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沿12 鹿12 12 in ALSO Japan 鹿in 鹿Basic Life Support in Obstetrics 23 徳洲会グループは、グループ初の陽 子線治療などに取り組む「湘南鎌倉 総合病院先端医療センター」の建設 工事に着工する。湘南鎌倉総合病院 (神奈川県)の南西側の隣接地に地下 1階地上4階建ての建物をつくる計 画で、2019年5月に着工し、20年9月 の開設を目指す。 同センターは、がん医療に関して 化学療法や放射線治療の標準治療は もちろん、先進的な臨床・研究施設 として、陽子線治療やBNCT(ホウ素 中性子捕捉療法)、RI (放射性同位元 素)内用療法、PET(陽電子放射断層 撮影)を用いた創薬研究・支援など に取り組む方針だ。 陽子線治療装置やBNCTは1階に配 置する。陽子線は体表面から深い位置でエネルギー が急速に高まり、その後、急速に低下する。狙った病 変に強い線量を効率良く集中し、正常組織へのダメー ジを軽減できるのが特徴だ。18年4月の診療報酬改定 で保険適用が拡大し、現在、頭 とうけい 頚部がん、骨軟部がん、 前立腺がん、小児がんの一部が保険診療となっている。 BNCTは、がん細胞に取り込まれやすいホウ素化合 物を利用した治療法。ホウ素化合物を静注して中性子 を照射するとα線が発生、がん細胞を内部から破壊す る。国内では、まだ未承認の治療法で、現在は臨床 試験や治験が行われている段階だ。 地下1階と地上1階にはPET検査装置や、PET検査の 診断薬(ブドウ糖にPET用放射性物質を標識した診断 薬=FDGと他のさまざまなPET診断薬)を作製する設備 を導入。PET検査装置は、治療効果の判定や治験参加 者のスクリーニング(選別)などにも活用できる。 またPETを用い、医薬品開発の早期の段階に、新薬 の候補物質をヒトに低用量投与し、薬物動態を調べる マイクロドーズ試験(新薬として見込みのある物質を絞 り込む試験)も視野に入れ、創薬研究・支援に取り組む。 2階にはCT(コンピュータ断層撮影)、MRI ( 磁気共鳴 画像診断)、マンモグラフィー(乳房X線撮影)、内視鏡 室などを備えた健診センターを設置し、将来的には遺 伝子診断も取り入れる。3階には医薬品・医療 機器開発の早期探索臨床試験・第Ⅰ相試験(フ ェーズⅠ)などを行う研究施設や外来化学療法 室を配置。4階は幹細胞などを用いた再生医療 設備を入れる。 RI内用療法は、RIを組み込んだ薬剤を、がん 細胞に選択的に取り込ませて攻撃する治療法。 とくにα線核種を用いた RI内用療法は放射線の エネルギーが強く、がん細胞に大きなダメージ を与えること が で き る。 さらに飛程 距離が短い ため他の細 胞への影響 を抑えられ るなどメリッ トがある。 湘南鎌倉総合病院先端医療センター完成予 想図(赤線で囲んだ部分) 演習にも熱が入る(写真は分娩介助の様子) 救急救命士や救急隊員、看護師が参加 「奄美群島出身のインス トラクターを増やしてい きたい!」と小田切部長 院外産科救急の処置学ぶ 名瀬病院 BLSO in 奄美2018開催 開催年月 主催 会場 2012年12月 名瀬徳洲会病院 奄美大島(名瀬徳洲会病院) 2013年 6月 NPO法人親子ネットワークがじゅまるの家 徳之島(徳之島町保健センター) 2014年 2月 名瀬徳洲会病院 奄美大島(大島支庁) 2015年 3月 名瀬徳洲会病院 徳之島(農協会館) 2016年 9月 徳之島の将来の医療と福祉を考える会 徳之島(天城町保健センター) 2018年11月 NPO 法人親子ネットワークがじゅまるの家 与論島(与論徳洲会病院) 2018年12月 名瀬徳洲会病院 奄美大島(鹿児島県立大島病院) 奄美群島での BLSO 開催状況 命だけは平等だ 平成 31 1 21 日 月曜日│No. 1168 1 21 月曜日 発行:一般社団法人徳洲会 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3262-3133 制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:news@tokushukai.jp No. 1168 21/JAN. 2019 TOKUSHUKAI MEDICAL GROUP NEWS ALL LIVING BEINGS ARE CREATED EQUAL

院外産科救急の処置学ぶ - tokushukai.or.jp · )は病院外での産科救急の処置法を学ぶトレーニングコースで、奄美群 島での開催は今回で7回目。奄美大島内の救急救命士や救急隊員、看護師ら計

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Page 1: 院外産科救急の処置学ぶ - tokushukai.or.jp · )は病院外での産科救急の処置法を学ぶトレーニングコースで、奄美群 島での開催は今回で7回目。奄美大島内の救急救命士や救急隊員、看護師ら計

ブマスクによる人工呼吸、

胸骨圧迫、酸素投与など

を習得。

続いて「女性傷病者の

評価」をテーマに、女性

傷病者の観察や妊婦外傷

への対応、妊婦の心肺蘇

生などを学んだ。インス

トラクターは「女性に処

置を行う際は診察時にプ

ライバシーを確保し、本

人の同意を得てから開始

してください」、「妊婦の

心肺蘇生法は一般成人の

救命処置に準拠するのが

原則です」などポイント

を解説。

また、大島病院の救急

車を用いて、救急車内分

娩の対応などに関しても

受講者はレクチャーを受

けた。

この後、学んだことを

振り返り、適切な情報伝

達ができるかどうかを確

認するため、いくつかの

シナリオに沿った症例検

討を実施。患者・家族役

に扮したキャンディデイ

トからの電話を受講者が

受け、搬送先に伝えるべ

き情報を聞き出したり、

必要な処置を検討したり

した。

最後に筆記試験と実技

試験を実施、受講者全員

が無事合格。

「喜界島では空港での出

産事例もあったと聞いて

います。今後も奄美群島

内で定期的に開催してい

きたいと考えています」

と小田切部長は展望を語

っている。

受講した大島病院の坂

口有希子看護師は「これ

まで分娩介助など経験し

たことがありませんでし

たが、実際の事例に遭遇

したら今回学んだことを

生かしたいと思います」

と意欲的。大島地区消防

組合龍郷消防分署の栁昭

栄・救急救命士は「産科

救急の事案に対応する際

の自信をつけることがで

きました。リアルな人形

などを用いた演習により

イメージをつかむことが

できました」と充実した

表情を浮かべる。

大島地区消防組合笠利

消防分署の泉成海・救急

隊員は「成人とは異なる

新生児の蘇生法など学ぶ

ことができ、とても勉強

になりました」と話して

いる。

キルの向上を感じます」

と手応えを示す。

12月2日のプロバイ

ダーコースでは、まず「分

娩介助」をテーマに、分

娩介助手技や臍さ

いたい帯

切断、

胎盤娩べ

出しゅつ、

分娩後大出血、

肩甲難産(胎児の頭部が

出た後、前の肩[前在肩

甲]が母体の恥骨にひっ

かかって娩出困難になる

こと)の対処法などを学

んだ。

演習では「娩出後に新

生児が落ちないよう、頭

から手を離さないでくだ

さい」、「出産後は時間と

場所を確認するようにし

てください。救急車内で

出産した場合も必ず住所

を確認し記録してくださ

い」といったアドバイス

が飛んだ。

次に「新生児蘇生」で

は、新生児を模した人形

を用い、新生児蘇生法ア

ルゴリズムに基づき、蘇

生の初期処置(保温、体

位保持、気道開通、皮膚

乾燥、刺激)や、呼吸・

心拍の評価、バッグバル

病院産婦人科の小田切幸

平部長は「今回のインス

トラクターコースで、8

人のアシスタントがキャ

ンディデイトに昇格しま

した。今後、奄美群島出

身のインストラクターを

増やし、奄美群島内から

も、できるだけ講師を輩

出していきたい」と人材

育成にも注力していく意

向だ。

続けて「母子の生命に

かかわる1分1秒を争う

のが産科救急です。迅速

で適切な対処に加え、救

急隊員と医療機関との間

でのスムーズな情報伝達

が欠かせません。これま

で数回開催してきた奄美

大島や徳之島では、医療

スタッフ・救急隊員のス

を務めたのは、石川県や

東京都、沖縄県、大阪府

など鹿児島県内外から集

まった産婦人科医や救急

科医、救急救命士、看護

師、助産師。インストラ

クターやキャンディデイ

ト(インストラクター候

補者)、アシスタントと

いった資格を有する。

今回は奄美群島で初め

て、通常の受講者向けに

開催するプロバイダーコ

ースに加え、プロバイダ

ーコースでの講師の担い

手を育成するインストラ

クターコースを、前日の

12月1日に開催した。

インストラクターを養成

奄美群島出身増やしたい

プロバイダーコースデ

ィレクターを務めた名瀬

隊員も、分娩を含む産科

救急の場面に遭遇した際

に的確な対応を行い、妊

産婦さんや新生児の死

亡・後遺症を防ぐための

スキルを身に付ける重要

性が高まっている。

2018年12月2日に

開催された「BLSOin

奄美

2018」で講師

BLSOは産科救急の

患者さんに遭遇する可能

性がある救急隊員や看護

師、救急医、総合診療医

などを主な対象として開

催されている。筆記試験

と実技試験に合格すると、

米国家庭医学会とA

LSO Japan

から5年間有効な

認定証を受けることがで

きる。

産科医や分娩施設の不

足は全国的な課題だ。医

療資源の少ない離島・へ

き地では、より深刻な状

況となっているのが現実。

こうしたことから産科以

外の医療スタッフや救急

名瀬徳洲会病院(鹿児島県)は「BLSOin奄美

2018」を開催した。会

場は鹿児島県立大島病院救命救急センター。BLSO(Basic Life Support in

Obstetrics

)は病院外での産科救急の処置法を学ぶトレーニングコースで、奄美群

島での開催は今回で7回目。奄美大島内の救急救命士や救急隊員、看護師ら計23

人が受講し、講義や、リアルなマネキンや胎盤モデルを用いた演習を通じ、病院

外での分ぶ

んべん娩

介助、新生児蘇生、女性傷病者の評価などを学んだ。与論徳洲会病院(同)

を会場に「与論BLSO」も開催されている。

徳洲会グループは、グループ初の陽子線治療などに取り組む「湘南鎌倉総合病院先端医療センター」の建設工事に着工する。湘南鎌倉総合病院

(神奈川県)の南西側の隣接地に地下1階地上4階建ての建物をつくる計画で、2019年5月に着工し、20年9月の開設を目指す。

同センターは、がん医療に関して化学療法や放射線治療の標準治療はもちろん、先進的な臨床・研究施設として、陽子線治療やBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)、RI(放射性同位元素)内用療法、PET(陽電子放射断層撮影)を用いた創薬研究・支援などに取り組む方針だ。

陽子線治療装置やBNCTは1階に配置する。陽子線は体表面から深い位置でエネルギーが急速に高まり、その後、急速に低下する。狙った病変に強い線量を効率良く集中し、正常組織へのダメージを軽減できるのが特徴だ。18年4月の診療報酬改定で保険適用が拡大し、現在、頭

と う け い

頚部がん、骨軟部がん、前立腺がん、小児がんの一部が保険診療となっている。

BNCTは、がん細胞に取り込まれやすいホウ素化合物を利用した治療法。ホウ素化合物を静注して中性子を照射するとα線が発生、がん細胞を内部から破壊する。国内では、まだ未承認の治療法で、現在は臨床試験や治験が行われている段階だ。

地下1階と地上1階にはPET検査装置や、PET検査の診断薬(ブドウ糖にPET用放射性物質を標識した診断薬=FDGと他のさまざまなPET診断薬)を作製する設備を導入。PET検査装置は、治療効果の判定や治験参加者のスクリーニング(選別)などにも活用できる。

またPETを用い、医薬品開発の早期の段階に、新薬の候補物質をヒトに低用量投与し、薬物動態を調べるマイクロドーズ試験(新薬として見込みのある物質を絞り込む試験)も視野に入れ、創薬研究・支援に取り組む。

2階にはCT(コンピュータ断層撮影)、MRI( 磁気共鳴画像診断)、マンモグラフィー(乳房X線撮影)、内視鏡室などを備えた健診センターを設置し、将来的には遺

伝子診断も取り入れる。3階には医薬品・医療機器開発の早期探索臨床試験・第Ⅰ相試験(フェーズⅠ)などを行う研究施設や外来化学療法室を配置。4階は幹細胞などを用いた再生医療設備を入れる。

RI内用療法は、RIを組み込んだ薬剤を、がん細胞に選択的に取り込ませて攻撃する治療法。とくにα線核種を用いた RI内用療法は放射線のエネルギーが強く、がん細胞に大きなダメージ

を与えることが で きる。さらに 飛 程距離が短いため他の細胞への影響を 抑 えら れるなどメリットがある。

5月に先端医療センター着工湘南鎌倉総合病院先端医療センター完成予

想図(赤線で囲んだ部分)

陽子線装置など導入

新春特別企画徳洲会この1年

演習にも熱が入る(写真は分娩介助の様子)

救急救命士や救急隊員、看護師が参加

「奄美群島出身のインストラクターを増やしていきたい!」と小田切部長

院外産科救急の処置学ぶ名瀬病院

BLSO in 奄美2018開催

開催年月 主催 会場2012年 12月 名瀬徳洲会病院 奄美大島(名瀬徳洲会病院)2013年 6月 NPO法人親子ネットワークがじゅまるの家 徳之島(徳之島町保健センター)2014年 2月 名瀬徳洲会病院 奄美大島(大島支庁)2015年 3月 名瀬徳洲会病院 徳之島(農協会館)2016年 9月 徳之島の将来の医療と福祉を考える会 徳之島(天城町保健センター)2018年 11月 NPO 法人親子ネットワークがじゅまるの家 与論島(与論徳洲会病院)2018年 12月 名瀬徳洲会病院 奄美大島(鹿児島県立大島病院)

奄美群島でのBLSO開催状況

徳 洲 新 聞徳 洲 新 聞 生い の ち

命だけは平等だ❶ 平成 31年 1月21日 月曜日 │ No.1168

1月21日 月 曜 日

発行:一般社団法人徳洲会  〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階

TEL:03-3262-3133制作:一般社団法人徳洲会 広報部 〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビル14階 TEL:03-3288-5580 FAX:03-3263-8125  Email:[email protected]

No.116821/JAN. 2019

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