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過渡熱測定装置...T3ster - 過渡熱測定装置2 温度による性能問題を製品からシャットアウト 電子製品の性能低下と高温の相関関係は、さまざまな文献

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T3Ster

過渡熱測定装置

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T3ster - 過渡熱測定装置

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温度による性能問題を製品からシャットアウト電子製品の性能低下と高温の相関関係は、さまざまな文献によって裏付けられています。ジャンクション温度が臨界レベルを超えると、信頼性と性能の急激な低下を招き、物理的な故障が発生しやすくなります。

メンター・グラフィックスの世界最先端の過渡熱測定ソリューション、T3Ster®は過熱から製品を守ります。T3Sterは、積層ダイ ICや SiP(システム・イン・パッケージ)デバイスをはじめ、パワー・トランジスタ、IGBT、パワー LEDなどの各種半導体コンポーネントを含む広範な半導体デバイスから、再現性に優れた高精度の熱特性を迅速に測定することができます。T3Sterの熱測定によるメリットを以下にご紹介します。

■ 製品の早期故障を抑制

■ 先進的な業界標準への準拠

■ 精度と信頼性の高い製品データを作成

■ 熱シミュレーション用の実測データを取得

T3Sterのマルチチャネル・アーキテクチャは、比類のない精度と優れた再現性を備えた過渡熱データを提供し、ほぼ全種類のパッケージを最小限の測定回数で特性評価できます。超高精度の熱測定(0.01℃)[1]と 1㎲の時間分解能を実現することに加えて、パルス法で個々の温度データから過渡熱曲線を「合成」する方法と違い、実際の過渡熱曲線をリアルタイムで測定できます。

T3Sterは、以下の用途にご利用いただけます。

■ 放熱経路の再構成

■ ダイアタッチの評価

■ 積層ダイ・パッケージのテスト

■ パワー LEDの特性評価

■ マテリアル特性の識別

■ 熱設計モデルの検証と妥当性確認

■ 現場における非破壊的な故障解析

■ パワー・サイクリング信頼性試験結果の構造関数解析

■ 実製品状態の環境における部品の熱評価

振動20%

湿度19%

温度55%

埃/粉塵6%

電子システムの 故障原因 *

* 1997 年、IEEE。Zhang、Jovanovic、Lee による

[1] 感度が -2mV/℃のダイオード型センサを使用し、温度による電圧変化が 50mVだと仮定した場合。

スイスの IBM Zurich Research Laboratoryにおいて Advanced Thermal Packaging Managerを務める Bruno Michel博士は次のように述べています。

「熱インタフェースに関する信頼性の高い熱抵抗解析が必要だったため、 過渡熱測定法を選びました。T3Sterはコンパクトで使い勝手が良いだけでなく、 過渡熱データの収集と処理に改善をもたらしました。また、TIM測定精度が 向上し、発熱チップ、熱インタフェース、冷却キャップ、セカンド・インタフェース、ヒートシンクといった個々の部品による放熱効果の内訳を測定することも可能になりました。」

ドイツ、レーゲンスブルクの Osram Opto Semiconductors GmbH(以下 OSRAM)に おいてQuality Managerを務める Thomas Zahner博士は次のように述べています。

「LEDのパワー増加に伴い、安定した LED性能と長寿命にとって不可欠な熱管理に対し、一層の注意を払う必要が出てきました。このため、OSRAMでは熱設計を非常に重視 しています。T3Sterの高精度と再現性によって、熱設計を検証し、製品の安定性と 信頼性を確認することが可能になりました。多数のテストを実行したことにより、統計的信頼度の高い測定結果を得ることができました。T3Sterソフトウェアに内蔵された構造関数は非常に強力なツールであり、OSRAMで実施する幅広い信頼性テストにおいて、熱接合材料のさまざまな問題を特定する際に役立っています。」

iBMの hierarchically nested channelsは、 温度サイクル中に TiM(サーマル・インタフェース・マテリアル)のボイド発生を抑制する効果があり、 この検証に T3sterが使われています。

OsRaMの高輝度 leDと leDモジュールの特性評価には、T3sterが使われています。T3sterによる測定結果は、パワー leDの信頼性を評価 する、大規模な解析作業に利用されています。

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企業の将来を見据えた確実な投資半導体メーカー半導体および ICパッケージのメーカー各社は常に、より多くのコンポーネントをより小型サイズの高密度な空間に搭載しようと努力しています。その結果残念なことに、放散される熱の密度も高まっています。高速化と多機能化の進む ICでは、帯域幅とトランジスタ密度の増大により消費電流が増加の一途を辿っているため、チップ温度も上昇しています。過剰に発生した熱がデバイスから正しく放出されないと、回路の異常動作を引き起こし、最終的には破壊へと至ります。ジャンクション温度が上昇すると IC性能は低下し、熱問題によってコンポーネントの信頼性が急激に減少します。また、温度上昇によってコンポーネントの物理的な歪みや亀裂が生じた結果、マテリアル層の剥離や、ダイアタッチのボイド発生といった欠陥を招く可能性があります。十分な熱放散を確保するためには、ICパッケージの設計と使用するマテリアルの選択が非常に重要なポイントとなります。

メーカーは、熱測定装置を設計および品質保証プロセスに導入することで、優れた熱性能を持つ製品を設計し、信頼できる熱データを下流の工程に提供できるようになります。エンジニアは、T3Sterを設計および製品開発段階で利用することで、チップの温度を正確に予測できるようになり、さらに、アセンブリの熱流路を検証し、設計検証のポストレイアウト段階で利用できる、物理設計用の熱データを提供することが可能です。製造段階では、隠れた欠陥を発見し、適切に構成された生産ラインで量産テストを実施します。また、QA部門は T3Sterを利用して、ダイアタッチ積層剥離などの物理的な故障を非破壊的な方法で迅速かつ簡単に特定できます。

ケーススタディ: 自動車市場の主要な半導体メーカーの例を見てみましょう。同社は、1日に最大 100万個の半導体チップを製造する能力を持っています。チップの販売単価が 5ドルの場合、ダイアタッチ問題によって製造が 2日間停止すると、1千万ドルの売上が失われる見込みとなります。T3Sterは、同社の稼働状況を適用した場合、2時間の停止を回避できさえすれば、採算が取れる妥当な価格設定となっています。

leDメーカーLEDメーカーにとって、熱特性評価および熱測定への投資を避けて通ることはできませんが、これには複数の理由が重なり合っています。

どんな種類の電気照明も、不要な副産物として熱を発生し、LED照明も例外ではありません。今日のハイパワー LEDでは平均し て、35% か ら 40% の光効率に対し、65%から60%の熱を発生します。熱の蓄積によって LEDの光出力が低下すると、色の変化を招くと同時に、コンポーネントの実用寿命を縮めることになります。このため、熱管理は LEDシステム設計において最も重要な側面となっています。安全で信頼性の高い設計と満足できる性能を確保するためには、LED熱抵抗の特性評価が必要です。また、熱流路内の接着層など複数の熱インタフェースが存在し、製造段階で厚さや熱抵抗値を制御することが困難な場合もあります。従って、熱抵抗は可能な限り早い段階で把握する必要があります。光出力特性の温度依存性を完全に把握することも、LEDベンダと LEDユーザの両方にとって重要な課題です。

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Tamb [°C]

η[%

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XPG - IF = 150mAXPG - IF = 200mAXPG - IF = 350mAXPG - IF = 500mAXPG - IF = 700mA

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TERALED: 家庭用壁コンセントの発光効率(Popt/Pel)に対する周囲温度

XPG - IF = 150mAXPG - IF = 200mAXPG - IF = 350mAXPG - IF = 500mAXPG - IF = 700mA

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新しいルールと要件を満たすには、コストとリソース運用の両面において、より抜本的な改善が求められています。米国エネルギー省(DOE)の予測によると、今後 LEDの効率は 1.5倍以上に向上し、LED製造コストは 2015年までに約1/10未満に、2025年までに約 1/25から 1/30まで低減される見込みとなっています。製造効率の向上によってコストが 10年間で 1/20に削減されたことを考えると、同じ曲線を維持するには、歩留まり、生産性、コスト効率の改善によってさらにコストを削減する必要があります。エンジニアは、最高のコスト効率を備えた最適のマテリアルを決定する際に、熱測定結果を利用してコスト削減に貢献できます。熱測定結果に基づいて、多岐にわたるマテリアル、コンポーネント、熱インタフェース用化合物の中から選択し、各要素を微調整して、システム設計目標をベストな状態で達成できるのです。そして品質保証と信頼性向上を担当する部署では、過渡熱を測定してから後続の構造関数解析を行うことによって問題を特定し、製造歩留まりを改善できます。

ケーススタディ: DOEが 2009年に行ったプレゼンテーションによると、LEDの製造関連コストは、パッケージ化が 50%、チップ処理が 25%、EPI処理が 25%となっています。企業ではフロントエンドの製造コスト面を改善することによって、ビニングのようなバックエンド・コストの省力化を達成し、照明コストを削減できます。

システム・メーカーシステム・メーカーの場合、特定の重要な ICチップが実際の熱環境でどのように動作するかを把握しておく必要があります。例えば、HD TVに内蔵された高性能グラフィック・カードの GPUや、コンピュータ筐体内の RAMモジュール上の RAMチップなどです。このようなチップを現場で過渡熱測定し、ICデバイスが実際に稼働する条件下、つまり動作環境内で取得した過渡熱の特性を評価する必要があるのです。このような作業の場合、測定対象のチップへの電力はシステム自身から供給されます。T3Sterのトリガは電力を突然に変更しますが、このような変化はデジタル ICのクロック速度を急降下させることがあります。ジャンクション温度を測定する際は、測定対象のチップ内にある、温度感度が高い部分を使用します。また、チップが専用の熱測定ダイオードを搭載していることもあります。この場合、電気的に非アクティブ状態のとき、その他のダイオードを温度検知に利用することができます。このように、TV、コンピュータのマザーボード、RAMモジュールを実際の動作条件下で測定できます。コンピュータ筐体内の RAMモジュールの場合、製品状態で測定して得られた構造関数を用いて、RAMモジュールの FR4アセンブリの熱伝導特性を評価できます。

実例を見てみましょう。小型ノートパソコンの RAMモジュール設計において熱管理ソリューションとして採用されていた「ヒート・スプレッダ」が、高価であまり冷却効果がないことを実証する際、構造関数解析が役立ったのです。この部品を除去することで、マテリアル・コストだけでもユニットあたり数ドルの節約となり、量産時の製造コスト削減が実現されました。改良された TIMマテリアルの熱特性を現場で検証した結果、設計において目標となっていた熱抵抗値を達成し、TIMマテリアルのコストを最小限に抑えることに成功したのです。ここでも、マテリアル・コストと製造コストの大幅な節減が達成され、これまでシステム・アーキテクトがどんな手段を使っても実現できなかった、最終製品の品質評価を可能にしました。

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T3Sterが選ばれる 7つの理由業界をリードする過渡熱測定ソリューション、T3Sterのメリットをご紹介します。

1. 高精度の測定結果。T3Sterは、極めて高精度な温度測定機能、優れた信号対ノイズ比、1㎲の時間分解能を備えています。不正確な結果に妥協することなく、設計の真の動作を的確に捕捉できます。

2. 完全にスケーラブルなシステム。T3Sterは、現在だけでなく将来のニーズを満たせる設計となっています。大規模なテストに対応し、100mW以下から最大で kW単位に至る範囲に拡張して、システムおよびコンポーネントを測定できます。さらに、投資価値を保護するために、次の 4つをはじめとする多彩なハードウェア・アドオン・アクセサリが用意されています。

a. 自動デバイス・キャリブレーションは、メンター・グラフィックスのドライ・サーモスタット技術に加えて、サードパーティの液冷方式サーモスタット技術をサポート

b. 適切なプリアンプを介してあらゆる種類の熱電対を簡単に接続

c. 各種ブースター・オプションによるハイパワー電力 スイッチング

d. ハイパワー LED測定用の TERALED®ユニットの追加

3. リアルタイム測定。T3Sterは、JEDEC JESD51-1標準に規定されたスタティック・テスト方式に従ってリアルタイムに測定を実行します。この連続測定手法と高精度ハードウェアの組み合わせによって、ノイズのない実際の過渡熱曲線を高い時間分解能で非常に正確に捕捉できます。

4. 強力なポストプロセス機能を解析結果に適用。オプションとして提供されている T3Ster-Masterソフトウェアを使用して、多様なデバイス・レスポンスと構造関数を可視化できます。T3Sterの熱伝導路構造解析は、最終プロトタイプをテストするための理想的なソリューションであるため、設計者は最終製品の品質を迅速かつ正確にコスト効率良く検証できます。

5. シミュレーション用の実データを提供。FloTHERMやFloTHERM PCBをはじめとする最先端の熱解析ソフトウェアを使用する場合、コンポーネントの正確な熱設計モデルを入手できるかどうかが、電子機器の熱流を予測するための大きな決め手となります。T3Sterは、シミュレーションを実行する際に検証済みの入力データとして使用できる、正確なデータを提供します。

6. メンター・グラフィックスの熱測定設備におけるグローバルなネットワークを活かしたテクニカル・サポート、熱測定サービス、モデル化サービスの提供。メンター・グラフィックスのアプリケーション・エンジニアが T3Sterシ

ステムの適切な設定を支援し、拡大や拡張を行う場合はもちろん、新しいアプリケーションに関する技術的なアドバイスも提供します。熱測定ハードウェア製品は、長期間に渡って投資価値を保護するため、下位互換性を備えています。

7. 確固とした研究開発努力に支えられたメンター・グラフィックスのMicReD®製品ライン。メンター・グラフィックスは、EUの NANOPACK研究コンソーシアムの主要メンバーだった Thalesや IBMなど業界のリーディング・パートナーとともに、大規模な工業用研究開発プロジェクトを積極的に推進しています。また、JEDEC JESD51-14をはじめとする過渡熱測定の最新業界標準に厳密に準拠し、パワー半導体パッケージのθ jc(ジャンクションからパッケージ・ケースまでの熱抵抗)を測定できる熱測定ソリューションをお届けするため、JEDECや CIEといった国際標準化団体の活動に率先して取り組んでいます。

最新のアクセサリ・リストの詳細については、http://www.mentor.com/products/mechanical/products/t3ster/options-accessories [英語 ]をご参照ください。

オランダ、ナイメーヘンにある NXP-SemiconductorsのSenior Principalで、Manager Virtual Prototypingを務めるJohn H.J. Janssen技士は次のように述べています。

「現在、NXP-Semiconductorsのラボでは主として、特定顧客の利用環境と同じ条件下でパッケージの熱抵抗を測定するために、T3Sterを使用しています。T3Sterのおかげで、とてもスピーディーに簡単に測定できるようになりました。また、T3Ster-Masterソフトウェアを利用して、当社のコンパクトな熱設計モデルの正確性を示すことができました。この結果、顧客の揺るぎない信頼を勝ち取ったのです。これと同時に、熱を環境に放散する仕組みや、ボードの組み立て時に想定される故障がどのような影響を及ぼすかについて、理解を得ることもできました。」

T3sterは、ヒートシンクなどさまざまなタイプの冷却アセンブリを特性評価できます。

VLSIチップ、稼働中のプロセッサに加えて、シンプルな ダイオードからバイポーラ・トランジスタ、MOSFET、JFET、IGBT、サイリスタに至るまで多種多様なディスクリート半導体デバイスを T3Sterによって測定できます。

実環境内の部品の解析も可能です。T3Sterによって測定した部品の熱レスポンスと、環境からの影響を判別する際に、 構造関数が役立ちます。

構造関数は、T3Sterによって測定した非常に正確でノイズのない過渡熱データに基づいて導き出されます。この構造関数を使って、システム動作時のパワー・トランジスタ・チップ から、ヒート・スラグ、TIM、ヒートシンクまでの熱伝導路における熱流を、詳細に渡って明確に描き出します。

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本  社 〒140-0001 東京都品川区北品川 4丁目 7番 35号 御殿山ガーデン電話(03)5488-3030 (営業代表)

大阪支店 〒532-0004 大阪府大阪市淀川区西宮原 2丁目 1番 3号 SORA新大阪 21電話(06)6399-9521

名古屋支店 〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄 4丁目 2番 29号 名古屋広小路プレイス電話(052)249-2101

URL http://www.mentorg.co.jp

copyright © 2012 Mentor Graphics corporation. all rights reserved.Mentor GraphicsはMentor Graphics corporationの登録商標です。その他記載されている製品名および会社名は各社の商標または登録商標です。この文書にはメンター・グラフィックスの専有情報が含まれており、その一部または全体のコピーは、元の受領者が社内の業務目的に利用する場合にのみ可能です。 この文書を受領されるにあたり、受領者はこの情報の不正な利用を防ぐあらゆる合理的な努力をされることに同意されるものとします。

w w w . m e n t o r g . c o . j p最新の製品情報については、メンター・グラフィックスのウェブサイトから :

MGJ 12/02