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1 COP21・パリ協定を活かし 脱炭素社会を目指すために WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ リーダー 山岸 尚之 2016428日(木) NPO法人 新現役ネット会議室 EVFセミナー

COP21・パリ協定を活かし 脱炭素社会を目指すために2016/04/28  · COP21・パリ協定を活かし 脱炭素社会を目指すために WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ

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1

COP21・パリ協定を活かし 脱炭素社会を目指すために

WWFジャパン

気候変動・エネルギーグループ リーダー

山岸 尚之

2016年4月28日(木)

NPO法人 新現役ネット会議室

EVFセミナー

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パリ協定って?

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• 議長国であったフランスの巧みな采配。

• 「先進国」と「途上国」の対立を超えた歩み寄り。

• 「グローバルな合意」を求める気運。

パリ協定の合意

4

© IISD

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象徴的な出来事としての「高い野心連合」

時期 経緯

会議以前 EUおよびアフリカ・カリブ海・太平洋諸国(79カ国)からなるグループ

12月9日 アメリカ、コロンビア、メキシコ、ノルウェーが加入

12月11日 ブラジル、フィリピン、セイシェル、ルクセンブルグ、チリ、フィジー、グレナダが加入

12月12日 日本、オーストラリアなどが加入

“Coalition of High Ambition”

UNFCCC Webcast より

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「協定」「議定書」「条約」・・・?

国連気候変動

枠組条約

1992

京都議定書

1997

コペンハーゲン合意

2009

カンクン合意

2010

1995-現在まで

第1約束期間

2008-2012

第2約束期間 2013-2020

自主目標 2013-2020

1992 2010

パリ協定

2015 2020以降・・・

2015 2020

ダーバンプラット・フォーム

2011

ADP

2005

► 「条約」「議定書」「協定」と呼び名は違っても、「国際条約」であることは同じ。

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パリ協定の全体像

気温上昇を1.5℃/2℃未満に抑える世界

温室効果ガス

排出量削減

今世紀後半

実質ゼロ

気候変動影響

の軽減対応

発生被害への救済等

緩和 適応

損失と被害

各国の排出量削減目標

+適応・資金・技術・キャパシティ・ビルディング

NDC(国別目標)

資金 技術開発・移転 キャパシティ・ビルディング

(人材育成等)

5年ごとの

見直し 世界全体での進捗

確認

段階的な改善

(2025・2030年

以降も視野に)

国連外の取り組み(企業・自治体・NGO)の取り込み

メカ

森林

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「2℃/1.5℃」目標と「実質ゼロ」目標の意味

-10

0

10

20

30

40

50

60

1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100

排出量(単位:

10億

tCO

2換算)

2℃/1.5℃未満を達成するシナリオ例

過去の排出量

2 ºC

1.5℃

► 2℃・1.5℃目標を達成するためには、今世紀後半には温室効果ガス排出量はゼロにしなければならない。

(出所) 上記の2℃未満/1.5℃未満シナリオは、UNEP (2015) の中央値を使用。

今世紀後半

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パリ協定の目標の性質

京都議定書 パリ協定

名前 QELROs

(削減数値目標) NDCs

(国別に定める貢献)

目標を持つこと 義務 義務

目標の達成 義務 義務でない

目標の達成のために 国内対策をとること

義務 義務

目標の形式 1990年を基準として、 2008年〜2012年の5年間平均の排出削減%

各国自由

遵守 守れなかった場合の

罰則あり

罰則は作られない予定 ただし、国際的なレ

ビューを受ける

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足りない削減量

► 各国がCOP21前に提出した目標を合計し

ても、必要な削減量に足りない。

► 欧州の複数の研究機関による合同試算で

は、2100年までに2.7℃以上の上昇を招いてしまう(左図Pledgesの中央値)。

► また、90%以上の確率で、2℃を超えてしまう。

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5年ごとの見直しによる強化

国別目標2

国別目標1

国別目標3

2015 2020 2025 2030

国別目標の 提出・事前協議

2035 ….

グローバル・ ストックテイク

2018 促進的対話

2019-20 2030年目標の

(再)提出・更新

2023 グローバル・

ストックテイク

2028 グローバル・

ストックテイク

2033 グローバル・

ストックテイク

2024-25 2035年目標?

の提出

2029-30 2040年目標?

の提出

2034-35 2045年目標?

の提出

京都議定書第2約束期間

カンクン合意自主目標

カンクン合意/ 京都議定書

パリ協定

世界全体と国別の2つのレベルで

強化が検討される

※アメリカ等を除き、多くの国は2030年目標を持っている

・・・・

「前進性」の原則

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政府以外の主体の重視

► 日本からは、75の自治体、165の企業、19の投資機関が参加(2015年年2月現在)。

NAZCA

LPAA ► Lima Paris Action Agenda の略。様々なアクターが、国の目標の内外で採る温暖化対策を集積するものとして2014年に設立。

► 上記LPAAの下で様々なアクターが約束する対策・イニシアティブを登録する登録簿として2014年に設立。

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日本は?

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日本の温室効果ガス排出量の推移(1990〜2013年度)

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1990 1995 2000 2005 2010

温室効果ガス排出量(百万トン

CO

2換算)

CO2以外の温室効果

ガス その他CO2

家庭

業務その他

運輸

産業

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日本の現在の温室効果ガス排出量削減目標

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050

温室効果ガス排出量

(百万

t-C

O2

eq

)

2030年までに 2013年比で 26%削減

2050年までに 80%削減

2020年までに 2005年比で3.8%削減

NDC

第4次環境基本計画

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Climate Action Tracker による評価

お手本(Role Model) 該当なし

充分(Sufficient) ブータン、コスタリカ、エチオピア、モロッコ、ガンビア

中程度(Medium) ブラジル、中国、EU、インド、カザフスタン、メキシコ、ノルウェー、ペルー、フィリピン、スイス、アメリカ

不十分(Inadequate)

アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、チリ、インドネ

シア、日本、ニュージーランド、ロシア、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、韓国、トルコ、UAE、ウクライナ

► 欧州系の複数の研究機関による合同評価。

► 「2℃未満」を達成できるようなシナリオを前提としている。

► 必要な削減量を各国でどう分担するべきかは、既存の様々な評価手法を幅を使っている。

(出所) Climate Action Tracker http://climateactiontracker.org/countries/japan.html

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他国との比較(1)GDP当たり排出量

(出所) UNEP (2015)

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他国との比較(2):一人当たりの排出量

(出所) UNEP (2015)

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石炭火力発電所からの排出量の増加

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

0

50

100

150

200

250

300

1990 1995 2000 2005 2010

石炭火発の発電量(一般事業者のみ)

(単位:億

kW

h)

石炭火発からの

CO

2排出量

(単位:百万トン

CO

2)

発電量(棒グラフ/右軸)

排出量(線グラフ/左軸)

(出所) 総合エネルギー統計・エネルギーバランス表各年およびエネルギー白書2015年版より作成。

► 1990年と2013年を比較した時、石炭火発からの排出量増分(158百万トン)は、日本全体の増分(138百万トン)よりも多い。

他の分野での削減努力が相殺されている

排出量 約2.8倍に!

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目標想定以上に増える?石炭火発

2.76

2.4

2.91

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0

1

2

3

2012年 2030年目標 +18GWを考慮した

2030年

石炭火発の発電量

(単位:

TW

h)

石炭火発からの排出量

(単位:億トン

CO

2)

発電量(棒グラフ/右軸) 排出量(線グラフ・左軸)

► 現状の石炭火力増設を考慮すると、排出量は目標値よりも

さらに5千万トン以上増える。

(出所) 栗山・倉持(2015)より筆者作成。

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パリ協定からの5つの宿題

目標を設定し、国内施策をとる義務(4条2項)

55カ国55%以上が発効には必要(21条)

2018年に促進的対話、2019〜2020年に国別目標の再提出(決定段落20・24・25)

長期低排出発展戦略の2020年までの提出(4条19項・決定段落30)

26%削減目標を超えうる国内対策の整備を!

早期の批准を!

2030年目標を見直し、2019年に再提出を!

2050年までの長期計画を!

「2℃未満」目標、「1.5℃」目標、「実質ゼロ」の方向性(目的、4条1項)

基本法制定/法改正で盛り込みを!

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世界は?

– 他国や企業の取り組み

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「実質ゼロ」が意味するもの

(出所) 上記の2℃未満シナリオは、UNEP (2015) の中央値を使用。

-10

0

10

20

30

40

50

60

1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100

排出量(単位:

10億

tCO

2換算)

2℃未満を達成する「今世紀後半に実質ゼロ」シナリオ例

2020年時点で運転が開始される設備は、寿命が20年なら、急速な低炭素化に対応しなければならず、40年なら脱炭素に対応できなければ、ほとんど使えない。

ゼロ・カーボンに向かう「今世紀後半」

40年の寿命

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規制を入れる(アメリカの事例)

Clean Power Plan (クリーン電力計画)

Carbon Pollution Standards

(炭素排出基準)

新しい発電所を建てる時に、クリアしなければならない基準設定。事実上、石炭火力はもう建てられない。

既存の発電所からの排出量を、全米で2030年までに2005年比で32%削減する。そのために、各州が独自計画を作る。

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気候変動対策に関する法律を作る(メキシコの事例)

► 2012年4月、メキシコ議会は気候変動に関する基本法(通称LGCC)。を成立させた。

► 省庁横断の「気候変動委員会」の設立。

► 2020年までに、温室効果ガス排出量をなりゆきケース(BAU)と比較して30%削減する。

► 2050年までに、2000年比で50%削減する。

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再生可能エネルギー100%宣言(企業の事例)

企業名 本社 目標年

Adobe アメリカ 2035年

BMWグループ ドイツ 明示なし

Google アメリカ 明示なし

H&M スウェーデン 明示なし

イケア オランダ 2020年

マークス&スペンサー イギリス 明示なし

マイクロソフト アメリカ 2014年

ナイキ アメリカ 2025年

ロイヤルフィリップス オランダ 2020年

ユニリーバ オランダ 2030年

ウォルマート アメリカ 明示なし

RE100レポートからの抜粋(右記)

(出所) The Climate Group (2016) より筆者抜粋。

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地域・自治体は?

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自治体による対策計画策定状況

策定済み 未策定

合計 策定予定 予定なし

政令指定都市 (人口50万人以上)

16 2 2 20

中核市 (人口30万人以上)

42 1 0 43

特例市 (人口20万人以上)

36 4 0 40

人口10万以上 92

(49.2%)

20 (10.7%

75 (40.1%

) 187

市区町村全体 336

(19.3%)

235 (13.5%

1,170 (67.2%

) 1,741

実行計画(区域施策編)の策定状況(2014年10月1日時点)

► やはり、規模が小さい所ほど未策定の所が多い。 ► 政令指定都市でも「予定なし」のところも・・・。

(出所) 環境省(2015)より筆者作成。

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自治体による再生可能エネルギー目標の設定

市区町村による再生可能エネルギー目標設定状況(2013年時点)

区分 数 割合

市区町村全体(1741) 216 12.4%

人口50万人以上の自治体 36.8%

区分 設定している 設定していない

都道府県全体(47) 40 7

都道府県による再生可能エネルギー目標設定状況(2013年時点)

(出所) 倉坂研究室(2013a、2013b)より抜粋。

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代表的な国際イニシアティブに参加する?

C40

► 世界の83都市が参加している。世界のGDPの25%を占める。

► 日本からは東京と横浜のみ。

► 世界から1000以上の自治体が参加している。

► 日本からは17の自治体が参加している。

ICLEI

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COP21で打ち出された「5カ年ビジョン」

5カ年ビジョン

排出量削減 レジリエンス 資金

The Compact of Mayors

• 437都市が参加

The Compact of State and Regions

• The Climate Group 主導。

• 44の州や地域が参加

The Covenant of Mayors

• 欧州委員会主導。

• 6651の署名自治体他。

Under2MoU

• カリフォルニア州とバーデン・ヴェルテンベルク州の取り組みから。

The Medellin Collaboration on Urban Resilience

• レジリエンス向上に関する国際連盟。

仙台フレームワーク

• 防災の国際枠組み。

The Climate City Finance Leadership Alliance • 自治体での気候変動対策

のための投資・資本の流れを加速する。

• GEF・JICA等の資金・支援機関に加え、C40・ICLEI等も参加。

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地域の対策?

2℃未満(できれば1.5℃)に抑えつつ 4℃上昇の世界に備える

緩和 (排出量削減)

適応 (影響に対応する)

主要部門の把握 2030年/2050年目標+計画

• 温室効果ガス排出量 • 再生エネ • 省エネルギー

「脆弱性」の把握 「レジリエンス(強靭性)」

の強化

地域の優先課題との融合 (人口減少対策・創成総合戦略、災害対策、コンパクトシティ化との整合

性、インフラ更新等)

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利用可能な資料:国環研「S-8」報告書資料

► 国環研のウェブサイトでは、世界全体で「4℃上昇」を意味するシナリオの中で予想される影響を、都道府県別に、地図と数字を提供している。ただし、主要指標のみ。上図は長野県の事例(左図が1981〜2000年の状況で、右図が2081〜2100年の予測)。

► http://www.nies.go.jp/s8_project/scenariodata2.html

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市民は?

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家庭の中での消費エネルギー

0%

2%

4%

6%

8%

1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010

世帯当たり光熱費支出が消費支出に占める割合の推移

(出所) 住環境計画研究所(2013)

► 家庭の消費支出の中で、エネルギーが占める割合は増えてきている。 ► ただし、家庭でのエネルギー消費量(世帯当たり)は、2000頃をピー

クに少し減少傾向にある。

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36

家庭でのエネルギー消費量とCO2排出量

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

2000 2005 2010

世帯当たり

CO

2排出量

(kg

-CO

2/世帯)

世帯辺りエネルギー消費量

(M

J/世帯)

世帯当たりのエネルギー消費量とCO2排出量の推移

世帯当たりエネルギー消費量(MJ/世帯)

世帯当たりCO2排出量(kg-CO2/世帯)

(出所) 住環境計画研究所(2013)

► 家庭のエネルギー消費量とCO2排出量は、連動して増加してきた。 ► しかし、近年(2000年以降)の傾向を見ると、エネルギー消費量はわ

ずかに減少傾向にあるのに、CO2排出量は連動していない。これは、震災前からそうである。 電力原単位の影響

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37

家庭の中で重要性を増す電気

0%

10%

20%

30%

40%

50%

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 電気がエネルギー消費量全体に占める割合

世帯当たりエネルギー・電気消費量

(M

J/世帯)

世帯当たりエネルギー消費量の中での

電気消費量とその割合

全体

電気

電気の割合

► 家庭のエネルギー消費の中で、電気の割合が伸びてきている。

► エネルギー消費量が2000年ごろでピークを迎えたのに対し、電気の消費量はそれ以降も増えた。ただ、近年は停滞が見える。

(出所) 住環境計画研究所(2013)

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38

電気を選ぶ

http://power-shift.org

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「パワーシフト」な電力会社

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市民ができること

選挙に行く

住んでいる自治体の取り組み

電力自由化で選べるか調べてみる

再エネ関連商品を探してみる

グリーン電力証書等

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これからもご支援をどうそよろしくお願い申し上げます

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参考資料

• 環境省(2015)「地方公共団体における地球温暖化対策の推進に関する法律施行状況調査結果(平成26年10月1日現在)」 環境省

https://www.env.go.jp/earth/dantai/h261001.html

• 温暖化影響・適応研究プロジェクトチーム(2014) 『地球温暖化「日本への影響」-- 新たなシナリオに基づく総合的影響予測と適応策--(S-8温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究 2014報告書)』 国立環境研究所

http://www.nies.go.jp/s8_project/index.html • 倉坂研究室(2013a)「都道府県における再生可能エネルギー政策調査結果について(概要)」

http://homepage3.nifty.com/kurasaka/ • 倉坂研究室(2013b)「市区町村における再生可能エネルギー政策調査結果について(概要)」

http://homepage3.nifty.com/kurasaka/ • 栗山昭久・倉持壮(2015) 「増加する石炭火力発電所が日本の中長期削減目標に与える影響」(IGES

Working Paper No. WP1503)

http://pub.iges.or.jp/modules/envirolib/view.php?docid=5991 • 経済産業省資源エネルギー庁(2015) 『エネルギー白書』

http://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/ • 経済産業省資源エネルギー庁 各年 「総合エネルギー統計ーエネルギーバランス表」

http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/ • CDP (2015) 『CDP気候変動レポート2015:日本版』 CDP

https://www.cdp.net • 住環境計画研究所/編(2013) 『家庭用エネルギーハンドブック 2014年版』 省エネルギーセンター

• The Climate Group (2016) RE100: Growing Market Demand for Renewable Power - RE100 Annual Report

2016.

http://www.theclimategroup.org/what-we-do/publications/re100-annual-report-2016/

• Global Carbon Project (2015) Carbon budget and trends 2015.

http://www.globalcarbonproject.org/carbonbudget

• Grassi, Giacomo and Dentener, Frank. (2015) Quantifying the contribution of the Land Use sector to the

Paris Climate Agreement. Joint Research Center, European Commission.

• IEA (2016) World Indicators. IEA World Energy Statistics and Balances (database).

DOI: http://dx.doi.org/10.1787/data-00514-en (Accessed on 21 January 2016)