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隕石から読み解く太陽系のはじまり
神戸大学・理学部・地球惑星科学科 留岡和重
1 我々は何をやっているか.
物を通して宇宙を探る
最近50年間で急速に進歩
宇宙科学
天体観測
実験・分析
理論・計算
2 我々が手にできる宇宙物質とは?
隕石 月岩石
NASA
火星岩石(隕石)
NASA
塵
1/1000 mm大気上層で回収
3 隕石とはどのようなものか
・鉄の隕石 5 %
・石の隕石 93 %
・石と鉄の隕石 2 %
4 地球に降ってくる宇宙物質の量
・ ~100 トン(1日)/~37000 トン(1年)
・ 大部分は微粒子(径 1 mm以下)高速で大気圏に突入し,流星として消滅.
・ 隕石(数cm以上)はきわめて少ない.
地球全体 ~500 個
南極以外の陸地 ~3000 個
南極(1969年以来) ~30000 個
砂漠(最近10年間) >30000 個
○隕石は1年にいくつ落下するか
最近,さらに急増
陸地全体 ~150 個
○ これまで回収された隕石の数
5 隕石はどこからやってくるか?
○太陽系とは何か
10万光年
数1000億個の恒星
太陽は
その内の1つ
銀河系
水星 金星 火星
木星 地球
土星太陽系とは?
天王星 海王星冥王星
・太陽
・ 9つの惑星太陽系
小惑星帯
火星と木星の間に無数の小惑星が存在.
小惑星
・ 最大のもの → 直径~900 km
・ 直径10 km以上のもの → ~70000個
・ 直径10 km以下のもの → 無数
小惑星の衝突
こうしてできた小惑星の
かけらが隕石.
彗星 もう1つの隕石の供給源
6 小惑星・彗星とは何か
原始星雲(ガス+ちり)
原始太陽
太陽系はもともと
星雲だった
太陽系のはじまり 46億年前(想像)
○惑星ができるプロセス
1.原始太陽の周りに熱いガス
2.徐々に冷える→固体粒子(ちり)の形成
3.くっつき合って無数の小さな天体(微惑星)をつくる.
4.衝突・合体を繰り返してしだいに大きな天体へと成長.
小惑星 彗星
とは
大きく成長できずに残った 「微惑星のかけら」.
隕石から,46億年前の太陽系の
できごとを知ることができる.
だから
7 隕石の中身はどうなっているか
1 cm石の隕石の断面
隕石薄片を透過光で見ている 0.5 mm
0.1 mm
原始星雲でできた粒子
コンドリュール
我々の研究装置
電子顕微鏡
1/100 mm
拡大カンラン石
隕石の微粒子
1/10 万 mm
拡大
隕石 → 様々な鉱物粒子の集合.
各々の粒子は,隕石が
経てきた履歴を物語って
くれる.
隕石からどのような履歴が
読み取れるか?
8 微惑星を進化させた3大要因
水 熱 衝撃
これらによる変化を示す組織.
1/10 万 mm
○含水鉱物(水和した鉱物)水
含水鉱物の脈
天体表層で
水の作用があった.
含水鉱物の脈
1/20 mm
衝突
割れ目
含水鉱物の脈
天体表層水の作用(原子の運搬)
○ 隕石の熱水変成実験
1/100 mm
人工的に作った含水鉱物の脈
無水鉱物の脈
熱
天体が加熱され,水が失われた.1/10 mm
含水鉱物 無水鉱物水が抜ける
加熱
神戸隕石
衝撃の作用による溶融物
5 µm
衝撃実験で人工的に作った溶融物
5 µm
気泡
衝撃
天体の形成と進化衝突
微惑星
氷
石
水による変化(広域)
熱による変化(脱水,熱変成)
集積
原始星雲(ガスとちり)
熱源
水による変化(部分的)
マグマの形成
衝突
衝突
熱による変化
このように,我々は,隕石を通して
46億年前に,原始星雲から天体が
つくられて行ったプロセスを解読しよう
としている。
9. 21世紀の惑星科学
惑星探査を中心に展開していくだろう.
○ 宇宙物質(我々が手にすることができる)
・ 隕石
・ 月岩石
・ 宇宙塵
・ 火星岩石(隕石)
(将来 - 惑星探査)
・ 小惑星
・ 彗星
・ 惑星,衛星
これからますます増えていく
○ はやぶさ計画(日本)
小惑星へのサンプルリターン
2003年5月打ち上げ
イトカワ(小惑星)(500m×300m)
2007年7月帰還予定
彗星
○ スターダスト計画
(アメリカ)
彗星塵の
サンプルリターン
1999年打ち上げ
2 m
2004年1月 塵採集 → 2006年1月帰還予定
おわり
これから宇宙は顕微鏡を通して解明されていくだろう.