38
防 衛 庁 規 格 NDS K 4826 火薬類安全性試験方法 目次 平成 13.12.20 1. 適用範囲 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 2.引用規格 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 3.用語の定義 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 4. 種類・目的 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 4.1 火薬類落つい感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 4.2 火薬類カードギャップ試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 4.2.1 火薬類カードギャップ試験法(国連評価法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 4.2.2 火薬類カードギャップ試験法(詳細評価法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 4.3 火薬類銃撃感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 4.4 火薬類耐熱性試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 5. 試験条件 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 5.1 試験計画 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 5.2 試験場 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3 5.3 安全管理 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3 5.4 火薬類試料の取扱法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3 6. 試験方法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3 6.1 火薬類落つい感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3 6.2 火薬類カードギャップ試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5 6.2.1 火薬類カードギャップ試験法(国連規格法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5 6.2.2 火薬類カードギャップ試験法(詳細評価法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6 6.3 火薬類銃撃感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8 6.3.1 発射薬銃撃感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8 6.3.2 爆薬銃撃感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10 6.4 火薬類耐熱性試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 11 6.4.1 火薬類耐熱試験法(容器破砕法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 11 6.4.2 火薬類耐熱試験法(破裂板法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 13

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防 衛 庁 規 格 NDS

K 4826 火薬類安全性試験方法 目次 制 定 平 成 13.12.20

1. 適用範囲 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1

2. 引用規格 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1

3. 用語の定義 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1

4. 種類・目的 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1

4.1 火薬類落つい感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1

4.2 火薬類カードギャップ試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2

4.2.1 火薬類カードギャップ試験法(国連評価法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2

4.2.2 火薬類カードギャップ試験法(詳細評価法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2

4.3 火薬類銃撃感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2

4.4 火薬類耐熱性試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2

5. 試験条件 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2

5.1 試験計画 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2

5.2 試験場 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3

5.3 安全管理 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3

5.4 火薬類試料の取扱法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3

6. 試験方法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3

6.1 火薬類落つい感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3

6.2 火薬類カードギャップ試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5

6.2.1 火薬類カードギャップ試験法(国連規格法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5

6.2.2 火薬類カードギャップ試験法(詳細評価法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6

6.3 火薬類銃撃感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8

6.3.1 発射薬銃撃感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8

6.3.2 爆薬銃撃感度試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10

6.4 火薬類耐熱性試験法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 11

6.4.1 火薬類耐熱試験法(容器破砕法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 11

6.4.2 火薬類耐熱試験法(破裂板法) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 13

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参考文書 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 15

付図1 火薬類落つい感度試験用容器の構造 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 16

付図2 火薬類落つい感度試験の試験配置 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 17

付図3 火薬類カードギャップ試験法(国連規格法)の試験配置 ‥‥‥‥‥‥‥ 18

付図4 火薬類カードギャップ試験法(詳細評価法)の試験配置 ‥‥‥‥‥‥‥ 19

付図5 感度試験用容器(発射薬銃撃感度試験用) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 20

付図6 発射薬銃撃感度試験配置図 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 21

付図7 発射薬銃撃感度試験 詳細評価法における計測項目 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 22

付図8 感度試験用容器(爆薬銃撃感度試験) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 23

付図9 爆薬銃撃感度試験法配置図 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 24

付図 10 感度試験用容器(火薬類耐熱試験法(容器破砕法)用) ‥‥‥‥‥‥‥ 25

付図 11 火薬類耐熱試験法(容器破砕法)配置図 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 26

付図 12 火薬類耐熱性試験法(容器破砕法)詳細評価法における計測項目 ‥‥‥ 27

付図 13 感度試験用容器(火薬類耐熱試験法(破裂板法)用) ‥‥‥‥‥‥‥‥ 28

付図 14 火薬類耐熱試験法(破裂板法)配置図 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 29

付図 15 火薬類耐熱性試験法(破裂板法)詳細評価法における計測項目 ‥‥‥‥ 30

解説 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 31

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防 衛 庁 規 格 NDS

K 4826 火薬類安全性試験方法 制 定 平 成 13.12.20

1 . 適 用 範 囲 この規格は,弾薬に含まれる発射薬及び爆薬(以下 火薬類という)に関

する試験方法について規定する。

2 . 引 用 規 格 次に掲げる文書は,この規格に引用されることによって,この規格の規定

の一部を構成する。これらの文書は,その最新版を適用する。

JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材

JIS G 3454 圧力配管用炭素鋼鋼管

JIS K 2240 液化石油ガス(LPガス)

JIS K 4810 火薬類性能試験方法

JIS K 4806 工業雷管及び電気雷管

NDS K 4305 テトラメチレンテトラニトロアミン(弾薬用)

NDS Y 0001 弾薬用語

3. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は, NDS Y 0001 によるほか, 次による。

a) 火薬類安全性 各種弾薬に用いられるの火災等の不慮の事故における暴発及び誘爆の

度合い及び戦闘状態において弾薬を搭載する車両等の被弾による自己弾薬の誘爆の度

合い。

b) 火薬類試料 本規格に記述される試験に用いる試料。

c ) 基準火薬類 試験目的である火薬類試料に対し, 結果の比較のために用いる試料。

d) 表膠 発射薬の燃焼速度制御のため, 発射薬の表面付近をジブチルフタレート等で含

浸させる表面処理法。

e) 落つい感度試験容器 本規格に規定される火薬類落つい感度試験法において火薬類試

料を収納する容器。

f) 感度試験用容器 本規格に規定される火薬類銃撃感度試験法及び火薬類耐熱性試験法

に使用する火薬類試料を収納する容器。

g) 耐熱試験反応時間 火薬類試料への加熱開始から火薬類試料の反応終了までの時間。

4. 種類 ・目 的 種類及び目的は, 次による。

4.1 火薬類落つい感度試験法 火薬類試料に対し,上方より自由落下する物体の衝突によ

る弱い衝撃に対する感度を火薬類試料反応時発生する圧力及び発光の検出により評価する

試験方法である。

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4.2 火薬類カードギャップ試験法 火薬類試料に対し,爆薬の爆轟による強い衝撃に対する

感度を評価する試験方法であり,以下の試験方法のいずれかにより評価する。

4.2.1 火薬類カードギャップ試験法(国連評価法) 火薬類試料の爆薬による強い衝撃に対す

る感度を評価する。

4.2.2 火薬類カードギャップ試験法(詳細評価法) 火薬類試料の爆薬による強い衝撃に対す

る感度を詳細に評価する。

4.3 火薬類銃撃感度試験法 火薬類試料に対し, 弾丸が衝突した場合における感度を評

価する試験方法であり,以下の試験方法のいずれかにより評価する。

a) 発射薬銃撃感度試験法 発射薬に対し, 弾丸が衝突した場合における反応を感度試験

用容器の破砕状況及び感度試験用容器内の圧力上昇により評価する。

b) 爆薬銃撃感度試験法 爆薬に対し, 弾丸が衝突した場合における反応を感度試験用容

器の破砕状況により評価する。

4.4 火薬類耐熱性試験法 米国規格においてはファーストクックオフ試験法と呼ばれる

試験方法であり, 火薬類に対し, 外部から急速な加熱された場合における感度を評価する

ものであり,以下に示す試験方法のいずれかにより評価する。

a) 火薬類耐熱試験法(容器破砕法) 火薬類試料に対し,プロパンガスを燃料とした加

熱器を用い加熱から感度試験用容器の破壊までの時間及び圧力変化により火薬類試料

の耐熱性を評価する。

b) 火薬類耐熱試験法(破裂板法) プロパンガスを燃料とした加熱器を用い, 加熱から

感度試験用容器に取り付けた破裂板破壊までの時間及び圧力変化により火薬類試料の

耐熱性を評価する。

5. 試 験 条 件

5 . 1 試 験 計 画 試験計画は, 次による。

a) 試験の日程は, 試験の規模, 試験場, 気象条件などを考慮し, 準備, 試験, 予備,

撤収などを明確にする。

b) 試験場は, 試験の規模などを考慮し, 5.2(試験場)の条件を具備する場所を選定する。

c) 安全管理事項について明確にする。必要な書類の提出及び報告は, 5.3(安全管理)に

よる。

d) 試験の目的を明確にすると共に, 火薬類試料は, 試験目的に合った数量を準備する。

2

K 4826

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e) 試験の種類は, 試料の仕様書などに規定がある場合は , その規定による。その他の場

合は , 試験目的に合わせて選定する。

f) 試験装置及び測定装置の諸元並びに測定項目を明確にし , その配置図を作成する。

g) 試験統制者は , 試験計画担当者又は試験実施担当者が試験の経験を考慮して指名した

ものとする。

h) 試験隊は , 試験を効率的に実施するため及び安全管理を徹底するため , 編成する。

i) 試料の採取方法は , 5.4(火薬類試料の取扱法)による。

5 . 2 試 験 場 試験場は次による。

a) 試験位置周辺には , 試験中飛散する破片などに対し , 試験要員の安全が確保されるよ

うに設計された防護施設を設ける。

b) 可能であるなら , 室内射場又は室内静爆場で試験を実施する。

c) 試験場外に弾丸及び破片が飛び出ない方策を用いる。

5 . 3 安 全 管 理 安全管理は , 次による。

a) 各試験場を管理している機関などで規定している安全規則を遵守する。

b) 安全管理の実施計画を作成し , 試験に先だって試験場の安全管理者に提出して許可を

受ける。

c) 試験装置及び測定装置について , 安全点検カード又は試験手順書を作成し , 試験要員

に交付する。

d) 火薬類試料の廃棄は , 各試験場で規定する安全規則を遵守し実施する。

5 . 4 火 薬 類 試 料 の 取 扱 法

a) 火薬類試料は,目的とする弾薬を同一ロットより抜き取ったものを用いるものとする。

b) 火薬類試料の取扱いは , 関連法令等による他 , 各試験場での取扱規則による。

c) 基準火薬類を用いて火薬類試料との比較評価を行う場合は, 同一形状(形状を規定する

寸法が,それぞれ火薬類試料の寸法の±10%以内)の基準火薬類を用いるものとする。

d) 火薬類試料表面に表膠及び黒鉛等の処理が施されている場合は, 基準火薬類において

も同様な表面処理を行うものとする。

e) 粉末の火薬類試料において,火薬類試料が吸湿している場合は,45℃で約 5 時間乾燥

したものを用いるものとする。

f) 固体の基準火薬類及び固体の火薬類試料は,試験に先立って試料の寸法を計測するも

のとする。

6 . 試 験 方 法 試験方法は, 次による。

6 . 1 火 薬 類 落 つ い 感 度 試 験 法

3

K 4826

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a) 装 置 及 び 器 具

1) 試験機及び鉄つい 試験に用いる試験機及び鉄ついは,JIS K 4810 において規定

されたものを用いるものとする。

2) かなしき JIS K 4810 において規定するかなしきを用いるものとする。

3) 落つい感度試験容器 圧力・発光検出に用いる落つい感度試験容器は,付図1を参

考とするようにベース部,ピストン部,シリンダー部,試料受座,圧力測定部,発

光観測窓部,雰囲気ガス流入-流出部等よりなり,ベース部底部はかなしきに接続

可能な構造を有するものとする。また,試験機より落下させた鉄ついの衝撃をピス

トンを介して試料受け座上の火薬類試料に伝達できる構造を有するものとする。シ

リンダーとベース間は,火薬類試料の設置を容易にするため,ねじ込みにより接続

可能な構造とすることが望ましい。落つい感度試験容器は,雰囲気ガス流入-流出

部を通じて,試験時における火薬類試料周りの減圧及び雰囲気ガスの変更を可能と

する構造を有するものとする。 落つい感度試験容器における各部の形状及び材質

等は,評価目的である火薬類試料により変化させることができるが,各部は,ピス

トン-シリンダー部を除き,静水圧 10MPa 以上の耐圧を有するものとする。落つい

感度試験容器におけるピストン-シリンダー間は,鉄ついの衝撃の伝達における衝

撃力の損失を最小限にするような仕上げを施すものとする。火薬類試料に与える衝

撃力を JIS K 4810 に規定する試験方法と比較する場合には,NDS K 4305 における

テトラメチレンテトラニトラミン(HMX)を用いて行うものとする。

4) 圧力センサ 圧力センサは,最高測定圧力 10 MPa 以上のピエゾ圧電素子型圧力セ

ンサを用いるものとする。

5) 光検知装置 光検知装置の光電素子は,検知応答速度が 10ns 以下,測定波長範囲

が約 400~800nm で,受光面が平面となるものを使用するものとする。

6) 記録装置 圧力測定及び発光検知に用いる記録装置は,0.2μs 以下毎の測定間隔

により,火薬類試料の反応開始後 1ms まで計測できる能力を有するものとする。

b) 操 作

1) 試験は,付図2を参考とする試験配置により行うものとする。

2) 試験においては,圧力測定及び発光検知の両方を測定することが望ましいが,どち

らか一方のみを用いて評価を行ってもよい。

3) 落つい感度試験容器への火薬類試料の設置は,まず,ベース部をシリンダー部より

分離させ,ベース部のみかなしきに固定し,直径約 16mm のすずはく (0.08~0.1

kg/m2 のもの)を直径約 10mmの皿状に成形したものに火薬類試料約 10mg を入れ,

落つい感度試験容器内の試料受座上に設置し,試料受座上より火薬類試料が動かな

いようシリンダー部をかぶせベース部に固定する。

4

K 4826

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4) ベース部を固定した後,火薬類試料が試料受座よりこぼれないよう注意しながら,

ピストン部及び圧力センサーを取り付ける。

5) 雰囲気ガスの変更が必要な場合は,雰囲気ガス流出部より,真空ポンプにより内部

を減圧し,その後,雰囲気ガス流入部より所定の雰囲気ガスを流入させる。雰囲気

ガスの流入に際しては,ピストン部の飛出しもしくは火薬類試料を飛散させないよ

う注意する。

6) 鉄ついを所定の高さよりピストン部に落下させ爆発の成否を調べる。

c) 試験評価 火薬類落つい感度試験法の評価は,表1に示す判定基準を用いて行うもの

とする。各区分内の評価は,爆発圧力もしくは発光強度により行うものとする。完爆

から不爆へ移行する鉄ついの高さを求める場合には,予想される鉄ついの高さ付近で

高さを変えた試験を4点以上行い,爆発圧力もしくは発光強度の変化により求めるも

のとする。

表1

区分 判 定 基 準

爆 爆発圧力もしくは発光が観測される。

不爆 爆発圧力もしくは発光がほとんど観測されない。

6 . 2 火薬類カードギャップ試験法

6 . 2 . 1 火薬類カードギャップ試験法(国 連 規 格 法 )

a) 装置および器具

1) カードギャップ容器 カードギャップ容器は,冷間引き抜きシームレス炭素鋼管を

用いて外径 48±2mm,厚さ 4.0±0.1mm,長さ 400±5mm の容器を使用するものとす

る。使用する火薬類試料が容器材料と化学反応を起こす可能性のある場合は,容器

内面をフッ素樹脂で塗布するものとする。

2) 伝爆薬 伝爆薬は,160g 程度の薬量のトリメチレントリニトラミン(RDX)/WAX

(95:5 重量%)もしくはペンスリット(PETN)/TNT(50:50 重量%)を密度 1600

±50kg/m3,外径 50±1mm 及び長さ 50mm 程度に成形したものを用いるものとする。

用いる伝爆薬のうち RDX/WAX 系伝爆薬を用いる場合は,小塊状のものを圧填したも

のでもよい。PETN/TNT 系伝爆薬を用いる場合にはキャスト製法により填薬するもの

とする。

3) 雷管 雷管は,RDX/WAX 系伝爆薬もしくは PETN/TNT 系伝爆薬を十分に爆轟させる

能力を有する電気雷管を用いるものとする。

4) カードギャップ カードギャップは,直径 50±1mm,長さ 50±1mm のポリメチルメ

タクリレート樹脂板を用いるものとする。

5

K 4826

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5) シール材 シール材は,厚さ 0.08mm 程度のポリエチレンフィルムを用いるものと

する。

6) スペーサ スペーサは,厚さ 1.6±0.2mm のもの用いるものとする。

7) 評価板 評価板には,長さ 150±10mm 角,厚さ 3.2±0.2mm の正方形状の軟鋼板を

用いるものとする。

b ) 操 作

1) 試験は付図3を参考とする試験配置によって行うものとする。

2) 付図3に示すシール材は,カードギャップ容器下面を皺のないように2重に貼り付

けるものとする。

3) カードギャップ容器への火薬類試料の装填密度は,評価を目的とする弾薬と同一で

あるものとする。

4) 火薬類試料-カードギャップ間及びカードギャップ-伝爆薬間は,衝撃波の円滑な

伝達が得られるよう十分な接触を保つものとする。

5) 試験は,雷管を起爆することにより伝爆薬のを起爆させ,カードギャップにより減

衰させた衝撃圧力を火薬類試料に入射させ,火薬類試料の反応を観察する。

6) 試験回数は最大2回とする。

c ) 試 験 評 価

1) 火薬類試料の反応をカードギャップ容器の破砕状況および判定板の穿孔状況により

評価する。

2) 2回の試験において,カードギャップ容器が完全に破砕されないこと及び判定板に

明確な穿孔が残らない場合は不爆とする。それ以外の場合は爆と判定する。

6 . 2 . 2 火薬類カードギャップ試験法(詳 細 評 価 法 )

a ) 装置および器具

1) カードギャップ容器 カードギャップ容器は,JIS G 3454 に規定する STPG38 炭素

鋼管を用いて外径 48.6±2mm,厚さ 3.7±0.1mm,長さ 102±5mm の容器を使用する

ものとする。ただし,火薬類試料の反応の評価が難しい場合は,容器の長さを 200m

m 程度まで延長させてもよい。

2) 伝爆薬 伝爆薬は,180g 程度の薬量の PETN/TNT(50:50 重量%)を密度 1670±50

kg/m3,外径 51±1mm 及び長さ 51mm 程度でキャスト製法により成形したものを用い

るものとする。

3) 雷管 雷管は,JIS K 4806 に規定する電気雷管を用いるものとする。

4) カードギャップ カードギャップは,直径 50±1mm のポリメチルメタクリレート樹

脂を用いるものとする。試験にはポリメチルメタクリレート樹脂板を所定のギャッ

6

K 4826

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プ厚さに切り出して用いるものとする。また,ポリメチルメタクリレート樹脂板の

両端面を 400 番台及び 600 番台のやすりにより均一に研磨したものを使用するもの

とする。

5) 評価板 評価板には,火薬類試料の反応が激しい場合は,JIS G 3101 に規定する

長さ 150±10mm 角,厚さ 3.2±0.2mm の正方形状の SS400 鋼板を用いるものとする。

また,火薬類試料の反応が SS400 鋼板により評価できない場合は,長さ 150±10mm

角,厚さ 20mm 以上の鉛板を用いるものとする。

6) 不活性試料 鉛板を評価板として使用する場合は,火薬類試料が固体の場合,不活

性試料として 20~50MPa の引張強さを持つプラスチックを火薬類試料と同一形状に

成形して用いるものとする。火薬類試料が液体の場合は,水を不活性試料とする。

b) 操作

1) 試験は付図4を参考とする試験配置によって行うものとする。

2) カードギャップ容器への火薬類試料の装填密度は,評価を目的とする弾薬と同一で

あるものとする。

3) 火薬類試料が液体の場合は,付図3のように上下を逆にした試験配置により試験を

行うものとする。

4) 火薬類試料が液体の場合は,6.2.1 に示すシール材を用いて火薬類試料を装填する

ものとする。

5) 火薬類試料-カードギャップ間およびカードギャップ-伝爆薬間は,衝撃波の円滑

な伝達が得られるよう十分な接触を保つものとする。

6) 試験は,雷管を起爆することにより伝爆薬を起爆させ,所定のカードギャップ長さ

により減衰させた衝撃圧力を火薬類試料に入射させ,火薬類試料の反応を観察する。

カードギャップ長さの変化は,5mm 以内とする。

7) 評価板として鉛板を用いる場合には,伝爆薬の衝撃による評価板への影響を考慮す

るため,火薬類試料と同一の装填密度で不活性試料を装填し,同一試験条件により

試験を実施する。

8) 各カードギャップ長さにおける試験回数は2回以上とする。

c) 試 験 評 価 火薬類カードギャップ試験法(詳細評価法)の評価は次による。

1) 3回爆点評価法 火薬類試料の反応をカードギャップ容器の破砕状況および判定板

の穿孔状況により評価する。評価板には,SS400 軟鋼板を用いるものとする。3回

の試験において,判定板に明確な穿孔が残らない場合は不爆とする。それ以外の場

合は爆と判定する。試験では,同一カードギャップ長さによる試験を 3 回繰り返し,

3 回とも爆となるカードギャップ長さ及び 3 回とも不爆となるカードギャップ長さ

を求める

7

K 4826

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2) 詳細評価法 火薬類試料の反応を鉛板を用いた判定板の穿孔された穴の体積又は穴

の深さを測定することにより評価する。火薬類試料を用いて測定した穴体積又は穴

の深さを不活性試料を用いて測定した値から差し引くことにより,火薬類試料の反

応により生じた正味の穴体積又は穴の深さとする。

6.3 火薬類銃撃感度試験法

6.3.1 発射薬銃撃感度試験法

a ) 装 置 及 び 器 具

1) 銃 試験に用いる銃は , 口径 12.7mm で感度試験容器に対し着速 830m/s 程度で射撃

可能なものを用いるものとする。

2) 弾丸 試験に用いる弾丸は厚さ 22.2±5mm の鋼板を貫通可能な 12.7mm 徹甲弾を使

用するものとする。

3) 感度試験用容器 感度試験用容器の構造は,付図5を参考とするように胴管(弾丸

貫通部分),上部ホルダ(圧力測定孔付き),下部ホルダ及び固定ボルト等からな

り,上部ホルダより圧力導管を介して火薬類試料が反応時に発生する燃焼ガスによ

る圧力上昇を測定できる構造を有するものとする。 感度試験用容器における胴管

の外径,胴管の厚さ,胴管の材質等は,評価目的である火薬類試料により変化させ

ることができるが,いずれの形状においても静水圧 10MPa 以上の耐圧を有する構

造とする。

4) 圧力センサ 圧力の測定には,最高圧力測定範囲 25~50MPa のピエゾ圧電素子型

圧力センサを用いるものとし,圧力センサと感度試験用容器とを結ぶ圧力導管には ,

弾丸の胴管への衝突時の衝撃が直接圧力センサに伝わらない構造を有するものとす

る。

5) 記録装置 圧力測定を行う計測器は,5μs 毎の測定間隔により,弾丸が感度試験用

容器前面に到達後 5ms まで計測できる能力を有する器材を用いるものとする。使用

するビデオ機材は,試験場所に適し,かつ,火薬類試料の反応状況を詳細に観察で

きる能力を有するものとする。

b) 操作

1) 試験は付図6を参考とする試験配置によって行うものとする。

2) 試験銃と感度試験用容器との距離は,上記着速を満足する距離であるものとするが,

火薬類試料の激しい反応による破片及び爆風等が十分保護できる距離もしくは保護

対策を施すことが望ましい。

3) 感度試験用容器への火薬類試料の装填密度は,評価を目的とする弾薬と同一である

ものとする。

8

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4) 感度試験用容器の密閉方法は,感度試験用容器固定ボルトを固定ナットでトルク約

0.1 N m で均等に締め付けることにより行うものとする。

5) 試験は単発射撃により行うものとし,各射撃ごとに火薬類試料反応時発生する圧力

を測定するものとする。

6) 弾丸の感度試験容器への着速の測定は,感度試験容器前面より4m以内で測定した

弾丸の速度とする。

7) 圧力測定の開始は , 弾丸が感度試験用容器前面に衝突した時点から 1ms 以上前の時

点より , 開始するものとする。

8) 圧力測定に他にビデオ機材等により, 弾丸が感度試験用容器に衝突した後, 火薬類

試料の反応が終了するまでの状況を録画するものとする。

c) 試験評価 発射薬銃撃感度試験の評価は, 次による。

1) 詳細評価法 付図7に示すように,圧力センサにより得られた最大圧力又は圧力‐

時間データから求めた圧力上昇開始時間から最大圧力到達時間までの圧力の積分値

を計算し , 基準火薬類における結果と比較することにより試料の相対感度を評価す

る。

2) 絶対評価法 回収した胴管の破砕状況及びビデオによる火薬類試料の反応状況より

火薬類試料の反応を表2を基準とする爆轟-部分爆轟-爆発-爆燃-燃焼の 5 段階

に分類し評価する。

表2 火薬類試料の反応分類及び反応形態

番号 反応の分類 反応形態

I 爆轟 最も激しいタイプの反応形態。超音速の分解反応が,火薬類試料中を

伝播し,強烈な衝撃波を発生させる反応。また,感度試験用容器に急

激な塑性変形を引き起こし,続いて極度の破砕にいたる。全ての火薬

類試料が衝撃波発生に消費される。近接した金属板の穴,塑性変形,

破砕や,近くの構造物への爆風圧による損傷を引き起こす。

I I 部分爆轟 2番目に激しいタイプの反応形態。火薬類試料全てではなく一部が,

爆轟反応を起こす。強烈な衝撃波が生じ,感度試験用容器の一部が小

さな破片に壊れる。地面に穴があき,近接した金属板が爆轟と同じよ

うに損傷を受けうるし,近くの構造物に爆風圧による損傷がある。部

分爆轟はまた,激しい圧力破裂のような大きなケース破片を生じる。

損傷の程度は,完全な爆轟と比較すると,爆轟した物質の割合に対応

する。

9

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表2 火薬類試料の反応分類及び反応形態(続き)

番号 反応の分類 反応形態

I II 爆発 3番目に激しいタイプの反応形態。閉じ込められた火薬類試料の点火

や急速燃焼が,局部の圧力を高めて,閉じ込めている構造物が激しい

圧力破裂にいたる。金属ケースは大きな破片に破砕され,しばしば遠

くへ飛散する。未反応の,あるいは燃焼中のエネルギー物質も飛び散

る。火事や煙の発生がある。大気中に衝撃波が発生し,近くの構造物

に損傷を引き起こしうる。爆風及び高速度の破片が,地面に小さな穴

をあけたり,近接した金属板に損傷(破損,裂けめ,えぐれ)を起こ

しうる。爆風圧力は爆轟のものよりも低い。

IV 爆燃 4番目に激しいタイプの反応形態。閉じ込められた火薬類試料の点火

や燃焼により,ケース強度が低ければ激しくなく圧力が放出された

り,あるいはケース蓋(放出孔/信管孔他)からの排気にいたる。ケ

ースは,破裂するかもしれないが,破片にはならないし,蓋が放出さ

れるかもしれない。また,未燃あるいは燃焼中の火薬類試料が飛び散

り,火事を引き起こしうる。推進力により,固定されていない供試品

が射出され,さらなる危険を引き起こしうる。爆風や,問題となるよ

うな破片による周囲への損傷はないが,燃焼中の火薬類試料からの熱

と煙による損傷を引き起こす。

V 燃焼 最も激しくないタイプの反応形態。火薬類試料が点火したり燃えたり

するが,推進力はない。ケースは,激しくない破裂をする程度に,開

放されたり,溶けたり,弱くなり,燃焼ガスをおだやかに放出する。

微細破片の大部分は,火事の範囲内にとどまる。微細破片が人に対し

て致命的な負傷を与えたり,破片が15m以上飛散したりしない。

6.3.2 爆薬銃撃感度試験法

a ) 装 置 及 び 器 具

1) 銃 試験に用いる銃は, 口径 12.7mm で感度試験容器に対し着速 830m/s 程度で射撃

可能なものを用いるものとする。

2) 弾丸 試験に用いる弾丸は厚さ 22.2±5mm の鋼板を貫通可能な 12.7mm 徹甲弾を使

用するものとする。

3) 感度試験用容器 試験に用いる感度試験用容器の構造は,付図8を参考とする胴管

(弾丸貫通部分),上部及び底部蓋からなる構造を有するものとする。感度試験用

容器における胴管の外径,胴管の厚さ,胴管の材質及び上部-底部蓋の外径等は,

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評価目的である火薬類試料により変化させることができる。

4) 記録装置 使用するビデオ機材は,試験場所に適し,かつ,火薬類試料の反応状況

を詳細に観察できる能力を有するものとする。

b) 操作

1) 試験は付図9を参考とする試験配置によって行うものとする。

2) 試験銃と感度試験用容器との距離は,上記着速を満足する距離であるものとするが,

火薬類試料の激しい反応による破片及び爆風等が十分保護できる距離もしくは保護

対策を施すことが望ましい。

3) 感度試験用容器への火薬類試料の装填密度は,評価を目的とする弾薬と同一である

ものとする。

4) 試験は単発射撃により行うものとする。

5) 弾丸の感度試験容器への着速の測定は,感度試験容器前面より4m以内で測定した

弾丸の速度とする。

6) ビデオ機材等により , 弾丸が感度試験用容器に衝突した後 , 火薬類試料の反応が終

了するまでの状況を録画するものとする。ただし,試験場の制限により,火薬類試

料の反応によりビデオ機材等が破損する恐れのある場合は,ビデオ機材による録画

を行わなくてもよい。

c) 試験評価 試験の評価は,回収した胴管の破砕状況及びビデオによる火薬類試料の反

応状況より火薬類試料の反応を表2に示す爆轟-部分爆轟-爆発-爆燃-燃焼の 5 段

階に分類し評価する。

6.4 火薬類耐熱性試験法

6.4.1 火薬類耐熱試験法(容器破砕法)

a ) 装 置 及 び 器 具

1) 加熱器 使用する加熱器は, 単位時間あたりの発生熱量 5KJ 以上のものが望ましい。

2) プロパンガス 試験に用いるプロパンガスは JIS K 2240 に基づき製造されたもの

を用いるものとする。

3) 点火装置 点火装置は,ニクロム線,可変抵抗器及び外部電源(100V)からなり,

使用するニクロム線は,加熱器より流出するプロパンガスを十分に点火できる熱量

を発生する能力を有するものを使用する。ニクロム線の周りには,点火を確実なも

のとするため,灯油等を染み込ませた布を巻きつけるものとする。

4) 感度試験用容器 試験に用いる感度試験用容器の構造は,付図10を参考とするが,

主として胴管(加熱部分),上部ホルダ(圧力測定孔付き),下部ホルダ及び固定

ボルト等からなり,上部ホルダより圧力導管を介して火薬類試料が反応時に発生す

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る燃焼ガスによる圧力上昇を測定できる構造を有するものとする。感度試験用容器

における胴管の外径,胴管の厚さ,胴管の材質及び上部-底部フランジの外径は,

評価目的である火薬類試料により変化させることができるが,いずれの形状におい

ても静水圧 10MPa 以上の耐圧を有する構造とする。

5) 圧力センサ 圧力の測定には,最高圧力測定範囲 25~50MPa のピエゾ圧電素子型

圧力センサを用いるものとする。

6) 記録装置 圧力測定を行う計測器は,5μs 毎の測定間隔により,火薬類試料の反応

開始後 5ms まで計測できる能力を有する器材を用いるものとする。使用するビデオ

機材は,試験場所に適し,かつ,加熱器の点火の状況及び火薬類試料の反応状況を

詳細に観察できる能力を有するものとする。

7) 流量計 火薬類試料加熱中のプロパンガス流量の計測のため,0.01 l/min 単位まで

流量を計測できる能力を有するものを使用する。

b) 操作

1) 試験は付図11を参考とする試験配置によって行う。

2) 火薬類試験試料の測定に先立ち , 感度試験用容器に水等の基準物質を詰め, 感度試

験用容器内に挿入した熱電対等を用いて同一試験条件において単位時間あたりに火

薬類試料に与えられる正味の熱量の平均を測定し , 正味の熱量の平均値が 0.7KJ 以

上であることを確認する。

3) 感度試験用容器への火薬類試料の装填密度は,評価を目的とする弾薬と同一である

ものとする。

4) 感度試験用容器の密閉方法は,感度試験用容器固定ボルトを固定ナットでトルク約

0.1 N m で均等に締め付けることにより行うものとする。

5) 加熱器への点火は,まず,プロパンガスボンベのバルブを開放し,所定の流量でプ

ロパンガスを加熱器へ導入し,1分以上経過したのち点火装置の電圧を所定にまで

上昇させ加熱器を点火させる。

6) 加熱器の点火の確認は,ビデオ機材においてプロパンガス炎を確認することによっ

て行うが,ビデオ機材による確認が困難の場合は,付図11に示すように 200℃程

度で溶融する金属線を取り付けた電気回路の断線により判断する。

7) 点火開始後3分以上経過しても加熱器に点火しない場合は,プロパンガスボンベの

バルブを閉じ,点火装置の通電を中止し,火薬類試料周りの排気及び感度試験用容

器の温度が外気温度へ達するのを確認したのち,点火機,加熱器及びプロパンガス

配管を再度点検し点火を再開する。

8) 圧力の測定開始は , 火薬類試料が反応を開始し, 圧力が 0.5MPa 程度に達した時点か

ら 1ms 程度以前より測定を開始するものとする。

9) 圧力測定のほかにビデオ機材により , 火薬類試料への加熱開始から火薬類試料の反

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応終了までの感度試験用容器の変化を記録し , 耐熱試験反応時間を十分の1秒単

位で計測する。

c) 試験評価 火薬類耐熱性試験(容器破壊法)の評価は, 次による。

1) 反応容易性評価 ビデオ機材等による反応時間計測結果を基準火薬類の結果と比較

することにより火薬類試料の反応容易性を評価する。

2) 反応度評価 反応度評価は, 以下による。

2.1) 詳細評価法 付図12に示すような圧力センサにより得られた圧力‐時間データ

より , 最大圧力の 80%付近の圧力勾配を計算し基準火薬類における結果と比較す

ることにより評価を行うものとする。

2.2) 絶対評価法 回収した胴管の破砕状況及びビデオによる火薬類試料の反応状況よ

り火薬類試料の反応を表2に示す爆轟-部分爆轟-爆発-爆燃-燃焼の 5 段階に

分類し評価する。

6.4.2 火薬類耐熱試験法(破裂板法)

a) 装置及び器具

1) 加熱器 使用する加熱器は, 単位時間あたりの発生熱量 5kJ 以上のものが望ましい。

2) プロパンガス 試験に用いるプロパンガスは JIS K 2240 に基づき製造されたもの

を用いるものとする。

3) 点火装置 点火装置は,ニクロム線,可変抵抗器及び外部電源(100V)からなり,

使用するニクロム線は,加熱器より流出するプロパンガスを十分に点火できる熱量

を発生する能力を有するものを使用する。ニクロム線の周りには,点火を確実なも

のとするため,灯油等を染み込ませた布を巻きつけるものとする。

4) 感度試験用容器 試験に用いる感度試験用容器の構造は,付図13を参考とし,主

として胴管,ホルダ,鏡板(圧力測定孔付き),破裂板,押さえ座,シャー座から

なり,火薬類が所定の圧力を超えた場合,破裂板が破裂することによって内部圧力

が開放され,容器全体の破壊を防止できる構造を有するものとする。感度試験用容

器の外径,材質,胴管の厚さは,評価目的である火薬類試料により変化させること

ができるが,いずれの形状においても破裂板を除き,静水圧 150MPa 以上の耐圧を

有する構造とする。破裂板の破裂圧力は,評価目的である弾薬により変化させるこ

とができるが,破裂圧力 20 MPa 程度が望ましい。爆薬に対して本試験法を用い

る場合には,付図13に示すようにボス板により火薬類試料を差さえ,火薬類試料

と胴管とが接触しないようにする。

5) 圧力センサ 圧力の測定には,最高圧力測定範囲 25~50MPa のピエゾ圧電素子型

圧力センサを用いるものとする。

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6) 記録装置 圧力測定を行う計測器は,5μs 毎の測定間隔により,火薬類試料の反応

開始後 5ms まで計測できる能力を有する器材を用いるものとする。使用するビデオ

機材は,試験場所に適し,かつ,加熱器の点火の状況及び火薬類試料の反応状況を

詳細に観察できる能力を有するものとする。

7) 流量計 火薬類試料加熱中のプロパンガス流量の計測のため,0.01 l/min 単位まで

流量を計測できる能力を有するものを使用する。

b) 操 作

1) 試験は付図14を参考とする試験配置によって行う。

2) 火薬類試験試料の測定に先立ち , 感度試験用容器に水等の基準物質を詰め, 感度試

験用容器内に挿入した熱電対等を用いて同一試験条件において単位時間あたり火薬

類試料に与えられる正味の熱量の平均を測定し , 正味の熱量の平均値が 0.7KJ 以上

であることを確認する。

3) 感度試験用容器への火薬類試料の装填密度は,評価を目的とする弾薬と同一である

ものとする。

4) 感度試験用容器の密閉方法は,感度試験用容器固定ボルトを固定ナットでトルク約

0.1 N m で均等に締め付けることにより行うものとする。

5) 加熱器への点火は,まず,プロパンガスボンベのバルブを開放し,所定の流量でプ

ロパンガスを加熱器へ導入し,1分以上経過したのち点火装置の電圧を所定にまで

上昇させ加熱器を点火させる。

6) 加熱器の点火の確認は,ビデオ機材においてプロパンガス炎を確認することによっ

て行うが,ビデオ機材による確認が困難の場合は,付図11と同様に,200℃程度

で溶融する金属線を取り付けた電気回路の断線により判断する。

7) 点火開始後3分以上経過しても加熱器に点火しない場合は,プロパンガスボンベの

バルブを閉じ,点火装置の通電を中止し,火薬類試料周りの排気及び感度試験用容

器の温度が外気温度へ達するのを確認したのち,点火機,加熱器及びプロパンガス

配管を再度点検し点火を再開する。

8) 圧力の測定開始は , 火薬類試料が反応を開始し, 圧力が 0.5MPa 程度に達した時点か

ら 1ms 程度以前より測定を開始するものとする。

9) 圧力測定のほかにビデオ機材により , 火薬類試料への加熱開始から火薬類試料の反

応終了までの感度試験用容器の変化を記録し , 耐熱試験反応時間を 0.1 秒単位で計

測する。

c) 試験評価 火薬類耐熱性試験法(破裂板法)の評価は, 次による。

1) 反応容易性評価 ビデオ機材等による反応時間計測結果を基準火薬類の結果と比較

することにより火薬類試料の反応容易性を評価する。

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2) 反応度評価 付図15に示すように,圧力センサにより得られた圧力‐時間データ

より , 最大圧力の 80%付近の圧力勾配を計算し基準火薬類における結果と比較する

ことにより評価を行うものとする。

参考文書

MIL S 1382 Steel Plate Wrought Homogeneous for Ammunit ion Testing (1/2 to 12 inches incl.)

MIL STD 2105B Hazard Assessment Test for Non-Nuclear Munitions.

Recommendation on the Transport of Dangerous Goods Manual of Tests and Criteria, United

Nations.

15

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かなしき

ベース部

圧力ピックアップ

シリンダー部

雰囲気ガス流出部

ピストン部

安全弁

雰囲気ガス流入部

試料受座

Φ15

Φ76

8932

(単位:mm)

付 図 1 火 薬 類 落 つ い 感 度 試 験 用 容 器 の 構 造

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発光記録装置へ光検出器

圧力センサ

圧力記録装置へ

真空ポンプへ

雰囲気ガス流入

鉄つい

電磁石標尺

落つい感度試験容器

付 図 2 火 薬 類 落 つ い 感 度 試 験 の 試 験 配 置

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評価板

スペーサ

カードギャップ容器

伝爆薬

カードギャップ

シール材

火薬類試料

雷管ホルダー

雷管

(単位:mm)150±103.

2±0.

240

0±5

50±

1

48±24.0±0.1

付 図 3 火薬類カードギャップ試験法(国 連 規 格 法 )の 試 験 配 置

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評価板(鋼板もしくは鉛板)

カードギャップ容器

伝爆薬

カードギャップ

火薬類試料

6号電気雷管

雷管ホルダー

3.7±0.1

48.6±2.0

51±1

50±1

150±10

(単位:mm)

シール材(液体試料のみ)

シール材(液体試料のみ)

付 図 4 火薬類カードギャップ試験法(詳 細 評 価 法 )の 試 験 配 置

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20

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(単位:mm)

圧力センサ取付座

下部ホルダー

固定ボルト

上部ホルダー

胴管本体

丸金座

六角ナット

フィッテイング

銅座

Φ170Φ144

Φ106

Φ102117

158

断面 AA

付 図 5 感 度 試 験 用 容 器 (発 射 薬 銃 撃 感 度 試 験 用 )

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21

検速用スクリーン30 m

12.7mm試験銃

収納容器ピエゾ圧力センサー

堆土

4m試験試料

(B) 試験配置 (側面)

圧力計測装置へ

ビデオカメラ

(A) 試験配置 (上面)

付 図 6 発 射 薬 銃 撃 感 度 試 験 配 置 図

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22

時間 (ms)

圧力

(M

Pa)

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

圧力の積分値

最大圧力

付 図 7 発 射 薬 銃 撃 感 度 試 験 詳 細 評 価 法 に お け る 計 測 項 目

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23

(単位:mm)

200.

0

217.

2

18.0

18.06.0 6.0

125.0114.3

胴管

断面AA

付 図 8 感 度 試 験 用 容 器 (爆 薬 銃 撃 感 度 試 験 )

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24

K 4826

検速用スクリーン30 m

12.7mm試験銃

収納容器

堆土

4m試験試料

(B) 試験配置 (側面)

ビデオカメラ

(A) 試験配置 (上面)

付 図 9 爆 薬 銃 撃 感 度 試 験 法 配 置 図

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K 4826

25

(単位:mm)

固定ボルト

下部ホルダー

上部ホルダー

丸金座

六角ナット

フィッテイング

銅座

圧力センサ取付座

導管

117

158

Φ106

Φ102

胴管本体

Φ170

断面 AA

付 図 10 感 度 試 験 用 容 器 (火 薬 類 耐 熱 試 験 法 (容 器 破 砕 法 )用 )

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26

K 4826

(A) 試験配置 (上面)

(C) 試験配置 (側面)

プロパンガス容器

流量計

プロパンガスバーナー交流電源

点火用ニクロム線

感度試験用容器圧力センサ

計測器材へ

抵抗器

ビデオモニタ

点火用ニクロム線

点火確認用金属線

プロパンガスバーナ

(B) 加熱機付近

付 図 11 火 薬 類 耐 熱 試 験 法 (容 器 破 砕 法 )配 置 図

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K 4826

27

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

-10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0

時間 (ms)

圧力

(MPa

)

最大圧力

圧力勾配最大圧力の80%

付図 12 火薬類耐熱性試験(容器破砕法) 詳細評価法における計測項目

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28

K 4826

Φ20

Φ10

フィッティング

鏡板

ボス板

胴管

ボス板

シャー座

シール材

ホルダ

破裂板

押さえ座

O-リング

Φ40Φ50Φ70

Φ25

20

130

5525

110

M10M60xP1.5-2

M60xP1.5-2

M44xP1.5-2

14

断面 AA

(単位:mm)

火薬類試料(爆薬の場合)

付 図 13 感 度 試 験 用 容 器 (火 薬 類 耐 熱 試 験 法 (破 裂 板 法 )用 )

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K 4826

29

(A) 試験配置 (上面)

(B) 試験配置 (側面)

プロパンガス容器

流量計

プロパンガスバーナー

交流電源

点火用ニクロム線

堆土

感度試験用容器 圧力センサ

計測器材へ

抵抗器

ビデオモニタ

付 図 14 火 薬 類 耐 熱 試 験 法 (破 裂 板 法 )配 置 図

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K 4826

30

圧力

(M

Pa)

時間 (ms)

最大圧力の80%最大圧力

圧力勾配

0

2

4

6

8

10

12

14

-50 0 50 100 150

付 図 15 火 薬 類 耐 熱 性 試 験 (破 裂 板 法 ) 詳 細 評 価 法 に お け る 計 測 項 目

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解1

NDS K 4826

火薬類安全性試験方法 解説

この解説は,本体に規定した事項,並びにこれらに関連した事項を説明するもの

で,規格の一部ではない。

1. 制定の趣旨及び経緯 この規格は,弾薬に含まれる火薬類の安全性の評価に関

する試験方法,試験結果の解析方法及び評価方法について規定したものであり,そ

れぞれの火薬類の評価基準を定めるものではない。本規格において定義する安全性

とは防衛庁が,使用する各種弾薬に含まれる火薬類の火災等の不慮の事故における

暴発及び誘爆の度合い及び戦闘状態において弾薬を搭載する車両等の被弾による自

己弾薬の誘爆の度合いをいう。

本規格と類似する国内外の規格に関しては,日本工業規格,国連規格及び米軍規

格等が定められている。しかしながら,日本工業規格は,火薬類の取扱時における

危険性を簡便に評価する方法であり,また,国連規格は,火薬類を民間の船舶等で

輸送する場合の危険性の評価方法であるため,戦闘状態における安全性を考慮して

いない。したがって,日本工業規格及び国連規格をもって,防衛庁の意図する安全

性を評価することができない。現在まで,我が国における火薬類の安全性評価は,

米軍規格を準用することにより行われてきた経緯がある。しかしながら,最近民間

の火薬類保管施設における自然発火等による爆発事故の事例から,被弾及び貯蔵中

の事故の被害を最小限に防止させるため,火薬類の安全性に関する詳細な評価が重

要視されているが,米軍規格は,安全性の差を詳細かつ定量的に評価することが困

難であるため,新たな火薬類安全性評価法に関する規格の制定が必要となった。

本規格の作成に当たっては,昭和 63 年度以降における防衛庁技術研究本部第 1

研究所弾薬第 4 研究室における火薬類の安全性評価法に関する研究成果を踏まえ,

規格を作成した。

2. 適用範囲 この規格は,自衛隊が使用する弾薬に含まれる発射薬及び爆薬の安

全性を詳細かつ定量的な評価を必要とする場合に用いる。使用例としては,貯蔵中

の火薬類の劣化に伴う安全性変化の詳細な評価及び研究開発における火薬類の高性

能・高安全化の要求性能確認における安全性の詳細な評価を必要とする場合が想定

される。

3. 試験の種類・目的及び参考データ 火薬類の安全性に関する評価方法は,外部

から火薬類に与えられる刺激の種類により,衝撃に対する評価方法,熱に対する評

価方法,及び衝撃と熱が同時に与えられた場合に対する評価方法に分類される。本

規格原案作成に当たっては,衝撃に対する評価法としてカードギャップ試験法を選

定し,熱に対する評価方法として耐熱性試験法(クックオフ試験法)を選定した。

また,衝撃と熱が同時に与えられた場合に対する評価方法として落つい感度試験法

及び銃撃感度試験法を選定し規格を作成した。

3 1

K 4 8 2 6

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解2

3.1 落つい感度試験法 落つい感度試験法は,日本工業規格においても規定されて

いる。しかしながら,日本工業規格での評価は,火薬類試料の反応の判定を円筒こ

ろ上に残る爆痕及び反応時の音で判定することとなっており,試験者の主観にたよ

ることが多く,異なる試験者によって判定が異なる可能性が高い。また,落高を 5

~50cm の間での 5~10cm 間隔において等級( I~ V 級)により評価しているため,安

全性の高い火薬類では,同じ等級として判定される場合が多く,安全性の微妙な差

を評価することが困難である。本規格では,火薬類試料の微妙な安全性差も評価可

能とするため,火薬類試料の反応を定量的であり,感度及び応答性能の高い圧力セ

ンサー及び光センサーを用いて評価することとした。解説付図1に HMX を用いた場

合の圧力-時間曲線及び発光強度―時間曲線を示す。

3.2 カードギャップ試験法 カードギャップ試験法は,主に爆薬の衝撃感度を評価する手段として,広く用いられている試験方法である。しかしながら,カー

ドギャップ試験法は,国連規格,火薬学会規格等種々の試験方法が考案されてい

るが,日本工業規格及び防衛庁規格において,対応する試験方法は,記述されて

いない。したがって,本規格においては,火薬類の国外への輸送に伴う安全管理

データの取得の観点から,危険物の輸送に関する国連規格におけるカードギャッ

プ試験法(国連規格法)を防衛庁規格として採用することとした。また,危険物

輸送に関する国連規格の他に,防衛庁(技術研究本部第 1 研究所第 1 部弾薬第 4研究室)において,爆薬及び発射薬の強い衝撃に対する反応を評価する手段とし

て用いてきたカードギャップ試験法(詳細比較法)についても合わせて採用する

こととした。

3.2.1 カードギャップ試験法(国連規格法) カードギャップ試験法(国連規格

法)は,危険物輸送に関する国連規格より対応するカードギャップ試験法に関す

る記述を抜粋したものである。危険物輸送に関する国連規格を抜粋した理由とし

ては,現在海外における火薬類の試験を行う事例が増加しており,火薬類を国外へ輸送するに当たって,輸送荷受業者等及び試験を行う国における関係政府機関

より上記国連規格に基づく火薬類の安全性に関するデータの提出が求められて

いる。しかしながら,上記国連規格による試験方法を記述したものが国内の規格

として存在しないため,今回,カードギャップ試験法に関する国連規格を本規格

におけるカードギャップ試験法(国連規格法)として記述し,今後の火薬類の国

外輸送に対する安全性データの取得を容易なものとすることとした。本試験方法

の実施上の問題点は,使用するカードギャップ容器の直径が,日本工業規格品外であり,また,伝爆薬の密度が国内製造品の実績と異なるため,試験を忠実に実

施するためには,特別に注文したカードギャップ容器及伝爆薬を用いる必要があ

ることである。規定外のカードギャップ試験容器及び伝爆薬を用いて試験を実施

する場合,試験の立会者である国際機関関係者及び試験を行う国の政府機関関係

者の事前承諾が必要であろう。

3.2.2 カードギャップ試験法(詳細比較法) カードギャップ試験法(詳細比較

法)は,防衛庁(技術研究本部第 1 研究所第 1 部弾薬第 4 研究室)において,爆薬及び発射薬の安全性向上のため用いてきた試験方法である。カードギャップ試

3 2

K 4 8 2 6

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解3

験法(詳細比較法)の主な特徴は,カードギャップ試験法(国連規格法)に比べ,

カードギャップの長さをポリメチルメタクリレート樹脂棒の切り出しにより調

整でき,3 回爆点のカードギャップ長さを求めることである。カードギャップを

ポリメチルメタクリレート樹脂棒の切り出しとした理由は,厚さ一定のポリメタクリレート樹脂板を重ね合わせて試験を行った場合,樹脂板間で衝撃波の反射が

起こるため,火薬類試料に与える衝撃波が複雑なものとなるのを防ぐためである。

また,本試験方法においては,カードギャップ試験容器の直径及び伝爆薬の密度

を国内において入手可能なものとし,これら器材を入手する際の難点を解消して

いる。

火薬類試料の強い衝撃に対する反応は,火薬類試料の成分,組成及び形状に多

きく依存する。例えば,爆薬のカードギャップ試験法は,SS400 鋼板により,爆・

不爆を判定することができるが,安全性を向上した発射薬においては,SS400 鋼板では,すべて不爆と判定され,試料間の強い衝撃に対する反応の差異を評価す

ることができない。従って,本試験方法では安全性の高い火薬類試料の強い衝撃

に対する反応の差異を評価するため,鋼板の代わりに鉛板を用いて,不爆となっ

た場合においても,鉛板上に残る孔の体積を測定することにより詳細に評価する

試験方法についても記述した。本試験方法を用いた研究例としては,防衛庁(技

術研究本部第 1 研究所第 1 部弾薬第 4 研究室)において,本試験結果と火薬類銃

撃感度試験結果との相関に関する詳細な研究成果がある。 3.3 火薬類銃撃感度試験法 銃撃感度試験は,火薬類の銃撃に対する応答を評

価する上で重要であり,戦時における火薬類の銃撃による被弾状況を忠実に再現

するものである。国内における銃撃感度試験法に関する規格は,火薬学会規格に

おいて規定しているが,火薬学会規格における銃撃感度は,先端が平坦な平頭弾

を低速で火薬類試料に衝突させたときの反応について記述しており,低速での破

片衝撃を再現したものである。銃撃感度法と破片衝撃感度法との主な違いは,銃

撃感度試験法は,一定形状及び回転速度の弾丸が,火薬類試料を収納した感度試験用容器を貫通する際の火薬類試料の反応を評価するのに対し,破片衝撃感度試

験法は,砲弾の破裂及び自己鍛造弾(SFF: Self Forming Fragment)等,形状及

び回転が一定でない破片が高速(1300~2500m/s)で火薬類試料に衝突する際の

反応を評価するものである。弾丸が一定回転速度を持つ場合の火薬類試料の反応

機構に関する研究は,防衛庁技術研究本部において報告されている。破片衝撃感

度試験法は,米軍規格 3 )において規定されているが,我が国において使用する火

薬類に対する試験方法については,未だ研究段階にあり 1 3 ),今後の本規格を改正する際に追加すべき試験方法である。本規格で規定する銃撃感度試験法は,火

薬類試料自身の反応を評価するため,防衛庁技術研究本部において試験方法に関

する研究の成果に基づき米軍規格を改良した試験方法について記述している。本

規格で規定する試験方法は,主として用いる火薬類試料の形状により,発射薬銃

撃感度試験法及び爆薬銃撃感度試験法に分類し規定した。 発射薬に代表される

小塊状の火薬類に対しては,発射薬銃撃感度試験法を用い,爆薬に代表される容

器内に充填される火薬類に対しては,爆薬銃撃感度試験法を用いるべきである。

試験に用いる試験銃の口径は,米軍規格と同じ 12.7mm とした。12.7mm を用いる理由は,火薬類試料に対する試験銃の口径との関係を調査した結果,12.7mm の

3 3

K 4 8 2 6

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解4

口径で火薬類試料の反応がほぼ一定となる研究成果による。

3.3.1 発射薬銃撃感度試験法 本試験方法は,発射薬等火薬類試料が形状を規

定されたグレイン(小塊)で火薬類に使用される場合に用いる試験方法である。本試験方法は,後述する爆薬用銃撃感度試験法と異なり,感度試験用容器内に火

薬類試料を充填させた場合においても火薬類試料間に空隙が残るため,爆薬のよ

うな容器内に均一に充填された場合の火薬類試料と異なり,解説付図2に示すよ

うに火薬類試料が,爆発等の反応にいたるまでに複雑な着火現象を引き起こすこ

とがわかっている。発射薬の銃撃感度に及ぼす因子に関する研究は参考文献を参

照されたい。また,本試験方法は,火薬類試料グレイン間の空隙を抜け出る燃焼

ガスを圧力センサにより,圧力上昇の時間変化を計測し,最大圧力および圧力の

積分値を比較することにより,後述する爆薬銃撃感度試験法に比べ,より詳細で,かつ,定量的な評価を可能としている。

3.3.2 爆薬銃撃感度試験法 爆薬銃撃感度試験法は,発射薬銃撃感度試験法と

異なり,弾頭用及び砲弾用爆薬等,火薬類試料が内部に均一に充填される場合の

銃撃に対する火薬類試料の反応を評価するために用いることができる。爆薬の銃

撃による応答機構は,発射薬の銃撃に対する応答機構と異なり,弾丸の感度試験

用容器への衝突時発生する衝撃波による殉爆反応,衝撃波が火薬類試料中を伝播する際生ずる衝撃波の干渉によって引き起こされる遅延爆轟反応及び弾丸が感

度試験用容器を貫通し,容器外へ出る際生じる熱破片が支配的である。爆薬銃撃

感度試験法は,容器内に火薬類試料が均一に充填されているため,発射薬銃撃感

度試験法において用いた火薬類試料の着火後生じ燃焼ガス圧力変化を計測する

ことが不可能なため,米軍規格に基づく反応の評価のみ行うこととした。

3.4 火薬類耐熱試験法 本規格において規定する耐熱試験法とは,火災などに

より火薬類に急激に高温にさらされた場合における火薬類の反応を評価するものであり,米軍規格 においては,ファーストクックオフ試験法として規定され

ている。本試験方法と米軍規格と異なる点は,加熱元に使用する燃料として米軍

規格が航空燃料を用いているのに対し,本試験方法においては,プロパンガスを

用いていることにある。航空燃料を用いた試験は,実際の航空母艦内等で起こり

うる火災を忠実に再現した試験方法といえる。しかしながら,航空燃料を加熱元

に使用する燃料とした場合,拡散炎により感度試験用容器に熱エネルギーを与え

ることなり,感度試験用容器に与える熱量を計測することができない。一方,本規格において使用するプロパンガスによる加熱は予混合炎であり,火薬類の反応

までに要したプロパンガス量を計測することにより感度試験用容器に与えた熱

量を計算することができるためより定量的な評価を可能としている。本試験方法

においては,火薬類の耐熱性を評価する手段として,火薬類試料が加熱開始後か

ら反応開始まで至る時間(反応容易性)及び火薬類試料が反応した場合の激しさ

(反応度)に分類し評価する方法について記述した。反応容易性は,火災が発生

した後人員が安全な距離まで待避できるか否かを判定する尺度であり,反応度は,

火災が発生し火薬類が反応した場合における周囲の火薬類への誘爆の危険性を判断する尺度となる。反応容易性及び反応度のどちらを優先とするかは,評価す

3 4

K 4 8 2 6

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解5

る火薬類の使用条件に依存するであろう。 最近の弾頭用爆薬として用いられている PBX(Plastic Bonded Explosives:

高性能爆薬)は,爆薬の主剤として高融点エネルギー物質である HMX を用いてい

るため,従来爆薬である TNT-RDX 系のものに比べ,加熱開始後反応に至るまで

の時間がかかり,耐熱試験法における反応容易性は低い。しかしながら,HMX 系

の高性能爆薬は,TNT-RDX 系爆薬に比べ爆速が高いため,高い反応度を示すこ

とがわかっている。

3.4.1 火薬類耐熱試験法(容器破砕法) 火薬類耐熱試験法(容器破砕法)は,

発射薬銃撃感度試験法で用いた感度試験用容器と類似する容器を用いて火薬類

試料の耐熱性を評価する試験方法である。発射薬銃撃感度試験法における感度試

験用容器との違いは,銃撃感度試験法では,弾丸の貫通を阻害しないために胴管

部分を4本のボルトでフランジへ固定するのに対し,耐熱試験法(容器破砕法)

は,感度試験用容器へプロパンガス予混合炎からの熱エネルギーをより多く与え

るため,胴管部分を3本のボルトでフランジへ固定している。

本試験方法の利点としては,反応度の評価において,圧力センサーにより計測した火薬類試料反応時の圧力上昇の時間変化及び感度試験用容器の破砕状況の

両方からの評価が可能なことである。

本試験方法は,主として発射薬等形状を規定されたグレイン(小塊)で火薬類

に使用される火薬類試料の耐熱性を評価する試験方法である。爆薬等,容器内に

均一に充填される火薬類試料に対しては,感度試験用容器内の火薬類試料の着火

点からの燃焼ガスの圧力上昇を計測することが困難なため,火薬類耐熱性試験法

(破裂板法)を用いるべきである。 本試験方法は,火薬類耐熱性試験法(破裂板試験法)に比べ試験器材の構造が

単純なため,多くの火薬類試料量を必要とする場合においても容易に適用が可能

である利点を有する。

本試験方法を用いた研究例としては,防衛庁(技術研究本部第 1 研究所第 1

部弾薬第 4 研究室)において,本試験結果と燃焼試験等の結果との相関に関する

詳細な研究成果がある。

3.4.2 火薬類耐熱試験法(破裂板法) 火薬類耐熱試験法(破裂板法)は,火薬類試料の反応時の圧力上昇により,感度試験用容器が破砕する前に,感度試験

用容器に取り付けた破裂板を破裂させることにより,容器内の圧力を開放し,感

度試験用容器の破砕を防ぎ,感度試験用容器の大部分を再使用可能とする試験方

法である。

本試験方法は,主として発射薬等形状を規定されたグレイン(小塊)で火薬類

に使用される火薬類試料及び爆薬等容器内に均一に充填される火薬類試料の両

方に対して評価可能な試験方法である。ただし,容器内に均一に充填される火薬類試料に対しては,規格本文及び付図13に示したように感度試験容器内のボス

板により火薬類試料を支え,感度試験用容器側壁と火薬類試料が接触しないよう

にする必要がある。

本試験方法は,火薬類耐熱試験法(容器破砕法)に比べ,器材の大半が再利用

可能であるが,感度試験用容器を架台に対し片持で支持するため,構造上多くの

3 5

K 4 8 2 6

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解6

火薬類試料量を必要とする試験の場合には,架台の強度計算を入念に行う必要がある。

本試験方法を用いた研究例としては,防衛庁(技術研究本部第 1 研究所第 1

部弾薬第 4 研究室)において,本試験を用いて高性能で高安全性を有する発射薬

の耐熱性評価を行い,所要の成果を得ている。

4 . 参 考 文 献

1 ) JIS K 4810 火薬類性能試験方法

2) Recommendation on the Transport of Dangerous Goods, Manual of Tests and Criteria, United Nations

3 ) MIL STD 2105B Hazard Assessment Tests for Non-Nuclear Munitions

4) 八木聖一郎,“圧力検出器を用いた落槌感度試験の研究”,防衛大学校 材

料専門・火薬及び爆薬系列 第 31 期修士論文,平成 6 年 3 月

5) Suzuki, Y., “Dropweight Impact Ignition of Energetic Materials

Monitored by Pressure and Light in an Impact Chamber”, Proceedings of Twenty-eight Annual Conference of ICT ”, Fraunfofer Institute of Chemische Technologies, Kalsruhe, FRG, pp.51, 1997.

6 ) 火薬学会編,“火薬学会規格(IV)(感度試験方法)”,(社)火薬学会,1995

7) 小林松男,“火薬類のデータ解析研究(第 1 報)”,防衛庁技術研究本部技

報第 5392 号,昭和 63 年 9 月

8) 小林松男,勝田武,“火薬類のデータ解析研究(第 2 報)”,防衛庁技術研

究本部技報第 5459 号,平成元年 2 月

9) 小林松男,“高性能LOVA爆薬のカードギャップ感度と銃撃感度に関す

る研究”,防衛庁技術研究本部技報第 5775 号,平成 2 年 7 月 10) 小浦常生,木村潤一,“高性能LOVA爆薬の経年変化”,防衛庁技術研

究本部技報第 6563 号,平成 7 年 3 月

11) 丸山淳,木村潤一,“LOVA候補発射薬の経年変化”,防衛庁技術研究

本部技報第 6698 号,平成 11 年 9 月

3 6 .

K 4 8 2 6