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2019/7/24 1 学術企画 日本企業のイノベーションに関する 組織のミクロ基礎に注目した実態調査 説明会@神戸大学インテリジェント・ラボ 2019/7/21 1 経緯 2019/7/21 2

学術企画 日本企業のイノベーションに関する 組織のミクロ基礎 …koichinakagawa.web.fc2.com/190721lecture.pdf · • 新製品・サービス開発,技術管理などだけでなく,たいていのトピックに

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学術企画

日本企業のイノベーションに関する

組織のミクロ基礎に注目した実態調査

説明会@神戸大学インテリジェント・ラボ

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経緯

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発端

• 2017年12月頃:阪大中川先生から

「組織学会の企画委員で若手・中堅向けの学術企画をたてることになった

のだが,何かいい案ないかしら」と宮尾に相談

• 宮尾が乗っかりたたき台作成→学術委員会で検討開始

• 2018年7月 コアメンバー招集(中川,佐々木,服部,宮尾)

• 原案作成→科研費申請→組織学会理事会にて承認

• 2019年6月 組織学会会員総会で学術企画として発表

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当初案

• なぜ「革新性」?

– 汎用的

• 新製品・サービス開発,技術管理などだけでなく,たいていのトピックに

「の革新性」をくっつけることができる

• みんなでシェアできるデータに

– 企業の関心が高い

– 宛先を特定しやすい

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日本企業の革新性に関する全国調査

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目標・お手本

• PDMAのCPAS

– 1990,1995,2004,2012年に実施

– 2017-18年に5回目を実施予定

– 2012年は日本も参加

(川上先生@早稲田大ほか)

• 製品開発に特化

– ハイパフォーマーとローパフォーマーを

比較

• データをシェアして論文に

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企画概要

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目的とポリシー

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ポリシー

• 多数の会員の研究対象に収まるように,組織のミクロ事象・マクロ事象の

両方のデータを収集する。

• 組織や個人の創造性やイノベーションを問う。

• データ収集において,実務的な意義と学術的な妥当性の両方のバランスをとる。

• 日本企業の現在を記述するものとして、代表性のあるデータを構築する。

目的

• 日本を代表する経営学&組織事象を扱う学会として、日本企業の経営実態を

データとして把握、蓄積するという社会的・学術的役割を果たす。

• 会員へのサービス・新規会員への誘因のひとつとして。会員ならば誰でも

アクセス・利用可能なデータとし、学会参加の魅力を高める。

メンバー公募

• 収集されたデータは広く会員全員にシェアし、利用も自由としますが,

サーベイの設計や質問票配布・回収段階からお手伝いいただける方を

あつく募集します。組織学会員ならどなたでもご参加いただけます。

<参加のメリット>

• 質問事項に自身の興味あるアイテムを入れられる。

• データへの早期アクセス。

<コミットメント>

• 企画への参加意思を確認する意味で、データ提供先企業候補をご用意

いただきたいと考えています。

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研究背景と問題意識

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日本的経営への注目

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偉大な先達の研究

• 米国227社,日本291社の比較研究

• 経営環境,経営目標,経営戦略,組織構

造,組織過程,経営者特性について調査

• 環境適応の4類型

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重い日本企業

• 18社,107ビジネス・ユニット (BU)

• 組織の<重さ>指標の確立

• 重い企業ほど,利益率,達成感・成長機会,

調整比率などが良くない傾向

• 組織デザインと重さの関係

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現代の日本企業を取り巻く環境

• ICTの普及

• 製造業からサービス業へのシフト

• 人手不足

• 働き方改革

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研究課題

• 日本的な経営スタイルの定置と日米経営比較→失われた20年と環境変化

という歴史を踏まえ,日本企業の経営スタイルの実態を把握する

• その日本的な経営スタイルが企業内の個人の働き方にどのような影響を与

えているのかを把握する

– そもそも働き方とは?心理的状態?行動?

• 経営スタイルの違いと企業の革新の間にどのような関係があるのかを明ら

かにする

• これらを経時的に調査し,学会の知識基盤とする

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理論的課題

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Felin, T., Foss, N. J., & Ployhart, R. E. (2015). The microfoundations movement in strategy and organization theory. The Academy of Management Annals, 9(1), 575-632.

調査の枠組み

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日本企業の経営スタイルの変化

組織の能力や成果,イノベーション

個人と組織との関係組織内の

個人の働き方

マクロ

ミクロ

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ここまでのまとめ

• イノベーションをアウトカムとした日本企業のサーベイを行う

– なぜイノベーション?:重要性+汎用性

– 学会として取り組む異議:継続調査によるデータ基盤の作成

• ミクロ的基礎に注目

– マネジメント要因→イノベーションのアウトカム(マクロ-マクロ)

– 企業で働く人々への働き方への注目(ミクロ-ミクロ)

– 両者をつなぐ理論的枠組み

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調査デザインと進め方

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研究デザイン

• 日本の大企業を対象としたサーベイ

– マクロ変数とミクロ変数を把握する(multi-level setting)

– 実務的に意味の大きい,客観的な働き方や生産性の実態を把握するための

実数データも収集する

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変数の例 回答者

マクロ変数 組織構造や,システム,制度環境,

パフォーマンスなど

人事部など(代表者)

ミクロ変数 心理的状態,行動など ミドルマネジャー

• コア事業から10名

• 新規事業開発から10名

• 営業・業務、R&D、IT、マーケティング、

経営企画からバランス良く選抜

データ収集

• 調査協力:ProFuture

– ProFuture:人事・経営に関する情報サイト運営/ネットワーキング

• 日本最大級のHRポータルサイト「HRプロ」を運営

• 日本最大規模の人事フォーラム「HRサミット」開催

– 会員企業への回答依頼

– アンケートサイトの運営とデータ集計

• 企画参加会員によるデータ収集

– 参加会員が繋がりのある企業に回答を依頼する

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目標回答数 200社 3,000人

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これまでに検討した変数

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日本企業の経営スタイル

• 組織構造

• パワーバランス

• HR施策

個人と組織の関係

• 仕事・役割

• リーダーシップ

• 人的資本

• 社会関係資本

• 心理的資本

組織能力,経営成果

• 経済的成果

• イノベーション実現

• 組織の革新性

• 組織の重さ

組織内の個人の働き方

• 個人成果

• 曖昧さへの耐性

• 危機意識

• イノベーション行動

会員参加による調査項目の検討

• 組織学会の会員で希望する方には,調査項目の検討に参画いただきます

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企業の成果 経済的パフォーマンス,イノベーション実現(OECD)

企業の実態 組織構造,HR施策

ミドルマネジャーの(心理的)状態

リーダーシップ,人的資本,社会関係資本,心理的資本

ミドルマネジャーの行動 イノベーション行動

これらに付け加えるべき変数は?

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調査項目検討の基準(案)

• 既刊の論文等により妥当性,信頼性が担保されている変数を使う

– 独自の変数を開発する!ということはしない

– なので,ご提案の際は出典とともに

• 日本企業の,というテーマに沿うもの

• パフォーマンス(特にイノベーション実現)の違いを説明しそうな変数

– なんらかの仮説があることが望ましい

• 継続的に調べることに意義がありそうなもの

– 経時的な変化が期待できるもの+実態把握的な調査項目

• マルチレベル分析を意識する

– 企業内変動は小さく,企業間変動は大きい

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今後の進め方

7月21日(日)説明会 15:00-17:00 神戸大学梅田サテライト

8月21日(水)応募締め切り(メンバー確定)

8月30日(金)キックオフ・ミーティング 15:00-17:00

2019年9月-11月 調査設計

2019年12月-2020年2月 調査実施

2020年3月-5月 集計

2020年6月の大会で一次調査結果の発表。希望者へのデータ配布開始

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まずは今日の説明を受けて,調査への参加可否をご検討ください

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参加にあたって

• ご参加いただくにはデータ収集へのご協力をお願いします(obligation)

– 最低1社分のデータを収集していただくようお願いします

• ご参加いただいた方は,早くデータにアクセスできます(incentive)

– 収集したデータは1年後には全組織学会員にオープンになります

– 参加者はその前からデータを使用できます

• 参加者でワーキンググループを作り,質問票を作成します

– 現時点の案では,マクロ変数グループとミクロ変数グループを編成する予定

です

• 参加を希望される場合は,コアメンバーの誰かに連絡してください

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Q&A

Q データ収集に協力を依頼できるのが中小企業になりそう。それでも問題ないか?実態調査で

あれば,中小企業も含めるべきでは?

A 大企業に絞ろうと考えているので,データ収集は大企業でお願いしたい。確かに,日本では

中小企業が多いが,それを含めるならばもっと多くのサンプルが必要になる。

Q 変数の案が多くなった場合取捨選択が必要になるが,どうやって決めるのか?コアメンバー

がリーダー的な役割として判断するのか。

A 基本的にはコアメンバー=リーダーとは考えていない。誰がリーダーになっても良い。ただ,

言い出しっぺとして責任持って決めるべきという考えもある。

Q データを使った論文のオーサー・シップは?

A 実質的な著者のみが共著者で,コアメンバーなどを含める必要はない。学会に対しては,

acknowledgementで言及して貰えればOK。

Q データ公開までの1年の間に,共著者と論文を書く場合,共著者も最初から参加しておく必

要があるか?

A 大学院生との共著であれば良いと思う。状況によると思うので個別相談。

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