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水資源と水力発電供給力について 誌名 誌名 水利科学 ISSN ISSN 00394858 巻/号 巻/号 42 掲載ページ 掲載ページ p. 42-56 発行年月 発行年月 1960年7月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

水資源と水力発電供給力について西本:水資源と水力発電供給力について 43 節と位置によってかなりの差異がゐる。第1図は日本各地(南

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Page 1: 水資源と水力発電供給力について西本:水資源と水力発電供給力について 43 節と位置によってかなりの差異がゐる。第1図は日本各地(南

水資源と水力発電供給力について

誌名誌名 水利科学

ISSNISSN 00394858

巻/号巻/号 42

掲載ページ掲載ページ p. 42-56

発行年月発行年月 1960年7月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

Page 2: 水資源と水力発電供給力について西本:水資源と水力発電供給力について 43 節と位置によってかなりの差異がゐる。第1図は日本各地(南

水資源と水力発電供給力について

西本憲三

まえがき

天然に存在するエネルギー源iこは多種あるが,中でも水資源lif也のエネルギーにも

容易に変換ができ,かつ尽きることのない最も有力な循環資源であるといえよう。従

ってこの水資源の利用面も人類の生活を始め,農業 ・工業 ・水力発電等極めて広い分

野に亘っている。幸い日本は四方を海に固まれた島田で、あるため四季を通じて降水量

が多く,世界の内でも最も水資源に恵まれた国である。

ここではこの恵まれた水エネルギーを電気エネルギーに変換する水力発電と,その

供給力について述べたい。

1. 降水量

(1) 日本各地の降水量(I~4)

降水量と水資源とは不可分の関係であって,降水量の多少は水資源の多少を左右す

るともいわれる。日本は上述の如く他国に比して降水量は非常に多いが,その量は季

第 l図 月別平均降水景曲線〔日本各地〕

400

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仙台

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Page 3: 水資源と水力発電供給力について西本:水資源と水力発電供給力について 43 節と位置によってかなりの差異がゐる。第1図は日本各地(南

西本 :水資源と水力発電供給力について 43

節と位置によってかなりの差異がゐる。

第 1図は日本各地(南,北, 並びに太平洋,日本海側〉の代表点主恩われる地点の月

別平-均降水量ー(昭和23~32年10ヵ年〉を示したものである。図から明らかな如く,九

州及び太平洋側の降水量ーは寒候期に少なく,暖侠期に多い。中でも 6~7月の梅雨期

及び台風の来襲頻度:の高い 9月が多い。これに反し日本海側及び北海道は異なった降

水現象を示しているつ即ち日本海側は寒候期,援候期共に多く,北海道は年間大きな

差異がないc

以上を総合していえるのは北海道を除いて 9月が一様に減少しているこ とである。

(2) 木州中部山岳地帯の降水量(l~め

第 2図は日本において,最も有力な電源地帯である本州中部山面地帯について太平

洋側,日本海側及びその中間に位置する各水系の上流地点の月別玉「均降水量 (昭和23

~32年10ヵ年平均〉を示したものであるつ

この図も第 1図と同様な変化状況を示しているが中央部に山岳が重畳している地帯

の降水量は極めて多く ,この10ヵ年間において黒部川水系の小屋平では 1月に 553mm

(昭和31年),7月に835mm(昭和28年〕を,信濃川水系の湯沢で 1月に463mm(昭和25年〉,

同じく大正池では 8月に847mm (昭和128年〕をそれぞれ記録している。

なおこの図で注目すべきことは,上越国境の三国山脈から南と北にそれぞれ12~13

km 離れた湯沢及び小松の相違点である。ftnち湯沢は冬季のシベリヤ高気圧の影響を

顕事に受けるため冬季の降水呈が小松に比して極めて多い。

第2関 月別平均降水量曲線〔中部山岳地方〕

500

300 降

水 ‘

、、、』『、、、、

、、、、、、、、

ーー-〆 ;ji,沢! 1言J車川 i • !語E引 I I}

400

震 200

100

。5 6 9 I 0 I I 12月

Page 4: 水資源と水力発電供給力について西本:水資源と水力発電供給力について 43 節と位置によってかなりの差異がゐる。第1図は日本各地(南

44 水利科学第4巻 第三号(1960)

第3図 中部山岳地帯主要河川並びに

降水量・流量観測地点

各観測点は第 3図に示してある。

2.河川流量

(1) 主要河川の季節的変動ω河川流量は降水量の表面流出分と,i参透分の河川への流出分とである。従って降水

量の多い流域をもっ河川は流量もまた多い。

第 4図は日本各地の代表河川の100km2当りの月別平均流量(沼和23~32年10ヵ年間〕

を示したものであって,それぞれ特徴のある流況を示している。即ち筑後川は流量の

変動が降水量の変動と一致しており,黒部川は降水量の最も少ない 4~5月に流量が

急激に増加している。その他の河川にはそれほど顕著な特異性は認められないが,一

般的にいえるこ とは, 冬季の降水量が積雪の形で山岳に包蔵されるi流域をもっ河川

においては, 3月中旬~5月末頃まで融雪水のため流量は増加する。

まずこ本州中部山岳地帯に源をもっ主要河川についても, 100km2当りの月別平均流量

(昭和23~32年10ヵ年間〕 を調査しその結果を第 5図に示した。黒部川及び信濃川流

域の魚野川は冬季の降水量が極めて多く,その殆んどが積雪となって山岳に包蔵され

ているため春一先からの融雪によって流量は急激に増加する。増加し始める時期は魚野

川が黒部川より 1ヵ月早いことは注目に値する。このこ とは融雪に及ぼす気温のずれ

を示唆している。

各河川を比較する と, 太平洋側の河川は年聞の流量及びその変動が小さく,日本海

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西本:;水資源と水力発電供給力について 45

第 4図 月)JIJ平均流量曲線(100km2当り〉〔日本各地〕

第 5図 月別平均流量曲線 (100km2当り〉(中部山岳地管〕

5 6 7 8 9 10 11 12月

Page 6: 水資源と水力発電供給力について西本:水資源と水力発電供給力について 43 節と位置によってかなりの差異がゐる。第1図は日本各地(南

46 水 利 科 学 第4巻 第 2号 (1960)

似!JI主共に大きい。又その中間を流れる信濃川(上流部〉,木曽川等はそのどちらにも属

していない。

以上の如く河川によって流況はそれぞれ特性をもっているが,全河川を通じて冬期

の渇水は 12~3月中旬であって,中でも 2月が最渇水となる。又夏季の渇7]<:は 8月に

現れる。

(2) 流量図

河川流量が季節によって大きな変動をするこ とは(1)に述べた通りであって,この変

動する状況をわかりやす く現すため一般に流量図を用いる。この図は憤軸に 1年 365

日を暦日のJI債にとり,縦軸に毎日の流量をプロットしてそれらの点を結んだものであ

る3

第 6図はその I例として日本の代表河川である信濃川 (照同測*所〕 の昭和32年に

おける流量を示したものであるつ

(3¥ 流況山線

これは機軸に 1年365日を, 縦軸に流量;を大きいl阪にプロ ットしてその点を結んだ

ものである。第 7図はその 1例であって, 第 6図から得た流量曲線で‘ある。

この流況1曲線は発電所の設計に際して最も重要なもので為って,長期間の記録から

平均流況曲線をつく り, 豊;]<:量,平水量,低水量及び;i;i7)<:量をユ!とめると共に,発電所

の使用水量の決定に欠くことのできないものである。

3. 水力発電の経緯とその使用水量

11'1 71<:力発電の経緯(4〕

世界最初の水力発電所は1882年に運転を開始したアメリカのアッフヨノレトン発電所で‘

あるc 日本においてはそれより8年遅れた18何年 (明治23年〕に栃木県の下野麻紡績

会社と古一河鉱業会社が自家用としてそれぞれ発電を開始し,一役供給用としては1891

年(明治24年〕に供給を開始した京都の蹴上発電所が最初のものである。

それ以後水力発電所の開発は電力需用の増大と技術の向上によって急速に進歩し,

現今(昭和34年3月末日現在〉では第8図に示す如く,総出力が 10,815, 774 KWにも

達している。殊に図に見られるように大正11~15年,昭和12~16年及び昭和27~31年

の各5ヵ年間における開発量;l土非常に大きいものであった。

(2) 発電使用水量

佼用水量も当初は午間の;'/;,\ Jj(_W:く355日〉 をもって最大使用水量の係準とした。従

ってこの頃の発電所は常時発電所であって,最大使用水量も流況曲線から容易に決定

することができた。

その後電力需用が活発になるにつれて需用構成が大きく変化すると共に発電所の建

設や送変電設備に対する技術が向上し,水資源の高度手lj用を目的とした貯水池や調整

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流tu:曲線 ο昭和32年,伝説佐川水系!何回rnu171' Jfr) 白116凶

m'/sec

1,600

1,400

J,200

国外

一斗ハ域頭市ゆけ間四時降凶附川何いハ川

I 0 20 30 I 0 20 31 I 0 20 31 I 0 20 30 I 0 20 30 I 0 20 30 I 0 20 3 6 月 7 月 8 月 9 月 JO 月 11 月 12 月

平木量 低水量 渇木量

185日: 275日! ' I I ,355日i280 300 320 340 360

1,600 1,000

令。卯月

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,荒 1.200

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260

Vfl:Ll: 曲線(1113和 32年, 信波川水系照岡 ~UI水所)

240 220 200 80 60 40 20 80

第 7図

60 40 20 。

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48 水利科学第 4巻 第2号 (1960〕

第 8図 わが国包蔵水力の趨勢

35•ー

30

25

20

15

10

第 1次第 2;);、

ト斗 ト→

抗 3I,人

池が設けられるようになっ

た。又一方需用の変動に対

処するため火力発電が行な

われるよう になったので,

経済発電の菌から最大使用

水量決定の標準としては当

初の渇水量から平水量〔185

日〉,豊水量〔何日〉 へと変

ってきたっ

戦後においては戦災の復

興と共に電力需用が急激に

増加したため,*力発電所

の開発のみでは需給パラン

スの維持が困難となった。

未開発 | そのため高能率の大火力発

電所を建設して常時発電を

部 4 ;,~

~叶26~30

行うようになったこ と,及

び近い将来原子力発電が開

始されること等によって,

電力系統が益々拡大するに

伴って日々のピーク及び気

象の急変や事故などによる

需用の変動量も増加する。

これらの需用に即応し得る

供給力は大容長の水力発電

のみであることから,今後

~29 '".' ~~ ~539 •_o,, :5大s6 10 ~11 s ~; 1-11 ~216 '.!21 :_\ゐミI~23;開発される水力発電所に期

待するのほかはない。従ってこれらの発電所は使用水量の大ぎいものが要求されるた

め設備の利用率が低下するこ と,建設地点が山間(gft也になること等から発電原価は高

騰するが止むを得ない。

(3)発電所出力

発電所出力は使用流量Q 〔m3/s),有効落差H (m〕,水車効率ヰT, 発電機効率戸を

知ることによって次式から求められる。

理論出力=9,8• Q • H 〔KW]

発電機出力=9,8・Q ・H・甲T・守G 〔KW"},

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西本:水資源と水力発電供給力に竺主:三軍49.ill

第 9図 (イ〉豊水期の負荷曲線 第 9図 (ロ)渇水期の負荷曲線

(MW

"oaa

3,500

3,000

。日2

暢問

問問

500

2 ' 時 刻

10 12 " 16 18 20 22 "

(注〕 東京電力,昭和34年7月22日水曜日,晴後薄曇 (注〉 東京電力,昭和35年 1月初日水随日, n;!l

一般に発電所出力とはこの発電機出力をいう 。即ち発電所出力は使用水量と有効落

差に比例する。又水車の裂式は有効務差によ って,ベルトン,フラ ンシス,プロベラ

及びカプランの内から忍ばれる。

4 水力供給力

(1)季節と水力供給力

ノドブJ供給力とは一般に水力発電力又はそれから発電に架する事業用’庖力を除いたも

のをいう っ ;K力発電の中には自流式,調整池式,貯水池式及び揚7J<式の 4種がある

が,現在においては自流式,調整池式がその大部分を占めているc

むとって水力供給力は戸[川流量の多い援候期が設も大きい。第 9図はその 1fyljとして

J段・渇水期の負荷山線を示したものであって,この図において黒く縁をとった部分が,

第 1表 発電電力量 (単位 :1Q3K¥¥.H〕

力 火 力 | 合計

開和26年度i

27 I 28 : 29 30 31 32 33

34,053,007 35,661,083 38,641, 972 41,005,765 43,425,712 47,436, 187 51,488, 149 55,802,250

7,032,891 8,595,500

10,061,837 9,525,396

11,491,410 15,216,302 18,730,387 18,898,286

41,085,898 44,256,583 48,703,809 50,531,461 54,917, 122 62,652,489 70,218,536 74,700,536

(注〉 但L,水力は他社受電を,火力は内燃力をそれ.'f'れ含む

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50 水利科学第4巻第2号(1960〕

第 2表発電所送電端電力量 (単位:1o•KWH)

力揚 計カ火 7.K l合

Ciキ〕 水力は他社受電を,火力は内燃力を含む.住友共電自社分,黒部川電士,大島電力分は含まれていない

度干〉

UU績

4

5

6

7

8

qunJququqvqu

和実

昭{

55,317

55,894

54,058

58,110

62, 122

65,060

17,868

27,823

40,335

45,702

51,305

57,981

91

31

~147

225

-261

-333

73,094

83,686

94,246

l 03,587

113,16ι

122,708

w; 3衣 認可最大出力 (単位 103 K¥1・〕

水 :tJ •)( カ ノ口〈、

昭和33年度 9,722 5,537 15,359 〈績実)

34 10,282 7,030 17,312

35 11,185 8,660 19,845

36 12,491 ヲ,576 22,067

37 13, 171 10,933 24, 104

38 14,296 12,665 26,961

(注〉 本表は12月最大電力と見合った設備を示す

水力供給力を示すものであり,豊水期の供給力は lfl中大きな変化l土ない。これに反

し渇水期は軽負荷時(深夜及び早朝〉に調整It也や貯水池に貯水を行い,重負荷時にそ

の貯水を使用するため供給力は軽負荷吋の約 2倍にも達する 又冬季は豊*期におい

て貯水した貯水池放流分が大きなウェイトを占めている。一方この図から火力発電力

が水力発電力の増減の影響を顕著に受けることも容易に諒解することができるつ

(2) 需給計画と水力供給力(6~7)

第 1表は昭和26年度以降の年度別発電電力量の全国合討を示したものであるう 33年

度の各電力量を26年に比校すれば,水力164%,火力269!f,5' 合計182%'とそれぞ れ増

加しているの

昭和35年 3月,中央電力協議会から発表された長期需給計画によれば発電所送電端

電力量(発電電力量より事業用電力量を除いたもの〉並びに認可最大出力は第 2~3表

に示す通りでらる。 38年度の計画量:と33年度の実績についてその各々を比較すれば,

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電力量 :水)Jl18%,火力3249;,合計168,;'b

認可出刀 :水力147%,火力2293,;,合計17536

百本 :水資源と水力発恨供給力について 51

となり,この増加比率をみれば火力は電力Jf¥:,認可山J}とも急激によ将加するが,水力

は認可出力の憎加する筈I]合に電力量が泊加していないっ

5. 水菜運用計画

水系運用 とは同一水系にある多くの発電所を電力需用に対応して逆転し,水資源を

最も有効適切に利用することをいう p 一般に河川の上流に貯水池があって,下流の発

電所が調整池をも っている水系は綿密な水系運用計闘をたて,それに基づいて発電所

の運転を行なっている。

第10~11図はその l例として東ぷ電力の古妥川辺用計1mjを示したものである。この

川は第10図に示すように最上流に貯水池をもっており,下流に 5つ支流に 1つの調整

池をもち,発電所は本支流合せて13ヵ所ある。計画に当っては午'1lfiと午後ピーク発電

を行うこととし,河川の自然流量,貯水池放流E,調拡j也容む及び発電所間の着水所

要時間等に基づいて各発電所の淫用計画をたてた。

なおこの計iilliは,本川にある発電所の昭和 30イ「度冬季について行なったものであ

ることと,このような計画は季節(河川流量の変動)によって異なることをH記するヲ

6. 貯水池の運用計画(8)

貯水池は豊水期又は軽負荷けIi'の余水を貯水して渇7)\期の/:H力を増加させるために設

第10図 吾妻川水系水長関係図〔東京電力,幸l]fj,!川水系〉

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52 水利科学第4巻第2号(1960)

第11図 7]<:系運用計画(東広電力,吾妻川,昭和30年度冬季〕

JO 5 。

20 15 10 5 。10 5 。15

10 5 。

。15 10 5 。

25 20 15 JO 5 。

手量 30

電25 20

力 15

(10'KW) l ~ 。25

20 15 JO 5 。JO 5 。

160

140 130 120 110 JOO 90

BO 70 60

50 40 30 20 JO 。

曹主

ーーーム

芭韮

3.600

今井 I 500

===工二二二===

羽担尾

3.000 一ーム

犬家

。。。

川中

松合

4.200

原'T

4.000

話島

7 000

金井 d.300

28.2

5.200 5 200

J ,891.;lOKWH

4

2

3

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発各、ノ注(

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西本 ー水資額と水力発電供給力について 53

けられる。貯水池からの放流は下流の情勢によって異なるが,主として冬季の渇水哀

に行なって火力の補給用として使用されている。近年火力発電所が常時運転を行う よ

うになったので, 将来は〆ム式発電所と同様ピーク及び需用の変動に対する供給力調

整用となる傾向にある。

第12図は代表的な貯水池で・ある猪苗代I舗と三浦貯水池の34年度使用計岡山線を示し

たものであって, jUoj貯水池の言l函水位を比較すれば各々の特性を知ることができる。

即ち猪苗代湖は 7月に最高水位となり, 8月以降徐々に低下して 2月末までに会貯水

量:を消費する。 一方三浦貯水池は 8月に僅か放流するのみで全貯水量の殆んどを l~

第 12図 貯水池使m計画水位曲線

猪苗代 三浦

〈/40.0

l. 0

30.0 0.5

* 水

位 f立20.0 。10.0

0.5

4 5 6 7 8 9 101112 I 2 3 。し

456789101112123

月 月

2月の 2ヵ月間で消費する。この図で猪苗代湖の年度初めの;j({立と年度末水位の相違

は前年度の貯水残があったことによる。

7. 日本の包蔵水力(4)

第4次発電水力調査書によれば,日本の包i浸水力は第 4表及び第 8図にifaす通りで

あって,地点数237点,最大出力 35,370, 079KW,発電電力量 130,090, 120 MWHであ

る。この包蔵水力地点は主として本川中央部の水系に集中しており, 1 7j(系で 100万

’KW 以上を包蔵している木曽川, 阿賀野川,信濃川,神jffi川, J主川, 天竜川,利根川

及び黒部川の 8水系で,五正大出力は合せて1,623万KWとなり, ヲ!'.包蔵 7Jく力の46%を占

めている。

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54 水利科学第4巻第2号(1960)

区分 |

既開発|

工事,,, '

未開発 |

第 4表包銭水ブJ

i 売電 力 (Kii) I 地点数 | 一一一一了一 |

|段 大 |常時 |

758 21,253,625 3,426,681

2,372 35,370,079 8,002,636

発電電力量(1Q3l-:¥¥"H)

59,178,215

10, 194,627

60,717,278

130,0ヲ0,120

ス日信和33年比末現在の開発設を全包蔵水力と比較すれば,地点数65;?;,最大出力30

~~, 常時出力53~,;,発電電力w:45 .0o となるつこの結果から未開発地点 1 地点当りの最

大出力がいかに大であるかを知ることができる。このことは電気事業者が最大出力並

びに水資源の高!立利用を計っていることを示唆している『

8. 水資源利用上の今後の問題点

(1) 水文気象調査

従来は水力発電所の設備や最大使用水量の決定は河川流量:によ って行われてきた

が, 7.で、述べた古uく今後の開発は最大山力の増加と水資源の高度利用を主に行うこと

となるため, 水力泣;l京のもととなる[Li舟降水量(雨,雪)の把握を始め,降水から河

JI Iへの流出機構ミ??について詳細な調査を符わなければならないー

(2) 多目的ダムの築造

河川流量は降水廷の多少によって左右されるが, 水力資源は必ずしもそうとはL、え

ない。.i'!Dち水力資源とは河川流量:のうち発電に利用し得るml量を指すものであって,

集中豪雨,台風及び融雪等によって生ずる一時的な洪水は有害無益で、ある。

日本は年降水量が多いのみならず,その降水量:が河川へ流出する割合も高いc その

ため水資源に志まれている一方洪水による被害も又大きいc 近時治7.K,矛!J7.K,発電等

を中心とした河川総合開発百ii@のもとに随所に多目的ダムの築造がなされつつあるこ

とは誠に喜ばしいことであり,更にこれが計画の実現に努力しなければならない。

(3) 河川流益予測l法の研究

電力系統の迩用に際しては河川流量の予測が重要な問題である。現在電力会社では

前日に翌日 の電力需用量を想定し,これに対応した供給計画をたてている。そのため

にはまず河川流量を予測して自流式発電力の想定を行い, それに貯水池式発電力,火

力発電力並びに会社聞の融通電力等を加えている。

従って河川流量の予測が的権に行われれば,7J":・火力発電所の合理的なfJf用と,水

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西本 ・水資源と水力発電供給力について 55

の有効利用を計ることができる。近年降雨から河川流量を予浩{する方法について多く

の機関が鋭意的な研究を続けているが,まだ実用の域に達していない。従って今後も

この研究は続行すべきである。

(4) 人工降雨の研究

水力発電所の最大使用水盆は河川流量に対して益々大きくなるため, 発電設備の利

用率は極度に低下しつつある。 このようなとき人工によ って降雨の促進を行うことが

できれば利用率の向上はもとより発電力も増加する。

そのため電力会社て、は気象官署や大学の協力を得て人工降雨の研究に着手し,今年

で10年目を迎えるに至ったっ この間の研究によって多くの成果を得ると共に,効果ーの

あることが判明した。現在は実用をかねた実験発煙(低温の雲へ氷品核を送り込むこ

と〉によ って統計的な効果判定を行うための資料収集と物浬的な効果判定の研究を行

なっている。従ってその結論を得るまで研究を継続することが肝要である。

(5)人工融雪の研究明

水力資源の豊庫ともいわれる本州中央部の山岳地帯を始め,東北及び北海道におい

ては冬期降水量の殆んどが春の気温上昇によって融宍水となって一挙に流出してしま

う。従って豪雪地帯といえどもその*の大半は発電に利用されていない。

そのためこの融雪を人工的に調節して渇水期に使用することができれば最も理想的

な水資源の利用を行うことができる。この問題について関西電力株式会社が三浦貯水

池で雪国にカーポンプラックを撒布して行なった実験結果によれば,絞雪 lmまでは

有効であり, 33年 2月の突験ではf散布後怒:天候にも灼らずかなり の増加電力量を得て

し、る。

電力会社としては冬期渇水対策の一環として人工融勾の研究を行うことも一策と考

えられる。

(6) その他

(i) 貯水池の蒸発抑制(10)

貯水は春の融雪水,豊水期の余水及び台風等によって最大の努力を払って行なって

いるが,この間貯水池表面からの蒸発がかなり多い。この蒸発事附iljについてはオース

トラリアを始め各同で真剣lに研究を行なっているが,日木においては農林研究所で行

なっているのみで、あるゥ大容量の貯水池を多数もっている電力会社等はこの研究を行

なって水資源の保全並びに有効利用を青|るべさである。

(i1〕 主〈象現象の早期把握

電力系統運用を円滑に行うためには,気象現象の早期把俸が軍:~:な問題となってく

る。 Jl [lち送電線を始め~b'.気工fr物を異常気象による災害から保護するばかりでなく ,

水系巡用においては降水却を迅速に把握するこ とによって河川流量の想定を行い,調

整池,貯水池の有効利用が可能となる。

Page 16: 水資源と水力発電供給力について西本:水資源と水力発電供給力について 43 節と位置によってかなりの差異がゐる。第1図は日本各地(南

56 水荊!科学第4巻第2号(1960〕

近時気象官署においては観測もレーダーやロボッ ト雨量計等の利用によって迅速化

されると共に予報も電子計算機の駆使によって精度の向上を計っているが,観測地点

及び設備もまだ十分とはいえない。

従って気象と密燥な関係、をもっ電気事業者は観測地点の地1!日比びに設備の向上を計

り,予報精度の向上に大いに協力する必要がある。

(東京電力株式会主仁工務部 部長代理〉

参考資料

(l) 気象庁発行了雨量報告」第 8編,昭和28年12月今

12・・ 気象庁発行「雨量報告J第 9編,昭和34年 1月。

(3J 気象庁発行 7全国気象旬報別冊』昭和31, 32年。

14) 通商産業省公益事業局編「発電水力説n証書』 (第 4次〕昭和35年 3月。

.. s) 通商産業省公益事業局編 「発電水力調査書』 (第 4次〕 一流量要覧一昭和35

年 3月。

(6) 中央給屯述絡 会 議 発行『給電年報』昭和26~33年度合I 中央給電連絡指令所

¥7) ''"央電力協議会 事務局発行 『昭和34年度電力:長期修正計画概要』〔昭和34~38

年度〕,昭和35年 3月。

¥8' 通商産業省公益事業局需給隷編 『電力需給の概要』昭和34年度っ

伊) 三上仁 「人工融雪について」「電力』第 42巻第 7号,昭和33年 7月:

101 荒川秀俊 「電力気象の新しい道」 『給電連絡会議資料」 L第28回),

昭和35年 2月。

Page 17: 水資源と水力発電供給力について西本:水資源と水力発電供給力について 43 節と位置によってかなりの差異がゐる。第1図は日本各地(南

了訂 正J

前号(第 4巻第 2η)掲載の,百本憲三「水資源と -.;;力発電供給力につい

て」 の文中,下記の誤りがありましたので訂iE'- 、たしますュ執筆者 ・読者に御

迷惑をかけた こと をおわびいたしますc

43頁 8行自 「9月」を「8月」に訂正

的頁 10行目 (第 9図の説明に関連して)「 この図において黒く縁を

とった部分」を 「ー 斜 線の -」に訂正