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学校名 指導教員名 配置学級 フリガナ 学籍番号 学部教育実習委員教員氏名 学部指導教員氏名 琉球大学 教職課程実習委員会 教育実習の手引き 実習校 琉球大学 学部 学科 課程 専修 コース 専攻

教育実習の手引き - 琉球大学 教育学部 · 教育実習の目的 (1) 生徒の実態を把握し,教育活動についての理解を深める。 (2) 教育環境・教育活動全般にわたる認識を深める。

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学校名  指導教員名

配置学級    

フリガナ 学籍番号

氏  名

学部教育実習委員教員氏名 学部指導教員氏名

琉球大学 教職課程実習委員会

教育実習の手引き

実習校

年       組

  琉球大学      学部学科課程

専修コース専攻

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目 次

1 教育実習の意義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2 教育実習の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

3 教育実習の単位と時間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

4 教育実習にあたっての心得・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

5 教育実習直前の実習校との事前の打ち合わせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

6 教育実習の服装・身なり(教育実習関連科目の服装・身なり)・・・・・・・・・・・・・ 3

7 教育実習生の勤務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

8 学校の組織運営(校務分掌組織図)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

9 教科指導・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

10 教育実習中の心身の健康管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

11 教育実習中の危機管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

12 教育実習の中断における対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

13 教育実習後の対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

14 生徒理解・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

15 教育実習の形態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

16 観察実習の視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

17 授業設計の基本・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

18 学習指導案の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

19 授業研究会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

20 教育実習記録簿の記入上の留意点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

21 指導案事例(沖縄県総合教育センター提供資料)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

(1) 国語の指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

(2) 社会科(公民)の指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26

(3) 数学の指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

(4) 外国語の指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

(5) 理科(生物)の指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38

(6) 情報の指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41

(7) 農業の指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43

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1.教育実習の意義

教育実習は将来教師を目指している学生が講義等で学んだ諸々の教育理論を体験的・実践的に検証,確認

することを通して,生徒理解及び授業づくり,教職等について学ぶ唯一の機会と言えます。教職の場合は,

他の多くの職業と異なり,採用後直ちに教壇に立ち,学校・保護者・地域・社会に対しても,教師としての

責任を負わけなければなりません。このように考えると,教育実習は,皆さん一人一人が「学生」ではなく,

「先生」として見られ,自覚と責任のある行動が求められる欠くことのできない重要なものであることが分か

ります。また,教育実習を通して,教育者となるための資質や能力,適性を判断したり,教職を志望してい

く上での課題をつかんだりすることもきわめて重要となります。

2.教育実習の目的

(1) 生徒の実態を把握し,教育活動についての理解を深める。

(2) 教育環境・教育活動全般にわたる認識を深める。

(3) 教員として生徒を指導するのに必要な専門的な技術を習得する。

(4) 教育実習における様々な課題に対して,積極的に解決しようとする態度を身に付ける。

(5) 教育者としての愛情を深め使命感を持ち,教員としての資質・能力や適性について自覚する。

3.教育実習の単位と時間

教育実習(公立等)の期間は,4単位の場合は3週間から4週間,2単位の場合は2週間とする。

授業実習は,4単位の場合は 10時間以上,2単位の場合は5時間以上行うことを原則とする。ただし,実

習校に規定がある場合や諸事情がある場合はそれに従うこと。

単位数 4単位 2単位

期 間 3週間~4週間 2週間

授業実習 10時間以上 5時間以上

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4.教育実習にあたっての心得

教育実習は,「教職に就くことを強く志望する者」にのみ参加の機会を与えられた特殊できわめて重要な

実習科目です。無資格でありながら授業を担当する機会が与えられ,専門職と同等の経験ができるという特

徴があります。半面,その対象は日々成長,発達をとげつつある生徒ですから,甘えや怠慢は許されません。

観察,参加および授業実習を通じて,教育の理論と実践の基礎的能力を養い,教育実践力を身に付けていく

意識を持って参加してください。

実習生は,以下のことをしっかり守って教育実習に臨むことが大切です。なお,教育実習の指導は,大学

側の教員と実習校の教員が協力して担当することになっていますが,実際には実習校の校長,教頭,教務主

任と指導教員が主にこの指導にあたっています。従って,実習校における勤務及び行動は,実習校の方針や

指示に従うことが重要です。

(1) 教育実習に参加できる学生は,これまでに「麻疹抗体価検査」を受検し,検査結果が陽性になった者,

または,陰性,弱陽性の者で,麻疹予防ワクチンを接種したものに限る。

(2) 風疹,水痘,おたふくかぜの予防ワクチン接種を,これまでに2回以上受け,その抗体ができているこ

とが望ましい。

(3) 実習期間中は,生徒にとって実習生も教師である。教師としての責任と自覚を持った行動をする。

(4) 実習校の服務規程に従い,積極的な態度で教育実習にあたる。

(5) 実習校の規定の時刻までに出勤し,直ちに実習生出勤簿に捺印する。

(6) やむを得ず欠勤,遅刻,早退をしようとする時は,指導教諭または実習担当教諭,教頭の許可を得る。

(7) 言語・容姿,挙動に注意し,実習学校教職員にはもちろん,生徒・保護者に対しても気持ちよいあいさ

つをする。

(8) 実習期間中に知り得た個人情報については,絶対に外部の者に漏らさないこと。実習後においても,そ

の守秘義務を守る。

(9) 様々な教育活動等には,時間に余裕を持って臨み,遅れることがないようにする(時間厳守)。

(10) 見通しのある計画を持って,参加・観察・授業実習に心がける。

(11) 教材研究を深め,学習指導計画案を作成し,指定された日の前日までに指導教諭に提出する。

(12) 指導教諭等に「何か手伝うことがありませんか」とか「私にさせて下さい」などと積極的に関わるよう

に心がける。

(13) 指導教諭をはじめ他の先生方に対して,積極的に指導助言を請うようにし,その指導助言に対しては,

どんな些細なことでも素直に受け止め,改善に努める。

(14) 日々の実習について振り返り,その日のうちに教育実習記録簿に記す。

(15) 生徒に対する指導においては,次の点に配慮する。

① 生徒の気持ちに寄り添い,生徒とのふれ合いをできるだけ多く持つように心がける。

② 指導にあたっては,公平で親しみのある態度で接し,努めて生徒と関わり合う機会を多く持つよう

にする。

③ 生徒の安全の確保や健康状態に,常に配慮し,必要に応じて指導教諭や養護教諭に報告・連絡・相

談する。

④ 生徒に対して絶対に体罰を加えてはならない。

⑤ 実習校の指導教員の承認なしに生徒を校外に引率してはならない。

⑥ 生徒と携帯やスマホ等によるSNS(ライン等)やメール,通話での情報のやり取りをしてはなら

ない。

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⑦ 生徒の前で実習校の教職員の批判をしてはならない。

(16) 実習期間中は,実習先の教職員とアルコールを伴う飲食をしてはならない。

5.教育実習直前の実習校との事前の打ち合わせ

実習直前の打ち合わせで大切なことは,自分にとって必要な情報をきちんと確認することです。

(1) ホームページ等で実習校に関する情報収集を行い把握しておく。

(2) 学校を訪問する際は、正装(リクルートスーツ)または白のワイシャツにネクタイ、白のブラウスに名

札(大学指定)を着用する。

(3) 自己紹介においては,教員志望であることをきちんと伝える。曖昧な動機で教育実習をされては,生徒

及び学校にとっては大変迷惑なこととなる。教育実習を断られる場合もある。

(4) 配属学年,使用教科書,実習で担当する単元の確認をする。

(5) 出勤簿の場所,日課表及び週時程表の確認をする。

(6) 通勤に関して自家用車使用が可能かどうかを確認する(駐車場が確保できない学校もあるため)。

(7) 昼食は弁当持参なのか給食なのかを確認する。

(8) 欠勤,遅刻,早退の場合の連絡・手続き方法について確認する。

6.教育実習の服装・身なり(教育実習関連科目の服装・身なり)

(1) 県内における教育実習中の服装は,TPO に応じて下記の①,②を基本とする。

ただし,教育実習関連科目の服装・身なりについては,講義担当教員の指示に従うこと。

① 実習校への挨拶(実習前・後),生徒及び職員との初顔合わせ,授業研究において

→ 正装(リクルートスーツ)または白のワイシャツにネクタイ,白のブラウス

② 通勤時,観察実習,参加実習,授業実習等において

→ 白のワイシャツにノーネクタイ,白のブラウス

(2) 県外における教育実習中の服装は,正装を基本とする。また,服装については,実習校に確認する。

(3) 教育実習中は,常時名札をつけること。名札の様式は,教職センターのHPからダウンロードする。

名札(両面記入)の長さは,ワイシャツの第三ボタンの位置に調整する。

(4) 身なりは,華美にならず,清潔,清楚を心がける。

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名札について

<見本>

7.教育実習生の勤務

実習期間中の勤務態度は,教育実習を行う上で最も基本的なものです。また,良好な勤務態度は一人の社

会人,職業人として身につけておかねばならない大切な資質でもありますので,下記の事項に留意して臨み

ましょう。

(1) 実習生は,学校長をはじめとする実習校教員の指導の下で実習にあたること。

(2) 勤務時間は実習校の教員に準ずるものとし,できるだけ 30分前までに出勤すること。

(3) 勤務時間は原則,中学校が 8時 15分~16時 45分,

高 校が 8時 30分~17時 15 分

となっているが,各自で事前に実習校の勤務時間を確認しておくこと。

(4) 出勤したら,必ず出勤簿に押印すること。

(5) 勤務時間内にやむを得ず校外に出る場合は,必ず指導教員および教頭の許可を得ること。

(6) 勤務を終えたら,指導教員及び職員室にいる教員,事務職員にひと声掛けて帰宅すること。

(7) 原則として遅刻,早退,欠勤は認めない。しかし病気または事故等,やむを得ない理由で欠勤や遅刻,

早退をする場合は必ず下記の手続きを行うこと。

① 欠勤 始業 30分前までには電話で連絡し,後日,欠勤届を指導教員へ提出する。

② 遅刻 遅刻した時には,速やかに遅刻届を指導教員へ提出する。

出勤途中にもし遅刻しそうになったら電話で「遅れること」を連絡する。

③ 早退 早退前に指導教員または教頭の許可を得て,同時に早退届を提出する。

(8) 欠勤・遅刻または早退により,実習の時数及び日数が不足する場合には,補講等により所定の教育実習

時間または日数を確保すること。ただし補講については,P1の「3.教育実習の単位と時間」に従い実

習校と調整して実施すること。

(9) 3日以上の欠勤(忌引き,感染症等を含む)となり,補講の対応が困難であると実習校が判断した場合

には,教育実習は中断となるので留意すること。

(10) 忌引きの場合の勤務については,指導教員を通して教頭と調整し対応すること。

教 育 実 習 生

琉 球 大 学 ○ ○ 学 部

教科名 理 科 りゅうきゅう たろう

琉 球 太 郎

学名:15ポイント程度

科名:15ポイント程度

ふりがな:12ポイント程度

氏名:28ポイント程度

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提出日:○○ 年 月 日( )

教育実習(欠勤・遅刻・早退)届 ※該当するものに○をつけて下さい。

実習校担当教員 先生

学部 学科 教科名

氏 名 印 学籍番号 年次

連絡先(携帯電話番号)

メールアドレス

1 講 義 科 目 教育実習

2 欠勤の期間 (自)○○ 年 月 日( )

(至)○○ 年 月 日( )

遅刻・早退の日時 (自)○○ 年 月 日( )

時 分(遅刻入室・早退)

3 理由

4 提 出 先

○ この届は,理由を明記して実習校の担当指導教員,または教頭に提出すること。

※「教育実習の手引き」P4「7.教育実習生の勤務」に従うこと。

下記の通り,提出いたします

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8.学校の組織運営(校務分掌組織図)

学校の教育課程は学校長の指導監督の下に学級(HR),学年会,生徒指導委員会,教科会,各種委員会活

動などの校務分掌を基に運営されています。実際にはここで表記できない様々な校務分掌があり,それらが

機能的に連携し運営されていることを実習校の校務分掌組織図を見ながら理解するようにしましょう。

<中学校の例>

<高校の例>

校 長

企画委員会

各種委員会

① 生徒指導委員会

② 学力向上推進委員会

③ 教育相談・特別支援委員会

④ 情報推進委員会

⑤ いじめ防止推進委員会

⑥ 学校保健委員会

職員会議

学 年 会 教科部会

教 頭

学 級

校 長

運営委員会

各種委員会

①キャリア教育推進委員会

②いじめ防止対策委員会

③カウンセリング・特別支援教育委員会

④中途退学対策委員会

⑤生徒派遣委員会

⑥生徒指導委員会

職員会議

学年会 教科会

教 頭 事務長

各部会 事務部

①教務部

②進路指導部

③生徒指導部

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9 .教科指導

教育実習においては,教科指導についての取組が最も重要になります。「主体的・対話的で深い学び」の

実現を目指し,教材研究を深め,学習評価を工夫した授業構成を考えていきましょう。

(1) 一人一人の生徒が楽しいと感じるような授業

① 「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業を目指す

下記の3つの学びを意識した授業改善に努める。

ア 【主体的な学び】

学ぶことに興味や関心を持ち,自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら,見通しを持って粘

り強く取組み,自らの学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているか。

イ 【対話的な学び】

生徒同士の協働,教員や地域の人との対話,先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ,自ら

の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているか。

ウ 【深い学び】

習得・活用・探究の見通しの中で,教科等の特質に応じて育まれる見方・考え方を働かせて思考・

判断・表現し,学習内容の深い理解や資質・能力の育成,学習への動機付け等につながる「深い学び」

が実現できているか。

(参考:中央教育審議会教育課程部会高等学校部会,2016,「学習指導要領改訂の動向について」より)

② 学び合う場を設定する

授業のよさは,一人一人の学びを交流し合い,深め合うところにある。授業のなかで学び合う場を意

図的・計画的に設定し,学び合いを行わせることが求められている。その活動を通して,授業(本時)

の目標を達成することが重要になる。

(2) 教材研究の方法

① 教科内容について理解を深める

教科指導に当たっては,まず,教師自身が教科内容そのものについての幅広い知識を持ち,理解を深

めておく必要がある。

② 教材のねらいを明らかにする

教材内容を分析・検討し,単元全体をつらぬく中心的なねらいと生徒に身に付けさせたい力を明確に

する。また,それが教科目標や学習目標とどのように関連していくのかを明らかにする。

③ 指導計画を立てる

ア 指導の方法と順序を考える。

イ 1単位時間ごとの目標(本時のねらい)と学習内容を決める。

ウ その目標や内容に応じて,授業の組み立てや学習形態,発問・助言・指示・資料や教材・教具,

ICTの活用,板書計画,ノート指導など,様々な指導の方法を考える。

指導方法の工夫として,次のことを考慮する。

・教師の指導と生徒の自主的な学習活動を適切に組み合わせ,体験的な学習活動を取り入れること

・ティーム・ティーチングなどの協力的な指導を取り入れること

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(3) 学習評価 (文部科学省,2017,「中学校学習指導要領解説総則編」より)

① 評価の目的

学習評価は,学校における教育活動に関し,生徒の学習状況を評価するものである。「生徒にどのよう

な力が身に付いたか」という学習の成果を的確に捉え,教師の指導の改善を図ると共に,生徒自身が自

らの学習を振り返って次の学習に向かうことが重要である。

② 実際の評価

実際の評価においては,各教科等の目標の実現に向けた学習の状況を把握するために,指導内容や生

徒の特性に応じて,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫し,

学習の過程の適切な場面で評価を行う必要がある。その際には,学習の成果だけでなく,学習の過程を

一層重視することが大切である。特に,他者との比較ではなく生徒一人一人のもつよい点や可能性など

の多様な側面,進歩の様子などを把握し,学年や学期にわたって生徒がどれだけ成長したかという視点

を大切にすることも重要である。

③ 評価の主体と対象

評価は教師による評価とともに,生徒による相互評価や自己評価等がある。相互評価や自己評価は,

生徒自身の学習の向上にもつながることから重視する必要がある。また,学習評価を行っていくために

は,論述やレポートの作成,発表,グループでの話合い,作品の制作等といった多様な活動を評価の対

象とし,ペーパーテストの結果にとどまらない,多面的・多角的な評価を行っていくことが必要である。

10.教育実習中の心身の健康管理

教育実習は,限定された期間に集中して行われるので,各自の心身の健康管理には,普段より一層気をつ

ける必要があります。

(1) 食事・睡眠時間の確保など,規則正しい生活を心がける。

(2) 実習中に困ったこと,不安なことが生じたら,実習校の指導教員や学部の教育実習委員,ゼミの指導教

員,年次指導教員あるいは教職センター教員などに気軽に相談をする。

(3) 感染症(インフルエンザ等)への対応については,次の通りとする。

① 感染症の疑いがあるときは,直ちに学校に連絡し速やかに医療機関で受診する。

② 診断結果が判明するまでは,自宅待機とし,外出はしない(実習校へは絶対に出勤しない)。

③ 診断の結果,感染している場合には,自宅待機を継続し,治療に専念する。完治した後,速やかに出

勤し実習を再開する。

④ インフルエンザについては,P11 の「インフルエンザ出勤停止期間早見表」を参照して,出勤可能日

を確認し,P10の「インフルエンザ回復届出書」を欠勤届出等と併せて実習校の指導教員へ提出する。

⑤ インフルエンザ以外(麻疹,風疹,水痘,おたふくかぜ等)の感染症については病院からの完治証明

書を添付する。

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11.教育実習中の危機管理

教育実習中は,心身の健康管理以外にも下記の危機管理に適切な対応をしましょう。

(1) 交通事故に対する対応

① 教育実習期間中の出退勤の際,交通事故に遭った場合には,速やかに実習校へ連絡し,その後の対応

については学校の指示に従うこと。後日,実習校へ欠勤・遅刻届を提出すること。

② 人身事故の場合には,対応後,速やかに実習校及び学部事務の学務係へも報告をすること。

(2) 台風等の自然災害に対する対応

① 台風の際,生徒は休校となるが学校職員は必ずしも休みとはならないので,出勤前に暴風警報が発令

されていても次のことを確認し対応すること。

・暴風警報が発令されていて,バスの運行が停止している場合は,業務停止となる(休み)。

・暴風警報が発令されていても,バスが運行しているときは,原則勤務となるが,実習校の教頭または

指導教員に連絡を取り確認する。

※事前に,台風の場合の勤務の取り扱い(業務停止や業務再開)については,必ず確認をしておくこと。

② 地震等その他の自然災害については,実習校へ連絡し対応を確認すること。ただし,実習校と連絡が

取れない場合は,大学の教育実習委員またはゼミの指導教員,あるいは年次指導教員のいずれかに連絡

を取り対応を確認すること。

(3) 実習を続けていくことに不安を感じた場合

直ちに実習校へ体調不良のため欠勤する旨を伝え,次の手順に従って行動する。

① 学部の教育実習委員及びゼミ等の指導教員,年次指導教員あるいは教職センター教員のいずれかに連

絡し,詳しく内容を伝え相談すること。

② ①の相談の結果,必要があれば,大学の他教員や保健管理センター,またはその他の機関に相談する

こと。

※ 誰にも連絡せず,黙って実習を欠勤する事がないようにする。

教育実習委員の連絡先 ( )

ゼミの指導教員の連絡先( )

年次指導教員の連絡先 ( )

学部の学務係の連絡先 ( )

琉球大学教職センター 098-895-8312

琉球大学保健管理センター 098-895-8144

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学 校

校 長 殿

インフルエンザ回復届出書

1.発症した日 ○○ 年 月 日 ( )

2.受診について

(1)受診した日 ○○ 年 月 日 ( )

(2)医療機関名 ( )

3.あなたの平熱は ( 度)

4.解熱した日 ○○ 年 月 日 ( 曜日)

《出勤停止期間中の体温測定結果》

日数 発症日 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目

月 日

(曜)

( )

( )

( )

( )

( )

( )

( )

( )

朝( 時) ℃ ℃ ℃ ℃ ℃ ℃ ℃ ℃

夕( 時) ℃ ℃ ℃ ℃ ℃ ℃ ℃ ℃

(発熱期間が長く,解熱2日が記録できない場合は,裏面,あるいは別の記録用紙を添付するなどして下さい)

上記の通り,発症後5日を経過し,かつ 解熱後2日を経過して体調が回復したことを

報告いしたします。

○○ 年 月 日 教育実習生氏名: 印

インフルエンザの出勤停止期間は,学校保健安全法施行規則により「発症したあと5日を経過し,

かつ解熱後2日を経過するまで」と定められています。(最低5日間は出勤停止となります。)

この期間を経過し,かつ健康状態が良好であれば,この届出書をコピーし記入の上,実習先指導

教員へ提出して下さい。

必ず休まないといけない期間です

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「インフルエンザ出勤停止期間早見表」 (沖縄県教育庁作成を一部改変)

※「発症した後5日を経過」し,かつ,「解熱した後2日」とは,最低「発症した後5日を経過」するまで出

勤停止となる。それに加えて解熱した日によって出勤停止期間は延期することがある。

(発症後4日目以降に解熱した場合(例4・5)は,出勤停止の期間が延期されていく。)

最低

基準

発症した後

5日を経過

発症

(発症当日

0日目)

発症後

1日目

発症後

2日目

発症後

3日目

発症後

4日目

発症後

5日目 発症後5日を経過した後

例 1

発症後1日目

に解熱した場

発熱 解熱 解熱後

1日目

解熱後

2日目

解熱後

3日目

発症後

5日目

出勤可能

出 勤 停 止

例 2

発症後2日目

に解熱した場

発熱 発熱 解熱 解熱後

1日目

解熱後

2日目

発症後

5日目 出勤可能

出 勤 停 止

例 3

発症後3日目

に解熱した場

発熱 発熱 発熱 解熱 解熱後

1日目

解熱後

2日目 出勤可能

出 勤 停 止

例 4

発症後4日目

に解熱した場

発熱 発熱 発熱 発熱 解熱 解熱後

1日目

解熱後

2日目 出勤可能

出 勤 停 止

例 5

発症後5日目

に解熱した場

発熱 発熱 発熱 発熱 発熱 解熱 解熱後

1日目

解熱後

2日目 出勤可能 出 勤 停 止

(※その後は,解熱した日によって出勤停止日が準じ延期されていく。)

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12.教育実習の中断における対応

実習を続けていくことが困難で中断に至った場合は,速やかに実習校へ辞退の連絡を行い,所

定の手続きを行って下さい。具体的には以下の手順に従って下さい。

(1) 実習校の教頭へ教育実習辞退の意思を伝える。その際,直接口頭で伝えることが望ましいが,

実習校へ赴く事が困難な場合は必ず電話で連絡する。併せて,辞退届の提出は,後日,持参また

は郵送する旨を伝える。

(2) 実習校へ辞退の連絡を行った後,速やかに学部の教育実習委員にも辞退の連絡を行う。

(3) 学部事務室の学務係へ申し出て,所定の手続きを行う。

(4) 手続きが完了したら,速やかに実習校へ辞退届を提出する(持参または郵送)。

13.教育実習後の対応

(1) 教育実習終了後 1週間以内に,実習校の校長,指導教員,生徒に対してお礼状を出すこと。

(2) 教育実習終了後,速やかに学部の学務,実習担当教員,ゼミ担当教員,年次指導教員に実習終

了の報告を行うこと。

14.生徒理解

短期間の教育実習を充実したものにするためには,その期間でどれだけ生徒理解を深め,生徒と

の信頼関係を築くことができるかが重要です。成功体験を語るよりも,失敗体験をどのように克服

したのか,あるいはなぜ克服できなかったのかを具体的に語る方が,実習生に対して生徒は,親近

感を覚えます。

(1) 授業を受け持つクラス全員の生徒の氏名をできるだけ覚えること。

(2) 休み時間,昼食時間,清掃時間,放課後等において,積極的に生徒に話しかけること。

(3) 学級担任(ホームルーム担任)をはじめ,教育相談担当,養護教諭,生徒指導主事,スクール

カウンセラー,スクールソーシャルワーカー等から生徒との関わり方や生徒指導のあり方等の話

を聞くように心がけること。

15.教育実習の形態

観察実習,参加実習,授業実習には,積極的に取り組みましょう。

(1) 観察実習

観察実習は,実習校の先生方の様々な教育活動を参観しながら,授業の進め方,板書の仕方,

生徒に対する発問の仕方,授業における生徒と教師の双方向のコミュニケーションのあり方,授

業における生徒の様子,学校生活の様子,学習環境等の観察をとおして,生徒理解や授業実践力

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を高めることを目的としています。多くの教師の授業を積極的に観察しましょう。

(2) 参加実習

参加実習は,教科担任や学級担任,部活動顧問の指導のもとで,実際の様々な教育活動に参加

したり手伝ったりしながら教師の仕事の内容を体験的に学び,生徒理解や授業実践力を高めるこ

とを目的としています。体験に勝るものはありません。積極的に参加しましょう。

(3) 授業実習

授業実習は,観察実習や参加実習の経験などを活かして作成した学習指導案を基に,実際に実

習生が自ら指導教員の指導の下で,教科指導(道徳を含む),特別活動等の授業を行うことを目的

としています。授業を行うに当たっては,綿密に教材研究を行い,学習指導案を作成し,生徒一

人一人の実態に沿った教材・教具及び発問等を工夫することが大切です。その際に,「わかる,で

きる,楽しい」と感じるような授業を目指すことが重要です。

実習生がよく「今日の授業は失敗だった」と言う場合があります。失敗ではなく「今日の授業

はうまくいかなかった。うまくいかなかったところを改善さえすればいい」とリフレーミングす

るようにしましょう。

16.観察実習の視点

実際に授業を観察するときは,観察者として何をどのように参観すればよいのかを事前に明ら

かにすることが重要です。下記の視点を参考に観察を行うことによって,授業実習をよりスムー

ズに行うことができます。

(1) 教員の働きかけ

① どのようにして生徒の学習意欲を喚起しているか。

② どのようにして生徒の思考を引き出し,授業に取り入れているか。

③ どのようなタイミングで机間指導を行っているのか。

④ 視線,声の大きさや抑揚等はどのようになされているか。

(2) 生徒の観察

① どのような場面において生徒は,積極的に授業に参加しているか。

② 授業に参加していない生徒は,どのような特徴が観られるか。その際,生徒の気持ちを共感

的に理解することが大切である。

(3) 板書

① 生徒の理解につながる板書の工夫が行われているか。

② 生徒の思考に沿った板書の工夫が行われているか。

(4) 時間配分

導入,展開,まとめの一連の授業の流れにおける時間配分はどうなっているか。それを参考に

して,指導案作成に活かすことが大切である。

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(5) 教材・教具

生徒の学習意欲を高めるために,どのように教材・教具を工夫しているか。

※ 観察実習の記録について

観察実習後,すぐに,記録に取った授業の様子(授業者の発問や指示,生徒の反応,板書内容,

時間配分等)をまとめることが大切です。そして,授業者にお礼を述べるようにし,その際に感想

や疑問点があれば,教えを請うようにしましょう。

17.授業設計の基本

生徒一人一人が,「今日の授業は楽しかった」と感じるような授業設計を行うことが最も大切です。

その様な授業では生徒が,自分なりに「わかった」「できた」と感じるような授業の工夫がなされて

います。生徒一人一人の実態に寄り添った授業を行うように心がけることが大切です。

(1) 授業設計のポイント

授業の設計にあたっては,次のようなことを考えることが大切です。

① 本時の指導目標を明らかにし,何を理解させ,何ができるようになればいいのか,どのよ

うな力を育てようとしているのかを具体的に示すこと。

② 本時の授業において,どのような評価規準を作成すればよいか。

③ 生徒に課題意識を持たせるためには,どのような教材・教具を工夫すればよいか。

④ 生徒が,意欲的に活動するには,どのように学習過程や学習活動を工夫すればよいか。

⑤ 生徒の思考を助け促すために,どのように教材・教具や発問を工夫すればよいか。

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18.学習指導案の作成

学習指導案は学習の目的を達成するために,どのような教材や教具を用いて,どのように授業を

進めるかを構想し,教員の働きかけや予想される生徒の反応等を記述するものです。授業を行う場

合は,作成した学習指導案を前日までに指導教員に提出し,指導を受けるようにしましょう。

(1) 学習指導案の項目と形式例

学習指導案の形式及び内容には定型はないが,一般的には学習指導要領に基づいて,以下に示

す内容を記述します。

1 単元名 2 単元設定の理由 (1) 教材観 (2) 生徒観 (3) 指導観 3 単元の目標

4 単元の評価規準 5 単元の指導計画と評価計画 6 本時の学習指導 (1) 小単元名 (2) 指導目標 (3) 準備する教材・教具 (4) 本時の展開 (5) 板書計画

学習指導案の形式(例)

冒頭部分・・・学習指導案のタイトルと日時,場所,対象,授業者(指導教員)などを記載する。

○○(科目名) 学習指導案

日 時:〇〇○年○月○日 ○校時 場 所:沖縄県立○○高等学校 ○○教室 対 象:○年○組 ○人 授 業 者:教諭 ○○ ○○ 指導教員:教諭 ○○ ○○ 教 科 書:

1 単元名

あるまとまりを持った教育内容の単位の名称を書く。 *「単元」について,ひとつの完結性のあるまとまった学習経験を生徒に与える単位として,

授業観察等で生徒の実態が十分に把握できない場合

には,指導教員や学級担任から生徒の実態に関する情

報を収集して実態の把握に努め,簡潔に記述する。

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教科書の「章」や「節」を基準とする。 2 単元設定の理由

教材観・生徒観・指導観を柱とした「単元設定の理由」を中心にして,単元全体の指導計画を作

成する。 (1) 教材観 単元の目標を達成するために,扱う教材について,どのように理解し,価値づけているかを記

述する。 ポイント ○学習指導要領での目標と位置づけ(取りあげる教材の内容) ○これまでに,この単元について,いつ,どのような内容で学んできたか (既習事項との関連) ○これから先の学年でどのように扱われるのか(今後の展開) ○この教材を取りあげる意義,児童生徒にとっての必要性,妥当性など (2) 生徒観

授業する学級の生徒の様子や身に付いている既習事項等を記述する(生徒の実態と教育的配慮

とを関連付けて)。

ポイント ○単元に対しての生徒の実態 ○既習事項の定着度 ○児童生徒の興味・関心・意欲,教材に関する知識・技能の程度など (3) 指導観 「教材観」「生徒観」を踏まえて,「生徒の実態に応じて,単元の内容をどう指導していくか」

を記述する。

ポイント ○指導や支援の力点 ○指導の形態,児童生徒の能力を伸ばす工夫や手立て ○その他配慮事項 3 単元の目標

学習指導要領に示された単元の目標および内容を踏まえ,それに照らし合わせた生徒の実態や教

材の意味などを考慮しながら,全体を見とおした総括的な目標を設定する。【指導者の視点】

ポイント 単元設定の理由のうち,特に「指導観」を端的な目標的記述でまとめ直したもの。 4 単元の評価規準 国立教育政策研究所「評価規準の作成,評価方法等の工夫改善のための参考資料」が示す書式に 習い,「内容のまとまりごとの評価規準に盛り込むべき事項」を表記する。

(例)物理基礎「物体の運動とエネルギー」の評価規準に盛り込むべき事項

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 観察・実験の技能 知識・理解 ・物体の運動とエネルギ

ーについて関心をもち,

意欲的に探究しようとす

るとともに,科学的な見

方や考え方を身に付けよ

うとしている。

・物体の運動とエネルギ

ーに関する事物・現象の

中に問題を見い出し探究

する過程を通して,事象

を科学的に考察し,導き

出した考えを的確に表現

している。

・物体の運動とエネルギ

ーに関する観察,実験な

どを行い,基本操作を習

得するとともに,それら

の過程や結果を的確に記

録,整理し,科学的に探

究する技能を身に付けて

いる。

・物体の運動とエネルギ

ーに関する基本的な概念

や原理・法則を理解し,

知識を身に付けている。

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5 単元の指導計画と評価計画 国立教育政策研究所が示す書式に習い,各時間における具体的な評価規準を表記する欄を設ける。 単元の総括の資料とする場合は◎,しない場合は○とする。 (例)単元名「波」 ◎指導に活かすとともに総括に用いる評価 ○指導に活かす

評価 過

程 時

間 学習内容 学習活動 本時の目標 評価の観点

評価規準

評価方法

関 思 技 知

波の現象

・身近な波動現象

の例を想起する。 ・波動実験とばね

による波を観察す

る。 ・波の移動と振動

の様子を作図する

・身近な波の現象

に関心をもち,波

の伝わり方につい

て理解することが

できる。

身近な波に関する現

象に関心をもってい

る。

行動観察 ワークシート記

述内容の分析

波の伝わり方につい

ての知識を身に付け

ている。

波の伝わ

り方,波の

要素

・波の伝わり方を 作図する。 ・波の要素を考察

する。

・波の要素及びそ

れらの関係を見い

だし,振動のグラ

フ(y-tグラフ)や

波形のグラフ(y-x

グラフ)を適切に

作図することがで

きる。

波の要素及びその関

係を見いだし,振動の

グラフ,波形のグラフ

を適切にかき,科学的

に判断し表現してい

る。

ワークシートの

記述内容の分析

【生徒の立場】 【生徒の立場】 【生徒の立場】

◎印の付いた評価規準:評価規準に照らして,「十分満足できる」状況(A)か,「おおむね満足できる」状況(B)か「努力を要する」状況(C)かを把握し,単元の総括の資料とする。 ○印の付いた評価規準:評価規準に照らして,「おおむね満足できる」状況(B)であるかどうかを中心に把握する。「努力を要する」状況(C)になりそうな生徒に対して,適切な働きかけや指導の手立てを行うことを特に重視したもので,単元の総括の資料とはしない。

*毎時の観点の評価は1~2程

度に絞る *必要ならば「使用する教材・教 具の欄を設けてもよい。 (評価方法の欄に工夫して記載

してもよい)

<参考> 「評価規準の作成,評価方法等の工夫改善のための参考資料」国立教育政策研究所 「評価規準に盛り込むべき事項」は,新しい学習指導要領の各教科の目標,各科目の目標及び内容,「改善通知」で示されている各教科の評価の観点及びその趣旨を踏まえて,科目の評価の観点の趣旨を作成し,これらを基に内容のまとまりごとに作成している。 「評価規準の設定例」は,「評価規準に盛り込むべき事項」をより具体化したものであり,原則として,新しい学習指導要領の各教科の目標,各科目の目標及び内容のほかに,当該部分の学習指導要領解説(文部科学省刊行)の記述を基に作成している。 なお,「評価規準に盛り込むべき事項」及び「評価規準の設定例」は,評価の観点別に「おおむね満足できる」状況を示すものである。したがって,この状況を実現していれば「おおむね満足できる」状況であり,実現していなければ「努力を要する」状況となる。さらに,「おおむね満足できる」状況と判断される生徒の学習状況について,質的な高まりや深まりをもっていると判断されるとき,「十分満足できる」状況という評価になる。

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6 本時の学習指導 (1) 小単元名

指導計画で明示した小単元の名称や本時の主題を書く。 (2) 指導目標 単元の指導計画に基づき,本時の学習活動の目標を具体的に示す。 【生徒の立場】

*評価規準との整合を図る。 *本時の評価規準,評価方法,支援の具体的方法は本時の展開に示す。

*本時の評価規準の表は仮説の検証上どうしても必要であれば示す。ただし,単元の評価計 画,本時の指導案と内容が重複するので気をつける。

【評価の観点】

評価規準

判定の基準 評価方法

A 十分満足できる

B おおむね満足できる

C 支援の具体的方法

(3) 準備する教材・教具 本時で使用する教材や教具を具体的に記載する。 (4) 本時の展開

本時の学習指導展開について,生徒の活動,教師の指導・支援,留意事項,観点別評価,時間

の配分などを時系列で表示する。

①学習指導過程・・・ 導入 → 展開 → 終末(まとめ)

(プレテスト,課題提示) (実験前説,実験・測定,法則性) (ポストテスト等)

②生徒の活動・・・生徒の学習活動を生徒主体で書く。「~を行う」「~を発表する」など

③教師の活動・・・教師の指導過程を教師主体で書く。「~を示す」「~を問う」など

また,生徒への支援や指導の留意等を書く。

④学習形態・・・・一斉,グループ,ペア,個人など

⑤準備・備考・・・学習活動に必要な教材やワークシート,授業における留意点等などを書く。

⑥評価・・・・・・設定した観点別評価の規準とその評価方法を授業の流れに沿って明示する。 *本時の展開 (書式例)

過程 生徒の活動

(学習活動) 教師の指導・支援 形態 準備・備考 評価規準・方法

導入

分)

本時の目標・ねらい 活動目標 問題提起 など

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展開

分)

~を記入する

~を調べる ~を確かめる ~を考える ~について話し 合う

~を発表する ~を知る ~を気づく ~をまとめる

一斉 グループ ペア 個人

*具体的な評価規 準・評価方法を 書く

*「B 概ね満足 できる」と「A

十分に満足でき る」の両方の評 価規準を示すこ と

*評価の観点を踏 まえて書く

*単元の評価計画 や本時の目標と 対応させる

まとめ(

分)

(5) 板書計画

板書は学習内容と学習過程の明確化,学習内容の振り返り・まとめなど,生徒にとって重要

な学習活動の材料である。授業を計画するとき,板書をどうするかも考え,板書イメージを練

ることが大切である。

【板書を行う際の留意点】

①誤字・脱字に気をつける

②白一色でなく,黄・赤・青を有効に使用し,授業内容のポイントが分かりやすいように色

彩良く板書する。(学校によっては「めあて」と「まとめ」は赤色で囲むなど,共通実践

を進めている場合があるので,確認をして,それに従うこと)

③授業のプロセス,学習内容のポイント,効果などが整然と板書され,一目瞭然に分かるよ

うに工夫する。

④板書したものは,頻繁に消したりしないようにする。消す場合は,生徒の理解状況やノー

トの書き取り状況を良く理解してから行うこと。

<参考資料>

国立教育政策研究所 課題研究センター(2011,2012)『評価規準の作成,評価方法等の工夫改善のため

の参考資料』

○学習過程に沿って,指

導支援の意図,工夫手立

てなどについて具体的に

書く ○学習活動と教師の指

導・支援との関わりを対

応させて書く ○教材・教具・資料提示

の機会や方法 ○発問の内容や方法 ○予想される児童生徒の

反応 ○「努力を要する」状況

(C)と判断される児童

生徒への具体的な支援方

法 ○「十分に満足できる」

状況(A)となるように

するための手立ての例を

記す

まとめ・振り返り など

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岡山県総合教育センター(2013)『授業づくりの基礎・基本-学校全体で授業改善に取り組むために-』

岡山県総合教育センター 学習指導案の形式(例)http://www.edu-ctr.pref. okayama.jp/

gakkoushien/sidoan/index.htm

19.授業研究会

実習生は教育実習期間中に授業研究を行わなければなりません。授業研究は,教育実習の後半に

行われるのが一般的です。授業研究には,実習校の指導教員等,大学の実習担当教員や所属ゼミの

教員が参観し,その後に授業研究会が行われます。

(1) 授業研究の開催日を,実習校の指導教員と話し合い,早い段階で決める。

(2) 大学の教育実習担当教員及び所属ゼミの教員に授業研究の日程を連絡し,参観及び指導助言を

依頼する。

(3) 授業研究会で指摘されたことを謙虚に受け止め,残りの教育実習に活かすようにする。

(4) 授業研究会における反省点や指導助言に関しては,実習記録簿の授業研究のページにまとめて

おく。

20.教育実習記録簿の記入上の留意点

実習期間中の日々の記録は,「実習事項・内容」と「所感・反省」に分けられます。

(1) 記入内容の例

① 観察実習・参加実習についての感想を書く。

② 教材研究,指導案作成について指導を受けたこと等を書く。

③ 授業実習についての反省,評価に対して指導を受けたことを書く。

④ 学級の生徒についての観察事項や感じたことを書く。

⑤ 生徒指導等,学級活動上の指導とその反省を書く。

⑥ 学校行事において,印象深かった事項の感想を書く。

(2) 記入方法・留意点

① 一つか二つかの事項に絞って具体的に書く。

② 記入する際は,字を丁寧に書くことを心がけ,鉛筆で下書きの上,黒のボールペンでなぞり,

下書きを消して提出する。

③ 誤字・脱字・送り仮名等には留意し,特に略字は書かないようにする。

④ 論文体と話し言葉を混用せず,文体を統一する。また,俗語・絵文字・顔文字等のような表

現は使わない。

※ 指導教員の押印漏れがないかを確認する。

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◎ 教育実習記録簿記入例

月 日 曜日

今朝の気分は

時 限 実 習 事 項 ・ 内 容

始 業 前 例)朝のホームルームの様子を観察した。

1 3年1組 国語 観察実習

「文体を選択して書くには」の授業を参観した。

2 数学の教材研究 三平方の定理を説明するためのワークシートの準備・印刷

3 3年1組 数学 授業実習

図形を使って「三平方の定理」を証明する。

4 数学の教材研究 3年 1組で行った授業の反省と 3年 3組の授業実習の準備

昼食・清掃 休憩

昼食は 3年 1組で取った。清掃は教室を手伝った。

5 3年3組 数学 授業実習

図形を使って「三平方の定理」を証明する。

6 数学の教材研究 「三平方の定理が成り立つ三角形はどんな三角形か」の授業 の準備

7 授業リフレクション 指導教員と今日の授業のリフレクションを行った。

放 課 後 部活動参加 参加実習

野球部の顧問の指導の下で,練習に参加し生徒に守備練習の指導を行った。

所 感 ・ 反 省

※所感・反省は 10行以上書くこと

授業実習実施時間 2時間 観察実習実施時間 1時間 参加実習実施時間 1時間

指導教員の 所 見

○印

4 ―― 3 ―― 2 ―― 1

※「教育実習の手引き」の 20.「教育実習記録簿の記入上の留意点」の記入

内容の例を踏まえて記入する。

① 観察実習,参加実習についての感想を書く。

② 教材研究,指導案作成について指導を受けたこと等を書く。

③ 授業実習についての反省,評価に対して指導を受けたことを書く。

④ 学級の生徒についての観察事項や感じたことを書く。

⑤ 生徒指導等,学級活動上の指導とその反省を書く。

⑥ 学校行事において,印象深かった事項の感想を書く。

指導教員の押印漏れがないかを確認

とても良い とても悪い

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各 教 科 に お け る 学 習 指 導 案 の

定 型 ま た は 指 導 案 例

〈 高 等 学 校 を 参 考 に 〉

◆ 国 語

◆ 社 会 科 (公 民 )

◆ 数 学

◆ 外 国 語

◆ 理 科 (生 物 )

◆ 情 報

◆ 農 業

※沖縄県立総合教育センター資料より

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国 語沖縄県高等学校国語科 学習指導案の定型

日 時 平成○○年○月○日(○校時)

学校名 沖縄県立○○高等学校

対 象 ○年○組(男子○○名、女子○○名)

授業者 ○○ ○○

1 科目名・単元名

2 単元の目標

・【関心・意欲・態度】

・【「話す・聞くこと」or「書くこと」or「読むこと」】【国語総合の記述例:「○○○○」の( )の( )】

・【知識・理解】【国語総合の記述例:〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の( )の ( )】

3 取り上げる言語活動と教材

言語活動:

教 材:

4 単元について

○学習指導要領の言語活動例(内容の(2))を参考にする。学習指導要領の言語活動例(内容(2))は

学習指導要領解説国語編の巻末付録にもまとめられている。

○内容の(2)のどこを踏まえたのかを明記する。(例【「C読むこと」の(2)のア】)

○単元の目標を実現するのにふさわしい言語活動と教材となること。

→「言語活動の充実」とは「身に付けさせたい力」を育成するための手立てである。

単元の目標は、学習指導要領の内容に基づき、国研資料にある「評価規準に盛り込む

べき事項」と同じレベルにし、単元の評価規準の役割ももたせる。(国研資料P39参照)

「身に付けさせたい力」として、3点(【関心・意欲・態度】と【「話す・聞く」「書

く」「読む」】と【知識・理解】)の育成を基本とする。

○学習指導要領の指導事項・内容(1)に基づく。

○「内容のまとまり」(「話す・聞く」「書く」「読む」)を重点化・焦点化する。

○選択科目に関しては、国研資料P40〈選択科目の「評価の観点」と「指導事項との対応」〉を参考にする。

○学習指導要領の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕に基づく。

○選択科目に関しては、国研資料P40〈選択科目の「評価の観点」と「指導事項との対応」〉を参考にする。

○単元で最も重視している目標(観点)の文末を「……しようとする」と改める。

○「関心・意欲・態度」はすべての指導事項に対応しているが、「内容のまとまり(「話す・聞く」「書く」「読む」)

の目標」を重視する場合が多くなる。

項目の名称は、「指導に当たって」、「生徒の実態」など、各学校で用いているものでも可とするが、以下の点

を踏まえる。

○生徒の実態を踏まえ、言語活動を充実する観点から簡潔に記述すること。

→前項の言語活動を充実させる理由(生徒のどのような実態を踏まえて当該言語活動を取り入れたのか。当該言

語活動を充実させることにより、どうして目標に掲げた力が生徒に身に付くと考えたのか、など)を簡潔に記す。

「生徒観」「教材観」の記述に偏らないようにする。「生徒観」「教材観」は、「指導観」に集約される。

○単元の年間指導計画上の位置づけを明らかにすること。

→年間指導計画において「話す・聞く能力」「書く能力」「読む能力」の扱うバランスを考慮していくことで、各

単元での内容のまとまりの重点化・焦点化が現実的になる。「評価の観点を踏まえた年間指導計画」を作成する

際、生徒の実態把握を前提としている以上、複数の担当教師で練り合うことを大切にする。

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5 単元の具体的な評価規準

関心・意欲・態度 ○○の能力(内容のまとまり) 知識・理解

一つの単元で二つ以上の能力を

一度に育成するほうが効率的な

例があれば、これに限らない。

【国研資料P40から抜粋】

※選択科目の「評価の観点」と「指導事項」との対応

各能力等に対応する学習指導要領の指導事項(内容の(1))

科目

観点 国語表現 現代文A 現代文B 古典A 古典B

話す・聞く能力 ア、イ、エ、オ エ、オ(後段)

書く能力 ア、イ、エ、オ エ、オ(後段)

読む能力 ア、イ(前段)、 ア、イ、ウ ア、イ(前段) イ、ウ、エ

エ(前段) エ(前段)

知識・理解 カ イ(後段)、ウ、 オ(前段及び イ(後段)、ウ、 ア、エ(前段)、

エ(後段) 後段の前半) エ(後段) オ

単元の目標と1対1で対応させることを基本とし、実際の授業で用いることが

できるレベルに具体化する。その際、次のような工夫もある。

○ 国研資料の「評価規準の設定例」を活用する。

○ 言語活動の中身は含めずに設定する。

○ 「関心・意欲・態度」は、単元で最も重視している目標(観点))につい

ての具体的な評価規準の文末「……している」を「……しようとしている」

と改めるだけにする。

右の「○○の能力」の項目で

取り上げた学力の「関心・意欲

・態度」の内容を記述する。「宿

題をしてきた」「ノートを提出

した」等の活動内容を対象とす

るものではない。

具体的には、「話すこと・聞く

こと」「書くこと」「読むこと」

の能力から一つだけに絞る。

【以下、国研資料P44から抜粋】

……従前、指導と評価の計画の作成に当たっては、教材を先に決めてしまっていることが多く見られた。国語の指

導は、教材の内容を指導するものではなく、「教材先にありき。」であってはならない。身に付けさせたい国語の能

力を育成するのにふさわしい言語活動と教材を通して指導するのである。……

〔伝統的な言語文化と国語の

特質に関する事項〕から掲げる。

選択科目に関しては、目標設定

の段階で学習指導要領が踏まえ

られていることを前提とする。

国研資料では、必修科目「国語総合」の例を豊富に扱っている。選択科目における目標・評価規準の設定に

際しては、下の対応表をもって改めて学習指導要領の読み直しを行いたい。

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6 単元の指導と評価計画

次 学習活動 言語活動に関する 具体的な評価規準と 備指導上の留意点 評価方法 考

【評価規準】

【評価の方法】

評価の方法を、分かりやす

く次の3段階で設定するやり

方もある。

・行動の観察、記述の点検

・行動の確認、記述の確認

・行動の分析、記述の分析

1時間ごとの計画ではなく、単元全体を見通し、学習のまと

まりとしての「次」で指導と評価の流れを示す。

「学習活動」では具体的な流れを、「留意点」では前項3

で記述した言語活動の充実に特化して、より言語活動の充実

を意識した書き方にする。「学習活動」の中のどの活動が前

項3に記述した言語活動に当たるのか、明確な意識をもって

授業を構築していく必要がある。(学習活動の言語活動に下

線を付す書き方もある。)

・評価規準は、目標の実現を

図るための意図的・計画的な

指導によって、すべての生徒

が身に付けるべき資質・能力

を、各観点ごとに、おおむね

満足できる状況(B)として

示す。

「言語活動の充実」を通して指導した結果を評価規準によって評価する。

「関心・意欲・態度」の評価は単元の終末段階に位置付ける。

→単元で最も重点を置いている指導事項について関心をもち、自ら

学ぼうとする意欲や態度を身に付けているかどうかを評価するもの

である。当該単元の授業を通して育成する能力の一つである。

評価の観点は、原則として「次」に一つとし、効率化をねらう。

国研資料の例:

1次(知識・理解)→2次(話す・聞く能力)→3次(関心・意欲・態度)

1次(知識・理解)→2次(書く能力)→3次(関心・意欲・態度)

1次(知識・理解)→2次(読む能力)→3次(読む能力)→4次(関心・意欲・態度)

【「努力を要する」状況(C)の生徒への配慮】として、

「具体的な手立て」を備考欄に記入する。下のような別

項を追加してもよい。

【「努力を要する」状況(C)の生徒への配慮】

1次:

2次:

3次:

これまでの評価は、定期考査な

どという、ある期間をおいてか

ら、その知識の習得内容を記述

試験として再生する内容を評価

してきた。これからは、授業中

における評価も重視していく。

【「努力を要する」状況(C)の生徒への配慮】と【評価の方法】は、評価を行うための実際の着眼点・留意

点を具体的に示したものである。

評価規準が具体的に計画されていなければ、この項も具体的に示すことがで

きない。ここでは、生徒の実態把握が要となる。

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7 本時の目標

8 本時の展開

学習活動 留意点 形態 評価

導入【時間】

展開【時間】

まとめ【時間】

★公開授業などでは、以上の8項目までを盛り込み、分量の目安は、【A4サイズの3枚程度】とする。

【「沖縄県立総合教育センター」より】

ここに「学習指導案定型」を提示する。これは、学習指導要領改訂を踏まえ、評価の観点を盛り込むことによって

授業改善を期するものである。全県高等学校国語科教師が参考にするものとして、本庁指導主事との連携を密に、文

部科学省調査官の補助資料を用い、現場の教師として研究協力委員の声も反映させてある。

学習指導要領改訂を受けた学習指導案定型の作成にあたっては、国研資料(「評価規準の作成、評価方法の工夫改善

のための参考資料(高等学校 国語)」)と参考書(『高等学校新学習指導要領の展開 国語科編(明治図書)」をもと

に、記載事項の確認を行ってきた。最終的には、本庁指導主事による「教育課程研修会・学習指導案作成演習」の項

立てを踏まえたものに落ち着いた。平成24年4月現在の学習指導案定型から大きく変更されたことになる。

この定型をもって記載事項の理解を深め、「言語活動の充実」と「評価の観点」を盛り込んだ授業実践が実施される

ことにより、より具体的で分かりやすい学習指導案の実例を提示することができるようになる。今後、「定型」をより

分かりやすいものにするためにも、個別の授業実践を全面的に支援して、具体的な実践事例を盛り込んだ学習指導案

を紹介していきたい。

参観者のある公開授業などでは、左の項目78を示して、「6 単元の指導と評価

計画」をより詳細に示すことで、授業の見所、流れを確認する。

「6 単元の指導と評価計画」を踏まえて、

ここでも「言語活動の充実」と「評価の観点」を確実に盛り込む。

「言語活動の充実」には、「授業形態」が重要になる。「一

斉」「ペア」「グループ」「個人」……様々な工夫を盛り込む

ことにより言語活動を活性化させる。言語活動は目標実現

のための手立てとしてぶれないよう、ここまでで強調して

きた言語活動との整合性を保つ。

【評価規準】

【評価方法】

評価のタイミングを

明確にする。多くは「展

開」において行われる。

「単元の指導と評価計

画」が踏まえられて。

いること。

「定型を用いるとオリジナリティが損なわれる」という意見に対して……

学習指導案がどこで見てもなじみの形式である。この前提で、多くの教師が授業研究をする。授業内容の発展を願

う以上、体裁の違和感などの表面的なところで立ち止まるわけにはいかない。

ある程度の共有項をもって作成されたものを比較する、そのときにあらわれるものこそ本物の独自性と呼びたい。

複数の教師で、どのように学習評価を

進めれば指導に生かす評価の充実が図れ

るのか、教師にとって過大な負担となら

ないかなどについて確認し合うことが、

効果的で効率的な評価を行うことにつな

がる。(国研資料より)

【観点別評価がうまくいっていない例】

ある単元で身に付けさせたい力を「読む能力」と定めた。

「読む能力」を育成するための手立てとして、「段落ごとの要旨

をまとめて書く」という言語活動を盛り込んだ。生徒のワーク

シートを回収し評価する際、誤字脱字の有無や表現の適正を重視

し、減点法で点数を付けた。

→読む能力の評価規準を具体化していないと、書く能力の評価を

含めてしまう。単元ごとに育成する力を焦点化・重点化すると、

評価の方法もよりシンプルになる。単元で身に付けさせる力を

明確にし、上記例に陥らないためにも、「言語活動の充実」は

評価規準に含めない。

共通の認識をもって評価にあたるために、

教科会の活性化、授業研究等の活性化など、

協働体制を重んじたい。ひいては、教師一

人一人の力量向上につながる。

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公民(倫理) 学習指導案

日 時 平成○○年○月○日(○校時)

学校名 沖縄県立○○高等学校

対 象 ○年○組(男子○○名、女子○○名)

授業者 ○○ ○○

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外国語科学習指導案 (例示)

日 時:平成30年 ○月○日 ○校時

学 校 名: 県立○○高等学校

対象学年: ○学年 ○組

(男子 名 女子 名 計 名)

指導教諭:

授 業 者:

コミュニケーション英語Ⅰ

1 単元名 “ Lesson ~ ” 教科書名 出版社

2 単元の目標 単元の目標の中には次の三つの領域を包括させることが望ましい

(1) どんなことを理解させようとしているのか(認知的領域)

(2) どんな技能や能力を伸ばそうとしているのか(技能・能力的領域)

(3) どんなことについての興味や関心を高め、学ぶ態度を育てようとしているのか(情意的領域)

3 単元設定の理由

(1) 教材観 指導内容を教材としてどう見ているか(この教材でこんな力を身につけさせたい)

・本教材のよさ・意味づけ・魅力は何か

・学習指導要領の学習内容の確認

・年間指導計画での位置づけとの確認

(2) 生徒観 生徒の興味・関心、学習への姿勢をどうみるか

・生徒のよさや課題

・教材に対する生徒の実態(アンケート・レディネステストの分析)

・これまでの学力状況(学習への姿勢・興味・関心)

・支援を要する生徒の実態(個別指導の方法・手立て)

(3) 指導観 指導を通じてどんな考え方や見方、能力や技能を伸ばすことを意図しているか

・生徒たちに対して、学習の目標に迫る手立ての構想

・学習形態の工夫

・教師が提案実施したい授業像

・コミュニケーション能力を育成する方法

・教材内容の定着を図る手立て

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4 単元の総時間 時間

5 単元の評価規準(例)

コミュニケーションへの

関心・意欲・態度 外国語表現の能力 外国語理解の能力

言語や文化についての

知識・理解

①ペア・ワークなどで、ワーク

シートのメモを活用し、互い

に協力しながら伝え合う。

①人物についての説明を読んで、

その内容を口頭で要約するこ

とができる。

②読んだことに基づき、将来の夢

について話すことができる。

①自分の考えや気持ちを伝え

る表現 ( hope [ that ] S + V)

などの使い方を理解している。

②現在完了形( have + 過去

分詞 )の使い方を理解してい

る。

6 指導と評価の計画

時間 単元の目標、学習活動、指導上の留意点 単 元 の

評価規準 評価方法

本時

【ねらい】 単元の目標を具体的に記述

【学習活動】 本時の学習内容に呼応した具体的生徒の活動を記述

【指導上の留意点】 「(本時の)目標」を達成するための学習活動への具体的な指導 (手立て、指示等)を記述。

関・意・態

の①

活動の観察

(取組状況)

知・理の①

筆記テスト

(後日実施)

表現の①

ワークシート

(後日提出)

知・理の② 筆記テスト

(後日実施)

表現の② ワークシート

(後日提出)

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7 本時の学習指導( ○ 時間中 △ 時間目 )

(1)本時の目標

(2)本時の主な学習内容

(3)言語材料

(4)本時の評価

※単元の評価規準とのリンクはしっかりできているか。

具体的な評価規準

学習活動における具体の評価規準

(十分満足できる)

(概ね満足できる)

(努力を要する)

①ペア・ワークなどで、ワークシー

トのメモを活用し、互いに協力しな

がら伝え合う。

(コミュニケーションへの

関心・意欲・態度)

ペア・ワークなどで、ワーク

シートのメモを活用し、互い

に協力しながら会話を続け、

与えられたタスクを完遂す

ることができる。

ペア・ワークなどで、互いに

協力しながら会話を続け、与

えられたタスクに取り組む

ことができる。

ペア・ワークなどで、個人の

タスクに終始し、ペアとの会

話が十分になされていない。

※手立ても合わせて記載す

ると良い。

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8 授業の計画 (1時間目/○時間中)

学習活動

指導上の留意点

評価の観点

及び方法

備 考

教師の活動 生徒の活動

( 分)

( 分)

【記述例】 ワークシートを配布し、各セクションの内容に対する意見が出やすいように、背景知識の導入等を行う。

教師の指示を聞いたり、教師からの質問に答えるなどして、セクションの内容についての背景となる知識(スキーマ)を高める。 ワークシートに、各セクションの内容に対する感想や意見について話すためのキーワードをメモし、そのメモを参考にしながらペアで伝え合う。

ペアでの活動がスムーズに行えるよう、組み合わせの配慮やグループ変えなどを行い、多くの意見交流ができるようにする。

活動の観察

(取組状況)

( 分)

【参考文献】

高等学校学習指導要領(解説) 文部科学省

評価規準の作成,評価方法等の工夫改善のための参考資料 (高等学校 外国語) 国立教育政策研究所

Greeting, Warm Up, Review など

導入に係る具体的な活動の様子。

授業へのレディネ

スを整えるための

手立ての記述

本時の目標を確認、振り返りのポイント・自己

評価の記述、次時の授業内容の告知等を記入

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1 数学科学習指導案事例 数学Ⅱ 「三角関数」

数 学 科 学 習 指 導 案

日 時:平成○○年○月○日(○) 第○校時

場 所:県立○○高等学校 ○○教室

学 級:2年1組36名(男17名 女19名)

使用教科書:数学Ⅱ ○○○出版

授 業 者:○○○○○

1.単元名 第3章 三角関数 第2節 加法定理

2.単元目標

三角関数の加法定理を理解し,それを用いて2倍角の公式を導くことができるようにする。また,三角

関数の合成を理解し,それらを事象の考察に活用できるようにする。

3.単元について

(1)教材観

「数学Ⅰ」では,0°から 180°までの正弦,余弦,正接を「三角比」として扱っている。また,この

角の範囲で,正弦,余弦,正接の相互関係も扱っている。しかし,「数学Ⅰ」での「三角比」は,あくま

でも図形の計量を目的としたものであり,関数としての扱いではない。ここでは,角の範囲を一般角

まで拡張した上で,三角関数の意味を理解させ,それらのグラフをかくことを通して周期性などの三

角関数の特徴について理解させる。また,三角関数の重要な性質の一つである加法定理について理解

させ,加法定理から2倍角の公式を導く。さらに,三角関数の合成について理解させ,それらを事象

の考察に活用できるようにする。

(2)生徒観

本校,第2学年の普通科クラスである。授業態度は良好で,教師の発問に対しても自分の考えを積

極的に答えることができる。また,問題演習では,分からないところを生徒同士でお互いに教え合う

雰囲気もあり、学習意欲は高い。しかし,年度当初のアンケートでは,「数学を苦手と感じる。」と

答えた生徒が 40%いた。また,前節の単元テストでは「角の拡張」については理解しているものの,

「三角関数のグラフの特徴」「三角関数の基本的な性質」について十分理解できていない生徒が数名

おり,個別の支援が必要である。

(3)指導観

多くの関係式を単に記憶させるのではなく,生徒が主体的に学び気付くことができるようにする。

そのためには,学習形態を工夫し自ら気付いたこと説明したり,全体で吟味するなど言語活動を充実

させる。ここで扱う「三角関数の合成」では,単に式の変形から公式を導くのではなくグラフと関連

付けて理解させる。y=sinθ+cosθグラフがどのような曲線になるのかを予測させ,対応表を作りグ

ラフをかくことで確認する。

4.単元の評価規準

関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 数学的な技能 知識・理解

加法定理や加法定理

から導きだされる基本

的な公式について関心

を持ち,それらを事象

の考察に活用しようと

している。

加法定理や加法定理

から導き出される基本

的な公式を導く過程や

それらを用いて事象を

考察をすることができ

る。

具体的な問題の解決

に加法定理や加法定理

から導き出された公式

を用いて解を求めるこ

とができる。

加法定理を理解し,

加法定理から導き出さ

れる公式について理解

している。

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5.指導と評価の計画( 8 時間 )

時間 目標,●学習活動 評価規準 評価方法

1時

三角関数の加法定理を用いて,い

ろいろな三角関数の値を求めるこ

とができる。

●問題解決の過程や結果をペアで

説明し、確認する。

2点間の公式を用いて三角関数の

加法定理を導く過程を考察すること

ができる。(考)

三角関数の加法定理の利用の仕方

を身に付けている。(知)

観察

ノート

2時

正接の加法定理を理解し,2直線

のなす角を求めることができる。

●問題解決の過程や結果をペアで

説明し,確認する。

正接の加法定理を利用して,2直

線のなす角(鋭角)について考察す

ることができる。(考)

観察

確認テスト1

3時

2倍角,半角の公式を利用して,

三角関数の値を求めることができ

る。

●問題解決の過程や結果をペアで

説明し,確認する。

2倍角,半角の公式の利用の仕方

を身に付けている。(知)

2倍角,半角の公式をを用いて,

いろいろな関数の値を求めることが

できる。(技)

観察

確認テスト2

4時

2倍角の公式を利用して,三角関

数を含む方程式・不等式を解くこと

ができる。

●問題解決の過程や結果を発表し,

全体で吟味する。

2倍角の公式を利用して,三角関

数を含む方程式・不等式の角の統一

を理解している。(知)

2倍角の公式を利用して,三角関数

を含む方程式・不等式を解くことが

る。(技)

観察

確認テスト3

5時

本時

asinθ+bcosθのグラフをかくこ

とができる。

●三角関数の合成を用いて,式を変

形し,グラフをかく。

asinθ+bcosθからrsin(θ+α)の

形に導く過程を考察することができ

る。(考)

観察

ノート

6時

三角関数の合成を用いて,三角関

数を含む方程式を解くことができ

る。

●問題解決の過程や結果を発表し,

全体で吟味する。

三角関数を含む方程式で,三角関

数の合成の利用の仕方を理解してい

る。(知)

三角関数を含む方程式で,三角関

数の合成を利用して解くことができ

る。(技)

観察

レポート

7時

三角関数の合成を用いて,三角関

数の最大値・最小値を求めることが

できる。

●問題解決の過程や結果を発表し,

全体で吟味する。

関数の最大・最小問題で,三角関

数の合成を利用の仕方を理解してい

る。(知)

関数の最大・最小問題で,三角関

数の合成を利用して解くことができ

る。(技)

観察

レポート

8時

本単元の内容を振り返り,その定

着を確認する。

三角関数の加法定理から導き出さ

れるいろいろな公式に関心を持ち,

事象の考察に活用しようとしてい

る。(関)

単元テスト

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6.本時の展開(単元の6時間目)

(1)本時の目標

asinθ+bcosθのグラフをかくことができる。

(数学的な見方や考え方)

(2)本時の評価規準

おおむね満足でき

ると判断できる状況

(B)

加法定理を利用してasinθ+bcosθからrsin(θ+α)の形に変形する

ことができる。

十分満足できると

判断できる状況(A)

「おおむね満足」に加えて,y=rsin(θ+α)の関数のグラフをか

き,グラフの性質を考察することができる。

努力を要すると判

断した生徒への支援

(C)

y=sinθ+cosθとy= が同じグラフになることを

対応表から確認し,加法定理を振り返る。

(3)本時の指導過程

時間

学習内容と活動

(○教師の活動 ●生徒の活動)

指導上の留意点

評価

10 分

1 本時の目標の提示

○目標を提示し,本時は

y=asinθ+bcosθのグラフのかき方

をみんなで考え,見つけだす学習活動を

行うことを説明する。

2 課題の提示

○まず,y=sinθとy=cosθのグラフを

足し合わせるとどうなるのか予想させる。

●個々で直観的に予想し,その根拠を考え

る。

3 グラフの形の予想とその根拠の説明

○机間指導をして,数名の生徒を指名し説

明させる。

●グラフの形の予想とその根拠を説明す

る。

・y= sinθとy= cosθ

のグラフを黒板に掲示す

る。

・ワークシートを生徒へ配

布する。

・y= sinθとy= cosθ

のグラフの特徴を確認す

る。

・机間指導を行い,グラフ

y=sinθ+cosθのグラフはどのような

形のグラフになるのだろうか。

y=asinθ+bcosθのグラフをかく

ことができる。

2 sin(+4

)

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33

35 分

4 関数の対応表からのグラフの作成

○実際にグラフはどのような形になるか,

ワークシートの対応表の値を求めグラフ

をかくように指示する。

●対応表を完成させ,点をプロットするこ

とでグラフをかく。

5 グラフの概形と式の表し方の考察

●3から4名のグループをつくり,まず,

それぞれのグラフの概形を吟味し,グラ

フの式を考えるように指示をする。

○グループをつくり,個々のグラフの概形

を吟味し,グラフの表す式を考察する。

6 全体でグラフ概形と式の表し方の吟味

○グループを指名して,全体の場でグラフ

の概形と式について説明させる。

●グラフの概形と式について説明する。

○グラフの概形と式について全体で吟味す

る。

7 asinθ+bcosθの合成(一般化)

○加法定理を利用して,一般的に合成する

手順を説明する。

8 問題演習と解の吟味

○練習問題を解き,ペアでそれぞれの解答

を確認するように指示する。

●練習問題を考察し,ペアで確認する。

○生徒を指名し黒板で解答を記述する。そ

の後,説明させ,全体で解を吟味する。

がかけていない生徒を支

援する。

・観察

・ノート

5 分

9 本時のまとめ

○学習内容をまとめ確認する。

●自己評価をする。

○次時の予告をする。

・生徒の声を拾い,確認し

ながら学習内容をまとめ

る。

・自己評価表に記述する。

机間指導をし,できていないグループを支

援する。

・グラフはy=rsinθを平行移動したグ

ラフになっている。

・sin(180°-θ)=sinθの公式に気づか

せる。

asinθ+bcosθからrsin(θ+α)を導

き、グラフをかくことができる。

(数学的な見方や考え方)

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「情報と表現」 学習指導案(様式例)

日 時 平成○○年○月○日(○校時)

学校名 沖縄県立○○高等学校

対 象 ○年○組(男子○○名、女子○○名)

授業者 ○○ ○○

1. 単元名

第 2章 情報活用の基礎

2. 単元の指導目標

(例)ソフトウェアを利用した文書~~ ~~ことを目標とする。

3. 単元設定の理由

(ア) 教材観

学習指導要領上の位置付けや、社会の現状と絡めてその単元を学ぶ意義など…その単元に関しての教

師の思いを記述する。

(イ) 生徒観

単元(教材)に関する生徒の実態を記述する。

・興味・関心や態度やクラスの雰囲気など

・既習事項の確認(中学校段階までに習っているのか、初めて見る事項なのか…)

(ウ) 指導観

上記の教材観、生徒観を踏まえて、この単元の内容を生徒の実態に合わせてどう指導していくのかを記

述する。単元の展開や学習形態、留意点など

4. 単元設定の評価規準

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解

情報の表現と管理に関

心をもち,情報の分かり

やすい表現や~

情報を目的に応じて適切

に表現し,管理し,活用

することを~

情報の表現と管理に必

要な表現方法や情報の

発信及び管理に~

情報の表現と管理に関

する基礎的な知識を身

に付け,情報の~

※国立教育政策研究所「教科規準の作成,評価方法等の工夫改善のための参考資料」

5. 単元設定の指導計画と配当時間

時間(実習) 指導項目 学習内容

6時間

(5時間)

1.文書による表現技法 ・わかりやすい文章の作成技法・文書の基本的

な構成・Word(マイクロソフト)

4時間

(2時間)

…本時2時間目

2.図解による表現技法 ・グラフ、図解の意義、種類、特性を理解する

・Excel(マイクロソフト)

12時間

(11時間)

3.画像・映像による表現技法 ・アナログ画像とディジタル画像の意義と特性

・ディジタル画像の種類とそれぞれの特性

・PhotoShop(Adobe)

6時間

(5時間)

4.音声・音楽による表現技法 ・音声・音楽の特性・BGM・Premirer(Adobe)

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6. 本時の学習指導

(ア) 題材名

第 2章 情報活用の基礎 3-1 画像表現の基礎

(イ) 本時の目標

「ディジタル画像(静止画)の科学的な知識をPhotoShopの機能を使って、ディジタル画像に関する知識や

理解、さらに興味・関心の向上を図ることと同時に、PhotoShop の操作技術の学習を指導することを目標とす

る。」

※具体的に絞りこんだ表現にする!

・ディジタル画像に関する知識を理解する。 → (〇○や△△ …などの説明ができる。)

・Photoshopの操作方法を理解し、身につける。 → (〇〇や△△、…などの操作が行える。)

(ウ) 本時の展開

時間 教師の活動 生徒の活動 指導上の留意点 評価の観点

導入

(7分)

・出欠確認をする

・本時の学習内容の説

・本時の学習内容と関連

する知識を復習する

・プリントを配布する

・出欠点呼に対して、し

っかり返事をする

・説明を聞く

・プリントを受け取る

・コンピュータ室で説

明をするときには、キ

ーボードから手を離

して聞くように指導す

・プリントが全員に行

き渡ったかを確認す

・キーボードから

手を離して、こち

ら側に向いて話

を聞いているか

[①]

展開

(27分)

・プリントを説明する

(2分)

・本時の実習に必要な

PhotoShopとWindowsの

操作説明をする

(10分)

・プリントを見ながら、

説明を聞き、本時の課

題を確認する

・プロジェクタによる表

示と操作説明を聞きな

がら、操作方法を確認

し、プリントに記入する

・授業者の説明と生

徒の活動場面のメリ

ハリをつける

・生徒の操作手順の

記録が遅れないよう

に、説明の速さを調

整する

・プリント:説明し

た PhotoShop の

操作方法を理解

できたか[④]

まとめ

(6分)

・Windows を終了し、プリ

ントの提出を指示する

(2分)

・終わりの挨拶で解散す

る (1分)

・指示されたとおりに協

力して行動する

・全員起立し、椅子を

片付けてから挨拶をす

・プリントの提出がス

ムーズにできるように

集める生徒を指示す

・こちら側に注意

を向けて話を聞

いているか[①]

プリントをまとめただ

けでは“理解”できたか

判断できない…!!

具体的な評価方法を検

討する。

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理科(生物基礎) 学習指導案

日 時 平成○○年○月○日(○校時)

学校名 沖縄県立○○高等学校

対 象 ○年○組(男子○○名、女子○○名)

授業者 ○○ ○○

1 単元名 「生態系とその保全」

2 単元設定の理由

(1) 教材観

中学校では、食物連鎖や炭素循環など自然界のつり合いについて学んでいる(中学校学習指導要

領解説,平成 20年)。本単元では、多様な生物どうしの関わり合いの中で、炭素や窒素などの物質が

循環し、エネルギーが移動していることを扱う。そして、生態系は常に変動しているが一定の範囲

内に保たれているという、生態系のバランスについて扱う。その際、人間活動による生態系への影

響について理解させ、その保全の重要性を認識させる(高等学校学習指導要領解説,平成 21年)。

(2) 生徒観

対象とする生徒は、観察・実験や話合い活動において、積極的に参加し学び合いの様子も見られ

る。しかし、ほとんどの生徒は都市部で生活しており、自然の体験活動が少ない。事前アンケート

の分析では、既習内容の食物網や分解者など基礎的な知識が定着していないことが分かった。生活

に身近な生態系である河川においても、利用した経験がある生徒は 12%に留まり、河川への興味も

低かった。一方、生態系を保全することは大切だと答える生徒が多かったことから、生徒は生態系

の保全の重要性について理解はしているが、自然体験の少なさから実感できずにいると考えられる。

(3) 指導観

生態系における物質循環とバランスについて理解させ、その保全の重要性を認識させる。その際、

身近な河川生態系である安謝川を教材として活用し、実生活と関連付けて学習することで、関心・

意欲を高め、知識の定着を図る。身近な河川の問題を自分たちの問題として捉え、それを解決する

ための方法を、学んだ知識を活用し、思考・判断・表現する力を育みたい。グループ学習を通して、

批判的思考力(客観的・論理的・多面的な要素を含む)や協働的な態度を育成したい。観察・実験

では、生物を丁寧に扱うことや衛生面に配慮しなくてはならない。

3 単元の目標

生態系では、物質が循環するとともにエネルギーが移動すること。生態系のバランスと保全につ

いて、観察・実験を通して基本的な概念や原理・原則の理解を深め、科学的な見方や考え方を養う。

4 単元の評価規準

5 単元の指導計画と評価計画 全 7時間

(◎指導に生かすとともに総括に用いる評価、○指導に生かす評価)

時 学習内容 学習活動 ねらい 評価の観点

評価規準 評価方法 関 思 技 知

生態系とエネ

ルギーの流れ

・生態系の既習内容を振り返り、身近

な生態系の現象を想起する。

・生物的環境と非生物的環境、エネル

ギーの関係について考える。

・身近な生態系に関心を持つ。生態系

は生物と物質から成り立ち、エネル

ギーが移動することを理解する。

◎ 身近な生態系に関心を持っ

ている。

ノート・

行動観察

○ 生態系の成り立ちについて

理解している。

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解

・生態系における物質循環と

その保全について関心を

持ち、主体的に学習しよう

としている。

・生態系における物質循環と

その保全について科学的

に考え、判断し、表現して

いる。

・河川の環境(生物と水質)

を科学的に調べる方法を

身に付けている。

・生態系における物質循環と

その保全に関する基本的な

概念を理解し、知識を身に

付けている。

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※「知識・理解」については定期考査を実施することで評価する。

6 本時の学習指導(第5時/全7時間)

(1) 単元名 「人間活動と生態系(1)」

(2) 指導目標

・身近な河川の生物について同定できる。

・人間活動による生態系への影響について考察できる。

(3) 本時の評価規準

【評価の観点】

評価規準

判断の基準 評価方法

A十分満足できる Bおおむね満足できる C支援の具体的方法

【技能】

河川の生物を同定し

ている。

河川の生物について、検

索表を用いて客観的・多

角的に同定している。

河川の生物について、検

索表を用いて総合的に同

定している。

検索表の見方や同定の方

法を助言・支援する。

ワークシート・

行動観察

【思考・判断・表現】

人間活動による生態

系への影響を考察し

ている。

他の生徒に教えるなど積

極的に参加し、人間活動

による生態系への影響に

ついて、実生活と関連づ

けて考察している。

他の生徒と協力し、河川

の生物を同定し、人間活

動による生態系への影響

を考察している。

生物と水質との関係につ

いての考え方を助言し、

グループによる課題解決

を促す。

ワークシート・

行動観察

(4) 準備する教材・教具

PC、プロジェクター、衣装ケース、河川の生物、パックテスト(調査項目:COD、リン酸態リン、

アンモニウム態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素)、実験セット[魚とり網、石けん、台拭き、ワー

クシート、おきなわ都市河川の生物検索表、小型水槽(虫かご)、ピンセット、ルーペ、トレイ]

2 物質循環(1)

・身近な物質循環(炭素と窒素)の写

真や図表を通して、物質循環につい

て学ぶ。

・物質は生態系内を循環すること、ま

た、それに伴いエネルギーが移動す

ることについて、炭素と窒素の事例

から理解する。

◎ 物質循環について理解して

いる。

ノート・

行動観察

○ 物質循環について主体的に

学習している。

3 物質循環(2)

・「物質循環シミュレーションゲーム」

をおこない、炭素循環とそれに伴う

エネルギーの流れを考察する。

・シュミレーションゲームに主体的に

取り組み、炭素が生態系内を循環す

る様子を食物連鎖と関連付けて理

解する。

◎ 炭素循環とエネルギーの流

れについて考察している。

ワークシー

ト・行動観察

○ シュミレーションゲームに

主体的に取り組んでいる。

生態系の

バランス

・「自然浄化の実験」(生物的浄化の

実験とろ過装置の作製)を通して、

自然浄化について学ぶ。

・カンジキウサギとオオヤマネコの個

体数のグラフから生態系のバラン

スについて考察する。

・実験を通して、河川の汚濁物が微生

物群に分解されたり、ろ過されたり

することで浄化されることを理解

する。

・生態系は変動しながらもバランスが

保たれていることを理解する。

自然浄化の実験を通して、生

態系のもつ自然浄化の仕組

みについて理解している。

ワークシー

ト・行動観察

生態系のバランスが保たれ

ることについて、理解してい

る。

5(本時)

人間活動と

生態系(1)

・「身近な河川の環境調査」(河川の

生物と水質の調査)をおこない、人

間活動による生態系への影響を考

察する。

・身近な河川の環境を科学的な方法に

より調べる。実験結果と他の河川の

環境のデータを比較し、人間活動に

よる生態系への影響を考察する。

◎ 河川の環境を科学的に調べ

る方法を身に付けている。

ワークシー

ト・行動観察

人間活動による生態系への

影響を考察している。

人間活動と

生態系(2)

・「環境問題のプレゼンテーション」

を通して、環境問題についてグロー

カルな視点で学ぶ。

・宿題:生態系に関する「壁新聞」を

作成する。

・人間生活により生態系のバランスが

保たれなくなった事例を、様々 な視

点で理解する。環境問題について関

心を持ち、主体的に考える。

◎ 環境問題についてグローカ

ルな視点で理解している。

ノート

行動観察

環境問題に関心を持ち、主体

的に授業に取り組んでいる。

7 学習のまとめ

・生態系の壁新聞を通して、生態系の

知識を深め、生態系の保全について

考える。

・壁新聞の発表会をおこなう。

・学習した知識に基づき、生態系の保

全について自分の考えを、データや

図表を用いて表現する。

・発表会を通して、情報を共有する。

◎ 生態系の保全について自分

の考えを表現している。

新聞・

発表の様子

○ 生態系の保全に関心を持っ

ている。

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(5) 本時の展開

生徒の活動

(学習活動)

教師の支援

(指導)

態 準備・備考

評価規準

評価方法

導入

5分

・安謝川のイメージ(生物や水質)

ついて話し合う。

・科学的に環境を調べることの意義

を理解する。

「近くの安謝川はどのような生

き物が生息し、水質はどうな

っているだろうか。」

・科学的に河川を調べ、評価す

る(数値化、生物種の同定)

ことの意義を説明する。

ペア

一斉

PC、プロジェ

クター、ワー

クシート

ワークシート分析、

行動観察

展開

40分

・検索表を用いて生物を同定する。

※同定とは、生物の分類上の所属

を決定することをいう(広辞苑)。

・グループの結果を教師に報告し、

情報を共有する。

・代表者はパックテストを用いて、

水質を調べる。

・生物と水質との関連性を考察し、

河川の環境を評価する。

・他河川のデータを確認する。

・他河川のデータと比較し、人間活

動による生態系への影響につい

て考察する。

・検索表の使い方を説明する。

・各グループの結果をプロジェ

クターで投影し、情報の共有

を促す。

・実験後は手洗いをさせる。

・生物と水質の関係について議

論できるよう促す。

・いくつかのグループを指名し、

結果と考察を発表させる。

・他河川のデータを提示する。

「他の河川と比較してみよう。」

・水質が悪くなると、外来種が

多くなる傾向に気づかせる。

グループ

PC、プロジェ

クター、衣装

ケース、パッ

クテスト、実

験セット

PC、プロジェ

クター

【技能】

生物の特徴から同定

できる。(ワークシー

ト分析・行動観察)

【思考・判断・表現】

人間活動による生態

系への影響を考察で

きる。(ワークシート

分析・行動観察)

データの比較や考察

は客観的に行われて

いるか(ワークシート

分析・観察)。

まとめ5分

・人間活動による生態系への影響に

ついて理解し、自分のこととして

生態系の保全について考え、感想

とともにまとめる。

・人間活動による生態系への影

響についてまとめをおこな

い、生徒一人ひとりが考えを

持つことの大切さを伝える。

一斉

ワークシート分析

調査結果について、他の河川と比較する。

身近な河川の生物と水質について調べる。

本時の目標:身近な河川の生物と水質を調べ、人間活動による生態系への影響を考察する。

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「食品製造」学習指導案

学校名:沖縄県立○○農林高等学校

科目名:食品製造

対 象:○○○○科

日 時:平成〇〇年〇月〇日 〇校時

場 所:○○科棟 ○○実習室

授業者:教諭 ○○ ○○

1 単元名「畜産加工(プレスハムの製造)」

2 単元の設定理由

(1) 教材観

畜産加工に必要な知識・技術を習得させるためには,乳製品や畜肉製品などの製造方法といった加工

技術だけでなく,使用する主原料や副原料などの加工特性や役割を幅広く学ぶ必要があり,それに適し

た単元の一つが「プレスハム製造」である。プレスハムは,ハムとソーセージの両方の加工特性を持ち,

畜肉加工品の一連の工程が効率よく学習できる。そこで「プレスハム製造」を本単元で設定し,その主

原料である豚肉の特徴や加工特性について取り上げた。さらに,観察・比較・まとめができる簡易実験

を行い,「書く活動」を通して考察を繰り返すことで,思考力の育成につなげ,同時に畜産加工における

知識・技術の確実な定着を図る。

(2) 生徒観

本校食品加工科は,食品製造を中核科目として,1年次から体験的・継続的な授業をはじめ,販売を

目的とした実践的な実習を行っている。その中で生徒は製造実習には比較的高い関心を示すが,原料の

特性や加工原理などに興味・関心が低く,集中が続かないのが現状である。さらに畜産加工がほとんど

実践されていないこともあり,畜産加工に積極的ではない生徒が多い。そのため,実験教材やワークシ

ートなどを活用し,主体的に取り組み,思考力を育成する授業の工夫が必要である。

(3) 指導観

「プレスハム製造」を通して畜産加工品に関する専門的な知識・技術の習得を目指す。また,製造原

理や加工特性の理解を深める手段として,実験教材を活用し,「書く活動」を通して自らの考えを引き出

すことが必要だと考えた。さらに,ワークシートを使用し,知識の振り返りや記録,結果を考察させる

ことで思考力を育成し,思考の深まりによって学習の深化が図れる指導を行う。

3 単元の指導目標

(1) 畜産加工における原料肉の種類,処理方法および加工器具に関する知識と技術を習得させる。

(2) 畜産加工における原料肉の加工特性や役割を理解させる。

(3) 代表的な畜産加工品であるプレスハムの製造に必要な加工技術を習得させる。

(4) 実験・実習を通して科学的な見方や思考する力を育成し,知識・技術の定着を図る。

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4 単元の評価規準

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解 ア畜産加工品の加工特性や加

工技術について興味・関心を持っている。

イ実験・実習に意欲的に取り組んでいる。

ア食品特性・加工原理を理解し,加工技術に結びつける思考・判断ができる。

イ畜産加工について自分の考えを考察や発表などで適切に表現できる。

ア実験方法や実験結果のまとめ等を正確に記録できる。

イ畜産加工分野の製造技術に関する技能を身に付けている。

ア原料肉の種類や処理方法などの知識を身に付けている。

イ原料肉の加工特性や役割につ

いて理解している。

5 単元の指導計画と評価計画(全 17時間)

単 元

時 間

学習内容 指導目標 学習活動 評価の観点

評価方法 準備する 教材教具 関 思 技 知

豚と豚肉について

2 豚肉の特徴 ・豚肉及び加工品の状況を把

握し,食肉加工の理解,態度を育てる

・豚肉について理解する。 ・肉加工の種類・特徴について理解する。

イ ア 行動観察 ワークシート 発問等

ワークシート

2

豚肉の解体・処理

・豚の解体方法を理解し,豚肉との関係を理解させる。

・豚肉の部位を理解し肉加工品との関係を理解させる。

・豚肉のと殺・解体方法を理解する。

・枝肉の各部位の名称を理解する。

・部位ごとに比較実験し,各部位の特徴・使用例を把握する。

行動観察 実験操作 ワークシート 発問等

ワークシート 提示用教材 実験器具

豚肉の加工特性

2

豚肉の加工特性①(塩溶性)

・塩漬けの役割について考えさせる。

・塩溶性を知り,塩漬けの意味を理解し,肉加工品との関係を理解させる。

・畜肉加工における塩漬けの役割を理解する。

・肉の加工特性である塩溶性を理解し,豚肉加工に関連させることができる。

行動観察 実験操作 ワークシート 発問等

ワークシート 提示用教材 実験器具

2

豚肉の加工特性② (食品添加物)

・豚肉の色の変化について理解させる

・畜産加工品に使用される添加物について理解させる。

・なぜ,肉の色の変化が起きるのか科学的に理解する。

・畜産加工に利用される食品添加物の役割を理解する。

行動観察 実験操作 ワークシート 発問等

ワークシート 提示用教材 実験器具

2

豚肉の加工特性③ (結着性)

・結着性と保水性を理解させる。

・加工特性である結着性と保水性を肉加工品へ結び付ける。

・結着性と保水性を理解する。 ・肉加工品と保水性・結着性を関連させることができる。

行動観察 実験操作 ワークシート 発問等

ワークシート 提示用教材 実験器具

1

豚肉の加工特性④ (脂質の融点)

・脂質の性質・役割について理解させる。

・脂肪特性の一つである融点を理解し,肉加工品への製造に結び付ける。

・脂質の性質・役割について理解する。

・脂肪特性の一つである融点を理解し,肉加工品製造に関連させることができる。

行動観察 実験操作 ワークシート 発問等

ワークシート 提示用教材 実験器具

プレスハム製造

プレスハム 製造

・塩漬け,塩抜きの方法を習得させる。

・乳化について理解し,加工に結び付ける。

・ケーシング,巻締め等を習得させる。

・乾燥,くん煙,ボイルの意味を理解し,加工技術を習得させる。

・製品鑑定を行い,製品良否の判定方法を理解させる。

・塩漬け,塩抜きの加工技術を習得する。

・乳化を理解しミキシングの加工技術を習得する。

・ケーシング,巻締め等の加工技術を習得する。

・乾燥,くん煙,ボイルの加工技術を活用し,製品向上に取り組む。

・製品鑑定を行い,製品について自分の考えを発表する。

行動観察 製造実習 ワークシート 製品鑑定 発問等

ワークシート ホワイトボード 原材料 製造実習器具機器

6 本時の学習指導

(1) 主題名 「豚肉の加工特性(脂質の融点)」

(2) 本時の指導目標

① 豚肉の加工特性である「脂質の融点」を理解させる。

② 豚肉の脂とプレスハム製造の関係を理解させる。

③ 実験を通して食品製造に対する考え方を身に付けさせ,まとめや考察を整理することで思考力の育

成を目指す。

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(3) 本時の評価規準

【評価の観点】 評価規準

具体の評価規準 評価 方法 A

十分満足できる B

おおむね満足できる C

支援の具体的方法 【関心・意欲・態度】

イ実験・実習に意欲的に取り組んでいる。

グループで話し合い役割分担し取り組み、実験結果を導き出すことができる。

グループで取り組み、実験結果を導き出すことができる。

実験において役割を指示し、結果が出るよう指導する。

行動観察

【思考・判断・表現】 ア 加工特性を理解し,加工

技術に結びつける思考・判断ができる。

加工特性を十分に理解し,加工技術に結び付け説明することができる。

加工特性を抽象的だが考えることができる。

発問による理解度の確認。机間巡視での助言。他者にも相談するような雰囲気作りに努める。

ワークシート 行動観察

【技能】 ア 学習内容や実験結果の

まとめ・考察等を正確に記録できる。

学習内容や実験結果を自分の考えでまとめることができ,正確に記録できる。

学習内容や実験結果を指示通りに記録することができる。

他者の発言をよく聞いて記録を取るように促す。

ワークシート

【知識・理解】 ア 原料肉の加工特性や役

割などの知識を身に付けている。

豚脂の性質や特徴を十分に理解し,その他の脂との違いがわかる。

豚脂の性質や特徴に正しく答えることができる。

話をよく聞くように促す。机間巡視での助言。ワークシートの記入を促す。

ワークシート

(4) 本時の展開 (評価の観点:【関】関心・意欲・態度 【思】思考・判断・表現 【技】技能 【知】知識・理解)

展開 教師の活動・支援 生徒の活動 【授業形態】 使用教材

評価 規準 方法

導入5分

○本時のあいさつ ○出席確認・生徒の動向を確認する。 ○導入:脂質について質問する。 ○説明:前回の復習をする。

これまで学習した内容を確認する。 ○豆知識:豆知識を説明する。

○はじめの挨拶 ○導入:問いかけに答える。 ○復習:前回の復習をワークシートに記入する。 ○確認:本時の学習内容を確認する。 ○豆知識:説明を聞き,確認する。

【一斉】 教師用パソコン プロジュクター

【知】 ワークシート 行動観察

展開① 5分

○説明:脂のもつ重要な役割である風味・食感について説明する。

○発問:脂の加工特性の一つである融点の違いについて発問し,疑問を抱かせる。

○目標:本時のねらいと目標を伝える。

○説明を聞き,理解する。 ○予測:脂の加工特性の融点の違いについて疑問を持つ。

○目標:本時のねらい,目標を確認し,入する。(ワークシートの活用)

【一斉】 教師用パソコン プロジュクター

【知】 【技】 ワークシート 行動観察

展開②

20分

○説明:実験区や実験方法を説明する。観察

方法や注意点を説明する。 ○発問:実験結果の予測をさせる。既習事項

や既存知識を活用させ,理由も思考させる。

○机間巡視を行い,生徒の予測を支援する。 ○実験:脂の種類別の融点の違いを比較させる。溶ける順番・温度をきちんと記入させる。

○机間巡視を行い,生徒の行動を観察し,適

宜助言等を行う。 ○実験結果を記入させる。

○実験区や実験方法を理解する。グループで役割を決める。(操作係・記入係)

○実験結果を予測する。既習事項や既存知識を活用し,その理由も記入する。

○できていない生徒はグループで話し合いをし,協力する。

○比較実験を行い,よく観察 する。温度も忘れずに記入 する。

○火を使用するので安全面に 注意する。

○実験結果を記入する。

【グループ】 実験器具 実験材料 ワークシート

【思】 【技】 ワークシート 行動観察

肉の脂にはどのような違いがあるのか

肉の脂の融点を比べてみよう

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展開③

15分

○発問:発問しながら結果をまとめ,実験の意味を考えさせる。脂の加工特性や融点が異なる理由を考えさせる。

○考察に必要な「今日の言葉」を記入させる。授業を振り返り,記入することで,考察の手助けにする。

○考察:予想や結果をまとめさせ,今回の実験の考察を記入させる。

○机間巡視を行い,助言をする。 ○考察を発表させる。発表させることで考察が苦手な生徒の参考にさせる。

○まとめ:質問に答えながら,結果をまとめ,実験の意味を理解する。脂の加工特性・融点が異なる理由などを考え,ワークシートにまとめる。

○授業の振り返り 「今日の言葉」を記入する。 ○「今日の言葉」や考察のポ

イントを活用し,考察を紀 入する。

○できていない生徒について は,グループで話し合いをし, 協力する。

○代表が考察を発表する。

【一斉】 【グループ】 教師用パソコン プロジュクター ワークシート

【思】 【技】 ワークシート 行動観察

まとめ 5分

○まとめ:振り返り問題をさせ,知識の定着を再度促す。

○解答:振り返り問題の解答をし,助言をする。

○自己評価や感想・疑問を記入させ,提出させる。

○予告:次回の授業予告をする。 ○終わりのあいさつ

○授業を振り返り,問題を解く。 ○間違った生徒は,ワークシートを再度振り返り正解を導く。

○今日の授業の自己評価をし,感想・疑問を記入する。

○次回の授業内容を確認する。 ○終わりのあいさつ

【一斉】 【グループ】 ワークシート

【知】 ワークシート 行動観察

今回の実験をまとめてみよう。

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  〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町字千原1番地

       電話:098-895-8312

教 育 実 習 の 手 引 き

平成31年(2019)年3月発行

編集者 琉球大学教職センター

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 人文社会学部学務係(旧法文学部) 電話:098-895-8188 

 国際地域創造学部学務係(旧観光産業科学部) 電話:098-895-8184 

 教育学部学務係 電話:098-895-8317 

 理学部学務係 電話:098-895-8595 

 工学部学務係 電話:098-895-8583 

 農学部学務係 電話:098-895-8738 

 教職センター教職係 電話:098-895-8312 

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