13
Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level 第Ⅰ部 地域レベルのバイオマス利活用の診断モデル

Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

DiagnosisModelofBiomassUseatRegionalLevel

第Ⅰ部地域レベルのバイオマス利活用の診断モデル

Page 2: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

本章では,1~数市町村で構成される「地区」を対象として,地区内に存在するバイオマスをマテリアル・フローの観点から診断するモデルの概要を紹介し,実際に作成する際の手順や必要なデータについて解説する。

8

1.モデル開発のコンセプト

(1)開発に当たって

バイオマス(Biomass)は,そもそも生物による

大気圏・水圏・土壌圏に広く分散して存在している

物質の,集積・改質・合成という営みによってつく

られる。植物は,光と水と二酸化炭素(CO2)を用

いた光合成によって有機物を生産する。根粒菌は,

空中窒素(N)を固定する。これらの食物連鎖を通

して,物質の集積が進む。死滅した生物は,土壌微

生物が分解し,植物が養分として吸収できるように

する。物質の移動量として,人為によるものが圧倒

的に多いとしても,それは局所的で特定物質に限ら

れたものであり,種の存続や生態系保全に欠かせな

い広範な物質移動は,自然界の生物のみが担える機

能である。

本書では,「バイオマス」をバイオマス・ニッポ

ン総合戦略1)による「再生可能な,生物由来の有機

性資源で化石資源を除いたもの」と定義する。この

定義は,人間による利用に力点をおいたものといえ

る。具体的には,家畜ふん尿・食品廃棄物・生活系

廃水汚泥・農作物非食用部・林地残材・資源作物な

どをバイオマスと呼ぶ。これらは,ポテンシャルと

してのバイオマス資源と理解すべきである。人間が

介在したバイオマスは,収集・変換(再資源化)し

て実用上の価値が生じ,資源と呼べる状態になる。

「バイオマス資源循環利用診断モデル」(以下,

「モデル」と記す)は,地区をマテリアル・フロー

の観点から診断し2),バイオマス利活用に係わる構

想立案やマスタープラン作成の際に有効利用される

ことを目的として開発したものである3)4)。モデル

開発に当たっては,松本の研究5)を基本的な考え方

としている。

モデル開発の前提となるバイオマス利活用のイメ

ージを図Ⅰ-1に示す。バイオマスの発生パターンは

実に多様であり,一部は発生場所で循環利用される。

これらのバイオマスは,飼料・コンポスト・液肥

(メタン発酵消化液)・炭・エネルギーなどに変換

されて利活用されたり,焼却・埋め立て処理された

りする。変換は,いわゆる廃棄物処理の側面が強い

ものと,新たなマテリアル・エネルギー生産の側面

が強いものに大別される。個別の変換技術について

は,堆肥化・メタン発酵・炭化などの従来技術が,

需要者ニーズに合うように改良されるとともに,各

種の新しい技術が開発され実証試験が始まってい

る。しかしながら,原料としてのバイオマスの供給

と再生資源の需要は,多くの地区でバランスがとれ

ておらず,時期的にも一致しないことから,再生資

源の貯蔵が必要とされている。

第Ⅰ部/地域レベルのバイオマス利活用の診断モデル

バイオマス資源循環利用診断モデルの概要

第1章

変換施設

適正処理

廃棄物系バイオマス

未利用バイオマス 資源作物

耕種農業 畜 産

メタン発酵

エタノール発酵 炭 化

飼料化

燃 焼

堆肥化

供給

貯蔵

利用

変換(再資源化)

発生・生産

産業活動 人間生活

農業生産資材,工業原料 電気,熱,自動車燃料 バイオマス由来材料

【図Ⅰー1】バイオマス利活用のイメージ

【1-1】モデル開発のコンセプトと基本構造

Page 3: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

9

(2)コンセプト

モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。

【開発理念】

地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

す。バイオマス資源の循環を促進させることにより,

持続的農業のために必要な健全な土づくり(有機物

の確保)と農地・畜産施設からの流出負荷軽減を目

指す。

【ユーザー】

市町村,都道府県,広域行政組合,農業改良セン

ター,農業研究センター,土地改良調査管理事務所,

水土里ネット,農業団体等の担当者。

【対象地区】

1~数市町村からなる任意の空間。

【対象とするバイオマス】

畜産ふん尿,農作物生産残さ,食品加工・流通残

さ,林・水産廃棄物,生ごみ,生活系廃水汚泥,資

源作物など主として農村で発生し,再生資源への変

換が可能な有機性資源全般。

【評価物質および要素】

窒素(N),リン(P),カリウム(K),炭素

(C),生重量。

【特徴】◎基本空間単位は「市町村」,解析時間単位は「月」とする。

◎農地,畜産等施設,水域,人間の居住空間,食品加工・マーケット,変換(再資源化)施設などを基本コンパートメントとして設定する。

◎バイオマス変換施設の規模・配置・機能分担を検討できるようにする。

◎統計データを最大限に活用する。◎原単位・窒素量換算係数などのデフォルト値を参考にしながら,地区にあった数値を入力できるようにする。

◎入力した数値の出所・根拠を記録に残すようにする。◎フロー図をビジュアルに表示する。◎任意のコンパートメントをカテゴリー化して結果を表示できるようにする。

◎年単位および月ごとに各コンパートメントの流入量・流出量・収支をグラフ表示できるようにするようにする。

◎特殊なフロー計算には関数を与える。◎入力データなどの精度・信頼度を表示する。

【使用する市販ソフトウエア,

利用マニュアルおよび講習】◎マイクロソフトEXCELおよびVISIO(フローチャート作成ソフト)を連動させて用いる。

◎データの効率的な入手・入力方法,基本コンパートメントやフローの構成の変更方法,解析結果の見方を含む利用マニュアル6)を準備する。

◎ユーザーが事例地区での解析結果の入ったモデルのサンプル版とマニュアルを用い,2~3日間程度の操作実習講習を通して自らの地区を一次診断できるようにする。

解析時間単位は,流入・流出または供給・需要の時

期的な変化を明らかにし,バイオマス変換施設にお

ける必要貯蔵量が計算できるよう「月」とした。評

価項目として「生重量」を入れているのは,輸送問

題を扱えるようにするためである。モデルは,「市

町村」を単位とする既存の統計データと解析ソフト

(プログラム)に入れている各種のデフォルト値や

データベースを活用して作成していく。対象とする

空間レベルは,実際にバイオマス利活用が機能する

場であると考え,1~数市町村で構成される任意の

空間とし,モデルでは「地区」と呼んでいる。解析

ソフトのサンプル版とする事例地区として,畜産を

中心とした地区・生ごみの再資源化が進んでいる地

区など,特徴のある地区を準備した。これにより,

モデルのユーザーは,自らの対象地区に近い特徴を

もつ事例地区での結果を活用して,効率的にモデル

の作成作業を進めることができる。サンプル版とし

て用意した事例地区は,つぎの5地区のものである。

【山形県長井市】

生ごみの堆肥化と有機農産物の地産地消を通して

「まち」づくりを推進している。

【茨城県つくば市】

標準的な農村。新エネルギー特区構想に取り組ん

でいる。

【千葉県干潟町】

地区水田の有効利用を目指した稲ホールクロッ

プ・サイレージに取り組んでいる。

【熊本県山鹿市(旧鹿本町区域)】

メタン発酵施設と堆肥製造施設を整備するバイオ

マス利活用フロンティア事業を実施している。

【宮崎県都城盆地地区(都城市,三股町,山之口町,

高城町,山田町,高崎町)】

家畜排せつ物の適切な管理を進めるとともに,そ

の有効活用方策を検討している。

(3)モデル開発機関

モデル開発は,農業工学研究所地域資源部資源循

環研究室が中心となり,各々の分野の専門家集団で

ある以下の機関が役割分担した。

第Ⅰ部

第Ⅱ部

第Ⅲ部

第Ⅳ部

第Ⅴ部

付属資料

Page 4: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

第Ⅰ部/地域レベルのバイオマス利活用の診断モデル

10

◎農業工学研究所資源循環研究室:基本構造の設計,全体総括,人間の居住空間・変換(再資源化)施設・水域・大気に係わる取り扱いなど下記機関が分担しない部分全般

◎農業工学研究所畑整備研究室:農地での動態◎畜産草地研究所草地資源評価研究室,物質動態研究室,畜産環境システム研究室:畜産系バイオマス

◎森林総合研究所木材乾燥研究室:木質系バイオマス◎食品総合研究所流通工学研究室:食品系バイオマス◎中央水産研究所流通システム研究室:水産物系バイオマス

◎中央農業総合研究センターモデル開発チーム:入手困難なデータのマイニング,情報の統合

◎日本水土総合研究所:提供を受けた情報の整理,解析ソフト操作機能の整備,包括的現地調査,講習会開催

2.モデルの基本構造

(1)モデルの基本構造

モデルの基本構造は,図Ⅰ-2のように設計した。

モデルは,発生・生産量,フロー量(移動量),バ

ランス量(流入量と流出量の差で“blc”と表記),

および賦存量(“fix”と表記)で構成している。賦

存量は初期値として与える量である。賦存量とバラ

ンス量の和が,計算結果として得られるストック量

(現存量)となる。定常状態になり,バランス量が

ゼロになると,賦存量とストック量は一致すること

になる。地区のなかでストックが生じる農地,畜産

施設,森林・林業・製材所,人間の居住空間,食品

加工・マーケット,変換施設,水域などは「コンパ

ートメント」と呼ぶ。発生・生産量やフロー量は,

基本的に原単位と統計データ等によるフレーム値の

積として求める。たとえば,1日当たりの1家畜当

たりのふん尿量が原単位で,頭羽数がフレーム値と

なる。ただし,統計データがない場合は計算により

求める。フロー量は,出荷量または消費量であり,

主に需要側からの量で決定する。需要量の統計がな

い場合は,生産量をフロー量とする。期別(月また

は年)のバランス量は,流入・搬入量(“in”と表記)

と流出・搬出量(“out”と表記)の収支結果を示し

ている。

(2)標準フロー図とデフォルトデータ

図Ⅰ-2の基本構造をベースとし,バイオマスの

変換施設や汚水処理施設を組み込んだモデルの標準

フロー図を図Ⅰ-3に示す。また,フロー量の計算

方法の概要および計算を容易にするためのデフォル

トデータの整備状況を表Ⅰ-1に示す。木質系バイ

オマスおよび食品系バイオマスについては取り扱い

が簡易なものになっていることから,これらの影響

が大きい地区においては,それぞれ第5章・第6章

の情報をもとに,精微化をはかっていく必要がある。

10

点 源 系

内部循環

水田 畑 水質変化

畜産等

農地 水域 山林 公園 街路

変換 施設

食品工場 ・マーケット

人間の 居住空間

NO3N 増減評価

化 学 肥 料 堆 肥

窒 素 固 定 灌 漑 脱 窒 出 荷 ・ 廃 棄 (地区外)

降 雨 流 出 + 人 間

( 地 下 水 )

流 出 ・ 蒸 発 ・ 流 入 出 荷 ・ 排 出 溶 脱 ・ 流 出 食 品 購 入 下 水 ・ 生 ご み の 活 動 に ともな う 負 荷

灌 漑

自 消

食 品 加 工 工 場 レ ス ト ラ ン スーパーマーケット 小 売 店

廃 棄

堆 肥 化 エ ネ ル ギ ー 化 施 設 林 産 加 工 施 設 ご み 処 理 集 落 排 水 処 理 施 設 下 水 処 理 場 ・ し 尿 処 理 場

受 入 ・ 流 入 食 品 ・ 原 料 品 食 品 販 売 ・ 廃 棄 排 出 ・ 出 荷 ・ 廃 棄 エ ネ ル ギ ー 利 用 飼 料 畜 産 品 等 出 荷 廃 棄

< 畜 産 等 > 牛 豚 鶏 水 産 養 殖

飼 料

廃 棄 賦存量と 増減評価

賦存量と 増減評価

面 源 系

降 雨 負 荷

賦存量と 増減評価

( 生 ご み , 生 活 廃 水 , し 尿 の 発 生 場 所 )

排出

排出 産地

産地

資材

廃棄

下水・生ごみ

食品販売・購入

水産物

農地還元

農地還元

副産物・副資材

副資材・廃棄

飼料

(地区外) (地区外) (地区外) (地区外) (地区外) (地区外) (地区外) (地区外)

施設

施 設

(地区外) (地区外) (地区外) (地区外) (地区外) (地区外) (地区外)

【図Ⅰー2】モデルの基本構造

Page 5: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

1111

【図Ⅰー3】モデルの標準フロー図

第Ⅰ部

第Ⅱ部

第Ⅲ部

第Ⅳ部

第Ⅴ部

付属資料

Page 6: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

第Ⅰ部/地域レベルのバイオマス利活用の診断モデル

12

食材(地区外出荷) 農地 農地 地区外 耕種農業収穫量から農家の自給消費量を 差し引く。

収穫量は作目ごとの統計値

畜産食材自家利用 家畜 畜産施設 (家畜)

人間 農家の自給消費量を農家へのアンケートデータより求める。

アンケートデータは県単位

ふん尿地区外販売交換 家畜 地区外 同上 同上

ふん尿堆肥化施設利用 家畜 堆肥化施設 堆肥化施設を計画する場合に,施設用と廃棄に分ける。

ふん尿廃棄量 家畜 廃棄 廃棄ふん尿総量から尿汚水処理量を差し引く。 廃棄ふん尿総量=総ふん尿量×廃棄ふん尿率

総ふん尿量は全国値 廃棄ふん尿率は県単位アンケートデータの参照も可能

尿汚水処理量 家畜 尿汚水 処理施設

総ふん尿量×尿汚水分離率×処理率 総ふん尿量は全国値 尿汚水分離率は県単位アンケートデータの参照も可能

購入飼料敷料 地区外 家畜 購入飼料敷料は地区外から購入することとした。 購入飼料敷料は地区外から購入とする

家畜からのガス発生 家畜 揮散 頭羽数×単位排出量 呼吸・げっぷ・屁による

畜産食材地区外販売 家畜 地区外 畜種別に畜産物生産量を算出し自家利用分を差し引く。生産量=頭羽数×単位当たり生産量

単位当たり生産量は全国統計

食材(農家自給分) 農地 人間 農家の自給消費量を農家へのアンケートデータより求める。人口×単位自給消費量

アンケートデータは県単位

自給飼料敷料 農地 家畜 畜産農家の消費量から求める。家畜頭羽数×単位自給消費量。飼料作物・稲わら・麦わらなど。

単位自給消費量は県単位 アンケートデータの参照も可能

飼料敷料(地区外出荷) 農地 地区外 牧草地,飼料畑の収穫量から自家利用分を 差し引く。

収穫量は作目ごとの統計値

農地からのガス発生 農地 揮散 農地面積×作物別脱窒率など。 ガス発生率は別途計算

農地からの浸透・溶脱 農地 溶脱 農地面積×作物別浸透・溶脱率 浸透・溶脱率は別途計算

購入堆肥施用 地区外肥料 農地 農地面積×作物別単位施肥量 施肥量は県単位のアンケートデータも参照可能

化学肥料施用 地区外肥料 農地 農地面積×作物別単位施肥量 施肥量は県等の営農指導書 化学肥料はすべて購入とする

窒素固定 大気 農地 農地面積×作物別窒素固定率 窒素固定率は別途計算

副産物生産 農地 副産物 果樹以外:主産物生産×作目別副産物率 果樹:栽培面積×単位副産物生産量

副産物比率は全国値

農地への副産物還元 副産物 農地 副産物生産量-副産物廃棄量

光合成 大気 農地 「主産物+副産物」の炭素量から求める。

もみがら(堆肥利用) 農地 堆肥化施設 たとえば,堆肥生産量から,もみがらの必要量を水分率などをもとに計算。

廃棄副産物 農地 廃棄 副産物総量を算出し,有効利用分を差し引く。副産物=農作物主産物量×副産物比率。もみがら・落花生殻など。

副産物比率は全国値

自家利用家畜ふん尿 家畜 地域内利用 (堆肥・生)

総ふん尿量×自家利用ふん尿率 総ふん尿量は全国値 自家利用ふん尿率は県単位アンケートデータの参照も可能

ふん尿地区内販売交換 家畜 地域内利用 (堆肥・生)

総ふん尿量×販売交換ふん尿率。地区内利用(堆肥・生)コンパートメントでのバランスがマイナスとなる場合には,販売交換ふん尿を地区内利用(堆肥・生)と地区外利用に割り振る。

総ふん尿量は全国値 販売交換ふん尿率は県単位アンケートデータの参照も可能

名称 起点 分類 終点 計算の考え方(例) デフォールト値の状況

【表Ⅰー1】フロー量の計算方法の概要

Page 7: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

13

製材木材 森林・林業 森林・林業・ 製材所

地区外 原木出荷量データを収集。

堆肥化施設利用生ごみ 人間 人間の 居住空間

堆肥化施設 堆肥利用量データを収集。

農地直接利用生ごみ 人間 農地 直接利用量=人口×単位直接利用量 単位直接利用量は全国統計

雑排水無処理量 人間 水域 雑排水無処理人口×排出原単位 排出原単位は全国値

人間からのガス 人間 揮散 人口×単位排出量 呼吸などによる

生活排水処理量 人間 処理施設 処理区分別に排出量を計算 処理区分別人口×排出原単位

排出原単位は全国値 工場排水は別途計算が必要

廃棄加工屑 森林・林業 地区内利用 (堆肥・生)

加工屑総量から堆肥利用量分を差し引く。 加工屑総量=原木出荷量×副産物

副産物率は全国統計

堆肥利用加工屑 森林・林業 地区内利用 (堆肥・生)

堆肥化利用に必要な量を家畜ふん尿量などから求める。 ふん尿量のうち自家利用分×おがくず必要量

おがくず必要量は全国値(推定)

草刈剪定枝廃棄量 緑地街路樹 緑地・ 街路樹

廃棄 一般廃棄物量×草刈剪定枝率 草刈剪定枝率は全国統計

堆肥施用量 地区内利用 (堆肥・生)

地区内利用 (堆肥・生)

農地 農地面積×作目別単位施肥量 施用量は県単位アンケートデータの参照も可能

堆肥化によるガス発生 地区内利用(堆肥・生)

揮散 地区内(堆肥・生)への流入量からガス量を計算する。

廃棄汚泥 生活排水 処理

生活排水 処理施設

廃棄 処理区分別に排出量を計算。 処理区分別人口×排出原単位

処理水 生活排水 処理

水域 処理区分別に排出量を計算。 処理区分別人口×排出原単位

処理施設からのガス発生 生活排水 処理

揮散 収支計算より算出する。

地区の食材購入量 食品産業 食品産業 人間 食材摂取量に生ごみ量を加え,自給分を差し引く。食材摂取量=人口×単位購入食材摂取量

単位購入食材摂取量は全国アンケートデータ

食品産業廃棄生ごみ 食品産業 廃棄 産業廃棄物量のうち動植物性残さ量。 県の動植物性残さ量を販売金額換算

食品産業廃棄汚泥 食品産業 廃棄 産業廃棄物のうち有機性汚泥量。 県の有機性汚泥量を販売金額換算

堆肥 堆肥化施設 堆肥化施設 農地 施用する農地面積を推定した上で計算する。 農地面積×作目別単位施用量

排出原単位は全国値 工場排水は別途計算が必要

堆肥化施設からの ガス発生

堆肥化施設 揮散 流入量からガス量を計算する。 排出原単位は全国値 工場排水は別途計算

河川水 水域 水域 地区外水域 面積×比流量

灌漑水 水域 農地 面積×単位灌漑水量 単位灌漑水量は期別減水深から計算する。

農地排水 農地 水域 面積×単位灌漑水量×排出率 排出率は全国値

降雨 大気 農地・森林・ 集落・水域

面積×降雨量 降雨量は気象官署別データ

流出水 森林・集落 水域 面積×降雨量×流出率 流出量は全国率

購入食材 地区外 食品産業 食品産業の収支。

生ごみ廃棄量 人間 廃棄 農家,非農家別に排出量を計算し,堆肥利用量と農地直接利用を差し引く。 排出量=人口×単位排出量

単位排出量は全国統計

名称 起点 分類 終点 計算の考え方(例) デフォールト値の状況

第Ⅰ部

第Ⅱ部

第Ⅲ部

第Ⅳ部

第Ⅴ部

付属資料

Page 8: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

第Ⅰ部/地域レベルのバイオマス利活用の診断モデル

14

がある場合は,日本食品標準成分表を書店から,地

区の特産物の収穫時期・肥料施用量・肥料施用時期が

分かる資料(営農関連書籍,営農指導書)などを,資

料室および各自治体から入手する必要がある。ただ

し,全体に占める割合が5%程度以下の農産物は,

データ入力しなくても精度上の問題はないと考えら

れる。

標準的なモデルでは,農(耕種・畜産)林業生産

物の出荷先を地区外としている。購入肥料,堆肥は

地区外から流入し,自給分は地区内としている。購

入分で地区内外区分の精度を上げるためには,J

A・青果市場などでの調査が必要となる。化学肥料

の使用状況は,JAでの販売量から推計する方法が

考えられるが,販売量データが整理されていなかっ

たり,混合肥料の種類が多いなどの理由から,成分

量を把握することは困難な場合が多い。そのような

場合は,施肥基準から推計するなどして対応できる。

②畜産関連

家畜の頭羽数については,畜産統計での区分にし

たがって各自治体の関係部局から入手し,表Ⅰ-3に

示すように整理する。畜種別の出荷量も,各自治体

での調査にもとづき整理する。データがない場合は,

原単位法を使用する。

ふん尿の集合処理(堆肥化施設など)の有無は各

自治体に確認し,ある場合は,搬入量・副資材量・

それらの入手先・製品量・成分・利用先などについ

て調査する。畜産関係の尿汚水処理施設については,

計画廃水量および水質データが保健所に届けられて

いるが,それらのデータは整理されていない場合も

ある。

③食品産業関連

食品産業の材料購入量と加工品の販売量データを

入手することは,一般的に困難である。さらに,食

材など食品の入出荷分について,地区内外で区分す

ることも困難である。対象地区が市町村であれば,

取り扱い量のほとんどは地区外から入荷し,地区外

へ出荷されているものと考えて問題ない。その他,

地産地消率を設定する方法も考えられる。標準フロ

ー図では,地区外から搬入した材料を加工して地区

外へ販売するといったフローは,設定していない。

廃棄物データは,各自治体内での状況が整理され

ていない場合,都道府県から情報を入手し,販売金

額の原単位から求める。ただし,数値情報のとりま

とめ方は,都道府県により異なる。

廃水処理施設に関するデータは,計画値が都道府

1.データの収集

(1)主要データとその入手方法

賦存量,発生・生産量,フロー量を把握するため

には,各種のデータを収集し,入力する必要がある。

必要とするデータの種類は,つぎの通りである。◎対象地区の状況データ:物質量・面積・人口・家畜頭羽数など

◎物質量を算定するために必要な原単位データ:物質量が地区の状況データとして入手できれば不要

◎成分量データ:窒素率・リン率など◎発生・移動量の月別割合を示すデータ

地区の状況データは,主として各種の統計情報を

活用して入力する。この際,農林水産省統計部が準

備している情報7)も有用である。原単位,成分量,

月別の発生・移動量割合には,地区固有のデータと

全国平均的なデータがあり,デフォルト値としては,

都道府県の平均値,あるいは全国平均的な値を準備

している。地区固有の値が明らかになれば,これら

と入れ替えることで,モデルの精度を上げることが

できる。成分データについては,中村ら8)が整理し

た情報も参考になる。また,本書の付属資料にも具

体的なデータを示している。

ユーザーによるデータ入力の重要性は,3水準に

区分している。第1水準は,地区(市町村)固有の

入力必須データである。第2水準は,デフォルト値

の検討が必要なデータであり,第3水準は,デフォ

ルト値でも精度上ほとんど問題ないと考えられるデ

ータである。第1水準と第2水準のデータのうち,

地区により比較的変動が大きく入力が必須,または

デフォルト値の検討が必要とされるデータとその入

手方法を表Ⅰ-2に示す。

(2)項目別データとその入手方法

①農業(耕種)関連

農業関係の基本的な統計データが掲載されている

農林水産統計年報(都道府県の農林水産統計協会)

を関係部局から入手する。また,都道府県別地力保

全基本調査総合成績書,地力保全基本調査による土

壌情報データベース9),都道府県別の施肥基準・営

農指導書を各自治体から入手する。

モデルにデフォルト値が与えられていない農産物

【1-2】モデル作成の手順と必要なデータ

Page 9: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

15

入力データ項目 詳細説明 データ入手方法,主な資料 備考

市町村面積 県別の農林水産統計年報など 入力必須

主要農作物の作付面積と収穫量 作目別に入力する 県別の農林水産統計年報など 入力必須

主要農作物の作付・収穫時期 営農指導書,営農関連図書 入力が望ましい

人口 農家人口,非農家人口 県別の農林水産統計年報など 入力必須

一般廃棄物ごみの量(し尿を除く) 市町村聞き取り 入力必須

家畜飼養頭羽数 畜産統計の区分別に頭羽数を入力 市町村聞き取り 入力必須

地区の家畜汚水処理率 市町村聞き取り 入力必須

家畜尿汚水処理の除去率 市町村聞き取り デフォルト値採用可能

原木出荷量 木材,間伐材に区分 市町村,または森林組合にて聞き取り 入力必須

森林面積 県別の農林水産統計年報など 入力必須

耕地面積 田,普通畑,樹園地,牧草地に区分 県別の農林水産統計年報など 入力必須

農作物作付延面積 稲,麦類,かんしょ,雑穀,豆類,果樹,野菜,工芸作物,桑,飼料作物,その他作物に区分

県別の農林水産統計年報など 入力必須

土壌統別面積と土壌の状態 深さ,容積重,全窒素,全炭素,有効態リン酸,置換性カリ,水田面積,水田以外面積

県別の地力保全基本調査総合成績書 入力必須

化学肥料施用量および時期 窒素,リン酸,カリ,炭素に区分 対象地区の施肥基準,営農指導書営農関連図書

施用量はデフォルト 値採用可能

生活排水処理区分別人口 合併浄化槽(集排を除く),単独浄化槽(し尿のみ),し尿処理場,集落排水,公共下水,し尿自家処理に区分

自治体の生活排水処理計画などを 参照

入力必須

水域関係データ(2) 山林流出率,集落流出率,地区内灌漑比率,灌漑水還元率,非灌漑期流出率,地区外流出率,降雨水質,灌漑水の水質,河川の水質

灌漑計画書,農業排水計画書, 近辺の河川,降雨水質データ(県の環境白書など)

デフォルト値採用可能

農地への堆肥など有機物施用量および時期

田,普通畑,樹園地,牧草地に区分 対象地区の施肥基準,営農指導書営農関連図書

入力が望ましい

都道府県における食品産業の状況 動植物性残さ発生量,有機性汚泥発生量,食品産業の出荷額(販売)

都道府県の産業廃棄物統計など 入力必須

減水深,河川の比流量とそれに対応する対象地区内面積

灌漑計画書 近辺の河川,降雨水質データ(県の環境白書など)

入力必須

市町村の食品産業製品出荷額 (百万円/年)

市町村の工業統計または聞き取り 入力必須

水域関係データ(1)

【表Ⅰー2】主要データとその入手方法

県保健所に届けられているが,整理されていない場

合が多い。処理水質についてはBODの計画値または

基準値があるが,窒素(N)やリン(P)の基準が

あるところは少ない。

生ごみのリサイクル利用の有無については,各自

治体に聞き取りを行い,リサイクルされている場合

は,搬入量・副資材量と入手先・製品量と成分・利

用先などについて調査を行う。

④人間の居住空間関連

生活排水処理区分別人口は,各自治体の生活排水

処理状況調査からデータを得られる。また,下水

道・農業集落排水・合併浄化槽などに関するデータ

は,総務省公共施設状況調査から入手することもで

きる。漁業集落排水・林業集落排水・コミニュティ

ープラントの原単位は,農業集落排水に準じて良い

と考える。公共下水道については,(社)日本下水

畜種 区分

乳  牛

肉  牛

搾乳牛(牛乳)

乾乳牛

豚(子取り用)

種おす豚

採卵鶏 採卵鶏(6箇月未満)

ブロイラー ブロイラー

採卵鶏

肥育豚

その他豚

2歳未満

未経産牛

肉牛(雌1歳未満)

肉牛(雌1歳)

肉牛(雌2歳以上)

肉牛(雄1歳未満)

肉牛(雄1歳)

肉牛(雄2歳以上)

乳用種

交雑種

【表Ⅰー3】家畜飼養頭数の区分

第Ⅰ部

第Ⅱ部

第Ⅲ部

第Ⅳ部

第Ⅴ部

付属資料

Page 10: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

第Ⅰ部/地域レベルのバイオマス利活用の診断モデル

16

あるが,それらを以下の4区分に再集計している。◎農地:田,その他の農用地◎山林:森林◎集落:荒地,建物用地,幹線交通用地,その他の用地,ゴルフ場

◎水域:河川地および湖沼,海浜,海水域

降雨水質は,都道府県環境白書などによるが,不

明の場合はデフォルト値を使用する。灌漑に関する

諸元は,実績を各土地改良区(水土里ネット)で入

手することが望ましいが,計画値でも問題ないと思

われる。灌漑水質は,都道府県環境白書などで調査

する。主要河川の諸元については,都道府県の環境

白書などで調査する。

2.データの加工および収支計算

フロー量は,統計データ等を組み合わせ,地区内

で移動する量と地区外へ移動する量に分けて計算す

る。その計算方法は物質ごとに異なる。直接算出す

るデータがない場合は,都道府県のデータから原単

位を計算して,対象地区におけるフロー量を推計す

るといった対応もできる。

また,統計データから求められるフロー量は,年

単位のデータがほとんどである。このため,年単位

の物質量を計算した後,これに成分比率を乗じ,窒

素(N)・リン(P)などの年単位成分量を求め,

さらに,別途調査した月別のフロー量比率を乗じて,

月単位の物質量と成分量を計算する。

図Ⅰ-3に示した標準フロー図にもとづき,フロー

量等の計算を行うための個表の名称とフロー図を,

それぞれ表Ⅰ-4および図Ⅰ-4に示す。このフロー

図では,個別に計算した賦存量およびフロー量を

「H**(例:H10)」の形で表示している。各コンパ

ートメントにおけるバランス量(“IN”-“OUT”)

は,コンパートメントへの流入量(IN)とコンパー

トメントからの流出量(OUT)を集計して求める。

コンパートメントへの流入量と流出量は,別々の

統計情報から求める場合が多く,集計すると連続条

件が合わない場合が多い。このような場合には,デ

ータの構成要素を検討し,信頼度が高いと思われる

データを優先するなどして調整を行う必要がある。

道協会から下水道統計(行政編)が出版されており,

詳細なデータが記載されている。

公共下水道処理施設・集落排水処理施設・し尿処

理施設への流入量・放流量・水質・汚泥発生量は,

各自治体でデータが整理されている場合が多い。こ

れらを使用すれば,原単位法よりも精度を上げるこ

とができる。汚泥などの有機性廃棄物のリサイクル

状況は,各自治体が行っている調査結果よりデータ

を得る。

なお,公共下水道排水には事業所廃水が含まれて

いるが,標準モデルでは対象としていない。事業所

廃水を含める場合には,工場など事業所のコンパー

トメントを追加する必要がある。

⑤緑地・街路樹関連

樹木現存量の体積(重量),芝面積および剪定

枝・刈り草などの廃棄物量は,各自治体への聞き取

りによりデータを得る。なお,剪定枝・刈り草量に

ついては,各自治体の一般廃棄物総量から推計する

こともできる。

⑥林業関連

原木生産量は,各自治体への聞き取りによりデー

タを得る。その他,農林水産統計年報には,都道府

県単位での情報が記載されている。しかしながら,

一般的に,木材の出荷先を地区内外で区分すること

は,困難である。

⑦バイオマス変換施設関連

各種のバイオマス変換技術や施設に関しては,何

を原料に,どのくらいの量から,何がどのくらい生

成できるか,そのために必要なエネルギーや環境へ

の負荷はどのくらいか,などの情報が必要である。

これについては,第Ⅱ部で紹介する。

⑧自然条件・その他

降雨量は,気象庁の気象官署(気象台および測候

所)から,月別平年降水量を整理しデータベース化さ

れたものが提供されている。モデルの基礎データと

して採用したデータは,気象庁編の平年値を記録し

たCD-ROMで,(財)気象業務支援センターから発

行されたものである。平年値は,1971~2001年の平

均値になっている。ただし,一部の観測所について

は,観測所の移動等により平均期間が短くなってい

るものもある。

市町村別の土地利用面積比率についても,データ

ベース化されたものがある。モデルの基礎データと

して採用したデータは,国土数値情報の土地利用メ

ッシュ(1997年)である。元々のデータは11区分で

Page 11: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

17

個別計算番号 名称

1

区分

フロー量 畑地農作物主産物収穫

2 フロー量 飼料作物主産物収穫

3 フロー量 桑の主産物生産量

4 フロー量 桑副産物生産量

5 フロー量 水田農作物主産物収穫

9 フロー量 樹園地農作物主産物収穫

10 フロー量 畜産物生産量

11 フロー量 繭生産量

12 フロー量 水田窒素固定量

13 賦存量 水田を除く耕土層賦存量

14 賦存量 樹園地樹木賦存量

15 賦存量 森林樹木賦存量

16 賦存量 人間賦存量

17 賦存量 家畜賦存量

18 賦存量 水田以外窒素固定量

19 賦存量 水田耕土層賦存量

21 フロー量 水田農作物廃棄量

22 フロー量 水田農作物副産物生産

23 フロー量 畑地農作物副産物生産

24 フロー量 飼料作物副産物生産

25 フロー量 樹園地副産物生産

26 フロー量 畑農作物光合成

27 フロー量 畑地農作物廃棄量

28 フロー量 水田農作物光合成

29 フロー量 飼料作物光合成

30 フロー量 樹園地作物光合成

31 フロー量 森林樹木光合成量

33 フロー量 水田以外炭素揮散量

35 フロー量 人間呼吸

38 フロー量 水田溶脱量・浸透水量

39 フロー量 水田以外窒素溶脱量・浸透量

41 フロー量 水田化学肥料施用量

42 フロー量 水田脱窒量

43 フロー量 水田以外農地への購入有機物施用量

45 フロー量 水田以外化学肥料施用量

46 フロー量 水田以外脱窒量

47 フロー量 水田以外農地への自給有機物施用量

48 フロー量 水田への自給有機物施用量

49 フロー量 水田への購入有機物施用量

50 フロー量 自給飼料・敷料の消費量(水田)

51 フロー量 購入飼料・敷料の消費量

52 フロー量 自給飼料の消費量(牛乳)

53 フロー量 家畜ふん尿他地区販売交換量

54 フロー量 家畜ふん尿自家利用向け排出量

55 フロー量 家畜ふん尿廃棄量

56 フロー量 家畜尿汚水処理量

57 フロー量 家畜尿汚水処理排水量

58 フロー量 自給飼料の消費量(畑)

59 フロー量 自給飼料・敷料の消費量(製材所)

個別計算番号 名称

60

区分

フロー量 桑の葉購入量

61 フロー量 家畜尿汚水処理希釈水量

62 フロー量 自給敷料の消費量(畑)

71 フロー量 林業木材出荷

76 フロー量 林業オガクズ堆肥利用

77 フロー量 製材副産物

80 フロー量 人間の自給農作物消費量(水田以外)

81 フロー量 人間の自給畜産物消費量

82 フロー量 人間の購入食材消費量

83 フロー量 生ごみの堆肥化量

84 フロー量 人間生ごみ排出量

85 フロー量 人間生ごみ農地投入量

86 フロー量 人間生活排水排出量(集排)

87 フロー量 人間未処理雑排水排出量

88 フロー量 人間上水道水

89 フロー量 人間汚水処理水排出量(集排)

90 フロー量 人間汚水処理汚泥排出量(集排)

91 フロー量 人間の自給農作物消費量(水田)

92 フロー量 し尿処理場汚泥排出量

93 フロー量 人間生活排水排出量(浄化槽)

94 フロー量 人間生活排水排出量(し尿)

95 フロー量 人間生活排水排出量(公共下水)

96 フロー量 尿汚水処理汚泥排出量(家畜)

97 フロー量 人間汚水処理水排出量(公共下水)

98 フロー量 人間汚水処理水排出量(浄化槽)

99 フロー量 人間汚水処理水排出量(し尿処理)

102 フロー量 緑地・街路樹剪定枝排出量

103 フロー量 緑地・街路樹光合成

115 フロー量 食品産業汚泥排出量

116 フロー量 食品産業生ごみ排出量

121 フロー量 河川流量

130 フロー量 人間汚水処理汚泥排出量(公共下水)

131 フロー量 人間汚水処理汚泥排出量(浄化槽)

132 フロー量 人間汚水処理汚泥排出量(し尿処理)

150 賦存量 水域賦存量

151 フロー量 農地水田降雨

152 フロー量 森林降雨

153 フロー量 集落降雨

154 フロー量 水域降雨

155 フロー量 森林流出

156 フロー量 集落流出

157 フロー量 地区内取水灌漑水

158 フロー量 地区外取水灌漑水

159 フロー量 農地排水

160 フロー量 地区外流出

161 フロー量 農地全体降雨

163 フロー量 新規堆肥施用量

164 フロー量 堆肥化用もみがら投入量

【表Ⅰー4】個表の名称(例)

第Ⅰ部

第Ⅱ部

第Ⅲ部

第Ⅳ部

第Ⅴ部

付属資料

Page 12: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

第Ⅰ部/地域レベルのバイオマス利活用の診断モデル

18

【図Ⅰー4】標準フロー図にもとづく計算(例)

Page 13: Diagnosis Model of Biomass Use at Regional Level...9 (2)コンセプト モデル開発のコンセプトはつぎの通りとした。【開発理念】 地区レベルで適切なバイオマス利活用方法を見出

19

引用文献1)バイオマス・ニッポン総合戦略,http://www.maff.go.jp/biomass/index.htm(2005年10月29日最終確認)

2)柚山義人:バイオマス利活用のための地域診断,講座「バイオマス利活用」(その1),農業土木学会誌,73(6),37-42,2005

3)柚山義人:バイオマス資源循環利用診断モデルの開発戦略,農業土木学会誌,72(12),25-28,2004

4)柚山義人・中村真人・凌祥之・島田和宏・神山和則・寳示戸雅之・菅原幸治・高野 勉・椎名武夫・織田健次郎・松本成夫・田坂行男・島田眞司:バイオマス資源循環利用診断モデルの開発,シンポジウム「地域のバイオマス利活用推進に向けたチャレンジ」,農林水産バイオリサイクル研究「施設・システム化チーム」,東京,35-53,2004

5)松本成夫:地域における窒素フローの推定方法の確立とこれによる環境負荷の評価,農業環境技術研究所報告,18,81-152,2000

6)農林水産バイオリサイクル研究「システム化サブチーム」:「バイオマス資源循環利用診断モデル」利用マニュアル,2005

7)わがマチ・わがムラ-市町村の姿-,http://www.toukei.maff.go.jp/shityoson/index.html,農林水産省統計部(2005年7月29日最終確認)

8)中村真人・柚山義人:各種バイオマス成分のデータベース整備,農業工学研究所技報,203,57-80,2005

9)日本土壌協会:地力保全基本調査による土壌情報データベース(CD-ROM),土壌圏データ(メッシュデータ)(2002年3月),代表断面データ(2002年3月),土壌圏データ(ベクトルデータ)(2004年6月),地力保全土壌圏データベース利用の手引き,2003

モデルを作成して,地区の実情に合ったバイオマ

ス利活用の方針を検討していく手順のイメージは,

図Ⅰ-5に示す通りである。モデル作成者は,地区で

合意形成をはかる上で必要となる客観的な情報を診

断結果として準備する役まわりとなる。モデル作成

には,図Ⅰ-6に示すように現況をできるだけ正しく

把握するためのステップと,バイオマス利活用推進

に係わるさまざまなアイデア(計画案)を現況と比

較して効果や影響を明らかにしたり,複数のアイデ

アを比較検討したりするステップがある。

モデル活用のポイントを再整理すると図Ⅰ-7のよ

うになる。

バイオマス資源循環利用診断モデル

家庭から出るごみはどのくらい再利用されているの?

堆肥化施設を設置したらどうなるんですか? 町内でうまく循環できそ

うだ。明日の会議で報告してみよう!

堆肥化施設を追加

10

20

30 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

10

20

30

40

月別収支図

物質フロー図

加工屑 0.72

尿汚水 2.69

糞尿販売 68.06

糞尿 117.37

堆肥化施設

in: out: blc: fix:

190.60 192.55 -1.95 0.00

つくった堆肥は地域で 使いきれるかなあ?

食品系廃棄物

家畜排せつ物

間伐材

作物残さ 水産廃棄物

工業原料

飼料・肥料 電気・熱

地域のバイオマス資源 に関する情報

畜産ふん尿がうまく処理されないと水質が悪くなってしまう。

最近はバイオマスから 電気をつくれるらしいよ。

【図Ⅰー5】バイオマス利活用の方針検討の流れ

畜産食材 62

溶脱 73

脱窒 13

揮散 15

飼料敷料 24

飼料敷料 25

食材 34

堆厩肥 26

化学肥料 86

光合成 0

窒素固定 24

降雨 8.1

糞尿 73

系外飼料敷き料 in: 0out: 310blc: -310fix: 0

飼料敷料 310

家畜 in: 340out: 270blc: 71fix: 26

食材 36

生ごみ 1.4

食材 32

生ごみ 2.7

生活排水 21

雑排水 2.8

水道水 0.62

汚泥 2.9

畜産物 0.079

降雨 1.7

木材 0

農地排水 14

3.8

流出水 0.40

副産物 1.8

製材副産物 -0.72

刈草剪定枝 0.083

河川水 25

食材 0.70

生ごみ 0.18

窒素固定 18

降雨 20

堆厩肥 18

化学肥料 40

食材 27

脱窒 17

敷き料 6.7

堆厩肥 22

食材 2.9

敷料 0

域外かんがい水 0.94

降雨 0.70

集落流出 0.49

水域降雨 2.1

光合成 0

光合成 0

生活排水 5.7

生活排水 6.2

し尿 6.3

汚泥 0.59

処理水 4.3

処理水 4.0

溶脱 6.3

河川水 250

集排汚泥 0.55

おがくず 1.4

糞尿 130

揮散 28

堆肥 22

液肥 52

液肥 52

かんがい水

廃棄 in : out : blc : fix :

2.3 0 2.3 0

集落排水 in : out : blc : fix :

5.7 4.5 1.2 0

系外生活排水処理 in : out : blc : fix :

28 0 28 0

浄化槽 in : out : blc : fix :

6.2 4.9 1.3 0

人間 in : out : blc : fix :

42 45 -2.7 14

地区外食材 in : out : blc : fix :

0 36 -36 0

森林組合 in : out : blc : fix :

0 1.4 -1.4 0

自家製堆肥化施設 in : out : blc : fix :

75 37 38 0

損失 in : out : blc : fix :

73 0 73 0

溶脱 in : out : blc : fix :

79 0 79 0

系外に出荷 in : out : blc : fix :

140 0 140 0

農地 in : out : blc : fix :

390 250 150 6300

水田 in : out : blc : fix :

170 76 99 5500

水田以外農地 in : out : blc : fix :

220 170 50 870

森林,林業 in : out : blc : fix :

1.7 -0.32 2.1 0

大気 in : out : blc : fix :

0 75 -75 0

地区外肥料 in : out : blc : fix :

0 170 -170 0

上流域外水域 in : out : blc : fix :

0 250 -250 0

集落,緑地,街路樹 in : out : blc : fix :

0.70 0.58 0.13 0.69

水域 in : out : blc : fix :

28 30 -1.4 0

下流域外水域 in : out : blc : fix :

280 0 280 0

食品産業 (系内消費分) in : out : blc : fix :

36 36 0 0

バイオマスセンター in: out: blc: fix:

75 72 3 0

変換施設を設置したら どうなるんだろう?

糞尿販売 68.06

畜産食材 62.12

溶脱 72.61

脱窒 13.25

揮散 38.12

飼料敷料 23.80

飼料敷料 25.44

食材 33.97

堆厩肥 26.46

化学肥料 85.76

大気 in: 0.00out: 75.22blc: -75.22fix: 0.00

光合成 0.00

窒素固定 24.47

降雨 8.10

堆厩肥 132.40

糞尿 117.37

飼料敷料 305.58

加工屑 0.72

食材 36.24

畜糞 16.39

生ごみ 1.42

食材 31.90

生ごみ 2.68

生活排水 20.84

雑排水 2.81

水道水 0.62

汚泥 2.92

畜産物 0.08

森林,林業 in: 1.75out: 0.40blc: 1.35fix: 0.00

降雨 1.75

木材 0.00

農地排水 14.19

3.77

流出水 0.40

副産物 1.76

製材副産物 -0.72

刈草剪定枝 0.08

下流域外水域 in: 275.51out: 0.00blc: 275.51fix: 0.00

河川水 25.30

食材 0.70

生ごみ 0.18

廃棄

集落,緑地,街 路樹

in: 0.70out: 0.58blc: 0.13fix: 0.69

水域 in: 28.32out: 29.69blc: -1.37fix: 0.00

窒素固定 18.36

降雨 19.71

堆厩肥 17.75

化学肥料 40.21

食材 26.94

脱窒 17.15

敷き料 6.65

堆厩肥 22.04

食材 2.87

敷料 0.00

域外かんがい水 0.94

降雨 0.70

集落流出 0.49

水域降雨 2.14

光合成 0.00

光合成 0.00

生活排水 5.68

生活排水 6.17

し尿 6.34

汚泥 0.59

処理水 4.31

処理水 3.98

溶脱 6.34

河川水 250.21

系外生活排水処理

集排汚泥 0.55

尿汚水 2.69

かんがい水

in : out : blc : fix :

28.32 0.00 28.32 0.00

in : out : blc : fix :

22.77 0.00 22.77 0.00

集落排水 in : out : blc : fix :

5.68 4.53 1.16 0.00

浄化槽 in : out : blc : fix :

6.17 4.90 1.27 0.00

人間 in : out : blc : fix :

41.99 44.71 -2.72 13.69

食品産業 (系内消費分) in : out : blc : fix :

36.24 36.24 0.00 0.00

地区外食材 in : out : blc : fix :

0.00 36.24 -36.24 0.00

系外飼料敷き料 in : out : blc : fix :

0.00 305.58 -305.58 0.00

家畜 in : out : blc : fix :

336.03 262.71 73.32 26.40

損失 in : out : blc : fix :

68.52 0.00 68.52 0.00

溶脱 in : out : blc : fix :

78.95 0.00 78.95 0.00

系外に出荷 in : out : blc : fix :

138.64 0.00 138.64 0.00

上流域外水域 in : out : blc : fix :

0.00 251.15 -251.15 0.00

農地 in : out : blc : fix :

400.14 245.66 154.48 6327.01

水田 in : out : blc : fix :

122.78 75.89 46.88 5458.47

水田以外農地 in : out : blc : fix :

277.36 169.77 107.59 868.54

地区外肥料 in : out : blc : fix :

0.00 170.18 -170.18 0.00

自家製堆肥化施設 in : out : blc : fix :

190.60 192.55 -1.95 0.00

バイオマスセンター

in: out: blc: fix:

75 72 3 0

まずは地域の実態を 正しく理解しましょう!

STEP1

STEP2

【図Ⅰー6】現況診断と計画診断

「役立つ多数のデータベースや 利用マニュアルを用意しています」

「より良いバイオマスの循環利用システムを 構築することができます」

「地域内における  バイオマスの流れを把握できます」

データベースを豊富に 取りそろえ,順次,更新中。 操作性の向上にも取り組んでいます。

【図Ⅰー7】モデル活用のポイント

【1-3】モデル活用のイメージ

第Ⅰ部

第Ⅱ部

第Ⅲ部

第Ⅳ部

第Ⅴ部

付属資料