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11 日立国際電気技報 2019 年度版 No.20 移動体 8K 素材伝送 FPU の開発 技術論文 1 まえがき 国内では次世代放送に対する指針として、総務省から 2015 年 7 月に「4K・8K 推進のためのロードマップ」 [1] 公表され、現行の 2K 放送よりも臨場感の高い 4K・8K 放送 の実用化に取り組んでいる。すでに、2018 年 12 月からは BS/CS において 4K・8K の実用放送が開始され、諸外国に おいても、地上波 4K の実用放送が開始されている。 移動体 8K 素材伝送 FPU の開発 Development of mobile 8K micro wave link. 星 大樹 Daiki Hoshi 加藤 大季 Hiroki Kato 海老沢 直人 Naoto Ebisawa 藤倉 幹夫 Mikio Fujikura 要    旨 マラソンや駅伝などのロードレース中継に用いられ る移動体の 1.2/2.3GHz 帯 FPU(Field Pick-up Unit) では、4K・8K 映像素材を移動伝送する次世代映像素材 無線伝送システムの研究開発が進められている。このよ うな状況の中、総務省の「次世代映像素材伝送の実現に 向けた高効率周波数利用技術に関する研究開発」 [1] に参 画し、高効率 8K 映像符号化の技術開発と固有モード MIMO(Multiple Input Multiple Output)-FPU の 装置製作を行った。 高効率 8K 映像符号化技術においては、圧縮効率の高 い HEVC(High Efficiency Video Coding)/H.265 (以下、HEVC)符号化方式を採用し、なおかつ映像符号 化レートをリアルタイムに変更する可変レート映像符号 化・復号装置の開発を行った。 また、固有モード MIMO-FPU の装置製作において は、8K 映像を伝送するために 4 × 4 固有モード MIMO 方式を採用することで、伝送レートの大幅な改善を実現 し、最大レートとして 145Mbps を達成した。 さらに、伝搬路状況に応じて無線 / 映像レートを適応 的に制御することにより、映像破綻の無い安定的な伝送 を実現した。最後に、これら伝送技術および圧縮技術を 組み合わせた 8K 映像素材無線伝送システムを用いた伝 送実験結果についても言及する。 In the 1.2/2.3 GHz band mobile micro wave link, which is used for relay broadcasting of road races such as marathons and ekiden relay races, research and development on a next-generation wireless video material transmission system for mobile transmission of 4K and 8K video materials is in progress. Under these circumstances, we participated in the“R&D on High-Efficiency Frequency Utilization Technology for the Realization of Next-Generation Video Material Transmission” [1] of the Ministry of Internal Affairs and Communications to develop a technology for high-efficiency 8K video coding and to build equipment for eigenmode MIMO (Multiple Input Multiple Output). With respect to the high- efficiency 8K video coding technology, we have developed variable video rate coding/decoding equipment that adopts the HEVC (High Efficiency Video Coding)/H. 265 (HEVC) coding scheme with high compression efficiency. In the development of the 4 × 4 eigenmode MIMO system, it has achieved a significant improvement in transmission rate and a maximum rate of 145 Mbps. Furthermore, varying the radio/video rate adapting to the propagation conditions, stable seamless video transmission has been achieved. Finally, the results of transmission experiments using these equipments will be described.

Development of mobile 8K micro wave link....を実現した。最後に、これら伝送技術および圧縮技術を 組み合わせた8K映像素材無線伝送システムを用いた伝

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11日立国際電気技報 2019 年度版 No.20

移動体 8K 素材伝送 FPU の開発 技術論文

1 まえがき

国内では次世代放送に対する指針として、総務省から2015 年 7 月に「4K・8K 推進のためのロードマップ」[1]が

公表され、現行の 2K 放送よりも臨場感の高い 4K・8K 放送の実用化に取り組んでいる。すでに、2018 年 12 月からはBS/CS において 4K・8K の実用放送が開始され、諸外国においても、地上波 4K の実用放送が開始されている。

移動体 8K 素材伝送 FPU の開発Development of mobile 8K micro wave link.

星 大樹 Daiki Hoshi

加藤 大季 Hiroki Kato

海老沢 直人 Naoto Ebisawa

藤倉 幹夫 Mikio Fujikura

要    旨

マラソンや駅伝などのロードレース中継に用いられる移動体の 1.2/2.3GHz 帯 FPU(Field Pick-up Unit)では、4K・8K 映像素材を移動伝送する次世代映像素材無線伝送システムの研究開発が進められている。このような状況の中、総務省の「次世代映像素材伝送の実現に向けた高効率周波数利用技術に関する研究開発」[1]に参画し、高効率 8K 映像符号化の技術開発と固有モードMIMO(Multiple Input Multiple Output)-FPU の装置製作を行った。

高効率 8K 映像符号化技術においては、圧縮効率の高い HEVC(High Efficiency Video Coding)/H.265

(以下、HEVC)符号化方式を採用し、なおかつ映像符号化レートをリアルタイムに変更する可変レート映像符号化・復号装置の開発を行った。

また、固有モード MIMO-FPU の装置製作においては、8K 映像を伝送するために 4 × 4 固有モード MIMO方式を採用することで、伝送レートの大幅な改善を実現し、最大レートとして 145Mbps を達成した。

さらに、伝搬路状況に応じて無線 / 映像レートを適応的に制御することにより、映像破綻の無い安定的な伝送を実現した。最後に、これら伝送技術および圧縮技術を組み合わせた 8K 映像素材無線伝送システムを用いた伝送実験結果についても言及する。

In the 1.2/2.3 GHz band mobile micro wave link, which is used for relay broadcasting of road races such as marathons and ekiden relay races, research and development on a next-generation wireless video material transmission system for mobile transmission of 4K and 8K video materials is in progress. Under these circumstances, we participated in the “R&D on High-Efficiency Frequency Utilization Technology for the Realization of Next-Generation Video Material Transmission”[1] of the Ministry of Internal Affairs and Communications to develop a technology for high-efficiency 8K video coding and to build equipment for eigenmode MIMO (Multiple Input Multiple Output). With respect to the high-efficiency 8K video coding technology, we have developed variable video rate coding/decoding equipment that adopts the HEVC (High Efficiency Video Coding)/H. 265 (HEVC) coding scheme with high compression efficiency. In the development of the 4 × 4 eigenmode MIMO system, it has achieved a significant improvement in transmission rate and a maximum rate of 145 Mbps. Furthermore, varying the radio/video rate adapting to the propagation conditions, stable seamless video transmission has been achieved. Finally, the results of transmission experiments using these equipments will be described.

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12 日立国際電気技報 2019 年度版 No.20

技術論文 移動体 8K 素材伝送 FPU の開発

放送局の番組制作においては、映像素材を無線伝送するFPU が用いられている。FPU とは、図1 に示すように、マラソン、ゴルフなどのスポーツ中継やヘリコプタによる空撮中継などにおいて、映像と音声の放送素材を中継現場から放送局まで無線伝送する装置である。

FPU で使用するキャリア周波数は、5~7GHz 帯、10GHz帯(マイクロ波帯)、あるいは、1.2/2.3GHz 帯(UHF 帯)であり、運用によってその周波数を使いわけている。特に、マラソンや駅伝などロードレースでの移動中継では電波が回折しやすい 1.2/2.3GHz 帯が用いられている。

しかしながら、現行の 1.2/2.3GHz 帯 FPU の規格[2]では、8K 映像素材を伝送するためのビットレートを確保することができない。

このような背景の下、総務省の研究開発プロジェクトである「電波資源拡大のための研究開発」のうち、平成 26 年度から平成 29 年度に実施された「次世代映像素材伝送の実現に向けた高効率周波数利用技術に関する研究開発」[3]に対して、日本放送協会放送技術研究所、株式会社 NHK テクノロジーズ、パナソニック株式会社コネクティッドソリューションズ社、株式会社日立国際電気の 4 社で参画した。このプロジェクトでは、8K 映像を移動中継時でも安定して伝送可能な FPU を開発することを目的に、課題を以下の 3 項目に大別し、研究を進めた。(ア)伝送容量可変化技術の開発(イ)チャネル選定最適化技術の開発

(ウ)超高圧縮伝送技術の開発当社は、この研究開発の中で(ウ)超高圧縮伝送技術の開

発に取り組み、(ア) 伝送容量可変化技術の開発においても固有モード MIMO-FPU の装置製作に取り組んだ。

この研究開発プロジェクトの構成を図2 に示す。(ア)伝送容量可変化技術の開発[4]~[7]では、ビーム形成を

行うことにより伝送レートを大幅に改善する固有モードMIMO 伝送と、無線伝搬路の状況に基づき無線レートを適応的に制御して、伝送安定性を図る無線レート制御技術を開発した。(イ)チャネル選定最適化技術の開発では、無線伝送部の受

信側において、同一チャネル内の干渉信号を検出し、干渉を避けるようなチャネル周波数の変更や、被干渉信号の誤り訂正重みの最適化により干渉対策を図っている[8]。(ウ)超高圧縮伝送技術の開発では、8K 映像を高効率映像

圧縮方式である HEVC 方式を用いて符号化する[9]。さらに、固有モード MIMO-FPU からの映像レート制御情報に基づき、映像符号化の圧縮効率を無線伝搬路の特性に応じて適応的に制御する[10]。

本稿では、8K 映像を高効率で圧縮する映像符号化技術と、移動伝送において伝搬路特性が変動する環境であっても、無線レートおよび、映像レートの最適化を行うことで伝搬路特性に最適な画質で素材伝送を行う固有モード MIMO-FPUシステムの製作について報告する。

移動中継車

中継ヘリ

放送局

受信基地

受信基地1.2/2.3GHz 帯

図1 FPU を用いた移動中継システム

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13日立国際電気技報 2019 年度版 No.20

移動体 8K 素材伝送 FPU の開発

2 移動中継の課題

現行の FPU では、映像圧縮した 2K 映像の情報を、無線変調信号に変換し、移動中継車(Mobile Station 以下、MS)から受信基地局(Base Station 以下、BS)に送信し、BS では無線信号の復調および映像の復号を行うことで、映像素材を伝送する。また、送受信それぞれ 1 本のアンテナを用いるSISO(Single Input Single Output)方式がよく用いられているが、複数の送受信アンテナを用いて、無線伝送レートを改善することができる MIMO 技術も実用化されている[2][11]。

マラソンなどの移動中継では、受信レベルが時々刻々と変動するフェージングや、建物などに電波が遮

しゃへい蔽されて受信レ

ベルが大きく減衰するシャドーイング、長い遅延時間を伴って到達する反射波などが伝送特性劣化の主要因となる。

さらに MIMO 伝送では反射波が多く、アンテナ間の信号相関性が低い時には良好な伝送特性を示すが、送受信間の伝搬路に反射物がなく、見通しの伝搬路(LOS:Line Of Sight)になるとアンテナ間の信号相関性が高くなり、伝送特性は大きく劣化してしまう。

このような移動伝送における伝送容量(伝搬路特性に対して伝送可能なビットレート)と FPU の伝送レートの関係を図3 に示す。図3 では、シャドーイングの発生により、伝送容量が大きく低下している様子を示している。この伝送容量の低下により安定した伝送が阻害され、たとえばマラソン中継のようにテレビの生放送で運用する場合には、受信画像に

ブロックノイズが発生してしまい、伝送エラーが多い場合には映像が破綻してしまう。このように、伝送エラーはテレビ視聴に大きな障害を与えるため、FPU の運用では伝送エラーが発生しないように、高い信頼性での中継が要求される。

図3 伝送容量と伝送レートの関係

現行の運用方法では、映像破綻を避けるために、十分なリハーサルを行い、マラソンコースの伝搬路特性を把握したうえで、最も伝搬路特性の悪い(SISO 伝送容量の少ない)区間に合わせて固定の伝送レートで運用されている。このように、一部区間の映像破綻を避けるために、全区間の画質を妥協しなくてはいけないという課題があった。

また、8K 映像素材を伝送するためには 140Mbps が必要とされており、上限が約 60Mbps の現行 FPU では、8K 映像を伝送することができない。そのため、無線の伝送レート

図2 「次世代映像素材伝送の実現に向けた高効率周波数利用技術に関する研究開発」の構成

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14 日立国際電気技報 2019 年度版 No.20

技術論文 移動体 8K 素材伝送 FPU の開発

を大幅に向上させる技術開発が必要であり、この課題に対しては、4 × 4 固有モード MIMO 伝送技術の開発によりその解決を図っている。この概要に関しては 3 章で説明する。

また、図3 に示すシャドーイングなどが発生する伝搬環境では、伝送容量の低下は免れない。この瞬時的な伝送容量の低下に対しても映像破綻を回避するためには、移動伝搬路の特性に高速に追従して、映像破綻が生じないように無線/映像レートを最適に制御する技術開発が必要であり、このレート制御に関して、4~7 章で説明する。

3 固有モード MIMO 伝送技術

固有モード MIMO-FPU では、4 本の送受信アンテナを用いた 4 ストリーム固有モード MIMO 伝送方式を採用することで、高い伝送レートでの伝送を実現している[4]~[7]。

以下では、固有モード MIMO 伝送の原理について説明する。

MIMO 伝送とは、同一周波数、同一空間上で複数のストリームを用いて伝送することにより、伝送レートを向上することができる技術である。

4 本の送受信アンテナを用いる 4 × 4MIMO 伝送方式では、式(1)に示すように、送信信号ベクトル xが伝搬路行列Hを経由して、受信信号ベクトル yとして受信される。式

(1)において、説明を簡略化するため雑音成分は省いている。

y=Hx (1)

送信 伝搬路 受信

図4(a) MIMO 伝送

図4(a)に示すように、各送信アンテナから送出されたストリームは、受信アンテナでそれぞれ合成されて受信する。したがって、MIMO の受信信号処理では、これらのストリームを分離して復調する必要がある。

このような一般的な MIMO 伝送方式を用いると、前述したような LOS 環境では、このストリーム分離が困難になり、伝送特性が劣化してしまう。

一方、固有モード MIMO 伝送では、各ストリームを空間で直交させるように送信側で前処理を行うことで、原理的には受信信号処理部でのストリーム分離が不要となり、LOS 環境であっても高い伝送性能を実現することができる。

式(1)における伝搬路行列Hは特異値分解により式(2)のように分解できる。

H=U∑VH (2)

ここで、添え字の H はエルミート転置を示す。また、Σは伝搬路行列Hの固有値(λ1~λ4)を対角成分

に持つ行列であり、U、Vはそれぞれ左特異値行列、右特異値行列と呼ばれ、UH U=I、VH V=I(Iは単位行列)となる特徴を持っている。

Σ =         (3)

式(2)の特異値分解の結果を式(1)に代入すると、

y=UΣVHx (4)

となる。固有モード MIMO 伝送では、特異値行列の性質を利用し

て、図4(b)に示すように、送信信号 xにVを乗積し、受信信号 yにUH を乗積する。

UHy=UH (UΣVH )Vx=Σx (5)

式(5)において、受信信号 yにUH を乗積した結果は、各ストリームが互いに干渉しない並列伝搬路を形成したこととみなすことができる。

ここで、各ストリームの伝送容量(伝送可能なビットレート)は固有値(λi)を基準とした評価指標で表現できる。そのため、大きな固有値のストリームは伝送容量が大きく、高ビットレートで伝送できるポテンシャルがあるため、1024QAM などの超多値変調を割り当て、低い固有値のストリームには QPSK などの低次変調方式を割り当てて伝送する。

たとえば、LOS 環境では最大固有値と最小固有値に大きな差があり、第 1 ストリームには 1024QAM を、第 2 ストリームには QPSK を割り当て、2 つのストリームを用いて伝送する。一方、マルチパスが多く MIMO に適した伝搬路では、固有値の差が少なくなり、たとえば、第 1、2 のストリームに16QAM を、第 3、4 のストリームに QPSK を割り当てる。

このように、固有モード MIMO 伝送では伝搬路特性に応じて、ストリーム数やストリームに割り当てる変調多値数を

λ1 0 0 0 0 λ2 0 0 0 0 λ3 0 0 0 0 λ4

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移動体 8K 素材伝送 FPU の開発

適応的に制御している。

MS 並列伝搬路

プリコーディング行列 

BS

図4(b) 固有モードMIMO 伝送

式(4)に示す、伝搬路行列Hの特異値分解は、BS の受信信号から伝搬路行列Hを推定し、推定結果に対して特異値分解演算を行う。特異値分解の結果により得られたプリコーディング行列Vは BS から MS にフィードバック伝送され、MS の送信信号処理では、式(5)に示すように、フィードバックされたプリコーディング行列Vを送信信号 xに乗積する。

このように、固有モード MIMO 伝送では、プリコーディング行列Vをフィードバックする必要があるが、このフィード バ ッ ク は 時 分 割 多 重(Time Division Duplex 以 下、TDD)方式を用いて実現した。

表1 に製作した固有モード MIMO-FPU の主な仕様を示す。

4 映像/無線レート制御および統括制御

伝搬路特性が変動する環境であっても高画質で素材伝送を行い、さらに映像破綻することのない安定伝送をめざして、無線レートと映像レートの最適化、およびそれらを統括するレート制御技術を開発した。

図5 に示す可変レート映像符号化では、入力される映像の

表1 固有モード MIMO-FPU の主な仕様キャリア周波数 2,330~2,370MHz帯域幅 17.18MHz送信出力 10W × 4伝送方式 4 × 4 固有モード MIMO複信方式 TDD二次変調方式 OFDM※1

一次変調方式 BPSK~1024QAMFFT ポイント 1024TDD フレーム長 2.18ms誤り訂正方式 ターボ符号ビットレート 26~145Mbps

※1 OFDM : Orthogonal Frequency Division Multiplexing

細かさ、粗さにより符号化後の情報量は増減するが、この瞬時的な映像の変動に応じて映像レートを最適化している。

また、無線レートマッチングでは伝搬路特性の瞬時変動により、伝送容量が変動し、この伝送容量に応じて無線レートを適応的に制御している。具体的には、各ストリームでの伝送マージンが所定の値になるように、符号化率を制御している。この伝送マージンが少ない場合には、符号化率を下げて、誤り訂正能力を向上させ、マージンが多い場合には、符号化率を上げて、伝送レートを向上させる。

このように、映像符号化では映像の瞬時変動、無線部では伝搬路の瞬時変動に応じて、それぞれの処理をローカルに最適化している。

このローカルに最適化されたレート制御に対して、図5 の中間に位置する統括制御では、映像レート制御と無線レート制御に対して統括的な役割を果たす。

図5 無線/映像レート制御

5 無線レート制御に係る誤り訂正符号器および復号器

無線レート制御技術では、移動伝送での伝送容量の変動に高速追従し、伝搬特性が悪い環境では誤り訂正能力が向上するように、伝送レートを下げることで伝送破綻を防ぎつつ、伝搬特性が良好な環境では伝送レートを上げることが可能となる[12][13]。

以下では、図6 に示すように、無線レート制御を実現する誤り訂正符号器とその復号器に関して、装置製作の観点から説明する。

5.1 誤り訂正符号器無線レート制御は誤り訂正符号の符号化率を制御するこ

とで実現している。この符号化率を柔軟に変更させることが可能で、なおかつ高い復号特性を有する誤り訂正方式として、

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技術論文 移動体 8K 素材伝送 FPU の開発

ターボ符号を選定した。ターボ符号は入力された情報ビットに誤り訂正用の冗長

ビットを付加することで、誤り訂正符号を生成する。ターボ符号では入力された情報ビット(黄)はすべて伝送し、符号化率に応じて冗長ビット(緑、赤)の伝送ビット数を変更(パンクチャ)することで、符号器構成を変えることなく、符号化率を柔軟に変更することができる。

このように、情報ビットとすべての冗長ビットを伝送する場合には符号化率は 1/3(0.33)となり、伝送する冗長ビット数を削減すると符号化率は 1 に近づく。今回の試作では符号化率は 0.33~0.92 の範囲内で 12 種とした。具体的な構成は、ターボ符号器からの信号をすべてメモリに書き込み、MIMO 伝送部からの符号化率に基づいて、メモリから必要な分の冗長ビットを読み出し、MIMO 変調部にデータを伝送している。

5.2 誤り訂正復号器ターボ符号は高い誤り訂正能力を備えている反面、論理回

路が複雑となり、高いビットレートでの処理が困難である[14]。ターボ復号処理はレート制御処理とは直接関連しないが、ここでは装置試作の観点から、高ビットレート動作に適するターボ復号アルゴリズムと、その実装に関して説明する。

ターボ復号では復号対象とするビットのビット確率と、その周辺ビットのビット確率を含めた周辺事後確率と呼ばれる確率計算を必要とする。この確率計算は、その周辺部分の確率の総積であり、一般的に多くの計算量を必要とする。

そこで、実装に適したターボ符号の復号アルゴリズムとして、BCJR(Baul Cocke Jelink Raviv:発明者の頭文字)ア

ルゴリズムを採用した。BCJR アルゴリズムの詳細は割愛するが、BCJR 復号は、復号時に必要な周辺事後確率計算を、前向き、後ろ向きと称する対数確率(尤

ゆ う ど度比)の単なる加算

処理で実現することができ、実装に適したアルゴリズムである。

また、ターボ復号では BCJR 復号結果を再度 BCJR 復号器に事前情報としてフィードバックし、この復号処理を複数回反復することにより、高い復号性能を得ることができる。今回の試作機では 8 回の反復復号を行っている。8K 映像を伝送するためには、100Mbps を超える高いビットレートでター ボ復号を実現する必要があるが、8 回の反復復号を考慮すると少なくとも 800MHz を超える FPGA(Field Program mable Gate Array)の動作周波数が必要となってくる。しかしながら、現時点の FPGA の性能では、その動作周波数で実装することは困難である。

そのため、8 回の反復復号の実装は BCJR 復号器を並列展開することで、実装規模は増大するが実現可能な動作周波数まで低減させている。

6 8K 映像符号化の試作機概要と映像レート制御方式

超高圧縮伝送技術の開発では高効率のリアルタイム映像圧縮技術と、FPU 側からの映像レート指示に基づいて映像圧縮を行う、可変レート映像符号化技術の開発に取り組んだ[9][10]。開発した超高圧縮符号化/復号装置の主な仕様を表2 に示す。

図6 ターボ符号器と復号器の構成

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移動体 8K 素材伝送 FPU の開発

8K 映像は、2K 映像と比較して画素数で約 16 倍、フレームレートで約 2 倍の合計 32 倍の情報量となるため、8K 映像を伝送するためには高い圧縮効率を実現する必要がある。そこで今回は、高効率の映像符号化方式として HEVC 方式を採用した。HEVC は一世代前の映像符号化方式であるH.264 よりも約 2 倍の圧縮性能があり、8K 映像もサポートしている。

ここでは、開発した HEVC-8K 映像符号化の概要について説明を行い、次に可変映像レート処理について説明する。

図7 に示すように、7,680×4,320 の 8K 映像は水平方向に 17 分割され、各分割単位に HEVC 符号化を行う。各HEVC 符号化は 1 枚の基板で実現し、計 17 枚の基板で構成される。分割された各符号化の結果は結合/制御基板で再構成され、8K 全体の映像符号化を実現する。

各分割単位の HEVC 符号化では、フレーム内での符号化

表2 超高圧縮符号化/復号装置の主な仕様映像符号化方式プロファイル

HEVC/H.265Main10

画素数フレーム周波数

8K(7,680×4,320)60P

色差形式階調

YCbCr = 4:2:010bit

処理時間 300ms 以下(可変レート機能 OFF 時)2.5s 以下(可変レート機能 ON 時)

を行うイントラ符号化と、周辺の画素、あるいは前後フレームでの動き補償予測などの予測符号化を行う。予測符号化結果は再度復号され、復号結果と原画像との予測誤差画像を予測符号化にフィードバックして予測の最適化を行い、圧縮効率を高めている。

次に映像レート制御について説明する。映像レートの制御は、符号化時の量子化処理を調整し、量子化を細かく設定すれば高画質であるが、高い映像レートとなり、粗く設定すれば、低画質で低い映像レートとなる。

FPU からの映像レート制御情報は、この量子化処理を調整することで、所望の映像レートでの符号化を行う。

また、符号化データはバッファメモリに蓄積されるが、映像が細かい場合にはバッファメモリへのデータ書き込み量が多くなり、逆に映像が平坦な場合には書き込み量は少なくなる。

このような瞬時的な映像の変動に対して、バッファメモリのデータ残量を監視しながら、FPU からの映像レート制御に加えて符号処理の量子化処理を微調整することで、映像レートが一定になるように制御している。

また、HEVC では圧縮効率を高めるために、複数フレームを用いた符号化処理を行っており、複数フレームを用いることに起因する遅延時間が発生する。このように、遅延時間と

図7 HEVC-8K 映像符号化の構成

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技術論文 移動体 8K 素材伝送 FPU の開発

画質は相反する関係にあり、高画質を実現するためには、遅延が大きくなるとともに、映像レートの変更間隔も長くなってしまう。そのため、映像レートの応答性に関しては、無線レート制御が数ミリ秒オーダーで高速に変更が可能であっても、映像レートは 1 秒程度の間隔でしかレートを変更することができない。

7 無線/映像レートの統括制御

映像レート制御は秒オーダーで制御を行い、無線レート制御はミリ秒オーダーで制御を行う。これらの制御は独立して最適化を行っているため、瞬時的には映像レートと無線レートが一致しない。そのため、図8 に示すように、映像符号化と無線部の間にデータバッファを設け、これらレートの乖

か い り離

を吸収する。理想的には、映像データのバッファ書き込み量と、無線

データの読み出し量が一致することが望ましい。また、バッファでの遅延を軽減するために、書き込みデータが即時読み出されることが望ましい。

さらに、FPU では伝送安定性を確保することが必須であるので、映像レート制御は無線レート制御に従属させる。

これらの要件を満たす統括制御方式について説明する。無線部のデータ伝送量は無線部のレート制御から単位時間当たりの伝送ビット量を計算し、この値はミリ秒オーダーで変動するため、その平均値を算出する。また、無線レートと映像レートの乖離度を把握するため、バッファの残量を算出し、平均伝送ビット量からバッファ残量を減算する。そして、この減算結果を映像レートに変換し、映像レート制御情報としている。

これはたとえば、映像レートが高く、無線レートが低い場合には、バッファ残量が増大し、映像レートは低減する方向に制御される。

制御の収束状態では、映像レートと平均無線レートが一致するようになり、バッファ残量は常時 0 に近い値となりバッファ遅延は発生しない。

また、瞬時的には読み出すべきデータがバッファに存在せず、無線部からの読み出し要求があった場合には(バッファアンダーフロー)、疑似ランダム(PN)符号などのスタッフィングデータを無線部に送出し、受信部ではスタッフィングデータを受け取った場合には、それを破棄する。

図9 は伝搬路でシャドーイングが生じたときの無線レート制御、映像レート制御、およびバッファ残量を示したグラフである。無線レートは伝搬路の伝送容量に高速に追従して制御しており、グラフ中央の時間近辺ではシャドーイングが発生し、無線レートを急激に低下させている。無線レートが低下した後、映像レートは 1 秒程度の時間遅れを伴って追従している。この制御遅れの期間に、バッファ残量が増加し、映像レートが追従してから、バッファ残量も低下しはじめる。その後、シャドーイングが回復し、無線レートが増加すると、バッファ残量が減少し、0 に近づく。このように、若干の制御遅れは生じるものの、バッファ残量を監視し、それを 0 にするようにフィードバック制御することで、無線レートに映像レートを追従させている。

図9 映像- 無線統括制御

8 野外伝送実験

今回の研究開発で製作した装置の外観を図10 に示し、これらの試作装置を用いて野外実験を実施した。

野外伝送実験は BS を東京都世田谷区の NHK 放送技術研図8 映像- 無線統括制御

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移動体 8K 素材伝送 FPU の開発

究所に設置し、MS(中継車)は NHK 放送技術研究所近辺を走行しながら伝送を行った。

この実験系統を図11 に、実験諸元を表3 に示す。移動局にて 8K カメラで撮像した映像を可変レート映像符号化装置で圧縮し、固有モード MIMO-FPU を用いた伝送実験を実施し、最大ビットレートとレート制御による安定伝送の可否を確認した。

また、図10 に示すように、伝送状態を把握できるソフトウェアも開発し、受信コンスタレーション、受信電界、ビットエラーレート、伝送レートなどをリアルタイムで観測することができる。

図11 実験系統図

野外実験の結果(実験走行ルートでの伝送可否と伝送レート)を図12 に示す。基地局周辺の受信品質が十分高いエリアでは高い伝送レート(最大 145Mbps)で 8K 映像が伝送できることを確認した。

図12 実験走行ルートでの伝送可否と伝送レート

表3 野外実験での主要諸元キャリア周波数 2,330~2,370MHz帯域幅 17.18MHz送信出力 10W × 4伝送方式 4 × 4 固有モード MIMO総変調多値数 16 ビット

図10 試作機外観

資料:「国土地理院発行地図」をもとに作成

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技術論文 移動体 8K 素材伝送 FPU の開発

また、同一の伝送レートであっても、基地局と移動局がLOS 環境となるような場所では少ないストリーム数が選択され、逆にマルチパスが多い環境では、多くのストリーム数が選択されていることが確認できる。さらに、ストリームの固有値の大きさに応じて、適切に変調多値数の割り当てが行われていることも確認した。

さらに、レート制御においても、伝搬路変動に伴い、映像/無線レートを統括して制御することで、途切れることのない移動中継を実現することができた。たとえば、図12 に示すとおり、基地局から南下するに従いレートが低下しているが、8K 映像が途切れずに伝送できていることを確認した。

9 むすび

本研究は総務省から委託されている「次世代映像素材伝送の実現に向けた高効率周波数利用技術に関する研究開発」により行われたものであり、(ウ)超高圧縮伝送技術の開発と、

(ア)伝送容量可変化技術の開発における固有モード MIMO-FPU の装置製作に取り組んだ。

本研究開発では、特に高速な伝搬路変動に追従可能な無線レート制御技術、8K 映像符号化レートの可変技術、およびそれらのレートの乖離を吸収する映像/無線レート統括制御技術を開発した。

また、試作した FPU を用いてフィールド実験を実施し、最高ビットレート 145Mbps を達成し、伝搬路状況が劣化しても映像レートと無線レートを伝搬路特性に応じて最適制御することで、安定した 8K 伝送が実現できることを確認した。

今後は、更なる伝送特性の改善と、顧客の運用に適したシステム開発を行う予定である。

当社では今後も、テレビ視聴者の方々に美しく、感動的な放送をお届けできるように、継続した技術開発を行っていく所存である。

10 謝辞

実証実験の実施にご協力いただきました日本放送協会放送技術研究所、株式会社 NHK テクノロジーズの皆様に深く感謝いたします。

本研究開発の成果は総務省委託研究「電波資源拡大のための研究開発」のうち、「次世代映像素材伝送の実現に向けた高効率周波数利用技術に関する研究開発」によって得られたものです。

11 参考文献

[ 1 ] https://www.soumu.go.jp/main_content/ 000387523.pdf

[ 2 ] 電波産業会、「1.2GHz/2.3GHz 帯 テレビジョン放送番組素材伝送用可搬形 OFDM 方式デジタル無線伝送システム」ARIB STD-B57 2.0 版、2014

[ 3 ] https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/fees/purpose/pdf/H29_RD02.pdf

[ 4 ] 光山和彦、伊藤史人、鵜澤史貴、居相直彦、「移動中継用 1.2GHz/2.3GHz 帯スーパーハイビジョン FPUの実現に向けた無線伝送技術」、NHK 技研 R&D、No.165、pp.54-67

[ 5 ] Kazuhiko Mitsuyama, Naohiko Iai, “Adaptive Bit and Power Allocation Algorithm for SVD-MIMO System with Fixed Transmission Rate”, 10th IEEE Wire less and Mobi le Comput ing , Network ing and Communicat ion (IEEE WiMob2014), pp.455-460

[ 6 ] Kazuhiko Mitsuyama, Takashi Kumagai, Naohiko Iai, “Performance Evaluation of SVD-MIMO-OFDM System with a Thinned-out Number of Precoding Weights”, IEICE ISAP2015, [S2.12], p.936-939

[ 7 ] Fumito Ito, Fumiki Uzawa, Kazuhiko Mitsuyama, Naohiko Iai, “Performance Evaluation of TDD-SVD-MIMO System with Feedback Delays”, International Symposium on Antennas and Propagation 2017 (ISAP 2017), ID1057

[ 8 ] 須藤浩章、小坂和裕、金本英樹、下条則之、安永毅、上杉充、「移動伝送用 FPU における干渉回避のためのスペクトラムセンシング方式の検討」、信学技報、RCS2018-1

[ 9 ] 藤倉幹夫、宮下敦、鈴木英樹、石川恭啓、「映像切替方法が符号化処理に与える一考察~動きベクトル検出の精度向上~」、映情学年大、31E-4

[10] 鈴木英樹、「超高圧縮伝送技術の開発-可変レート符号化制御-」、映情学技報

[11] 仲田樹広、藤倉幹夫、海老沢直人、赤石憲道、石川恭啓、加藤大季、「1.2/2.3GHz 帯移動体 PU の開発」、日立国際電気技報 2016、No.17、pp.10-19

[12] 鵜澤史貴、伊藤史人、光山和彦、熊谷崇、居相直彦、「移動中継用 FPU に適用するレートマッチングの検討」、信学総大 2017、B-5-6、pp.342

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移動体 8K 素材伝送 FPU の開発

[13] 鵜澤史貴、伊藤史人、光山和彦、居相直彦、「適応送信制御 4 × 4 TDD-SVD-MIMO システムに適用するレートマッチング方式」、映情学技報、Vol.41、No.35、BCT2017-83、pp.9-12

[14] Toshiyuki Miyauchi, Kouhei Yamamoto, Takashi Y o k o k a w a , M a s a y u k i H a t t o r i “ H i g h -performance programmable SISO decoder VLSI implementation for decoding turbo codes”, Sony Corp, Global Telecommunications Conference, 2001. GLOBECOM ‘01. IEEE (Volume:1)

執筆者紹介

星 大樹 (ほし だいき)

2012 年 (株)日立国際電気入社現 在 (株)日立国際電気

事業企画本部 次世代技術開発部 主にデジタル無線システムの開発に従事

加藤 大季 (かとう ひろき)

2011 年 (株)日立国際電気入社現 在 (株)日立国際電気

事業企画本部 次世代技術開発部 主にデジタル無線システムの開発に従事

海老沢 直人 (えびさわ なおと)

1991 年 日立電子(株)入社現 在 (株)日立国際電気

モノづくり統括本部  放送プロダクト部  技師 主に放送素材伝送用デジタル無線装置の開発に従事

藤倉 幹夫 (ふじくら みきお)

1997 年 日立電子(株) 入社現 在 (株)日立国際電気

モノづくり統括本部  放送プロダクト部  技師 主に放送素材伝送用デジタル無線装置の開発に従事

※執筆者の所属部署名は、2020 年 3 月現在のものです。