量がリサイクルされている。 使用済み品としては、パソコンや携帯電話に組み込まれた半導体部品に使用さ

れた金などがリサイクルされている。パソコンは、使用済みとなると製造業者ま

たはリ-ス会社に戻され、産業廃棄物処理業者の手を経て、回収・精製業者にて

貴金属が回収されている。携帯電話は、通信事業者が自主的に使用済み製品の回

収を行っている。その回収率は今のところ 5 割に満たないようだが、回収された

携帯電話から回収・精製業者によって貴金属が回収されている。 宝飾品や美術工芸用金製品は、所有者が現金化の必要が生じた時に地金商等に

持ち込まれることがある。こうした金製品は回収・精製され、新たな金製品に再

生される。歯科用材料向けは、大部分がリサイクルされていると見る。

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-18-

金(

Au)

2004年

ベー

ス量

の単

位:

( )内は

Au純

分t

<原料>

<中間製

品>

<最終

製品>

<応用

製品>

(133)(a)

(134)(a)

国内鉱

生産

(8)(b)

(14)(a)

(70)(c)

(内訳)

スイ

ス32

(17)(a)

オー

スト

ラリ

ア11

香港

8米国

8(9)(a)

(27)(a)

(30)(a)

私的保

有(2)(a)

放出金(47)(a)

(1)(a)

(2)(a)

(76)(a)

(13)(c)

リサ

イク

出典

(a)金

流通

統計

(経

済産

業省

)、

(b)資源

・エ

ネル

ギー

統計(

経済

産業

省)

、(c)日

本貿

易月

表、

 業

界ヒ

アリ

ング

再生金

IC・セ

ラミッ

クパッ

ケー

宗教

用具・金杯

電気

通信

機・

機械部

品用

輸入金

退蔵用地

美術・工

芸品

その他(退蔵

輸出

私的保

有用

メタル用

金箔・

陶磁器

金含

有鉱石

新産金

その他(消費

金箔・

陶磁器

金・パ

ラ合

指輪・ネ

ックレ

歯科

・医

療用

メッキ用

宝飾品

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金(

Au)

リサイクルの現状

2004年ベ

ース

形態

量(

注①)

リサイク

ルの実

態リ

サイク

ルの

サイ

クル

(注②

)リサ

イクル

宝飾・

美術工

芸用

指輪

ネック

レス

仏具

原型

のまま

(32)

退蔵

(ほ

ぼ半

永久

的)

5%

G

電子通

信機

・機械部

品用

接点

溶接用

蝋材

ボンディング・ワイヤー

ターゲ

ット

メッキ

使用

済み

部品

(リ

レー

、コ

ネク

タ、

セラ

ミッ

クパ

ッケ

ージ

、リ

ード

フレ

ーム

等)

使用

済タ

ーゲ

ット メ

ッキ

廃液

(160)

精製後新

規材

料、ま

たはメッ

キ用

薬品と

して再生

(10年程

度)

40%

G

歯科用

材料

金合金

金パラ

合金

切削

屑老朽

金冠等

(14)

金、パラ

ジウ

ムに精

製して再

利用

(3年~

10年以

上)

80%

G

(注)

①量の

単位:

③現状

評価:

④リサイクルの

ボトルネックと

( )

内は使

用量純

分t

A. 応用製

品が消

耗品

である

E. 経済

性がな

い解決の

難易

度その他

は発生

量純分

tB. 添加剤

として

使用

されて

いる

F. 需要

開発が

十分

になさ

れて

毒性、

保管

の危険

性の

②サイ

クル:

C. リサイ

クルの

流通

システムが

ない

いな

い有無な

ど( )

内は推

定使用

年数

D. 効果的

なリサ

イク

ル技術

がない

G. その

他その他

は実リ

サイク

ル量

リサイク

ル現

状評価

(A~

G)

(注③

備考

(注

④)

主な応

用製品

利用形

使用

済み品

の存在

形態・

量リサイ

クル形

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5 銀 (Ag)

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5.銀(Ag) 5.1 マテリアルフロー分析 現在、国内の一部の鉱山で銀を含有する鉱石が生産されているが、国内の供給全体に

占める割合はわずかである。 我が国において新産銀とよばれるものの多くは、銅・鉛・亜鉛鉱山から産出された鉱

石を輸入し、貴金属スクラップなどの二次原料と共に処理し、銅・鉛・亜鉛等を精錬す

る過程で副産物として生産される。これら新産銀は、 終工程が電気分解で産出される

ことから電気銀ともよばれ、二次加工業者でスクラップのみを原料として製造される再

生銀とは区別される。2004 年における我が国の新産銀は 2,208t であり、前年比約 10%減となったが、国内銅製錬所の減産の影響などによる。 また 2004 年には再生銀の生産が 219t、輸入銀が 1,706t あった。

2004 年の銀の国内需要は 2,597t、輸出は 602t であった。国内需要の約半分を写真

感光材料用が占める。主要需要分野およびその利用特性は以下の通りである。 ・写真感光材料硝酸銀(AgNO3) 光センサーとしてのハロゲン化銀

銀は感光性の高さから、写真感光材料としてフィルムや印画紙に使用される。銀は可

溶性ハロゲン化物溶液と反応して、不溶性のハロゲン化物を生ずる。ハロゲン化銀は光

によって銀を遊離して黒化する。光センサーに用いられるハロゲン化銀は主として臭化

銀で、高感度向きには数 mol%のヨウ化銀、低感度・高画質向きには数十 mol%の塩化

銀を、それぞれ混晶として含む。 フィルムと印画紙は白黒とカラーがある。白黒フィルムは、X 線等の医療用・印刷製

版用・営業写真館用が主である。カラーフィルムは、一般アマチュア用・映画用・営業

写真館用のネガフィルムと広告用途・作品作成用途のリバーサルフィルム、映画上映用

のポジ(プリント)フィルムがある。 近はデジタルカメラへの代替が進み、本用途の需要は減退してきている。国内カメ

ラメーカーのカメラ出荷台数は、2002 年にフィルムカメラとデジタルカメラが逆転し

たが、以降は需要の減少傾向が加速している。 ・その他の硝酸銀(AgNO3)

電気伝導性・熱伝導性が良く、接触抵抗が少ないという特性を生かし、携帯電話等の

電気通信機器に使用されている。さらに物理的・化学的特性を応用し、石油化学の銀触

媒、銀製鏡、また近年は生活・住環境の変化にともない抗菌剤等に広く利用されている。 ・接点 銀は全金属の中で電気伝導性が も高いので、接点の基本材料として一番多く使用さ

れている。しかし単一では機械的性質が十分でなく、他の元素を添加し、硬くして使用

する場合が多い。また銀は非常に硫化されやすいため、空気中の H2S や SO2などのガ

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スと反応して Ag2S が生成され、接触障害を引き起こす。その対策として銀に硫化しに

くい金属(金・パラジウムなど)を添加するか、銀接点の表面に金または金合金を被覆す

る方法がとられる。用途としては、電気抵抗が小さいので、大きい電流を通すコネクタ

ーなどの電気部品として利用されている。 ・銀ろう

銀ろうは硬ろうを代表するろうで、アルミニウム合金・マグネシウム合金を除いたほ

とんどの鉄鋼・非鉄金属材料及び非金属のセラミックスなどのろう付けが可能である。

貴金属ろうとしては も多くの産業分野に用いられている。銀ろうの主成分は銀・銅・

亜鉛であり、目的によってカドミウム・ニッケル・インジウム・錫などと合金化される。

用途としては、主に電気管部品、ろう付面にメタライズ処理したセラミックスのろう付

けに使用される。 ・展伸材 銀の展性と延性が金と銅に次いで 3 番目に大きい点を利用している。銀器・装身具と

しての利用などがこれにあたる。 ・その他

その他の用途としては、歯科材料、記念硬貨などがある。歯科治療材料用として現在

も多く使用されているのは、通称「キンパラ」と呼ばれている「金銀パラジウム合金」

である。これは銀を主成分(45~50%)とし、金 12%、パラジウム 20%を含む合金で、

健康保険の適用対象となっており、三十数年間に渡り歯科治療材料の中心をなしてきて

いる。

2000 年から 2004 年までの銀の需給推移は次表のとおりである。国内需要は 2001 年

に IT バブル崩壊の影響を受けて大きく落ち込み、さらに 近ではフィルムカメラから

デジタルカメラへの移行により写真感光材料向け需要の減退が続いている。生産量につ

いては、新産銀はほぼ横這いであるが、再生銀は写真フィルムメーカーでの需要量減に

よって減少基調を辿っている。

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銀の需給推移 (単位:t)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 新産銀 国内鉱出 66 33 38 62 50 海外鉱出 1,494 1,444 1,329 1,531 1,402 スクラップ出 350 328 450 430 319 その他出 474 488 442 429 437 計 2,385 2,293 2,260 2,453 2,208 再生銀 345 304 292 259 219 輸入 1,565 872 883 1,267 1,706 供給計 4,295 3,469 3,435 3,979 4,133 国内需要 写真感光材料 1,726 1,663 1,532 1,365 1,243 その他硝酸銀 335 150 220 295 307 接点 313 202 153 219 260 銀ろう 140 111 98 95 105 展伸材 208 194 216 228 248 その他 1,215 637 455 474 434

計 3,939 2,958 2,673 2,676 2,597 輸出 296 249 359 441 602 需要計 4,235 3,207 3,033 3,116 3,199

(経済産業省「鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計」) 5.2 リサイクルの現状と評価 写真用途の場合は、専業の銀回収業者が国内に約 100 社あり、日本感材銀工業組合

を組織している。白黒フィルム・印画紙の場合、光に反応して黒化した部分に銀が残り、

光に反応しなかった白の部分の銀は現像液中に流出し銀回収業者によって回収される。

カラーフィルム・印画紙の場合、銀はほぼ全量が現像液中に流出し銀回収業者によって

回収される。また病院で長期間保管されていた X 線フィルムが廃棄され、銀回収業者

に渡されることが多くなった。銀回収業者は廃液・廃フィルムから銀を回収している。

写真の場合は、理論的にはタイムラグはあるが、白黒写真と共に退蔵・廃棄される分以

外(ほぼ 9 割以上)は回収できるシステムになっている。しかしながら、これらフィル

ム製品の約半分は輸出されていると見られ、結果として国内でリサイクルされる量は写

真感光材料向け消費量の 3 割程度に留まっている。 その他の用途の場合、貴金属・非鉄金属を含んだ各種の使用済み部品等が回収され、

非鉄製錬会社、地金商らによって精錬され、銀としては約 30%がリサイクルされてい

ると推定する。電機器具等は、銀の使用率が低いために器具本体のリサイクルに依存す

ることになる。歯科材料用については、大部分がリサイクルされていると見られる。

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銀(

Ag)

2004年

ベー

ス量

の単

位:

( )

内は

Ag純

分t

<原

料>

<中

間製

品>

<最

終製

品>

<応

用製

品>

X線

フィ

ルム

・印

刷製

版フ

ィル

映画

用フ

ィル

ム・

一般

用カ

ラー

フィ

ルム

と印

画紙

(2,208)(a)

(1,243)(a)

国内

鉱生

産国

内鉱

出50

(86)(a)

海外

鉱出

1,402

スク

ラッ

プ出

319

(307)(a)

その

他出

437

(260)(a)

(1,706)(b)

ペル

ー415

(105)(a)

メキ

シコ

413

韓国

351

オー

スト

ラリ

ア258

(248)(a)

(434)(a)

(219)(a)

(602)(a)

リサ

イク

出典

: (a)経

済産

業省

資源

エネ

ルギ

ー庁

、(b)日

本貿

易月

再 生

輸出

歯科

材料

、記

念硬

貨な

携帯

電話

等電

気通

信機

コネ

クタ

ーな

どの

電気

部品

電気

管部

その

展伸

その

他の

硝酸

銀含

有鉱

石新

写真

感光

材料

銀ろ

う輸

接点

宝飾

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銀(

Ag

)リ

サイ

クル

の現

状2004年

ベー

形態

量(注

①)

リサイ

クル

の実

態リ

サイ

クル

のサ

イク

ル(注

②)

リサ

イク

ル率

写真

感光

材料

X線・

印刷

製版

・映

画用

・一

般用

カラ

ーフ

ィル

ム、

印画

現像

廃液

・廃

フィ

ルム

(1,243)

写真

廃液

(現

像液

・定

着液

)と

写真

廃フ

ィル

ムか

ら「

銀」

を抽

出・

精錬

(数

ヶ月

~長

いも

のは

10年

以上

銀需

要量

の30%

国内

滞留

分の

70%

G

製品

の約

5割

は輸

出/

一部

は写

真と

共に

退蔵

・廃

その

他の

硝酸

銀携

帯電話

等電

気通

信機

器使

用済

み携

帯電

話等

(307)

G

接点

コネ

クタ

ーな

どの

電気

部品

使用

済み

電気

部品

(260)

G

銀ろ

う電

気管部

品使

用済

み部

品(105)

G

展伸

材宝

飾品

原型

のま

ま(248)

G

その

他歯

科材

料記

念硬

貨な

切削

屑・

老朽

金冠

使用

済み

硬貨

など

(434)

G

(注

)①

量の

単位

:③

現状

評価

:④

リサイクルの

ボトルネックと

( )

内は

使用

量純

分t

A. 応

用製品

が消

耗品

であ

るE. 経

済性

がな

い解

決の

難易

度そ

の他

は発

生量

純分

tB. 添

加剤と

して

使用

され

てい

るF. 需

要開

発が

十分

になさ

れて

いな

い毒

性、

保管

の危

険性

の②

サイ

クル

:C. リ

サイク

ルの

流通

システムが

ない

G. そ

の他

有無

など

( )

内は

推定

使用

年数

D. 効

果的な

リサ

イク

ル技

術が

ない

その

他は

実リ

サイク

ル量

回収

後、

精錬

会社・

地金

商に

て精

(数

ヶ月

~長

いも

のは

10年

以上

)30%

リサ

イク

ル現

状評

価(

A~

G)

(注

③)

備考

(注

④)

主な

応用

製品

利用

形態

使用

済み

品の

存在

形態・

量リ

サイ

クル

形態

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6 アルミニウム (Al)

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6.アルミニウム(Al) 6.1 マテリアルフロー分析 アルミニウムの原料であるボーキサイトの世界埋蔵量は、概算 55,000~75,000千 t といわれている。ボーキサイトは国内に産出しないため、アルミニウム地金

生産の原料であるアルミナは、国内ではほとんど生産されていない。アルミナの

世界生産量は年間およそ 53,000 千 t であり、主な生産地は、南北アメリカ、オー

ストラリアが各々16,000 千 t、欧州 6 百万 t、旧共産圏 11,000 千 t、その他(アジ

ア、アフリカ)10,000 千 t となっている。 最近のアルミニウム地金の世界生産量は、年間ほぼ 24,000 千 t である。主な生

産地は、南北アメリカ計約 7,200 千 t、オーストラリア・ニュージーランド約 2,100千 t、欧州約 4,000 千 t、旧共産圏約 7,500 千 t、その他(アジア、アフリカ)約 3,200千 t である。日本国内では、アルミニウム地金の電解製錬に要する電力コストが

高いことから、一部の例外を除いて産業として成り立たず、アルミニウム地金は

輸入に依存している。 2004 年のアルミニウム原料の輸入は 3,213 千 t であった。内訳は、新地金 2,050

千 t、合金地金 972 千 t、くず 106 千 t、圧延品及び製品が 85 千 t であった。国

内のアルミニウム原料生産は、再生地金 1,015 千 t、新地金 6 千 t 合計 1,133 千 tであった。新地金の国内生産は、自前の水力発電所を有する軽圧メーカー1 社が、

少量を生産している。 アルミニウム最終製品の生産は 3,890 千 t であった。内訳は圧延品(板、押出)が 2,459 千 t、ダイカスト 940 千 t、鋳造品 396 千 t、鍛造品 44 千 t、電線 34 千

t、粉が 17 千 t であった。最終製品 3,890 千 t のうち、279 千 t が輸出された。 アルミニウム最終製品の国内需要は、4,055 千 t であった。国内の主な需要分

野別に見ると、輸送機器(おもに自動車、鉄道車両等陸運車両用、船舶用は少なく、

航空機用はほとんどない)向けが 1,550 千 t で最も多い。この分野は過去 10 年間

で約 20%の需要の伸びを示している。環境・エネルギー問題から、自動車・鉄道車

両等の軽量化ニーズは高く、輸送機器部品の材料は、従来の鋼材からアルミニウ

ム合金を中心とした軽合金に置き換えられる傾向が強まり、今後も需要の伸びが

予想される分野である。土木建築分野(建築資材、サッシなど)の国内需要は、705千 t であった。土木建築分野の需要量は、1991 年の 938 千 t をピークとして、最

近はほぼ横ばいの傾向を示している。金属製品向け需要量は 523 千 t であった。

この分野は過去 10 年間ほとんど需要の変動が見られない。アルミ缶・はく等食品・

容器包装向け需要量は 464 千 t であった。この分野は、かつて飲料用アルミニウ

ム缶の普及に伴い、急成長した分野であるが、最近 10 年間の需要の伸びは約 24%で、安定化してきている。

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-28-

アルミニウムの国内需給推移 ( 1,000t ) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

輸入 2,905 2,610 3,105 3,229 3,213 スクラップ出 727 737 785 874 909

供給計 3,632 3,347 3,890 4,103 4,122 国内需要

板 1,346 1,289 1,307 1,361 1,403 押出 1,106 1,020 992 1,023 1,056 ダイカスト 791 750 812 870 940 その他 517 472 496 483 491 合計 3,761 3,531 3,608 3,737 3,890

輸出 259 240 258 285 279 需要計 4,020 3,771 3,866 4,022 4,169

(財務省貿易統計、アルミニウム協会資料)

6.2 リサイクルの現状と評価

各種リサイクル法の整備や、アルミニウムくずの市場価値が高いことなどから、

使用済みアルミニウム製品のリサイクルは比較的進んでいる。アルミニウムの需

要分野別に見て、リサイクルの実態が最もよく知られているのは、食品・容器包装

の需要量 464 千 t のうち、飲料用アルミニウム缶に使用された 303 千 t のリサイ

クルである。2004 年度は、アルミニウム缶の生産に 303 千 t のアルミニウム合

金板が消費され、185.2 億個のアルミニウム缶が生産された。このうち、261 千 tがリサイクルされ、リサイクル率は 86.1%という高率であった。リサイクルの内

訳は、使用済み飲料缶から製缶用アルミニウム合金を経て、再びアルミ缶に再生

されたものが 161 千 t、ダイカスト・鋳物等に転用されたものが 43 千 t、鉄鋼製

錬の脱酸剤等に使用されたものが 57 千 t であった。これは、使用済み飲料缶の

アルミニウム原料としての市場価値が高いことに加え、容器包装リサイクル法に

より、ごみ処理(一般廃棄物)を担当する全国の自治体が、資源ごみとして一般家

庭から収集し、リサイクルルートに乗せているためである。 飲料缶以外の需要分野のリサイクルの実態は、アルミ缶ほど詳らかではない。

しかし、アルミニウムスクラップの原料としての市場価値が高いことから、アル

ミニウムのリサイクル率は比較的高い。国内アルミニウム再生地金の生産が

1,015 千 t であり、原料となるアルミニウムくずの輸入が 106 千 t であったこと

から、その差額である 909 千 t からアルミニウム缶とダイカスト・鋳物に再生さ

れた 204 千 t を差引いた 705 千 t が、使用済みアルミニウム製品が国内でリサイ

クルされたと見ることができる。アルミニウム飲料缶を含め、国内需要量 4,055千 t のうち、約 23%がリサイクルされたことになる。

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-29-

アル

ミニ

ウム

(Al)

2004

年ベ

ース

、単

位:

千t

<輸

出入

><

国内

生産

><

最終

製品

><

主応

用製

品>

<リ

サイ

クル>

使用

済み

アル

ミニ

ウム

製品 909

食品

・容

器包

装一

部リ

サイ

クル

あり

需要

量46

4

アル

ミニ

ウム

くず

アル

ミニ

ウム

再生

地金

アル

ミニ

ウム板

金属

製品

一部

リサ

イク

ルあ

輸入

量10

6国

内生

産量

1,01

5生

産量

1,40

3需

要量

523

アル

ミニ

ウム

押出

産業

機械

一部

リサ

イク

ルあ

生産

量1,

056

需要

量17

1ア

ルミ

ニウ

ム合

金地

金ア

ルミ

ニウ

ム合

金地

輸入

量97

2国

内生

産量

112

アル

ミニ

ウム

鋳造

品土

木建

築一

部リ

サイ

クル

あり

生産

量39

6需

要量

705

アル

ミニ

ウム

ダイ

カス

ト電

力一

部リ

サイ

クル

あり

生産

量94

0需

要量

19ア

ルミ

ニウ

ム地

金ア

ルミ

ニウ

ム地

輸入

量2,

050

国内

生産

量6

アル

ミニ

ウム

鍛造

電気

通信

機器

一部

リサ

イク

ルあ

生産

量44

需要

量17

4

アル

ミニ

ウム

電線

輸送

機器

( 陸運

、航

空、

船舶

)一

部リ

サイ

クル

あり

生産

量34

需要

量1,

550

アル

ミニ

ウム

圧延

品, 粉

輸入

量85

アル

ミニ

ウム粉

化学

工業

一部

リサ

イク

ルあ

生産

量17

需要

量9

アル

ミニ

ウム

製品

その

他そ

の他

一部

リサ

イク

ルあ

需要

量44

0

輸入

計3,

213

国内

生産

計1,

133

生産

量計

3,89

0需

要量

計4,

055

輸出

向け

最終

製品

279

輸出

輸出

量27

9

1 .世

界の

ボー

キサ

イト

埋蔵

量:

概算

55,0

00~

75,0

00百

万ト

3 .単

位:

1,00

0Ton

4 .出

典:

財務

省貿

易統

計、

アル

ミニ

ウム

協会

資料

、U

SGS

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-30-

アル

ミニ

ウム

(A

l)

サイ

クル

の現

主な

応用

製品

用形

使用

済み

品の

形態

・量

リサ

イク

ル形

リサ

イク

ル備

形態

定量

リサ

イク

ル実

推定

使

リサ

イク

現状

評価

t/年

食品

・容器

包装

261

一部

リサ

イク

0.3

86

箔、

包装

容器

箔、

包装

容器

一部

リサ

イク

0.3

金属

製品

べ、

金属

バッ

ト、

なべ

、金

属バ

ット、

一部

リサ

イク

10

産業

機械

械部

機械

部品

部リ

サイ

クル

30

土木

建築

ッシ

、建

築資

材等

ッシ

、建

築資

材等

部リ

サイ

クル

30

電力

電線

部リ

サイ

クル

30

電気

通信

機器

器部

機器

部品

部リ

サイ

クル

10

輸送

機器

車、自

動車

、船

、等

車、自

動車

、船

、等

部リ

サイ

クル

30

化学

工業

、設

備機

不明

部リ

サイ

クル

30

その

その

不明

一部

リサ

イク

10

19

合計

23

状評

価:

A.

応用

製品

が消

耗品

B

.添

加剤

とし

て使

C

.リ

サイ

クル

流通

シス

テム

が未

整備

D

.効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

E

.経

済性

がな

F.

需要

開発

が不

十分

G

.そ

の他

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7 鉄 (Fe)

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-31-

7.鉄(Fe) 7.1 マテリアルフロー分析

鉄鋼製品は、鉄鉱石とコークスを原料に溶鉱炉と転炉を用いる転炉法と、原料と

して鉄スクラップを電気炉で精錬する電気炉法のプロセスで製造される。ただし、

冷間圧延なしの熱間圧延で製品となる場合もある。粗鋼生産量は、1995 年の 1億 164 万tに始まり、1998 年の谷(9,355 万t)を経てその後回復基調となり、

2000 年から 5 年連続で再び 1 億tの大台に乗った。更に、2004 年では 1 億 1,272万tと、過去最高の 1 億 1,932 万t(1973 年)に迫る勢いである。2003 年と 2004年はいずれも転炉法が 73.6%で、電気炉法が 26.4%であった。

最近 10 年間の粗鋼生産の推移を見てみると世界全体では 1995 年の 7.5 億/年から 2004 年には 10 億t/年と増大している。これは中国などの成長によるもの

である。中国は 2 億 7,250 万tと突出した伸びを示した。急成長が見込まれてい

るブラジルは 3,290 万 t(前年比 5.7%増)、インドは 3,260 万t(2.7%増)であ

る。表 1 に5年間の粗鋼生産量を示す。2005 年には中国は3億t台に達する見

込みである。

表 1 世界の粗鋼生産量(千t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 日本 106,444 102,866 107,745 110,511 112,717EU 163,358 158,497 158,686 160,550 ― 1)

CIS 98,489 99,619 101,089 107,480 64,300 2)

中国 127,236 150,866 181,682 220,115 272,500アメリカ 101,824 90,103 91,588 93,677 98,500韓国 43,107 43,852 45,390 46,310 47,500その他 207,542 204,197 216,820 229,357 ―

合計 848,000 850,000 903,000 968,000 1,054,600

1)EU のうちドイツは 46,400 千t(前年度比 3.6%増)で、イタリアは 28,300 千t(前年度比

5.6%増)

2)CIS の 64,300 千tは、ロシアのみの生産量(前年度比 2.5%増)である。

出典:日本鉄鋼協会ふぇらむ:Vol.9 No.4 (2004)129

出典:工業レアメタル(2005)95

表 2 は、最終製品である普通熱延鋼材と特殊鋼熱延鋼材の推移である。普通熱延

鋼材には H 形大形形鋼、中小形形鋼、小形棒鋼、一般線材、中厚板、広幅帯鋼が

ある。特殊鋼熱延鋼材には構造用鋼、ステンレス鋼、バネ、軸受鋼がある。

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表 2 銑鉄、粗鋼生産および主要鋼材生産実績推移(千t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 粗鋼生産量 106,444 102,866 107,745 110,511 112,717

転炉鋼 75,784 74,442 78,533 81,355 82,956電気炉鋼 30,660 28,424 29,212 29,156 29,761普通鋼 87,575 83,956 87,347 88,328 89,134

特殊鋼 18,870 18,910 20,398 22,183 23,583高炉銑鉄生産量 81,071 78,836 80,979 82,091 82,974普通鋼熱延鋼材 83,044 78,927 80,838 81,769 83,354

H 形大型形鋼 7,235 6,206 5,894 5,613 6,033中小形形鋼 1,752 1,558 1,576 1,501 1,527小形棒鋼 12,247 12,056 12,430 11,644 11,442一般線材 2,736 2,401 2,056 1,883 1,808中厚板 8,647 9,320 9,066 10,154 11,326

要 鋼

種 広幅帯鋼 44,529 41,715 44,152 45,469 45,612

特殊鋼熱延鋼材 15,748 15,835 17,451 18,735 19,843 構造用鋼 6,209 6,087 6,688 7,329 7,863 ステンレス鋼 3,021 3,147 3,098 3,330 3,435 バネ、軸受鋼 1,172 1,008 1,099 1,263 1,276出典:経済産業省 経済産業局 調査統計部「鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計月報」

(1)転炉法 原料→ 溶鉱炉→ 転炉→ 連続鋳造→ 熱間圧延→ 冷間圧延→ 製品

原料は鉄鉱石、石灰石、コークスで、溶鉱炉での反応によって、銑鉄(Fe-

4%C)が製造され、銑鉄の一部が鋳物用の銑鉄として鋳物業界で使用される。

大部分の銑鉄は転炉で酸素吹きにより脱炭されて溶鋼となる。溶鋼を連続鋳造で

半製品に固めて、その後に圧延工程によって板材、棒材、線材等が製造される。

連続鋳造や圧延によって発生した工程内のスクラップは転炉で再使用されるが、

スクラップで使用される量は転炉法で製造される全体の量の 2%程度の約 160 万

tと思える。わずかに市中屑を使う場合もあるようである。

(2)電気炉法 スクラップ→ 電気炉→ 連続鋳造→ 熱間圧延→ 冷間圧延→ 製品

原料は 100%市中屑である。2004 年には 2,972 万tが電気炉で使用された。製

品としては、小型棒鋼や軟鋼の線材が多く、高級な広幅帯鋼、バネや軸受鋼は製

造していない。 市中屑としては自動車(年間 400 万台の排出量がある)、建築・土木用材料、

造船や産業機械部品等、多数のものがある。市中屑は輸出入もあり、輸出は 230万tで輸入は 40 万tである。

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また市中屑の約 490 万tは、鋳鉄管(水道管等)や鋳物(鋳鉄、鋳鋼)製造に

使用される。 7.2 リサイクルの現状と評価 地球環境負荷の低減、省資源・省エネルギーの観点から、材料のリサイクルの

徹底が強く叫ばれている。特に、鉄鋼材料については、国内の鉄蓄積量は 12 億

tを超え、それに伴ってスクラップの発生量は年間 5,000 万 t を超えるレベルに

達している。さらに 2010 年にはスクラップの発生量は、6,000 万tを超えると推

定されている。従ってこれらスクラップの発生量・蓄積量の増大に対応し、今後

もスクラップを多量にリサイクルしてゆくために、環境に調和した溶解技術とト

ランプエレメントへの対策技術の進展が求められている。 スクラップをリサイクルしてゆく上での大きな課題として、精錬では除去され

にくいトランプエレメントの対策が挙げられる。特に銅は鋼製品の品質に悪影響

を及ぼすことから、銅を含有するスクラップのリサイクルを阻害することになる。 例えば鉄スクラップのなかにある銅は、自動車のモーターやハーネスに多く使

用されているが、精錬しても除去しにくく、循環性元素である。銅が鉄鋼材料の

中に混入すると、熱間加工性の阻害や溶接部高温割れの原因となる。悪影響の生

じない濃度はおおむね 0.3%以下である。今後はモーター類等比較的銅が多く含

まれたスクラップが増加すると見られ、薄めるために使用する良質スクラップが

大量に必要になる。 今後は、トランプエレメントの無害化技術と事前分別・除去や製綱圧延技術等

との組み合わせにより、スクラップのリサイクル拡大が行われていくと思われる。 鉄鋼のリサイクルは、2004 年と 2003 年で特に変化はない。鉄鋼の使用済み鋼

材は、電気炉法で再利用されるし、転炉法でも、工程内で発生した鋼材が再利用

されている。さらには鋳鉄や鋳鋼も、使用済み鋼材が使用され、リサイクル率は

90%程度と思われる。

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-34-

鉄 (Fe)

2004年ベース

単位:千トン

<原料>

<主要応用製品>

<リサイクル>

(工程内でリサイクル)

   スクラップ輸出2,300

スクラップ輸入400

鉄鉱石

粗鋼

112,717

普通鋼熱延鋼材

83,354*

市中屑

1,600

転炉鋼

82,956

①電気炉法の100%

34,610

電気炉鋼

29,761

H形大形形鋼

6,033

(建築、土木用)

29,720

中小形形鋼

1,527

(建築、土木用)

②鋳物(鋳鉄管・鋳物)

輸出 110 輸入562

小型棒鋼

11,442

(自動車部品、産業機械部品) にリサイクルされる

一般線材

1,808

(軟鋼線)

4,890

その他

中厚板

11,326

(造船用、産業機械部品)

鋳物用銑鉄585***

広幅帯鋼

45,612

(自動車用鋼板、家電用鋼板)

(鋳鉄管・鋳物用等)

特殊鋼熱延鋼材

19,843**

構造用鋼

7,863

(自動車部品、硬鋼線、ピアノ線)

ステンレス鋼

3,435

(自動車用部品)

鋳物製造

4,890

バネ、軸受鋼

1,276

(自動車用部品、産業機械用)

合計

103,197

輸出35,300輸入7,050

埋蔵量

NA

出典:経済産業省:「鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計月報」

可採量

NA

日本鉄鋼協会:ふぇらむVol.10,No.4(2005)p232

日本鉄鋼協会:ふぇらむVol.10,No.5(2005)p383

素形材センター:素形材Vol.46,No.7(2005)p 59

*普通鋼用粗鋼としては89,134千t

**特殊鋼用粗鋼としては23,583千t

***日本鉄鋼連盟ホームページ

<中間製品>

<最終製品>

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-35-

鉄(

Fe)

リサ

イク

ルの

現状

利用

形態

リサ

イク

ルの

現状

備考

形態

量(

注①

)リ

サイ

クルの

実態

リサ

イク

ルの

リサ

イク

ル率

評価(

A ~G)

(注

④)

(t)サ

イク

ル(注

②)

(注

③)

・電

気炉に

鋼材

使用

済み

・電

気炉に

鋼材

リサ

イク

ル業

者(

5~

20年

)90

%以

上G

リサ

イク

ル材

が電

気炉

H形

大形

形鋼

 と

して再

使用

鋼材

 と

して

2972

万t

使用

され

る。

中小

形形

鋼・

転炉

法に

は工

 が

使用さ

れる

電気

炉は

100 %

リサ

イク

小型

棒鋼

 程

内リ

サイ

ク・

転炉

に16

0 万t

ル材

が使

用さ

れる

一般

線材

 ル

材が再

使用

 が

使用さ

れる

中厚

板工

程内

で発

生し

たリ

サイ

広幅

帯鋼

クル

材は

転炉

で使

用さ

特殊

鋼熱延

鋼材

  

 〃

リサ

イク

ル業

者(

5~

20年

)90

%以

上G

れる。

構造

用鋼

ステ

ンレ

ス鋼

バネ

、軸

受鋼

注①

の量

の単

位:

③現

状評

価④

リサ

イク

ルの

ボト

ルネ

ック

(  )

は使

用量

純分

tA.

応用

製品

が消

耗品

であ

ると

、解

決の

難易

その

他は

発生

量純

分t

B.添

加物

とし

て使

用さ

れて

いる

毒性

、保

管の

危険

性の

有無

C.リ

サイ

クル

の流

通シ

ステ

ムが

ない

②サ

イク

ル:

D.効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

(  )

内は

推定

耐用

年数

E.経

済性

がな

その

他は

実リ

サイ

クル

年数

F.需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

G.そ

の他

主な

応用

製品

普通

鋼熱延

鋼材

使用

済み

の存

在形

態リ

サイ

クル

形態

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8 マグネシウム (Mg)

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-37-

8.マグネシウム(Mg) 8.1 マテリアルフロー分析

グネシウムは、1808 年に英国の H. Davy により発見され、1896 年にドイツで

カーナライトを用いた塩化マグネシウムの電解工場が稼動を開始し、工業化が始

まった。アルミニウム、チタンと並び、比較的新しい金属材料である。 マグネシウムは、地球上で 8 番目に豊富な元素(クラーク数 8)であり、地殻の

約 2.5%を占めている。生体必須元素(少量元素)で、人体に約 19g 存在する。マグ

ネシウム及びその化合物は、各種の鉱物として広く分布している。海水中にも

Mg 元素として約 0.13%溶解しており、800t の海水から約 1t のマグネシウムが採

取できる。マグネシウムの原料として使用される主な化合物は、マグネサイト(Mg含有量 28%)、ドロマイト(Mg 含有量 13t)、カーナライト(Mg 含有量 9%)、蛇紋

岩(Mg 含有量 26%)、海水(Mg 含有量 0.13%)、鹹水(通常の海水より塩分を多く含

む水、Mg 含有量 0.7~3%)などである。これらのマグネシウム資源は事実上無尽

蔵と考えられている。 マグネシウム製錬は、中国、カナダ、米国、ロシア、ノルウェー、イスラエル、

フランスなどで行なわれている。最近のマグネシウム地金生産は、とりわけ中国

の伸びが顕著で、最近は世界の 50%近くを占めるに至っている。国内のマグネシ

ウム製錬は、戦前は軍需産業、特にアルミニウムと並んで航空機用重要物資とし

て生産が奨励され、当時約 10 社がマグネシウムの製錬を行っていたとされてい

る。終戦とともに消滅したマグネシウム産業は、1955 年に再開され、ドロマイト

や海水を原料として製錬が行なわれていた。特にアルミニウム産業の発展に伴い、

アルミニウム合金添加剤用途のマグネシウムの生産は順調に伸び、1988 年には国

内のマグネシウム製錬能力は年間 23,000t に達していた。その後、海外との製錬

コストの差など主に経済的な理由から、1994 年をもって国内のマグネシウム製錬

は中止され、1990 年代後半からは中国からの開発輸入が中心となり、現在に至っ

ている。 マグネシウムの需要で最も多いのは、アルミニウム合金の添加剤で、需要量の

ほぼ半分を占めている。2004 年の需要量は 19,128t であった。鉄鋼脱硫剤、防食

(アノード)材、添加剤等、従来のマグネシウム需要分野は大きな変動がない。特

殊用途(ヘリコプターのギアボックス、ジェットエンジンのギアボックス等)に用

いられるマグネシウム鋳物製品の需要も少量で安定している。2004 年の需要は

97t であった。マグネシウムで最近需要が増加しているのは、ダイカスト及び射

出成型品(チクソモールディング)である。これは、マグネシウムが軽量高強度で

あることに加え、プラスチックに対する耐熱性や電磁シールド性に優れるなど特

性により、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなど家電製品の筐体に採

用が増加していること、さらに、環境・エネルギー問題から軽量化が要求される自

動車部品(シリンダヘッドカバー、ハンドルの芯金、シートフレーム、ブラケット

類)向けの需要が増加していることが主な理由である。但しこれらの製品も、コス

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-38-

トの問題で次第に中国、台湾に生産拠点が移りつつあり、射出成型原料となるマ

グネシウム合金粒の輸出が増加する傾向にある。2003 年のダイカスト製品需要は

9,767t、射出製品の需要は 2,857t であり、2004 年のダイカスト製品需要は 9,334t、射出製品の需要は 1,562t であり、2003 年に対しダイカスト製品は僅かに減少、

射出成型品はほぼ半分に減少した。これは、ノートパソコン、携帯電話等の筐体

生産の一部が中国に移転し影響と見られている。 マグネシウムの国内需給推移 (単位:t )

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

輸入 38,221 37,805 41,496 49,425 54,021 供給計 38,221 37,805 41,496 49,425 54,021 国内需要

構造材料 4,533 8,539 10,757 12,483 12,084 合金添加剤等 22,235 22,179 24,111 23,716 29,594 防食・その他 4,932 2,397 3,239 5,439 4,093 合計 31,700 33,115 38,107 41,638 45,771 輸出 143 1,160 2,179 3,488 2,434 需要計 31,843 34,275 40,286 45,126 48,205

(財務省貿易統計、工業レアメタル 2002,2005) 8.2 リサイクルの現状と評価

最も需要量の多いアルミニウム合金用添加剤の分野では、アルミニウム合金元

素としてリサイクルされている。但し、マグネシウムはイオン化エネルギーが低

いため酸化されやすく、ドロスなどの形で滅失も多い。一例として、UBC (Used Beverage Can)をアルミニウム飲料缶に再生する場合、マグネシウム新地金を加

え、成分調整を行っている。 ダイカスト製品は、製造工程で湯道・鋳型方案部など平均約 50%程度の工程く

ずが発生する。薄肉の製品ほど工程くずは多く発生し、携帯電話筐体の場合、溶

解量の 80%近くが工程くずとなる。これらの工程くずはすべて原料として再利用

される形でリサイクルされている。新たな用途として需要が拡大している携帯電

話、ノートパソコン、自動車部品など、使用済みダイカスト・射出成型品の回収方

法、再生技術等が、リサイクルを進めるための課題となっている。

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-39-

マグ

ネシ

ウム

(M

g)

20

04 年

ベー

ス、

単位

:t

<原

  

 料

><

中間

製品

><

最終

製品

><

主応

用製

品>

<リ

サイ

クル

マグ

ネシ

ウム

地金

鋳物

製品

航空

機部

品ギ

アボ

ック

ス、

他リ

サイ

クル

なし

輸入

量29

,973

需要

量97

  

中国

28,50

7 

  

カナ

ダ1,3

69自

動車

部品

ハン

ドル

芯金

工程

屑の

みリ

サイ

クル

  

 そ

の他

97シ

リン

ダヘ

ッド

カバ

ダイ

カス

ト製

品シ

ートフ

レー

マグ

ネシ

ウム

合金

地金

需要

量9,3

34オ

イル

パン

輸入

量12

,157

ブラ

ケッ

ト類

、その

  

中国

10,95

2 

  

カナ

ダ22

7マ

グネ

シウ

ム合

金地

金ノ

ート

PC筐

体工

程屑

のみ

リサ

イク

  

 ノ

ルウ

エー

848

射出

成型

  

 そ

の他

129

需要

量1,5

62携

帯電

話筐

体工

程屑

のみ

リサ

イク

マグ

ネシ

ウム

粒・粉

家電

製品

デジ

カメ

筐体

等工

程屑

のみ

リサ

イク

輸入

量9,8

84 

  

中国

9,308

展伸

材電

動工

具筐

体工

程屑

のみ

リサ

イク

  

 ロ

シア

514

マグ

ネシ

ウム粒

・粉需

要量

1,091

  

その

他63

鞄・ケ

ース

部品

工程

屑の

みリ

サイ

クル

マグ

ネシ

ウム

くず

輸入

量1,6

20ア

ルミ

合金

添加

剤ア

ルミ

ニウ

ム合

金材

料ア

ルミ

屑と

して

リサ

イク

  

 台

湾99

9需

要量

19,12

8 

  

中国

600

  

その

他20

鉄鋼

脱硫

材鉄

鋼材

料鋼

材屑

とし

てリ

サイ

クル

需要

量7,3

84マ

グネ

シウ

ム製

輸入

量38

7鋳

鉄添

加剤

ノジ

ュラ

-鋳

鉄鉄

屑と

して

リサ

イク

  

 米

国 

197

需要

量2,5

43 

  

中国

180

  

 そ

の他

11非

鉄金

属製

錬添

加剤

チタ

ン、

ジル

コニ

ウム

リサ

イク

ルな

需要

量53

9

防食

材、

その

他鉄

鋼構

造物

用防

食ア

ノー

ドリ

サイ

クル

なし

マグ

ネシ

ウム

中間

製品

等需

要量

4,093

輸出

量2,4

34 

  

粒・粉

2,065

台湾

、中国

  

 合

金地

金29

7韓

  

 く

ず・他

72中

1 .世

界の

埋蔵

量:

数億

t以

上2 .

可採

鉱量

3.

出典

:財

務省

貿易

統計

、工

業レ

アメ

タル

Vol.

121(

2005

) 、US

GS

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-40-

マグ

ネシ

ウム

(M

g)

リサ

イク

ルの

現状

主な

応用

製品

利用

形態

リサ

イク

ル備

形態

推定

量リ

サイ

クル

実態

推定

使用

リサ

イク

ル現

状評

t /年

年数

率 

航空

機部

品ギ

ヤボ

ック

ス等

廃ヘ

リコ

プタ

、エ

ンジ

ン等

 不

明リ

サイ

クル

なし

300

C自

動車

部品

ハン

ドル

芯金

廃車

マグ

ネシ

ウム

部品

シリ

ンダ

ヘッ

ドカ

バー

廃エ

ンジ

ン採

用が

近で

あり

シー

トフ

レー

ム廃

車 

不明

リサ

イク

ルな

し10

0G

使用

済み

品が

ほと

オイ

ルパ

ン廃

エン

ジン

どな

ブラ

ケッ

ト類

、その

他廃

ノー

トPC

筐体

廃パ

ソコ

ン 

不明

技術

は完

成し

たと

の情

報あ

り5 ~

10

0C

,D実

用化

の情

報な

携帯

電話

筐体

廃携

帯電

話 

不明

リサ

イク

ルな

し3

0C

,D家

電製

品筐

体廃

家電

製品

 不

明リ

サイ

クル

なし

5~10

0C

,D電

動工

具筐

体廃

電動

工具

 不

明リ

サイ

クル

なし

5 ~10

0C

,D鞄

・ケ

ース

部品

廃鞄

 不

明リ

サイ

クル

なし

5~10

0C

,Dア

ルミ

添加

剤ア

ルミ

ニウ

ム合

金ア

ルミ

合金

くず

 -

 リ

サイ

クル

なし

 -

 0

Bア

ルミ

屑と

して

リサ

イク

鉄鋼

脱硫

材鉄

鋼材

料鉄

くず

 -

 リ

サイ

クル

なし

 -

 0

B鉄

屑と

して

リサ

イク

鋳鉄

添加

剤鋳

鉄鉄

くず

 -

 リ

サイ

クル

なし

 -

 0

B鉄

屑と

して

リサ

イク

製錬

添加

剤チ

タン

チタ

ンく

ず 

- 

リサ

イク

ルな

し 

- 

0B

ジル

コニ

ウム

ジル

コニ

ウム

くず

 -

 リ

サイ

クル

なし

 -

 0

B防

食ア

ノー

ド犠

牲陽

極(滅

失)

 -

 リ

サイ

クル

なし

 -

 0

A 

  

  

  

現状

評価

:A

.応

用製

品が

消耗

B.

添加

剤と

して

使用

C.

リサ

イク

ル流

通シ

ステ

ムが

未整

D.

効果

的な

リサ

イク

ル技

術が

ない

E.

経済

性が

ない

F.需

要開

発が

不十

G.

その

使用

済み

品の

形態

・量リ

サイ

クル

形態

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9 錫 (Sn)

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9.錫(Sn) 9.1 マテリアルフロー分析

錫は古代より知られている元素である。錫と銅から作られる青銅は古代から

用いられていた合金の一つである。現代においては青銅は、硬いが容易に鋳造

することができる性質をもつもので、ベアリングやバルブあるいは機械の部品

材料として用いられている。最近では電子材料や電子部品にも使用されている。 錫の原料は錫石 (SnO2)であるが、その他に WO3, S, Cu, Pb, Fe 等を含むこ

とがあるのでこれら不純物を溶解前にできるだけ除去する。日本では 660t /年程度の精錬が行われている。錫は比較的卑なため、溶錬のときにスラグに入

りやすい上、鉄との分離が難しいので、2段階に分けて還元溶錬を行う。まず

第1段の鉱石溶錬では歩留を考えず品位の高い粗錫(Sn90%)を得る。この

際電気炉、反射炉が用いられ、スラグは錫を 10~15%を含む。次にスラグに

コークスや石灰石で強還元して、粗錫(Sn90%)とする。粗錫を小型反射炉

で不純物を溶離して錫とする。この際電解精錬を行うこともある。 一方、インドネシア、中国、タイ、マレーシアから 26,000t /年の錫が輸入

されている。従って、錫の自給率は 2.5%となる。 2004 年以降のデーターはないが、表 1 は世界の錫生産量である。2004 年は

増加しているのではないかと思われる。表 2 は日本の精錬による生産量であ

る。大きな変化はなく生産量も少ない。大部分は輸入である。

表 1 世界の錫生産量(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 277,000r 281,000r 241,000r 209,000

(USGS2003) r Revised.

表 2 日本の生産量(t)primary smelter 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年

593 668 659 662 (USGS2003)

最終製品は多くの分野で使用されている。ブリキは鉄板に錫をメッキしたも

ので,多方面で使用されている。例えば缶詰などに使用されているブリキは、

鉄に錫メッキしたものである。錫は鉄よりイオン化傾向が小さいので溶け出し

にくく鉄を保護する。しかし、ブリキに穴があいてしまうと中の鉄が溶け出し

てしまう。最近は鉄板の錫メッキは減少傾向があり、亜鉛メッキが多くなって

いる。 錫の融点は 232℃と低くはんだ(Sn:40%、Pb:58%、Sb:2%)に利用されて

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いる。しかし鉛の有害性があり、はんだの分野では、鉛フリーはんだの研究開

発や実用化が行われている。はんだ中の錫量は品種によって異なるが、約 40%である。 電子部品のリードフレームに使用されるリン青銅は、Cu-Sn-Pの組成で

ある。展伸材としての錫は 3~8%で燐は 0.2%でばね用に用いられている。 鋳物用としては錫は 5~25%で燐は 0.05~0.5%で耐食性と耐磨耗性が優れ

ている。 青銅は、銅の強度を増すために錫を混ぜた合金(Cu:95~75%、Sn:5~25%)

である。錫の含有量が多くなるほど硬度が高くなる。青銅鋳物の生産量を

90,000tとし、錫量を平均して 15%とすると、13,500tとなる。 軸受合金には、ホワイトメタル(Sn90%)やアルミ軸受合金の需要がある

が、軸受合金としての用途は少ない。 最近は、液晶パネルやプラズマパネルの需要が増加しているが、それらのパ

ネルには ITO(In-Sn-O の組成)透明電極が使用されていて、錫が 4.5%含有

されている。このパネルの分野は液晶、プラズマ、その他の方式が激しい競争

をしているが ITO は液晶にもプラズマにも、使用が可能であるのでの増加す

ると思われる。 錫 需給実績 (単位: t)

区分 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 繰越在庫 3,874 4,510 2,817 1,587 2,405 生産 593 668 659 662 707 発生 73 99 35 62 91 輸入 28,126 21,501 24,937 29,136 32,158 供給計 32,666 26,778 28,448 31,447 35,361 国内需要 ブリキ 0 0 電線 478 296 伸銅品 2,863 1,659 銅合金鋳物 0 0 はんだ・銅合金塊 11,978 10,138 箔粉末・等 0 0 その他 10,098 9,417 計 25,417 21,510 7,985 7,872 7,012 青銅鋳物等 輸出 183 150 171 176 318 需要計 出典:日本鉱業協会誌(2001~2005 年)単位は原典では Kg 平成 14 年 (2002 年 )より、用途別消費量は採っていない。

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9.2 リサイクルの現状と評価 ブリキは、錫を取り出すことはなく鉄板として回収される。はんだは鉛レス

のため需要が増加すると思われるが、回収してリサイクルするのは難しい。電

子部品や伸銅品に使われるリードフレームについても錫を取り出すことなく

銅合金として回収されている。青銅鋳物は、鋳物としてリサイクルされている

が鋳物から錫を取り出すことはない。軸受合金や電線の錫メッキも錫を取り出

すことなく、軸受合金や電線として回収される。 ITO の透明電極はディスプレイパネルやアモルファスシリコン太陽電池で

ありこれらが使用済み品となる。液晶テレビやプラズマテレビは最近市場に出

された製品であって、使用済み品が出回りはじめるところである。メーカーで

は生産台数の伸び率が大きく、今後さらに市場の拡大が期待されている。 従って、ブリキ、リードフレーム、青銅鋳物、軸受合金などはそれぞれが回

収されて鋼板、鋳物、軸受合金などに錫を取り出すことはないが回収されてい

る。ITO における錫は拡散してしまう可能性が高く、今後の課題である。

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-44-

錫(S

n)

2004

年ベ

ース

単位

:Sn純

分t

<原

料>

<中

間製

品>

<終

製品

ブリ

キな

ど(S

nめ

っき

鋼板

・S

nめ

っき

缶等

)減

少傾

向(鉄

板と

して

回収

)(-

)(*

1)

錫石

(S

nO

2)

精錬

工程

はん

だ(は

んだ

(S

n4

0%

))

リサ

イク

ルな

し(662t)

(*

9)

(10,0

00t)

(*

2)

電子

部品

・伸

銅品

(リ

ード

フレ

ーム

(り

ん青

銅C

uー

Sn

ーP

)等

)リ

サイ

クル

なし

(C

u合

金と

して

回収

)(2,4

00t)

(*

3)

輸入

ター

ゲッ

トメ

ーカ

ーへ

(26

,000t)

(*

10)

ITO

(透

明電

極)

(In

Sn

O(液

晶・プ

ラズ

マパ

ネル

))

リサ

イク

ルな

し(21t)

(*

4)

イン

ジウ

ムの

回収

は始

まっ

た青

銅鋳

物な

ど(青

銅鋳

物(S

n5

~2

5%

)等

)リ

サイ

クル

なし

(鋳

物と

して

回収

)(13,5

00t)

(*

5)

軸受

合金

(ホ

ワイ

トメ

タル

(Sn90%)・

アル

ミ軸

受合

金等

)減

少傾

向(合

金と

して

回収

)(-

)(*

6)

電線

(電

線の

Snメ

ッキ

)リ

サイ

クル

なし

(電

線と

して

回収

)(490t)

(*

7)

輸出

(136t)

(*

8)

(*

1)鉄

板の

錫メ

ッキ

は減

少傾

向。

亜鉛

メッ

キが

多い

。(鉱

業便

覧:平

成1

3年

版)

(鉱

業便

覧の

新版

(平

成1

7年

版)は

発行

され

てい

ない

(*

2)は

んだ

のデ

ータ

ー現

在は

多少

増加

傾向

と思

われ

る。

(鉱

業便

覧:平

成1

3年

版)

(*

3)伸

銅品

のデ

ータ

ー(鉱

業便

覧:平

成1

3年

版)

(*

4)IT

O: 

組成

割合

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8:4

.5

  

Sn=360×

4.5

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銅鋳

物: 

90,0

00t×

0.1

5%

Sn=13,5

00t(

青銅

鋳物

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9万

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形材

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5)V

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No.1

 p.5

8を

参考

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6)軸

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業便

覧:平

成1

3年

版)

(*

7)電

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ッキ

(鉱

業便

覧:平

成1

3年

版)

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SG

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国の

輸入

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採用

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9)U

SG

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003)

(*

10)鉱

業便

覧(平

成13年

版)

<応

用製

品>

<リ

サイ

クル

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-45-

錫(S

n)

リサ

イク

ルの

現状

主な

応用

製品

利用

形態

使用

済み

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存在

形態

/量

リサ

イク

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サイ

クル

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①)

リサ

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リサ

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サイ

クル

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(A~

G)

ブリ

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ッキ

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サイ

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めに

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年)

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ス)

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0,00

0t)

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サイ

クル

(10

年)

0%E

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需要

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10

年)

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青銅

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鋳物

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クル

(10

年)

0%E

今後

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合金

合金

使用

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年)

0%E

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電線

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t)電

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期間

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クル

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クル

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るE.経

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るF.需

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クル

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リサ

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ル技

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10 ニッケル (Ni)

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-47-

10.ニッケル(Ni)

10.1 マテリアルフロー分析 ニッケルの主要用途は、ステンレス鋼、特殊鋼、メッキ板、磁性材料、非鉄合

金、電池、触媒等多岐にわたり、それらは石油・化学プラント、自動車、産業用

機器、家電、通信機器、石油精製等、多方面に使用されている。 ニッケルの需給は、ニッケル地金、フェロニッケル、酸化ニッケル、ニッケル

粉の分野からなっている。2004 年の日本にニッケル需給については、ニッケル地

金とフェロニッケル合わせて対前年比横ばいとなった。ニッケル地金では 2004年の需要は 93,400tと対前年比 2,600tの増となる。用途別には、特殊鋼・合金

向けの用途が増加した。シャドウマスクも好調さを持続した。半導体では 42 ア

ロイが調整局面を迎えている。電池では、2004 年はニッケル水素合金が好調を持

続した。 フェロニッケルは 2004 年の需要は 69,000tと対前年比 2,000tの減少となっ

た。ステンレス生産は史上最高の 340 万t台を維持したが、ニッケル価格が高値

のためクロム系ステンレスへの生産比率が増加してニッケル系ステンレスの生産

が減少し、その結果フェロニッケル需要が若干減少した。 酸化ニッケルでは、ステンレス鋼生産の増加と共に酸化ニッケルの需要も伸び

てきたが、耐熱・耐食合金や構造用合金、42 アロイなどステンレス鋼以外での分

野での需要が高水準の国内販売につながった。 ニッケル粉の 2004 年の輸入は 9,952tで対前年比(7,734t)29%増であった。

電池すなわちニッカド電池、ニッケル水素電池の生産は数量でそれぞれ対前年比

19%減、5%減となったが、焼結基板の海外の現地工場への輸出向けが伸びたも

のと思える。ニッケル水素電池向け材料は、ハイブリッド電気自動車の増産計画

が報道されているように今後の需要増に期待がかかる。 表1に 2002~2004 年のニッケルの需給推移を示す。2004 年と 2003 年では、

ニッケルとフェロニッケル合わせてほぼ横ばいである。酸化ニッケルはステンレ

ス鋼生産の需要ものびてきたが、耐熱・耐食合金や構造用合金鋼、42 アロイ等ス

テンレス鋼以外の需要として増えてきた。 ステンレス鋼は 2004 年に 343 万tと過去最高であったが、ニッケル系が 2003年後半以降、ニッケル市況高等からクロム系へのシフトがより強まってきたと思

われる。 ニッケル粉末の輸入は 2004 年で前年比 29%増の 9,952tと増えている。ニッ

ケル水素電池とニッカド電池は減少したが、焼結基板が伸びたものと思える。

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-48-

表1 ニッケルの需給推移 (単位:t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

生産量 36,230 32,526 32,297 34,942 32,677 ニッケル

地金 輸入量 57,894 28,139 40,413 53,611 51,959 生産量 74,753 68,113 74,669 75,399 74,261 フェロ

ニッケル 輸入量 37,635 45,471 50,059 56,947 55,602 生産量 47,000 49,600 48,950 52,700 60,300 酸化

ニッケル 輸入量 1,215 708 885 915 967 ニッケル粉 輸入量 11,206 8,246 9,680 7,734 9,952 ステンレス 生産量 3,021,080 3,137,844 3,096,250 3,328,366 3,434,778 (出典:工業レアメタル 2002~2005、日本貿易統計) 10.2 リサイクルの現状と評価 ニッケルの主要用途は、ステンレス鋼、特殊鋼、メッキ板、磁性材料、非鉄

合金、電池、触媒等多岐にわたり、それらは石油・化学プラント、自動車、産業

用機器、家電、通信機器、石油精製等、多方面に使用されている。 メッキ材料では自動車や自転車等のスクラップとなる。スクラップはニッケル

として再生されることなく、簿材としてリサイクルされているものがほとんどで

ある。 触媒は、石油精製の水素化脱硫触媒として直接脱硫と間接脱硫触媒があり、直

接脱硫触媒はほぼ全量がリサイクルされてフェロニッケルの原料とされている。

間接脱硫触媒はリサイクルメリットが少なく、ストックされている。油脂加工、

石油化学、リフォーミング用触媒はニッケル含有量が高く、ほぼ全量集荷・リサ

イクルされている。 磁性材料はアルニコ磁石(Al-Ni-Co)で、リサイクル業者等により 70%近くリ

サイクルされ、特殊鋼の原料となる。 電池は、ニッケル水素電池とニッカド電池で、2004 年には 180tのニッケルが

回収された。 ステンレス鋼や特殊鋼は石油・化学等の設備、LNG タンカー等の主として産業

用設備として使用され、製造後役 10 年で廃棄、スクラップとなる。リサイクル

量は推定で約 305 万t、その他に約 2.2 万tのスクラップが輸入された。

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-49-

ニッ

ケル

(N

i)2004年

ベー

ス 

単位

:( 

)はN

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<原

料>

<中

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料>

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製品

><

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応用

品>

<リ

サイ

クル

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ニッ

ケル

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量2,1

00

輸入

量(540)

輸入

国(フ

ィン

ラン

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国(99) 

(ベ

ルギ

ー134)

ニッ

ケル

マッ

トニ

ッケ

ル地

金メ

ッキ

自動

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メッ

キ板

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輸入

量127,3

51(95,5

13)

生産

量(3

2,6

77)

5,6

02

輸入

国イ

ンド

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ア94,3

58(70,7

69)

輸入

量(5

1,9

59)

触媒

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精製

使用

済触

媒オ

ース

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32,9

73(24,7

30)

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0,0

79)

1,3

50

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,354)

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合金

・非

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金ラ

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レビ

スピ

ーカ

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,729)

6,7

39

その

他(2

7,7

97)

電子

部品

リー

ドフ

レー

ム・バ

ニッ

ケル

粉電

池携

帯電

話・パ

ソコ

ン電

極輸

入量

(9,9

52)

4,9

05

英国

(4,6

70)

カナ

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,865)

その

他(4

17)

酸化

ニッ

ケル

その

他フ

ェラ

イト・磁

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ード

リサ

イク

ルな

し生

産量

60,3

00(57,2

85)

5,0

47

輸入

量967(532)

輸出

オー

ストラ

リア

903(497)

フェ

ロニ

ッケ

ル(20,6

00)

その

他64(35)

ニッ

ケル

地金

(1,9

00)

その

他(29,6

00)

ニッ

ケル

鉱石

フェ

ロニ

ッケ

ルス

テン

レス

鋼石

油、

化学

等の

設備

輸入

量4,5

12,7

06(108,3

05)

生産

量(7

4,2

61[7

3,6

55])

3,4

34,0

00

イン

ドネ

シア

2,3

31,2

36(55,9

50)

輸入

量55,6

02(16,6

80)

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リピ

ン1,1

00,3

52(26,4

08)

ニュ

ーカ

レド

ニア

36,7

57(1

1,0

27)

自家

発生

スク

ラッ

プ(3

5,0

00)

ニュ

ーカ

レド

ニア

1,0

81,1

18(25,9

47)

コロ

ンビ

ア8,4

25(2,5

28)ド

ミニ

カ7

,55

8(2

,26

7)そ

の他

2,8

62(859)

ステ

ンレ

スス

クラ

ップ

輸入

*ニ

ッケ

ル・合

金ス

クラ

ップ

輸入

*

(13,2

00)

(8,3

00)

輸入

国(韓

国 

6,9

85)

輸入

国(オ

ラン

ダ 

3,6

14)

(台

湾 

2,3

71)(タ

イ 

836)(そ

の他

3,0

08)

出典

:工

業レ

アメ

タル

2005

*は

2003年

のデ

ータ

(米

国 

1,5

39)(

韓国

547)(そ

の他

2,6

00)

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-50-

ニッ

ケル

(N

i)リ

サイ

クル

の現

利用

形態

リサ

イク

ルの

現状

備考

形態

量(注

①)

リサ

イク

ルの

実態

リサ

イク

ルの

リサ

イク

ル率

評価

(A

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)(注

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サイ

クル

(注

②)

%(注

③)

Ni-

MH

 N

i-C

d電

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リサ

イク

ル業

者3

年70

ステ

ンレ

ス鋼

ニッ

ケル

系板

・条

板・条

  

 〃

11

年40

D含

有量

9%

(118,0

00t)

その

他特

殊鋼

ニッ

ケル

系板

・条

板・条

  

  

〃8

年40

D含

有率

50%

注①

の量

の単

位:

③現

状評

価④

リサ

イク

ルの

ボトル

ネッ

( )は

使用

量純

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A.応

用製

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 と

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難易

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他は

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量純

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加物

とし

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 毒

性、

保管

の危

険性

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無等

C.リ

サイ

クル

の流

通シ

ステ

ムが

ない

②サ

イク

ル:

D.効

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なリ

サイ

クル

技術

がな

( )内

は推

定耐

用年

数E.経

済性

がな

その

他は

実リ

サイ

クル

年数

F.需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

G.そ

の他

リサ

イク

ル形

態主

な応

用製

電池

使用

済み

の存

在形

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11 クロム (Cr)

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11.クロム(Cr) 11.1 マテリアルフロー分析 クロムの主要用途は、特殊鋼(主としてステンレス鋼、耐熱鋼)、耐熱合金(ス

ーパーアロイ)、耐火煉瓦、メッキ用等で、それらは産業用・家庭用機器、建設用

材料、航空機、化学プラント、工業窯炉、皮革、顔料等幅広く使用されている。 クロムの需要の大半は、特殊鋼(特にステンレス鋼)でクロム消費量の 95%程

度が特殊鋼用に消費されている。 2004 年の日本のクロム需要は、製鋼用に消費されるフェロクロムベースで、

2003 年の 892 千 t より増加して 990 千 t であった。 その内訳では、高炭素フェロクロムが 2003 年の 850 千 t から 2004 年は 920千 t、中低炭素フェロクロムが 42 千 t から 70 千 t へとなっている。 これは、ステンレス熱間圧延鋼材の生産が、2003 年の 333 万 t から 2004 年は

343 万 t と増加したことによるものである。 一方 2004 年におけるフェロクロムの国内生産は、高炭素フェロクロムが 9 千

t、中低炭素フェロクロムが 4 千 t と国内消費に対する生産比率で高炭素フェロク

ロムが 1.0%、中低炭素フェロクロムが 5.7%と非常に低い状態である。1990 年

代以降の国内生産事業の撤退、海外合弁事業への進出等により年々低下の一途を

辿るとともに海外生産者への依存度が益々高まっているのが現状である。 現状において、日本の輸入量は単一国としては世界最大であるが、中国その他

アジア地域のステンレス鋼生産の拡大による輸入量の増加、また過去長期間に渡

る価格低迷により淘汰されたフェロクロム生産者の寡占化の進展等により、今後

の我が国フェロクロムの需給が大きな影響を受ける可能性がある。

表 1 日本のフェロクロムの生産、輸入、消費の推移(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

フェロクロム 生産量 131,759 92,033 111,982 19,505 13,473

フェロクロム 輸入量 776,327 739,464 783,371 913,579 977,219

フェロクロム 消費量 877,813 838,985 841,935 892,557 914,866

(工業レアメタル 2001~2005)

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-52-

表 2 金属クロム(塊、粉)の輸入実績(t) 輸 入 先 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

中 国 1,101 1,292 1,082 1,498 1,836

イギリス 373 383 267 305 308

フランス 637 737 514 370 496

米 国 859 647 516 681 632

ロ シ ア 50 188 115 8 329

計 3,085 3,315 2,550 2,930 3,682

(工業レアメタル 2001~2005)2001 年までクロムくず含む 11.2 リサイクルの現状と評価 (1) 鉄鋼用クロム

クロムの多くは耐食性、耐熱性に優れたステンレス鋼や耐熱鋼などの特殊

鋼に利用されている。ステンレス鋼の主な応用製品は、厨房機器、車体、産

業機器、建設機材などで、Fe-Ni-Cr(クロム含有率 18%)または Fe-Cr(同

13%、18%)ステンレス鋼として利用される。また耐熱鋼は、ボイラー、タ

ービン、工業炉、化学プラントなどに広範囲に、23%、11.5%クロム含有耐

熱鋼が利用される。 ステンレス鋼などの特殊鋼スクラップのリサイクル量は、現状では充分把

握されていないが、市中回収品はクロム純分で 19 万 5 千 t 前後*と推定され

る。なお、フェロアロイ及び特殊鋼製造時に発生するスラグは、一部路盤材

や肥料として利用されている。

(2) 金属クロム 金属クロム使用量は以下の用途の合計で約 4 千 t*と推定される。

①スーパーアロイ スーパーアロイが航空機エンジン、原子力機器、高温タービン翼、化学

プラント反応塔・配管等に使用されてから、使用済み品となるまでの期間

は 10~20 年と見られる。スクラップ発生量は明らかではない。 ②非鉄合金

航空機の胴や翼、車両、船体、建築構造材等に用いられるアルミ合金へ の添加材としてクロムが使用されるが、これらの使用済み品の発生量は明 らかではない。

③電子工業部品 クロムまたは合金として磁気ヘッド、抵抗器、磁気記録媒体、電極等に

使用されるが、これら部品の使用済み品は電子機器の筐体中やプリント基

板上にあることが多い。スクラップ発生量は不明である。 ④スパッタリングターゲット

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-53-

ハードディスク、液晶、ミラー、ガラスまたは装飾品用コーティングが

クロムのスパッタによって製作されている。使用済みターゲット品は一部

リサイクルされ、また①のスーパーアロイ用原料として利用されているよ

うである。

(3) 化学用クロム 使用量は合計で約 1 万 2 千 t と推定される。用途の内、顔料、着色剤等

ではリサイクルはない。メッキに使用される無水クロム酸約 9 千 t の内約

600t 分*の廃液が回収されリサイクルされている。(クロム純分約 300t*)

(4)耐火物用クロム 使用済みの耐火物は炉の修理時に発生するが、その発生量は明らかでな

い(使用量はクロム純分で約 4 千 t*)。クロムを含む耐火物は炉内で高温

にさらされるため 6 価のクロムに変質する。従って近年使用量が減少して

きている。

(5)鋳物用クロム 特殊鋼の鋳鋼用砂型に使用されるクロマイトサンドは高価なので、ユー

ザーは繰り返し使用しているようである。(消費量はクロム純分で約 2.8 千

t*)廃棄されている使用済みの砂量は不明である。 耐熱用の鋳物としてクロム鋳鉄とクロム鋳鋼があるがクロム使用量はわ

ずかである。 *は 2003 年のデータを使用

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-54-

単位

:千

t 、

( )内

はC

r純分

の他

はマ

テリア

ル量

<原

料>

<中

間製

品>

<終

製品

><主

要応

用製

品>

(e)

100(3

2)

*産

業機

器輸

入185

(59)

建設

用材

リサ

イク

ル量

(163)

輸入

国87

(イン

ド  

28)

生産

9(5

)+4(2

.5)=

(7.5

)生

産3,4

35(618)

業務

用機

器74

(南ア

24)

輸入

907+70=977

輸出

4,0

90(736)

家庭

用機

器24

(イラ

ン他

8)

(517)+

(43)=

(560)

輸送

材料

輸入

国南

ア502

カザ

フ268

他207

スー

パー

アロ

イ航

空機

、原

子力

機器

非鉄

合金

ター

ビン

、エ

ンジ

ン生

産0.7

溶接

棒化

学プ

ラン

ト輸

入3.7

スパ

ッタ

ター

ゲッ

トハ

ード

ディ

スク

、液

晶輸

入国

(中国

1.8

)そ

の他

ミラ

ー、

ガラ

ス(U

SA

0.6

)生

産(4

.0)

(フラ

ンス

0.5

)(イ

ギリ

ス 0

.3)

(南ア

他 0

.5)

輸出

(0.4

)重

クロ

ム酸

ソー

ダ*

重ク

ロム

酸カ

リウ

ム無

水ク

ロム

酸(皮

革、

顔料

、染

料)

*ク

ロム

酸(メ

ッキ

)生

産24(8)

リサ

イク

ル量

(0.3

)輸

入12(4)

クロ

ム煉

瓦*

(工

業窯

炉)

クロ

マグ

・マ

グク

ロ煉

瓦*

生産

(3.6

)耐

火物

用ク

ロム

鉱石

生産

(0.9

)*

(工

業窯

炉)

**輸

入(3.0

)(高

温炉

内壁

充填

材)

生産

(0.3

)**鉱

石量

は上

記に

まれ

る。

*鋳

鋼用

砂型

)消

費量

(2.8

純分

換算

比率

:ク

ロム

鉱32%

、高

炭素

フェ

ロク

ロム

57%、

中低

炭素

フェ

ロク

ロム

62%

、ス

テン

レス

鋼18.

13%

 工

業レ

アメ

タル

2005

*2003年

デー

クロ

ム(

Cr)

繰り

返し

使用

耐熱

鋳物

れん

が屑

(一

部)

<リ

サイ

クル

>

2004年

ベー

ス、

耐火

煉瓦

不定

形耐

火物

クロ

ム系

金属

クロ

 ク

ロム

スク

ラッ

無水

クロ

ム酸

クロ

ム鉱

石特

殊鋼

(ス

テン

レス

棒)

フェ

ロク

ロム

ステ

ンレ

ス等

スク

ラッ

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-55-

クロム(

Cr)

リサイクルの現状

使用済みの存在形態

リサイクル形態

主な応用製品

利用形態

形 態

量(注①)

リサイクルの実態

リサイクルのサイクル(注

②)

リサイクル率

リサイクルの現状

評価

(A~

G

(注③

)

備 考

(注

④)

産業機器

建設用材

業務用機器

家庭用機器

輸送材料

ステンレス鋼

ステンレス屑

(1

63千t

)スクラップ業者

数年~数

十年

26

航空

機、

原子

力機

器、

タービ

ン、

エンジン、

学プラント、ハード

ディスク、液晶、

ミラー、ガラス

スーパーアロイ

非鉄合金

溶接棒

スパッタリングター

ゲット

使用

済み

不明

不明

10

年~

20年

不明

メッキ、皮革、顔

料、染料

無水クロム酸

廃液

(3

00t

) メーカー回収

1年

3%

工業窯炉

クロム煉瓦

煉瓦屑

不明

不明

数年~数十年

不明

鋳鋼用砂型

耐熱鋳物砂

熱鋳

廃砂

(2

.8千t

) 繰り返し使用

不明

注)①の量の単位:

(

)内は

Cr純分t

その他はマテリアル量t

②サイクル:(

)内は推定耐用年数

その他は実リサイクル年

③現状評価:

A .

応用製品が消耗品である

B .

添加物として使用されている

C.リサイクルの

流通システムがない

D.効果的なリサイクル技

術がない

E.経済性がない

F.需要開発が十分にされていない

G.その他

④リサイクルの

ボトルネックと

、解決の難

易度

毒性、保管の危険性の有無

など

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12 マンガン (Mn)

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-57-

12.マンガン(Mn) 12.1 マテリアルフロー分析 マンガンの主要用途は、鉄鋼(粗鋼)生産時の鋼の性質向上のための脱酸脱硫

剤、またアルミ合金の硬度、強度向上剤として使用され、それらは普通鋼、特殊

鋼、アルミ合金等として社会生活の中で幅広く使用されている。更には二酸化マ

ンガン等酸化物の形態で乾電池電極剤等にも使用されている。 特にマンガンの需要は、その主要用途である粗鋼生産の動向に大きく左右され

る。 2004 年の日本のマンガン系合金鉄の需要は、対前年比 2%増の 1.12 億tを超

える粗鋼生産量の増加を受け、2003 年の 760 千tに対し 2004 年は 780 千tに増

加している。更に金属マンガンにおいても 2003 年の 64 千tから 2004 は 83 千

tと大きな増加を示している。金属マンガンの需要量の増加は、マンガン系合金

鉄中の中低炭素フェロマンガンの一部が金属マンガンに振り代わったものと推測

される。 一方我が国におけるマンガン系合金鉄の供給形態は、高炭素フェロマンガンに

ついては主として鉱石を輸入してフェロマンガンを生産(2004 年の場合:輸入鉱

石からの高炭素フェロマンガン生産 451 千tに対し、輸入高炭素フェロマンガン

は 45 千t)、シリコマンガンについてはシリコマンガンの形態での輸入が主流

(2004 年:輸入鉱石からのシリコマンガン生産 86 千tに対し、輸入シリコマン

ガンは 302 千t)となっている。なお、金属マンガンについては、全量を輸入に

依存している。(表 1) 2004 年の日本の生産は、需給逼迫や市況高騰を受け、JFEマテリアル、日本

電工でのマンガン系合金鉄の生産再開、生産能力増強等により、高炭素フェロマ

ンガン、中低炭素フェロマンガン、シリコマンガン等のマンガン系合金鉄合計で

663 千t、対前年比 131 千t増となった。(表 2~3)

表 1 マンガン(くず含む)輸入推移(t) 輸 入 先 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

中 国 33,491 45,143 37,033 55,397 73,700

南アフリカ 8,494 6,558 7,400 7,759 8,617

米 国 1,109 885 1,077 851 795

そ の 他 175 162 269 297 226

合 計 43,270 52,748 45,779 64,304 83,338

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表 2 日本でのフェロマンガンなどの生産量推移(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

高炭素 355,964 381,902 373,392 388,909 450,888フェロマンガン

中低炭素 91,956 102,102 101,236 117,935 125,979

フェロシリコマンガン 83,018 79,272 87,445 74,866 86,312

表 3 フェロマンガンなどの輸入量推移(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

高炭素 53,503 41,199 43,892 76,924 44,706フェロマンガン

中低炭素 16,180 13,350 14,179 10,384 6,498

フェロシリコマンガン 223,747 218,405 254,269 283,116 302,402

表 4 電解二酸化マンガンの国内需給推移(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

生 産 63,390 51,095 45,867 49,116 45,680

国内消費 29,254 27,023 27,057 26,000 17,627

輸 出 27,743 20,400 23,854 22,452 29,822

輸 入 1,668 1,025 2,161 2,973 6,805

在 庫 10,325 11,650 7,734 8,127 6,112

出典:表 1~4(工業レアメタル 2002~2005) 12.2 リサイクルの現状と評価 (1)鉄鋼、アルミ用

鉄鋼応用製品は、ビルディング、自動車、橋梁、船舶、産業機器から民生

用の飲料缶まで多岐にわたっており、その使用年数は、飲料缶の数ヶ月、自

動車の 7~8 年、橋りょう等の数 10 年と変動しさまざまである。鉄スクラッ

プ量は約 5,000 万tで、輸入 40 万tと併せて約 5,040 万tが主として電炉鋼

用(2,916 万t)や鋳物用(490 万t)及び転炉鋼用原料としてリサイクルされ

ている。中でも鉄缶は、791千t回収し回収率 87.1%となっている(2004年)。

スクラップのリサイクルマンガン量は、147 千tとなる。 各種スラグ中マンガン量が大きいが、マンガンリサイクル用にはなりにく

いが、マンガンケイカル肥料等で一部利用されている。高炉スラグは、銑鉄

1t当たり約 286kg 発生する(2,436 万t*)。セメント、コンクリート細骨材、

路盤材、ケイカル肥料としてほぼ全量使用されている。転炉スラグは、転炉

鋼 1t当たり約 111kg 発生し(897 万t*)、 また電気炉スラグは、電気炉鋼 1t当たり約 115kg 発生する(333 万t*)。港湾工事、土木用、路盤材主体に利

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-59-

用されている。 アルミ製品の使用年数は、飲料用アルミ缶の数ヶ月からアルミサッシ類の

数年~10 数年と大きく異なっている(推定マンガン使用量 5 千t)。1990 年

頃からアルミリサイクル再生ルートが確立されてきており、マンガンを約

1.3%含むアルミ飲料缶胴体は、261 千tが回収され回収率 86.1%に達した。

マンガンリサイクル率はアルミリサイクル率と同じとみると、アルミ缶から

マンガン 3,390tがリサイクルされた。 (2)電池、フェライト、化学用他

廃乾電池は、分別回収が進んできているが主要材料のひとつである二酸化

マンガンのリサイクルはあまり進んでない、分別収集されたものは、鉄くず、

ソフトフェライト、亜鉛として一部リサイクルされているが多くは埋め立て

られている。乾電池業界全体の二酸化マンガン使用量は約 17 千t(マンガ

ン使用量 11 千t)と推定される。 TV、VTR、コンピューター等に使用されるソフトフェライトは、マン

ガン亜鉛フェライト(マンガン 18%)がトランス用等に、マグネシウムフェ

ライト(マンガン約 5%)が偏向ヨーク等に使用されている。 廃家電等とし

て処分されて、殆どリサイクルは行われていないが、一部電波吸収材への利

用が行われているようである。 肥料、飼料等への添加物は、消耗品であり、リサイクルされない。

染色、上水等に酸化剤として使用される過マンガン酸カリは、低級マンガン

酸化物のスラッジとなりリサイクルされていない。 亜鉛精錬の電解液の酸化剤として使用されていた二酸化マンガン鉱粉は、

亜鉛電解時の正極に二酸化マンガンとして回収して再利用するようになり、

使用が無くなった。補足用に、過マンガン酸カリが年間マンガン使用量 280t*程利用されている。

*は 2003 年のデータを使用

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-60-

2004年

ベー

単位

:千

t 、(

)内

はM

n純

の他

はマ

テリア

ル量

<原

料>

<中

間製

品>

<主

要応

用製

>」

*144*

鋼板

鉄鋼

スク

ラッ

プリ

サイ

クル

リサ

イク

ル量

(147)

輸入

量1,1

92

鋼管

輸入

国南

ア 7

26

粗 鋼

鉄鋼

スラ

グリ

サイ

クル

州 3

16

形鋼

リサ

イク

ル量

(不明

)生

産量

生産

量生

産量

451(

352)

112,7

17

89,1

34

棒鋼

輸入

量 4

5消

費量

輸入

国中

国 1

7高

炭素

条鋼

  

 豪

州 1

8361(2

82)

  

 南

ア 9

中低

炭素

輸入

量( 83)

68(6

6)

輸入

国(中

国 74)

シリコ

(南

ア 9

)313(1

91)

工具

鋼 

 (米

国 

0.8

)生

産量

126(

102)

金属

マン

ガン

輸入

量 6

.5(-

)生

産量

構造

用鋼

輸入

国南

ア 3

.423,5

83

  

 韓

国 2

.4特

殊用

途鋼

  

 中

国 0

.3

生産

量 8

6( 52)

輸入

量 3

02

輸入

国中

国 1

98

  

 豪

州 1

2

  

 ウクライナ

33

( 5)*

アル

ミア

ルミ合

金ア

ルミ

缶リ

サイ

クル

飲料

缶リ

サイ

クル

量(3

.4)

上記

と同

じフ

ェラ

イト

リサ

イク

ル量

(不明

)*

( 17)

( 12)

輸入

量1,1

92

乾電

池、二

次電

池リ

サイ

クル

量(不

明)

輸入

国南

ア 7

26

生産

46(

29)

マン

ガン

州 3

16

輸入

6.8

(4.2

)ア

ルカ

リマ

ンガ

ンオ

キシ

ライ

ト(ニ

ッケ

ルマ

ンガ

ン)

純分

換算

比率

: 高

炭素

フェロマ

ンガン

78%、中

低炭

素フェロマ

ンガン

81%、シ

リコマ

ンガン

61%、鉄

鋼0.4

%、電

解二

酸化

マン

ガン

62%、四

三酸

化マ

ンガン

66%

出典

:工

業レ

アメ

タル

2005

マン

ガン

(Mn)

<リ

サイ

クル

>

普通

特殊

化学

・電

池他

<終

製品

>

マン

ガン

鉱石

電解

二酸

化 マ

ンガ

ン 四

三酸

化 マ

ンガ

マン

ガン

鉱石

高炭

素フ

ェロ

マン

ガン

中低

炭素

フェ

ロマ

ンガ

シリ

コマ

ンガ

金属

マン

ガン

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-61-

マンガン(

Mn)

リサイクルの現状

使用済みの存在形態

リサイクル形態

主な応用製品

利用形態

形 態

量(注①)

リサイクルの実態

リサイクルのサイクル(注

②)

リサイクル率

リサイクルの現状

評価

(A~

G

(注③

)

備 考

(注

④)

産業

機器

、建

設用

材、

業務

用機

器、

家庭

用機

器、

輸送

材料、飲料缶

普通鋼、特殊

鉄ス

クラ

ップ

(1

47千t)

スクラップ業者

数年~数

10年

アルミ合金

飲料缶

アルミ合金

アル

ミ缶

スク

ラッ

(3、39

0t)

自治体、業者

数ヶ月

マン

ガン

乾電

二酸

化マ

ガン

廃乾電池

不明

ソフ

トフ

ェラ

イト

三酸

化マ

ンガン

廃家電

不明

注)①の量の単位:

(

)内は

Mn純分t

その他はマテリアル量t

②サイクル:(

)内は推定耐用年数

その他は実リサイクル年

③現状評価:

A.応用製品が消耗品である

B.添加物として使用されている

C.リサイクルの

流通システムがない

D.効果的なリサイクル技

術がない

E.経済性がない

F.需要開発が十分にされていない

G.その他

④リサイクルの

ボトルネックと

、解決の難

易度

毒性、保管の危険性の有無

など

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13 コバルト (Co)

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13.コバルト(Co) 13.1 マテリアルフロ-分析 コバルトの主要用途は携帯電話、ノートパソコン等に使用されるリチウムイ オン二次電池で、その他の応用製品としては切削工具等超硬合金用の粉末冶金、 航空機、プラント等に使用される高速度鋼や耐熱鋼等の特殊鋼、家庭電化製品、

音響機器等に使用されるアルニコ磁石、サマリウム・コバルト磁石等の永久磁

石、石油精製時の脱硫触媒等がある。 2003 年にはコバルト価格が大きく変動した。低価格水準でスタートした価格

が CDI(コバルト開発協会)総会での中国のコバルト需要の大幅増大予測に端

を発した投機資金の流入により 12 月末に暴騰した。その後 2004 年 3 月まで価

格は暴騰を示したものの実需等の状況による調整により価格は下落し、2004 年

末では 17$ /lb(38$ /kg)台となっている。しかし、世界的なリチウムイオン

二次電池(コバルトが含有されている)向け需要の増大、航空機需要回復によ

るスーパーアロイ需要等の需要増大により多少の調整がなされたが価格水準も

高止まりの状態が続くものとみられている。 2004 年の日本のコバルト需要量は 12,600tと推定され、前年比 15%増の成

長を遂げた。用途別需要では、総需要量 12,600tの 7 割強が二次電池向けであ

り、二次電池の内でもその 95%相当がリチウムイオン電池用と推定される。携

帯電話、ノートパソコン等の生産増大に伴い、リチウムイオン電池の生産数量

も 2001 年 453 百万個、2002 年 568 百万個(前年比 25%増)、2003 年 763 百

万個(前年比 34%増)2004 年 779 百万個(前年比 2%増)と増加の一途を辿っ

ている。上記生産拡大により、現在の日本の電池メーカーの世界市場シェアは 6割を超えているものとみられる。 リチウムイオン二次電池ほど現状での需要にインパクトはないが、今後の需

要増大に大きく影響を与えるものとしてハイブリッド自動車向けのニッケル水

素電池用コバルト需要がある。現在、ハイブリッド自動車に搭載される二次電

池は安全性・コスト優位性等の観点からニッケル水素電池が主流となっており、

今後の環境規制の強化による低排出ガスの自動車の開発・生産の増大によりコ

バルトの需要も大きく増大する可能性がある。 一方、2004 年の日本のコバルトの供給は、国内生産としては住友金属鉱山の

生産 429tのみで、それ以外は総て輸入に依存しており、需要量のほとんどを

輸入に頼っているのが現状である。 2004 年の輸入量は、マテリアルベースで、コバルト地金及び粉末が 15,181t、 酸化物及び水酸化物が 2,626tとなっており、コバルト地金及び粉末の主要供給

国をみるとフィンランド 3,931t、豪州 2,352t、カナダ 2,309tと比較的安定

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-64-

供給先への依存度が高いと言える。一方、かつての世界一の生産者であり、我

が国への最大の供給者であったコンゴ(Gecamines)は 348tと大きく減少し

ている。表 1~2 にコバルト地金・粉末及び酸化コバルト・水酸化コバルトの輸

入推移を、表 3 にコバルトの需要の推移を示す。

表 1 日本のコバルト地金、粉末の輸入推移(t) 輸入先 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

コンゴ 1,245 460 305 557 348 ザンビア 1,427 873 1,458 1,512 1,715 フィンランド 999 1,387 1,977 2,709 3,931 ノルウェー 1,143 914 912 1,054 1,272 ベルギー 647 566 416 476 573 ドイツ 0 80 58 27 19 カナダ 1,928 1,777 2,032 2,003 2,309 ロシア 221 54 120 258 233 その他 1,727 1,862 2,549 4,092 4,781 合計 9,337 7,973 9,827 12,688 15,181

(工業レアメタル 2005)(経済産業省:鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計月報)

表 2 日本の酸化コバルト、水酸化コバルトの輸入推移(t) 輸入先 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

(酸化物) ベルギー 2,895 1,011 1,651 1,892 1,404 フィンランド 126 211 462 764 441 カナダ 19 16 11 17 13 その他 79 66 49 252 250 合計 3,119 1,304 2,173 2,925 2,108 (水酸化物) ベルギー 190 95 117 161 208 フィンランド 38 64 106 333 133 アメリカ 5 10 93 2 68 その他 3 11 16 106 109 合計 236 180 332 602 518

(工業レアメタル 2005)(経済産業省:鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計月報)

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表 3 日本におけるコバルトの需要推移(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

特殊鋼 886 1,001 730 1,041 873 磁石 521 234 193 173 210 超硬 420 326 206 307 419 触媒 160 176 134 257 254 電子合金 433 420 367 404 489 その他 403 316 230 1,360 1,181 計 2,823 2,474 1,859 3,541 3,426 二次電池等(推定) 5,800 5,700 7,000 6,400 9,000 合計(推定) 8,700 8,200 9,000 10,000 12,600

(工業レアメタル 2005)(経済産業省:鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計月報) *ただし、鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計月報には最大の需要である二次電池

などが含まれていないため、コバルト総需要量(推定)から二次電池向け需要

量を推定。 13.2 リサイクルの現状と評価 コバルトのリサイクル量を定量的に把握・公表されている統計がなく、正確な

現状把握は困難である。 ①特殊鋼

高速度鋼の内の切削工具の一部は超硬工具同様に数カ月から 1 年程度で交換さ

れ、それ以外の耐熱鋼などの機械装置についても、数年ごとに交換修理され、10年以上の機械本体の寿命を経て廃棄される。コバルトの鋼材への添加は、これら

のスクラップを利用して行われる。コバルトのリサイクル量を推定することは困

難であるが、特殊鋼生産量の増加、鋼屑消費量の増加により今後とも微増する見

通しである。なお、製鋼時には 5%程度の不良品、検査片などが発生しているが、

これは自工程内でリサイクル再利用されている。

②触媒 石油精製時の脱硫触媒として消費され、2~8 年程度で交換される。いずれも石

油精製残滓や未反応樹脂などとの混合物であり、コバルト純分ベースで約 46t程

度の回収(2003 年データ)があったと推定される。 ③二次電池

最大の需要用途であるリチウムイオン電池からのコバルト、鉄、銅、ニッケ

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-66-

ルを回収する技術開発は実用化レベルに達しているが、回収システムの構築が

今後の課題である。このうちリチウムイオン電池からのコバルトの回収は始ま

ったようである。

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-67-

2004年

ベー

ス、

単位

:( )は

Co純

分ベ

ース

その

他は

マテ

リア

ル量

<原

料>

<半

製品

><

製品

><

主要

応用

製品

><

リサイクル

携帯

電話

・ノー

トパソ

コン

デシ

゙タル

カメラ・電

動工

具<リサ

イクル

量不

明>

航空

機切

削工

具<

 不

明>

切削

工具

(超

硬・ダイ

ヤ)

自動

車<

 不

明>

電子

機器

自動

車<

 不

明>

石油

化学

< 

約46t

>*

自動

車(タイヤ

)<

 不

明>

VT

R<

 不

明>

印刷

・窯

業<

 不

明>

磁気

記録

媒体

その

他電

子材

料<

 不

明>

1.

埋蔵

量: 

13百

万トン

 (米

鉱山

局推

定)

工業

レア

メタ

ル2005

2.

可採

埋蔵

量: 

7百

万トン

 (米

鉱山

局推

定)

*2003年

デー

コハ

゙ルト(

Co

コハ

゙ルト地

金・微

粉末

15,1

81t 

(14,1

73t)

豪州

 :  

2

,352

カナ

ダ 

: 

2,3

09

ザン

ビア

: 

1,7

15

ノル

ウェー

: 

1

,272

コン

ゴ 

 :

  3

48

フィン

ラン

ド:

3,9

31

二次

電池

10,5

70

顔料

160

磁石

180

触媒

480

金属

石鹸

480

特殊

鋼1,1

20

粉末

冶金

800

その

他1,6

00

磁性

材料

320

酸化

物2,1

08t(

1,5

23t)

ベル

ギー

1,4

04

フィ

ンラ

ンド

441

水酸

化物

518t

(321t)

ベル

ギー

208

フィ

ンラ

ンド

133

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-68-

コバ

ルト(C

o)(

その

1)

リサ

イク

ルの

現状

使用

済み

品の

存在

形態

・量

サイ

クル

形態

主な

応用

製品

利用

形態

(注

①)

リサイクル

の実

リサ

イクル

のサ

イクル

(注

②)

リサイクル

率.

リサ

イクル

現状

評価

(A~

G)(注

③)

(注

④)

工作

機械

鉱山

機械

超硬

工具

(約10%

)

使用

済み

チップ

専門

業者

が集

1年

E

一般

工具

、工

機械

,航空

機、

ター

ビン

切削

工具

炉製

品、

エン

ジン

部品

(4~

40%

)

使用

済み

工具

鋼材

スクラップ

専門

業者

が集

特殊

鋼用

の溶

原料

とし

て使

5年

C,

音響

機器

電子

機器

サマ

リウム

コハ

゙ルト系

久磁

(66%

)

アル

ニコ系

永久

磁石

(4

~20%

機械

部品

機械

部品

リサイクル

なし

専門

業者

が集

(5

年)

5年

0%

C

電子

機器

蒸着

材料

(100%

パッ

ケー

ジ等

リサイクル

なし

(5

年)

0%

D,E

石油

化学

触媒

(約4

%、

一部

50%

使用

済み

触媒

2年

石油

精製

触媒

(

約2%

) 使

用済

み触

(2

年~

8年

(注

)①量

の単

位:

(

)内は

使用

量純

分t

その

他は

発生

量純

分t

②サ

イク

ル:

(

)内は

推定

使用

年数

の他

は実

リサイクル

年数

③現

状評

価:

.応

用製

品が

消耗

品で

ある

.添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

.リサ

イクル

の流

通シ

ステ

ムが

ない

.効

果的

なリサ

イクル

技術

がな

E.

経済

性が

ない

F.

需要

開発

が十

分に

され

てい

ない

G.

その

④リサ

イクル

のホ

゙トル

ネックと

,解決

難易

性,保

管の

危険

性の

無な

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-69-

コバ

ルト(C

o)(そ

の2

リサ

イク

ルの

現状

使用

済み

品の

存在

形態

・量

リサ

イク

ル形

主な

応用

利用

形態

(注

①)

リサイクル

の実

リサイ

クル

のサ

イク

ル(注

②)

リサ

イク

率.

リサ

イク

ル現

状評

(A~

G)(

③)

(注

④)

VT

Rテ

ープ

磁気

テー

プの

コー

ティン

グ層

添加

テー

リサイクル

なし

(3

年)

0%

B,

Ni-

Cd電

電極

材料

(約

5%

使用

済み

電池

法的

規制

(5

年)

B,

ニッ

ケル

水素

リチ

ウム

イオ

ン電

電極

材料

(5~

20%

使用

済み

電池

リサ

イク

ルが

始ま

った

が、

量は

不明

(5

年)

,D

ガラ

添加

ガラ

ス廃

リサ

イクル

なし

(5

年)

0%

ナベ

、タ

ンク

ホー

ロの

下塗

ホー

ロー

廃材

リサイクル

なし

(3

年)

0%

電子

機器

ソフトフ

ェライト

電子

機器

リサ

イクル

なし

(5

年)

0%

(注)①

量の

単位

(

)内

は使

用量

純分

t

の他

は発

生量

純分

t

サイ

クル

:

( )内

は推

定使

用年

その

他は

実リサ

イクル

年数

③現

状評

価:

.応

用製

品が

消耗

品で

ある

B.

添加

剤と

して

使用

され

てい

.リサ

イクル

の流

通シ

ステ

ムが

ない

D.

効果

的な

リサイクル

技術

がな

E.

経済

性が

ない

.需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

G.

その

④リサ

イクル

のホ

゙トル

ネックと

,解

難易

性,保

管の

危険

性の

有無

など

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14 タングステン (W)

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14.タングステン(W) 14.1 マテリアルフロー分析 タングステンは、高温における硬度、耐熱等の特性から、主として高速度鋼、

超硬合金として金属加工機に取り付けられて使用される切削工具及び金型、線引

ダイス、その他の機械部品として工作機械等に使用される。その他の応用製品と

しては、高融点の特性を利用して、線、棒、接点、電極棒として、照明基部、電

子機器、自動車、工作機械等に使用されるとともに触媒として石油化学や環境機

器等にも使用されている。 2004年の我国のタングステン需要量はタングステン純分ベースで 7,150tであ

る。2003 年は約 6,000tであった。最大需要先である超硬工具生産量は 2004 年

では 5,508tで、高速度鋼は 17,610tであった。超硬工具は 2003 年よりも約 1300t増加し、高速度鋼はほとんど変化はない。その他には、電気電子機器用等に、

細線、棒線、トリタン、接点、銅タングステン合金、銀タングステン合金に使用

されている。 一方、日本のタングステン供給は、鉱石については 1992 年の国内採鉱停止以

降全量海外からの輸入に依存しており、APT(パラタングステン酸アンモン)等

の中間原料についても同様である。特に中国の安価な大量輸出によるカナダ、豪

州等の世界のタングステン鉱山等の淘汰により、我国への中間原料等の供給先は

中国にそのほとんどを依存せざるを得ない状態となっている。 なお、西側の潜在的な供給ソースとしては、既存鉱山ではカナダ(CanTung)、ポルトガル(Beralt)、オーストラリア(KIS)、オーストリア(Mittersil)等、

また今後の開発の可能性としてはベトナム(Nui Phao)等がある。価格の大幅な

上昇と、中国の供給に不安を持つ大手需要家の支援により、現在、再開、増産、

開発の動きが出ている。加えてリサイクルの動きも活発になっているが、まだ中

国に依存せざるを得ない。 2004 年ベース、2003 年ベース、1999 年ベースでの日本の輸入量の変化と、日

本のタングステン関連業界の生産実績を示す。表1では、Wの輸入量は 1999 年

から 2003 年の間に凹凸があるが、2004 年まで増加傾向にある。その中で鉱石の

輸入量が減少し、フェロタングステン等がその代わりに増加している。中国が鉱

石よりも付加価値の高い原料の輸出に傾斜しているのが大きな原因である。 タングステンの生産実績も高速度鋼のような特殊鋼や、切削工具等の超硬工具

は増加傾向にある。 リサイクルについては、2004 年ベースと 2003 年ベースでは大きな変化はない

と思われる。

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表 1 日本のタングステン輸入量推定(W純分t) 輸入先 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

鉱 石 840 528 492 421 73 フェロタングステン 848 636 428 1,007 1,023 APT 5,134 4,335 3,386 3,361 4,314 金属タングステン粉 868 693 493 452 663 W・カーバイド粉 1,068 1,170 1,086 1,368 1,756 線・板・棒・その他 610 636 510 623 747 合 計 9,368 7,998 6,395 7,232 8,576 (工業レアメタル 2005)

表 2 日本のタングステン関連業界の生産実績(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

特殊鋼 高速度鋼 18,241 16,842 14,640 17,535 17,610 金属

金属タングステン 5,046 3,678 3,303 2,597 4,254 超硬工具 切削用 3,313 2,834 2,698 2,893 4,080 耐磨・耐蝕用 1,135 1,004 1,004 1,029 1,213 鉱山土木 188 210 247 244 204 その他 5 5 9 11 11

合 計 4,641 4,053 3,958 4,177 5,508 (工業レアメタル 2005) 14.2 リサイクルの現状と評価 ① 高速度鋼関係

高速度鋼の製綱時におけるスクラップや工具製造時の切削屑、研磨屑等素性の

はっきりした物は製綱時に戻して使われるとともに、使用済工具類は、再生イン

ゴットの成分の有形屑として使用される。2004 年の使用済切削工具からのリサイ

クル量としては、約 150tと推定される。

② 超硬合金関係 使用済超硬工具類は、バイト、カッター等の工具の先端にチップとして取り外

し可能な物と、耐磨耗、耐蝕用工具が主なリサイクルの対象になる。2004 年の超

硬合金工具類の生産は 5,510tで、約 300tのタングステンがリサイクルされた

と推定される。

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-73-

③ 触媒 現在、我国で使用されている石油化学系タングステン触媒は、リサイクルのサ

イクルが6~7年と寿命も長く、使用済触媒からのタングステンの回収は非常に

少量と推定される。火力発電所からの脱硝触媒は、タングステン含有量が低いた

めほとんどリサイクルされていない。

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-74-

タン

グス

テン

(W)

2004年

ベー

ス単

位:( 

 )内

はW

純分

t<原

料>

<中

間原

料>

<中

間製

品>

<終

製品

><主

要応

用製

品>

<リ

サイ

クル

>

鉱石

フェ

ロタ

ング

ステ

ン特

殊鋼

金型

使用

済切

削工

具等

輸入

134

輸入

1,3

29(1,0

22)

17,6

10

切削

工具

中国

131

中国

1,3

29(1,0

22)

使用

済超

硬合

金タ

ング

ステ

ン酸

カル

シウ

ム工

具類

SSク

リン

カー

(634)*

鉱石

(72)*

ノコ

刃他

  

  

  

輸出

パラ

タン

グス

テン

酸タ

ング

ステ

ン粉

タン

グス

テン

・カ

ーバ

イド

超硬

工具

切削

工具

アン

モン

輸入

(663)

輸入

(1,7

56)

5,5

08

輸入

2788(1,9

57)

中国

(534)

中国

(917)

中国

2784(1,9

54)

ドイ

ツ(72)

韓国

(274)

細線

照明

器具

リサ

イク

ル不

明ド

イツ

4(3)

その

他(57)

ドイ

ツ(252)

(107)

オー

ストリ

ア(215)

線棒

電子

部品

リサ

イク

ル不

明そ

の他

(98)

(164)

トリ

タン

管球

リサ

イク

ル不

明(

54)

溶接

棒接

点(

9)

自動

車電

装部

品リ

サイ

クル

不明

銅合

金重

電機

の接

触子

(131)

放電

加工

電極

銀合

金(

21)

加工

品真

空蒸

着コ

イル

リサ

イク

ル不

明(

117)

タン

グス

テン

酸ア

ンモ

ン触

媒使

用済

触媒

酸化

タン

グス

テン

X線

増感

タン

グス

テン

酸ソ

ーダ

染色

20

03

年の

デー

タを

使用

1.

純分

換算

比率

 鉱

石:77.7

%、パ

ラタ

ング

ステ

ン酸

アン

モン

:70.2

%、

フェ

ロタ

ング

ステ

ン:77%

、タ

ング

ステ

ンカ

ーバ

イド

:94%

、銅

・銀

合金

:50%

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-75-

タン

グス

テン

(W

)リ

サイ

クル

の現

利用

形態

リサ

イク

ルの

現状

備考

形態

量(注

①)

リサ

イク

ルの

実態

リサ

イク

ルの

リサ

イク

ル率

評価

(A

~G

)(注

④)

(t)

サイ

クル

(注

②)

(注

③)

高速

度鋼

切削

屑、

研磨

屑(約

150t)

製造

工程

のス

クラ

ップ

不明

や屑

とし

て回

触媒

水素

添加

用廃

触媒

リサ

イク

ルさ

れる

触媒

の不

明重

油燃

焼脱

硝用

大部

分は

石油

精製

用直

設法

によ

り回

超硬

工具

超硬

合金

工具

使用

済工

具・チ

ップ

(約300t)

バイ

ト、

カッ

ター

等の

工具

(6年

~7

年)

不明

の先

端の

取り

外し

可能

な物

及び

研磨

、耐

食用

工具

がリ

サイ

クル

の対

金属

タン

グス

テン

照明

・電

子機

器製

造工

程屑

製造

工程

中の

線、

板、

不明

製品

溶接

棒棒

鋼と

して

回収

自動

車接

点等

注①

の量

の単

位:

③現

状評

価④

リサ

イク

ルの

ボトル

ネッ

( )は

使用

量純

分t

A.応

用製

品が

消耗

品で

ある

  

  

 と

、解

決の

難易

その

他は

発生

量純

分t

B.添

加物

とし

て使

用さ

れて

いる

  

 毒

性、

保管

の危

険性

の有

無等

C.リ

サイ

クル

の流

通シ

ステ

ムが

ない

②サ

イク

ル:

D.効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

( )内

は推

定耐

用年

数E.経

済性

がな

その

他は

実リ

サイ

クル

量F.需

要開

発が

十分

にな

され

てい

ない

G.そ

の他

特殊

主な

応用

製品

使用

済み

の存

在形

態リ

サイ

クル

形態

Page 89: 鉱物資源マテリアル・フロー 2005 - JOGMEC金属 …mric.jogmec.go.jp/public/report/2005-12/mineral_resource.pdf鉱物資源マテリアル・フロー 2005 平成17 年12

15 モリブデン (Mo)

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15. モリブデン(Mo)

15.1 マテリアルフロー分析 2004年の日本のモリブデン需要は、表1のようにモリブデン純分で25.2千tと

推定される。その内、鉄鋼部門での消費を23.8千t(2003年データ)とすると94%を占めている。 一方供給については、我が国はMoO3の全量を輸入に依存するとともに、フェ

ロモリブデンの約62%を輸入に依存している。 2004年の輸入量は、表2のようにMoO3が製品ベースで35.5千t(前年は32.7千

t)、フェロモリブデンが5.1千t(前年も5.1千t)となった。 供給国別内訳では、MoO3 についてはチリ 40%、メキシコ 20%、中国 15%、フ

ェロモリブデンについては、中国が 92%と圧倒的なシェアを継続している(2003年データ)。2004 年もほぼ同様であろう。 フェロモリブデンは環境問題、コスト等の観点から海外の供給者確保が難しい

状況となっており、国内生産者(MoO3 を輸入し酸化モリブデン、フェロモリブ

デン等に加工)も過去には7社あったものが現在では2社に減少したが、輸入元

の中国への依存度が非常に高いため、国内生産者の存在は不可欠である。

表1 日本のモリブデン需要量(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

21,600 21,600 21,600 24,300 25,200 (工業レアメタル2002~2005)

表2 日本の酸化モリブデンとフェロモリブデンの輸入量(t)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 酸化モリブデン 32,389 31,705 30,140 32,727 35,462

フェロモリブデン 3,346 3,873 3,993 5,121 5,066 (工業レアメタル2002~2005)

表3 フェロモリブデンの生産量(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

酸化モリブデン 849 633 505 599 744 フェロモリブデン 3,699 3,485 2,375 2,691 3,323 (工業レアメタル2002~2005)

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表4 粉末製品と加工製品の生産実績(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

粉末製品 774 751 574 648 936 加工製品 447 434 376 481 759

(工業レアメタル 2002~2005)

表 5 触媒用モリブデンの消費実績(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 1,509 1,852 2,019 1,319 1,350

(工業レアメタル 2003~2005) 15.2 リサイクルの現状 (1) 主な応用製品と利用形態 モリブデン需要の大きなものは、触媒(石油精製用、石油化学工業用)と鋳物及

び特殊鋼である。これらのほかに金属モリブデンの線、板、棒、箔の形で使用され

る照明器具や電子材料、各種無機薬品、潤滑剤等がある。 ①触媒

石油精製用のNiO-CoO-Mo03系触媒には水素化脱硫用(Mo:4.5%)、水素化分

解用 (Mo:7.O%)の2種類があり、石油化学工業用にはBi2O3-MoO3系(Mo12%)触媒が使

用されている。 ②特殊鋼及び鋳物

構造用合金鋼(Mo:O.15~O.7%)、ステンレス鋼(Mo:0.5-5.O%)、高張力鋼(Mo: O.15~O.7%)、合金工具鋼(Mo:0.2~1.5%)、高速度鋼(Mo:3.5~9.5%)などがあ

る。また鋳物はO.3~3.5%のモリブデンを含む。 工場内でのスクラップはほぼ全量原料として回収されているが、製品として出

荷された後は、再溶解原料に、溶解原料に適さない物はNi精錬工場等に戻される。 ③線・板・棒・箔

金属モリブデンを線、板、棒、箔の形態で使用する応用製品としては、照明器 具(マンドレル、反射鏡)、電子管用陰極及びヒーターグリッド、ガラス炉融炉用電

極棒、マグネトロン部品(陰極、端子等)、工業炉用発熱体等がある。 ④無機薬品

モリブデンを含む無機薬品としては、防錆塗料用に塩基性モリブデン酸亜鉛 (Mo:25~30%)、着色顔料としてモリブデート赤(Mo:9%)がある。また硫化モリ

ブデンの形態で潤滑剤として使用されているものもある。 (2)使用済み品の存在形態と量

①触媒

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石油精製用のモリブデン触媒は、直接脱硫用のものは1~2年で、また間接脱

硫用のものは7年でその性能が劣化し使用済み触媒となる。 ②スーパーアロイ

工場内でのスクラップはほぼ全量原料として回収されている。材質のわかる

物は再溶解原料に、溶解原料に適さない物はNi精錬工場等に戻される。 ③線、板、棒、箔

照明器具に使用されたモリブデンは電球や蛍光ランプの形態で使用済みと

なり、ガラス溶融炉に使用されたモリブデンは電極棒の形態で、工業炉用では

発熱体、ポート、敷板の形態で使用済みとなる。そのほか電子管、マグネトロ

ン管、半導体デバイス等の形態で使用済みとなるものもある。 ④無機薬品

防錆塗料や着色顔料として使用されたモリブデンは、使用済み後は各種器

材の塗膜とし存在するものが大部分で、潤滑剤として使用される硫化モリブデ

ンはグリース、ギヤー油等の廃油の形で使用済みとなる。

(3)リサイクル形態と現状評価等 ①触媒

国内で使用されたモリブデン触媒のうち石油精製用のものはリサイクルシ

ステムが確立しており、直接脱硫用は1~2年、間接脱硫用は7~8年の使用の

後、リサイクルされ再利用されている。石油化学工業用モリブデン触媒はアク

リロニトリル製造用のものが一部リサイクルされている。 ②スーパーアロイ

スーパーアロイに関しては、工場内でのスクラップはほぼ全量原料として回

収されているが、製品として出荷された後は、再溶解原料に、溶解原料に適さ

ない物はNi精錬工場等に戻される。 ③線、板、捧、箔

モリブデン金属の線、板、捧、箔は、照明、電子、通信等に使用されるが、こ

れらのうち照明用については、業者経由でリサイクルされ、酸処理後にモリブ

デン塩としてリサイクルされ特殊鋼用に利用されている。 ④無機薬品

無機薬品に含まれるモリブデンは微量添加物あるいは消耗品であり、最終製

品からのリサイクルは行われていない。 リサイクルの現状に関しては,10年前の調査と比較しても公的統計などの整

備は進んでおらず、大きな変化も観察されなかった。リサイクルに関する問題

点としても10年前と変わらず、含有量が低く経済性の観点からリサイクルの

メリットが無いと考えられるものについては、経済性を満たす廃棄物収集シス

テムの導入と、リサイクルが容易な製品設計が必要である。

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-80-

モリ

ブデ

ン(

Mo

)2

00

4年

ベー

ス、

単位

:M

o純

分t

<原

料>

<中

間製

品>

<終

製品

><

主要

応用

製品

><

リサ

イク

ル>

1.

資源

量:8

,600千

㌧2

.純分

換算

:工

業レ

アメ

タル

2005

 モ

リブ

デン

煤焼

鉱 

:60

%*20

03年

のデ

ータ

 フ

ェロ

モリブ

デデ

ン:62%

モリブ

デン

焙焼

鉱(精

鉱含

む)

輸入

量(21,3

00)*

輸入

国(チ

リ:8,1

50)

  

 (メキシ

コ:4,0

50)

  

 (中

国:3,3

80)

  

 (カナ

ダ:

2,4

80)

フェ

ロモ

リブ

デン

生産

量(3、

323)

輸入

量(5

,066)

輸入

国(中

国4,5

60)

モリ

ブデ

ンブ

リケ

ット

生産

量(6

60)*

モリブ

デン

硫化

鉱潤

滑材

金属

モリ

ブデ

触媒

無機

薬品

線板

棒箔

粉末

生産

量(1

,695)

鋼材

スー

パー

アロ

生産

量(23,8

00)*

生産

量(2

,468)

石油

精製

・石油

化学

防錆

・顔

電子

・通

自動

車・産

業機

使用

済廃

触媒

リサイクル

量(886)

金属

スクラップ

リサイクル

なし

リサイクル

量(2,9

00)*

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-81-

リブ

デン(

Mo)

形態

量(

注①

)リ

サイ

クル

の実

態リ

サイ

クルの

サイク

ル(

注②

リサ

イク

ル率

特殊

鋼ステ

ンレス鋼

高張

力鋼

高速

度鋼

同左

( 2,900 )

鉄く

ずと

して

回収

(5年

~10年)

B

触媒

石油

精製

用石

油化

学工

業用

廃触

媒(88

6)リ

サイ

クル

され

る触

媒の

大部

分は

石油

精製

用直

接法

(1年

~7年

)不

無機

薬品

防錆

顔料

着色

顔料

塗膜

不明

リサ

イクル無

し不

明B

塗膜

にし

た場

合、

製品

全体

に対

して

微量

モリ

ブデ

ン製

品マン

ドレル

、陰

極ヒーター、

電極

棒ボー

ト、炉

電球

、電

極棒

、マ

グネ

トロ

ン部

品、

廃炉材

不明

(1年

未満~

3年

)不

明A

スー

パー

アロ

イタービン部材

化学

プラント部

材同

左(特

殊鋼

に含

む)

工場

内は

ほぼ

全量

リサ

イク

ル製

品と

して

はス

クラ

ップ

(5年

~10年)

不明

B

潤滑

材グ

リー

ス同

左リ

サイ

クル無

し0%

A消

耗品

(注)

①量

の単

位:

③現

状評

価:

④リサイクルの

ボトルネックと

( )

内は

使用

量純

分t

A. 応

用製

品が消

耗品

であ

る解

決の

難易

度そ

の他

は マ

テリ

アル

量t

B. 添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

毒性

、保

管の

危険

性の

②サ

イク

ル:

C. リ

サイ

クル

の流

通システムが

ない

有無

など

( )

内は

推定

使用

年数

D. 効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

いそ

の他

は実

リサ

イク

ル量

E. 経

済性

がな

いF. 需

要開

発が

十分

にな

され

ていな

いG. そ

の他

リサ

イク

ル現

状評

価(

A~

G)

(注

③)

備考

(注

④)

リサ

イク

ルの

現状

主な

応用

製品

利用

形態

使用済

み品の

存在

形態・量

リサ

イク

ル形

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16 バナジウム (V)

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16. バナジウム(V) 16.1 マテリアルフロー分析 日本の 2004 年の五酸化バナジウムの輸入量は、2,274tで前年から 1,500tの減少

である。一方、フェロバナジウムの輸入量は 1,300tの増加となっている。五酸化バナジ

ウムのほぼ全量を輸入に依存しており、その供給国は 2004 年では南ア(1,200t)と中

国(1,074t)の 2 か国に集中している。輸入された五酸化バナジウムの大部分がフェロ

バナジウムの原料として使用される。 五酸化バナジウム/フェロバナジウムのトータルで考えれば、日本における需要量も堅

調で増加傾向にある。 バナジウム原料の生産量はほとんど中国、ロシア、南アフリカで生産されている。2003

年から 2004 年にかけて幾つかのバナジウムの専業鉱山の休止・閉鎖があり、2004 年後

半からバナジウムの需給バランスが崩れ、余剰在庫も一掃されたとみられる。2005 年に

関しては供給不足は明らかであるため、市況は高値にて推移すると推測される。 2004 年の消費量は世界で 4.6 万 t で、2000 年から 2004 年にかけて増加傾向である。

バナジウムが主に消費される鉄鋼・鋳造用途向けでの消費の拡大が理由であろう。 その他に Al-V 合金がある。この需要の大部分を占めるのは航空機資材用チタン合金向

けである。ここ数年航空機産業は落ち込みが目立っていたが、2004 年は需要増となった。

また市場規模は大きくないが、 近では非航空機向け用途のゴルフクラブのチタンヘッ

ドや自動車部品等の需要も拡大傾向にある。 中国をはじめとして依然として堅調な鉄鋼生産増加傾向を考えればバナジウムの需要

は 2010 年にかけて伸び続けるであろう。予測で変化が生じるとすれば、中国における需

要の増加傾向の変化とバナジウムの価格高騰による例えばニオブ(Nb)への代替が起こ

るかどうかという点である。

表 1 日本の輸入推移(五酸化バナジウム)(t) 輸 入 先 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 中 国 2,039 1,292 1,889 1,696 1,074 オーストラリア 920 1,400 1,080 100 0 南アフリカ 1,536 886 1,012 1,962 1,200 その他 63 41 0 52 0 合 計 1,068 3,618 3,981 3,810 2,274

(工業レアメタル 2002~2005)

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-84-

表 2 日本の輸入推移(フェロバナジウム)(製品t) 輸 入 先 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

中 国 512 469 341 365 300 南アフリカ 1,545 2,029 2,527 3,459 4,124 チェコ 214 196 20 76 180 ロシア 216 151 220 60 421 オーストリア 105 70 70 140 130 その他 183 80 55 250 364

合 計 2,775 2,995 3,233 4,251 5,518 (工業レアメタル 2002~2005) 表 3 世界のバナジウムの消費量推移(五酸化バナジウムで換算、単位:100 万 lb)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 米 国 37.0 36.0 36.0 36.0 35.0 カナダ 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0 西ヨーロッパ 37.5 37.5 38.0 38.0 41.0 東ヨーロッパ 3.0 3.0 4.0 5.0 6.5 CIS 10.0 11.0 13.0 14.0 15.5 中 国 9.0 12.0 14.0 17.0 32.0 日 本 19.0 18.0 17.0 19.0 20.0 韓 国 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 その他 17.0 16.0 17.0 17.0 21.0 合 計 143.5 144.5 150.0 157.0 182.0 (工業レアメタル 2002~2005) 16.2 リサイクルの現状と評価

バナジウムを含有した高張力鋼の厚板は主に橋梁、船舶、大型建造物、ラインパイプ

に使用され、非調質鋼は主に自動車の車軸、ボルト等に使用される。また、合金工具鋼

はバイト、タップ、ダイス等の切削工具、ポンチ、たがね等の耐衝撃工具、シャー刃、

ねじ転造ダイス等の冷間金型工具及びプレス型、ダイカスト型等の熱間金型工具に使用

される。高速度工具鋼は特に高速重切削用各種工具、難切削材の切削工具として使用さ

れる。また、ステンレスの耐熱鋼(SUH)の一部にもバナジウムが含有され自動車用エン

ジンの排気バルブやタービンブレードとして使用される。 バナジウムを含有した高張力鋼、合金工具等は一般鉄、ステンレススクラップとして

処理される。バナジウムを含有した高張力鋼の橋梁、船舶、建造物などの寿命は 10 年~

数 10 年にわたり、自動車では 5 年~10 年、工具鋼では 1 年程度である。スクラップは

回収された後、電気炉にて溶解され、リサイクルされている。この際、鋼中のバナジウ

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-85-

ムは製鋼時に酸化され、スラグ中に吸収されるが一般のバナジウムを含有しない鋼スク

ラップと混合して溶解されるため微量である。また、スラグ中のバナジウムの回収につ

いては微量であるため技術的、経済的に可能性が少ない。 フェロバナジウム製造時のスラグについてはバナジウムが約 0.5%含有されているが、

Al2O3が主体でアルミナ系耐火物、研磨材にほぼ全量が使用されている。 バナジウムを含有したチタン合金は約 70tが航空機、ゴルフクラブ等に使用されてお

り、その内、ゴルフクラブとして約 35tの Ti-V 合金が使用されている。 バナジウムを含有した Ti-V 合金は分別回収されスクラップとなる。Ti-V 合金につ

いては製造時に発生したスクラップは約 25%が工場内で再溶解されリサイクルされる。

あとの 75%は海外特に Ti-V 合金の使用量の多いアメリカに輸出されリサイクルされて

いる。航空機用については成分別保管が行われているためリサイクルされている。ゴル

フクラブについては製造時のスクラップは回収されているが使用後のクラブについては

回収されていない。 高純度(99.9%)の V2O5を使用した触媒は硫酸製造用、排ガス脱硝用に 2%~3%含有し

たものが使用されている。 硫酸製造用、排ガス脱硝用触媒については使用済み触媒の寿命が平均して 10 年~20

年と長いが、専門業者により回収、処理され鉄鋼材料用としてリサイクルされている。

また、バナジウムが付着した石油脱硫触媒等も使用済み触媒として、また発電所の重油

ボイラー灰も年 1 回の設備点検時に回収され V2O5製造用として使用され、国内における

バナジウム原料のソースとなっている (バナジウム換算で 106t)。

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-86-

<原

料>

<中

間製

品>

<終

製品

><リ

サイ

クル

>

五酸

化バ

ナジ

ウム

フェ

ロバ

ナジ

ウム

含バ

ナジ

ウム

鉄鋼

高張

力鋼

(船

舶、

橋梁

、建

造物

生産

量(1,0

08)

生産

量(1,7

42)

(4, 616*

輸入

量(2

,274)

輸入

量(5,5

18)

非調

質強

靭鋼

(自

動車

)ス

クラ

ップ

輸入

国 

南ア

フリ

カ(1,2

00)

輸入

国 

  

中国

(300)

(439*)

中国

(1,0

74)

南ア

フリ

カ(4,1

24)

工具

鋼他

(工

具他

オー

ストリ

ア(130)

バナ

ジウ

ム触

媒(硫

酸製

造設

備他

)使

用済

み触

(109)

(106)

(航

空機

)使

用済

み合

V-A

l合金

6A

l-4V

-Ti合

金展

伸材

(ゴ

ルフ

クラ

ブ)

輸入

量(1

49*)

(70*

純分

換算

比率

 : 

五酸

化バ

ナジ

ウム

(V2O

5) 

V : 5

6%

*は

2003年

のデ

ータ

工業

レア

メタ

ル2005

 

  

  

フェ

ロバ

ナジ

ウム

(FeV

) 

  V

: 8

0% 

   

V

-A

I合金

  

   

  

  

  V

: 4

0% 、

50%、

85%

  

 

バナ

ジウ

ム鉄

鋼 

   

  

V : 0.0

3% ~

5.2

% 

 

  

  

  

  

  

  

  

2004年

ベー

重油

脱硫

触媒

バナ

ジウ

ム(V

重油

燃焼

<主

要応

用製

品>

  

  

  

  

  

  

  

  

 単

位:( 

 )内

はV

純分

その

他は

マテ

リア

ル量

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-87-

バナ

ジウ

ム(V

)

リサイクルの現状

使用

済み

の存

在形

リサ

イク

ル形

主な

応用

製品

用形

量(注

①)

リサイクル

の実

態リサ

イクル

のサ

イクル

(注②

)リサ

イクル

リサイクル

の現

評価

(A~

G

(注③

)

(注④

)

橋梁

、船

建造

物、

自動

車、

工具

高張

力鋼

、非

調質

鋼、

工具

鋼、

耐熱

鉄屑

ステ

ンレス屑

(439)

リサイクル

なし

年~

数10

0%

B

航空

6A

l-4V

-T

i合

金等

Ti合

金屑

門業

者に

より

大半

がリサ

イクル

数年

~10

数年

80%

以上

分別

の保

管が

んで

いる

ゴル

フクラブ等

同上

リサイクル

なし

(数

年)

0%

硫酸

製造

用触

K2O

-V

2O

5-

藻土

使用

済み

触媒

(106)

触媒

入れ

替え

業者

によ

りリサ

クル

10~

20

80%

排ガ

ス脱

硝用

触媒

V2O

5,W

O3

TiO

2混

成の

ハニ

カム

使用

済み

触媒

10

年以

0%

G

耐久

性が

あり

交換

寿命

が長

直接

脱硫

使用

前触

MoO

3-N

iO-

CaO

-A

l 2O

3

使用

済み

触媒

数ヶ

月~

2年

80%

重油

ボイ

ラー

スケ

゙イラ

ース

ール

重油

燃焼

焼灰

発生

元―

再生

業者

ヶ月

~1

80%

゙ナシ

゙ウム

製品

のリサ

イク

ルで

はな

く重

中等

のハ

゙ナシ

゙ウム

をリ

サイウクル

注)①の量の単位:

( )内

はV純分t

その他はマテリアル量t

②サイクル:(

)内は推定耐用年数

その他は実リサイクル年

③現状評価:

A.

応用製品が消耗品である

B.

添加物として使用されている

C.リサイクルの

流通システムがない

D.効果的なリサイクル技

術がない

E.経済性がない

F.需要開発が十分にされていない

G.その他

④リサイクルの

ボトルネックと

、解決の難易

毒性、保管の危険性の有無など

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17 ニオブ (Nb)

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-89-

17.ニオブ(Nb)

17.1 マテリアルフロー分析 日本ではニオブ鉱石は産出せず、ニオブ原料はフェロニオブもしくは金属ニ

オブの形で全て輸入されている。2004 年のフェロニオブの輸入量は 7,215t(前

年比 13%減)で、うちブラジルからの輸入量が 93%にあたる 6,761tを占め、

カナダ 439t、ドイツ 8tが続く。ブラジルの CBMM 社からの輸入が大半を占

め、この傾向はほぼ 10 年間以上変動がなく、輸入価格もきわめて安定してい

る。 金属ニオブは、ブラジルで生産された金属ニオブインゴットの大部分がアメ

リカに輸出され、ニオブチタン合金又は金属ニオブに加工された後、一部が日

本に輸出されており、年間消費量は 60~70t程度である。 ニオブの需要の殆どは鉄鋼原料用途であるが、 近は光学レンズ、超伝導線

などに加え、タンタルの代替としてコンデンサー用に使用する研究も開始され

ている。 (1)鉄鋼原料

自動車用薄板、抗張力ラインパイプ用厚板、ステンレス鋼に代表される

鉄鋼分野の需要が 90%を占める。2004 年のフェロニオブの消費は、2003年並の 6,800tであったが、造船向高張力鋼ほか鋼材の需要増により、2005年には 7,000tを超えると予測されている。

(2)レンズ、コンデンサー 2004 年は、高純度酸化物 Nb2O5 で約 133t(Nb メタル換算で約 93t)

の需要であったと推定されている。ニオブは高屈折率高級レンズ用、チタ

ンは低グレードのレンズ用と区分される。コンデンサー用途の研究も行わ

れているが、まだ技術的に十分確立されていない。 (3)金属ニオブ

2004 年の金属ニオブの需要は、ターゲット材を中心に 2003 年並の 70トンと推定されている。Nb-Sn(50:50)、Nb-Ti(50:50)の合金が主体であ

る。米 Teledyne Wah Chang が金属ニオブの世界的なメインサプライヤー

である。 用途は、ターゲット材、NMR、超伝導線、粒子加速器用などであるが、

国内需要は NMR が大半である。将来的には、近々建設開始が予定されて

いる ITER(国際熱核融合実験炉)に使用される超伝導材料の需要が期待

される。Nb3SN が 600t、NbTi が 300t必要となるため、一時的に市場

が逼迫する可能性もある。 (4)真空グレード(耐熱超合金;スーパーアロイ)

真空グレード用途には、フェロニオブまたは Nb-Ni 合金(Nb65%、残部が

Fe、Ni)に含まれる Pb、P、S などの不純物が ppm のオーダーまで精製さ

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-90-

れる必要がある。用途はエンジン・ターボチャージャー等のタービンなど

に使用されるが、国内需要はほとんどない。 ニオブの価格は寡占状態で安定している。鉄鋼原料のフェロニオブは 9 ドル

/kg 程度で 30 年間変化ほとんどしていない。国内は為替レートの変動で安く

なっている。ニオブ酸化物はブラジル CBMM 社の建値$14.70/kg(CIF 日本)がベースになっているが、1996 年 1 月から据置きが続いている。他社も CBMM価格に追従している。 ニオブの国内需給推移

(Nb 化合物、金属:t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

輸 入 フェロニオブ 5,567 6,278 6,805 8,163 7,215 その他 31 36 46 98 44

供 給 計 5,598 6,314 6,851 8,261 7,259 国内需要

鉄鋼 5,170 5,870 6,830 6,800 6,800 その他 149 107 136 208 210 合計 5,319 5,977 6,966 7,008 7,010

需 要 計 5,319 5,977 6,966 7,008 7,010 (財務省貿易統計、工業レアメタル 2005) 17.2 リサイクルの現状と評価 国内需要の約 95%を占めるフェロニオブは、鉄鋼に含まれる量は微量なため、

含ニオブ鉄鋼材料くずとして扱われる。ニオブは分離されずにリサイクルされ

ている。フェロニオブ以外の用途でのニオブのリサイクルはほとんど行われて

おらず、今後の課題である。

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-91-

ニオ

ブ(N

b)20

04年

ベー

ス、

単位

:t

<原

 料

><

中間

製品

><

最終

製品

><

主応

用製

品>

<リ

サイ

クル

フェ

ロニ

オブ

フェ

ロニ

オブ

高張

力鋼

・ステ

ンレ

ス鋼

鉄鋼

構造

物鋼

材屑

とし

てリ

サイ

クル

輸入

量7,2

15需

要量

6,800

  

ブラ

ジル

6,761

  

その

他45

4金

属ニ

オブ

耐熱

超合

金航

空機

エン

ジン

リサイ

クル

なし

需要

量70

金属

ニオ

輸入

量17

ニオ

ブ・チ

タン

合金

ター

ゲッ

ト材

電子

機器

リサイ

クル

なし

  

米国

12需

要量

  

その

他5

ニオ

ブ・錫

化合

物磁

石超

伝導

装置

、NM

R、粒

子加

速器

リサイ

クル

なし

ニオ

ブ・チ

タン

合金

需要

輸入

量27

  

米国

26 

 そ

の他

1高

純度

酸化

物高

屈折

率光

学レ

ンズ

デジ

タル

カメ

ラ、

他光

学機

器リサ

イク

ルな

需要

量13

3

セラ

ミッ

クコ

ンデ

ンサ

携帯

電話

、PC

等電

子部

品リサ

イク

ルな

ニオ

ブ酸

リチ

ウム

高周

波発

生装

置、

光変

調素

子、

等リサ

イク

ルな

炭化

物超

硬工

具超

硬工

具リサ

イク

ルな

需要

量12

1.世

界の

埋蔵

量:

5百万

トン

2.可

採鉱

量 

 N

/A

3.単

位:

Ton

4.出

典:

財務

省貿

易統

計、

工業

レア

メタ

ル V

ol.12

1(200

5)、M

inera

l Com

modit

y Sum

marie

s 200

4

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18 タンタル (Ta)

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-93-

18.タンタル(Ta)

18.1 マテリアルフロー分析 (1) 供給

我が国ではタンタル鉱石は産出せず、また国内において輸入鉱石からの精製

も 1998 年を 後に無くなり、現在は全量輸入している。2004 年の輸入量は、

フッ化物で 500t、塊・粉が 142t、製品 59t、くず 62t、(いずれも Ta 純分 Ton)であった。主要輸入先は米国、ドイツ、である。

(2) 需要 国内のタンタル需要は、2001 年の IT バブルが収束以降、安定化ししつつゆ

るやかに成長している。 タンタルの主な用途は、高温炉用ヒーター・容器・リード線、タンタルコン

デンサ、セラミック材料、光学レンズ材料、超硬工具材料などであるが、新し

い用途として、電子デバイス生産用のターゲット材が注目されている。特に近

年携帯電話、自動車電装品用タンタルコンデンサ用途の需要増加が著しい。 タンタルは生産・需要が限られていることと、タンタルコンデンサ業界の構

造から、価格、需要、生産の変動が激しく、投機の対象になる場合がある。 タンタル製品の概況、需要動向は次のとおりである。 ① 純 Ta 粉末 フッ化物(K2TaF7)をアルカリ金属で還元して製造される。国内需要は 2003

年の 219tに対し、2004 年は 214tで、微減した。このうちコンデンサ用が

165tであった。タンタルコンデンサは通信機器、OA 機器、携帯電話、CPU、

デジタルカメラ、等に使用されている。近年は Ta コンデンサの高圧用途・

熱安定性などの特徴を生かした CPU、自動車電装品、携帯電話向けを中心に、

需要が大幅増加の傾向にある。但し、携帯電話など小型機器に搭載されるコ

ンデンサ自体が小型化し、1 個あたりの Ta 使用量が減少しており、コンデン

サの生産に比例して粉末の需要が増加する図式ではない。タンタル代替とし

て、ニオブ(Nb)を使用したコンデンサが評価されていたが、まだ見通しが得

られたという情報はない。 ② 塊(展伸材)

タンタル塊・展伸材は、インゴットから鍛造・圧延・線引き・溶接等の加

工を経て生産される。2004 年の国内需要は 108tであった。主な用途は、電

子工業用真空熱処理炉部品(ヒーター、リフレクター等、ほとんどがタンタル

コンデンサ焼結用)、コンデンサリード線、及び一般工業用化学装置(熱交換

器、反応器等)、である。電子工業用が大半を占める。 ③ 化合物

2004 年の化合物国内需要は 140tであり、前年比約 28%増加した。 酸化物 (Ta2O5)は主に光学レンズ添加剤及びタンタル酸リチウム (LiTaO3)

の原料として使用されている。LiTaO3 は電子機器用各種フィルタ(中間周波

増幅回路用フィルタ、表面弾性波(SAW)フィルタ等)に利用され、テレビ・ビ

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デオ・携帯電話等に不可欠の材料である。酸化物の原料のほとんどは各種工

程スクラップのリサイクル品である。 炭化物(TaC)の 大需要は超硬工具用 WC/TiC/TaC 焼結品である。TaC

は WC の靭性を向上させる。 タンタルの国内需給推移

(Ta 純分:t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

輸 入 934 693 491 571 764 供給計 934 693 491 571 764

国内需要

粉末 269 116 181 219 214 化合物 157 85 81 109 140 加工品 126 95 109 116 108 合 計 552 296 371 444 462 輸 出 385 348 277 423 445

需要計 937 644 648 867 840 (財務省貿易統計、工業レアメタル 2005) 18.2 リサイクルの現状と評価 タンタル製品の製造工程で発生するスクラップは、各工程で管理され、一般加

工品くず・コンデンサ不良品などは 95%以上がリサイクルされている。コンデン

サ用純タンタル粉の場合、タンタル粉、コンデンサ不良品、アノード、リード線

など、純度の高いスクラップが発生し、タンタル粉出荷量の約 20%はスクラップ

と考えられている。国内の純タンタル粉メーカー(キャボット、スタルクヴィテッ

クなど)は、タンタル粉ユーザーからスクラップを回収し、海外でフッ化物に戻す

ルートを確立している。 一方、電気製品のコンデンサなど、生産財として流通したタンタルコンデンサ

のリサイクルは困難で、リサイクルはほとんどされていない。 (1)タンタルコンデンサ

コンデンサメーカーで発生する工程スクラップは、ほぼ 100%リサイクルさ

れる。タンタルコンデンサは、ほとんどプリント基板上にはんだ付けされて

おり、リサイクルには基盤からタンタルコンデンサを取り外す必要がある。

使用されたタンタルコンデンサは、一部は専門解体事業社(主に海外)によっ

て取り外され、リサイクル事業社によって市場に出されている。リサイクル

率は数%程度と見られている。 (2)電子機器用フィルタ(SAW フィルタ)

タンタル酸リチウム(LiTaO3)製造工程で発生するスクラップは、およそ 20~30%で、そのほとんどがリサイクルされている。

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(3)装置部品など 高温炉炉体・ヒータ-及び化学装置機器から発生するスクラップ(管・板・棒

など)は、コンデンサ関連スクラップ同様粉末メーカ-、タンタル専門スクラ

ップ事業社が回収する。リサイクル率はほぼ 100%と高いが、リサイクルの

サイクルが 10 年程度と長い。年間の発生量は 10t程度と見られる。 (4)スパッターターゲット

ターゲット材の使用効率は 30%程度であり、残りの 70%はすべてリサイクル

されている。2004 年のタンタルターゲット市場は約 90tで、成膜された

30%(27t)はリサイクルされていない。 (5)光学レンズ

光学レンズに微量使用されるタンタルはリサイクルされていない。

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-96-

ンタ

ル(Ta)

2004年

ベー

ス、

単位

:T

a純

分t

<原

 料

><

中間

製品

><

最終

製品

><

主応

用製

品>

<リ

サイ

クル>

輸入

合計

763

ター

ゲッ

ト残

材・工

程く

ず等

フッ

化物

(K2TaF7)

輸入

量50

0コン

デン

サ用

Ta線

、他

コン

デン

サリサ

イク

ルな

 ド

イツ

164

需要

量40

  

米国

258

タン

タル

加工

  

その

他78

需要

量10

8高

温炉

ヒー

ター

等真

空熱

処理

炉リサ

イク

ルな

需要

量18

タン

タル

塊・粉

輸入

量14

2タン

タル

コン

デン

サ携

帯電

話、

パソ

コン

、デ

ジカ

メ等

リサ

イク

ルな

  

タイ

82タ

ンタ

ル粉

需要

量16

5 

 米

国26

需要

量21

4 

 そ

の他

34タ

ーゲ

ット材

電子

デバ

イス

リサ

イク

ルな

需要

量90

タン

タル

製品

輸入

量59

電子

機器

フィ

ルタ

携帯

電話

、パ

ソコ

ン、

デジ

カメ

等リサ

イク

ルな

  

米国

30 

 中

国14

タン

タル

化合

  

その

他15

需要

量14

0光学

レン

ズデ

ジタル

カメ

ラ等

リサ

イク

ルな

タン

タル

くず

輸入

量62

炭化

物超

硬工具

(WC+

TaC

)リサ

イク

ルな

  米

国25

英国

2 

 そ

の他

35小

計313

輸出

合計

445

1.世

界の

埋蔵

量:

5百万

t2.

可採

鉱量

 :

N/

3.単

位:

Ta純

分t

4.出

典:

財務

省貿

易統

計、

工業

レア

メタ

ル 2

005、

Min

eral

Com

mod

ity S

umm

arie

s 20

04

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-97-

タン

タル

(T

a)

リサ

イク

ルの

現状

主な

応用

製品

利用

形態

リサ

イク

ル備

形態

推定

量リ

サイ

クル

実態

推定

使用

リサ

イク

ル現

状評

Ton /

年年

数率

 %

コン

デン

サ電

気電

子機

器電

気電

子機

器不

明リ

サイ

クル

なし

5~20

0G

高温

炉ヒ

ータ

ー工

業炉

工業

炉不

明リ

サイ

クル

なし

10~

30

0B

ター

ゲッ

ト材

電子

デバ

イス

電気

電子

機器

不明

リサ

イク

ルな

し5~

20

0A

電子

機器

フィ

ルタ

電子

デバ

イス

電気

電子

機器

不明

リサ

イク

ルな

し5~

20

0G

光学

レン

ズデ

ジカ

メ等

デジ

カメ

等不

明リ

サイ

クル

なし

5 ~20

0G

超硬

工具

超硬

工具

超硬

工具

不明

リサ

イク

ルな

し0.

10

B

合計

23 

  

  

  

現状

評価

A.

応用

製品

が消

耗品

B.

添加

剤と

して

使用

C.

リサ

イク

ル流

通シ

ステ

ムが

未整

D.

効果

的な

リサ

イク

ル技

術が

ない

E.

経済

性が

ない

F.需

要開

発が

不十

G.

その

使用

済み

品の

形態

・量リ

サイ

クル

形態

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19 ゲルマニウム (Ge)

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-99-

19.ゲルマニウム(Ge) 19.1 マテリアルフロー分析 (1)ゲルマニウムの国内供給

我国のゲルマニウムは鉱石の形態では輸入されておらず、低品位ゲルマニウム、

酸化ゲルマニウム、およびゲルマニウムくずの輸入でまかなわれている。ゲルマ

ニウムの精製は塩化ゲルマニウムからゲルマニウムの順序を経て行われる。表 1は 2000 年以降の国内供給の推移である。国内のゲルマニウムの 2004 年需要はメ

タル換算で 34t、前年比 13%増と推定される。主用途の PET 樹脂用触媒向けが

増加したのに加え、健康用途向けが増えている。2003 年の落ち込みは光ファイバ

ーの減少である。世界の 2004 年需要は 65tで前年比 8%と推定される。表 2 は

2004 年の国別輸入実績である。中国からの輸入が多い。

表 1 ゲルマニウムの国内供給(kg) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

二酸化 Ge(kg) 44,107 46,228 42,712 28,892 40,616

金属 Ge (kg) 6,718 6,867 6,292 9,947 9,092合計(酸化物換算) 53,781 56,116 51,965 43,520 53,987

(工業レアメタル 2005)

表 2 日本へのゲルマニウムの輸入(2004 年)(kg) 二酸化ゲルマニウム 金属ゲルマニウム

中国 18,725 7,132ベルギー 12,650 1,559ドイツ 60 ―

ロシア 1,590 119ウクライナ 120 ―

カナダ 4,541 ―

米国 360 ―

その他 2,570 282合計 40,616 9,092

(工業レアメタル 2005) (2)国内需要 日本のゲルマニウム市場は 2004 年需要はメタル換算で 34t、前年比 13%増と

推定される。主用途の PET 樹脂用ゲルマニウム触媒は向けは増えたが、光ファ

イバー向けゲルマニウムドープ材が大幅に落ち込んだ。その他の需要として、蛍

光体、半導体などがあるが横ばいである。

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-100-

表 3 に示すように、PET 生産量は 2000 年から増加を続けている。PET 用のゲ

ルマニウム触媒の 2004 年の需要は、2000 年のゲルマニウム触媒使用量をもとに、

PET の生産量に比例すると考え、比例配分で計算した。2004年の PET 用ゲルマ

ニウム触媒として 28,400kg と推定される。 表 4 に示すように、光ファイバーケーブル生産量は 2004 年は 2003 年よりさら

に減少した。光ファイバー用のゲルマニウムドープ材の 2004 年の需要は、2000年のゲルマニウムドープ材使用量をもとに、光ファイバーケーブル生産量に比例

すると考え、比例配分で計算した。4,100kg となった。 表 5は国内需要全体を示した。PET触媒と光ファイバーの分野を除いた蛍光体、

半導体、赤外線素子用窓材、記憶媒体の生産量は 2000 年から横ばいと推定した。

表 3 PET 生産量とゲルマニウム触媒量の推定 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 PET 生産量(t) 401,396 442,780 445,873 470,731 549,551PET 用 Ge 触媒(kg) 20,700 22,834 22,994 24,276 28,400(工業レアメタル 2005 を参考)

表 4 光ファイバーケーブルの生産量とゲルマニウムドープ材量の推定 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 光ファイバーケー

ブル生産量 (km コア)

10,945,061 19,335,263 16,640,803 11,769,430 9,471,977

Ge ドープ材(kg) 6,000 10,600 9,122 6,452 4,100(工業レアメタル 2005 を参考)

表 5 ゲルマニウムの国内需要 (2000 年の数値をベースに推定)(kg)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 蛍光体 3,600 ― ― 3,600 3,600PET 触媒 20,700 ― ― 24,300 28,400その他(半導体) 600 ― ― 600 600光ファイバー 6,000 ― ― 6,500 4,100赤外線素子用窓材 600 ― ― 600 600その他(記憶媒体) 600 ― ― 600 600国内在庫 5,052 ― ― 不明 不明

(工業レアメタル 2005 を参考)

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-101-

19.2 リサイクルの現状と評価

ゲルマニウムのリサイクルについては、いずれもまだ行われていない。PET は

リサイクルされているが、PET に含有されたゲルマニウム触媒は、リサイクルさ

れていない。

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-102-

ゲル

マニ

ウム

(G

e)

2004年

ベー

ス単

位:G

e純

分㎏

<中

間製

品>

<終

製品

><

主要

応用

製品

><

リサ

イク

ル>

輸入

品蛍

光灯

(蛍

光灯

、ブ

ラウ

ン管

)リ

サイ

クル

なし

3,6

00

二酸

化G

e四

塩化

Ge

二酸

化G

ePET

触媒

(P

ET

ボトル

) 

〃40,6

16

28,4

00

中国

18,7

25

その

他(半

導体

) 

〃ベ

ルギ

12,6

50

600

カナ

4,5

41

光フ

ァイ

バー

(光

通信

機器

) 

〃ロ

シア

1,5

90

4,1

00

金属

Ge

9,0

92

中国

7,1

32

赤外

線素

子用

窓(家

庭用

部品

) 

〃ベ

ルギ

1,5

59

600

ロシ

119

その

他(相

変換

記憶

媒体

) 

〃600

国内

在庫

出典

:工

業レ

アメ

タル

2005を

もと

に事

務局

推定

Ge多

・単

結晶

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-103-

ゲル

マニ

ウム

(G

e)

リサ

イク

ルの

現状

主な

応用

製品

利用

形態

リサ

イク

ル現

状評

価備

考形

態量

(注

1)

リサ

イク

ルの

実態

リサ

イク

ル率

(注

2)

PET

ボトル

触媒

樹脂

28,4

00

リサ

イク

ルな

し0%

E増

加傾

向(G

eO2)

前年

比17%

光通

信機

器ド

ープ

材フ

ァイ

バー

4,1

00

リサ

イク

ルな

し0%

E2003年

に較

べ大

きく

減少

(G

eCl 4)

前年

比37%

蛍光

灯蛍

光体

膜3,6

00

リサ

イク

ルな

し0%

E横

ばい

(G

eO2)

住宅

部品

窓材

チッ

プ600

リサ

イク

ルな

し0%

E横

ばい

(G

e)(注

1)G

e純分

(t)

(注

2)現

状評

価A

.応用

製品

が消

耗品

であ

る。

E.経

済性

がな

い。

B.添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

。F.需

要開

発が

充分

にさ

れて

いな

い。

C.リ

サイ

クル

の流

通シ

ステ

ムが

ない

。G

.その

他D

.効果

的な

リサ

イク

ル技

術が

ない

リサ

イク

ル形

態使

用済

み品

の存

在形

態・量

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20 ストロンチウム (Sr)

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-105-

20.ストロンチウム(Sr) 20.1 マテリアルフロー分析

我が国ではストロンチウム鉱石は全く産出されず、全量輸入に依存している。

主要原料である炭酸ストロンチウムは、メキシコ、中国、ドイツ等から輸入され、

2004 年は 53,159t(Sr 純分で 31,630t)輸入されている。ピークの 2000 年以来減

少を続け、2004 年は 2000 年比 66%に減少した。メキシコと中国で輸入量の 85%を占めている。特に中国からの輸入量が 2000 年以降急増している。

国内では一社のみセレスタイト鉱石を輸入し、炭酸ストロンチウムの製造を行

ているが、同社はコストの問題で中国での生産に切り替える予定であり、セレス

タイト鉱石の輸入は今後なくなる見込みである。

ストロンチウムは、二次放射線を防止する目的でカラーテレビやその他のモニ

ターのブラウン管ガラスに炭酸ストロンチウムの形で用いられている。日本のガ

ラスメーカー2社が世界のブラウン管ガラス市場の 60%を占めているが、一部大

型平面ブラウン管を除いて海外の工場で生産されている。国内でのブラウン管ガ

ラスの生産量は漸減しており、2004 年で 460,600t と前年比 8%減となった。な

お、ブラウン管に使用される炭酸ストロンチウムの需要は 2004 年で 23,400t 程

度と推計される。 次いで需要が多いのは、ストロンチウムフェライト磁石用途で、より強力な磁

石として自動車用小型モーター、スピーカー、テープレコーダー等に使用されてい

る。フェライト磁石全体の生産量は 2004 年で 38,800t であり、前年と殆ど同量

であるが、生産量の漸減傾向は止まっていない。フェライト磁石用途には 2004年で 4,970t の炭酸ストロンチウムが使用されたと推計される。 その他炭酸ストロンチウムの用途としては、TFT、コンデンサ、プラズマディス

プレイなど、塩酸ストロンチウムが花火や発煙筒に、クロム酸ストロンチウムが

自動車の下塗り塗料として使用されているが、いずれも量的には少ない。 炭酸ストロンチウムはカラー用ブラウン管が主たる用途であるが、代替金属と

して、白黒ブラウン管には炭酸バリウムが使用される。しかし近年、モニター用

としての液晶やプラズマディスプレイの需要が増加してきたため、ブラウン管需

要が減じていることから、炭酸ストロンチウムや炭酸バリウムの需要は減少しつ

つある。 一方、磁石については、ストロンチウムフェライト磁石が堅調である。フェラ

イト磁石にはストロンチウム系とバリウム系があるが、バリウム系は日本国内で

は殆ど製造されておらず、中国で中級品用途として製造されている。一方、スト

ロンチウム系は自動車用電子部品などに使用され、日本製が大部分を占める。 ストロンチウム原料の供給面では、メキシコ、スペイン、中国など、比較的分

散し安定している。今後の需要動向は、成長分野があまり考えられず、ブラウン

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管の需要は減少し、フェライトは横ばいと推測される。

ストロンチウムの国内需給推移 (純分t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

輸入(炭酸ストロンチウム) 47,504 36,437 35,992 34,589 31,630供給計 47,504 36,437 35,992 34,589 31,630国内需要 ブラウン管 36,129 29,622 28,547 25,368 23,400 磁石 6,464 5,532 5,394 5,395 4,970 その他 300 370 合計 42,593 35,154 33,941 31,063 28,370需要計 42,593 35,154 33,941 31,063 28,370(財務省貿易統計、2000~2002 年の需要はレアメタル備蓄事業調査報告書、

2004 年の需要は推定値) 20.2 リサイクルの現状と評価

ブラウン管はカレットとしてブラウン管に再利用される。ストロンチウムを分

離せず、再度ブラウン管に使用する。40%が再使用で、60%を新品との組み合わ

せで再使用される。 終製品となったブラウン管からはストロンチウムはリサイ

クルされていない。 ストロンチウムフェライトは、廃棄後の流通システムがないため回収されてい

ないのが現状である。その他光学ガラスへの添加剤としての使用されているもの

についても回収はされていない。花火、発煙筒は消耗品であり回収はできない。 コンデンサーは基板として回収されるが、回収されず拡散してしまうものがあ

る。製品に組み込まれた磁石は殆ど回収されていない。

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-107-

スト

ロン

チウ

ム(

Sr

)20

04年

ベー

ス、

単位

:Sr

純分

t

<原

料>

<リ

サイ

クル

セレ

スタ

イト

鉱石

(カ

ラー

テレ

ビ)

リサ

イク

ルな

 輸

2,

650*

23,4

00*

 メ

キシ

コ生

産輸

入31

,630

(自

動車

・音

響機

器等)

リサ

イク

ルな

しメ

キシ

コ10

,791

4,97

0*中

国16

,031

ドイ

ツ3 ,

361

(電

気・

電子

機器)

リサ

イク

ルな

しそ

の他

2 ,44

670

*

(電

気・

電子

機器)

20*

(発

煙筒

、花

火、

着火

剤)

リサ

イク

ルな

し14

0*

(カ

メラ

、望

遠鏡

)リ

サイ

クル

なし

50*

(塗

料)

リサ

イク

ルな

1. 埋

蔵量

  

 :

680 万

t*2

004 年

の推

定値

2.

可採

鉱量 

 :

N.A

.3

.単

位 

  

 t

(純

分換

算比

率 

炭酸

スト

ロン

チウ

ムSr

CO

3 59

.5% 

/ 

硝酸

スト

ロン

チウ

ムSr

(NO

3)2

41.

3%)

4. 

出典

  

  

USG

S,M

iner

al C

omm

odity

Sum

mar

ies

2004

、財

務省

貿易

統計

プラ

ズマ

ディ

スプ

レイ

硝酸

スト

ロン

チウ

クロ

ム酸

スト

ロン

チウ

<主

要応

用製

品>

<最

終製

品>

<中

間製

品>

電着

塗装

防錆

光学

ガラ

火薬

TFT、

コン

デン

フェ

ライ

ト磁

性材

カラ

ーブ

ラウ

ン管

炭酸

スト

ロン

チウ

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-108-

ストロ

ンチウ

ム(S

r)

リサ

イク

ルの

現状

主な

応用

製品

利用

形態

備考

形態

量(

注①

)リ

サイ

クル

の実

態リ

サイ

クル

のサ

イク

ルリ

サイ

クル

率(A

~G)

(注

③)

(注

④)

ブラ

ウン

管Sr

CO3,B

aCO

3,TiO

2同

左(2

3,73

0t)

リサ

イク

ルな

し(

5 ~10

年)

0%B,

D,E

蛍光

体塗

布前

をガ

ラス

に添

加は

リサ

イク

ル実

施さ

れて

いる

フェ

ライ

ト炭

酸塩

で添

加同

左(9

,750

t)リ

サイ

クル

なし

(4 ~

8年

)0%

C,E

成形

焼結

サー

ミス

ター

各種

金属

酸化

物同

左リ

サイ

クル

なし

(5~

10年

)0%

C,E

の混

合焼

結成

花火

硝酸

塩酸

化物

とし

て(1

50t)

リサ

イク

ルな

し(

0年)

0%A

飛散

光学

ガラ

スガ

ラス

同左

(50t

)リ

サイ

クル

なし

(5 ~

10年

)0%

C,D

,Bレ

ンズ

量が

まと

まら

ずリ

サイ

クル

不能

(注

)①

量の

単位

:③

現状

評価

④リ

サイ

クル

のボ

トル

ネッ

クと

  

 (  

)内

は使

用量

純分

tA

. 応用

製品

が消

耗品

であ

るE

. 経済

性が

ない

解決

の難

易度

  

 そ

の他

は発

生量

純分

B. 添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

F.需

要開

発が

充分

にさ

れて

いな

い毒

性・

保管

の危

険性

の有

無等

  

 ②

サイ

クル

C. リ

サイ

クル

の流

通シ

ステ

ムが

ない

G. そ

の他

  

 (

 )

内は

推定

使用

年数

D. 効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

い( 工

業レ

アメ

タル

2002

、20

03)

  

 そ

の他

は実

リサ

イク

ル年

リサ

イク

ル形

態リ

サイ

クル

現状

評価

使用

済み品

の存

在形

態・

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21 アンチモン (Sb)

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21.アンチモン(Sb) 21.1 マテリアルフロー分析 (1 ) 原料

1969 年に国内でのアンチモン鉱石の採掘は終了し、全て中国、オースト

ラリア、ボリビアからの輸入に切り切り替わった。その後更に、主要 終製

品である三酸化アンチモンの国際マーケットでの競争力を得る為、亜硫酸ガ

スの回収が必要となる鉱石からの生産を取り止め、地金からの三酸化アンチ

モンの生産へと切り替わった。 なお、世界のアンチモン鉱石生産の 80%以上を中国に依存しているのが

現状である。 (2 ) 中間製品

1970 年にはアンチモン地金は国内で約 5,000t生産されていたが、安価

な中国産地金が輸入される様になり、アンチモン鉱石からの地金生産は徐々

に減少し、 終的に 2000 年頃までには鉱石からの地金の生産は打ち切られ

た。現在、国内では輸入地金を精製して高純度地金を製造しており、プラス

チック用難燃助剤の需要増加により 2004 年は 222t と前年比 1.6 倍となっ

ている。 三酸化アンチモン向けの需要の殆どは輸入地金にて賄われ、表 1 のとお

りここ数年はほぼ全量が中国のみからの輸入となっている。 (3 ) 終製品

① アンチモン合金 金属としてのアンチモンは、鉛や錫などの硬度の低い金属と合金にし

硬度を増加させたり、被削性や耐磨耗性を向上させるなどの特性がある。

この為合金としてバッテリーや快削鋼、軸受に使われる減摩合金、硬鉛

鋳物などに用いられている。用途別需要実績については、2001 年の 791tをピークに減少傾向となっており、2004 年の需要実績は 487t で内訳は

表 2 の状況となっている。即ち、バッテリーについてはメンテナンスフ

リー化のため電極合金の低アンチモン化やカルシウムへの代替が進ん

でいるとともに、特殊鋼以外の用途でも、合成樹脂などへのシフトが進

み、合金用のアンチモン地金の需要は横這い、又は減少傾向となってい

る。

② 三酸化アンチモン 三酸化アンチモンは、臭素系難燃剤と併用して、各種プラスチック、

ゴム、繊維、塗料、接着剤などにその効果を高める難燃助剤として使用

される。特に、これら用途の中でもプラスチックの難燃助剤としての用

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-110-

途が大きな割合を占め、当該用途の動向により三酸化アンチモンの需要

が大きく左右されるといえる。2004 年の三酸化アンチモンの出荷実績

は 8,716t で、2001 年以降減少傾向にあった出荷量も景気の立ち直りに

よりやや持ち直した。なお、2004 年の実績 8,716t のうち 93%が難燃助

剤として使用された。その他の用途としては、ポリエステル等の重合触

媒、ガラスの泡を消す清澄剤、ブレーキ等の摩擦剤などがある。 三酸化アンチモンの用途別出荷実績の推移は表 3 のとおりである。 表 1 アンチモン地金の輸入通関実績 (t)

国 名 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 中 国 10,861 7,265 6,779 7,193 8,092 その他 22 5 20 1 0

計 10,883 7,270 6,799 7,194 8,092 表 2 アンチモン地金用途別需要実績 (t)

用 途 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 蓄電池 194 203 316 348 184 特殊鋼 120 116 58 136 165

硬鉛鋳物 99 99 87 88 80 その他 95 373 127 102 58

計 508 791 588 674 487 (出典)工業レアメタル №121 2005 表 3 三酸化アンチモンの用途別出荷実績 (t)

用 途 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 難燃助剤 9,690 7,872 8,567 7,387 8,129 塗料・顔料 256 169 184 165 275 ガラス 100 88 57 31 42 その他 227 73 77 181 270

計 10,273 8,202 8,885 7,764 8,716 (出典)工業レアメタル №121 2005 21.2 リサイクルの現状と評価

難燃助剤として三酸化アンチモンを含有する合成樹脂は有機化合物であり、

再使用には限界がある。難燃剤を含有する合成樹脂のリサイクルは、マテリア

ルリサイクル、サーマルリサイクル、ケミカルリサイクルの 3 種類に分類さ

れる。再資源化としてペットボトルのリサイクルの様にした合成樹脂を熱エネ

ルギー源として利用するサーマルリサイクルや、化学反応の原料回収した物を

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-111-

再成形し利用する事で資源を循環して利用するマテリアルリサイクル、回収と

して利用するケミカルリサイクルが行われている。 アンチモンの主要用途である難燃助剤は、他の難燃剤と組み合わせて少量添

加使用された上、様々な合成樹脂に使用されている。アンチモンを分離するに

は、大量の合成樹脂を分別した後、その合成樹脂から難燃剤を分離し、更にア

ンチモン分を分離する手順をとることになる。このため、アンチモンを単独に

リサイクルすることは技術的また経済的にも困難である。従い現在検討されて

いるのは、様々な樹脂の中から、高品質の合成樹脂を対象に選別し、特定の合

成樹脂のリサイクルを行う方法である。 三酸化アンチモンは臭素系難燃剤と組み合わせて高い難燃性を発揮するが、

臭素系難燃 ABS 樹脂は他の合成樹脂に比べリサイクル再生樹脂の衝撃強度の

保持率が高く、リサイクル性に優れている。現在臭素系難燃 ABS 樹脂を使用

した事務機器筐体材料のマテリアルリサイクルが進められている。合成樹脂の

リサイクル、難燃剤のリサイクルの為には、経済性のある樹脂の分離、分別技

術並びに用途開発の研究が重要となる。 バッテリーについては、バッテリー自体のリサイクルが、「廃棄物処理法」

の中で「事業者の協力」(法第 6 条の 3)の条項が制定され、平成 6 年 6 月、

蓄電池メーカーに対して、厚生省ならびに通商産業省から適切な処置を確保す

るよう要請を受けた事もあり、流通経路からのリサイクルシステムも整備され

ている。鉛や錫との合金は、従来から専門の回収業者によって回収され、リサ

イクルされている。

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-112-

2004

年ベース

アンチモン(

Sb)

(量の単位:マテリアル量t、 ( )内はSb純分t)

<原料> <中間製品> <中間製品> <最終製品>

<主要応用製品> <リサイクル>

推定(

330)

アンチモン鉱石

アンチモン地金

ンチモン合金

電 池

( 自

使

用済蓄電池

(18

4)

殊 鋼

(16

5)

( 化

学 装

置 他

使

用済み合金

硬鉛鋳物

(80

の他

(ハンダ・タ

ーゲット材他)

58)

生産量

22

2)

輸入量

8,09

2)

輸入国 中国

(8,

092)

その他(

0)

輸入量 鉱石

0

434)

( 9

21 )

*注①

酸化アンチモン

難燃助剤

(各種樹脂、繊維他

8,

129

6,78

7)

料・顔料

(各種塗料・黄色顔料)

2

75

(23

0)

ラス清澄剤

(TV他高級ガラス

42

35)

その他

( 触

媒他

リサイクルなし

リサイクルなし

リサイクルなし

リサイクルなし

27

0

225)

生産量

8

,215

6,86

0)

輸入量 酸化物

7,8

79

(6,

580)

輸入国

中国

6,9

87

台湾

3

08

フランス

60

その他

524

輸 出

(7,

277)

*注②

1.埋蔵量

180万t

2.可採鉱量

:N

.A.

3.純分換算比率:三酸化アンチモン

(Sb 2

O3)

Sb 8

3.5%

4.出典 :日本鉱業協会、

鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計月報

日本鉱業協会、

需給統計月報

5.*注

:①リサイクル量は含まない

②三酸化アンチモン最終製品の分類統計量は国内生産のみの統計量

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-113-

アンチ

モン

(Sb

)リ

サイ

クル

の現状

リサイク

ルの現

 態

量(

注①

 リサ

イクルの

実態

リサイク

ルのサイクル

( 注②

) リ

サイクル

率評

価(A

~G)

(注③

) 自

動車

 蓄

電池

アンチモン合

金18

4業者

によ

るリ

サイク

ル2 ~

4 年80

%以上

B, D

, E・鉛

リサ

イクル

の経済

性に

依存

アンチモン 2

~5%

・硫酸

の処

理問

化学装

置他

 特

殊鋼

アンチモン合

金24

5業者

によ

るリ

サイク

10年

80%

以上

 硬

鉛鋳

物 アン

チモン 1

~5%

・アンチ

モンは添

加副成

分であ

り、

その他

 ハ

ンダ

・ アン

チモン 合

金58

業者

によ

るリ

サイク

ル (

3~10

年)

50%

以上

B, D

, E効

率的

、経済的

なリサイク

ル技術

の ター

ゲット

材料

他 アン

チモン 1

~5%

確率

が困難

各種樹

脂、ゴ

ム難

燃助

剤 微

量添

加剤

(6,78

7)リサ

イクル

なし

(3~

10年

)0%

B, D

, E・基

本的

に、アン

チモンは

微量

添加

繊維他

アンチモン 1

~5%

成分

である

ため、

効率

的、

済的

リサ

イクル

技術

の確

立 樹

脂製

品他

塗料・

顔料

微量添

加剤

(230

)リサ

イクル

なし

(5 ~

10年

)0%

B, C

, Eが

困難

であ

る。

アンチモン 1

~5%

TV フ

゙ラウン管

ガラス

清澄剤

微量添

加剤

(35)

リサ

イクル

なし

(5 ~

10年

)0%

B, D

, E ガ

ラス

他 アン

チモン1

~2%

その他

ポリエステ

ルの(2

25)

リサ

イクル

なし

(3~

10年

)0%

B, D

, E重

合触

媒他

主な

応用

製品

 利

用形

その

他は

実サ

イクル

年数

D. 効

果的

なリサイク

ル技術

がない

注)

①の量

の単位

 

 ③

現状評

④リサ

イクルの

ボトルネッ

クと、解

決の

難易

括弧

内は

使用

量純分

A. 応

用製品

が消耗

品であ

E. 経

済性

がない

毒性

、保

管の

危険

性の有

無など

その

他は

発生量

純分

B. 添

加物と

して使

用され

てい

る F

. 需要

開発

が十

分に

されて

いな

②サ

イク

ル:

括弧

内は推

定耐用

年数

. リサイク

ルの流

通システム

がな

G. そ

の他

使

用済

みの存

在形態

リサ

イク

ル形

備  

考 (

注④

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22 プラチナ (Pt)

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-115-

22.プラチナ(Pt)

22.1 マテリアルフロー分析

我が国のプラチナはリサイクル品以外全量輸入されている。2004 年の輸入量は 62t で前年の 49tから大幅に増加した。輸入先は南アフリカ、ロシア、ドイツ、米国などであるが、南アフリカが 74%を占めている。 プラチナの需給推移を表に示す。2004 年の需要は 64tで増加傾向にある。その中でも自動車触媒需要は好調で、年々増加の一途をたどっている。一方、

2000 年において需要の 60%を占めていた宝飾需要は、減少の一途をたどっており、2004 年には需要の 28%を自動車触媒に並ぶ水準にまで落ち込んでいる。

表 日本のプラチナ需給(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 <供給> 輸入 53.024 50.184 50.920 49.026 62.017 回収(自動車) 1.866 1.710 1.710 1.866 1.912 その他 0.300 0.300 0.300 0.300 0.300 供給合計 55.190 52.194 52.930 51.192 64.229 <需要> 宝飾 32.970 23.328 24.261 20.684 18.216 自動車触媒 9.020 10.575 13.375 15.863 17.514

電子工業 2.799 2.488 1.710 1.866 1.911 ガラス 2.022 2.644 1.866 1.555 1.681 その他 1.867 2.023 2.799 3.111 3.200 (小 計) 48.678 41.058 44.011 43.079 42.522 輸出等 6.512 10.136 8.919 8.113 21.707 需要合計 55.190 52.194 52.930 51.192 64.229

(工業レアメタル 2003、2005) プラチナの主要な需要は自動車触媒と宝飾品である。日本の宝飾需要は

1900 年から 1999 年まで世界第 1 位の座にあったが、2000 年以降中国にその座を譲る結果となった。2004 年の我が国の宝飾需要は 18t であるが、中国は29t である。 これに対し、自動車、電子工業、その他の割合が増加している。塩化白金酸

から製造される各種工業材料の中で最も使用量が多いのが自動車用触媒であ

る。かつては塩化白金酸が使用されていたが、現在では塩素を嫌う点から塩化

白金酸から造られる亜硝酸アミン白金〔Pt(NO2)2(NH3)2〕等が使用される。 自動車用触媒に使用されるプラチナの量は以前は、8t/年~9t/年で推移して 大きな変化はなかったが、自動車触媒需要はパラジウムの高騰からの代替需要

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及び EU でのディーゼル車用廃触媒用途の増加で 2002 年 13.4t、2003 年 15.9 t、2004 年 17.5tと増加している。 次に需要量が多いのは電気・電子工業用である。表面が酸化されにくく接触

抵抗が小さいことから高信頼性の接点として様々な電気部品に使用される。通

常はプラチナ単独では柔らかすぎるのでイリジウム、ロジウム、ニッケル等と

合金にして利用される。また、コンピュターのハードディスクの磁気合金層に

プラチナが添加され、磁場強度が増加する事によってディスクの記憶容量も増

加する。このため、プラチナを使用したハードディスクの比率が高まっており、

2000 年では 90%強の割合と推定されている。2000 年以降パソコンの売上低迷に加えて、記憶容量の増加による所要ディスク枚数が減少していることから、

ハードディスク部門からの需要はやや減少した。2003 年と比べ 2004 年はほぼ横ばいである。 電気業界におけるプラチナの主要用途としてはこの他、熱電対があり、鉄鋼、

半導体、ガラス製造の過程で温度モニターとして使用されている。また半導体

業界、液晶ディスプレー (LCD)用ガラス業界の製造設備拡大に伴い、需要量が増加していたが、最近は大きな変化はない。

LCD用ガラス等高品質ガラス製造に使用されるプラチナ坩堝の量は 2002~3 年は減少したが、2004 年は LCD 画面の拡大と共に需要が増加した。 将来的な需要として、燃料電池用途が自動車用及び据置型とも期待されてい

る。燃料電池車は経済産業省の目標では、2010 年に5万台、2030 年には 1,500万台が導入される予定である。一台当たりに使用するプラチナ量の削減やイン

フラ整備などの問題の他に、新たなプラチナ需要に対し、プラチナの代替やリ

サイクル率の向上がキーポイントなると見られる。 22.2 リサイクルの現状と評価 自動車用触媒のリサイクルについては廃車の際にコンバータを取り外し、切

断して中の触媒を取り出し、リサイクル業者に持ち込まれている。2003~4年の回収量は約 2tとされているが、自動車のリサイクルについては経済産業省で取り組みが議論されており、使用済み家電 4 品目で行われているようなリサイクルが実施されれば今後、回収量がさらに増加すると考えられる。 石油精製、硝酸製造、シリコン製造に使用される触媒については劣化した時

点で交換され、触媒メーカがリサイクルを行っており、リサイクル率は 90%以上と高い。 電気・電子工業製品については接点部品の場合、分解によって取り外す事が

困難でリサイクルしにくい。パソコン、大型コンピュター、電話交換機、携帯

電話等の基板には銅、金、銀、パラジウム、プラチナ等の有価金属が比較的多

量に含まれており、集荷されたこれらの基板は破砕、焼却あるいは乾留して銅

製錬所に送られ、銅製錬工程の製銅炉に供給される。この後、銅製錬工程とそ

れに続く貴金属回収工程を経て他の有価金属と共にプラチナが回収される。し

かし、テレビ、洗濯機などの基板については有価金属の含有量が低いため回収

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されない事が多い。自動車の基板についても取り外しが面倒であるため実施さ

れない事が多いが今後、リサイクル率が上がることも予想される。 坩堝、熱電対に使用されるプラチナについては大部分が回収され、メーカに

て溶解されリサイクルされている。宝飾品については破損したり、作り変える

ときにリサイクルされるが、その量は極めて小さいとされている。 投資用のラージバー、スモールバー、コイン等については原型のまま保存、

退蔵されるため、リサイクルの対象とならない。

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プラ

チナ

(P

t)20

04年

ベー

ス、

単位

:kg

<原

材料

><

中間

製品

><

最終

製品

><

主要

応用

製品

><

リサ

イク

ル>

地金

化成

品自

動車

排ガ

ス浄

化用

触媒

(自

動車

触媒

)輸

入量

61,1

17塩

化白

金酸

17,5

14使

用済

み触

(H2P

tCl 6・

6H2O

)接

触改

質・

異性

化・

脱臭

用触

媒等

(石

油精

製)

7,88

0輸

入国

南ア

フリ

カ45

,041

159

ロシ

ア6,

237

硝酸

製造

、シ

リコ

ン製

造用

触媒

(肥

料、

特殊

ゴム

、接

着剤

等)

ドイ

ツ1,

448

1,25

1ア

メリ

カ2,

687

イギ

リス

2,49

4電

気・

電子

工業

その

他3,

210

各種

合金

電気

接点

(電

気・

電子

工業

用部

品)

老廃

屑白

金- パラジウム

抵抗

体、

熱電

対、

440

銀の

屑白

金- ロジウム

ハー

ドデ

ィス

ク輸

入量

*9,

714

導電

材料

輸入

国フ

イリ

ピン

2,55

51,

911

シン

ガポ

ール

1,73

0ガ

ラス

用坩

堝等

(LCD

等の

ガラス製

造)

老廃

屑ア

メリ

カ1,

150

1,68

11,

650

その

他4,

278

宝飾

用(

ペンダント、

ブローチ、

指輪

等)

主に

退蔵

18,2

16再

生分

投資

用(

インゴット、

バー、

コイン等

)主

に退

蔵9,

970

2,15

0そ

の他

リサ

イク

ル量

不明

輸出

1,79

05,

673

* 銀の

屑の

み重

量は

ton

1世

界の

埋蔵

量2可

採鉱

量N

.A.

3出

典工

業レ

アメ

タル

2005

、財

務省

貿易

統計

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プラ

チナ

(Pt)

リサ

イク

ル現

状評

価量

(㎏

)リ

サイ

クル

率(A

~G

)(注

③)

(注

①)

(%

)自

動車

触媒

廃車

(17,5

14)

・白

金、

パラ

ジウ

ム、

ロジ

ウム

を分

離抽

出10年

70

・精

製し

て再

使用

脱臭

装置

〃活

性が

劣化

した

使用

済み

触媒

(159

)3~

4年90

石油

精製

反応

塔〃

4年

90硝

酸製

造装

置〃

(1,2

44)

0.3

~1年

98

電気

・電

子工

業電

気接

点リ

レー

、スイ

ッチ

この

分野

合計

(10年

)0

C用

部品

スパ

ーク

プラ

グ廃

車と

一体

(1,9

11)

(10年

)0

C抵

抗体

炉に

組み

込み

10年

50

熱電

対素

線新

品に

再生

2年

98セ

ンサ

ー使

用済

みセ

ンサ

ー(7

年)

0C

スパ

ッタ

リン

グタ

ーゲ

ット

使用

済み

ター

ゲッ

ト新

品に

再生

2ヶ

月98

導電

塗料

0ノ

ズル

使用

済み

品新

品に

再生

5年

98理

化学

用機

器〃

新品

に再

生1

年98

メッ

キ0

C 

E保

管に

ガラ

ス工

業用

溶解

炉ペ

ンダ

ント

ネッ

クレ

スイ

ンゴ

ット

コイ

リサ

イクル

の現状

( )内

の使

用量

純分

  

  

 (  

)内

は推

定使

用年

数 

  

 

A:応

用製

品が

消耗

品で

ある

  

  

 

E:経

済性

がな

い 

  

  

  

  

 

解決

の難

易度

その

他は

発生

量純

分 

  

  

 そ

の他

は実

リサ

イク

ル年

数 

  

B:添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

  

  

F:需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

い 

 

性、

保管

の危

険性

の有

無な

ど 

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

 C

:リ

サイ

クル

の流

通シ

ステ

ムが

ない

  G

:その

半永

久的

0原

型の

まま

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

 

 

D:効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

(鉱

物資

源マ

テリ

アル

フロ

ー、

工業

レア

メタ

ル2005) 

  

  

 *

推定

値(注

)①

量の

単位

: 

  

  

②サ

イク

ル: 

  

  

  

  

 ③

現状

評価

  

  

  

  

  

  

 

  

  

  

  

  

  

リサ

イク

ルの

ボトル

ネッ

クと

原型

のま

ま(2

,150)

ある

期間

退蔵

され

、資

産と

して

取引

され

るこ

とは

ある

が、

形状

に変

化を

きた

さな

いの

で、

リサ

イク

ルの

対象

には

なら

ない

(18,2

16)

退蔵

0.6

~2年

98る

つぼ

他使

用済

み老

朽品

(1,6

81)

新品

に再

収集

、分

別に

化学

工業

用品

(600)*

備考

(注

④)

形態

等リ

サイ

クル

の実

態リ

サイ

クル

のサ

イク

ル(注

②)

主な

応用

製品

利用

形態

使用

済み

品の

存在

形態

/量

リサ

イク

ル形

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23 パラジウム (Pd)

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-121-

23.パラジウム(Pd) 23.1 マテリアルフロー分析

パラジウムは、鉱山においてプラチナに付随して採れる。産地はプラチナと

同様に偏在しており、ロシア、南アフリカ、カナダで世界全体の 100%近くを

占める。ロシアは大量のパラジウム在庫を保有していると推測され、ロシアの

生産や販売の動向が、日本のみならず全世界の供給に影響を与える。 わが国では供給の大部分を輸入に依存しており、2004 年のパラジウム輸入

量 60t(地金・スポンジ)のうち、ロシア、南アフリカの 2 国で 3 分の 2 を占

めている。これらの多くは、日本の自動車メーカーや加工会社が海外の大手生

産会社との契約によって調達している。 また国内ではプラチナと同様にニッケルや銅の精錬工程において、副産物と

してパラジウムが採取される。陽極スライムとして白金族金属(PGM)が濃

縮され、化学的方法でパラジウムが分離生産される。 近年において排ガス規制の強化により自動車 1 台当たりのパラジウムなど

の浄化用触媒充填量が多くなってきたが、そうした自動車が耐用年数にさしか

かって廃棄が進むことで、リサイクルによる供給量は増えてきている。しかし

再生品がわが国の供給に占める割合は、現段階ではまだそれほど大きくない。

パラジウムの 2004 年の国内需要は 50t であり、主な用途は自動車排ガス浄

化用触媒、歯科用材料、電気・電子工業用部品、宝飾品などである。 パラジウムは、自動車排ガス浄化用の三元触媒としてプラチナ、ロジウムと

共に使われている。パラジウムの自動車排ガス触媒としての世界の需要は、排

ガス規制の強化により 1990 代に入って急増した。その後、ロシアの供給不安

による価格高騰のため、2000 年初頭にはプラチナにシフトする動きがあって

やや減少したが、再び増加傾向にある。日本においては、1995 年には 4.5t で

あったものが、2004 年には 21.0t と増加している。日本の自動車メーカーは、

PGM の価格変動に応じて触媒組成を変更することについては一般に慎重であ

るが、 近はパラジウム価格に比してプラチナ価格が高騰していることから、

プラチナベースの触媒からパラジウムに移行する動きもある。なお 近では欧

州などにおいて、ガソリン車のみならずディーゼル車にもパラジウム触媒を市

場投入する動きが進んでいる。他に触媒としては、石油化学製品の製造におけ

る水素化或いは選択水素化触媒などの用途がある。 パラジウムを使用した歯科用材料として代表的なものは、金・銀・パラジウ

ム合金(金パラ)である。鋳造品と板用に分かれ、パラジウムが 20%又は 25%入った合金である。これはわが国では JIS 規格品として健康保険の適用対象

となっていることもあり、本用途の市場としては日本が世界の中で突出してい

る。 電気・電子工業用部品としては、パラジウムは単独で使用することはほとん

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どなく、プラチナや金、銀と合金にして或いはそれらとの三元以上の合金とし

て、接点等に使われる。以前は積層セラミックコンデンサー(MLCCs)用の

需要が多かったが、コンデンサーそのものの需要減退に加えて、ニッケルへの

代替が進んだことにより、近年は減少している。 またパラジウムはペンダント、ブローチ、指輪等の宝飾品において、プラチ

ナの合金相手として利用される。銅等と違ってプラチナに加えてもそれ程硬く

ならないので加工し易く、また比重がプラチナの約 1/2 なので、同じ大きさの

ものを作るときはプラチナの半分の重量ですむなどの利点がある。特にプラチ

ナ価格の高騰時には、その価格差メリットからパラジウム宝飾品が増加する傾

向にある。 2000 年から 2004 年までのパラジウム需給の推移は表のとおりである。2001年には、IT バブルの崩壊によりエレクトロニクス機器需要が大幅に減少し、

メーカーが部品や原材料の在庫を大量に抱えることになり、MLCCs の出荷量

も落ち込んだ。さらに MLCCs のパラジウム電極の代替品としてニッケルの利

用が進んだことにより、パラジウムのエレクトロニクス向け需要はこの間で大

きく減少している。自動車触媒向け需要は 2000 年に在庫調整によって減少し

たが、 近ではパラジウムベース触媒の利用拡大により増加している。

パラジウムの需給推移 (単位: t)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 生産 (c) 0.7 0.7 0.7 0.7 0.8 回収 (b) 1.6 1.2 1.2 1.2 1.2 輸入 (a) 84.2 49.0 46.4 57.8 60.3 供給計 86.5 50.9 48.3 59.7 62.3 国内需要 (b) 自動車触媒 15.9 15.7 16.2 17.1 21.0 化学 0.6 0.6 0.6 0.8 0.8

歯科 14.6 14.8 15.7 16.0 16.2 エレクトロニクス 30.8 8.1 4.4 7.0 7.0 宝飾品 4.7 4.4 5.1 5.0 4.8

その他 0.5 0.3 0.3 0.2 0.3 計 67.0 43.9 42.3 46.0 50.1 輸出 (a) 17.2 12.5 13.9 11.4 12.0 払出計 84.2 56.4 56.2 57.4 62.1 ( (a)財務省貿易統計、 (b)Johnson Matthey “Platinum 2005”

(c)アルム出版社「工業レアメタル」)

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23.2 リサイクルの現状等

自動車排ガス触媒として利用されたパラジウムは、自動車が廃車となった際

にコンバーターから取り出し、リサイクル業者の手によりプラチナと共に回収

される。ただし国内で発生する廃車のうち、中古車として輸出されるものも多

く、解体されたコンバーターなどが輸出される場合もある。一方で廃触媒の輸

入も多く、これらを加味するとわが国の自動車廃触媒からのリサイクル率は

60%程度と推定される。 石油精製や化学工業などにおいて、触媒として装置の一部に組み込まれてい

るような場合は回収も容易であり、100%近くリサイクルされていると見られ

る。触媒メーカーと使用者の間でリサイクルを前提とした取引となっており、

不足分のみが新規需要としてカウントされる。こうしたリサイクル分は、末尾

掲載のマテリアルフロー図では数量に含めていないが、パラジウムのフローと

してはメーカーと使用者間で回転が生じている。 電気・電子工業用部品において発生したスクラップは、純度の高いものは貴

金属地金商で回収されている。基板や製品などに組み込まれて純度の低くなっ

たスクラップについては、前処理を行った上で他の貴金属と共に銅・鉛製錬所

などで回収されている。 歯科医師が患者より取り外したクラウン(冠)やクラスプ、また歯科技工士

がこれらを細工した際の屑等は歯科材料販売店によって集められ、リサイクル

業者の手によって金、銀、プラチナ等と一緒に回収される。使用された量の大

部分がリサイクルされていると推定する。 宝飾品として利用されたものはほとんどが退蔵されて、破損したり作り替え

たりする時に宝飾品加工メーカーや貴金属地金商によってリサイクルされる

が、金やプラチナと違ってその量はわずかである。

今後は自動車排ガス浄化用の廃触媒の発生が増加する。パラジウム原料のほ

とんどを輸入に頼っているわが国にとって、こうした使用済み品からのリサイ

クルによる供給量を上げることが今後の課題である。使用済み品の集荷、分別、

前処理(なるべく貴金属のみとする)の体制を整えることが重要である。

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パラジウム(

Pd)

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パラ

ジウ

ム(

Pd

リサ

イク

ルの

現状

2004年

ベー

リサ

イクル

現状

備考

主な

応用

製品

利用

形態

評価

(A~

G)

形態

量 

(注①

)リサ

イクル

の実

態リサ

イクル

のサ

イクル

(注

②)

リサ

イクル

率(%

)(注

③)

(注④

自動

車触

媒廃

車(2

0,9

90)

白金

、ハ

゚ラジウ

ム、

10年

60

石油

化学

工業

〃活

性劣

化(新

規分

780

)ロジウ

ムと

分離

反応

塔〃

使用

済触

媒精

製し

て再

使用

4年

90~

95

電気

・電

子工

業電

気接

点リ

レー

パラ

ジウ

ムを

分離

・(1

0年

)0

C収

集・分

別に

用部

品導

電ペ

ース

トチ

ップ

コン

デン

サー

他精

製し

て再

生1

年0

A

溶接

用ロ

ー材

メッ

キコ

ネク

ター

、時

計他

A

(7,0

00)

歯科

用材

料金

-銀

-パ

ラ切

削屑

パラ

ジウ

ム-

金-

銀1年

80

収集

に多

少難

ジウ

ム合

金老

朽金

冠等

を分

離し

て精

製(1

0年

(16,1

70)

指輪

、ネ

ック

レス

宝飾

品原

型の

まま

(4,8

20)

退蔵

半永

久的

不明

宝飾

品に

再加

等 (注) 

①量

の単

位:

 ③

現状

評価

:④

リサ

イク

ルの

ボト

ルネ

ック

と、

解決

 

  

  

( 

 )内

は使

用量

純分

 kg

  

A. 

応用

製品

が消

耗品

であ

る 

  

E. 

経済

性が

ない

 の

難易

  

  

その

他は

発生

量純

分 

kg  

 B

. 添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

  

 F

. 需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

い 

毒性

、保

管の

危険

性の

有無

など

  

  

②サ

イク

ル:

  

C. リ

サイクル

の流

通シス

テム

がな

い 

  

G. 

その

  

  

(  

)内は

推定

使用

年数

  

D. 効

果的

なリサ

イクル

技術

がな

  

  

その

他は

実リ

サイ

クル

年数

(リサ

イク

ル率

は業

界推

定)

使用

済み

品の

存在

形態

・量リ

サイ

クル

形態

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24 チタン (Ti)

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24 チタン(Ti) 24.1 マテリアルフロー分析 チタンの主要な原料としては、ルチル鉱石とチタンと鉄の複合酸化物であるイ

ルメナイト鉱石さらにイルメナイトを高純度化処理した UGI(Up Graded Illmenite)があり、このほか人工的に TiO2分を濃縮処理した合成ルチルおよびチ

タンスラグがある。これらのチタン原料はすべて輸入され、国内では約 7%が金属に、残りの 90%以上が酸化チタンとして使用されている。 酸化チタンは、UGI をさらに精製して作られる。2004 年の酸化チタンの生産量は、254 千 t である。酸化チタンの 2/3 は国内で消費され、1/3 が輸出される。 金属チタンは「クロール法」と呼ばれる製錬プロセスで生産される。クロール

法では、原料の UGI を塩素ガスと反応させて四塩化チタンとし、次にそれを溶融マグネシウムと反応させて金属チタンを還元分離する。製錬されてできた金属チ

タンの形状が海綿状であることからスポンジチタンと称される。大部分のスポン

ジチタンあるいはチタンスクラップは、真空アーク溶解法(VAR)、電子ビーム溶解法(EBR)、プラズマビーム溶解法(PBR)によって溶解され、インゴットとなる。 スポンジチタンの出荷量は、景気の変動を受けながらも長期的トレンドでは増

加傾向にあり、世界シェアの約 40%である。2004 年のスポンジチタン出荷量は、対前年比 41%増の 26 千 t と史上最高を記録し、同時に CIS から 5.6 千 t 輸入している。2004 年はインゴットの生産も過去最高の 18.6 千 t を記録した。 酸化チタンの用途は、約 2/3 は塗料、顔料に向けられ、他の白色顔料とは比較 にならない純白性と高屈折率を有しており、塗料、インキ、紙等に、また最近で は、半導体や光触媒等にも使用されている。酸化チタンの需要は、1987 年より急 激な伸びを示し、史上最高の生産量となって以降、大きな変動はなかったが、2004 年に入り、世界の需要は中国の需要増などで 5~7%の伸びを記録したが、日本で は微増の 167 千 t に止まった。(表 1 参照) 金属チタンは、耐食性に優れ、その上、比強度が高いことから、最も使用量の 多い石油および化学工業の分野では配管、塔槽類、熱交換器等の設備材に純チタ ンの管、板が使用され、火力および原子力発電の復水器用チューブなどには純チ タンの管、板そしてタービンのブレードにはチタン合金がつかわれている。 さらに、海水淡水化プラント、航空機材料用などに使用されている。 最近では、屋根などに純チタンの建築材料、自動車のエンジン部品に粉末冶金や 鋳造によるチタン合金素形材や鍛造合金、二輪車の純チタンマフラー、眼鏡フレ ーム、腕時計、ゴルフヘッド、IT 部品、装飾品など、民生品に新しい用途が広が りつつあり、販売業者向けに純チタン板、棒など流通し始め、各種二次加工用途 などに向けられている。さらに、生体適合性や金属アレルギーなどの生体為害性 に優れていることから、人工骨、人工歯根などの生体材料をはじめとする医療・ 福祉材料医療用材料としても使用されはじめている。 日本における金属チタンの需要は、景気の変動に左右されながらも長い目で見

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ると年間約 8%の伸び率で成長を続けており、2004 年は史上最高の出荷量を記録した。 金属チタンの製品形態は、板、条、棒、管の展伸材とその加工品が大部分を占 め、鋳造品や粉末冶金製品などの素形材は少量である。 展伸材の 2004 年出荷量は、対前年比 26%増で、スポンジチタンと同じく史上

最高の約 17.4 千 t(内需、輸出ともほぼ 1/2)を記録した。(表 2、3 参照) 表 1 酸化チタンの国内用途別出荷量(2004 年)(単位 t) 塗料 74,422 ゴム 2,465 化繊 2,485 インキ・顔料 36,167 合成樹脂 18,075 製紙 14,847 コンデンサー 1,891 その他 16,956 合計 167,308 出典:日本酸化チタン工業会資料 表 2 日本のスポンジチタンの生産、出荷、輸入及びインゴット生産推移(t)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

生 産 19,457 24,906 25,199 18,923 23,110スポンジ

出 荷 19,187 25,107 22,652 18,617 26,233 国内 11,475 14,328 16,801 12,908 18,013 輸出 7,712 10,779 5,851 5,709 8,220 輸 入 6,461 9,102 9,209 5,715 5,570インゴット 生産 13,111 16,343 17,756 13,624 18,622 出典:日本チタン協会資料、財務省通関統計 表 3 日本のチタン展伸材の出荷量推移 (t)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

展伸材 出 荷 11,946 14,434 14,481 13,838 17,387 国内 6,049 7,307 7,256 6,812 8,573 輸出 5,897 7,127 7,225 7,026 8,814 出典:日本チタン協会資料

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24.2 リサイクルの現状と評価 チタンの利用状況からみて塗料や顔料などで消費される酸化チタンについては、 チタン純分量は金属チタンの約 10倍であるがリサイクルの対象とはなりにくい。 リサイクルの対象となるチタンは金属チタンであり、金属チタンは、アルミニ ウムなどと同様、エネルギー多消費型金属の一つである。従って、金属チタンの リサイクルは重要課題であるが、チタンの特性から非常にそのライフサイクルが 長いこと、および、市場規模が小さいことから、スクラップ市場としてはまだ未 成熟である。 金属チタンの製造過程で生じる自家発生スクラップは、約 4 千 t 程度と推定さ

れ、その多くはインゴット再生用と鉄鋼添加用に再利用されている。ただし、合

金のスクラップは、国内ではインゴット原料としての再利用は殆どされず、アメ

リカ等へ輸出されるか、鉄鋼添加用として再利用される。 二次加工や最終製品加工メーカーで発生するスクラップは、原則的には、素材 メーカーへのリターンスクラップとして扱われているため、再利用率は高い。 設備部品など応用製品として使用後に発生するスクラップについては、リサイ クル率は必ずしも高くない。しかし、チタンの主要用途である各種化学プラント

の場合、装置の補修やリプレースの際は素材メーカーと連携して進めることが多

いことから、統計上に現れないリサイクルも多いものと推定される。苛性ソーダ

プラント用の純チタンに貴金属を表面処理した板や Ti-Pd合金板の電極材のように、リース契約で使用済み電極をリサイクルして再利用している例もある。

航空機の場合、使用済みエンジンおよび機体材料の形で発生するが、中古機とし

て発展途上国へ売却することが多いため、スクラップとなるケースは稀である。 一方、ゴルフクラブのヘッド、眼鏡のツル、時計などの民生品については、様々 な形態に加工されているが、チタンが使用されはじめて日が浅いことや一品の重 量が小さいなどのため、リサイクル市場を形成するまでに至っていない。 市場で発生する使用済み品については、一部、鉄鋼添加用のフェロチタン原料

として再利用されているものの、ライフサイクルが長いこと、スクラップ市場に

出回る量が未だ少ないことなどのため、分別リサイクルの流通システムが市場と

して確立されていない。中でも合金については、品質保証上の問題も加わり、使

用済み品のリサイクルは極めて小規模である。 鉄鋼添加用として使用されるチタンは、添加量が微量で、分離が不可能のため、

チタンのリサイクルの対象とはならず、一般の鉄のリサイクルとして扱われる。

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-130-

〈 原

 料 

〉〈

 中

間製

品 

〉〈 

最終製

品 

〉〈

 主

要応

用製

品 〉

(推

定値

1,40

0チタン鉱

石U

GI

スポンジチタン

インゴット

チタン展

伸材

各種チタン合

金航

空・

宇宙

(ジェットエンジン, 機

体材

料, ミサイル, ロケット)

スクラップ

(国

外)

輸入

96,0

00出

荷 2

6,23

3生

産 1

8,62

2出

荷 1

7,38

7出

荷 1

,391

その

他(自

動車

部品

, ゴルフヘッド

, 形状記

憶合

金)

イルメナイト鉱

 豪

州 6

1,00

0 

国内

18,

013

 国

内 8

,573

3,70

0ルチル鉱

 南

ア 2

7,00

0 

輸出

8,2

20 

輸出

8,8

14スクラップ

火力

・原子

力発

電(復

水器

, 管板

等)

, 造水

スクラップ

 インド 9

,000

入 5

,570

2,00

0石

油・

化学

工業(

配管

, 塔槽

, 熱交

換器

等)

スクラップ

純チタン

1,50

0出

荷 1

5,99

6電

解設

備(ソーダ工

業, 亜

鉛メッキ, 銅

箔製造

等)

スクラップ

2,80

0プレート式

熱交

換器

スクラップ

100建

築・

土木(屋

根, モニュメント,架橋

等)

スクラップ

1,10

0自

動車

(二

輪マフラー等)

スクラップ

1,50

0医

療・

民生

品ほ

かスクラップ

2,70

0販

売業

者向け

スクラップ

フェロチタン他

鉄鋼

添加材

高張

力鋼

, 耐熱

鋼, ステンレス鋼

, 深絞

用鋼

板等

リサイクルな

出荷

推定

3,0

00

チタン鋳

造品

バルブ

, ポンプ, 遠

心分離

器, ゴルフヘッド等

リサイクルな

出荷

37

チタン粉

末自

動車

(バルブ, コンロッド他

), 化

学工

業(フィルター, バルフリサイクルな

出荷

推定

10

酸化

チタン

塗料

, インキ

, 合成

樹脂

, 製紙

他リサイクルな

出荷

167

,308

原料埋

蔵量(

2001

年, 千

トン)

純分

換算比

率Ti

O2

Ti出 

典:

 イルメナイト鉱

463,

000

 イルメナイト鉱

55%

33%

 財

務省

通関

統計

 ルチル鉱

532 ,

000

 ルチル鉱

96%

58%

 (社

)日本チタン協

会資料

 U

GI

96%

58%

 日

本酸

化チタン工

業会

資料

〈 

リサイクル 

チ 

タ 

ン (

Ti )

(20

04年

ベー

ス,  

単位

:ト

ン,  

全てマテリアル量

で表

示)

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-131-

主な応用

製品

利用

形態

リサイクル現

状評

形態

量1)

リサイクル

の実

態サイ

クル2

)リサイ

クル率

3)(A~

G)4)

国内:

再利

用・

スクラップの

一部は

再利

用(鉄

鋼添

加)。

出:

リサイクル

・輸

出先

(主

に米

国)で

再溶

解。

・合

金の

国内

リサイクルは

,リサイクル市

場が

廃航空機

(20年)

未成熟

,品

質保証

問題か

ら皆無

・リサイクルの

サイクルが

長い

ため

,ま

だ殆

純チタン管

,板,鍛

造品

(600t

)インコ

゙ット

再生

(30年

)0%

C,G

使用

積み

品と

して

市場に

出な

い。

・ユーザー/メーカー間

の直

接取

引の

ため

純チタン管

,板

(1,000t)

インゴット再

生20年

以上

不明

C,G

市場

に出

ない

が,リサイクル率

は高

いと

推定

純チタン

・一部

,電解液に

溶出,消耗

電極

,電

解槽

(Pd

,Ru

,Ta

入り

)(5

00t

)リサ

イクル

3~10年

70%

A,G

・ユーザー/メーカー間

で再

利用

システム確

立。

板,管

純チタ

ン板

・一部

,鉄鋼添加

用とし

て再利

用。

・リサイクルの

サイクルが

長い

ため

,ま

だ殆

純チタン板

板(80t)

インゴット再

生(50年

以上

)0%

C,G

使用

積み

品と

して

市場

に出

ない

・用途

市場が

多角で

未成

熟が多く

各種

形状

(3,500t)

一部

リサイクル

数年

~半

永久

不明

F,G

リサイクルの

実態

未掌

握。

・鉄

鋼の

再溶

解過

程で

チタン分

は大

半が

(4,000t)

鉄鋼

に準

じる

鉄鋼

に準

じる

0%

A,B

スラグへ

(注

1)(

)内

はチタン使

用量

4)A:応

用製

品が

消耗

品D:効

果的

なリサイクル技

術な

し5)リサイクルの

実態

,ボトルネック等

2)(

)内

は推

定リサイクル年

数B:添

加剤

とし

て使

用E:経

済性

なし

3)(

)内

は推

定リサイクル率

C:リサイクルの

流通

システムな

しF:需

要開

発が

不十

G:そ

の他

鉄鋼添加

材(高

張力

鋼,ステンレス鋼

等)

Aプレート式

熱交

換器

建築・土

木(屋根,外装

,管

)

その他

(民

生品

,流

通向

け等)

(500t)

インゴット再

生5~

10年

60%

各種

チタン合

金,純

チタン

フェロチタン,純

チタン

廃鋼

管廃鋼

0%

B,C

廃パイプ

廃装

廃パイプ

廃装

廃エ

ンジ

ン(300t)

(10年

)

廃パイプ

廃装

航空機

ロケ

ット

(エンジン,機

体)

各種

チタン合

金(T

i-6

Al-

4V等

)

火力・原

子力発

電(コンデンサーチューブ,

タービン)

石油等化

学工業

用(配

管,塔

槽類,

熱交換

器)

金属

チタ

ンの

リサ

イク

ルの

現状

リサイクル形

態使用

済み品

の形態

・量

備 

 考

5)

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25 ベリリウム (Be)

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-133-

25.ベリリウム(Be) 25.1 マテリアルフロー分析 ベリリウムは普通の金属にはない多くの独特の性質をもっている。工業的に利

用されるようになったのは 1930 年代以降で、日本では 1950 年代末に金属ベリリ

ウムとベリリウム銅の国産化に始まり、1970 年代には展伸材、及び金型などの鋳

鍛造品用のベリリウム銅を中心に成長し、電気・電子工業の分野に広く利用され

るようになった。特に、電子材料用バネ材としてのベリリウム銅展伸材の生産量

は、1970 年代中頃の年間約 500t 水準が、1980 年代では約 2 倍に、さらに最近

では 3,500t を超える水準に増大した。電子部品の軽薄短小化に伴いベリリウム銅

に対するニーズが高まり、携帯電話をはじめとした情報技術(IT)市場の急速な

拡大と堅調な自動車電装部品により 2000 年にはベリリウム銅展伸材の国内需要

は過去最高を記録したが、2001 年以降 IT 市場の低迷と共に需要が減少し 2003年まで低迷が続いた。2004 年はやや回復し特に上期は自動車の動きに加え携帯電

話、デジタル家電関連の回復基調を示したが、下期以降は市況軟化に伴いやや低

調となった。 日本では鉱石からの製錬を行っていないため、ベリリウム源として水酸化ベリ

リウムやベリリウム銅母合金などの中間製品、及びベリリウム銅スクラップ、金

属ベリリウムスクラップなどを年間およそ 80t(Be 純分)輸入している。輸入量で

は水酸化ベリリウムが大部分を占めるが、ベリリウム銅の展伸材・鋳鍛材、金属

ベリリウムなどの製品も 10 数 t(Be 純分)程度輸入されている。 また金属ベリリウム加工品製造用としてブロック、板などの素材が年間約 1t

米国より輸入されている。 ベリリウム及びその製品貿易量推移 (Kg)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

ベリリウム 塊及び粉 20 30 340 輸入 くず

2,144 12,609 8,116 22 5,129

その他のもの 1,214 753 400 1,754 1,152 ベリリウム 塊及び粉 890 4,463 290

輸出 くず 697 1,831

80,109 その他のもの 7,608 3,744 1,012 4,179 8,187

酸化・水酸化ベリリウムの輸入量推移 (Kg) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

酸化ベリリウム輸入 123,674 163,561 1,108 4 70 水酸化ベリリウム輸入 0 0 500,000 360,000 420,000出典:日本貿易統計、水酸化ベリリウム輸入量については、2002~2004

年は業界推定値

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-134-

かつて日本のベリリウム工業の主要ベリリウム源は酸化ベリリウムで、年間

130t 程度(BeBe 純分 36%)輸入していたが、現在では国内に仮焼設備が設置され

水酸化ベリリウムを米国から輸入し年間 300t程度(Be 純分 15%=45t)消費し

ている。 ベリリウム銅母合金生産量は年間 1,500t 前後(Be 約 4%=60t)である。輸入は

年間 180t(Be 純分=7t)程度で、輸入先は主にアメリカ、中国である。ベリリウム

銅母合金から展伸材、鋳鍛材の大半が生産されるが、他に 600~700t(材料ベー

ス)の米国からの輸入がある。また、国産品の約 30%は中間材(リロール用素材)としてアメリカ、欧州に輸出・供給される。

最終製品としては合金として使用されるのが圧倒的に多く(95%以上)、その殆

どはベリリウム銅である。ベリリウム銅展伸材・鋳鍛材には、いずれも高強度用

材と高伝導用材がある。これらの最終製品の形態としては板(条)が大半を占める

が、棒、線、箔、管、ブロックなどもある。応用製品は、展伸材では電子機器用

コネクター、IC ソケット、スイッチ、リレー、マイクロモーターなどがあり、か

つては産業用機器の分野が主体であったが、近年ではパソコン、携帯電話、AV

機器など民生用電子機器の分野にも拡大している。鋳鍛材では安全工具、プラス

チック用金型、溶接用電極、海底通信ケーブル用中継器の構造体などがある。 金属ベリリウムは、医療用・工業用機器のX線窓、音響用スピーカー振動板、

レーザー・ドリリング用ガルバノ・ミラー、半導体製造装置用反射電子防止板など

の用途で安定した需要があるほか、原子炉の中性子反射体・減速材として使用さ

れるが、いずれも出荷重量としては小さい。 ベリリア磁器板及びメタライズ基板は、半導体用放熱部品やレーザー放電部

品に利用されている。これらは窒化アルミニウムとの競合もあり全て輸入品で賄

われており、年間 1t 未満(Be 純分)の需要である。 25.2 リサイクルの現状と評価 ベリリウムを含むスクラップが発生する主な応用製品は、コネクター、スイッ

チなどの電子機器用部品(自動車用電装品を含む)、プラスチック金型などの高強

度工器具、溶接用電極などの高伝導部品、放射線や原子力機器・装置用純金属ベ

リリウム、及び半導体用基板に大別できる。 これらの応用製品中におけるベリリウムの利用形態は、銅合金バネ材(電子機器

用部品)、銅合金ブロック材(高強度工器具)、銅合金チップまたはブロック材(高伝

導部品)、純金属(放射線機器・原子力装置用)、燒結ベリリア(半導体用基板)であ

る。 電子機器用部品の廃棄電子・電気機器の組み込み部品として使用済みになる。

高強度工器具及び高伝導部品のベリリウム銅は工器具・装置が廃品となるか、部

品自体の寿命により廃品となる。放射線機器、原子力装置などに使用されている

金属ベリリウムは機器等に組み込まれたまま使用済みとなり、そのまま廃品とな

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-135-

ることが多い。半導体用基板も電子機器に組み込まれたまま使用済みとなり、殆

どがこのまま廃品となる。 電子機器用部品に使用されるベリリウム銅の加工工程で発生する二次加工スク

ラップは、まとまった量が比較的短期間(1年以下)に発生するため、出荷量の約

40%程度がリサイクルされている。 プラスチック金型、安全工具、各種機械部品などのベリリウム銅製品は、単品

として使用済みになるものと機器に組み込まれて廃品になるものとがある。これ

らの一部はリサイクルされてベリリウム産業のマテリアルフローに乗るものもあ

るが、リサイクルのサイクルも 10 年以上と長く、その量も明らかになっていな

い。これらの工器具・部品はブロックまたはチップ状で単重の比較的大きいもの

が多く、大部分は銅スクラップとしてリサイクルされており、廃棄物として廃却

処分される量は極めて少ないと推測される。 金属ベリリウムの加工部品は放射線用機器、原子力装置、航空機用制御機器な

ど最終製品に組み込まれた状態で廃品となる。これらの製品は耐用年数が 10 年

以上と長く、また一つの機器に使用される単重がgオーダーと微小である場合が

多いこともあって、一部の大型部品を除いてリサイクルされていない。 ベリリア磁器は機器に組み込まれた部品として廃品になるが、対象量が少なく

経済性もないためリサイクルはされていない。

電子機器用バネ材等の出荷量と二次加工スクラップのリサイクル 年 度 2000 2001 2002 2003 2000-2003 出荷量(t) 5510 4330 3480 3600 16920 リサイクル量(t) 2270 1700 1400 1700 7070 リサイクル率(%) 41 39 40 47 42 いずれも業界推定値

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-136-

 20

04年

ベー

量の

単位

:( )内

はB

e純

分 

t 

  

 そ

の他

はマ

テリ

アル

量 t

< 中

   

間 

  製

   

品 

>< 最

終 製

品 >

<主 要

応 用

製 品

><リ

サイ

クル

>

X線

管金

属ベ

リリ

ウム

原子

炉用

構造

体リ

サイ

クル

なし

生産

量な

しスヒ

゚ーカー

用振

動板

輸入

量( 1

)航

空機

用制

御部品

輸入

国アメリカ

水酸

化ベ

リリ

ウム

ベリ

リウム銅

母合

金ベリ

リウム銅

展伸

材 高

強度

用展

伸材

電子

機器

用バ

ネ材

生産

量な

し 生

産量

(60)

生産

量(5

5)*

生産

量(3

0)*

・コ

ネク

タリ

サイ

クル

なし

輸入

量(6

3) 輸

入量

( 7)

輸入

量(1

0)*

・I

Cソケ

ット

・銅

スクラッフ

゚とし

て輸

入国

アメリカ

100%

輸入

国アメリカ

輸入

国アメリカ

・ス

イッ

チ一

部リサイ

クル中

国 高

伝導

用展

伸材

・マ

イク

ロモ

ータ

生産

量(5

)*

金属

ベリリ

ウム屑

輸出

(中間

素材

)[

海外

市場

]輸

入量

(5)

輸出

量(1

7)*

輸入

国アメリカ

>90%

輸出

国アメリカ

65%

ミルスク

ラップ

二次

加工

スクラップ

カザフスタン

欧州

35%

( 5)*

(20)

*

輸出

(最終

製品

)[

海外

市場

]ベリリウム

銅屑

輸出

量(2

8)*

輸出

国アジア諸

国>9

0%(2

5)*

アメリカ、

欧州

ベリ

リウム銅

鋳鍛

材 高

強度

用鋳

鍛材

安全

工具

リサイ

クル生

産量

(20)

* 生

産量

(8)*

プラス

チック用

金型

(<1)

*一

部リ

サイ

クル

輸入

量( 4

)*溶

接用

電極

・残

分は

銅スクラ

ップと

輸入

国アメリカ

海底

通信

中継

器構

造体

してリサイ

クル(約

70%

) 高

伝導

用鋳

鍛材

機械

部品

[銅

精錬

山元

] 生

産量

(1)*

一部

仕掛

・製

品在

庫(1

3)*

アルミ

・ベリリウム

母合

金アル

ミニウム

合金

添加剤

リサ

イク

ルな

し 生

産量

なし

輸入

量( 3

)* 輸

入国

アメリカ

ベリ

リア

磁器

 素

  

 板

半導

体用

生産

量な

し・

LSI用

放熱

部品

リサ

イク

ルな

し輸

入量

(<1)

 メタ

ライズ

基板

・レー

ザ放電

管部

品輸

入国

アメリカ

1.

埋蔵

量:

ベリ

ル鉱

およそ

40

万トン、

バート

ランダイト鉱

数百

万トン 

(い

ずれ

もB

e量

2.

可採

鉱量

:N

.A.

3.

純分

換算

比率

:水

酸化

ベリ

リウ

ム15

%ベリリウム

・銅合

金金

属ベ

リリ

ウム

97 %

高強

度用材

1.9%

ベリ

リウム・銅

母合

金4 %

高熱

伝導用

材0.

5%アルミ

・ベリリウム

母合

金2.

5%ベ

リリ

ア磁

器36

%4

.出

 典

:U

S鉱

山局

 M

iner

al F

acts

and

Pro

blem

s 1

985

業界

統計

 *印

は20

03年

数値

ベリ

リウ

ム(

Be

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-137-

金属名

 ベリ

リウ

ム(

Be)

リ サ

使用

済み

品の存在

形態

・量

リ 

サ 

イ 

ク 

ル 

形 

な応

用製

品利

用 形

 量

リサイクルの

実態

リサイクルの

サイクル

リサイクル率

(注①)

 (

注②

) 

(%

) (注

③)

注④

電子機

器用

バネ

材コ

ネク

タ組込

み部

品(

35)

二次

加工屑の

二次

加工

屑(

≒4

0)

金種

によ

る分別

回収

ICソ

ケッ

ト及び

みベリリウム銅

と<1

年ス

イッ

チ二次

加工

屑して

リサイクル

リレー

使用

済み製品

≒0

D,E

スク

ラッ

プとし

ての

マイクロモータ

(5~

10年

) リ

サイ

クル

率向

上を

期待

などの

部品

(平

均 1.6 %)

安全

工具

高強

度工

器具

ブロ

ック

( 

8)

ベリリウム

銅と

して

ブロ

ック

(≒1

0)

C,D

プラスチック金

型(1.5-2.5%)

一部

リサイクル

>10年

海底通

信中

継器

高伝導

部品

及び

大部

分は銅屑

溶接

用電

極(<1%)

組込

み部

品(

 1)

とし

てリサイクル

組込

み部

品0

C,

D(5~

10年

Al合

金添

加剤

アルミ・ベリリウム

( 

3)

リサイクルな

し0

B母

合金

(2.5%)

放射

線機

器用

部品

純金

属部

品組込

み部

品(

 1)

リサイクルな

し( >10年

)0

C,

D,

E原

子力

用構

造体

(97%)

スピーカー用

振動

半導

体用

部品

素板

、基

板組込

み部

品(

<1)

リサイクルな

し(5~

10年

)0

C,

D,

E(36%)

(注

)①

の単

位:

③ 現

状評

価④

リサイクルの

ボトルネックと

解決

( )内

は使

用量

純分

A.応

用製

品が

消耗品

であ

るE.

経済

性がな

いの難

易度

の他

は発

生量

純分

B.添

加剤

とし

て使用

され

てい

るF.

需要

開発が

十分

にさ

れて

いな

い毒性

、保

管の

危険性

の②

イク

ル:

C.

リサイクルの

流通

システムが

ない

G.

その

他有無

など

( )内

は推

定使

用年

数D

.効

果的

なリサイクル技術

がな

い そ

の他

は実サイクル年

リサイクル現

状評

価(A~

G)

 形

  

  

備 

  

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26 ジルコニウム (Zr)

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-139-

26.ジルコニウム(Zr)

26.1 マテリアルフロ-分析

日本は 2004 年にジルコン鉱石 64,000t、バデライト鉱石 4,000t、粗製塩類

15,194tを輸入した。ジルコン鉱石は粗鋼生産量の増大により前年比 25%増と大

幅に増加した。また、粗製塩類は触媒、抗菌剤などの特殊用途の需要があり、デ

ィーゼル車に対する規制強化に伴う排ガス浄化触媒等環境保全用触媒の需要増等

により前年比 46%増加した。 パデライトは ZrO2 含有率が 95~96%と高品位の上、SiO2 が少ないので、脱珪

設備や公害防止設備が節約できるため高価であるにもかかわらず我が国でも鉄鋼

の耐火物用の電融ジルコニアや陶磁器顔料の原料として便用されている。 ジルコニウムの国内需給推移(マテリアルt) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年

輸入 鉱石 88,300 84,200 74,200 53,800 68,000 粗製塩類 14,340 12,640 12,650 13,000 19,000 塊・製品・くず 557 621 645 711供給計 102,640 97,397 87,471 67,445 87,711国内需要 鉄鋼耐火煉瓦

原子力 ジルコニア計 9,670 8,830 9,570 9,770 10,750<内訳> 耐火物 4,430 4,200 4,200 4,200 4,800 研磨・研削材 700 580 580 580 580 電子材料 1,020 510 740 740 810 窯業顔料 420 390 390 350 380 ガラス 300 300 340 350 440 センサー 450 480 520 530 550 ファインセラ

ミックス 850 470 400 420 500

その他 (触媒など)

1,500 1,900 2,400 2,500 2,700

(財務省貿易統計、工業レアメタル 2003、2005) 中間製品としては、ジルコニウム金属とジルコニアに大別される。日本国内の

ジルコニア需要は環境関連の排ガス浄化触媒、酸素センサー、情報通信関連の電

子材料等を中心に近年好調である。 湿式法で生産される高純度 ZrO2 は電子材料、ガラス、センサー等に使用されて

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おり、2004 年の生産量は対前年比 7%増の 4,800tまで増加している。一方乾式

法で生産される ZrO2 は耐火物、研摩研削剤、窯業顔料等に使用されており、この

生産量も 4,300tから 5,000tへ 16%増加した。 輸入されるジルコンサンドの大部分は直接鉄鋼向けの耐火物の原料として使用

される。近年粗鋼生産量が増大し、2004 年の粗鋼生産量が 1.13 億tとなったこ

とにより耐火物向けのジルコニアが堅調に推移している。 国内で生産されるジルコニアの 45%が不定形耐火物、及び耐火煉瓦の原料とし

て使用されており、最大の用途となっている。乾式法で生産されるジルコニアは、

耐火物、研摩剤、窯業顔料等に用いられ、一方湿式法で製造されるジルコニアは高

純度で PZT 圧電素子一セラミックコンデンサー等の電子材料、光学レンズ、酸素

センサー等に使用されている。その他(触媒など)の分類が近年急増しているが、

主な用途は自動車の排ガス浄化触媒向けである。 金属ジルコニウム市場の 90%は原子炉向けで、残りが化学工業用の耐食材を中

心とする一般工業向けである。原子炉向け金属ジルコニウムの用途は、燃料被覆管、

チャンネルボックス、端栓に大別される。 26.2 リサイクルの現状と評価

ジルコニウムは大部分が原料のジルコンサンドを直接原料として焼結される形

で使用されており、原料単価が低いためこれ以上のリサイクルの対象になりにく

いものと考えられる。また、金属ジルコニウムに関してはその大部分が原子力の

高濃度廃棄物にあたるため、硝酸溶液にまで戻されているにもかかわらず、リサ

イクルの対象とはなりにくいのが現状である。 今後は、大量に使用されているジルコンレンガの再利用用途開発などが、リサ

イクル促進への有効な手段となると思われる。

ジルコンサンド応用耐火レンガは使用済み後一部リサイクルされているが、正

確な量は不明である。 ジルコニアの需要の 45%を占めるジルコニアレンガは、使用済みとなった後の

リサイクル量は不明である。窯業顔料として使用されたものは、ジルコン磁器やホ

ーロー等の形態で使用済みとなった後は、類似品や他の成分との分離が困難である

ためリサイクルされていない。また研磨研削剤に使用されたジルコニア砥粒もリ

サイクルされていない。一方、各種の電子材料用に使用された湿式法のジルコニア

は現状では廃棄されているが、部品リサイクルが進む中で経済性に合う部分はリ

サイクル可能であろう。またランタン系醐酸ガラスに添加され光学レンズとして

製品となったものは、やはり類似の他のレンズとの選別・分離が困難であり、リサ

イクルは行われていない。酸素センサーに使用されるジルコニアやファインセラ

ミクスとしてのジルコニアはリサイクルすることに経済性がうすく、現状ではリ

サイクルの対象とはなっていない。

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金属ジルコニウムの大部分はジルカロイとして原子炉用に使用されるが、加工

工程で発生する金属スクラップがジルコン銅の溶解の原料として利用されている

ほかは、原子炉に使用された金属製品は放射性廃棄物として貯蔵されており、こ

れらは現在のところリサイクルの対象とはなっていない。

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-142-

ジル

コニ

ウム

(Zr

)量

の単

位:

t()

内は

Zr純

分t

その

他は

マテ

リアル

量t

<原料

><中

間製品

><主

要応用

製品

>

ジル

コン

ZrSi

O4

輸入

量64

,000

生産

量4,

800

バデラ

イト

ZrO

2生産

量58

0輸

入量

4 ,00

0( 乾

式)

生産

量9,800

生産

量38

0

輸入

量15

,194

(湿

式)

中国

14,9

51生産

量81

0米

国1,

257

生産

量44

0

生産

量55

0

生産

量50

0

生産

量2,

700

輸入

量15

8米

国69

カナダ

5 

  

  

  

その

他84

輸入

量55

3米

国25

1フ

ランス

296

工場

内ス

クラ

ップ

はジ

ルコ

ン銅

原料

1. 埋

蔵量

3 ,80

0万t(

ZrO

2量)

2. 可

採鉱量

N.A

.3.純分

換算

比率

ZrO

2Zr

ジル

コン

(ZrS

iO4)

65.0

%48

.0%

バデ

ライト

(ZrO

2)98

.0%

72.5

%ジ

ルコ

ニア

(ZrO

2)95

.0%

70.0

%粗

製塩

類37

.5%

28.0

%ジ

ルカ

ロイ

>98 %

4.出典

工業

レアメ

タル

2005

、財

務省貿

易統

<リサ

イク

ル>

耐火

耐火

研磨

研削

<最終

製品

>

リサ

イク

ル量不

ガラ

酸素

セン

サー

リサ

イク

ル量不

最終

廃棄

物は放

射性

廃棄

物と

して

保(

原子

力)

ジルコ

ニア

含有

製品

(光学

・電

子材

料・

自動

車な

ど)

ファ

イン

セラ

ミッ

クス

その他

(触

媒な

ど)

ジル

コニ

ウム塊

及び

ジル

コニ

ウム及

び製

管材

(ジ

ルカロ

イ被

覆管)

原子力

用加

工品

(ジル

カロ

イ)

粗製

塩類

(鉄鋼

用耐

火煉

瓦)

ジル

コニア

ZrO

2窯

業顔

電子

材料

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-143-

ジル

コニ

ウム

(Zr)

形態

量(注

①)

リサイ

クル

の実

態リサ

イクル

のサ

イク

ル(注

②)

リサ

イク

ル率

耐火物

鉄鋼用

耐火

物レン

ガ同

左リ

サイ

クル

不明

ジル

コニ

ア含

有製

品電子

材料

窯業

顔料

酸素セ

ンサ

同左

リサイ

クル

不明

B

ジルカ

ロイ

製品

原子

力燃

料被

覆管

原子

力燃

料集

合体

工場

スク

ラッ

プは

ジル

コン銅

の原

料へ

G最終

廃棄

物は

放射性

廃棄

物と

して保

(注

)①量

の単

位:

③現状

評価

:  

④リサ

イクルのボ

トルネッ

クと( )

内は

使用

量純

分t

A. 応

用製

品が

消耗

品で

ある

E. 経

済性

がない

  

解決

の難

易度

その

他は

発生量

純分

tB.

添加剤

とし

て使

用さ

れてい

るF. 需

要開

発が十

分に

なさ

れて

いな

い  

毒性

、保

管の

危険

性の

②サ

イク

ル:

C. リ

サイ

クル

の流

通システムが

ない

G. そ

の他

  

有無

など

( )

内は

推定

使用

年数

D. 効

果的

なリ

サイ

クル

技術が

ない

その

他は

実リサ

イク

ル量

備考

(注④

)主

な応用

製品

利用

形態

リサ

イク

ルの

現状

リサ

イク

ル形

態使用

済み品

の存

在形

態・

量リ

サイク

ル現

状評

価(

A~G)

(注

③)

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27 レニウム (Re)

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27.レニウム(Re) 27.1 マテリアルフロー分析 レニウムは地球上で極めて少なく、レアメタルのなかでも最も希有である。レ

ニウムの原料としては、レニウム単独で含有する鉱石はなく、種々の希土類鉱物、

コロンバイト、タンタライト、硫化銅鉱、モリブデナイトなどの鉱石に微量含ま

れており、回収の主原料である銅―モリブデン浮遊分離によるモリブデナイトの

場合で 200~2,000ppm 程度である。 日本では、銅鉱石の溶解炉から蒸発するレ二ウムを特殊なイオン交換樹脂で、

吸着・回収するシステムを開発し、1986 年から生産をおこなっていたが、現在は

銅精錬からの回収は中止し、中間製品である過レニウム酸アンモニウムを輸入し

て精製している。生産量は年間 500kg 程度と推定される。 レニウムの主な用途は耐熱 Ni 基スーパーアロイ、ガソリン用アルミナ担持触

媒、レニウム化合物等である。高融点、高強度、高耐食性、及びその電気抵抗特

性とタングステンへの少量添加による特性改善効果から、国内では主にタングス

テン・レニウム合金としてフェライト等の電子部品用途やスーパーアロイである。

Pt-Re 系接触改質触媒の生産量は減少傾向にある。 ニッケル基スーパーアロイは、1980 年代半ばにハフニウム添加の析出硬化型の

スーパーアロイに代わって、高温強度に優れるレニウム添加の一方向凝固型(単

結晶)の合金が開発されて以来、米国、欧州を中心に需要が伸びているが、国内で

は火力発電用タービンブレード材の研究等に用いられている段階である。航空機

用ジェットエンジン部品やスーパーアロイを、アメリカより技術導入して国内で

生産するようになりレニウム消費は増加している。スーパーアロイ向けは

1,000kg 程度と思われる。 最近、超硬工具用のタングステンやモリブデン合金にレニウムを添加して特性

向上を図ることが検討されている。 レニウム合金(主にタングステンーレニウム)は、医療用X線管ターゲット、

テレビのカソードヒーターワイヤ線、自動車用特殊耐震電球フィラメント等に使

用されている。 日本ではヒーター用耐熱材用に W-Re 合金が生産されていたが、生産の主体が韓

国などに移行し国内生産はかなり減少している。そこで、マテリアルフロー図に

おける電子部品材料を 500kg とした。 金属レニウムは、熱的特性を活かして熱交換器等の化学プラント部品等に使用

されている。 アルミナ担持触媒は活性アルミナ単体に白金とレニウム(0.2~0.6%)が担持

されたものであり、無鉛・高オクタン価ガソリン製造の接触改質のために使用さ

れている。レニウムを使用する接触改質触媒は、1980 年代半ばにCCRプロセス

(触媒連続再生プロセス)が開発されて以来、レニウムの触媒市場は漸減方向に

あり、1980 年代、国内全レニウム需要量の 70%を占めていた触媒用途は、現在

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かなり減少し、スーパーアロイや電子部品用途に主役の座を奪われている。 レニウム化合物はレニウム粉末・過レニウム酸アンモニウムからハロゲン化物、

酸化物等の化合物が実験用に製造されているが量的には少ない。

表1 世界のレニウム生産量(kg) 2000 年 2001 年 2002年 2003 年 2004 年 アルメニア 700 750 800 1,000 1,000カナダ 1,600 1,700 1,700 1,700 1,700チリ 15,200 15,900 15,100 15,800 18,100カザフスタン 2,400 2,500 2,600 2,600 2,600ペルー 4,800 5,000 5,000 5,000 5,000ロシア 1,100 1,200 1,400 1,400 1,400米国 7,200 5,500 4,000 3,900 5,900ウズベキスタン NA NA NA NA NAその他 3,000 590 1,000 1,000 1,000合計 36,000 33,100 31,600 32,400 36,700(USGS 2005) NA:Not available 2004 年の世界のレニウム生産量は、36.7tである。2003 年は 32.4tであった。

最も生産量の多いのはチリで 2004 年は 18.1tであった。そのあとが米国の 5.9t、ペルーの 5tである。

レニウムが含有されたニッケル基スーパーアロイは世界の消費量の 60%であ

る。ボーイング 777、ボーイング 787、エアバス A380 のタービンブレードは、

レニウム含有スーパーアロイの単結晶を使用している。クリープ性能に優れてい

るためである。 27.2 リサイクルの現状と評価 レニウムの応用製品のうち、接触改質用触媒は、石油精製プラントにおいて、

無鉛・高オクタン価ガソリン製造用に反応塔に充填して用いられる。使用済みの

形態はペレット状で、カーボンや石油成分の沈着がある。量は充填時のほぼ 100%が抜き出されるものと思われる。使用済み触媒より、溶解・加水分解等により酸

化レニウム、過レニウム酸アンモニウムとしてリサイクルされる。リサイクルさ

れる使用済み触媒は金属の価格によりリサイクル時期は不定期である。 最も使用量の多いスーパーアロイでは、スーパーアロイの合金くずは、工程内

リサイクルで回収されていると思われるが、外部で使用された製品の回収量は不

明である。電子部品材料については、現在のところリサイクルされていないと思

われる。 レニウムの製品使用量としては、Ni-Re 合金のスパーアロイが今後も増加する

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-147-

と思われる。また W-Re などの電子部品材料も同様である。工程内で発生するス

クラップは回収されていよう。

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-148-

レニ

ウム

(R

e)

2004年

ベー

ス量

の単

位:( 

  

)内

はR

e純

分㎏

その

他は

マテ

リア

ル量

<原

料>

<中

間製

品>

<終

製品

><

主要

応用

製品

><

リサ

イク

ル>

(不

定期

モリブ

デナ

イト

過レ

ニウ

ム酸

アン

モニ

ウム

Pt-

Re系

接触

改質

触媒

(石

油精

製装

置)

使用

済み

触媒

輸入

量( 5

00 )

生産

量(200)

銅精

錬鉱

滓輸

入国

( ア

メリ

カ)

レニ

ウム

化合

物(実

験用

他)

リサ

イク

ルな

し生

産量

(少量

レニ

ウム

粉末

電子

部品

材料

(W

-R

e、

Mo-

Re)

(ヒ

ータ

ー、

フィ

ラメ

ント他

)リ

サイ

クル

なし

生産

量 (

500 )

生産

量(500)

輸入

量 (

2,0

00 )

輸入

国(ド

イツ

)ス

ーパ

ーア

ロイ

(N

i-R

e)

(火

力発

電タ

ービ

ンブ

レー

ド)

リサ

イク

ルな

し生

産量

(1,0

00)

(ジェ

ットエ

ンジ

ン部

品)

金属

レニ

ウム

(化

学プ

ラン

ト部

品他

)リ

サイ

クル

なし

生産

量(少

量)

レニ

ウム

化合

物(実

験用

他)

リサ

イク

ルな

し生

産量

(少

量)

1.

埋蔵

量1

万t強

2.

可採

鉱量

NA

3.

純分

換算

比率

モリ

ブデ

ナイ

ト<

0.2

% 

 銅

精錬

鉱滓

<0.1

%過

レニ

ウム

酸ア

ンモ

ニウ

ムN

H4ReO

4 6

9.4

%

アル

ミナ

担持

触媒

Al 2O

3-P

t-Re

0.3

%

合金

W-Re

<10%

4.

出典

USG

S 2

004

  

  

  

  

  

 ( 

  

)の

輸入

量、

生産

量は

いず

れも

推定

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-149-

レニ

ウム

(Re)

リサ

イク

ルの

現状

主な

応用

製品

利用

形態

備考

形態

量(注

①)

リサ

イク

ルの

実態

リサ

イク

ルの

リサ

イク

ル率

(注

④)

(kg)

サイ

クル

(注

②)

石油

精製

改質

触媒

使用

済み

触媒

(200kg

)リ

サイ

クル

業者

5年

100%

リサ

イク

ルに

時期

差(含

有率

0.3

%)

火力

発電

ター

ビン

塊(1

,000kg

)リ

サイ

クル

なし

0%

E

電子

部品

W-Re合

金塊

(500kg

)リ

サイ

クル

なし

0%

E

化学

プラ

ント

金属

レニ

ウム

塊(少

量)

リサ

イク

ルな

し0%

E

実験

用化

合物

液他

(少量

)リ

サイ

クル

なし

0%

A

注)①

の量

の単

位:

②サ

イク

ル:

③現

状評

価④

リサ

イク

ルの

ボトル

ネッ

ク 

 ( 

)は

使用

量純

分t

( )内

は推

定耐

用年

数A

.応用

製品

が消

耗品

であ

る 

  

  

E.経

済性

がな

いと

、解

決の

難易

度 

 そ

の他

は発

生量

純分

tそ

の他

は実

リサ

イク

ルB

.添加

物と

して

使用

され

てい

る 

  

F.需

要開

発が

十分

にさ

れて

い毒

性、

保管

の危

険性

の有

無年

数C

.リサ

イク

ルの

流通

シス

テム

がな

いG

.その

他等

D.効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

使用

済み

の存

在形

態リ

サイ

クル

形態

リサ

イク

ルの

現状

評価

(A

~G

)(注

③)

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28 リチウム (Li)

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28.リチウム(Li) 28.1 マテリアルフロー分析 国内ではリチウムの原料となる資源がないため原料となる炭酸リチウムについ

てはチリ(9,528t)やアメリカ(1,676t)から輸入されている。 炭酸リチウムのうちリチウムイオン電池(LIB)の電極材と耐熱ガラス添加向

けが堅調である。その他、弾性表面波フィルター用の LT(LiTaO3)、LN(LiNbO3)

に使われている。特に高純度のものは、携帯電話、PHS、カーナビ等フィルタ

ー及び発信器として使用され今後の大きな伸びが考えられる。臭化リチウムの用

途はビル、工場などの大型空調用吸収式冷凍機の冷媒吸収材がほとんどである。 水酸化リチウムの用途は自動車等のグリース及びリチウム電池(1次、2次)向

けの原料である。金属リチウムの用途は1次電池の負極材としての箔及び合成ゴ

ム触媒用のブチルリチウム向け原料である。

表 1 リチウム製品の輸入通関推移(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 炭酸リチウム 7,194 6,843 7,721 9,978 11,971 水酸化リチウム 1,558 1,312 1,019 1,458 1,497 塩化リチウム 500 450 90 90 60 金属リチウム 131.5 140.5 135.2 167.6 185.4 (工業レアメタル 2005)

表 1 をみると、リチウム化合物の出発原料にもなる炭酸リチウムの 2004 年の

輸入は 11,971tで、2000 年比 66%増、前年比 20%増と年々増加している。また、

需要も堅調に推移している。2004 年の輸入を国別でみると、チリ(SQM 社、

Chemical Foote 社)が 9,528t、前年比 27%伸びた。アメリカは Chemical Footeなどから 1,676t、同比 10%増加した。アルゼンチンは 142t、同比 55%減少し

た。カナダ品は酸化物単結晶(LT,LN)などにつかわれる高純度品とみられ、246t(前年は 130t)が入荷した。中国は 189t、同比 24%減少したが、もともと

同国では良質のリチウム鉱石が少なく、国内消費の多くは SQM 社からの輸入品

で賄っている模様だ。 表 2 は、日本のリチウム製品の需要推移である。このうち水酸化リチウム需要

量は表 1 の輸入通関実績を記している。 炭酸リチウム需要量 10,500t のうち、リチウム電池向けが 3,000t(前年 2,600

~2,700t)で窯業関係が 4,000t(前年 3,600t)と推定される。リチウム電池

向け需要は、2000 年~2001 年の IT 不況(1,800~1,900t)回復後のリチウム電

池生産増大に伴い、毎年 10~30%の伸びで拡大しており、2004 年も前年と比較

し 11%の伸びを示した。その他炭酸リチウム需要のうち、その他用途としての鉄

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鋼の連鋳用フラックスは鉄鋼生産の好調で増加し、SAW フィルター用の LT(LiTaO3)、LN(LiNbO3)はフィルターの小型化で減少した。臭化リチウムは冷媒

吸収材に 2,700t使われ前年の横ばいであった。吸収式冷凍機の買い替えに際し

ては古い冷凍機はリサイクルに回されるが、冷媒吸収材は再生して再利用される

ため、需要は増えない仕組みになってきている。水酸化リチウムの 2004 年の需

要(全量が輸入品)は 1,497t(前年は 1,458t)であった。自動車向けなどの

グリースが堅調だったのと、その他塩類の原料、在庫補充に回ったとみられる。

塩化リチウムは、金属リチウム製造用の用途が消えたほか、アルミ溶接用フラッ

クス、空調用の除湿材も低調とあって 150tと前年よりさらに 50t減少した。金

属リチウム輸入は、国産が消えたため 185t(前年は 168t)で、2004 年のリチ

ウム1次電池用の金属リチウム出荷は 185t(前年は 118t)で増加であった。

電池生産は好調であるが、シリンダ型の大型電池を使っていたデジカメなどカメ

ラ類の電源が2次電池に代わっているためリチウム消費は逆に減少している。触

媒用などの用途は 50tと推定される。1次電池の負極材の金属リチウム箔は三井

金属の撤退で本荘ケミカル、本荘金属の2社となった。

表 2 日本のリチウム製品の需要推移(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 炭酸リチウム 6,000 5,800 6,200 8,700 10,500 臭化リチウム 3,300 3,000 3,000 2,700 2,700 水酸化リチウム 1,558 1,312 1,019 1,458 1,497 塩化リチウム 720 650 300 200 150 金属リチウム 225 225 225 168 185 (工業レアメタル 2005) 日本のリチウムメーカーは、本荘ケミカル(臭化リチウム、塩化リチウム、高

純度炭酸リチウム、その他の塩類、金属リチウムを製造)、日本化学工業(塩化リ

チウム等を製造)、本荘金属(金属リチウム箔を製造)、アジアリチウム(ブチル

リチウムを製造)である。 28.2 リサイクルの現状と評価 リチウムは、陶磁器、ガラスの添加剤、溶接用フラックス、グリース等の消耗

品や添加剤として利用されているため、ほとんどリサイクルされていない。負極

に利用される箔は電池製造時に箔屑が発生するが、スクラップとして回収され再

利用されている。しかし、使用済み電池は回収されていない。 合成ゴム重合触媒として使用されるノルマルブチルリチウム等については使用

済み後、塩化リチウムとして抽出され溶接用フラックス等に再利用されている。

また、リチウムイオン電池はコバルト酸リチウムであるので一部回収され、コバ

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-153-

ルトの回収が行われている。電池からのリチウムの回収は行われていない。

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-154-

リチ

ウム

(L

i)2

00

4年

ベー

ス、

単位

:( 

 )内

はLi 2C

O3換

算(t)

その

他は

マテ

リア

ル量

(t)

<原

料>

<中

間製

品>

<中

間製

品>

<終

製品

><

主要

応用

製品

><

リサ

イク

ル>

スポ

ジウ

メン

耐熱

ガラ

ス、

陶磁

器釉

(耐

熱ガ

ラス

製品

)(耐

熱ガ

ラス

製品

)リ

サイ

クル

なし

ベタ

ライ

トT

Vブ

ラウ

ン管

(TV

等)

輸入

(不

明)

(4,0

00

) LiN

bO

3

炭酸

リチ

ウム

LiT

aO3

弾性

表面

波フ

ィル

ター

(T

V、

携帯

電話

等)

リサ

イク

ルな

輸入

量11,9

71

輸入

国 

チリ

9,5

28

LiB

O3

  

  

アメ

リカ

1,6

76

  

  

その

他767

コバ

ルト酸

リチ

ウム

Liイ

オン

電池

正極

材(2

次電

池)

リサ

イク

ルな

し(3

,000)

臭化

Li

冷媒

吸収

材(冷

凍機

)リ

サイ

クル

なし

生産

量+

輸入

2,7

00(675)

弗化

リチ

ウム

溶接

用フ

ラッ

クス

(溶

接棒

)リ

サイ

クル

なし

塩化

リチ

ウム

除湿

剤(空

調機

)リ

サイ

クル

なし

生産

量+

輸入

150(132)

各種

塩類

箔屑

金属

リチ

ウム

箔(1

次電

池)

リサ

イク

ルな

し 

  

輸入

量 185(984)

ノル

マル

ブチ

ルLi

合成

ゴム

重合

触媒

(合

成ゴ

ム製

造)

使用

済み

触媒

50(2

66)

水酸

化リ

チウ

ムグ

リー

ス(潤

滑剤

)リ

サイ

クル

なし

輸入

量1,4

97(1,3

17)

電解

質(1

次、

2次

電池

)リ

サイ

クル

なし

1.純

分換

算比

率:水

酸化

リチ

ウム

LiC

O3 

88%

金属

リチ

ウム

 Li 2C

O3 5

32%

2.

出典

:工

業レ

アメ

タル

2005

臭化

リチ

ウム

 LiC

O3 2

5%

塩化

リチ

ウム

 Li 2C

O3 8

7%

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-155-

リチ

ウム

(L

i)

リサ

イク

ルの

現状

主な

応用

製品

利用

形態

備考

形態

量(注

①)

リサ

イク

ルの

実態

リサ

イク

ルの

リサ

イク

ル率

(注

④)

(t)

サイ

クル

(注

②)

TV

NbO

3フ

ィル

ター

リサ

イク

ルな

し金

、白

金の

携帯

電話

LiT

aO3

発信

機素

子2

~5

年0%

Eう

に経

済性

カー

ナビ

等LiB

O3

がな

い。

耐熱

ガラ

スLiC

O3

使用

済み

(4,0

00t)

リサ

イク

ルな

し5

~1

0年

0%

B

スポ

ンジ

ウメ

ンガ

ラス

製品

また

はベ

タラ

イト添

加剤

空調

機LiB

r冷媒

吸収

使用

済み

(2,7

00t)

リサ

イク

ルな

し(1

0年

)0%

E剤

空調

機空

調機

LiC

l除湿

剤〃

リサ

イク

ルな

し(1

0年

)0%

E溶

接棒

フラ

ック

スLiF

,LiC

lス

ラグ

リサ

イク

ルな

し0%

Aグ

リー

スLiO

Hリ

サイ

クル

なし

0%

A

合成

ゴム

製造

用重

合触

媒ノ

ルマ

ルブ

チ(50t)

業者

によ

りLiC

lとし

1年

80%

以上

活性

で発

火触

媒ル

Li使

用済

みて

リサ

イク

ルの

危険

触媒

Liの

1次

電池

金属

箔使

用済

み電

リサ

イク

ルな

し(2

年)

0%

D,E

電池

電解

質〃

リサ

イク

ルな

し〃

0%

D,E

Liの

2次

電池

コバ

ルト酸

Li

使用

済み

電(3,0

00t)

リサ

イク

ルな

し(2

年)

0%

D,E

電池

電解

質〃

リサ

イク

ルな

し〃

0%

D,E

注)①

の量

の単

位:

②サ

イク

ル:

③現

状評

価④

リサ

イク

ルの

ボトル

ネッ

ク( 

)は

使用

量純

分t

( )内

は推

定耐

用年

数A

.応用

製品

が消

耗品

であ

る 

  

  

E.経

済性

がな

いと

、解

決の

難易

度そ

の他

は発

生量

純分

tそ

の他

は実

リサ

イク

ルB

.添加

物と

して

使用

され

てい

る 

  

F.需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

い毒

性、

保管

の危

険性

の有

無年

数C

.リサ

イク

ルの

流通

シス

テム

がな

い G

.その

他等

D.効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

使用

済み

の存

在形

態リ

サイ

クル

形態

リサ

イク

ルの

現状

評価

(A

~G

)(注

③)

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29 ホウ素 (B)

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-157-

29.ホウ素(B) 29.1 マテリアルフロー分析

国内ではホウ素(ボロン)の原料となる資源がないため原料となる鉱石及び中

間製品は全量輸入されている。輸入されているボロン鉱石にはコレマナイト

(Ca2B6O11・5H2O)、ウレキナイト(NaCaB5O6(OH)6・H2O)があるが、輸入通

関にはこれらの鉱石が区別されておらず大部分がコレマナイトであるので、ボロ

ンの純分はコレマナイトのボロン純分である 15.78%を用いた。中間製品のホウ

砂、ホウ酸についてはともにアメリカからの輸入が多い。 表1は世界のボロン鉱石の生産量である。2000 年から 2004 年まで大きな変化

は見られない。 表1 世界のボロン鉱石生産量(千t)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 4,550 4,730 4,560 4,750 4,410

(USGS2004) ボロンの最終製品としては、ガラス長繊維(2004 年は 475,930t の生産)とガ

ラス短繊維(2004 年は 213,097t の生産)が多い。ガラス長繊維は糸状、ひも状、

クロス状に加工され、FRP 等のプラスチック補強材、電気絶縁材、耐火材として

船、浴槽等に使用されている。ガラス短繊維はグラスウールとして断熱材、吸音

材に使用されている。それらの用途としては一般建築物の天井、壁、床、冷蔵庫

等である。 ホウ酸はソーダと同様にシリカを溶かす原料であるが、熱膨張係数を低下させ

るため、ホウ珪酸ガラスはソーダガラスに較べ急冷、急加熱に強い。一般にはパ

イレックスや硬質ガラスと言われている。ホウ珪酸ガラスの生産は長繊維と短繊

維に次いで多い。ホウ珪酸ガラスの生産量は約 87,000tと推定され(2003 年デ

ータ)、B2O3 が約 15%含まれているためボロン純分では約 4,052tとなる。 鉄鋼生産向けに使用されるフェロボロンは他のフェロアロイと較べて量が少な

いが焼き入れ性や溶接性の改善に使用される。日本では現在、日本電工のみが生

産している。フェロボロンのボロン量は 11%から 21%まであるが、最も多いのが

18%であるのでボロン純分は 18%を使用した。 ボロンは、最高級の磁力のある希土類磁石であるNd-Fe-Bに使われてお

り、少量のボロンで材質効果が向上する典型的な例である。最近はFe-Si-

Bのアモルファス製造にも使われている。アモルファス製造にも少量のボロンが

有効である。このアモルファスは珪素鋼板と同様に柱上トランスに用いられ、生

産量も増えているようである。 この他、釉薬として陶磁器に用いられたり殺菌作用があることから消毒剤、目

薬、ゴキブリ用防虫剤、金属の表面処理用の溶融塩浴、原子炉の遮蔽壁等に用い

られている。

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-158-

さらに高純度ボロンとして半導体のドーパントに使用されている。ファインガ

ラス、ファインセラミックの分野では様々な用途があり、光通信用ガラスファイ

バーやヘキサゴナルボロンナイトライド(h-BN)として潤滑材および高温に

おける電気絶縁材料、CBNとして難削材の切削加工工具に使用されている。さ

らに TiB2、ZrB2 として高級耐火物、LaB6 として熱電子放射陰極、LiB4O7 として

携帯電話、カーナビなどのフィルター、発振器用弾性表面波素子(SAW)、B4Cとして研磨剤、原子炉制御剤にもちいられている。 29.2 リサイクルの現状及び評価

FRP の廃棄物発生量は年間 30 万tに達しており、FRP の補強材として添加さ

れたガラス長繊維は漁船やボートなどの廃船とともに産業廃棄物として主として

埋立処分されているが、大型であるため処理が問題となっている。ガラスの短繊

維についても建築廃材として地中に埋められている。ホウ珪酸ガラスについても

多くはガラス屑として埋立られている。FRP に使用されたガラス長繊維について

一部は自動車工場からの廃棄物を粉砕、自動車部品として再利用されている例も

あるが、使用済み FRP 廃棄物は他の材質との複合体や、不純物で汚染されてい

る場合が多いため再資源化が困難である。 フェロボロンについては鋼に添加され、スクラップとして回収される。その他

の電気部品に使用されたものの多くは家電屑となる。鋼スクラップとしては回収

後、他のボロンを含まない鋼と共に溶解され鋼の原料としてリサイクルされるが、

ボロン含有量が微量であるためボロン成分としてはリサイクルされない。 ファインセラミックスとしてヘキサゴナルボロンナイトライド(h-BN)、キ

ュービックボロンナイトライド(CBN)、TiB2 等の化合物が少量生産され、潤

滑材や研磨材に使用されているが、リサイクルはされていない。

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-159-

ボロ

ン(B

)2

00

4年

ベー

ス量

の単

位:( 

)内

はB

純分

  

  

  

その

他は

マテ

リア

ル量

<原

 料

><

中間

製品

><

終製

品>

<主

要応

用製

品>

*ボ

ロン

鉱石

ガラ

ス長

繊維

(FRP船

、プリ

ント基

盤他

)リサ

イク

ルな

し輸

入量

 

31,7

75

475,9

30

(14,7

78t)

(5,0

20)

ガラ

ス短

繊維

(建

築物

、冷

蔵庫

他)

リサ

イク

ルな

し輸

入国

  ト

ルコ

24,6

86

213,0

97

(3,3

09)

ロシ

ア7,0

28

*ホ

ウケ

イ酸

ガラ

ス*

(自

動車

、液

晶テ

゙ィスプレ

ー他

)ガ

ラス

屑と

して

リサ

イク

アメ

リカ

61

ホウ

砂(無

水,1

0水

塩)

87,0

00

(4,0

52)

輸入

量 

32,5

11

(4,4

77)

釉薬

(陶

磁器

他)

リサ

イク

ルな

し輸

入国

 

メリ

カ30,2

14

 

  

トル

コ1,3

61

フェ

ロボ

ロン

**

(低

合金

鋼、

磁石

、アモ

ルフ

ァス

等)

リサ

イク

ルな

し 

  

  

フラ

ンス

428

4,5

00

(810)

  

   

  

 中

国366

医薬

(目

薬、

消毒

薬等

)リサ

イク

ルな

 

  

その

他防

虫剤

(ゴキ

ブリ

防虫

剤等

)リサ

イク

ルな

し*

ホウ

酸金

属表

面処

理剤

(溶

融塩

浴等

)老

廃浴

輸入

量 

40,9

06

(12,8

41)

γ線

遮蔽

ブロ

ック

(原子

炉遮

蔽壁

)リサ

イク

ルな

し輸

入国

メリ

カ21,5

48

 

 ロ

シア

14,6

04

ファインセ

ラミッ

クス等

(潤

滑剤

、研

磨材

他)

リサ

イク

ルな

 

 チ

リ2,2

26

トル

コ2,0

60

 

 そ

の他

1.

埋蔵

量 

 :1

70百

万t

  

  

 4

.出

 典

:U

SG

S 2004 

2.

可採

鉱量

:N

.A.

 

   

  

  

 :経

済産

業省

ホー

ムペ

ージ

(繊

維・窯

業)

3.

純分

換算

比率

:コレマ

ナイト鉱

石 

B 15.7

8%

*は

2003年

のデ

ータ

  

  

  

  

:無

水ホ

ウ砂

  

B 2

1.4

9%

(ガラ

ス長

繊維

とガ

ラス

短繊

維は

2004年

デー

タ)

  

  

  

  

:10水

塩ホ

ウ砂

 B

11.3

4%

  

  

  

  

:ホ

ウ酸

  

B 1

7.4

9%

<リ

サイ

クル

Page 174: 鉱物資源マテリアル・フロー 2005 - JOGMEC金属 …mric.jogmec.go.jp/public/report/2005-12/mineral_resource.pdf鉱物資源マテリアル・フロー 2005 平成17 年12

-160-

ボロ

ン(B

)リ

サイ

クル

の現

主な

応用

製品

利用

形態

備考

形態

量(注

①)

リサ

イク

ルの

実態

リサ

イク

ルの

リサ

イク

ル率

(注

④)

(t)

サイ

クル

(注

②)

漁船

、ボ

ート、

FR

Pの

芯材

(14,7

78t)

2~

20

年A

,Bプ

リン

ト基

板等

建築

物の

天井

、壁

グラ

スウ

ール

(3,3

09t)

20

~3

0年

床、

冷蔵

庫、

炊飯

(断

熱材

、吸

音材

)器

等自

動車

、液

晶硬

質ガ

ラス

ガラ

ス屑

(4,0

52t)

*ガ

ラス

屑と

して

リサ

イ2

~1

0年

ディ

スプ

レー

クル

陶磁

器釉

薬陶

磁器

屑リ

サイ

クル

なし

1~

10

年0%

A,D

,E表

面の

薄膜

のみ

で回

収困

難自

動車

等の

部品

低合

金鋼

、磁

石等

鋼ス

クラ

ップ

(810t)

*リ

サイ

クル

なし

5~

10

年0%

A,B

,E

消毒

剤、目

薬ホ

ウ酸

廃水

、家

庭ご

みリ

サイ

クル

なし

~1

年0%

A,B

,Eゴ

キブ

リ防

虫剤

表面

処理

の溶

融表

面処

理老

廃浴

~1

年塩

浴溶

融塩

原子

炉遮

蔽壁

γ閃

遮蔽

ブロ

ック

原子

炉廃

材(2

0年

潤滑

剤、

研磨

剤フ

ァイ

ンセ

ラミ

ック

ス耐

火物

屑リ

サイ

クル

なし

~1

年0%

A等

注)①

の量

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②サ

イク

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③現

状評

価④

リサ

イク

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ボトル

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 ( 

)は

使用

量純

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( )内

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用年

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.応用

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が消

耗品

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る 

  

  

E.経

済性

がな

いと

、解

決の

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 そ

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は発

生量

純分

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の他

は実

リサ

イク

ルB

.添加

物と

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され

てい

る 

  

F.需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

い毒

性、

保管

の危

険性

の有

無年

数C

.リサ

イク

ルの

流通

シス

テム

がな

い G

.その

他等

*2003年

のデ

ータ

を使

用D

.効果

的な

リサ

イク

ル技

術が

ない

使用

済み

の存

在形

態リ

サイ

クル

形態

リサ

イク

ルの

現状

評価

(A

~G

)(注

③)

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30 ガリウム (Ga)

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-161-

30.ガリウム(Ga) 30.1 マテリアルフロー分析 国内で新地金を生産しているのは同和鉱業と住友化学工業の 2 社のみで、他メーカー

はスクラップや低純度品からの再生を行っている。同和鉱業の 2004 年の生産量は前年比

若干増の 9t で亜鉛精錬のバイプロダクトとして生産されている。 我が国のガリウムの国別輸入量については、1997 年、1998 年にはカザフスタンから

の輸入が多かったが、2002 年からは米国からの輸入が最も多く、次いでカザフスタン、

フランスの順となっている。 国内のガリウム供給メーカーは同和鉱業、住友化学工業、住友金属鉱山、ラサ工業、

日亜化学の 5 社であるが、2004 年のスクラップ回収率が供給量の 60%と非常に高いの

が現状である。 ガリウムは、結晶用、エピタキシャル用とも GaAs 系の需要が高く、GaP 系は GaAs

系の 1/6~1/7 である。また、結晶用とエピタキシャル用にはほぼ同量が使用されている。

GaAs 系のガリウムの需要は超高速コンピュータ、衛星通信装置、オーディオ装置、レー

ダー、レーザープリンター、携帯電話に用いられるマイクロ波用電子デバイス等に対す

るもので、最近需要が増加しているのは特に携帯電話の需要増とパソコンの普及に伴う

CD、CD-R、CD-R/W、DVD、オーディオ MD 向けの半導体レーザー用の増加によるも

のである。GaP 系のガリウムの需要増は携帯電話等に用いられる緑、オレンジなどの表

示、バックライトの LED 用とそのエピタキシャル成長用溶媒の増加によるものである。

結晶用及びエピタキシャル用化合物半導体以外では、ランガサイト、GGG などの酸化物

結晶や固体電解質用のガリウムの原料、MO ガス用の原料として 1.5t程度の少量の需要

がある。

日本のガリウム需要は、2001 年の IT 不況による大きな落ち込み後 2002 年に 130t まで

回復した。2004 年は 144tの需要があったと推定される(前年 142.5t)。各社の在庫も

減少を続け、ガリウム需要者の半数程度で購買意欲が戻り、かつ、依然として携帯電話

市場自体が成長していること、さらにその他の IT 関連市場向け市況が好調であったこと

による。 今後は景気の低迷と携帯電話のブームに沸いて生産が過剰になった分の在庫調節が進

む事により、ガリウム市場は伸び悩むと予想されている。また、アメリカ、ヨーロッパ

を中心とした通信方式の規格の統合が遅れていることも世界の携帯電話市場に影響を及

ぼしている。高度道路交通システムなど新規の需要創出が期待される。 ガリウムの需要の主な最終用途は携帯電話用の電子デバイス及び LED である。2005 年

には携帯電話は 10%の増加があると思われるが、GaAs デバイスはシリコンデバイスと

の競合やデバイスサイズの小型化により、携帯電話の伸びとは必ずしも一致しない。

GaAs 新規の需要としては室内・外照明用に蛍光灯に変わる、白色 LED による照明が

模索されている。もし、実現できれば、消費電力は現在の 1/10 以下、寿命は 10 倍以上、

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-162-

明るさも数倍以上と非常に有望である。現在、この白色 LED を作成するものとして、

GaN 基板を使用した製法が考案されている。現在のところ、GaN 基板の製法にはガスを

使用、非常に薄い薄膜を形成し、それを基板とするものが一般的である。

2004 年のガリウムの世界需要は 175t、前年比 5%減少した。GaAs 系デバイス向け

が堅調だったものの、GaP 系が GaAs 系 LED に置き換えられて減少した。ガリウムの

生産減を反映して値戻しが行われている。 2004 年の日本の需要は 144tであった。世界の需要の 80%以上をしめている。表 1は世界と日本の需要、表 2 は日本の用途別需要の推移である。

表 1 世界と日本のガリウム需要の推移(t) 2000年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 世界 211 141 176 184 175 日本 140 96 129 143 144

(工業レアメタル 2003、2005)

表 2 日本の用途別ガリウム需要の推移(t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 結晶用 GaAs 系 49.0 35.0 47.1 58.0 64.0 GaP 系 18.5 11.0 12.0 10.0 8.8 計 67.5 46.0 59.2 68.0 72.8 エピタキシャル用 GaAs 系(LED) 52.0 37.0 53.4 60.0 60.0 GaP 系(LED) 17.5 10.0 14.1 11.5 9.9 GaAs 系(LD) 1.5 1.5 1.5 1.5 0.0 計 71.0 48.5 69.0 73.0 69.9 その他 1.0 1.5 1.5 1.5 1.5 合計 139.5 96.0 129.7 142.5 144.2

(工業レアメタル 2003、2005) 30.2 リサイクルの現状と評価 使用済みガリウム系製品から回収されるスクラップは GaAs 系で約 5.4%、GaP 系約

3.2%と極めて低い。これは使用済み製品回収からメタル回収の技術が確立されていない

ためである。これに対し、ガリウム系製品の生産工程で発生する工程スクラップは GaAs系、GaP 系の結晶用で生産時の使用量の 60%、GaAs 系、GaP 系のエピタキシャル用で

69%と多量である。この中から実際に回収されるスクラップの回収率は結晶用で 32%、

エピタキシャル用で 61%である。2001 年の回収率は 48%、2002~2003 年で 60%とな

っている。結晶用ガリウムスクラップの回収率が低いのは結晶加工工程、ウエハー加工

工程、チップ加工工程で発生する粉状のスクラップ、加工廃液中に含まれるスクラップ

などの低品位スクラップが多い事と砒素、燐の化合物であることによる。

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-163-

スクラップ回収分はアメリカに流れている分も合わせて化合物半導体メーカーの稼動

状況、在庫状況により発生量が変動するが、化合物半導体の需要減を受けて、2004 年は、

2003 年の 83.2tから若干減少の 81tとした。

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-164-

ガリ

ウム

(G

a)

20

04

年ベ

ース

、単

位:t

<粗

原料

><

中間

製品

><

終製

品部

材>

<終

製品

><

主要

応用

製品

亜鉛

鉱石

金属

Ga

GaA

s用G

aAs系

エピ

ウエ

ハ半

導体

チッ

プFET

、M

MIC

、ホ

ール

素子

超高

速コ

ンピ

ュー

ター

、衛

生通

信装

国産

9t

結晶

用64t

GaA

s系ウ

エハ

LED

チッ

プ太

陽電

池、

半導

体レ

ーザ

ーオ

ーデ

ィオ

装置

、レ

ーダ

ー、

レー

ザー

プリ

ンタ

ボー

キサ

イト

スク

ラッ

プ81t

エピ

用60t

LD

チッ

プ発

光素

子、

その

他表

示素

子、

光通

信装

置、

CD

、M

D,D

VD

輸入

44t

合計

124t

カメ

ラ、

時計

、太

陽電

池、

その

合計

134t

(60.4

t)(0.1

t)リ

サイ

クル

なし

リサ

イク

ルな

しG

aメタ

GaA

s系ス

クラ

ップ

GaP

用G

aP系

エピ

ウエ

ハLED

チッ

プ発

光素

子(LED

)パ

イロ

ットラ

ンプ

、デ

ィス

プレ

ー、

  

 (61t)

結晶

用8.8

t表

示素

子、

OA

機器

、携

帯電

話、

その

エピ

用9.9

t

合計

17.8

t(17.8

t)(0.0

4t)

リサ

イク

ルな

しリ

サイ

クル

なし

Gaメ

タル

およ

GaP

スク

ラッ

その

他G

GG

,ラン

ガサ

イト、合

金、

酸化

Gaな

ど歯

科合

金、

超電

導材

、SA

Wフ

ィル

ター

 (18t)

1.5

t合

金、磁

石、

スキ

ーワ

ック

ス、

TV

等緑

色発

光体

(0.5

2t)

リサ

イク

ルな

し廃

メタ

ル、

Gaス

クラ

ップ

(0.5

t)

リサ

イク

ルス

クラ

ップ

81t

1埋

蔵量

165千

t2

可採

鉱量

N.A

.3

出典

工業

レア

メタ

ル(2005)、

USG

S 2

004、

(  

)は

推定

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-165-

ガリ

ウム

(G

aA

s系)

リサ

イク

ルの

現状

主な

応用

製品

利用

形態

備考

含有

率%

形態

量(注

①)

集荷

・回

収の

実態

リサ

イク

ルの

サ回

収(注

③)(A

~G

)(注

④)

イク

ル(注

②)

集荷

率1.G

aAs結

晶(*

)結

晶成

分G

aA

s結晶

屑(0.9

8t)

①リ

サイ

クル

専門

業1

年未

満約

80

%①

総合

的に

は回

収①

低品

位屑

の集

荷・回

収(約

50%

)加

工屑

者に

加工

委託

又は

集荷

率の

高い

メタ

ル率

が低

い。

加工

廃液

売却

され

てい

る。

と判

断す

る。

②G

aA

s自体

の毒

性は

無2

.G

aA

sウエ

ハ-

結晶

成分

GaA

s結晶

(31.8

5t)

1年

未満

約80%

総合

回収

率(68.2

%)

いこ

とが

確認

され

てお

り、

(約

50%

)ウ

エハ

ー屑

②低

品位

屑や

廃液

毒劇

物の

指定

対象

外と

な加

工屑

は、

ほと

んど

廃棄

さっ

てい

る。

加工

廃液

れて

いる

。た

だし

、粉

状の

もの

、廃

液3

.エ

ピタ

キシ

ャル

廃G

aメ

タル

廃G

aメ

タル

(50.8

3t)

1.5

~3ヶ

月約

90%

中の

3価

のA

s化合

物は

毒ウ

エハ

ー(約

100%

)③

イン

ゴッ

ト等

高品

性大

であ

り、

取り

扱い

には

GaA

s結晶

屑(1.9

6t)

位屑

は、

少量

の場

1年

未満

充分

な注

意が

必要

とさ

れ結

晶成

分ウ

エハ

ー屑

合保

管さ

れる

例も

約50~

70%

る。

(約

50%

)加

工屑

ある

。加

工廃

液4

.半

導体

チッ

プ結

晶成

分ウ

エハ

ー屑

(0.4

9t)

1年

未満

約2

%(約

50%

)デ

バイ

ス加

工屑

過剰

廃液

5.

半導

体素

子(*

*)

半導

体素

子半

導体

チッ

プ(5.3

9t)

1年

~長

期約

2%

(約

50%

)6

.超

高速

コン

ピュ

ータ

各装

置(5.5

0t)

リサ

イク

ルな

しC

,D,E

(パ

ッケ

ージ

材①

パッ

ケー

ジ材

料の

除去

衛星

通信

装置

、オ

ーデ

ィオ

装半

導体

チッ

プ機

器類

部品

料を

除去

して

、ご

くが

困難

であ

る。

置、

レー

ダー

、レ

ーザ

ープ

リン

タ(約

50%

)微

量の

Gaを

回収

す②

エポ

キシ

など

で封

入さ

表示

素子

、光

通信

装置

るメ

リッ

トが

ない

)れ

てい

るの

でA

sの毒

性が

CD

、M

D、

DV

D、

カメ

ラ特

に心

配な

し。

時計

、太

陽電

池、

その

(97t)

約68%

(*

)G

aAs結

晶 

: 

GaA

s単結

晶、

単結

晶製

造用

GaA

s多結

晶、

エピ

原料

用多

結晶

(注)製

品1

~5の

使用

済み

品の

存在

形態

・量

 :製

品1

~5

を生

産す

る過

程で

発生

する

工程

スク

(*

*)G

aAs系

半導

体素

子 

: 

FET

、M

MIC

、ホ

ール

素子

、太

陽電

池、

半導

体レ

ーザ

ーな

ど 

  

ラッ

プの

形態

・量

 (た

だし

、量

は現

在の

数値

が不

明の

ため

、2003年

ベー

スの

数値

を用

いた

(注

)①

量の

単位

:③

現状

評価

④リ

サイ

クル

のボ

トル

ネッ

クと

( )内

はガ

リウ

ム量

換算

。A

.応用

製品

が消

耗品

であ

るE.経

済性

がな

い解

決の

難易

②サ

イク

ル 

製品

の使

用か

ら、

集荷

、メ

タル

B.添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

F.需

要開

発が

充分

にさ

れて

いな

い毒

性・保

管の

危険

性の

有無

回収

、納

入ま

でC

.リサ

イク

ルの

流通

シス

テム

がな

いG

.その

D.効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

リサ

イク

ル形

態リ

サイ

クル

現状

評価

使用

済み

品の

存在

形態

・量

Page 181: 鉱物資源マテリアル・フロー 2005 - JOGMEC金属 …mric.jogmec.go.jp/public/report/2005-12/mineral_resource.pdf鉱物資源マテリアル・フロー 2005 平成17 年12

-166-

ガリウ

ム(G

aP系

)リ

サイ

クル

の現

主な

応用

製品

利用

形態

備考

含有

率%

形態

量(注

①)

集荷

・回

収の

実態

リサ

イク

ルの

サイ

回収

(注

③)(A

~G

)(注

④)

クル

(注

②)

集荷

率1.G

aP結

晶(*

)結

晶成

分G

aP結

晶屑

(0.3

7t)

①リ

サイ

クル

専門

業1

年未

満約

80%

①総

合的

には

回収

①低

品位

屑の

集荷

・回

収(約

70%

)加

工屑

者に

加工

委託

又は

集荷

率の

高い

メタ

ル率

が低

い。

加工

廃液

売却

され

てい

る。

と判

断す

る。

②A

sを含

有し

たG

aP系

材2

.G

aA

sウエ

ハ-

結晶

成分

GaP結

晶(11.1

t)1

年未

満約

80%

総合

回収

率(68.2

%)

料の

毒性

につ

いて

はG

aAs

(約

70%

)ウ

エハ

ー屑

②低

品位

屑や

廃液

系の

②と

同じ

。加

工屑

は、

ほと

んど

廃棄

さ加

工廃

液れ

てい

る。

3.

エピ

タキ

シャ

ル廃

Gaメ

タル

廃G

aメ

タル

(15.7

5t)

1.5

~3ヶ

月約

90%

ウエ

ハー

(約

100%

)③

イン

ゴッ

ト等

、高

品G

aP結

晶屑

(0.7

4t)

位屑

は、

少量

の場

1年

未満

結晶

成分

ウエ

ハー

屑合

保管

され

る例

もあ

約50~

70%

(約

70%

)加

工屑

る。

加工

廃液

4.

LED

チッ

プ結

晶成

分ウ

エハ

ー屑

(0.1

9t)

1年

~長

期約

2%

(約

70%

)デ

バイ

ス加

工屑

過剰

廃液

5.

発光

素子

LED

チッ

プ半

導体

チッ

プ(2.0

4t)

約2%

(約

70%

)6

.パ

イロ

ットラ

ンプ

発光

素子

各装

置(1.1

6t)

リサ

イク

ルな

しC

,D,E

(パ

ッケ

ージ

材①

パッ

ケー

ジ材

料の

除去

ディ

スプ

レー

機器

類部

品料

を除

去し

て、

ごく

が困

難で

ある

。表

示素

子、

OA

機器

微量

のG

aを回

収す

携帯

電話

、そ

の他

るメ

リッ

トが

ない

)(31.3

4t)

約64%

(*

) 

GaP

結晶

 :単

結晶

製造

用G

aP多

結晶

、エ

ピ原

料用

多結

(注

) 

製品

1~

5の

使用

済み

品存

在形

態・量

 :製

品1

~5

を生

産す

る過

程で

発生

する

工程

スク

ラッ

プの

形態

・量

(ただ

し、

量は

現在

の数

値が

不明

のた

め、

2003年

ベー

スの

数値

を用

いた

(注

)①

量の

単位

:③

現状

評価

④リ

サイ

クル

のボ

トル

ネッ

クと

( )内

は、

ガリ

ウム

量換

算A

.応用

製品

が消

耗品

であ

るE.経

済性

がな

い解

決の

難易

②サ

イク

ル 

製品

の使

用か

ら、

集荷

B.添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

F.需

要開

発が

充分

にさ

れて

いな

い毒

性・保

管の

危険

性の

有無

メタ

ル回

収・納

入ま

でC

.リサ

イク

ルの

流通

シス

テム

がな

いG

.その

D.効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

使用

済み

品の

存在

形態

・量

リサ

イク

ル形

態リ

サイ

クル

現状

評価

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31 バリウム (Ba)

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-167-

31.バリウム(Ba) 31.1 マテリアルフロー分析 バリウムの原料としては、重晶石(Barite)が使用されており、日本ではそのほぼ全

量を中国からの輸入に依存している。これら原料は、一般に炭酸バリウム、硫酸バリウ

ム等の中間製品に加工されるが、充填剤、摩擦剤等の一部の用途では重晶石を粉砕、洗

浄したものがヒ性硫酸バリウムとして利用されている。またボーリング用調泥剤は、重

晶石を粉砕して利用しており、世界的にはこれがバリウムの 大用途である。近年、わ

が国では中間製品の国内生産が輸入品との置換えなどによって減少しているため、原料

である重晶石の輸入量も減ってきている。 重晶石等の原料から各種の中間製品が製造されており、ほぼ全量が国内消費用である。

炭酸バリウムや硫酸バリウムの一部は輸出されているが、全体に占める割合はごくわず

かである。一方で中間製品での輸入も多く、原料の重晶石と同様に中国からの輸入が大

半を占めている。国内需要の減少およびこれら中国品の台頭により、近年の国内生産量

は減少している。2004 年度(2004 年 4 月~2005 年 3 月)における国内供給に占める輸

入品の割合は、炭酸バリウムで 83%、硝酸バリウムで 59%、硫酸バリウムで 40%にな

っている。(塩化バリウムは、2002 年より輸入通関統計品目から削除されたためデータ

なし。) 各中間製品の需要は、2004 年度において炭酸バリウム 5 万 t、硫酸バリウム 2 万 t、

硝酸バリウム 5 千 t、塩化バリウム 2 千 t(塩化バリウムは輸入量が不明のため国内

生産分のみ)である。炭酸バリウムの需要が も大きいが、これは管球(ブラウン管)

光学ガラス用の需要が大きいためであり、輸入炭酸バリウムの大部分はこの用途向けと

考えられる。ただし管球光学ガラス用需要は、需要家の工場の海外移転などによって近

年は減少してきている。 各中間製品の 終製品としての用途は以下の通りである。 塩化バリウムは、金属表面処理剤、顔料原料、X 線造影剤用硫酸バリウムの原料など

に使用される。 炭酸バリウムは、主に管球光学ガラスやセラミックコンデンサ用 BaTiO3に使用されて

いる。管球光学ガラス向けがバリウム塩類の 大用途ではあるが、近年その需要は減少

してきている。家電メーカーによるブラウン管製造の海外展開を受けて、管球光学ガラ

スメーカーも現地生産へのシフトが進んでいることによる。 硝酸バリウムは火工品(花火)や光学レンズ用ガラスなどに使用されるが、量はそれ

ほど多くない。 硫酸バリウムは増量剤としての用途が多く、ゴム、印刷インキ、顔料、塗料、合成樹

脂向けなどがこれにあたる。また石綿の使用規制で、代替材料として自動車のブレーキ

パッドへの利用もある。

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-168-

表 1 重晶石(Barite)輸入量の推移 単位:トン

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 中国 105,095 87,223 75,176 66,137 47,414 その他 3,061 7,049 4,783 5,165 3,623 計 108,156 94,272 79,959 71,302 51,037 (出典:財務省貿易統計)

表 2 バリウム塩類の生産量および輸入量の推移 単位:トン

品目 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 生産 塩化バリウム 4,997 4,434 2,122 2,417 2,477 炭酸バリウム 24,959 12,932 17,387 11,793 8,321 硝酸バリウム 1,341 1,350 1,930 1,650 2,008 硫酸バリウム 17,923 15,697 17,055 13,670 13,231 輸入 塩化バリウム 9,804 * 6,788 * - * - * -

炭酸バリウム 55,952 42,170 45,197 38,937 40,796 硝酸バリウム 2,330 2,132 2,203 2,487 2,898 硫酸バリウム 3,450 3,728 4,882 7,245 8,968

*注:塩化バリウムの輸入量については、2002 年 1 月以降は輸入通関統計品 目より削除されたため、2001 年度は 4 月~12 月、2002 年度以降はデータなし (出典:日本無機薬品協会)

表 3 炭酸バリウムおよび硫酸バリウムの部門別出荷実績推移 (国内生産分のみ)

単位:トン 2000 年度 2001 年度 2002 年度 2003 年度 2004 年度 炭酸バリウム 管球光学ガラス 12,503 8,853 9,493 6,202 2,793 窯業 382 182 134 309 910 コンデンサー 7,025 2,404 3,542 3,272 2,487 その他 2,933 1,457 1,838 1,205 1,890

輸出 1,823 477 928 861 527 計 24,666 13,373 15,935 11,849 8,607 硫酸バリウム 印刷インキ 1,902 1,391 1,290 792 399 顔料 1,767 1,596 1,433 504 266 塗料 6,469 5,210 4,415 4,360 3,221 ゴム 772 616 627 628 1,189 合成樹脂 1,368 1,244 1,345 806 1,329 摩擦剤 2,036 2,962 3,590 3,579 3,933

蓄電池 474 559 601 330 191 その他 2,607 2,220 2,783 1,818 2,520 輸出 159 107 110 369 443 計 17,554 15,905 16,194 13,186 13,491

(出典:日本無機薬品協会)

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-169-

2000 年から 2004 年までの期間について、原料である重晶石の輸入量、バリウム塩類

の生産量および輸入量、バリウム塩類の中で需要量の多い炭酸バリウムおよび硫酸バリ

ウム(それぞれ国内生産分のみ)の部門別出荷量の推移を表 1~表 3 に示す。需要家の

海外シフトなどによる国内需要そのものの減退に加え、国産品から輸入品への移行が進

んでいることにより、原料(重晶石)輸入量や生産量は大きく減少している。炭酸バリ

ウムの出荷量を需要部門別に見ると、管球光学ガラス向けおよびコンデンサー用の減少

が大きい。 31.2 リサイクルの現状と評価 バリウムの主な応用製品や利用形態としては、ブラウン管用や光学レンズ用などの光

学ガラス、セラミックコンデンサなどの電子部品、塗料、インキ、樹脂などのフィラー、

X 線造影剤などがある。応用製品においてバリウムは添加剤として利用される形態が多

く、ブラウン管などの光学ガラスで約 8%、セラミックコンデンサでは約 60%がバリウ

ムである。使用後は、ブラウン管を除き機器に組み込まれて廃棄されるケースがほとん

どである。 バリウムのリサイクルについては、製造工程内でのリサイクルは別として、 終廃棄

製品からのリサイクルはブラウン管ガラス以外にほとんど行われていない。その理由は、

バリウムは添加剤としての用途が多く、経済的に回収、リサイクルする技術や手段が無

いためである。 ブラウン管ガラスに関しては、2001 年 4 月の特定家庭用機器再商品化法(家電リサイ

クル法)の施行により、使用済み廃棄テレビからのリサイクルが進んでいる。回収され

た廃棄テレビよりブラウン管を分離し、フェイス部とファンネル部に分割後、粉砕、洗

浄工程を経てガラスカレットとしてブラウン管ガラスメーカーへ引き取られ、再度ブラ

ウン管にリサイクルされている。家電製品協会のデータを元に、回収されたブラウン管

ガラスが全てリサイクルされたとみなすと、現状のブラウン管ガラス生産量に占めるリ

サイクルガラスの使用比率は約 10%と推定され、バリウムのリサイクル率もそれに相当

すると考えられる。(リサイクル率が約 10%に留まっているのは、ブラウン管ガラス生

産量には 終製品を含めて輸出されるものが含まれるため。) バリウム原料の大部分を輸入に依存しているわが国にとっては、ブラウン管ガラス以

外の需要分野に関しても、経済的にリサイクル利用する制度や技術を確立することが重

要である。

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-170-

バリウム(

Ba)

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-171-

バリウム(

Ba)

リサイクルの現状

主な応用製品

利用形態

使用済み品の存在形態・量

リサイクル形態

リサイクル現

状評価③

備考④

量①

リサイクルの

実態

リサイクルの

サイクル②

リサイクル率

モノクロ写真

バライタ紙

コート剤

古紙

リサイクル無

(30年)

0%

B

交通表示等の顔料

顔料増量剤

廃棄物

リサイクル無

(10年)

0%

B

バイト等の高速度鋼

焼き入れ剤

リサイクル無

0%

B

苛性ソーダ

脱硫剤

廃棄物

リサイクル無

(1年

0%

X線造影剤

Ba

SO4

廃棄物

リサイクル無

(1年

0%

E

ブラウン管

光学ガラス

廃棄テレビ

家電リサイクル法

による回収、

再商品化

(10年)

10

%G

家電リサイクル法

施行によりリサイクル促

(ただし中間品、最終製品、使用

済み品として輸出あり)

タイル

釉薬

廃棄タイル

リサイクル無

(30年)

0%

B

電子機器

Ba

TiO

3 廃棄機器に組込まれたまま

リサイクル無

(3年

0%

E

スピーカー

フェライト磁石

廃棄機器に組込まれたまま

リサイクル無

(3年

0%

E

花火

緑色火薬

リサイクル無

(1年

0%

A

レンズ(メガネ等)

光学ガラス

廃棄ガラス

リサイクル無

(10年)

0%

E

自転車

塗料増量剤

廃車

リサイクル無

(7年

0%

B

食品用白色ゴム

ポリオレフィン増量剤

廃ゴム

リサイクル無

(5年

0%

B

バンパ

ー(自動車)

PP

樹脂に増量剤として

廃車

リサイクル無

(7年

0%

B

ブレーキ(

自動車)

パッドに添加

リサイクル無

(7年

0%

B

バッテリー(自動車)

電極に骨材として

廃バッテリー

リサイクル無

(7年

0%

B 鉛のみ回収

石油採掘調泥剤

Ba

SO4

リサイクル無

(1年

0%

A

(注)①

量の単位:(

)内は使用量純分t

③現状評価:

④リサイクルのボトルネックと解決の難易度

その他は発生量純分t

A

応用製品が消耗品である

E 経済性がない

毒性、保管の危険性の有無等

②サイクル:(

)内は推定使用年数

B

添加剤として使用されている

F

需要開発が十分になされていない

その他は実リサイクル年数

C

リサイクル流通システムがない

G その他

D 効果的なリサイクル技術がない

(出典:業界推定)

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32 セレン (Se)

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-173-

32.セレン(Se) 32.1 マテリアルフロー分析

セレン生産の原料は主として非鉄金属製錬の電解スライムであり、この他に

複写機用セレン感光体ドラムのスクラップからも回収される。 日本では大手銅製錬会社及びスクラップ精製会社がセレンを生産している。

日本のセレン生産量は世界一であり、世界の約 25%を生産している。2004 年

における国内生産量は 614t であり、銅製錬所において銅鉱石処理量が減少し

たことなどにより前年比 17%減となった。輸入量は 13t であった。 セレンは沸点が低く揮発し易いので、電解スライムを約 700℃で焙焼し、二

酸化セレン SeO2 として揮発させ、水に溶解した亜セレン酸溶液とする。これ

をイオン交換樹脂などで浄液した後、亜硫酸ガスに通じて還元し金属セレンを

得る。高純度品は、更に精製を行う。

2004 年の国内消費量は見掛値(期初在庫+生産+輸入-輸出-期末在庫)

で 102t、報告値で 150t であり、2003 年に比べて全体では需要減となった。 セレンの主な需要分野は整流器・乾式複写機向け、ガラス向け、化学薬品向

け、顔料向け等である。 古くは、ほぼ全てのアナログ式複写機にセレンドラム(画像形成部品)が搭

載されていたが、近年は環境負荷を低減し、高感度(小さい光量で画像形成す

る)で高速出力に対応した性能を有する有機感材ドラムによる代替が進み、こ

の分野でのセレン需要は減少を続けている。 その他の需要分野としては、ガラスの着色(赤、ピンク、橙黄色)用は 2003

年比で横這い、化学薬品向けが大きく伸び、顔料向けは減少した。 この他に冶金向け需要も存在し、今後の成長が見込まれる。具体的には、切

削性向上のために鉄・銅などに添加されるセレンがこれに相当する。EU にお

いて 2006 年から鉛などの毒性物質の規制を強化する動きがあり、これに対応

して日本国内では、鉛レス黄銅棒の生産量が徐々に増加している。 前述の通り日本は世界一のセレン生産国であり、生産が内需をはるかに上回

っているため、多くを輸出している。2004 年の輸出は 539t であり、そのうち

中国向けが約半分を占めている。なお、中国は世界 大のセレン消費国であり、

世界の約4割を消費していると推定される。 2000 年から 2004 年までのセレンの国内需給推移を表に示す。輸出量は 500~600t/年程度で推移しており、生産量の大部分が輸出されるという構造は変

わっていない。国内の需要分野については、整流器・乾式複写機向けやガラス

向けが減退している。一方で化学薬品向けが 2004 年に大きく伸びており、今

後の動向が注目される。

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-174-

セレンの国内需給推移 (単位:トン)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 生産 650 745 767 744 614 輸入 46 18 26 15 13 供給計 696 763 793 759 627 内需(見掛値) 149 143 212 220 102 内需(報告値) 162 170 195 186 150 整流器・乾式複写機 16 22 17 20 20 ガラス 55 31 45 21 23 化学薬品 8 12 10 17 36 顔料 9 7 5 10 4 その他 75 99 117 117 67 輸出 528 605 572 570 539 (出典:日本鉱業協会) 32.2 リサイクルの現状と評価

セレンは精製の容易さもあって、これまでは比較的リサイクルが進んでいる

元素であったが、近年は複写機感光ドラム向けを除いてリサイクルはほとんど

行われていない。 現在、セレンを含んだ製品の中でリサイクルの対象となるものは、高純度セ

レンが使用されている乾式複写機から取り外した使用済み感光ドラムが主体

であり、これはほとんどもれなくリサイクルシステムに乗っている。ただし同

分野向けの需要は減少している。 一方で、一般的なグレードのセレンは回収コストに見合う効果が期待できな

いため、回収は行われていない。 ・複写機の感光ドラム

感光ドラムにセレンの金属間化合物が使用されている。感光ドラムの寿命は

使用頻度に比例し、高速プリンターのように使用頻度が高いものは 1 週間位

と短く、反対にたまにしか使用していないところでは年単位と長い。 複写機はリースまたはレンタル制度で普及しており、用紙、トナー及び感光

ドラムの 3 つを消耗品と見ている。これらは、寿命が来ればメンテナンス業

者や納入メーカーが新品と交換して持ち帰るシステムが確立しており、使用済

みドラムの集荷は確実に行われている。特にセレンについては毒性が強いこと

から、リサイクル業者を限定させてリサイクル率を高めている。 回収されたセレンはドラムの再生に使用される。なお、セレン系を使用せず

に有機感光剤を使用している場合もあるが、メンテナンスの一環としての交換

持ち帰りがメーカー別に行われているため、両者が混じり合う心配はない。

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-175-

使用済触媒資源化協会のとりまとめによれば、2003 年度の感光ドラムから

のセレン回収量は、前年度比 14%減の 25t であった。既述の通り同分野にお

けるセレン消費量は減少し続けており、今後は更なる減少が見込まれる。 複写機は構造的にドラムを交換しやすいように作られており、その他の材

料・部品も効率良く簡単に取り外しできるよう、リサイクルしやすい製品設計

が進められている。これらは、他の家電製品などのリサイクルを進めていくた

めの参考に値する例と言えよう。 ・試薬

使用量は微々たるものである。その上、使用先の特定が難しいため集荷が困

難で量をまとめ得ず、リサイクルされていない。 ・ガラス着色剤

ガラスに着色剤として使用されているものは、ピンク色からブラウン色まで

その濃淡により添加量は異なり、平均して 10%位である。しかし、ガラス成分

と固溶しているため簡単には分離できず、リサイクルの対象とはなり得ない。 ・快削鋼

鋼材に快削性を与える成分としては、鉛、ヒ素、セレン等いろいろある。そ

れぞれの成分は識別が困難なため、その切削屑は全て「鋼ダライ」の名称で鉄屑

として再溶解用原料となり、鉄分のみが再利用されているが、セレンのリサイ

クル量などの特定は不可能である。

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-176-

2004年

ベー

ス量

の単

位:

( )

内は

Se純

分t

その

他は

マテ

リア

ル量

t

<原

料>

<中

間製

品>

<最

終製

品>

<主

要応

用製

品>

生産量(20) (a)

消費量(不明)

回収量(25)(d)

生産

量(

515)

(e)

生産

量(

614)

(a)

輸入

量(

99)

(e)

輸出

量(

539)

(b)

消費

量(

不明

)輸出国(中国:252)

輸入量(13) (b)

輸入国(ベルギー:6)

消費量(23) (a)

消費

量(4)

(a)

消費量(36) (a)

消費量(67) (a)

消費

量(

「そ

の他

」に

含ま

れる

1.資源量

2.出典:

(a)日本鉱業協会資料

(d)レアメ

タル

ニュ

ース

No.2209(

回収

量は

2003年

度)

170,000MT(c)

(b)日

本貿

易月

表(e)業

界ヒ

アリ

ング

(c)Mineral Commodity Summaries 2005

工業レアメタル No.121、2005

顔料

(鉄

鋼部

品)

リサ

イク

ルな

鉄鋼

用ス

クラ

ップ

切削

くず

化学

薬品

その

快削

(試

薬他

(試

薬他

銅電

解ス

ライ

剥離

回収

リサ

イク

ルな

高純

度セ

レン

ドラ

整流

器な

着色

金属

セレ

<リサイクル>

(ガ

ラス

(塗

料)

(乾

式複

写機

リサ

イク

ルな

セレン(

Se)

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-177-

2004年

ベー

形態

量(注①

)リ

サイク

ルの

実態

リサイ

クルの

サイク

ル(注②

)リ

サイク

ル率

ドラム

プリン

タ感光

ドラム

複写機ス

クラップ

(25)

製造業

社経

由Se-Te分離精

製(

数週間

~半

年以上

)ほぼ100%

G需要

が減

少し

続けてい

整流器

薄膜

廃部品

(不明)

リサイ

クル無

し0%

E

ガラス

着色剤

破損ガラ

ス(23)

リサイ

クル無

し0%

E

顔料

塗料

(4)

リサイ

クル無

し0%

E

試薬

金属

粉末

廃液化合

物(1)

リサイ

クル無

し0%

E

(注

)①量

の単位

:③現状

評価:

④リサイクルの

ボトルネックと

)内は

使用量

純分t

A. 応

用製品

が消耗

品であ

るE. 経

済性

がない

解決

の難

易度

その

他は発

生量純

分t

B. 添

加剤と

して使

用され

てい

るF. 需

要開

発が十

分にな

されて

いない

毒性

、保

管の危

険性の

②サ

イクル

:C. リ

サイク

ルの流

通システムが

ない

G. そ

の他

有無

など

)内は

推定使

用年数

D. 効

果的な

リサイ

クル技

術が

ない

その

他は実

リサイ

クル量

備考

(注④)

主な応

用製

品利用

形態

リサイク

ル形態

使用

済み品

の存在

形態・

量リサイ

クル現

状評価

(A~

G)(

注③)

セレン(

Se)

リサイクルの現状

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33 テルル (Te)

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-179-

33.テルル(Te) 33.1 マテリアルフロー分析

テルル鉱物は自然テルル、テルル金銀鉱物、テルル銅鉱物、テルル鉛鉱物な

ど多数存在するが、テルルを主目的として採掘している鉱山はない。 我が国では主として銅製錬時の副産物として電解スライムから金属テルル

を抽出しており、輸入スライムも少量ではあるが使用されていると見られる。 2004 年は、日本鉱業協会資料によれば 36.1t が生産され、56.5t の内需(報

告値ベース)があった。また日本貿易月表によれば、「ほう素及びテルル」の

同年における輸入量は 43.7t、輸出量は 66.2t であった。この数値を全てテル

ルであると仮定して内需の見掛値を求めると 34.0t となり、報告値に比べて

22.5t の過欠が生じる。貿易統計上の輸出入量にはほう素の量を含んでおり、

実際のテルルの輸出量はこれよりも少ないと見るのが妥当であろう。一方で生

産者が国内向けとして出荷し、上記の内需(報告値)としてカウントされたも

のの中には、購入者によって 終的に輸出されているケースもあると考えられ

る。

中間製品の形状はインゴット、パウダー及びペレットの 3 種で、通常品の

純度は 3N~4N となっており、需要のほとんどはこの形で消費されている。 また、特殊用途向けにゾーンメルティング法、蒸留法で高純度化された純度

5N~6N の高純度テルルがある。 金属テルルを 0.01~1.0%添加することにより、快削性、強靭性、耐蝕性が

改善されることから、これら合金は主として自動車部品、精密機械部品として

使用される。 また、乾式複写機の感光ドラムにテルルの金属間化合物(Se-Te)が使用さ

れている。しかし、近年は環境負荷を低減し、高感度(小さい光量で画像形成

する)で高速出力に対応した性能を有する有機感材ドラムによる代替が進み、

この分野でのテルル需要は減少を続けている。 その他、触媒、ゴム添加剤などの用途にも相応の需要がある。一方、高純度

品レベルでは、光ディスク用(Ge-Te-Sb)、太陽電池用(Cd-Te)、熱伝変換素

子用(Bi-Te-Sb)などがあり、 近では太陽電池セル用(Cd-Te)の需要が伸

びてきている。また DVD 用には、アンチモン・テルル系合金に比べ高速度お

よび低速度の書き込みの両立が可能となるビスマス・テルル系合金が開発され

ている。 世界における 2004 年の需要分野別のテルル使用割合は、鉄・鉄鋼製品 50%、

触媒・化学薬品 25%、非鉄金属合金添加剤 10%、光受光素子・熱電素子 8%、

その他 7%と推定される。将来的には太陽電池セル用(Cd-Te)の伸びが期待

されている。 我が国の内需の内訳については、需要分野別の統計がないため詳細は明らか

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-180-

でないが、大半が快削鋼への添加、次いで触媒用、ゴム添加用と見られる。

2004 年は生産減や前年の内需大幅増の反動によって報告値ベースで前年比減

となったが、DVD 用ターゲット材向けや快削鋼向けは前年に引き続き堅調で

あったと推定される。快削鋼の大半は自動車向けであり、その需要動向は自動

車業界の好不況に大きく左右される。 2000 年から 2004 年までのテルルの国内需給推移を表に示す。生産量は、2004年の生産量が減少しているが、銅製錬所の銅鉱石処理量が減少したことなどに

よる。需要は 2003 年の大幅増から転じて 2004 年には減少しているが、全般

的には堅調に推移している。輸出入量については、ほう素の数量が含まれてい

るためテルルの数量を特定できないが、 近は中国の旺盛な需要により中国向

けを中心に輸出が増加している。

テルルの国内需給推移 (単位: t)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 期初在庫 70.7 77.9 80.7 82.0 31.7 生産 62.2 52.4 49.2 52.8 36.1 輸入 20.2 17.3 14.2 10.6 43.7 供給計 153.1 147.6 144.0 145.4 111.4 見掛内需 66.5 45.0 45.2 19.4 34.0 内需(報告値) 自家消費

55.0 49.6 43.8 99.7 3.4

56.5

輸出 8.7 22.0 16.8 94.3 66.2 期末在庫 77.9 80.7 82.0 31.7 11.3 (注)輸出入はほう素を含む (出所:日本鉱業協会資料、日本貿易月表) 33.2 リサイクルの現状と評価

テルルを含んだ製品の中でリサイクルの対象となるものは、乾式複写機から

取り外した使用済みドラムプリンタが主体であり、これはほとんどもれなくリ

サイクルシステムに乗っている。使用済触媒資源化協会のとりまとめによれば

2003 年度の回収量は 1t であったが、既述の通り同分野におけるテルル消費量

は減少し続けており、今後は更なる減少が見込まれる。 また、光ディスクメモリ向けで若干のリサイクルが行われていると見られる

が、量については不明である。 テルル需要の大部分を占めるその他の用途では、テルルの添加量が非常に少

ないこともあり、リサイクルはほとんど行われていない。

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-181-

2004年ベース

量の

単位

:( )内

はTe純

分t

その

他は

マテリ

アル

量t

<原

料>

<主

要応

用製

品>

輸入量(43

.7)(c)

(15.8)

(14.7)

(d)

(ほ

う素

含む

)(d)

(1.

1)(d

)

生産

量(不

明)

生産

量(36.1)

(a)

輸入

量(不

明)

内需

(56.5) (a)

(22.0)

(報

告値)

(d)

輸出量

(66

.2)(c)

(ほ

う素

含む

)(2.

3)(d

)リ

サイ

クル

(16.2)

(d)

(0.

2) (d)

回収

量(1)(e)

埋蔵

量 (

47,000t)

(b)

リサイ

クル

可採

鉱量 

(21,000t)

(b)

し、

銅生

産量に

依存

(回

収量

は2003年

度ベー

ス)

1.輸

出入量

につ

いては

ほう

素を

含む

。2.出

典 (a) 日

本鉱業

協会

資料

、(b) Mineral Commodity Summaries 2005、

(c) 日本

貿易月

表、

(d) 業

界推

定、

(e) レ

アメ

タル

ニュ

ース No.2209

リサ

イク

ルなし

<最

終製

品>

リサ

イクル

量不

<リ

サイ

クル>

リサ

イク

ルなし

光デ

ィス

ク用

ター

ゲッ

ト材

(光

ディス

クメ

モリ

化学工

業添

加剤

(触

媒、

ゴム

、ガラ

ス窯

業着

色剤

銅電解

スラ

イム

<中

間製

品>

(自

動車

部品・

精密

機械

部品)

快削

特殊

合金

金属

テル

ドラム

(乾

式複写

機)

剥離回

(電

子冷

蔵庫

、電子

魔法

瓶、

カー

クー

ラー

・ヒ

ータ

ー、写

真現

像バ

ット

、恒温

装置

、ス

ポッ

トクー

リン

グ、

露点

温度

計、

光電

子増

倍管冷

却装

置)

リサ

イク

ルなし

金属

間化合

テルル(

Te)

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-182-

2004年

ベー

形態

量(

注①

)リ

サイ

クル

の実

態リ

サイ

クル

のサ

イク

ル(注

②)

リサ

イク

ル率

快削

鋼・

特殊

合金

自動

車・

機械

部品

(Te添

加量

:0.01~

0.1%

)鉄

鋼ス

クラ

ップ

(15.8)

リサ

イク

ルな

し(

5~

10年

)0%

B

鉄鋼

スク

ラッ

プと

して

はリ

サイ

クル

され

てい

るが

、含

有量

0.1~

0.01%

と微量

のた

め、

Teと

して

のリ

サイ

クル

はさ

れて

いな

い。

化学

工業

添加

剤ゴ

ム、

触媒

、ガ

ラス

着色

に微

量添

加(

22.0)

リサ

イク

ルな

し0%

B

ター

ゲッ

ト材

光デ

ィス

クメ

モリ

廃デ

ィス

ク(

2.3)

一部

リサ

イク

ル不

明G

有毒

金属

間化

合物

電子

冷凍

熱発

電光

発電

用素

子ス

クラ

ップ

(16.2)

リサ

イク

ルな

し0%

B, F

有毒

ドラ

ムプ

リン

タ感光

ドラ

ム複

写機

スク

ラッ

プ(1.0)

製造

業社

経由

Se-Te分離

精製

(数

週間~

半年

以上

)ほ

ぼ100%

G需

要が

減少

し続

けて

いる

(注

)①

量の

単位

:③

現状

評価

:④

リサイクルのボトルネックと

( )

内は

使用

量純分

tA. 応

用製

品が

消耗

品で

ある

E. 経済

性が

ない

解決

の難易

度そ

の他

は発

生量

純分t

B. 添

加剤

とし

て使用

され

てい

るF. 需要

開発

が十

分に

なさ

れて

いな

い毒

性、

保管

の危

険性

の②

サイ

クル

:C. リ

サイ

クル

の流通

システムが

ない

G. その

他有

無な

ど(

内は

推定

使用年

数D. 効

果的

なリ

サイク

ル技

術が

ない

その

他は

実リ

サイ

クル

備考

(注

④)

主な

応用

製品

利用

形態

リサイ

クル

形態

使用

済み

品の

存在

形態

・量

リサ

イク

ル現

状評

価(A~

G)

(注③

テルル(

Te)

リサイクルの現状

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34 ビスマス (Bi)

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-183-

34. ビスマス(Bi) 34.1 マテリアルフロー分析 (1) ビスマスの国内供給 ビスマスの国内生産は精鉱からではなく、主に鉛製錬の副産物として鉛電解ス

ライムから生産される。2004 年の国内生産は前年比 1%増の 498tであった。鉛

製錬の原料が鉛精鉱から廃バッテリーに切り替わっているため、今後の国内生産

量の増加は期待できない。 一方、輸入は、鉛代替用途としての需要が増加したため大幅に増加した。輸入

国は、中国(61%)、ペルー(25%)、ベルギー及び韓国(ともに 17%)である。 ビスマスの国内需要は、IT 不況の影響を受け、フェライト向けを中心に 2001年に前年比約 30%減の 634tと大きく減少したが、その後の回復及び鉛代替用途

向け添加剤等の需要増加により堅調な増加を示している。 2004 年のビスマスの国内需要は前年比 12%増の 1,417tとなった。コンデン

サー用途であるフェライト磁石向けの需要は引き続き堅調であることに加え、鉛

代替用途であるアルミ合金や銅合金快削材料が増えている。その他として防錆塗

料、ガラス添加剤などが増加したことが要因と考えられる。可鍛鋳鉄は減少傾向

である。 工業レアメタル 2004、2005 に掲載されている数値を基に、輸入されて日本で

消費されたビスマスも、国内産ビスマスと同様の比率で各分野に使用されたとし

て、比例配分で内需(見掛け値)を各用途先に振り分けて表 2 のように補正し、

マテリアルフローを作成した。

表 1 Bi の国内需要 (単位:t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2004/2003 比(%)低融点合金 22 12 21 24 42 75冶金添加剤 97 90 89 87 175 101医薬 9 5 6 8 5 ▲38触媒 56 54 63 40 35 ▲13フェライト 204 119 150 139 136 ▲2その他 148 145 250 190 178 ▲6内需(見掛値) 357 210 470 776 846 9内需計 893 634 1,050 1,265 1,417 12輸出 3 31 4 0 0 0

(出典:工業レアメタル 2004、2005)

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-184-

表 2 Bi の国内需要補正値 (単位:t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 低融点合金 37 18 38 62 104 冶金添加剤 162 134 161 225 434 医薬 15 7 11 21 12 触媒 93 81 114 103 87 フェライト 340 178 272 360 337 その他 247 217 453 492 443 内需(見掛値) 内需計 893 634 1,050 1,265 1,417 輸出 3 31 4 0 0 (出典:工業レアメタル、2004、2005 をもとに補正) 34.2 リサイクルの現状と評価

ビスマスは単独で製品化されることはなく、全てが添加剤としての利用である。

従って、添加された部品や機械が回収リサイクルされないとリサイクルがなされ

ない宿命にある。 末尾掲載のリサイクルの現状表に示すように、製品自体が回収リサイクルされ

ないものが多く、ビスマス自体も基板に使用されたはんだに含有されるものが

10%程度リサイクルされている以外は全くリサイクルされていない。

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-185-

スマ

ス(B

i)2004年

ベー

ス,

単位

:B

i純分

<原料

><中間製

品>

<最

終製

品>

<応用

製品>

<リ

サイ

クル

>

低融点

合金

(ス

プリ

ンク

ラー

、は

んだ)

リサ

イク

ルな

し(104)

冶金添

加剤

(可

鍛鋳

鉄、

アル

ミ合

金、銅

合金

)リサ

イク

ルな

し鉛

電解

スライ

ム製錬

工程

(434)

(498)

医薬品

(医

薬品

化合

物)

リサ

イク

ルな

し(

12)

輸入

触媒

(ア

クリ

ロニ

トリ

ル)

リサ

イク

ルな

し(

935)

(87)

フェラ

イト

(自

動車

、家

電用

磁石

)リサ

イク

ルな

し(

337)

その他

(塗

料、

医療

機器

セン

サー、

熱電

素子

など

)リサ

イク

ルな

し(

443)

在庫増

減(16)

供給

計(1,433)

合計

(1,417)

(単位:

t)

(出典:工業レアメタル、

2005

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-186-

ビスマス(

Bi)

サイ

クル

の現

使用済み

品の存

在形

態/量

な応

用製品

利用形態

形態等

(t

(注

①)

サイ

クル

の実

リサ

イク

ルの

サイ

クル

(注

②)

サイク

ル率

リサイク

現状評価

A~

G)(

③)

備 考

(注④

スプ

リン

クラ

ー、

はん

低融

点合

スプリン

クラー

電気電

子機器

104t

)は

んだ

など

一部

でリ

イクル

プリ

ンク

ラー

(~

30年

廃電

気電

子機

器(

5~10

年)

スプ

リン

クラ

0%

基板など

は10

%程

G(

建物に付

属)

E

継手

(可

鍛鋳

鉄)

削合

金型

冶金

添加

廃配管継

廃電気電

子機器

(43

4t)

りサ

イク

ルな

配管

継手

-)

電気

電子

機器(

5~10

年)

0%B

B

iは

微量

添加

であ

るの

で、

鋼、

アル

ミ合

金、

銅合

金ス

クラ

ップ

とし

ては

リサ

イク

ルさ

れて

いる。

薬品

化合物

12t

)リ

サイ

クル

なし

0%B

アク

リロ

ニト

リル

製造

触媒

使用済み

触媒

87t

)リ

サイ

クル

なし

4~6年

)0%

E

アクリロ

ニトリル

のM

oは回収

されてい

るが、

Biは

回収

されて

いない。

ェラ

イト

モー

ター

など

電気電

子機器

337t

)リ

サイ

クル

なし

5~10

年)

0%B

ェラ

イト

磁石

の性

能向

上の

めに

少量

含有

され

てい

る。

磁石

もほとん

ど回収さ

れてい

ない。

の他

防錆塗料

療機

センサー

電素子

443t

)リ

サイ

クル

なし

-)

0%

(出

典:

工業

レア

メタル

、20

05)

注)

①量

の単位

②サイ

クル:

現状

評価

(

)内の

使用量純

内は推定

使用

年数

A:

応用

製品

が消

耗品

であ

E:

経済

性がない

リサイク

ルのボ

トルネッ

クと解

決の難易

その

他は

発生

量純

その他

は実リサ

イク

ル年

:添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

F:

需要

開発が十

分にさ

れていな

毒性、保

管の危

険性の有

無など

C:

リサ

イク

ルの

流通

シス

テム

がな

い G

:そ

の他

D:

効果

的な

リサ

イク

ル技

術が

ない

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35 インジウム (In)

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-187-

35.インジウム(In) 35.1 マテリアルフロー分析

インジウムは亜鉛・鉛鉱石、錫鉱石などのバイプロとして生産されるが、埋蔵

量としては銀や水銀等よりも多いと言われている。 2004 年のインジウム供給量は、国内生産量(同和鉱業及び日鉱金属)70t、

輸入量 421t、スクラップ再生量 230tの合計 721tと推定した。2004 年におけ

る日本のインジウムの輸入先は中国が 299t、米国が 27t、カナダが 35t、CISが 20tとなっており、中国が総輸入量の約 70%を占めている。 中国で 2001 年 7 月に起きた鉱山事故により、広西壮族自治区南淡県にある多

くの鉱山が休鉱になったため、インジウムの供給量は急激に落ちる予想であった

が、価格低迷時に残っていた中国国内のストックや長期に放置されていた亜鉛ス

ラグからの回収等により供給の落ち込みは比較的少なく、日本への供給量は 2003年及び 2004 年には逆に伸びている。2002 年まではフランスからの輸入量も 40t以上あったが、Metaleurope 社の閉鎖により、急激に落ち込んでいる。 日本は中国に次ぐ世界 2 位のインジウム生産国であった。国内唯一の亜鉛・鉛

鉱山である豊羽鉱山及び輸入鉱のバイプロから 2004 年には年間 70tを生産して

いた。ところが、豊羽鉱山は 2006 年 3 月に閉山が決定され、国内鉱からのイン

ジウム生産はなくなり、全量輸入亜鉛鉱の副産物からの生産に切り替わることが

決定された。また、 大の供給国の中国も、環境問題から多くの亜鉛鉱山が閉山

になったため、急速に伸びている透明電極用 ITO ターゲット材需要を背景に高騰

が続いている。 日本のインジウムの需要は世界 大で、表 1 に示すとおり、2001 年以降年率

10~30%の割合で拡大しており、2004 年も 541tと前年比 29%増の伸びを示し

ている。これは、全体の需要の8割以上を占める透明電極用 ITO ターゲット材向

けに急拡大しているためである。すなわち液晶ディスプレイ、プラズマディスプ

レイパネルなどの薄型ディスプレイの大型化と市場拡大に伴って、透明電極用

ITO ターゲット材向けインジウム需要が急拡大しており ITO を中心としたイン

ジウムの需要は今後とも拡大していくと見られる。一方、大型ディスプレイ分野

では価格の割安なリアプロが米国を中心に販売量を伸ばしていること、韓国メー

カーも急激に液晶の生産を拡大させていることから、一部サイズでは液晶価格の

値崩れが起き始めている。 日本ではある社は液晶パネルからテレビまでを一貫生産する工場の第一期生産

ラインを 2004 年1月に本格稼動させたのに続いて、2005 年 4 月には第 3 ライン

を稼動させ 40 インチ型、50 インチ型の超大型パネルを量産する社がある一方で、

プラズマディスプレイから撤退し同業他社に売却を決める等淘汰も始まっている。 透明電極用 ITO ターゲット用途以外ではボンディング材、化合物半導体、蛍光

体、低融点合金などがあるが、液晶にも使用されるボンディング材を除き、ほと

んど需要の変化はない。

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-188-

2004 年の需給バランスは、供給が需要を 180t上回るとみられるが、実際には

ITO ターゲットメーカー、商社等が在庫しているとみられる。 また、豊羽鉱山が 2006 年3月末で操業を休止するため、安中精錬所での精錬

再開や、ITO からのリサイクルが始められることも特筆すべき事柄である。 表1 インジウムの日本の需給(t)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 <供給> 国内生産量 50 55 60 70 70 輸入量 131 171 140 264 421 スクラップ再生量 127 158 160 230 供給計 188 353 358 494 721 <需要> 透明電極 100 260 300 360 470 ボンディング 18 19 21 25 35 化合物半導体 5 17 7 7 7 蛍光体 6 8 8 8 8 低融点合金 6 6 6 6 8 ベアリング 1 1 1 1 1 電池材料 6 5 5 5 5 歯科合金 3 3 3 3 3 その他 3 4 4 4 4 需要計 148 323 355 419 541 注:2000 年の需給量にはスクラップ再生量は含まない。 (工業レアメタル 2003、2004、2005)

35.2 リサイクルの現状と評価 国内の需要の 30%以上をスクラップ再生品が占める。スパッタリング材は、使

用後にターゲット製造メーカーに戻され再生品として使用される。 今まで 終製品である液晶ディスプレイからのインジウム回収はほとんど行わ

れていなかった。これは ITO がガラスにスパッタリングされた場合、15 インチ

の液晶パネルでインジウムは合計で約1g しか含まれておらず、また、技術開発

からインジウムの量が更に減る傾向にあるため、経済的に考えてパネルからのリ

サイクルは採算に合わないためである。 しかし、新日鉱グループの豊羽鉱山が、鉱量枯渇のため 2006 年 3 月で創業を

休止する。これにより年間 30tのインジウムの供給がなくなるが、ITO ターゲッ

トのリサイクル向上により供給が補われる予定である。東邦亜鉛は 2005 年 11 月

から 19 年ぶりに安中精錬所でインジウムの生産を再開する。また、シャープで

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-189-

はパネルからのリサイクルを行う予定である。

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-190-

インジウム(In)

<原

料>

<イ

ンジ

ウム

化合

物>

<最

終製

品>

<リ

サイ

クル

>

金属

イン

ジウ

ムIn

低融

点合

金In

入り

はん

だ・ヒ

ュー

ズリ

サイ

クル

なし

8t

供給

量蛍

光体

モノ

クロ

ブラ

ウン

管リ

サイ

クル

なし

721t

8t

国内

生産

量 

70t

輸入

量 

  

 421t

ITO

(透

明電

極)

液晶

テレ

ビ・プ

ラズ

マテ

レビ

ITO

スク

ラッ

プか

らIn

のリ

サイ

クル

あり

。ス

クラ

ップ

再230t

470t

同和

鉱業

回収

能力

100t/

年シ

ャー

プも

イン

ジウ

ム回

収を

始め

た。

東邦

亜鉛

:鉱

石か

らの

生産

を2005年

11

月か

ら再

開。

能力

10t~

10t/

年歯

科合

金歯

科材

料リ

サイ

クル

なし

輸入

国3t

(貴

金属

はリ

サイ

クル

中国

 

 299t

ベア

リン

グベ

アリ

ング

リサ

イク

ルな

し米

27t

1t

カナ

ダ35t

ロシ

ア20t

化合

物半

導体

半導

体素

子リ

サイ

クル

なし

フラ

ンス

2t

7t

その

他36t

ボン

ディ

ング

ボン

ディ

ング

リサ

イク

ルな

し35t

電池

材料

電池

材料

リサ

イク

ルな

し5t

その

他不

明4t

保存

 180t

合計

  

  

  5

41t

1.埋

蔵量

 2500t

2.可

採鉱

量 

N.

A.

3.出

典 

 工

業レ

アメ

タル

2005 

、財

務省

貿易

統計

2004年

ベー

ス 

単位

:In

純分

ターゲットメーカーへ

InP等

の工

程内

スクラップが

再生

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-191-

イン

ジウ

ム(In

)リ

サイ

クル

の現

利用

形態

リサ

イク

ルの

現状

備考

形態

量(注

①)

リサ

イク

ルの

実態

リサ

イク

ルの

リサ

イク

ル率

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(A

~G

)(注

④)

(t)

サイ

クル

(注

②)

(注

③)

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りは

んだ

低融

点合

金電

子機

器等

にお

ける

(8t)

電子

機器

等使

用済

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携帯

0%

B 

EPbレ

スは

んだ

の開

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ため

In入

りヒ

ュー

ズは

んだ

付け

、ヒ

ュー

ズ製

品か

らの

リサ

イク

ル電

話の

1~

2年

に、

今後

イン

ジウ

ムの

需要

を組

み込

んだ

電子

はな

しか

らテ

レビ

の10年

が増

える

」機

器等

蛍光

体モ

ノク

ロブ

ラウ

ン管

ブラ

ウン

管内

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塗(8

t)リ

サイ

クル

なし

(5年

)0%

B 

E今

後は

減少

布膜

液晶

テレ

ビIT

O(透

明電

極)

ITO

薄膜

(液

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70

t)IT

Oタ

ーゲ

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100%

B 

EIT

Oは

今後

さら

に増

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プラ

ズマ

テレ

ビル

、プ

ラズ

マパ

ネル

使用

済品

は再

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Oか

らIn

のリ

サイ

クル

が品

とな

る始

まっ

たと

ころ

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る。

使用

済パ

ネル

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(5~

10年

)リ

サイ

クル

のリ

サイ

クル

始ま

る始

まっ

てい

歯科

材料

歯科

合金

使用

済は

王冠

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t)貴

金属

を対

象と

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10年

)0%

B 

Dイ

ンジ

ウム

を対

象と

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リサ

イク

ルリ

サイ

クル

なし

ベア

リン

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サイ

クル

なし

(5~

10年

)0%

A 

B今

後の

需要

は横

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半導

体素

子半

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チッ

プ状

(7

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P等

の工

程内

スク

ラ都

度100%

E今

後の

需要

は横

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ップ

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10年

)0%

ボン

ディ

ング

ボン

ディ

ング

合金

使用

済は

電気

電子

(3

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使用

済機

器か

らの

り(5~

10年

)0%

B今

後の

需要

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組み

込ま

れサ

イク

ルは

ない

た基

板類

電池

材料

太陽

電池

ITO

薄膜

(5

t)使

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リサ

(10~

30年

)0%

E今

後は

需要

は増

加傾

向イ

クル

なし

注①

の量

の単

位:

③現

状評

価④

リサ

イク

ルの

ボトル

ネッ

( )は

使用

量純

分t

A.応

用製

品が

消耗

品で

ある

  

  

 と

、解

決の

難易

その

他は

発生

量純

分t

B.添

加物

とし

て使

用さ

れて

いる

  

 毒

性、

保管

の危

険性

の有

無等

C.リ

サイ

クル

の流

通シ

ステ

ムが

ない

②サ

イク

ル:

D.効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

( )内

は推

定耐

用年

数E.経

済性

がな

その

他は

実リ

サイ

クル

年数

F.需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

G.そ

の他

主な

応用

製品

使用

済み

の存

在形

態リ

サイ

クル

形態

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36 セシウム (Cs)

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-193-

36.セシウム(Cs) 36.1 マテリアルフロー分析 主要鉱石としてはポルサイトがあり、花崗岩ペグマタイト中に産出するほか、

ルチウム資源の紅雲母、カリウム資源のカーナル石にも随伴する。セシウム鉱石

には、ポルサイト(Pollucite)、緑柱石(Beryl)、リシア雲母(Lepidolite)、光

歯石(Carnallite)がある。産出国はカナダ、ナミビア(Namibia)、ザンビア

(Zambia)である。カナダが 2/3 以上の産出である。 セシウムはアルカリ金属のうちで最も反応性に富む元素で、自然界には広く分

布し、他のアルカリ金属に随伴して産出するがその量は非常に少ない。 ポルサイト鉱石を原料としてセシウム化合物が生産されている。セシウム化合

物の主な用途としては、メタアクリル樹脂用触媒としての硝酸セシウムである。

硝酸セシウムは、光学ガラス材料の光ファイバーや医療・生物学研究用にも用い

られている。 ヨウ化セシウムは、エックス線蛍光倍増管、ガンマ線検出用単結晶等に用いら

れている。フッ化セシウムは、フッ素樹脂合成のフッ素化剤として用いられ、ま

た塩化セシウム等が、核酸(DNA,RNA)血清を分離精製する際の密度勾配

遠心法において媒体として用いられているものの、需要量はわずかである。 最近注目されているのは、ポリオシアルキレンポリオール合成用触媒としての

水酸化セシウムである。このポリオールは、優れた弾性と触感を持つポリウレタ

ンの原料として用いられ、自動車用バンパーや内装部品に使われる。水酸化セシ

ウムの価格、回収技術等の問題が解決されればかなりの需要が見込まれる。 セシウム化合物の需要は好調に推移し、将来はポリウレタンの他、医薬中間体、

有機合成などに需要増が見込まれている。 表1は、セシウム化合物の需要推定量である。需要推定量には輸入数量を含む。 1991 年から 1996 年にかけてセシウム化合物は徐々に増加していたが、1997 年

ごろから需要が大きく増加し、その後も増加し続けている。1997 年ごろに大きく

増加したのは、主たる用途のメタアクリル樹脂用触媒の増加と、自動車内装部品

のポリウレタンを製造するポリオシアルキレンポリオール合成用触媒の増加が始

まったためと思われる。 2002 年以後の公表データがないため、セシウム化合物の需要量は不明であるが、

上記状況により増加しているものと推定される。

表1 セシウム化合物の需要 1991 年 35 t 1997 年 92 t 1992 年 40 t 1998 年 93 t 1993 年 38 t 2001 年 100 t 1994 年 37 t 2003 年

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-194-

1995 年 40 t 2004 年

1996 年 42 t

(新金属データーブック 2002)

36.2 リサイクルの現状と評価

メチルメタアクリル樹脂用触媒に用いられている硝酸セシウムは、セシウム需

要の多くを占めている。リサイクル技術は確立しているが、実施されていないと

思われる。ヨウ化セシウム、フッ化セシウムおよび塩化セシウムはリサイクルさ

れていない。 最近、自動車のバンパーや座席シートに使われる高級なポリウレタン製造用触

媒向けに水酸化セシウムの需要が着実に増えている。高価格(セシウム化合物

10,000~60,000 円/㎏)でありまた資源保護の面からリサイクルの動きがある。

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-195-

セシ

ウム

(C

s)2

00

4年

ベー

ス単

位:( 

  

)内

はC

s純分

(t推

定値

その

他は

マテ

リア

ル量

(t)

<原

料>

  

<リ

サイ

クル

ポル

サイ

ト鉱

石セ

シウ

ム化

合物

硝酸

セシ

ウム

メタ

アク

リル

樹脂

用触

媒(メ

チル

メタ

アク

リル

樹脂

製造

装置

)リ

サイ

クル

なし

輸入

量90t(

27t)

(106t)

(87t)

(69t)

輸入

国(カ

ナダ

)生

産量

(28t)

光学

ガラ

ス材

料(光

ファ

イバ

ー)

リサ

イク

ルな

し(ナ

ンビ

ア)

輸入

量(78t)

(ザ

ンビ

ア)

輸入

国(ア

メリ

カ)

研究

用試

薬(医

療・生

物学

研究

用)

リサ

イク

ルな

し(カ

ナダ

)(14t)

ヨウ

化セ

シウ

ム光

学結

晶(シ

ンチ

レー

ター

)リ

サイ

クル

なし

(2t)

水酸

化セ

シウ

ムポ

リオ

シア

ルキ

レン

ポリ

(自

動車

用バ

ンパ

ー、

内装

品)

リサ

イク

ルな

し(20t)

オー

ル合

成用

触媒

(20t)

フッ

化セ

シウ

ムフ

ッ素

化剤

(フ

ッ素

樹脂

)リ

サイ

クル

なし

塩化

セシ

ウム

DN

A分

離試

薬(バ

イオ

研究

用等

)リ

サイ

クル

なし

真空

管材

金属

セシ

ウム

光電

変換

素子

(光

学計

測装

置)

リサ

イク

ルな

1.

埋蔵

量108,0

00t

2.

可採

鉱量

N.A

.3

.純

分換

算比

率硝

酸セ

シウ

ムC

sNO

3 

 66.2

ヨウ

化セ

シウ

ムC

sI 

  

  

51.0

%水

酸化

セシ

ウム

CsO

H 

  

88.7

%4

.出

典新

金属

デー

タブ

ック

2002

USG

S2004

<中

間製

品>

<終

製品

> 

<主

要応

用製

品>

Page 214: 鉱物資源マテリアル・フロー 2005 - JOGMEC金属 …mric.jogmec.go.jp/public/report/2005-12/mineral_resource.pdf鉱物資源マテリアル・フロー 2005 平成17 年12

-196-

セシ

ウム

(C

s)

リサ

イク

ルの

現状

主な

応用

製品

利用

形態

使用

済み

の存

在形

態・量

リサ

イク

ル形

態形

態量

(注

①)

リサ

イク

ルの

実態

リサ

イク

ルの

リサ

イク

ル率

価(A

~G

)(注

③)

推定

値(t)

サイ

クル

(注

②)

メチ

ルメ

タア

クリル

触媒

使用

済み

触媒

(69t

)リ

サイ

クル

なし

(2

~8

年)

0%

G樹

脂製

造装

光フ

ァイ

バー

ガラ

ス同

左リ

サイ

クル

なし

(1

0年

)0%

B,E

シン

チレ

ータ

ーC

sIの

結晶

同左

(2t

)リ

サイ

クル

なし

(1

0年

)0%

C,E

フッ

素樹

脂リ

サイ

クル

なし

(0

年)

0%

B,E

バイ

オ研

究用

消耗

(14t

)リ

サイ

クル

なし

(0

年)

0%

B,E

光学

計測

装置

リサ

イク

ルな

し(5

~1

0年

)0%

E

ポリ

ウレ

タン

触媒

使用

済み

触媒

(20t

)リ

サイ

クル

なし

(5

~1

0年

)0%

C,D

(自動

車内

装用

)注

)①

の量

の単

位:

②サ

イク

ル:

③現

状評

価④

リサ

イク

ルの

ボトル

ネッ

ク 

 ( 

)は

使用

量純

分t

( )内

は推

定耐

用年

数A

.応用

製品

が消

耗品

であ

る 

  

  

E.経

済性

がな

いと

、解

決の

難易

度 

 そ

の他

は発

生量

純分

tそ

の他

は実

リサ

イク

ルB

.添加

物と

して

使用

され

てい

る 

  

F.需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

い毒

性、

保管

の危

険性

の有

無年

数C

.リサ

イク

ルの

流通

シス

テム

がな

い G

.その

他等

D.効

果的

なリ

サイ

クル

技術

がな

(注

④)

備考

リサ

イク

ルの

現状

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37 ルビジウム (Rb)

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-197-

37.ルビジウム(Rb) 37.1 マテリアルフロー分析 ルビジウムは柔らくて銀白色の反応性の大きい金属であり、融点は約 39℃で、

簡単に溶ける金属である。ルビジウムの鉱石は自然には存在しない。リチア雲母

{K(Li,Al)3(AlSi3O10)(OH,F)2}からリチウム(Li)を精製する際の副産物として、

ルビジウムは得られている。また、ポルクス石{(Cs,Na)2Al2Si4O12・H2O}か

らセシウム(Cs)を精製する際も副産物として回収されている。産出国はカナダ、

ナミビア(Namibia)、ザンビア(Zambia)である。アルカリ金属でセシウム(Cs)と類似している。米国での産出はないが、米国では輸入原料から Cabot 社で化合

物が生産されている。ルビジウムの市場は小さく、米国で 1~2t/年である。 日本では、1989 年にドイツからルビジウムを 220kg 輸入(レアメタル31に

記載)し、また 1999 年にドイツからルビジウムを 200kg 輸入(鉱物資源マテリ

アルフローに記載)している。ルビジウムの需要量は極めて少なく数量的には正

確に把握されていないが、量的には現在も大きな変化はないと考えられ、炭酸ルビ

ジウムを 200kg とした。 ルビジウムは、炭酸ルビジウムの形で、主として光学ガラスへの添加剤として

使用されている。ルビジウムの主用途は、光学ガラスへの添加剤であるが添加濃

度は低いためリサイクルへの経済性はないとみられる。 石油化学用触媒、医療用などに使用されている。ルビジウム蒸気を利用して磁

場の強さを測定する磁力計用としても使用されているが、量的には極めて少ない。 特殊な使用法であるが、岩石や鉱物中の Rb(87)と Sr(87)の含有量比から、

これらの物質が結晶化してから現在までの年代を算出することができる。この方

法はルビジウム・ストロンチウム法といわれ、古い岩石や隕石、月の石の結晶化

の年代はこの方法で決められている。 37.2 リサイクルの現状と評価 光学ガラス用添加剤としてのリサイクルについては、レンズ量がまとまらない

こと、他の各種添加物の異なったレンズとの識別が困難であるとともに、添加濃

度が低いため経済性も伴わないことからリサイクル技術の開発は行われず、リサ

イクルは行われていないと思われる。 石油化学用触媒の場合も添加剤として少量であり経済性もなくリサイクル技術

は開発されていない。 また医療用の血液造影剤としてルビジウムが添加されているが、これは消耗品

のためリサイクルされていない。 更に、磁力計に用いられるルビジウムも極少量であり、リサイクルの経済性が

ない。

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-198-

ルビジウム(Rb)

2004年

ベー

単位

:( 

 )内

はR

b純

分㎏

 輸

入量

は推

定値

<中

間製

品>

<最

終製

品>

<主

要応

用製

品>

<リ

サイ

クル

炭酸

ルビ

ジウ

ム光

学ガ

ラス

(カ

メラ

)リ

サイ

クル

なし

輸入

量(200)

輸入

国(ド

イツ

)触

媒(石

油化

学用

)リ

サイ

クル

なし

血液

像剤

・ア

ンチ

ショッ

ク剤

(医

療用

)リ

サイ

クル

なし

電子

機器

部品

(磁

力計

)リ

サイ

クル

なし

1.

埋蔵

量200万

t2

.可

採鉱

量N

A3

.純

分換

算比

率炭

酸ル

ビジ

ウム

Rb

2C

O3 75%

4.

出典

USG

S 2

004

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-199-

ルビ

ジウ

ム(R

b)

リサ

イク

ルの

現状

主な

応用

製品

利用

形態

備考

形態

量(注

①)

リサ

イク

ルの

実態

リサ

イク

ルの

リサ

イク

ル率

(注

④)

(㎏)推

定値

サイ

クル

(注

②)

光学

ガラ

スガ

ラス

同左

(200㎏

)リ

サイ

クル

なし

(5

~1

0年

)0%

B,

C,

D,

Eレ

ンズ

量が

まと

まら

ずリ

サイ

クル

不能

石油

化学

用触

媒ー

リサ

イク

ルな

し(2

~8

年)

0%

B,

D,

E石

油化

学用

血液

造影

剤ー

リサ

イク

ルな

し(0

年)

0%

A,

E医

療用

磁力

計ー

リサ

イク

ルな

し(5

~1

0年

)0%

注)①

の量

の単

位:

②サ

イク

ル:

③現

状評

価④

リサ

イク

ルの

ボトル

ネッ

クと

、 

 ( 

)は

使用

量純

分kg

( )内

は推

定耐

用年

数A

.応用

製品

が消

耗品

であ

る 

  

  

E.経

済性

がな

い 

 解

決の

難易

度 

 そ

の他

は発

生量

純分

kg

その

他は

実リ

サイ

クル

B.添

加物

とし

て使

用さ

れて

いる

  

 F.需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

い 

 毒

性、

保管

の危

険性

の有

無等

年数

C.リ

サイ

クル

の流

通シ

ステ

ムが

ない

 G

.その

他 

 D

.効果

的な

リサ

イク

ル技

術が

ない

使用

済み

の存

在形

態リ

サイ

クル

形態

リサ

イク

ルの

現状

評価

(A

~G

)(注

③)

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38 タリウム (Tl)

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-201-

38.タリウム( Tl) 3 8 . 1 マ テ リ ア ル フ ロ ー 分 析 タ リ ウ ム は 、 工 業 生 産 と し て は 銅 、 鉛 、 亜 鉛 な ど を 硫 化 物 鉱 か ら

製 錬 す る 際 に 生 成 す る 尾 鉱 、 残 渣 、 抽 出 液 、 煙 灰 な ど か ら 副 産 物 と

し て 回 収 さ れ る の が 一 般 的 で あ る 。 亜 鉛 精 鉱 中 に は 2ppm程 度 、 銅 転

炉 灰 に は 約 10g / tの タ リ ウ ム が 含 有 し て い る と さ れ る 。 我 が 国 の タ リ ウ ム の 供 給 状 況 は 、 1979年 ま で 全 量 を 輸 入 に 依 存 し

て い た が 、 1980年 代 に 非 鉄 金 属 製 錬 メ ー カ ー が 製 錬 過 程 の 副 産 物 と

し て 金 属 タ リ ウ ム を 生 産 す る よ う に な っ た 。 そ れ に 伴 っ て 1988年 以

降 は 輸 入 が ス ト ッ プ し て い た 。 し か し 最 近 に な っ て 輸 入 が 再 開 さ れ

て お り 、 2004年 の 輸 入 量 は 15tで あ っ た 。 そ の う ち の ほ ぼ 全 量 が 中 国

か ら で あ る 。 国 内 生 産 に つ い て は 公 式 統 計 が 無 く 、 現 在 の 正 確 な 生

産 量 は 不 明 で あ る 。

タ リ ウ ム の 輸 入 状 況 ( 単 位 : kg)

輸 入 品 目 番 号

1988 -2002年 2003年 2004年

8112 .51 タ リ ウ ム の

塊 及 び 粉 - - 15 ,450

8112 .52 タ リ ウ ム の

く ず - - -

8112 .59 そ の 他 の も

の - 2 -

( 出 典 : 財 務 省 通 関 統 計 ) タ リ ウ ム の 中 間 製 品 は 、 金 属 タ リ ウ ム と タ リ ウ ム 化 合 物 で あ る 。

メ タ ル と し て は 銀 、 鉛 及 び 水 銀 と の 各 種 合 金 の 原 料 と な っ て お り 、

こ の 場 合 の メ タ ル 純 度 は 4 Nク ラ ス と さ れ て い る 。 タ リ ウ ム 化 合 物 は 、

ヨ ー ド 、 ブ ロ ム 、 酸 素 、 フ ッ 素 、 硫 酸 、 蟻 酸 、 硝 酸 等 と の 化 合 物 で

あ っ て 、 形 状 と し て は 、 ヨ ー ド 、 ブ ロ ム の 場 合 は 単 結 晶 、 そ の 他 は

溶 液 が 一 般 的 で あ る 。 最 終 製 品 と し て は 、 タ リ ウ ム は 毒 性 が 強 い の で 、 従 来 は 化 学 薬 品

と し て 少 量 使 用 さ れ る 以 外 は 光 学 レ ン ズ 向 け と 殺 鼠 剤 ・ 農 薬 ( 硫 酸

タ リ ウ ム ) に 利 用 さ れ て い た 。 最 近 で は 、 メ タ ル の 場 合 、 水 銀 と の 合 金 の 融 点 が - 60℃ と い う 特

色 を 有 す る こ と か ら 、 極 地 の 温 度 計 や ス イ ッ チ と し て 用 い ら れ る ほ

か 、 銀 と の 合 金 が 耐 食 性 合 金 に 、 ま た 鉛 と の 合 金 が 特 殊 ヒ ュ ー ズ に

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-202-

使 わ れ て い る が 、 用 途 が 限 定 さ れ て い る た め 使 用 量 は 少 な い 。 化 合 物 の 主 用 途 は 、 高 屈 折 光 学 ガ ラ ス 向 け の 硝 酸 タ リ ウ ム あ る い

は フ ッ 化 タ リ ウ ム で あ る 。 ま た 硫 酸 タ リ ウ ム は 溶 液 で あ る が 、 そ れ

を 利 用 し た 殺 鼠 剤 は 固 形 粒 状 の も の と 液 状 の も の が あ り 、 硫 酸 タ リ

ウ ム を 0 .N% ~ 数 % 含 む 。 他 に タ リ ウ ム の 硫 化 物 を 添 加 し た NaI結 晶

が 赤 外 線 の 感 知 力 を 向 上 さ せ る 特 性 を 活 か し 、 赤 外 線 セ ン サ ー と し

て の 用 途 が 出 始 め て い る 。 さ ら に 超 電 導 材 料 の ほ か 、 レ ー ザ ー 用 光

フ ァ イ バ ー 、 光 通 信 フ ァ イ バ ー , 放 射 線 シ ン チ レ ー タ 、 触 媒 な ど の

用 途 に つ い て 、 検 討 が 進 め ら れ て い る も の あ る い は 実 用 段 階 に 至 っ

て 需 要 に つ な が っ て い る も の が あ る 。 タ リ ウ ム の 需 給 に つ い て は 公 式 統 計 が 無 い た め 推 定 値 で あ る が 、

下 表 に 分 野 別 の 需 要 量 を 示 す 。 2001年 3月 の 鉱 物 資 源 マ テ リ ア ル ・ フ

ロ ー 調 査 で 記 さ れ て い る 1986年 の 需 要 に 比 較 す る と 、 現 在 の 需 要 規

模 は 拡 大 し て い る 。 こ れ は 研 究 開 発 用 途 か ら 製 品 化 が 進 ん だ こ と な

ど に よ る 。

タ リ ウ ム の 国 内 需 要 ( 単 位 : kg( マ テ リ ア ル 量 ) )

1986年 2004年 タ リ ウ ム 合 金 類 少 量 少 量 タ リ ウ ム 化 合 物 ヨ ー ド タ リ ウ ム 、 ブ ロ ム タ リ ウ ム 少 量 3 ,600 硫 酸 タ リ ウ ム 200 1 ,200 酸 化 タ リ ウ ム 、 フ ッ 化 タ リ ウ ム 3 ,000 31 ,200 そ の 他 タ リ ウ ム 化 合 物 少 量 少 量 タ リ ウ ム 化 合 物 計 3 ,500 36 ,000 ( 出 典 : 事 務 局 推 定 値 ) 3 8 . 2 リ サ イ ク ル の 現 状 と 評 価 現 状 で は 、 タ リ ウ ム の 回 収 を 目 的 と し た 応 用 製 品 の リ サ イ ク ル は

行 わ れ て い な い 。 現 在 の 用 途 も 限 定 さ れ て お り 、 資 源 的 に は 銅 、 鉛 、

亜 鉛 等 ベ ー ス メ タ ル の 製 錬 副 産 物 と し て 産 し 、 供 給 上 の 問 題 が 少 な

い こ と も あ っ て 、 リ サ イ ク ル の 対 象 に は な り に く い 。

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-203-

タリ

ウム

(Tl)

金属タ

リウ

ム・化

合物

合 金

銀 合

鉛 合

水銀

合金

ヨー

ドタ

リウ

ムブロ

ムタ

リウ

タリウ

ム化

合物

酸タリ

ウム

酸化

タリ

ウム

フッ

化タ

リウ

その他

タリ

ウム化合

輸入

 <

資源>

*1

①全

世界

の亜

鉛鉱

石中

の タ

リウ

ム含

有量

: 

  

  

 17,000(

t)

②石

炭中

のタ

リウ

ム含

有量

: 

  

  

630,000(

t)

< 

原 

 料 

>< 

中 間

製 品 

>< 

最 終 製 品

 >

<主

要応

用製

品>

<リサ

イク

ル>

1. 

埋蔵

量 

647,000t

  

  

  2. 

可採

鉱量

  

380,000t

3. 純

分 

  

  

  

  

  

  

  

   

% 

  

  

   

% 

  

  

  

  

 %

  

 4. 出

  

 銅

転炉

灰 

 10ppm 

  

金属

タリウム 

99.9 

 フッ化

タリウム 

91.5 

  

銀合

金 

 10~

22 

  

  

 *1 Mineral Commodity Sommaries 2005、

他 

  

硫化

鉛(

乾)

244 

  

 ヨードタリウム 

61.7 

 蟻

酸タリウム 

82.0  

 鉛

合金

  

20~

65 

  

  

 そ

の他

は事

務局

推定

  

 亜

鉛精

鉱山

 2.2 

  

 ブロムタリウム 

71.9 

  

  

  

  

  

 水

銀合

金 

8.5

硫酸タリウム

81.0

国内生

産量

(不明

)輸

入量

(15,450)

需要

量 (

36,000)

(少

量)

<単結

晶>

<溶 

液>

<ガラ

ス>

(耐

食性

合金

(特

殊フ

ュー

ズ)

(低

凝固

点温

度計

(光フ

ァイ

バー光

学機

器)

(低融

点ガ

ラス,

 高屈

折分

散光

学ガ

ラス

, 

(研

究開

発用

))

(脱酸

剤,

焔光

線緑

色着

色 

剤,

ノッ

キン

グ防止

剤)

(殺

鼠剤

リサイクルな

リサイクルな

リサイクルな

リサイクルな

リサイクルな

リサイクルな

リサイクルな

生産

量 (3,600)

生産

量 (1,200)

生産

量 (

31,200)

生産

量 (

少量

2004年

ベー

ス量の

単位

:マ

テリ

アル量

kg

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-204-

タリ

ウム

(T

l)

リサ

イク

ルの

現状

2004

年ベ

ース

使用

済み

品の

存在

形態

・量

サ イ

ク ル

形 態

な応

用製

品利

用形

(注

①)

リサイクルの

実態

リサイクルの

サイクル

(注②

)リサイクル率

リサイクル現

評価

(A~

G)

(注

③)

注④

殺鼠

固形

粒状

主成

分:

硫酸

タリウム

穀粉

,色

Tl

:2.4

~0.

81%

状物

成分

酸タリウム

水分

,色

Tl

:1.6

%

(1,

200)

リサイクルな

0%

A,

毒性

物質

高屈

折光

ガラ

ガラス

/レンズ片

成:

不明

(31

,200

リサイクルな

0%

B,

ファ

イバ

ー結

晶/ファイバー屑

成:

不明

(3.

600)

リサイクルな

0%

B,

(注

)①

量の

単位

内は

使用

量純

分kg

その

他は

発生

量純

分kg

②サ

イク

ル:

)内

は推

定使

用年

の他

は実

リサイクル年

③現

状評

価:

A.

応用

製品

が消

耗品

であ

.添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

C.

リサイクルの

流通

システムが

ない

D.

効果

的な

リサイクル技

術が

ない

E.

経済

性が

ない

.需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

G.

その

④リサイクルの

ボトルネックと

,解

難易

性,

保管

の危

挨性

無な

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39 ハフニウム (Hf)

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-205-

39.ハフニウム(Hf) 39.1 マテリアルフロー分析

ハフニウムはジルコニウム鉱石(ジルコン)中に存在し、ジルコニウムの副

生成物として生産される。ジルコニウム生産の 1~2%程度の生産量になると

想定すると、現在の世界のハフニウム鉱物生産量は 16,000~17,000t/年と推

定される。 鉱石中のハフニウムをジルコニウムから分離するには、工業的には有機溶媒

抽出法と蒸留法が代表的な方法である。有機溶媒抽出法では、ハフニウムのチ

オシアン酸イオン錯体がケトンとチオシアン酸の混合物中に選択的に抽出さ

れる性質を利用して分離する。蒸留法は、ジルコニウムとハフニウムの四塩化

物の昇華温度差を利用して分離する。 我が国では原材料として金属ハフニウムを輸入しているが、ハフニウムは世

界的に供給過剰の状態にあり、今後も供給面での問題は少ないと考える。 金属ハフニウムを原材料として、精製金属ハフニウム、超合金、ハフニウム

カーバイド、ハフニウムナイトライド等が生産される。 精製金属ハフニウムは原子炉制御棒、ニッケル系超合金はジェットエンジン

及びガスタービン、カーバイドは切削バイト、プラズマアークノズル、プラズ

マ電極、高温用セラミック等に利用されている。また、光ファイバーの材料等

にも適用される。現状の用途としては、特殊合金用、原子炉用、電子・光学機

器用の順に多いと推定される。各用途の状況は以下の通りである。 ・原子炉制御棒 ハフニウムは熱中性子吸収断面積が大きいことから、原子力発電所や原子力

潜水艦の原子炉の制御棒に使用されている。 ・ジェットエンジン及び発電用ガスタービン ジェットエンジンや発電用ガスタービンに使用されるニッケル系超強力耐

熱合金の製造の際に、微量のハフニウムが添加される。 ・半導体集積回路

ハフニウムの酸化膜は誘電率が高いことから、半導体集積回路のゲート電極

材料の1つとして検討されている。ただし量産化の可能性、PVD 法か CVD 法

のいずれの成膜方法を採用するかなど現段階では不透明である。PVD 法で量

産化された場合、トンレベルでの需要が期待される。 ・その他

プラズマアーク金属切断用のノズル、プラズマ電極(炭化ハフニウム、窒化

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-206-

ハフニウム)、高温用セラミックなどに使用される。他には、電子機材 (白熱灯

のフィラメント、高圧放電管、真空管用ゲッター )、写真用フラッシュバルブ

等の用途もある。光ファイバーにはフッ化ハフニウムとして使用される。また

超硬工具材料のハフニウムニオブカーバイドにも使用される。耐食材として化

学プラントに使用されることもある。 工作機械用としては、金属材料などの切断のためのスローアウェイチップ

(刃 )として使用される。形状は正方形、正三角形、菱形などで、通常のサイズ

は一辺が 10-15mm、厚さが 3-5mm である。主要組成はタングステンカーバ

イド、チタンカーバイド、タンタルカーバイドなどであり、ハフニウムは添加

物として使用されており、含有率は通常はコンマ数%程度で、稀に 2-3%のも

のがある。 最近では、ハフニウムはプラスチックなどの透明材料の表面を強くするとい

うことで注目されてきている。バイクの風防やヘルメットのシールドなどの表

面を透明なセラミックスであるハフニウムで覆うことで、傷が付きにくくなり、

水をはじく性質もある。 ハフニウムの国内需給構造について、2001 年 3 月「鉱物資源マテリアル・

フロー」調査における数値と今回の数値を比較したものが下表である。ハフニ

ウムの需給については公式統計が無いためいずれも推定値であるが、2001 年

調査時に比べ最近では、輸入量および原子炉制御棒向けを中心とした需要が減

少していると見られる。

ハフニウムの国内需給 (単位:kg(純分))

2001 年 3 月

調査 2004 年

輸入(金属ハフニウム) 5,000 2,170 需要 金属ハフニウム 3,770 1,090 原子炉制御棒 (2,970) (650) その他 (800) (440) スーパーアロイ 1,200 1,060 ハフニウムカーバイド 30 20 需要計 5,000 2,170

(事務局推定値) 39.2 リサイクルの現状と評価 ハフニウムが添加剤として利用されているものは、含有率が小さいためリサ

イクルは行われていない。原子炉制御用に利用されたものは、放射性廃棄物と

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-207-

して処理されることになり、リサイクルは実質的に不可能である。

原子炉制御棒として利用された使用済み品は、放射性廃棄物として収集・保

管される。放射能が消滅するまで長期の保管が必要となり、事実上、リサイク

ルは不可能であると考えられる。 ジェットエンジン及び発電用ガスタービン用の高温材料ニッケル系合金で

は、ハフニウムの含有率が低く、リサイクルはされていないと思われる。最近

開発された第 3 世代の高温材料イリジウム・ハフニウム合金は、ハフニウム

の含有率が高く、加えてイリジウムも高価な貴金属であるので、今後、実用化

されればリサイクルされる可能性が高いと思われる。 工作機械用に利用された使用済み品は、ハフニウム含有率が小さく、リサイ

クルの対象となっていない。 半導体集積回路用については、現時点ではまだ材料として検討段階であるが、

今後、PVD 法で量産化された場合、使用済みターゲットのリサイクルは重要

な課題となる。 プラズマ電極として使用されるものは、炭化ハフニウム、窒化ハフニウムな

どハフニウム含有率が高いと思われる材質ではあるが、リサイクルの実態は不

明である。

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-208-

2004年

ベー

ス量

の単

位:

( )

内は

Hf純

分kg

出典

:資

源量

はMineral Commodity Summaries 2005、

その

他は

事務

局推

金属

ハフ

ニウ

< 

中 間

品 

><

 最

品 

><

主要

応用

製品

(650)

リサ

イク

ルな

ハフ

ニウ

ム(

Hf)

原子

炉制

御棒

X 

 線

  

輸入

 (2,170)

電 

 流

  

電 圧

ハフ

ニウ

ムガ

ラス

超強

力耐

熱合

高速

切削

バイ

リサ

イク

ルな

リサ

イク

ルな

リサ

イク

ルな

(原

 子

 炉

)金

属ハ

フニ

ウム

(電

子・

光学

機器

)

(ジェットエンジン)

(工

作機

械)

(1,090)

スー

パー

アロ

イ(1,060)

Hf含

有率

 0.1-1.5%

(20)

Hf含

有率

 0.n%

ハフ

ニウ

ムカ

ーバ

イド

ハフ

ニウ

ム資

源量

 (世

界)

 (1,100,000,000)

reserve base

(440)

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-209-

ハフ

ニウ

ム(

Hf)

サイ

クル

の現

2004

年ベ

ース

使用

済み

品の

存在

形態

・量

サ イ

ク ル

形 態

応用

製品

利用

形態

(注

①)

リサイクルの

実態

リサイクルの

サイクル

注②

リサイクル率

リサイクル現

状評

(A~

G)

注③

備考

(注

④)

原子

制御

金属

(詳

細不

明)

(650

) リサイクルな

----

0

%

C, G

射性

廃棄

物と

して

集、

貯蔵

電子

光学

機器

X線

電流

電圧

放電

ハフニウムガラス

スク

ラッ

(440

) リサイクルな

----

0

%

B, E

ジェットエンジン

カスタービン

エンジン部

ニッケル基

合金

Hf

含有

:0.1

-1.5

%)

スク

ラッ

(1,0

60)

リサイクルな

----

0

%

B, E

工作

機械

ハフニウムカーバイ

ド

Hf

含有

率 :0

.n %

一辺

10-1

5mm

, 厚

さ3-

5mm

のチ

ップ状

の正

方形

/正

三角

形/菱

(20)

リサイクルな

----

0

%

B, E

(注

)①

量の

単位

現状

評価

④リサイクルの

ボトルネックと

、解

)内

の使

用量

純分

kg

A.

応用

製品

が消

耗品

であ

E.

経済

性が

ない

難易

その

他は

発生

量純

分 k

g B

.添

加剤

とし

て使

用さ

れて

いる

.需

要開

発が

十分

にさ

れて

いな

毒性

、保

管の

危険

性の

サイ

クル

C.

リサイクルの

流通

システムが

ない

.そ

の他

有無

など

内は

推定

使用

年数

.効

果的

なリサイクル技

術が

ない

その

他は

実リ

サイ

クル

年数

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40 レア・アース (RE)

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40.レアアース(RE) 40.1 マテリアルフロー分析 レアアースの供給

我が国ではレアアース鉱石・原料は国内では生産されず、すべて輸入されている。

レアアース原料・製品の 2004 年の主な輸入元は、中国、フランス、米国などであ

るが、中国の比率が急増しており、品種によって異なるが、全体としてほぼ 90%が中国からの輸入である。輸入量は 2001 年に一旦落ち込んだものの、その後増

加し、2004 年(26,762t)は最盛期の 2000 年(29,929t)ベースまで回復している。 研磨材用のバストネサイトは、米国から 2003 年に 2,000t 輸入されていたが、

最近の酸化セリウムをフッ化処理した研磨剤の進出により、2004 年は大幅に減少

したと推定されている。その他、石油化学用触媒原料の粗塩化希土はインド、中

国から輸入されているが、数量は特定できていない。 レアアース製品の国内生産は、2003 年に 5,502t とほぼ最高値を記録した。2004

年は輸入量が約 4%増加していることから 2003 年の生産量を上回ると推測され

るが、統計値は公表されていない。

レアアース原料・製品の輸入 (化合物、総重量 t) 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 酸化イットリウム 1,297 891 917 1,235 1,377 酸化セリウム 4,850 3,832 4,161 4,241 4,178 酸化ランタン 1,744 1,801 1,315 2,241 1,915 希土類金属 7,077 3,346 4,985 6,119 6,384 希土類化合物 5,812 5,049 4,463 4,802 6,229 フェロセリウム 461 384 505 458 298 セリウム化合物 5,687 4,434 6,225 6,609 6,381 合計 26,928 19,737 22,571 25,705 26,762

(財務省貿易統計、工業レアメタル 2004、2005) レアアースの用途、需要動向 ランタン(La)

光学レンズ:主な用途は高屈折低分散の光学レンズで一眼レフカメラ、天体

望遠鏡、顕微鏡、最近はデジタルカメラのレンズに使用されている。今後は携

帯電話のカメラレンズのガラス化で需要が増える傾向にある。光学レンズ用ラ

ンタンは高品質なものは要求されず、中国で製造されたものが、直接輸入され、

日本のレンズメーカーに納入されている。光学レンズ向けは 2003 年の 700tから 2004 年は 1,200tに増加した。

コンデンサー:セラミックコンデンサー用ランタンは、酸化ネオジウムとと

もに周波数の低い領域に使用されているが、高性能が要求されるため、中国製

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-212-

では対応できず、国産の製品が使用されている。 磁石:La-Co 系フェライト焼結磁石用途に、2004 年は約 300t使用されたと

推定されている。 その他、蛍光体向けは 80~100tと推定されている。

セリウム(Ce) 主に研磨材として使用される。半導体用 CMP(化学的機械研磨)が回復してき

たものの、CRT・液晶ガラスの製造が海外シフトし、無研磨ガラスが普及して

いる。2004 年の研磨剤用途は 5,500~6,000tと推定されている。 希土類金属

用途は水素吸蔵合金用のミッシュメタルと永久磁石の磁性材料に大別される

が、構成比は不明である。 ミッシュメタルはニッケル水素二次電池用水素吸蔵合金に使用される。2004

年の水素吸蔵合金の生産は約 8,000t(ミッシュメタルで 3,200t)と推定されて

いる。 ネオジウムは、ハードディスク、電気自動車等のモーター、MRI の磁石に

使用される。ネオジウム磁石は Co を使用する必要がなく、磁石性能(磁束、保

持力 )は最も高い。保持力を高める (小型高出力 )ため、ジスプロシウム (Dy)を数%添加する。2004 年の焼結磁石用ネオジウムの消費は、ほぼ 4,000tとみら

れている。 イットリウム(Y)

イットリウムの用途は蛍光体(CRT、3 波長ランプ、液晶バックライト)を中

心に、光学ガラス(プロジェクター、カメラ用レンズ)、セラミックスの安定剤、

電池極板、コンデンサーなどにも使われる。2004 年の蛍光体向け需要は約 400t、光学レンズ用は 140t、その他が数 100tとみられている。

レアアースの国内需要推移 (輸入:総重量 t 需要:REOt)

2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 輸入 26,928 19,736 22,571 25,705 26,758供給計 26,928 19,736 22,571 25,705 26,758 国内需要 研磨剤 3,738 2,544 3,721 4,061 6,000 蛍光体 n.a n.a 850 1,200 400 紫外線吸収ガラス 2,832 2,381 2,366 2,257 2,000 工学ガラス・レンズ 526 409 384 437 1,200 磁石 3,918 3,204 3,483 4,185 4,300 水素吸蔵合金 2,360 1,490 3,920 3,560 3,200 その他 需要計

(財務省貿易統計、2000~2003 年はレアメタル備蓄事業調査報告書、 2004 年は工業レアメタル 2005)

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-213-

40.2 リサイクルの現状と評価

使用済み電池や磁石の回収ができていないこと、国内でのリサイクルではコ

スト的に合わないことから、製造工程で発生するスクラップ以外のリサイクル

は現在行われていない。ネオジウム磁石は製造工程での切削や破損などで発生

する 20~30%のくずは 95%以上リサイクルされている。しかしながら、国内

でリサイクルした場合、ヴァージンより高くなるため、処理は中国で行われて

いる。 スラッジはドラムに入れ、水漬にして中国へ原料として送られている。 ニッケル水素電池のリサイクルも少量あるが、使用済み電池はなく、工程ス

クラップのみである。水素吸蔵合金および SmCo 磁石は、価格の高い Co や Niをターゲットとしてリサイクルされていると言った方が適切である。

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-214-

レア

アー

ス(

RE

)2

00

4年

ベー

 研

磨剤

リサ

イク

ルな

輸入

量(少

量)

生産

量(少

量)

研磨

剤需

要(5

,500~

6,0

00)

 TV

ブラ

ウン

管、

液晶

ガラ

ス等

リサ

イク

ルな

生産

輸入

量10

,559

 蛍

光灯

、C

RT

リサ

イク

ルな

  

中国

9,21

0需

要量

(400

)

フラ

ンス

469

 自

動車

フロ

ント

ガラ

ス等

リサ

イク

ルな

  

台湾

213

需要

量(2,

000)

  

その

他66

7 

自動

車リ

サイ

クル

なし

 触

媒リ

サイ

クル

なし

 自

動車

リサ

イク

ルな

生産

輸入

量1,

915

 光

学機

器・携

帯電

話リ

サイ

クル

なし

輸入

量6,

230

  

中国

1,86

0需

要量

(1,

200)

  

中国

5,29

4

フラ

ンス

4 

永久

磁石

磁石

工程

くず

のみ

リサ

イク

  

フラ

ンス

301

  

その

他51

需要

量(3

00)

  

その

他63

5 

電気

機器

部品

リサ

イク

ルな

 蛍

光灯

、C

RT、

プラ

ズマ

ディ

スプ

レイ

リサ

イク

ルな

生産

輸入

量1,

377

 (業

務用

)ビデ

オカ

メラ

、デ

ジカ

メリ

サイ

クル

なし

  

中国

1,37

0 

 そ

の他

7 

携帯

電話

、パ

ソコ

ン等

高周

波数

用リ

サイ

クル

なし

 N

i水素

電池

、燃

料電

池用

極板

リサ

イク

ルな

 自

動車

エン

ジン

酸素

セン

サー

リサ

イク

ルな

輸入

量29

7 

 ア

メリ

カ16

2 

光フ

ァイ

バコ

ネク

タリ

サイ

クル

なし

  

中国

59 

 そ

の他

76

鉄鋼

材料

鋼材

くず

とし

てリ

サイ

クル

 Sm

Co、

NdF

eB磁

石(焼

結、

ボン

ド)

磁石

工程

くず

のみ

リサ

イク

生産

量需

要量

(4,0

00)

輸入

量6,

379

 各

種R

Eメ

タル

リサ

イク

ルな

  

中国

6,37

6 

 そ

の他

3 

Ni水

素電

池電

極工

程く

ずの

みリ

サイ

クル

生産

量需

要量

(3,2

00)

鋼材

料鋼

材く

ずと

して

リサ

イク

 ラ

イタ

ーリ

サイ

クル

なし

1.世

界の

埋蔵

量 

 R

EO 

88百

万ト

ン2.

可採

鉱量

  

N/

A3.

単位

:t

(酸化

物・化

合物

・金

属純

分To

n)、

( 

)内

は粗

い推

定値

4.出

典:

財務

省貿

易統

計、

工業

レア

メタ

ル V

ol.1

21(2

005)

 希

土化

合物

 製

鋼原

 発

火石

 コ

ンデ

ンサ

ー誘

電体

 永

久磁

 R

E成

分調

整原

 水

素吸

蔵合

 電

池極

 ジ

ルコ

ニア

焼結

助剤

 フ

ェル

ール

 製

鋼原

<主

応用

製品

><

原 

  

料>

 バ

スト

ネサ

イト

 光

学ガ

ラス

 セラ

ミッ

クコ

ンデン

サー誘電

 蛍

光体

 酸

化ラ

ンタ

 酸

化イ

ット

リウ

 排

ガス

浄化

三元

触媒

 排

ガス

浄化

三元

触媒

 光

学レ

ンズ

 フェ

ライト

磁石

(La-

Co 系

)

 紫

外線

吸収

ガラ

ス添

加剤

<リ

サイ

クル

><

中間

製品

 塩

化ラ

ンタ

 酸

化希

 ガ

ラス

研磨

 蛍

光体

 酸化

セリ

ウム

・セリ

ウム

化合

<最

終製

品>

 FC

C触

 希

土研

磨剤

 ミ

ッシ

ュメ

タル

 フ

ェロ

セリ

ウム

 (粗

塩化

希土

を含

む)

 希

土金

 金

属N

d,Sm

,Dy,

La,他

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-215-

レアアー

ス(RE)

リサイクルの現

主な応

用製

品利

用形

態リサイクル

備考

形態

推定

量リサイクル実

態推

定使

用リサイクル

現状

評価

Ton /

年年

数率

 %

研磨

剤研

磨剤

研磨

くず

不明

リサイクルなし

0.1

0A

蛍光

体蛍

光灯

、CRT

蛍光

灯、CRT

不明

リサイクルなし

50

G紫

外線

吸収

ガラス

ガラス

ガラス

不明

リサイクルなし

50

B光

学ガラス、レンズ

カメラ、ビ

デオ

カメラ、ビ

デオ

不明

リサイクルなし

50

B磁

石磁

石磁

石不

明リサイクルなし

50

B水

素吸

蔵合

金Ni水

素電

池Ni水

素電

池不

明リサイクルなし

50

G       現

状評

A.

応用

製品

が消

耗品

B.

添加剤

として使

C.

リサイクル流

通システムが未

整備

D.

効果

的なリサイクル技

術がない

E.

経済

性がない

F .需

要開

発が不

十分

G.

その他

使用済

み品の形

態・量

リサイクル形態

工程

くず

はリサ

イクルされてい

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平成 17 年度情報収集事業報告書 第 5 号

鉱物資源マテリアル・フロー 2005

平成 17 年 12 月 発行

発行: 金属資源開発調査企画グループ

〒212-8554 神奈川県川崎市幸区大宮町 1310 番

電話:044-520-8590 FAX:044-520-8750 E-mail:[email protected]

http://www.jogmec.go.jp/mric_web/

印刷: 株式会社 アイネット

〒104-0061 東京都中央区銀座7-16-21 銀座木挽ビル1F

電話: 03-3549-5600

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