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多重焦点の視覚芸術:『ハムレット』:顕在化する多重の光景
名古屋大学教授
鈴木繁夫
図像学入門Ⅳ
亡霊と心の姿
見えるハムレット
見えないガートルード
↓
多重の光景
イル・バンボッチョ 「魔術と自画像」 1638年
ダビデの星
ナイフで突き刺され、血を流す
心臓
ヘブライ文字
「悪魔はふざけない、ふざけない」
→見えないものがみえてしまう
多重の視点
ホルバイン「使者たち」1533年
円柱ガラス「[ホワイトホールの展示室には]ヘンリー八世の肖像画がある。そこには王とその腕にのったエドワードがおり、王の両脇には二人の娘が立っている。程遠くないところに、裸体の女性が二人いるが、これは王がその夫から奪った女性たちである。・・・・王の肖像の顔は特別な光学機器で見ると、体全体よりも長く見えるように巧みに描かれている。」1602年 ドイツ人留学生の日記
円柱ガラス
「一見して理解さている体の凡庸な物語と、他方過剰な幻夢に溢れるばかりの幻想的想像力に満ち満ちて、はすかいに見て初めて理解されるアレゴリーとは、自ずから全く別ものであって然るべきです。」
(ガリレオ書簡)
シェイクスピアと異化像
「異化像こそ画家の最高の技」
(perspective It is best painter’s art)[ソネット24番]
「ちょうど、正面から見るとさっぱり訳がわからないのに、斜めから見ればはっきりと物の形が現われる異化像のように。」
『リチャード三世』2幕2場18-20行)
上段:天上
下段:地上
天上の事柄
天球儀、計測器、日時計、測分儀など
地上の事柄
地球儀、数学の本、リユート、
ルターの賛美歌集 木管フルート
生:日時と場所
日時計:午後3時45分
天球儀:1533年4月11日聖金曜日
生:日時
日時計:午後3時45分
天球儀:1533年4月11日聖金曜日
生:場所
座標測定器51.5度: ロンドン
床:
ウェス-ミンスター聖堂と同じ模様
「この球は大宇宙を示している」
globus hic monstrat macrocosmum
タンデビル(フランス人外交官)
セルブ
(フランス教会使節)
生:年齢
短刀の柄:29歳右腕の下に置かれた本:25歳
多重の視点
隠れた十字架像
と髑髏
亡霊と心の姿
見えるハムレット
見えないガートルード
↓
多重の光景:
生と死と愛
同性愛の関係
ヤン・ステーン「人間の生活」1665年
性的逸楽
見難い者同士の愛 子持ちの妻に言い寄る老人
暴飲暴食
牡蠣=催淫剤
怠惰
逸脱は楽しい
享楽的生と一瞬の死
人生とはなにか。喜怒哀楽の一場の戯れ楽しみは音楽の一節母の胎はつらい家、この短い喜劇のために人間は衣装をまとう。天は座って、誰がしくじるかをいつも認め、眼光鋭く正義を見つめている。墓のおかげ、人間は夕日を見ずにすむが、墓はまるで芝居がはねた時に降りるカーテンだ。そうだ、最後の安らぎに向かって人間は進んでいるのだ。
ヤン・ステーン「人間の生活」1665年
これ以後のスライドは、
印刷不要です。
イル・バンボッチョ「宿屋での出発」1639年
多重の視点
弦の切れたリュートと数学の本: 分配・分裂
ホルバイン
「天文学者」
(エラスムス『痴愚神礼讃』1515年)
ホルバイン
「天文学者」
(エラスムス『痴愚神礼讃』1515年)
多重の視点