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臨床研究の計画から実施まで ~研究者の立場から考える~ 東京医科歯科大学 医療イノベーション推進センター 小池 竜司 量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所 「人を対象とする医学系研究セミナー」 2018.10.9

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臨床研究の計画から実施まで~研究者の立場から考える~

東京医科歯科大学

医療イノベーション推進センター

小池 竜司

量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所「人を対象とする医学系研究セミナー」 2018.10.9

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基礎(医学)研究と臨床研究

• 基礎研究を突き詰めた成果を臨床に反映させる

ドイツ医学の考え方

• 人における実際の現象(≒臨床)の観察と解析から、背後の真理を探求する

イギリス医学の考え方

どちらも医学研究として必要な手段だが…

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厚生労働省臨床研究中核病院説明会資料より

臨床研究の遂行能力が弱い→新薬開発を主導できない→

海外で先行→日本の実用化の遅れ+貿易赤字

臨床研究推進は国家政策

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自己紹介

1987年 東京医科歯科大学卒業

第一内科入局

1991年 膠原病・リウマチ内科学を専攻

1997年 診療科医局長

2007年 臨床試験管理センター長

10年で200件以上の新規治験支援

2015年 医療イノベーション推進センター長

GCP以前、薬事法

旧GCP

倫理指針改訂、統合指針

新GCP

臨床研究法

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本日のお話;個人的経験と考えに基づく内容です…

• 臨床研究立案から実施まで

– 必要な知識と実務

– 研究計画の「核」とは?

• 関連する法令、指針との関連性と解釈

• 仮想研究計画で考える審査の論点

臨床研究を計画ないし実施する立場+

事務局として管理ないし支援する立場

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臨床研究計画について

• 研究計画の作り方、進め方について学ぶ機会が少ない

– 旧来の医学教育では優先度低い

– 基礎研究の場合

• 実習や研究室派遣等で触れたり、同一テーマでの先輩から学ぶ

– 臨床研究では

• 短期間で一連のプロセスを経験できない

• チームで業務分担するが、先輩から引き継ぐ機会は少ない

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研究テーマの想起

研究の立案

研究計画(プロトコール)の作成

倫理審査

研究実施

成果発表・エビデンス構築

手間と時間を要する臨床研究;文書作成と倫理審査

• 研究計画書を作る 研究(試験)に関する

あらゆることを網羅

• 同意説明文書を作る

• 独立した委員会が審査して承認する

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研究テーマの想起

研究の立案

研究計画(プロトコール)の作成

倫理審査

研究実施

成果発表・エビデンス構築

手間と時間を要する臨床研究;他部門等との連携

• 膨大な文書の作成

• 薬剤・検査・看護・放射線部門などの協力

• 委員会委員• 委員会事務局

• データ管理や不正防止(モニタリング)

• 統計解析計画

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研究テーマの想起

研究の立案

研究計画書(プロトコール)の作成

倫理審査

研究実施

成果発表・エビデンス構築

手間と時間を要する臨床研究;多様な関連業務

• 最低限必要な記載事項やフォーマットが存在

• 薬剤の調達から払出まで具体的な運用の記載

• 研究費の出資源や企業等との連携についての記載

• 同意説明文書やアセント文書

• 法令や指針の理解と遵守

• 倫理性と科学性の担保

• 利益相反の適正な申告

• ねつ造や改ざんを防止するデータ管理

• 研究が適正に行われ、計画書に遵守されているか(モニタリング)

• 研究体制や記録保管等が適正か(監査)

• 研究を効率よく進め、目標を達成できるための支援(CRC支援)

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臨床研究の二大要件

• 科学性1. 科学(医学)的意義と必要性2. 研究の背景、命題、仮説、目標3. 方法や行為の科学的妥当性4. 結果や実施過程の信頼性

• 倫理性1. 人への実施が可能ないし許容されるか2. 研究の社会的必要性3. 法令やガイドラインの遵守 ヘルシンキ宣言など 治験;GCP(薬機法) 医行為の評価研究;臨床研究法 その他;医学系統合指針

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臨床研究の科学性

• なぜ研究を行い、何を知りたいか?

– 良いリサーチクエスチョンであること

• 他人に(熱く)語れること

• 他人が理解できるように説明できること

• 正しく結果を出すこと

– 結果が正確で、それが保証できること

• ねつ造や改ざんは罪

• 統計解析は他人に任せてよい(むしろその方が正しい)

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研究計画の「核」となるのは?

1. 研究目的と背景

2. 評価項目(特に主要評価項目)

この二つが研究のオリジナリティを決定する

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研究目的と背景・必要性

• PI(研究責任者)こそが最も力を入れて記述する部分– 他の部分は別の専門家も関与できる

• 非専門家を意識したわかりやすい解説– 専門領域における重要性は、非専門家や一般国民にはわかりにくい

– 協力者や被験者への説明になるとともに、研究者自身が命題を見直すことにつながる

• 必要性– 背景や目的を踏まえた必要性の明確化

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研究の意義、位置付けを考える

• 探索的研究– 研究テーマや仮説の意義について、「アタリ」を付ける研究

– 本結果を以て仮説は証明されたと判断しない

※POC(proof of concept)– 仮説の信憑性を評価する研究

– 原則として探索的だが、結果が明らかで品質が担保されるならエビデンスとして利用できる場合もある

• 検証的研究– 仮説検証の強固な根拠となりうる研究

– 原則として主要評価項目の達成によってのみ評価される

– バイアスの最小化と高品質のデータが必須

強固な臨床的根拠とされるが、現実との乖離にも注意

• 例;AがBに対する優位性が検証されなかった→同等性または統計計画上有意差に至らなかった優位性はある可能性など

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評価項目(endpoint)

• 主要評価項目(primary endpoint)と副次的評価項目(secondary endpoint)

– 介入試験では必須;何をもって有効とするか?• 検証的介入試験では、主要評価項目の達成で成否が決定

• 検証的試験では、評価項目の妥当性についても根拠が必要

• 探索的試験では、評価項目の妥当性を調べることも研究対象となりうる

– 観察研究でも必要• 取得するデータを明確化

• 信頼できるデータであるべき;ばらつき、誤差、測定者の技術なども影響

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評価項目設定の注意

• その評価項目が妥当である根拠が必要代理エンドポイントや複合エンドポイント;前例や根拠資料を示す

自分で考案したエンドポイント;根拠を作ること自体も研究?

• 数値化・定量化・客観化患者・医師の主観的評価;スケールやスコアで数値化する

画像所見;盲検化した第三者評価や複数評価でバイアス最小化する

• 収集データを欲張りすぎない;研究者にありがち仮説に合致した評価項目を吟味する

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評価項目と研究デザイン

• 評価項目が明確になると、研究デザインがイメージしやすい

– 考慮すべきこと

母集団や対照群の設定

研究診療と現実診療とのギャップ

研究で収集する情報とその重要性;主要評価項目と無関係な情報をやたらに集めすぎない…適切な統計解析方法;統計専門家と相談

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研究デザイン~よくある問題点~

介入試験の場合– ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験でなければならない?

• 「RCTはバイアス最小化の一手段」• 既存治療がある場合はプラセボ対照は正当化されない

– 単群試験はだめなのか?• 評価方法と比較対照の工夫で対応

普遍性が高い評価項目 既存のデータ対照(historical control)

観察研究の場合– 定型的なパターンがあり、適合可否を考えてみる

症例集積・ケースコントロール・横断研究

• 比較対照は常に必要と考える• バイアスの存在とその最小化方法を考える

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研究課題名;計画の「顔」

• 研究の概略がわかる課題名とする;試験薬・対象疾患・研究デザイン等を盛り込む– 情報共有や連携のための工夫;略称や通称の設定

例1:〇〇病に対する新規治療法開発に関する研究 あいまいで方法もわかりにくい、研究者の理解度に疑問?

探索的な計画であえて使用する場合もあるが…

例2:〇〇病に対する××薬のオープン、単群、前向き、有効性検証試験

例3:〇〇病に対する××薬の有効性を調べる後ろ向き多施設共同コホート研究

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臨床研究の科学性

• なぜ研究を行い、何を知りたいか?

– 良いリサーチクエスチョンであること

• 他人に(熱く)語れること

• 他人が理解できるように説明できること

• 正しく結果を出すこと

– 結果が正確で、それが保証できること

• ねつ造や改ざんは罪

• 統計解析は他人に任せてよい(むしろその方が正しい)

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データマネジメント

• データの蓄積、保管を含む全般的な管理体制

– Attributable・Legible・Contemporaneous・Original・Accurate(ALCOA)の原則

– 研究不正を防止し、再解析や検証に堪える

第三者のデータ管理者(DM)を指名

データ管理システムの利用

EDC(electronic data capturing)

• 臨床試験等のデータを電子化して管理するシステム

• アクセスログ機能を有し、改ざんを防止できる

• 検査システムと連結し、直接データを取り込むことが可能

• 電子症例報告書(eCRF)を作成

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1. 世界標準のデータ管理システム(CDISC)が導入

2. クラウド利用などで多重保管可能

3. アクセスログを残すことができる

4. 多様なセキュリティシステムも利用できる

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信頼性保証(モニタリング・監査)

• 研究の科学的・倫理的正当性を妨げる要因を指摘し是正する

入力作業などにおける人為的ミス

研究プロセスが計画通り行われていない可能性

同意取得の内容や時期

組み入れや除外基準の遵守

研究スケジュールからのズレや変更

副作用や安全性情報の入手や対応状況

他施設との連絡や情報交換状況

専任担当者がこれらを確認し指摘する作業

第三者が確認できる記録を原資料(カルテ)に残す

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統計解析計画

• 前向き介入研究では、計画の中で統計解析手法、仮説を宣言しておく必要

– 計画策定の時点で専門家と協議

– 研究担当者(医師)と統計解析担当者は独立していることが必要

• 研究担当者自ら解析した結果の客観性担保

– データ管理を独立させる

– データ固定時期を明確にして、以後は変更できない扱いとする

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本日のお話

• 臨床研究立案から実施まで

• 関連する法令、指針との関連性と解釈

• 仮想研究計画で考える審査の論点

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臨床研究の二大要件

• 科学性1. 科学(医学)的意義と必要性2. 研究の背景、命題、仮説、目標3. 方法や行為の科学的妥当性4. 結果や実施過程の信頼性

• 倫理性1. 人への実施が可能ないし許容されるか2. 研究の社会的必要性3. 法令やガイドラインの遵守 ヘルシンキ宣言など 治験;GCP(薬機法) 医行為の評価研究;臨床研究法 その他;医学系統合指針

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臨床研究の倫理性とは?

• 人間・研究者としての常識・良識

• 規範となる法令・指針の遵守

– ヘルシンキ宣言(人間を対象とする医学研究の倫理的原則)

– 医薬品医療機器法(省令GCP)– 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(統合指針)

– 臨床研究法

研究ごとに適正な法令・指針に則ることが倫理性担保につながる

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ヘルシンキ宣言ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則

(1964年フィンランド、ヘルシンキの世界医学会で採択)(1975年、1983年、1989年、1996年、2000年、2002年、2004年、2008年、2013年に修正)

• ヒトを対象とする医学研究に関わる医師、その他の関係者に対する37項目の倫理的原則

• 戦前~戦時下の非人道的医学研究への反省に基づく

第8項

医学研究の主な目的は新しい知識を得ることであるが、この目標は個々の被験者の権利および利益に優先することがあってはならない。

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人間を対象とする健康関連研究の国際的倫理指針(CIOMS倫理指針)

• 国際医学団体協議会(CIOMS; Council for International Organizations of Medical Sciences)による指針(2016年改訂)

– ヘルシンキ宣言の内容が、低資源環境で効果的に適用されるために整備

– 疫学研究や潜在的弱者集団を対象とする研究も視野へ入れる

– 「生物医学研究」から「健康関連研究」へ対象の拡大

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研究の特性と法令・指針との関連

• 治験;承認目的、PMDAへ治験実施計画届

– 薬機法+省令GCP準拠

• 臨床研究法;法律の中で「臨床研究」を定義し、「特定臨床研究」「臨床研究」のみを対象

• 統合指針;上記の残りすべて

– 指針内で「侵襲」と「介入」を定義し、対応を区別

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考案した研究計画が…?

臨床研究法の対象に相当

• 認定臨床研究審査委員会での審査

• 審査料の準備• データベース(jRCT)登録• モニタリング・補償準備必須

• 法令に沿った利益相反計画策定と申告

統合指針の対象に相当

介入なし

介入あり

• 通常の倫理審査委員会での審査• 重篤有害事象時の手順書

• 施設ごとの利益相反申告規定に則る

• 通常の倫理審査委員会での審査• データベース(UMINなど)登録• モニタリング・補償準備必須• 未知の重篤副作用の大臣報告• 記録保管と監督責務

• 施設ごとの利益相反申告規定に則る

※研究目的の侵襲有

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「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(2017年一部改正)

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統合指針で大きく変わったこと

– 侵襲介入研究におけるモニタリングの義務化(監査は任意)

• 重要な研究のデータの質を担保する(改ざんやねつ造の防止)

• データ管理期間の具体化

侵襲・介入の定義を明確化

– 機関の長のガバナンスと責任強化

• 一括責任・有害事象の報告・実施体制の整備などを明確化

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「侵襲」の定義(1)

– 「研究目的で行われる、穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じること」

• 診療目的で行った結果を利用する場合は合致しない

– 外科手術で摘出された試料の一部を用いて病理学的解析を行う;侵襲でない

– 内科診療で行う血液検査に、研究用の採血を1ml上乗せする;軽微な侵襲(侵襲とは扱わない)

– 採血予定のない精神科患者に、研究目的で50ml採血する;侵襲

» 注;ガイダンスには一般健診で行う程度の採血は「軽微」と記載

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「侵襲」の定義(2)

しばしば介入と混同されるので注意;「×観察研究なので被験者には侵襲ありません」

侵襲のある観察研究の例• 健常者から生体試料(血液など)を取得して解析する研究

• 研究参加の同意後、適応内の治療薬を保険診療で投与し、有効性や安全性を評価する

– 同意のもとに研究計画で規定した薬剤を投与;「研究目的」に相当(※同意されなければ投与されない可能性)

• 研究参加の同意の後、通常診療として行う手術中に遠隔リンパ節を追加切除し、病理解析する

– 研究参加しなければ行わない切除;「研究目的」相当

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「研究目的」の解釈

– 通常行われている保険適応内診療を実施する研究の場合

• 事前に研究計画書で策定した投薬や医療行為を行う;「研究目的」の侵襲に近い

• 診療として投薬を行い、診療の中で得られた情報のみを利用;「診療目的」の侵襲組み入れ基準が「xxx治療を行う患者」

区別や解釈が難しい場合あり→研究者が判断し倫理審査委員会が決定する

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「軽微な侵襲」の定義(1)

– 傷害や負担が小さい行為で、基本的に侵襲とは扱わない

• 一般健診程度のもの;少量の採血、単純胸部レントゲン撮影など

• 診療目的の行為に追加する;採血量の追加、切除部分のわずかな追加など

• 単純MRI• 運動負荷;学校の体力テスト程度

• 排泄物や自然剥離する体組織など

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「軽微な侵襲」の定義(2)

• 「軽微」の扱いは状況や環境によって変化

– 6分間歩行;健常者なら「軽微」だが、心筋梗塞後リハビリ患者なら「侵襲」

– 採血;10ml程度なら「軽微」だが、100mlなら「侵襲」?

– 精神的苦痛を伴う質問;拒否可能などの配慮がされていれば「軽微」?

最終的には研究計画の中で定め、委員会審査で決定

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「介入」の定義(1)

• 「研究目的で人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因の有無又は程度を制御する行為」

– 治療だけでなく予防や健康増進につながる行為も含む

「通常の診療を超える医療行為を研究目的で実施すること」とも表現

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「介入」の定義(2)

• 例

– ランダム割り付け;通常の医療であっても、医師や患者の意図と反して選択される

– 集団として割り付ける場合も含む

• 通常の診療として実施した結果をグループ化して比較する(後ろ向き)のは観察研究

– 「通常」の治療選択;医師の判断と患者の意向との融合による

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介入研究はDB登録が必須

• 統合指針第9の1:「研究責任者は、介入を行う研究について

、国立大学附属病院長会議、一般財団法人日本医薬情報センター又は公益社団法人日本医師会が設置している公開データベースに、当該研究の概要をその実施に先立って登録し、研究計画書の変更及び研究の進捗に応じて適宜更新しなければならず、また、研究を終了したときは、遅滞なく、当該研究の結果を登録しなければならない。」

– 海外のDBではだめ• ClinicalTrial.Govに登録されていても、日本でのDBにも登録必要

– 実施前に情報公開• 最初の患者が組み入れられる前に公開

– 適宜更新

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考案した研究計画が…?

臨床研究法の対象に相当

• 認定臨床研究審査委員会での審査

• 審査料の準備• データベース(jRCT)登録• モニタリング・補償準備必須

• 法令に沿った利益相反計画策定と申告

統合指針の対象に相当

介入なし

介入あり

• 通常の倫理審査委員会での審査• 重篤有害事象時の手順書

• 施設ごとの利益相反申告規定に則る

• 通常の倫理審査委員会での審査• データベース(UMINなど)登録• モニタリング・補償準備必須• 未知の重篤副作用の大臣報告• 記録保管と監督責務

• 施設ごとの利益相反申告規定に則る

※研究目的の侵襲有

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臨床研究法の対象研究

• 原則として、医行為の有効性安全性を明らかにする研究を「臨床研究」と定義する。– 医行為:当該行為を行うにあたり、医師の医学的判断および技術

をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為

• 関係企業等から資金を得て行う、又は未承認・適応外医薬品等を用いる「臨床研究」を「特定臨床研究」と定義する。

• 「特定臨床研究」を法律の規制対象とするが、「臨床研究」は努力義務として法律遵守を求める。

統合指針と照合すると、「医行為」≒侵襲であり、その有効性安全性評価は侵襲・介入研究に相当

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下記のような追記(案)が必要?;

2)臨床研究法(2017年4月交付、2018年4月施行)で定義する、「医行為の有効性・安全性を明

らかにする目的」で実施する臨床研究で、下記の介入研究の一部と解釈できる。「医行為」は医師法、歯科医師法で定義されており、専門的判断によって行われないと人体に危害が発生する行為。

同法ではさらに、関係する企業等から資金を得て行う研究と医薬品等の適応外使用を伴う研究を「特定臨床研究」と定義している。

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認定審査委員会申請の準備

• 研究計画書、同意説明文書の作成

– モニタリング、データマネジメント、統計解析は独立した手順書や計画策定が必要

• 審査依頼書、分担医師リスト(統一書式)

• 厚労省届出に際して必須書類;実施計画(様式第一)– この内容が厚労省への届出内容(jRCT)になる

• 利益相反管理書類;様式Aと様式E– 申請時点では作成中でもよいが、委員会審査時点で完成している必要

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本システムにアクセスして登録すると、「実施計画」フォームが作成

される

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臨床研究法か?統合指針か?

• 最終的には委員会が決定(厚労省への問い合わせ可能)

研究者として、該当根拠をわかりやすく提示して申請し、委員と議論する

法対象は「医行為の有効性と安全性評価」(ただし手術・手技は除外)

「医行為」の定義はあいまいで、「医師が行わないと危険性がある」ことで説明できる可能性もある

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本日のお話

• 臨床研究立案から実施まで

• 関連する法令、指針との関連性と解釈

• 仮想研究計画で考える審査の論点

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臨床研究でもめること

統合指針準拠か臨床研究法準拠か

• 介入研究か観察研究か

• 侵襲か軽微侵襲か

• 文書同意取得を省略できるか

結局は審査委員会が結論づける– 研究者が正しく理解して主張することも必要

– 委員会で十分に議論することが必要

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仮想研究(1)

• 保険適応されたPETプローブで、特定の疾患の撮影結果を集積して特徴を明らかにする

• 保険診療として、投与から撮影まで可能と仮定

– 組み入れおよび除外基準を詳細に設定し、参加同意取得後に撮影を実施する場合、「研究目的の投与(侵襲)」・「診療行為への制限(介入)」と解釈されてしまう危険性

一見何の変哲もない観察研究だが、PETプローブ投与は侵襲であり、撮影という医行為の評価?

• 診療目的か研究目的か• 通常の診療行為に影響するか

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仮想研究(1)

• 研究参加した結果が診療過程に影響を与えないことを明示し、「診療目的」で実施した患者の情報取得である研究であると明記する

→指針準拠・侵襲のない観察研究

解析におけるグループ化やパラメーターを意識して、参加・除外条件を詳細に規定すると、「介入」様になってしまうことに注意

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仮想研究(2)

• 新しいメカニズムの機器で、体表より生体信号(波形や画像など)採取の可否やその内容について調べる

• 体表に接するだけで、疼痛や創は生じない

– 機器の性能を調べるだけだが、「有効性評価」には該当する(Q&A問2-3)

– 「未承認医療機器」に該当する可能性?

臨床研究法の「特定臨床研究」?

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臨床研究法 Q&A問2-3

• 人体への侵襲性が低い場合でも、医行為を伴い医薬品等の有効性(性能を含む)又は安全性について試験を実施する場合は法の対象となる

新規機器の使用は、「医行為」とも規定されていないため、解釈で対処する

当該機器は、医師でなくても安全に生体に使用が可能で、医行為には相当しない

※このような場合でも、検出した信号をもとに医行為ないしその要否の判断を行うと、法の対象になる

当該機器の使用は医師に限らず安全に実施可能であり、「医行為に相当しない」ことを明記

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仮想研究(3)

• 手術過程の中のある操作において、従来は既存医療機器(例 ピンセット)を転用していたところに、改良して作成した機器(未承認)を利用して実施する研究

• 未承認機器の有効性を評価→臨床研究法対象?

• 手術・手技の研究?→臨床研究法対象外?

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臨床研究法 Q&A問58

• 医薬品、医療機器の有効性・安全性を明らかにすることを目的としない、手術・手技に関する研究の実施にあたり、適応外医薬品、医療機器を用いる場合は法の対象外

– ただし手術・手技の達成に対する当該品目の寄与が大きい場合は、実質的に評価を行うことになる可能性がある。

– 研究課題名を「当該機器の有用性評価」としてしまうと、法対象になることに注意

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仮想研究(4)

• 複数機関で保管している臨床検体(血液など)を集積して、新規マーカーについて調査する研究

– 統合指針に基づく研究だが、ヒト由来試料の管理がカギ

– 既存試料の提供を伴う研究計画として倫理審査(提供施設における倫理審査は原則不要)

– 試料採取時の同意内容(包括的同意)に応じた再同意要否の確認

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生体試料を用いた研究

• 必要なプロセス

– 研究計画の倫理審査

• 試料取得の時点では研究計画未定であり、承認されていない

• 研究内容が完全に網羅された計画書として承認が必要

– 再同意取得

• 生体由来試料の研究は同意取得が原則だが…– 再度文書または口頭同意を取得することが困難な場合→匿名化によって、通知または公開で許容

– 匿名化方法の理解と実践

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生体試料を用いた研究

• 必要なプロセス

– 施設間の既存試料提供

– 基本的に倫理審査は1施設でよいが、提供元と提供先で異なる対応

• 提供元;匿名化して通知または公開、提供記録の作成と保管

• 提供先;提供元の手続確認が必要

機関によって対応が異なる可能性がある(通常の倫理審査を求める場合など)

試料管理の専任者を指名することが望ましい

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よく遭遇する問題点

– 研究区分の解釈(準拠する法令)はクリアカットではない

• 委員会が判断することになっている

• 行政に質問は可能だが、結論が得られない場合も多い

– 委員会ごとの違いやローカルルールの存在

• 認定委員会は行政が管理するが、指針準拠の委員会は統一した規制は受けない

• 中央・共同審査は義務ではない→多重審査が今後も続く可能性

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まとめ;研究者が臨床研究を計画し実施するにあたって…

– その研究の重要性;意義、必要性、目的を研究者が本気で語れること

• 研究背景の記述と評価項目の設定

• 適切な研究課題名

• その他のことは分担が理想

– 対応する法令、指針は研究者自らも考える;「侵襲」「介入」「医行為」の解釈が重要

• 微妙な解釈は、まず持論を明確にして委員会と議論

• 法令整備と並行し、ローカルルールの解消による簡略化も必要

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ご清聴ありがとうございました