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認知症の心理検査について 臨床心理士 尾形 剛(おがた つよし) 東邦大学医療センター佐倉病院 神経内科

認知症の心理検査について - 学校法人東邦大学認知症の心理検査について 臨床心理士 尾形 剛(おがた つよし) 東邦大学医療センター佐倉病院

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認知症の心理検査について

臨床心理士 尾形 剛(おがた つよし) 東邦大学医療センター佐倉病院 神経内科

現在の得意な点、苦手な点を見極め、 より良い生活を送るための手助けにする。

検査の目的は?

問題を見つけるための検査

① 記憶(覚える・思い出す)② 言葉(話す・理解する)③ 行為(日常場面での行い)④ 認識(ものを認識する)⑤ 計画・順序立てる等

日常生活動作や遂行能力に必要な能力

認知能力って何?

現在広範に使用されている知能検査を作成したウェクスラー(Wechsler,D., 1896-1981)の定義(知能≒認知) 「知能とは個人が目的に合うように活動し、合理的に思考し、自分をとりまく環境を効果的に処理する総合的な能力である」

認知の「低下」とは?

認知能力が「低い」原因は?

・発達上の問題(発達遅滞、自閉等)・うつ・不安などの、精神疾患。

・脳の器質疾患。 → 認知症

・加齢。いわゆる「年のせい」。

年を重ねると認知の能力が低下35~44歳

WAIS-III・ウェクスラー知能検査に基づく認知能力の加齢変化

認知症による認知の低下

① 発症と経過:緩やか、進行。② 訴え:自覚がない場合も。③ 自己評価:低下を隠す。④ 会話:難しくなる。⑤ 答え方:誤る、作り話など。⑥ 記憶:昔より最近の記憶低下。

人物イラスト: ©WANPUG。使用許諾済。

認知症による認知の低下特徴

① 本人聴取(受診目的、生活歴等)

② 本人検査(認知検査等)

③ 家族聴取(本人の日常生活状況)

※すべてで1時間程度  (若年者を除く)

心理検査の流れ

【認知機能】

神経内科での心理検査

Higher Cortical Functions in Man (Luria,AR. 1966)

記憶機能などの精査(繰り返しによる学習能力の有無等)。

(2)前頭葉機能検査(FAB:Frontal Assessment Battery)

(1)簡易認知機能検査(MMSE:Mini-Mental State Examination)

(3)アルツハイマー型認知症評価尺度(ADAS:Alzheimer's Disease Assessment Scale)

主に思考の柔軟性を調べる。

言語や記憶、注意等の簡易検査。

(1)簡易認知機能検査(2)前頭葉機能検査(3)記憶検査   (WMS:Wechsler Memory Scale)

主に若年者用

(3’)成人版知能検査   (WAIS:Wechsler Adult Intelligence Scale)

【認知機能】

または

人物イラスト: ©WANPUG。使用許諾済。

図版は、児童版ウェクスラー知能検査より引用

神経内科での心理検査

(1) 認知症の行動・心理症状    (BPSD評価としてBehave-AD:      Behavioral Pathology in Alzheimer’s Disease Rating Scale)

(2) 日常生活動作    (IADL:Instrumental Activities of Daily Living)

【生活】 ご家族からみた本人のご様子

神経内科での心理検査

人物イラスト: ©WANPUG。使用許諾済。

妄想や幻覚、行動障害などがあるか?

ひとりで日常の活動が出来るか?

(1)うつ評価    (BDI: Beck Depression Inventory)

(2)不安評価   (STAI-JYZ:State-Trait Anxiety Inventory)

【情緒】

人物イラスト: ©WANPUG。使用許諾済。

認知評価が良好で、聴取により情緒低下が疑われる場合に、必要に応じて実施。

神経内科での心理検査

物事を気にするか、など。

悲観や後悔などが強いか?

見えないもの

心理検査でみるところ

【生活・生育】

【情緒】【認知機能】言語・行為・理解・記憶 ストレス等

生活歴

外に表れるもの

Auguste Deter (May 1850 - 8 April 1906) is the first person diagnosed with Alzheimer's disease.