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平成26年 測量士・測量士補国家試験問題重点解説⑥ 福島和好 【解 説】 問題の図を模式化し,条件,説明を加えた図が図解25 である。 求める路線長は図解25で,L L C L であるので,L L C の値が計算できればよい。 L=A 2 /R…公式よりL=80×80/100=64m L C =R・α…公式,α=I-2 τ (図解25参照)及び τ=L/ (2R)…公式から L C =R(I-2 τ)=RI-2R×L/ (2R)=RI-L =100×72×(π/180)-64=61.68m L+L C +L=64.00+61.68+64.00=189.68m≒190m 正解は4である。 図解25 32 THE JOURNAL OF SURVEY 測量 2015.3 平成26年 応用測量の出題内容 平成26年度の応用測量の出題は,測量士では計算問題2題(路線クロソイド計算,用地面積計算),文章問 題2題(用地,河川の準則に関しての正誤各1),また,測量士補では計算問題3題(路線縦断計算,用地面 積計算,河川河床高計算),文章問題1題(路線の準則に関しての正誤)であった。 3月号では,紙数の関係で 以上から測量士では路線計算問題1問,用地計算問題1問,また測量士補では路 線計算問題1問,河川計算問題1問をそれぞれ選んで解説する。本年度は,測量士の面積計算問題では2次方程 式の解を求められたり,測量士補河川問題では「平均河床高の計算」が要求された。ここ数年では珍しい出題である。 測量士 〔No.25〕

CW6 A1001 P32 受験ゼミナール次にPX,PY を未知数とした図形ABPQの面積計算表か ら求められる式と,先の実面積の計算値を連立させれば (1)式と同じ結果が得られる。後の2次方程式の解法以

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平成26年 測量士・測量士補国家試験問題重点解説⑥福島和好

【解 説】 問題の図を模式化し,条件,説明を加えた図が図解25である。 求める路線長は図解25で,L+LC+Lであるので,LとLCの値が計算できればよい。 L=A2/R…公式よりL=80×80/100=64m LC=R・α…公式,α=I-2τ(図解25参照)及び τ=L/(2R)…公式から LC=R(I-2τ)=RI-2R×L/(2R)=RI-L  =100×72×(π/180)-64=61.68m L+LC+L=64.00+61.68+64.00=189.68m≒190m  正解は4である。

図解25

32 THE JOURNAL OF SURVEY 測量 2015.3

平成26年 応用測量の出題内容 平成26年度の応用測量の出題は,測量士では計算問題2題(路線クロソイド計算,用地面積計算),文章問題2題(用地,河川の準則に関しての正誤各1),また,測量士補では計算問題3題(路線縦断計算,用地面積計算,河川河床高計算),文章問題1題(路線の準則に関しての正誤)であった。 3月号では,紙数の関係で 以上から測量士では路線計算問題1問,用地計算問題1問,また測量士補では路線計算問題1問,河川計算問題1問をそれぞれ選んで解説する。本年度は,測量士の面積計算問題では2次方程式の解を求められたり,測量士補河川問題では「平均河床高の計算」が要求された。ここ数年では珍しい出題である。

測量士 〔No.25〕

【解 説】 図解27は問題の図に,点PからADに下ろした垂線とADとの交点を点Qとし,さらに点Bと点C間のΔX,ΔYも書き加えたものである。(PQは整正線であるので,この垂線のY座標値はFとGの間に入る。)

 PQ線が甲乙の面積を変化させない線であれば,図形PEFGQ面積は「0」になる。つまり,PのX,Y座標値を未知数としたこの図形の面積計算表を作成し,その値を「0」とした等式を立てれば解決する。 本解説では,計算しやすいようにΔYの算出を上段Y値から下段Y値を引く形にした下記の式を使う。

 S=   xi=(yi-1-yi+1)

 計算簡略化のために,B点の座標値を(0,0)とした計算表は以下のとおりになる。PEFGQの面積計算

境界点 Xi(m) Yi(m)(Yi-1-Yi+1)m Xi(Yi-1-Yi+1)m2

P XP YP YP-26.00 XPYP-26XP

E 6.50 26.00 YP-14.00 6.5YP-91F -10.00 14.00 -0.50 5.00G -20.00 26.50 14.00-YP -280+20YP

Q -20.00 YP 26.50-YP -530+20YP

計 Σ=0.00 2S=XPYP-26XP

+46.5YP-896=0

 ここで,図解27のとおり,PはBC上にあり,XP=YP/4の関係にあるので,倍面積の結果にこれを代入して整理すると

  Y2P+40YP-896=0 となる。� (1)

 この式は2次方程式の標準式aX2+bX+c=0の形になるので

2次方程式の解の公式 X=

で解が求められる。

12

n

Σi=1

14

√ ̄ ̄ ̄-b± b2-4ac2a

図解27

33THE JOURNAL OF SURVEY 測量 2015.3

測量士 〔No.27〕

 (1)式の係数はa=1/4,b=40,c=-896になり,これを上式に代入すると

 YP=

 したがって,上式の計算結果はYP=19.92m又は-179.92mとなる。YP�はYF�とYG�の間にあるので,YP=19.92の方が採用値である。 ただし,このY値はYB=0の時のPのY値なので,元来の座標値に書き直すと

 YP=-16,050.00+19.92=-16,030.08m となる。 正解は2である。

別解 まず,図形ABEFGの面積計算を行い実面積を求める。次にPX,PY�を未知数とした図形ABPQの面積計算表から求められる式と,先の実面積の計算値を連立させれば(1)式と同じ結果が得られる。後の2次方程式の解法以下は同じである。

√ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄-40± 402-4×(1/4)×(-896)2×(1/4)

【解 説】 ア,イ,ウに当てはまる値を,表解26を参照しながら解説する。 この観測手簿は「器高式記帳法」により記入されたものである。器高式記帳法は,1回の後視で,多数の前視点の標高を決定するのに便利な方法である。イメージは以下の図で,ここでの「器械高」とは,後視点(No.1)の標高値に後視標尺読定値を加えた値で,後視視準線の「標高」になる。

34 THE JOURNAL OF SURVEY 測量 2015.3

測量士補 〔No.26〕

 計算の順序はイ⇒ウ⇒アである。 イの計算:  既知点間比高�=BM2標高-BM1標高�

=�79.985-80.275=-0.290m  BM1~BM2の観測比高�=Σ後視-Σ前視�

=4.520-4.813=-0.293m � (Σ後視,Σ前視は 印の合計。それ以外の前視は「中間視」といい,結合の計算には含めない。) したがって,この路線の全補正量は  既知点間比高-観測比高�=-0.290-(-0.293)�

=+0.003m 問題の表26では,No.2+5m,No.4及びBM2の3点の観測標高に,それぞれ1mmづつ,合計,3mmがすでに補正済みなので,No.1の標高についての補正量(イ)は結果的には「0mm」になる。 ウの計算:  No.1の標高�=BM1器械高-No.1前視+補正量�

=81.583-1.043+0.000=80.540m アの計算:  No.1の器械高�=No.1標高+No.1後視�

=80.540+0.841=81.381m まとめると,ア=81.381,イ=0,ウ=80.540になり正解は1になる。

表解26

Σ後視=4.520 Σ前視=4.813

35THE JOURNAL OF SURVEY 測量 2015.3

測量士補 〔No.28〕

【解 説】 平均河床高とは,河川のある横断面においての「低水路」の平均の河床の高さである。河川横断面毎の高さを平均化して表すことで,河床高の経年的変化の概略がわかる。公共測量の準則の範囲からは外れている概念であるが,測量士,補の国家試験に河川測量の問題として時々出題される。 低水路:通常の(洪水時ではない)川の水が流れる部分で,本問では「河床部」としている。測点4~6の「水面」は観測時の一時的な水面であり本問では解答に関与しない。 「平均河床高」は次の式で求める。 平均河床高=基準面水位高-(河積/基準水面幅) 上式の要素を図解28(問題の図に表28の横断測量結果から得られる数値を加筆)を見ながら具体的に説明すると

 基準面水位高とは,     �左岸堤防表法尻(測点3)と右岸堤防表法尻

(測点7)を結ぶ水面の標高 河積とは�河床部における河川横断面の面積(測点3,4,

5,6,7,で囲まれた面積) 基準水面幅とは,基準面水位における河川幅となる。 この3要素を求めれば平均河床高の標高が算出できる。 数字を入れて計算すると 基準面水位高  =距離標の標高+距離標と測点3(測点7)の比高  =20.7-4.7=16.0m 河積=図形①,②,③,④の面積の合計  ①の面積=(1.5×3.0)/2=2.25  ②の面積=(1.5+2.0)/2×2.0=3.5  ③の面積=(2.0+1.5)/2×2.0=3.5  ④の面積=(1.5×3.0)/2=2.25    合計 11.5m2

 水面幅=測点3と測点7の距離    =測点3と,測点7の距離標からの距離の差    =13.0-3.0=10.0m したがって 平均河床高=16.0m-(11.5m2/10.0m)      =16.0m-1.15m=14.85m 正解は3である。

図解28

 昨年,10月から12月にかけダムの堆砂量を確認するため,深浅測量を実施しました。表紙の写真はエンジン付きボ-トと音響測深機等を利用し河床を計測している状況です。落ち葉が風に舞う季節,この日は天候も良く濃霧も発生していませんが,多少風がありボ-トに乗船している社員は寒さに耐えながら操作している様子が窺えると思います。 写真の場所は,山形県尾花沢市を流れる最上川水系丹生川の上流部に位置する新鶴子ダムです。主に農業用水,水力発電を目的として1990年に完成した,高さ96m,総貯水容量31,500,000トンのロックフィルダムで,農業用ダムとしては,堤体規模・貯水容量が日本最大級の農林水産省直轄ダムです。ダム湖は平成に入りすぐ完成したことから「平成湖」(へいせいのみずうみ)とよばれており,周辺は県立自然公園に指定されているので,四季を通して雄大な自然が望めます。 近くには「おしん」で有名な大正ロマン漂う銀山温泉もあり,当社からそれぞれ車で20分程の距離に位置しています。 当社は,測量業,建設コンサルタント,補償コンサルタント,1級建築士事務所,情報処理業等の多岐にわたる業務においてこれまで培ってきた技術と経験を活かし,顧客に信頼される技術サ-ビスを提供し,社会に貢献する活力ある会社づくりを目指しております。 特に基準点測量は公共事業においての基盤であり,社会生活の礎になることから,品質向上に向け新しい技術を積極的に採り入れながら,社員一同,研鑽に努めています。

 写真に写っている社員は,ダム湖の取水設備タワーを背景に,寒風の中を何度となくボ-トを走らせてくれました。日々の業務に取り組む姿勢が表れていて,どことなく表情が凛々しく映っているようです。 この日一番苦労したのは,ダム湖の水際でシャッターチャンスを逃すまいと,寒さに耐えながら待ち構えていた技術部の菅野カメラマンだったのでは……。� 株式会社成和技術 技術部技術4課長 青木 次美

Young Aspiring Professionals(専門職志向の若者たち~深浅測量~)表紙の解説

36 THE JOURNAL OF SURVEY 測量 2015.3