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実践研究の意義と方法 基礎研究Ⅱ 実践評価・実践研究系科目 集合研修Ⅰ 公益社団法人北海道社会福祉士会

実践研究の意義と方法...実践研究の視点 ①臨床上の情報を必要とする問題を解答可能な質問に変え る。(患者の問題の定式化) ②その質問に答えるために最も効率的な方法で、理学所見や

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実践研究の意義と方法

基礎研究Ⅱ

実践評価・実践研究系科目

集合研修Ⅰ

公益社団法人北海道社会福祉士会

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講義のねらいと流れ

講義のねらい • 実践研究の定義や意義について理解できる。

• 日本社会福祉士会の実践研究に関する取組みについて理解できる。

講義の流れ ① 「実践研究」までの道のり

②実践研究とはなにか

③実践研究が求められる理由

④日本社会福祉士会の歩みによる実践研究への道のり

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「≪ある控えめな男のためにお祝いの会が開かれた。集まった人々は、ちょうどいい機会とばかり、てんでに自慢するやら、褒め合いをするやらで時間の経つのを忘れた。食事も終わろうという頃になって人々が気づいてみると-当の主人公を招くのを忘れていた≫(中略)主人公をそっちのけにしてにぎわった祝賀会の奇妙さ、理不尽さを描いたものだ。大きな転換点を迎えて、近年いよいよ明らかになってきている既成のさまざまな理論や学問と現実とのずれを見ていると、この話を思い出してしまう。集まった人々にあたるのは、常連のさまざまな華々しい理論や学問であり、主人公にあたるのは<現実>である。」※1

○ 社会福祉にとって、主人公は、実践の場であり、利用者であると言える。

○ 専門職が、制度・政策を論じ、理論を展開する場に常に主人公を招いているか。

○ 主人公を抜きにした理論は奇妙であり、理不尽ではないか。

※1 中村雄二郎(1992)「臨床の知とは何か」岩波書店

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【演習】

•日々の実践をはじめ、実践研究の展開において、主人公を招いているのでしょうか。

•自己紹介(所属・氏名)をしながら、日々の実践や実践研究を振り返ってみてください。

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実践研究の視点

① 臨床上の情報を必要とする問題を解答可能な質問に変える。(患者の問題の定式化)

② その質問に答えるために最も効率的な方法で、理学所見や臨床検査、文献、その他の情報源のいずれかにより最良の根拠(evidence)を追求する。(能率的で質の高い情報収集)

③ 妥当性(真実への近似)や有用性(臨床的応用性)という点で、その根拠を批判的に検証評価する。(情報の批判的検証評価)

④ この評価の結果をわれわれの臨床的専門技量と統合し、実地臨床にその結果を応用する。(情報の患者への適用)

⑤ 自分たちの実行したことを事後評価する。(研究課題の抽出)

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【演習】

•あらゆる専門職にはその責務としてアカウンタビリティ(acountability)の遂行が求められる。

•アカウンタビリティとは、「説明するという責務を果たすこと」であり、説明を求められた場合のみ行うというものではなく、また単に説明すればよいというものでもない。

•社会福祉士の倫理綱領では、「利用者に対する倫理責任」のなかで「説明責任」が求められている。

•日々の実践や実践研究の中で、どのような説明責任を果たしているのだろうか。

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実践研究が求められる理由

①実践的課題への対応が不可欠である。

②提供するサービスの質的向上が不可欠である。

①研究の場や研究者との連携

②サービス提供の担い手(専門職)の力量形成(向上)に資する研修

また、①と②を促進させるためには、

などの活動が必要である。

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実践研究とは

「理論の具現化としての社会福祉実践の担い手である社会福祉専門職が自らの実践に学ぶことを前提として、言語化することを通して実践課題を明らかにし、日々のその実践を客観的に検証し、課題解決に臨み、知見を積み上げるなかで専門的知識と実践方法の統合と普遍化を目指す一連のまたは循環する取り組み」※1

※1 高山由美子『社会福祉士がとらえる実践研究 第1節』日本社会福祉士会編(2009)「新 社会福祉援助の共通基盤 第2版」200頁

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【演習】

•日々福祉サービスの利用者と向き合い、実践が展開される場に臨んでいる社会福祉士は、「実践研究」に取り組む責任あると言える。

•実践から研究を導き出すためには、どのようなことが必要になるのであろうか。

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① 「実践研究」までの道のり

1) 「社会福祉」は社会システムのサブシステムである

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① 「実践研究」までの道のり

2) ソーシャルワークの定義に見る価値観

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② 実践研究となにか

1) 日本社会福祉士会の定義

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③ 実践研究が求められる理由

1) 実践力のある社会福祉士は、実践を言語化する

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③ 実践研究が求められる理由

2) 実践の言語化は、原理と使命を基準に行う

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③ 実践研究が求められる理由

3) 実践の言語化により社会福祉士は成長する

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③ 実践研究が求められる理由

4) 実践の言語化は、社会福祉士の増進に結びつく

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③ 実践研究が求められる理由

5) 実践研究は、実践と研究を結ぶ枠組み

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④ 日本社会福祉士会の歩みにみる実践研究への道のり

1)日本社会福祉士会の成立から生涯研修制度の構築まで

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④ 日本社会福祉士会の歩みにみる実践研究への道のり

2)社会福祉基礎構造改革と6領域の構成

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3)社会福祉士全国統一研修の嘉一と「社会福祉援助の共通基盤」

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④ 日本社会福祉士会の歩みにみる実践研究への道のり

4)生涯研修制度の改正と認定社会福祉士

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④ 日本社会福祉士会の歩みにみる実践研究への道のり

5)日本社会福祉士会の歩みと「実践研究」