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造幣局監事資料
資料1 監事監査の状況等について・・・・・・・・・・・・・1
資料2 平成24年度 監事監査実績・・・・・・・・・・・・3
資料3 平成24年度 上期監事監査の結果について・・・・・4
資料4 平成24年度 下期監事監査の結果について・・・・11
資料5 監事監査要綱・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
平成25年6月25日
独立行政法人造幣局
1
(資料1)
平成 25 年 6 月 25 日
独立行政法人造幣局
監事 和田 馨
監事 中津 祐嗣
監事監査の状況等について
1 監査の基本方針
独立行政法人通則法第 19 条第 4 項に定める監事監査の実施に当たっては、「独立行政
法人造幣局監事監査要綱」に基づき、「独立行政法人整理合理化計画」(平成 19 年 12 月
24 日閣議決定)及び「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成 22 年 12 月
7 日閣議決定)等を踏まえ実施した。
2 監査の実施状況
(1) 理事会等への出席
理事会及び幹部会など重要な会議に出席し、必要に応じて意見を述べている。
(2) 現場等への実地監査
定期的に実地監査を行っている。また、部(所)支局長以上等の決裁文書について、
本局では随時に書面監査を行うとともに、支局へも定期的に赴いて書面監査を行って
いる。
(3) 会計監査人及び内部監査部門との連携
① 会計監査人との連携については、会計監査人から監事に対して、監査計画書等の説明
があり、決算終了時には「独立監査人の監査報告書」の提出及び説明がなされている。
また、監事からは、監事監査結果報告書等を提供し、会計監査人との情報交換を行っ
ている。
② 内部監査部門との連携については、内部監査報告書の閲覧による監査状況の確認や内
部監査部門からのヒアリングを行っている。また、年 2 回行われているISOマネジ
メントレビュー(検証会議)に出席し、必要に応じて意見を述べている。
(4) 「独立行政法人整理合理化計画」等を踏まえた監査
① 契約の適正化
契約の適正化(随意契約及び一者応札契約の削減)に向けて、全契約案件につき
管理責任者及び関係者にヒアリングを実施し、意見を述べている。
2
また、「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」(平成 21 年 11 月 17 日
閣議決定)に基づく「契約監視委員会」の委員として、点検・見直しを実施してい
る。
② 保有資産の見直し
保有資産の見直しの状況について、管理責任者及び関係者にヒアリングを行う等
によりチェックしている。
③ 給与水準の適正化
給与水準については、国民の理解を得られるものとなっているかどうかの視点か
ら、人件費総額の削減状況を含め、調査データに基づいてチェックを行っている。
④ 内部統制の状況及び情報開示の状況
ア 法令等遵守体制及びリスク管理体制等に関しては、コンプライアンス委員会等に
出席し、また、関係者にヒアリングを行い、内部統制の状況の確認を行っている。
イ 重要な文書その他の情報が、適切に作成・保存・管理がなされているかどうか、
機密情報、ノウハウ及び個人情報などの漏えいを防ぐ対策が講じられているか、
一方で、国民からの情報開示の要請に適切に応えられる措置が講じられているか
など、情報開示の状況の確認を行っている。
以上
4
(資料3)
平成24年10月31日
理事長 新 原 芳 明 殿
監 事 森 山 潔
監 事 和 田 馨
平成24年度 上期監事監査の結果について
標記について、下記のとおり報告する。
1.日 程
(1) 本 局 平成24年 9月19日(水) ~ 10月 1日(月)
(2) 東京支局 平成24年 9月13日(木) ~ 9月14日(金)
(3) 広島支局 平成24年 9月 4日(火) ~ 9月 5日(水)
2.監査項目
(1) 現預金監査
(2) 業務監査
① 使命
各理事及び各課室長以上の役職員各人の使命及び使命遂行にあたり現在困難
と考えていること
② 組織目標
平成24年度の組織目標の進捗状況について
③ 個人目標
平成24年の個人目標の進捗状況について(各理事は自ら考える目標、各課
室長以上の職員は人事評価(業績評価)記録書にある業績目標)
④ 年次改善目標の取組状況等
・平成23年度年次改善目標の結果について
・平成24年度年次改善目標の進捗状況について
⑤ 各課室におけるコスト削減への取組状況
⑥ 保有資産の見直し状況
⑦ 診療所の状況及びメンタルヘルスのカウンセリングの状況
⑧ 給与水準の適正化
⑨ 内部統制の取組状況(コンプライアンスの確保を含む。)
⑩ 契約事務の執行状況
・一般競争契約(一者応札)及び随意契約(売払契約及び少額随意契約を除く。)
について
⑪ 情報開示の状況
㊢
5
⑫ 今までの監事監査のフォローアップ
⑬ 造幣局トップへの要望
⑭ その他関連すること
3.監査対象
(1) 監査対象は、原則として各理事及び各課室長以上の役職員とした。
(2) 各課室の業務監査対応は課室長のみ。ただし、監事が指名した場合及び監事の了
承を得た場合には課室職員の同席を可とした。
4.監査結果
(1) 現預金監査
9月5日時点での広島支局総務課(支局展示室・経理担当)、9月13日時点で
の東京支局総務課(経理担当)、事業管理課、販売事業課、9月25日時点での事
業部販売事業課、9月26日時点での総務部経理課について、現金及び小切手の管
理状況について確認を行ったところ、問題となる事項は見当たらなかった。
(2) 業務監査(日常監査及び両支局における月次監査も踏まえて)
【特記事項】
① 業績目標・年次改善目標の進捗状況・取組状況
業績目標の設定・運用に関しては、着実に改善が図られている。
平成23年度下期監事監査報告で指摘した人事評価における業績目標の期間
と業務年度のずれに関しては、監事監査報告に対する回答において、「平成25
年度から人事評価期間を業務年度と同一の4月から3月とする」とのことであ
り、来年度実施に向けての準備(職員への周知等)を確実に進められたい。
しかしながら、過去の監事監査報告において指摘している「業績目標の設定
に当たって、目標が定性的で達成時期等が明確でない事例」が相変わらず散見
される。平成24年6月に総務部人事課からの文書「業績目標の設定に際して
のお願い」において、業績目標の達成時期や達成基準を明確にするように、目
標項目と達成基準の例示、目標設定面談における定量的な目標設定の具体例等
を記載し発出されている。このような取組を行っていても、今回の監事監査で、
課長クラスの業績目標の中には、定性的ないしは達成時期が明確でない事例も
一部に散見されるので、部所長・支局長等が業績目標の設定に際して、さらに
積極的に関与して個別に指導頂くことが必要と考える。業績目標の明確化が行
動計画の明確化・業務改善に繋がると思う。
なお、業績目標設定に関して、本年度兼務発令された課長について、主務の
課の業績目標のみの設定に留まっている事例があり、人事評価の運用上も問題
があると言える。具体的には、兼務先の課の課長としての業績目標を記した人
事評価記録書がない状況であり、兼務先の課長としての業績評価ができないこ
ととなる。早急に改善する必要がある。一方では、むしろ解決策としては、兼
務発令自体に際して、当該課長の業務繁忙度等を良く踏まえて、企画調整官に
課長としての職務を命ずる、ないしは、次長が当該課の課長を兼務する等、よ
り実態に即した兼務発令・人事上の運用を行うべきではないかと考える。
年次改善目標に関しては、今年度からは(年次改善目標の四半期ごとの達成
6
状況を確認させて頂く観点から実施していた)中間監事監査を省略し、執行部
門の管理に委ねることとしたが、四半期の達成状況管理は確実に行われている。
先般9月21日に開催されたISO9001・14001マネジメント・レ
ビュー(上期検証会議)においては、各部所長・支局長から、年次改善目標の
達成・進捗状況に関して発表があり、進度管理は確実に行われていると認識し
ている。特に、東京支局においては、支局内各課の年次改善目標及び達成状況
を一覧性のある表で把握できるように纏めており、同様の把握・管理方式の水
平展開がなされることが期待される。
② コスト削減への取組状況(コスト意識の徹底)
コスト削減への取組は、着実に進んでいる。平成23年度下期監事監査結果
報告で指摘した内部管理予算の「費目別管理」に関する運用の改定を行う等、
監事からの指摘に対してもタイムリーに対応を頂いている。
なお、コスト削減に関連するテーマとしては、従来からも業務効率化の観点
から「旅行計画書・復命書」の廃止・簡略化等を提言しているが、この提言に
関しても是非とも早期の実現を検討願いたい。
また、出張に関連して、東京・広島支局への出張時の新幹線費用の削減並び
に職員の出張費用立て替え解消等の観点から、法人向け「エクスプレス予約」
の導入を提言したい。「エクスプレス予約」にすることで、職員が安売りチケッ
トショップで乗車券を購入する等の手間を省き、職員による立て替えも不要と
なる。法人向け「エクスプレス予約」については、導入を検討したものの、現
時点では未導入と聞いている。
本局から支局(特に東京支局)出張時に、財務省や関連先を訪問する際に官
用車を利用せずに、タクシーを利用するケースが散見されるが、コスト削減の
観点からもできる限り支局の官用車を利用するべきと思う。一方で、官用車運
転業務に関しては、外部(政独委)からの指摘もあり、将来的には、外部委託
を検討すべきと思う。
③ 超勤削減・効率的な業務処理への取組
平成24年度上期における事務技術系職員の超勤時間数は、研究所を除く全て
の部及び両支局において増加しており、全局計では対前年比115.5%(9月
末現在)となっている。増加の要因としては、突発的業務への対応や数年に一度
の業務の当たり年であることによるものなども挙げられている一方で、記念貨幣、
工芸品などの製品数、販売数の増加による業務量の増に人員数が追いついていな
いケース、作業計画上の業務量の増に伴う必然的な超過勤務の発生も見受けられ
る。これらのいわばベース業務量の変動に対しては、より機動的な要員のシフト
やパート職員の集中的投入によって対応すべきと考える。
また、ともすると業務のすべてを自分たちで完結させようと頑張る傾向があ
るように思えるが、本当に職員が自らしなければならないことと外部にアウト
ソースできる部分を仕分けして、思い切った外注化を図っていくべきであろう。
「公共サービス改革基本方針」の一環として、貨幣セット販売事業が対象の
俎上に上がっていると承知しているが、民間業者への委託の是非の判断は公共
サービス改革の検討結果を待つまでもなく、自主的に検討を加速すべきである。
7
超勤時間数が増加している中で、例外的に減少している課(室)の長の話を
伺うと、毎朝の短時間のミーティングにより業務ピークの平準化に努めている
ケース(本局総務課、調整室)や、課内の仕事のスケジュールの見える化を行
い、相互応援を図っているケース(広島支局総務課)など良好事例が見られ、
何よりも所属長の超勤縮減に向けた強い決意が結果につながっていることを感
じた。これら良好事例が水平展開されていくことを望みたい。
④ 保有資産の見直し状況
保有資産の見直しについては、独立行政法人整理合理化計画(平成19年1
2月24日閣議決定)及び「職員宿舎廃止・集約化計画」(平成21年3月31
日)等に基づき、着実に進められてきており、特段指摘すべき事項はない。
⑤ 給与水準の適正化
造幣局職員(一般職)の給与水準は、国家公務員(行政職(一))との比較指
標(ラスパイレス指数)で、平成23年度98.7と下回っている。(平成24
年6月29日公表)
対民間比較については、平成23年度下期監事監査報告書の記載以降新たなデ
ータが発表されていないので変更はない。
また「総人件費」については、平成23年度は前年度に比して、人員の削減等
によって2.5%の減となっている。
以上を総合的に勘案すると、給与水準については妥当なものと評価することが
できる。
⑥ 安全衛生対策
安全衛生対策については、各局における毎月の職場パトロール(本局は監事
もオブザーブ参加)や安全衛生委員会での活発な論議やリスクアセスメント活
動の展開等の地道な活動が安全意識の高揚に繋がっていると言える。
しかしながら、平成24年度においても、残念ながら上期に4件の公務災害
が発生している。いずれも、階段踏み外し(2件)、指の挟まれ、物品落下に伴
う転倒といった軽微な事故ではあるものの、日頃のリスクアセスメント活動が
展開されている中での発生であり、発生原因の分析と災害発生防止活動のさら
なる徹底が望まれる。
メンタルヘルスに関しては、平成24年9月末現在のメンタル疾患による 1
か月以上休務者は3局合計で8名であり、中には、一旦フルタイム勤務になっ
たものの再び勤務制限措置が適用されたり、病休になることを繰り返すケース
も見られる。総務部職員課では「心の健康づくり計画」を新たに策定したり、
本局診療所では、「職場復帰支援プログラム」を作成する等の取組を行っている。
広島支局でも、産業医による相談や個別支援が行われ、本局の外部専門医によ
る個別相談も行われている。これらの取組を有機的に結び付け、(個人情報の取
扱いに留意しつつ)お互いの情報を共有しながら、3局連携してメンタル不調
者の発生防止と職場復帰支援に取り組んで頂きたい。
「職場復帰支援プログラム」については、職場での的確な理解を進めるため
の説明会や個別のケースに即した助言を行っていくことも検討願いたい。
8
⑦ コンプライアンスへの取組
コンプライアンスへの取組に関しては、コンプライアンス委員会の開催(5
月28日)並びに、5月9日には管理職対象に「管理職コンプライアンス研修」
を実施し、パワーハラスメントをテーマとして、具体的事例・パワハラ防止の
ための留意点等に関して研修の実施等の着実な取組が行われている。
一方で、7月に実施したコンプライアンス意識調査結果においては、セクシ
ャルハラスメント及びパワーハラスメントについての回答内容に関してやや懸
念されるものであったと認識している。セクシャルハラスメント及びパワーハ
ラスメントに関する相談の体制は作成されているが、現実には、機能していな
いのではないか。5月の研修でも講師の弁護士が強調したように、「セクハラや
パワハラは研修を受けた時には解った積りでも、自分の『心の隙』からハラス
メントを起こしてしまうことになりかねない、常に自らに問いかけをし、研修
も繰り返し行うことが重要である」とのことであり、管理職だけではなく、全
職員向けのコンプライアンス研修において、セクハラ、パワハラをテーマとす
ることを検討すべきである。今後策定するコンプライアンス意識向上策におい
ても、職員へのセクハラ、パワハラへの留意並びに防止策を明記頂きたい。
⑧ 契約事務の執行状況
契約事務については、「競争促進プロジェクトチーム」及び「一者応札解消プ
ロジェクトチーム」を定期的に開催し、そこでの議論を経て「契約監視委員会」
における審議に付されるなど、厳格な手続きのもと適正化に向けた努力が続けら
れている。
なお、継続的に一者応札の状態となっている案件のうち主要なものとして広
島支局の溶解設備の点検、修理に関する契約が挙げられており、現有の設備を
使用する限り、その特殊性から他業者の参入は困難とされている。これを教訓
として、現在建設中の新溶解設備(平成25年春竣工予定)においては、総合
評価落札方式を採用し①メンテナンスに複数業者が参入可能なようにすること、
②メンテナンスコストを極力削減すること、との条件を付してメーカー選定を
行ったと聞く。この件に関しては、契約監視委員会から「施工段階においても、
さらに一者応札・応募解消に向けた工夫・努力を継続されたい。」とのコメント
を受けているところ、9月12日開催の両PTにおいては、一定の技術審査や
メーカーからの技術指導員の派遣が必要であること等が制約となって、一般競
争に向けてはまだまだ条件整備が必要との報告がなされていた。今後設備の完
成まで限られた時間の中ではあるが、組織間の連携を密にしてこの問題の解決
に向け一層の努力を望みたい。
⑨ 効果的な広報戦略・販売戦略の展開
平成24年度については、地方自治法施行記念貨幣シリーズの7県発行(岩手
の追加発行も含む)、心のふるさと貨幣セット(四季の歌)、世界遺産貨幣セット
(小笠原・平泉)、古事記1300年貨幣セットに加えて、IMF・世銀グルー
プ年次総会開催記念貨幣、日本・スリランカ国交樹立60周年記念貨幣等が発行
され、その他金属工芸品としてのICDCメダル、七宝章牌(青森ねぶた祭)、
9
肖像メダル(双葉山)、国宝章牌(平等院)等々の販売開始の都度、ニュースリ
リースを行っている。
このように次から次へと、販売用貨幣や金属工芸品が発売される場合に、そ
れぞれに関しての広報活動は重要であるが、一般国民に情報を伝える報道関係
者の立場で考えると、これだけ多くの貨幣セットや金属工芸品の情報を受けて
も、余程付加価値のあるニュースリリース(情報)でなければ、新聞やラジオ・
テレビ等において一般国民にインパクトを与える形で取り上げられないと思わ
れる。ある程度メリハリの利いた広報活動、付加価値のある情報提供が必要で
あると思う。
とりわけ、地方自治法施行記念貨幣シリーズについては、平成24年度後半
発行の栃木県・大分県・兵庫県で累計25道府県となり、47都道府県の折り
返し点を過ぎたところである。関心度を表す千円銀貨幣セットの抽選倍率(人
気のバロメータとも言える)を見ると、発行開始の平成20年度から平成22
年度頃までは、6.2~5.0倍で推移していたものが、平成23年度は、4.
5~4.0倍程度となり、平成24年度前半の宮崎県は3.9倍、直近の栃木
県では3.8倍となっている。
発行県の地元の関心を高めるための施策(復興記念貨幣で行った一般国民か
らのデザイン募集、子供向け教育プログラムの組み込み、地元金融機関との提
携イベント企画による500円貨幣の交換等)を検討し、記念貨幣人気の再押
し上げ並びに周知を図る必要があると思う。
アメリカにおける50州クォータープログラムの各州での展開に際してのマ
ーケティング戦略(広報戦略を含む)については、既に参考にしていると思わ
れるが、改めて確認・検証の上、今後の効果的な広報戦略・販売戦略策定の参
考にして頂きたい。
なお、24年度から導入した「キラキラ☆コインズ」、そして着ぐるみキャラ
クター「コインくん」は、各種イベントや一日デザイン教室等においても人気
を博しており、これらのさらなる活用が求められる。
⑩ 技能伝承
造幣局の事業は長年の伝統によって育まれ、培われてきた高度の技能によって
支えられている。それぞれの職場においては、これらの技能を次の世代の若い人
たちに伝承していかねばならないという強い使命感を等しく共有している。
しかしながら、昨今の新規採用人員の抑制により、若年層の人数は著しく減
少し、年齢別の人員構成は逆ピラミッド型となっており、技能を伝えたくても
教える相手がいない、あるいはベテランの退職に伴い彼らの有する技能が失わ
れていくのではないかといった悩みや不安の声を随所で耳にする。
こうした状況に対処するため、各職場ではこれまで蓄積してきた経験やノウ
ハウをマニュアル化して共有することや、各人の技能レベルを「見える化」し
て、OJTを計画的に実施するなど技能の伝承と多能工化に向けた取り組みが
行われつつある。今年度の内部監査によって模範事例として報告された装金極
印課、貨幣製錬課、貨幣極印課、東京支局装金課の事例はいずれもこうした取
り組みの好事例であって、水平展開が望まれる。
このように各職場での地道な努力は行われているが、それでもなお技能の伝承
10
に関する不安の声が強いのは、結局のところ受け継いでいくべき対象となる年齢
層の絶対的不足すなわち要員構成の問題に帰するのではないだろうか。造幣局の
サステナビリティー(持続可能性、生き残り)のため要員計画はどうあるべきか、
あらためて考えてみる必要性があると感じる。
⑪ 造幣局の将来像の策定と共有
独立行政法人改革の行方は依然不透明なところがあり、これから先どのように
展開して、造幣局の位置づけ、姿がどう変わっていくのか見えない部分があって、
組織形態の先行きについては流動的要素が残っている。
しかしながら、その帰趨がどうあろうと、第二期中期計画の終盤を迎えた今日
の時点で、5年後、10年後の造幣事業のあるべき姿を描いておく必要があるの
は間違いがないことであろう。将来の事業内容とその規模はどのようになってい
くのか、それを運営するための組織はどうあって、設備はどれほど要るのか、人
員はどれほど確保すべきか、皆で考えて、議論をしてヴィジョンをつくりあげ、
それを共有しておくことが大切であると考える。その中には、外国貨幣の受注に
関しての方針も含まれるし、また東京支局の移転問題に関連して、三局体制の中
で東京支局の役割・機能をどう位置づけるかという問題も含まれる。
ともすると、造幣局では従来から、「そのあたりは上から都度指示があって、
我々は言われたら、そのとおりきちんとやる。」というスタンスでやってきたよ
うに感じられるが、少なくとも自らが従事している事業のヴィジョンについて、
かくありたいと思う姿を描き、示していくのは当然のことであると考える。
さらに、重ねて要員計画について述べると、現時点では、平成22年12月
に策定された「ロードマップ」が拠り所とされ、いわゆる「平成32年800
人体制」を目指すことが示されているが、再任用職員がフルタイム勤務となっ
た場合などには、どのように見直していかれるのか。仮に、「800人体制」を
絶対のものとして、退職者が減少する分をそのまま新規採用の抑制で調整する
というような方策を取り続けるとしたら、それは組織の将来にとって致命的な
ことになりかねない。現在の体制からのさらなる人員の削減や総人件費の抑制
を行う中でも、一定数の新規採用の継続は、造幣局のサステナビリティーにと
って必須の課題であると思うので、今後の議論に注目していきたい。
以 上
11
(資料4)
平成25年3月29日
理事長 新 原 芳 明 殿
監 事 森 山 潔
監 事 和 田 馨
平成24年度 下期監事監査の結果について
標記について、下記のとおり報告する。
1.日 程
(1) 本 局 平成25年 2月25日(月) ~ 3月12日(火)
(2) 東京支局 平成25年 2月19日(火) ~ 2月20日(水)
(3) 広島支局 平成25年 2月14日(木) ~ 2月15日(金)
2.監査項目
(1) 現預金監査
(2) 業務監査
① 使命
各理事及び各課室長以上の役職員各人の使命及び使命遂行にあたり現在困難
と考えていること
② 組織目標
平成25年度経営重点項目及び年度計画策定のポイントを踏まえて組織とし
て取り組む目標(次期中期計画の策定状況を含む)
③ 個人目標
平成24年の目標の進捗状況について(各理事は自ら考える目標、各課室長以
上の職員は人事評価(業績評価)記録書にある業績目標)
④ 年次改善目標の取組状況等
・平成24年度年次改善目標の進捗状況について
・平成24年度第1回ISOマネジメントレビューで挙げられた課題等について
⑤ 各課室におけるコスト削減への取組状況
⑥ 保有資産の見直し状況
⑦ 診療所の状況及びメンタルヘルスのカウンセリングの状況
⑧ 給与水準の適正化
⑨ 内部統制の取組状況(コンプライアンスの確保を含む。)
⑩ 契約事務の執行状況
・一般競争契約(一者応札)及び随意契約(売払契約及び少額随意契約を除く。)
について
㊢
12
⑪ 情報開示の状況
⑫ 今までの監事監査のフォローアップ
⑬ 造幣局トップへの要望
⑭ (平成24年度末に退職する課室長職以上の役職員)自身の後任者に対して期
待すること
⑮ その他関連すること
3.監査対象
(1) 監査対象は、各理事及び各課室長以上の役職員。
(2) 各課室の業務監査対応は課室長のみ。ただし、監事の了承を得た場合には課室職
員の傍聴を可とした。
4.監査結果
(1) 現預金監査
2月14日時点での広島支局総務課(支局展示室・経理担当)、2月19日時点
での東京支局総務課(経理担当)、事業管理課、販売事業課、3月4日時点での事業
部販売事業課、3月6日時点での総務部経理課について、現金、預金及び小切手の
管理状況の確認を行ったところ、問題となる事項は見当たらなかった。
(2) 業務監査(日常監査及び両支局における月次監査も踏まえて)
【特記事項】
① 業績目標の設定、運用 平成23年度下期監事監査報告で指摘した人事評価における業績目標の期間と
業務年度がずれている点を改めるために、この度平成24年12月に人事評価実
施規程の改正を行った。これは、上記監事監査報告を真摯に受け止めた規程改正
の実施であり、業績目標の重要性を理解した上での改正であると考える。
しかしながら、今回の規程改正で、今年度の業績目標期間に関し、7月-12
月を経過的に7月-3月としたものの、この趣旨が未だ徹底されていないと思わ
れる。今回の監事監査で課室長にヒアリングした際に、多くの課室長が業績目標
の達成状況の記載に際して、従来通り7月-12月のままとしているケースが見
受けられた。
さらに過去の監事監査報告で指摘し続けている「業績目標の設定に当たって、
目標が定性的で達成時期が明確でない」ため、目標達成状況の記載に際しては定
性的な表現のままとなっており、説明も具体的でないケースも散見された。残念
ながら、上司からの指導が未だに不十分と言わざるを得ない。人事評価制度を有
効に機能させ、目標を組織内で連鎖していくためには、課室長自身が明確な業績
目標の設定を行うよう上司である部所長・支局長が徹底すること、さらには業績
目標の達成状況の記載に当たっては、具体的かつ定量的に(いつまでに、何を、
どの程度まで達成できたか)記載することを課室長に対して、部所長・支局長が
指導を行うことが肝要である。このことが、課室における職員の業績目標の遂行
の有効性・効率性に繋がるものと判断する。
平成25年度業績目標設定面談に際しては、部所長・支局長が部下の課室長に
13
対して、業績目標を具体的かつ定量的に記載するよう改めて徹底されたい。
② 業務効率化・削減に向けた取組強化 事務・技術系職員の超勤が大きく増加している(2月末で対前年比115.
1%)。海外貨幣の受注活動対応や新たな設備投資のための検討、次期中期計画
の検討・策定、情報システム更新作業等々の事情はあるものの、今後の要員の削
減等を踏まえると、業務効率化・削減を行うための抜本的かつ強力な取組が必須
である。
具体的には、規程の簡素化、不要な業務の思い切った削減、会議の見直し・統
合(新たな会議を増やす場合には既存の会議との統合を行ったり、2日間の会議
を1日に短縮する等)、事務のアウトソース(職員からパート等への事務のシフ
ト)等の取組を行うべきである。
規程の簡素化については、経理関係規程改正に取り組んでいる等の動きはある
が、「旅行計画書・復命書」の廃止・簡略化については、未だに実施時期等が明
確になっていない等取組にばらつきが見られる。またエクスプレス予約の法人カ
ードの導入等についても現時点で導入時期が未定である。
上期監事監査報告でも触れた、広島支局の総務課における、各人の業務スケジ
ュールを見える化した「ワーキングマップ」の取組は支局内の各課にも水平展開
しており、それぞれの課内メンバーの課題・仕事の見える化に効果を上げている。
また、調整室や本局総務課での朝の短時間ミーティングによるタスクの確認によ
り、課内のメンバーのお互いの課題や繁忙度の確認により、相互支援が得られや
すくなり、超勤の縮減に繋がると思われるが、このような動きが人事課等にも広
がりつつあり、さらなる水平展開をすべきと思われる。
③ スピード感のある業務処理の遂行 造幣局においては、各種稟議や規程改正等の決裁に際して、文章表現を詳細に
検討することに注力するあまり、業務に極めて時間を要し、スピード感のある業
務運営を阻害していると思われる。その結果、規程改正自体に極めて時間を要し
て、なかなか実現しないままになっている事例も生じている。
決裁文書に関して、細部に亘る文章表現の指示を繰り返し行うことは、上司か
ら部下への教育的効果の為とも考えられるが、あまりに細部に拘ると、部下自身
が自ら考え成長する意欲を削ぐという副作用を惹起しかねないとともに、部下職
員の超勤の原因の一つにもなっていると考えられる。
正確性を重んじることはもちろんではあるが、業務の有効性・効率性の観点か
らも、文章表現に際して完璧を求める「100点主義」ではなく、主要なポイン
トをきちんと押さえているのであれば良しとする「80点主義」でスピード感の
ある業務運営を追求して行くべきと思われる。なお「80点主義」に伴い、何ら
かの支障が生じた場合には、直ちに是正することはもちろんであるが、具体的成
果の早期実現を優先することを業務運営の基本とすべきと思われる。
また、幹部会、理事会等の会議の場では、理事長や理事、監事等の発言がほと
んどであり、その他の参加者の意見があまりに少なく、論議をする場になってい
ない。会議等において多くの活発な意見が出しやすい会議運営に心掛け、事前説
明・根回し等に時間をかけるのでなく、会議参加者が事前に意見を纏められるよ
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うに、資料配布を前広に行った上で、会議の場での発言を引き出す努力が求めら
れる。会議参加者が自らの考えを簡潔に述べることが、造幣局の将来を担う幹部
職員の育成に繋がることになり、そのためにはトップは部下職員等の意見に傾聴
する姿勢をできる限り持って、活性化した会議運営を目指されたい。
④ 保有資産の見直し状況 保有資産の見直しについては、独立行政法人整理合理化計画(平成19年12
月24日閣議決定)及び「職員宿舎廃止・集約化計画」(平成21年3月31日)
等に基づき、着実に進められている。
具体的には、第2期中期計画期間(平成20~24年度)において予定されて
いた宿舎・寮の廃止はすべて期間内に実行され、譲渡収入または現物の国庫納付
が完了している。このほか計画外として廃止された東京支局千早寮は売却済、広
島支局観音寮及び観音宿舎4号棟も廃止済で、平成25年度に現物を国庫納付す
ることが予定されている。
さらに、第3期中期計画期間(平成25~29年度)中には、東京支局の移転
に伴い同支局に隣接する北・南宿舎及び西巣鴨・新座宿舎を廃止・集約するほか、
本局北宿舎の一部及び男子寮、広島支局西山宿舎の廃止が計画されている。
以上のとおりであり、特段指摘すべき事項はない。
⑤ 給与水準の適正化 造幣局職員(一般職)の給与水準は、国家公務員(行政職(一))との比較指
標(ラスパイレス指数)で、平成23年度98.7と下回っている。(平成24
年6月29日公表)
造幣局職員の大半を占める技能職職員も含めた対民間比較については、類似業
種である製造業と比べると、雇用期間の定めのない正社員・正職員を対象とした
年齢ラスパイレス指数は105.1であり、年齢・勤務地域ラスパイレス指数は
101.3(注)となっている。(平成23年度分、平成25年3月29日公表)
(注)民間事業者について、雇用期間の定めのない正社員・正職員の勤務地域別の給
与水準データが公表されていないため、公表されている常用労働者(正社員・正
職員以外の者を含む。)に係る都道府県単位の給与水準データから推計した値。
また「総人件費」については、平成23年度は前年度に比して、人員の削減等
によって2.5%の減となっている。
以上を総合的に勘案すると、給与水準については妥当なものと評価することが
できる。
⑥ 安全衛生に関する取組とコミュニケーション強化(とりわけメンタルヘルス対応)
安全衛生に関する取組は、着実に推進・進展していると言える。特に本年 1月
より本局で始まった「産業保健スタッフ等による定例打合せ会」で、メンタル症
状を持つ個別職員ごとの支援・対応策を産業医・外部カウンセラー(精神科専門
医)・人事課・職員課の人事労務管理スタッフ等が共有する仕組みについては、今
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後ともさらに推進し、(既に検討していると思われるが)両支局でも着実に実施頂
きたい。
なお、一方で、このような取組に加えて、以前より課題となっている病欠者に
対する休職規程の見直し(国家公務員との整合性を取る規程見直し)についても
取り組むべきと考える。
毎年実施している外部専門機関(中央労働災害防止協会)によるメンタルヘル
ス診断(アンケート調査)結果によれば、「仕事の負担」は全国平均(100)よ
りも「忙しい」とは感じていない(94)が、「職場の支援」という点では、「支
援が得られていない」(103)との結果が出ている。特に再任用職員を中心とし
た非常勤職員が職場の支援に関して、107(全国平均よりも7ポイント健康リ
スクが高い)という調査結果であり、対応策を講じるべきと考える。
職場での孤立感を感じるケースはメンタル疾患の原因にもなるとも考えられ、
各職場において、職員間の相互支援が行われる雰囲気作りが肝要である。就業時
間終了後の理事長と役職員との定例的な懇談の機会であるワンコインビール会も
ややマンネリ化してきており、むしろ、形式ばらずに業務上の自由論議を行うオ
フサイトミーティングを行うべきと思われる。トップが積極的に職場に足を運び、
フェイスツーフェイスで職員の意見に耳を傾ける機会を設ける等のコミュニケー
ション対策が必要と考える。その際には、前出の会議運営と同様に、経営トップ
は職員の意見を「傾聴する」ことに心掛けるべきである。
⑦ コンプライアンスへの取組 昨年末に、設備増設時の環境関係法令に基づく届出漏れが2件判明したことに
関しては、以下の処置がとられた。
ア.環境関係法令に基づく届出を担当する貨幣部管理環境課から、本支局の設備
所管各課に対し、届出漏れがないことの再確認を依頼した。(平成25年1月
18日)
イ.内部監査において本支局各課室の監査を行った際に、法令に基づく届出漏れ
の有無の確認を行った。(平成25年1月16~23日の間に実施。)
その結果、同種の届出漏れの事案は新たに発見されなかったとのことである。
内部監査報告書によると、設備に関しては、環境関係に止まらず、労働安全衛
生関係、消防法関係等さまざまな規制がかけられており、設備所管課においては、
どのような届出が必要かをすべて把握することは難しいこと、一方で届出の窓口
となる課においては、チェックリストによるチェックは行っているものの、原課
の保有する設備を漏れなく把握することが困難であることを認めたうえで、両者
それぞれの責任を自覚したうえでのチェック体制が必要であるとの指摘がなさ
れている。
この種の案件への対応は、どうしても「のど元過ぎれば」緩みがちであり、
またともすると「もたれあい」となるおそれもあるので、どのような仕組づくり
をすれば防ぐことができるのか、この機会に徹底的な議論をすべきと考える。
例えば、全局をあげて設備・作業等に関する法令届出の総点検を定期的に行
う(年一回「クリーン月間」を設ける)というような取組も有効ではないかと思
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うので検討願いたい。
⑧ 契約事務の執行状況 契約事務については、「競争促進プロジェクトチーム」及び「一者応札解消プ
ロジェクトチーム」の会議を定期的に開催し、そこでの議論を経て「契約監視委
員会」における審議に付されるなど、厳格な手続きのもと適正化に向けた努力が
続けられている。
上期の監事監査報告において指摘した広島支局新溶解設備のメンテナンスに
かかる競争環境の整備に関しては、両プロジェクトチームを中心とする真摯な取
組が行われているものと評価するが、課題が克服されて真に競争原理が働くよう
になるとの確たる見通しが得られるには至っておらず、継続的な努力をお願いし
たい。
なお、監事としてはこれら契約を巡る問題に関しては、何とかして競争の形態
をとるというような形式主義に堕していないか、あるいは価格競争を重視するあ
まり品質が損なわれること(いわゆる「安かろう悪かろう」)につながっていな
いかというような問題意識を抱いており、そのような観点も踏まえつつ、あるべ
き競争の姿について、執行部とともに考えていきたい所存である。
⑨ 海外受注の体制 バングラデシュ流通貨幣の生産受注の成約を契機として、造幣局の事業展開
は大きく海外に目を向けようとしている。平成24年度下期においては、東南ア
ジア、中東を中心に各国を精力的に訪問して、貨幣・金属工芸品の受注に向けた
努力を行い、有望と期待される案件が見出されたことは大きな成果と言える。一
方で、これらの受注活動のバックヤードとなる貨幣部、事業部各課においては、
もともと地方自治記念貨の製造などでタイトなスケジュールのなか、デザインの
考案、見本品の製作、納期の検討などの要求に次々と追われ、大変な苦労をして
いるとの声を聞く。
初めて経験することでもあり、当初の困難は覚悟のうえで海外事業に乗り出す
気概が必要なのは言うまでもないが、企画、製造の態勢が整わないまま受注活動
を進めて無理が生じ、結果として品質の低下や納期遅延という事態を招くと、こ
れまで営々と築きあげてきた造幣局の信用を毀損することになりかねないことが
危惧される。国内製品の生産の確保を大前提としたうえで、海外の案件をどれだ
けの量、どのくらいのスピードで受注していくのかをコントロールする機能を一
か所に集中して持たせることを早急に検討すべきである。
⑩ 新規顧客の拡大のための販売戦略・広報戦略の展開 バングラデシュ流通貨幣の受注に伴い、造幣局の存在並びにその偽造防止技術
等に対する認知度は各段に高まったと言える。しかしながら、日本国内における
地方自治法施行60周年記念貨幣シリーズ並びにその他の各種の販売用記念貨
幣については、相変わらず既存顧客層(主に男性高齢者)に依存した販売と言わ
ざるを得ない。
事業部門担当課長会議資料(平成24年度第2回会議 平成25年2月22
日)によれば、登録顧客数は160万人であるが、23年度~24年度は両年と
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も顧客数増加は2万~3万人程度である。地方自治法施行60周年記念千円銀貨
幣については上期監事監査報告で指摘したように、最近では抽選倍率も4.0倍
程度(直近の栃木県4.0、大分県3.8、兵庫県4.0)で推移しており、新規
顧客登録数も2000~4000人程度と大きなうねりとなっていない。
また、平成24年6月18日に公表された財務省の「通貨に関する実態調査」
によれば、地方自治記念貨幣に対する認知度は全体では8.3%、年齢層別には
70歳代では10.1%と最も高く、20歳代も9.9%と全体より高いものの、
30歳代7.0%、40歳代8.2%、15歳から19歳は3.9%と低い状況で
ある。また、男性は10.0%であるものの、女性は6.6%と認知度に大きな差
が出ている。地域別には、北海道9.7%、近畿9.4%、中部・北陸9.1%に
対して、人口集中地域の関東は6.8%と低いという結果が出ている。若い世代
や壮年世代をターゲットにした広報戦略や女性層を意識した製品(商品)開発、
地域別の広報戦略等を若手職員や家族等の意見も反映して検討すべきものと思
われる。オンライン販売の開始はその大きな契機の一つとも言える。
昭和39年のオリンピック東京大会記念貨幣に始まった記念貨幣の発行は、
来年には50周年を迎え、昭和63年4月施行の「通貨の単位及び貨幣の発行等
に関する法律」により、記念貨幣の弾力的発行が可能となるとともに、貨幣販売
事業が事業として位置づけられて、今年で25年となる。造幣事業全体の将来を
見通した際には、日本国内での貨幣に対する信頼性・親近性向上のためにも、財
務省と緊密に連携して、記念貨幣販売事業に確実に取り組んでいくべきものと思
う。
既存顧客層の高年齢化に伴う購買力の低下が近い将来には確実に予測される
ことから、既存顧客層に頼り切ったビジネスモデルを改革し、新規顧客層の開拓
に取り組むことが急務である。そのためには、新規顧客のタイムリーな把握(幹
部会・理事会等で定期的に報告)と先般「広報活動模索プロジェクトチーム」で
出された新規顧客拡大のための各種対策・アイディア等を確実に実行して、新規
顧客数をどの程度増やすかを明確に設定して具体策に取り組むべきものと思う。
⑪ 要員計画 上期の監事監査報告において、主として技能伝承の問題を念頭に要員計画の再
検討の必要性を指摘したところ、「造幣事業の持続可能性を確保するために必要
な要員計画について、改めて整理していくこととしたい。」との回答を得た。
しかしながら、要員に関する最近の論議の過程を見ていても、依然として抑制
的な新規採用人数を横置きした、総人員数抑制の議論の色合いが濃いのではない
かとの印象を受けている。
仮にそのような新規採用人数を向こう10年、20年に亘って継続した場合の、
全局及び職種ごとの年齢別の人員構成分布はどのようになっていくのか、はたし
てそれは適正な姿なのかといった点の検証が是非とも必要であると考える。また、
ある程度年齢分布のアンバランス、職場全体の高年齢化が避けられないとしても、
そうであるならば増加していく再任用職員をいかに活用して組織全体の戦力アッ
プを図るのか考えていくヒントも得られるのではないかと思う。再任用職員のフ
ルタイム雇用についての検討を迫られている今日、いかにして彼らのやる気を高
め、知識・経験を活かしていく方策を考え、実行していくのはきわめて重要な課
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題と言える。
以上のように、要員の問題は、技能伝承に大きく関わるのみならず、職場のモ
ラールや、先にメンタルヘルスに関連して述べた「職場の支援」の希薄化といっ
た問題にもつながる大事なテーマであると考え、この先総人件費の抑制が必須の
課題であることは認識しつつも、再度指摘をさせていただく次第である。
⑫ 外部組織(海外造幣局、民間企業等)との情報交換とベンチマーキング 造幣局は日本国内で唯一の貨幣製造並びに勲章製造を担う事業体であること
から、同業の競争者が国内には存在しない。造幣局の偽造防止技術や勲章製造技
術のさらなる向上のためには、外部組織(とりわけ海外造幣局あるいは民間企業)
との情報交換やベンチマークが必要である。従来から海外造幣局との間ではMD
C(Mint Directors Conference:世界造幣局長会議)や各種会議等での情報交換
を行っている。また、工芸部門職員を海外(イタリア)への長期研修に派遣した
り、昨年10月末~11月初めには装金部門の技能職員5名を英国造幣局に1週
間の技術交流に派遣する等の取組を行っている。今後とも研究開発や貨幣製造技
術並びに勲章・金属工芸品の製作技能の練磨のための研修生を定期的に海外造幣
局に派遣することが重要であると考える。
今後の造幣局の将来展望を見据えると、海外事業のさらなる展開をしていくた
めには、競争関係にある同業者(海外造幣局)との一層の技術の切磋琢磨と各種
業務運営のベンチマークを行い、より進化した事業経営を目指すべきと思われる。
また、国内の民間企業への派遣研修については、次期中期計画等でも取り上げ
ているが、今後は、派遣先企業のさらなる開拓、派遣期間の見直し、派遣先企業
における派遣人員の研修課題の明確化等についての検討を行い、派遣された研修
生が民間企業の製造現場において各種の知見(安全衛生対策や現場の知恵等)を
学ぶとともに、業務フローや業務遂行(仕事の進め方や仕事への取組み姿勢)さ
らにはマネジメントスタイルを学んで今後の造幣局の現場作業や業務遂行等に問
題意識を持って臨む人材を育成していく必要があると考える。
以 上
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(資料5)
独立行政法人造幣局監事監査要綱(平成 15 年 9 月 8日制定))
(目的)
第 1条 理事長及び監事は、独立行政法人通則法(平成 11 年法律第 103 号)第 19 条第 4項の規定
に基づき、独立行政法人造幣局(以下「造幣局」という。)の監事が同法第 19 条第 4項の規定に
基づいて行う監査(以下「監査」という。)について必要な事項を定め、造幣局の業務の適正か
つ能率的な運営に資するとともに、会計経理の適正を期することを目的として、この要綱を定め
る。
(範囲)
第 2条 監査は、業務及び会計について行うものとする。
(監査事項)
第 3条 監査内容に関する事項は次のとおりとする。
一 関係諸法令及びこれに基づいて定められた諸規程等の実施状況
二 独立行政法人通則法第 30 条第 1項に規定する中期計画その他重要施策の実施状況
三 独立行政法人造幣局法(平成 14 年法律第 40 号)第 3条に規定する目的に対する業務の運営
状況
四 予算及び資金計画の執行状況
五 現金等の出納及び保管の状況
六 資産の取得、管理及び処分の状況
七 財務諸表及び決算報告書に関する事項
八 契約の締結及び執行の状況
九 前各号に掲げるもののほか監事の目的を達成するために必要な事項
(監査計画)
第 4条 監査は、毎年度あらかじめ監事が定めた監査計画に基づいて行うものとする。
2 前項に定める定期監査のほか、監事は必要に応じて臨時に監査を行うことができるものとする。
3 監事は、監査計画を定めたとき及び臨時に監査を実施しようとするときは、理事長に通知する
ものとする。
(監査方法)
第 5条 監査は、書面監査、実地監査その他適当な方法によって実施するものとする。
(監査事務補助職員)
第 6条 理事長は、監査に関する事務を補助させるため、監事と協議し、職員のうちから監事の補
助事務に従事する者を命ずるものとする。
(監査への協力)
第 7条 理事長は、監事がその職務を適正かつ効果的に執行できるよう、監事の求めに応じ、関係
役職員をして、実地監査への立会い、資料の提示、説明その他必要な協力を行わせるものとする。
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(監査結果)
第 8条 監事は、監査の結果を監査報告書にとりまとめ理事長に提出するものとする。
(是正等の措置)
第9条 理事長は、前条の規定により提出された監査報告書に監事の意見が付されている場合には、
当該事項について充分な検討を行い、是正等の必要な措置を講ずるものとする。
(監査を受ける文書)
第 10 条 主務大臣に提出する毎事業年度の財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及
び決算報告書は、監事に回付しその監査を受けるものとする。
(監事に回付する文書)
第 11 条 次の各号に掲げる文書は、監事に回付するものとする。
一 業務運営の基本方針決定に関する文書
二 主務大臣に対する認可又は承認申請書
三 主務大臣からの認可、承認、通知等の文書
四 訓令、通達の制定又は改廃に関する文書
五 主務省に提出する重要な報告書類
六 会計検査院等に提出し、又は会計検査院等から受けた重要な文書
七 契約に関する重要な文書
八 訴訟に関する重要な文書
九 前各号に掲げるもののほか、監事の指定する文書
(監事の会議出席及び意見陳述)
第 12 条 監事は、造幣局の業務運営に関する重要な会議に出席して意見を述べることができる。
2 理事長は、前項の会議が開催されるときは、関係役職員を通じて、その旨を監事に通知するも
のとする。
(事故又は異例事項の報告)
第 13 条 理事長は、業務上の重大な事故又は異例の事項が発生したときは、関係役職員を通じて、
その旨を直ちに監事に報告するものとする。
(その他)
第 14 条 この要綱の実施に関し必要な事項は、理事長と監事の協議に基づき、別途定める。
(有効期間)
第 15 条 この要綱の有効期間は、その締結の日から平成 16 年 3 月 31 日までとする。ただし、有
効期間の満了前に理事長又は監事のいずれからも改正の意思表示がないときは、更に 1年間有効
期間を延長するものとし、以後この例による。
平成 15 年 9 月 8日
独立行政法人造幣局理事長 西原 篤夫
独立行政法人造幣局監事 有賀 熙雄
独立行政法人造幣局監事 新居 健