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商品技術解説 108 富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011 Color 1000 Press, Color 800 Press Color 1000 Press, Color 800 Press Color 1000 Press、Color 800 Press(以下Color Pressと記述)は、100 頁/分・80頁/分の印刷スピー ドをもつ高速カラーパブリッシングシステムである。 EA-Eco トナーの採用により画像表面の盛り上がり を抑制するとともに色域再現領域を拡大、感光体・中 間転写ベルト・定着器の全ての技術を新規に開発する ことで、更なる高画質化と共に高い信頼性と耐久性を 実現、かねてから定評のある 2400dpi の高解像度理と IRECT 処理・用紙制御技術の組み合わせにより 印刷に迫る画質と高い見当精度を実現した。また新た に用紙冷却装置を搭載、YMCK に加え 5 色目にクリ アトナーを追加、給紙装置・出力装置の豊富なライン アップ、Quad CPU を採用した高速多機能コント ローラーの提供により、お客様の業務の稼動率向上、 トータル生産性向上による作業時間短縮、フォト・ト ランスプロモ・マーケティングコラテラル 1) ・パッケー ジなどへのアプリケーションの拡大によるビジネス 拡張を可能とした。 Abstract 執筆者 浩隆(Hirotaka Mori) 小西 正孝(Masataka Konishi) 川端 隆(Takashi Kawabata) 朋士(Tomoshi Hara) 久保 昌彦(Masahiko Kubo) その他 19 名 The Color 1000 Press and Color 800 Press (the “Color Press”) are high-speed color publishing systems capable of printing 100 and 80 pages per minute, respectively. The Color Press suppresses image surface elevation and supports a wider color gamut for color reproduction by using EA-Eco toner, achieves higher image quality, reliability and robustness with newly developed photoreceptor, intermediate transfer belt and fusing unit technologies, and combines renowned high-resolution processing of 2400 dpi, IRECT processing, and paper control technology. It features a new paper-cooling device, clear toner as a 5 th color in addition to YMCK, a complete lineup of paper feeding/output devices, and a high-speed multifunction controller incorporating a quad CPU. With these features, the Color Press improves the work efficiency and productivity of users, and can expand business with its extended application to photo TansPromo marketing collateral packages.

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商品技術解説

108 富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011

Color 1000 Press, Color 800 Press Color 1000 Press, Color 800 Press

要 旨

Color 1000 Press、Color 800 Press(以下Color

Press と記述)は、100 頁/分・80 頁/分の印刷スピー

ドをもつ高速カラーパブリッシングシステムである。

EA-Eco トナーの採用により画像表面の盛り上がり

を抑制するとともに色域再現領域を拡大、感光体・中

間転写ベルト・定着器の全ての技術を新規に開発する

ことで、更なる高画質化と共に高い信頼性と耐久性を

実現、かねてから定評のある 2400dpi の高解像度処

理と IRECT 処理・用紙制御技術の組み合わせにより

印刷に迫る画質と高い見当精度を実現した。また新た

に用紙冷却装置を搭載、YMCK に加え 5 色目にクリ

アトナーを追加、給紙装置・出力装置の豊富なライン

アップ、Quad CPU を採用した高速多機能コント

ローラーの提供により、お客様の業務の稼動率向上、

トータル生産性向上による作業時間短縮、フォト・ト

ランスプロモ・マーケティングコラテラル 1)・パッケー

ジなどへのアプリケーションの拡大によるビジネス

拡張を可能とした。

Abstract

執筆者

森 浩隆(Hirotaka Mori)

小西 正孝(Masataka Konishi)

川端 隆(Takashi Kawabata)

原 朋士(Tomoshi Hara)

久保 昌彦(Masahiko Kubo)

その他 19 名

The Color 1000 Press and Color 800 Press (the“Color Press”) are high-speed color publishingsystems capable of printing 100 and 80 pages perminute, respectively. The Color Press suppressesimage surface elevation and supports a wider colorgamut for color reproduction by using EA-Eco toner,achieves higher image quality, reliability androbustness with newly developed photoreceptor,intermediate transfer belt and fusing unit technologies,and combines renowned high-resolution processing of2400 dpi, IRECT processing, and paper controltechnology. It features a new paper-cooling device,clear toner as a 5th color in addition to YMCK, acomplete lineup of paper feeding/output devices, anda high-speed multifunction controller incorporating aquad CPU. With these features, the Color Pressimproves the work efficiency and productivity of users,and can expand business with its extended applicationto photo TansPromo marketing collateral packages.

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011 109

1. 緒言

近年の印刷業界は、印刷関連展示会を見るこ

とでもわかるように、オフセット機からカラー

パブリッシング機への移行が急速に進んでいる。

弊社では時代を先取りする形で 1995 年に

DocuColor4040 を市場に導入以来、常にこ

の市場をリードし続けてきた。しかしながら本

格的なオンデマンドパブリッシング機への移行

に伴い、印刷機に求められる画質・生産性・ラ

ンニングコスト・表裏レジ精度などの基本的パ

フォーマンスのみならず、薄紙から厚紙までの

幅広い用紙適合性・インライン製本機など、お

客様の業務のトータル生産性向上やアプリケー

ションの拡大によるビジネス拡張を可能とする

性能や機能の提供が重要になっている。

これらの要求に対し、お客様の業務の更なる

効率改善を実現するために、機械の抜本的な性

能・機能のアップを図った新製品 Color Press

を支える技術について解説する。

2. 商品概要

Color Press は、100 頁/分・80 頁/分出力

可能な新開発のプリンターエンジン、高機能・

高速処理コントローラー・高速後処理装置・大

量用紙給紙装置を組み合わせ、印刷を主業務と

する市場向けの商品である。以下に主な仕様を

示す。

内容 項目

Color 1000 Press Color 800 Press

形式 コンソールタイプ

カラー対応 フルカラー 解像度 2,400×2,400dpi

階調/表現色 各色 256 階調(1,670 万色) 連続プリント 速度

100 枚/分(A4 ヨコ)、 50 枚/分(A3 タテ)

80 枚/分(A4 ヨコ)、44 枚/分(A3 タテ)

プリントサイズ

・トレイ 1、2 定型サイズ:最大 A3 最小 郵便はがき(日本郵便製) 非定型サイズ:182×182 ㎜~330×488 ㎜

用紙質量 ・トレイ 1、2 55~350g/㎡ *4

給紙方式/ 給紙容量

2 段給紙 最大給紙容量:4,200 枚 トレイ 1:2,100 枚、トレイ 2:2,100 枚

出力トレイ容量 排出トレイ:500 枚、スタッカートレイ:5,000 枚

ウ ォ ー ム ア ップ・タイム 7 分以下(室温 20℃)

動作音 稼動時:8.3B、61dB(A)以下 待機時:6.9B、50dB(A)以下

電源 単相 3 線 AC200V±10% 50A、50/60Hz 共用

最大消費電力最大:7.6kW 以下 待機時:1.5kW 以下 省電力モード:0.1kW 以下

大きさ 幅 2,995×奥行 1,107×高さ 1,865 ㎜ 設置スペース 幅 4,475×奥行 3,435 ㎜

質量 1,390kg

項目 内容

CPU デュアルコア インテル® Xeon® プロセッサー

E5240(3.0GHz)×2

記憶装置 ハードディスク:500GB+200GB * 1、DVD

Multi ドライブ メモリー容量 8GB

搭載フォント

日本語 7 書体(リュウミン L-KL™、中ゴシックBBB™、太ミン A101™、太ゴ B101™、じゅん101™、見出しミン MA31™、見出しゴ MB31™)欧文 136 書体

ページ記述 言語 Adobe® PostScript® 3™、PPML

プリントデータフォーマット PS、PDF、EPS、TIFF、JPEG

対応 OS*2

Microsoft® Windows Vista® 日本語版 Microsoft® Windows Vista® 64 ビット 日本語版 Microsoft® Windows® XP 日本語版[Service Pack 3] Microsoft® Windows® XP x64 Edition 日本語版[Service Pack 3] Microsoft® Windows Server® 2003 日本語版 Microsoft® Windows Server® 2003 x64 Editions 日本語版

図 1. Color 1000 Press 外観

Color 1000 Press Appearance

表 1. プリント機能 Print Function

表 2. 外付けコントローラー[PX1000 Print Server] Printer Controller[PX1000 Print Server]

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

110 富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011

項目 内容

Microsoft® Windows Server® 2008 日本語版

Microsoft® Windows Server® 2008 x64 Editions 日本語版 Microsoft® Windows® 2000 日本語版[Service Pack 4] Mac OS 日本語版[8.6~9.2.2] Mac OS X 日本語版[10.3.9/10.4.11/10.5.8/10.6.1]

インター フェイス

Ethernet 1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T

対応 プロトコル TCP/IP(lpd/FTP)、AppleTalk、SMB、IPP

電源 AC100V±10%、10A、50/60Hz 共用 最大消費 電力 最大 1.0kW 以下

大きさ 幅 220×奥行 660×高さ 430 ㎜ (フットプレート除く)

質量 29kg

3. 主要技術 2)3)

3.1 ロングライフDrumカートリッジ

技術4)

電子写真方式とオフセット印刷の比較から、

我々が改善すべき特性の一つに画質安定性が挙

げられる。従来機種の感光体は、耐摩耗性が低

い電荷輸送層が 表層にあるため、画像パター

ンに起因する偏摩耗が発生しやすい。この偏摩

耗はページ内の画像濃度ムラとなりやすく、感

光体の長寿命化が困難であった。

そこで、 表層に耐摩耗性の高い架橋型オー

バーコート層(OCL)を設けた感光体、および

OCL 材料に適したブレードクリーニング技術

を新たに開発し、画質安定性向上および長寿命

化を達成した。以下に OCL 感光体およびクリー

ニング技術について説明する。

3.1.1 オーバーコート感光体

感光体の耐久性を向上させる為に、我々は反

応性の電荷輸送材料(CTM)を熱架橋させる

OCL を検討した。

新規 OCL は、新たに分子設計した4官能お

よび 2 官能の反応性 CTM を用い、架橋密度を

コントロールする事で摩耗率を制御している。

また反応性 CTM をほぼ 100%含有し、耐摩耗

性と電気特性の両立を実現させた。

このようにして得られた OCL を含む新規感

光体の模式図を図 2 に示す。

3.1.2 クリーニング技術

低摩耗の感光体を使う上で課題となるのが、

帯電器で発生した放電生成物が感光体表面に付

着し、高湿環境で水分と結合することで発生す

る画像流れである。この現象を抑制する為には

感光体表面をブレードクリーナ等で極微量ずつ

削り取ることが必要である。OCL は摩耗による

表面凹凸が出来にくいため、クリーニングブ

レードとの摩擦係数が高くなる。その為、ブレー

ド先端部の変形が大きくなることで、短期間で

ブレード先端部の摩耗が進行し、放電生成物除

去に必要な感光体摩耗量を維持することが出来

ないと言った課題があった。

この課題に対し、ブレードゴム物性として高

モジュラス且つ破断伸びの大きな材料を選定し

た(図 3)。従来よりも高モジュラス化すること

でブレード先端の姿勢を従来と同様に維持し、

高モジュラス化により発生しやすくなるブレー

ド先端の欠けを高破断伸び特性で防止すること

で、OCL 感光体に於いてもブレード先端部の摩

耗を低減することが可能となった。

図 3. ブレードゴム材 S-S カーブ

Blade Rubber S-S Curve

OCL 用ブレード従来ブレード

500

400

300

200

100

0100 200 300 400 500

伸び[ひずみ](%)

応力 (kgf/cm2

Substrate

UCL

CGL

CTL

OCLOCLCTM/Additive

CTLBinder/CTM

CGLBinder/CGM

UCLBinder/Pigment

図 2. 新規感光体模式図

Schematic View of New

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011 111

3.1.3 ロングライフ性能

図4に、上記で説明したOCL感光体とクリー

ニングブレードの組み合わせにて走行テストを

実施した後の感光体膜厚プロファイルを示す。

画像有無による偏摩耗を発生させることなく、

ライフに渡って均一な膜厚を維持し、画質安定

性を向上させることが可能となった。また本技

術により、弊社従来機種 DocuColor 8000 に

対し 2 倍のロングライフ化を達成した。

3.2 現像システム

EA-Eco トナーを用いた二成分現像方式を採

用し、高画像密度の連続プリント時も面内均一

性に優れている DocuColor 8000 の現像剤循

環システムをベースに更なる高画質化と高速化

を図っている。

現像器下流側のトナークラウドに対し、シー

ルロールによるクラウド抑制技術を導入して電

界により吸引したトナーを現像器内へと回収す

る機能を搭載した。

また、現像剤搬送オーガーのパラメーター

適化を行ない、搬送オーガー回転数上昇を抑制

して前任機並みの回転数使用で部品信頼性と高

生産性を両立した。更に、EA-Eco 現像剤を用

いている商品と共通技術であるアルミ製V溝ス

リーブ現像ロールを採用し、現像剤層形成の維

持安定性を確保し高画質を維持した。

一方、二成分現像剤方式においては、経時的

現像剤劣化であるキャリア抵抗変化とトナー外

添剤埋まり込みがあり、これらは粒状性の悪化

を招くという現象がある。初期キャリア抵抗設

計と現像パラメーターの 適化を行ない、更に

層形成領域の磁気特性と層形成ブロック形状に

よる現像剤フローの 適化を実施することで現

像剤へのストレス低減を図り、粒状性の悪化を

抑制している。更にアルミ製 V 溝スリーブ現像

ロールを採用し、現像剤層形成の維持安定性を

確保した。

一方、二成分現像剤方式においては、経時的

現像剤劣化であるキャリア抵抗変化とトナー外

添剤埋まり込み、粒状性の悪化を招くという現

象がある。初期キャリア抵抗設計と現像パラ

メーターの 適化を行ない、更に層形成領域の

磁気特性と層形成ブロック形状による現像剤フ

ローの 適化を実施することで現像剤へのスト

レス低減を図り、粒状性の悪化を抑制している。

3.3 放電ディフェクトの回避:大径シー

ムレス中間転写ベルト

Color Press では、高速、高画質、高生産性、

用紙対応範囲の拡大等の狙いを満たすために、

図 6 に示すような大径シームレス中間転写ベル

トを新規に開発した。

高速、かつ低湿環境等条件下での転写におい

ては、非常に高い転写電圧が必要となること、

EA-Eco トナーは、粉砕トナーよりも形状が丸

く、転写性に有利である反面、中間転写ベルト

との付着力が弱いため、転写ニップ近傍での微

量な放電やトナーへの電荷流入によるトナー飛

び散りが発生しやすいことから、高画質化の妨

げとなっていた。

図 5. 現像器の断面図

A Cross Section of the Marking Module

感光体ドラム

現像ロール 層形成ブロック

現像剤搬送オーガー

V 溝スリーブ

シールロール

層形成領域

0%

100%

0 50 100 150 200 250 300 350

軸方向位置(mm)

膜厚

(対

設計

値)

初期

ライフエンド近傍

図 4. 感光体摩耗均一性 OCL P/R Wear Uniformity

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

112 富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011

この問題に対し、新規中間転写ベルトは、裏

面側を低抵抗化することで、ベルト裏面での放

電によるディフェクトを抑制し、かつ表面側を

高抵抗化することでベルト体積方向の過剰な電

荷流入を抑制し、図 7 に示すようにディフェク

トの発生を抑制した。加えて、表面の高抵抗化

により、トナーを重ねた時に発生するトナー飛

び散りや、転写ニップ近傍での放電起因のムラ

等の発生が防止され、面内均一性に優れた画像

を提供している。

また、上記抵抗改善に加え、ベルト面内の抵

抗均一性、厚みムラの抑制、シームレス等の性

能や生産時間短縮のために、剛性を確保しなが

ら、限界まで薄肉化・軽量化した低熱容量な金

型を開発するなど、生産技術の改善を実施し大

径化による課題を回避した。

以上の改善とシームレス化により、様々な用

紙サイズに対し無駄の無い画像配置を可能とし、

より高い生産性の実現とベルトの大径化による

エンジン数の増加、ならびにロングライフ化へ

対応することができた。

3.4 ベルトロール定着器と用紙バリ取り

装置 5)

Color Press は、新規開発したベルトロール

定着器を採用している。定着器により 55g/m2

から 350g/m2 までの幅広い坪量でコート紙、

非コート紙と様々な紙種に対応し、毎分 100 枚

の高速/高生産かつ高画質の定着を実現している。

BRFの概略構成は、図 8 に示す通り、定着

ベルトの内側に、定着ロールと内部加熱ロール、

外側に外部加熱ロールを配しベルトの加熱を行

なっている。用紙と用紙上トナーはこの定着

ロールと、対向する加圧ロールによりベルトを

介して加圧加熱され定着される。

3.4.1 高生産性と用紙汎用性の両立

高生産性を得るため、定着器には熱容量の小

さいベルトを採用している。図 9 に示すように、

用紙が定着ロールを通過すると熱エネルギーが

消費され、ベルト表面温度が低下するが、2本

の加熱ロールによりベルトの内側外側から十分

な接触面積を確保することにより、ベルトが一

回転する間に十分に熱補給され、ベルト温度を

回復することができる。また、定着ロールに近

接した位置にブロックを設け、用紙と用紙上ト

ナーを加圧/加熱する時間を従来のロールのみ

の構成よりも長くし、さらに加圧ロール側を低

熱伝導化することにより、熱を多く奪う厚紙の

高速定着を可能にした。また、このブロック形

状の工夫によりベルトに巻きつき易い薄いコー

ト紙でも剥離できるようにしている。上述した

内部 加熱ロール

外部 加熱ロール

ブロック

定着ロール

リフレッシュロール

加圧ロール

冷却FAN

定着ベルト

図 8. ベルトロール定着器構成図

Belt Roll Fusing System Configuration

0

1

2

3

4

5

低 ← ベルト抵抗率(LogΩ/□)→ 高

良 ←

電デ

ィフ

ェク

トグ

レー

ド →

白点発生

Color 1000 Press

DocuColor 8000

図 7. ベルト抵抗と放電ディフェクト発生の関係

Rerationship between Transfer BeltResistance and discharge defect

図 6. 中間転写システム

Intermediate Transfer Belt System

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011 113

バリ取り上ロール

用紙ガイド

バリ取り下ロール

図 10. バリ取り装置構成図

Deburr Module Configuration

上側冷却ベルト

下側冷却ベルト

ヒートシンク

空気導入口

補助ロール

用紙入口

用紙出口

図 11. 用紙冷却装置構成図

Cooling Unit Configuration

構成とさらに低温定着可能な EA-Eco トナー

との組み合わせによって、坪量、コート/非コー

ト紙を問わず高い生産性を実現した。

3.4.2 高画質、ディフェクト防止技術

高画質、高いドキュメント品質のニーズに応

える為、Color Press では従来機から問題と

なっていた用紙走行時に定着部材に生じる傷に

より発生する画像欠陥を防止する新規技術を積

極的に採用している。

まず定着ベルト表面に、リフレッシュロール

を常にコンタクトさせベルト表面をリフレッ

シュすることで、ベルトについた用紙走行時の

傷を低減させ、ベルトの表面状態を一定に保つ

ようにしている。また、加圧ロール側は、冷却

ファンにより積極的に冷却することで、両面印

刷時に加圧ロールと接触するトナー画像を再溶

融させないようにし、加圧ロール表面についた

傷の画像への転移も防止した。

さらに Color1000Press では用紙走行経路

に用紙端部のバリ取り装置を採用した。上下一

対の対向するロール間を用紙が通過する際に、

用紙断裁時にできる用紙エッジ部のバリを抑え、

定着部材のダメージを抑制している(図 10)。

3.5 用紙冷却装置

Color Press の用紙冷却装置は、定着器によ

り高温で加熱定着され搬送されてきた用紙を冷

却する新規技術である。この技術の採用により、

用紙の安定走行の妨げとなる用紙カールや用紙

波打ちが抑制され、 安定した用紙走行を可能と

した。また、プリント後のスタック時に用紙同

士が貼り付くこともなくなり、スムーズな後処

理工程を実現した。用紙冷却装置通過後一定の

温度に用紙が制御されるため、両面印刷時に機

内を走行する定着後の用紙から放出される熱や

水蒸気がなくなり、機内温湿度の変動が大幅に

低減された。さらに定着器排出後の用紙上ト

ナーは半溶融状態であるが、冷却装置通過後に

は完全に固まっている為、用紙走行パス上の用

紙ガイド、切り替えゲート、搬送ロール等によ

る画像への傷、光沢筋等の画像欠陥を防止して

いる。

用紙冷却装置の構成は図 11 に示すように、

大型のヒートシンクを搭載し、上下に低熱容量

のベルトを配置しロールにより張架している。

用紙がこの上下ベルト間を搬送する間に、用紙

の熱はベルトを介してヒートシンクに伝導させ

用紙を冷却する。用紙からベルト、ヒートシン

クへの熱伝導を効率よく行なう為、補助ロール

によるヒートシンクへの押圧およびヒートシン

ク表面形状を工夫している。本技術の採用によ

りエアコンなどの冷却機構およびそれに付帯す

る廃水機構や工事が不要となり、印刷性能、環

境性能、お客様の負担軽減を同時に成立させる

ことに成功した。

定着ベルト位置

定着

ベル

ト温

度(℃

Belt Temp.定着ロール 外部加熱ロール

内部加熱ロール

ベルト 1 回転

図 9. ベルト温度推移

Fusing Belt Temparature Variation

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

114 富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011

3.6 高画質化技術

Color Press では、お客様にオフセット印刷

同等の画質を提供することを目標に、従来機種

DocuColor8000 とオフセット印刷の差異か

らグロス、階調性および面内ムラに対する高画

質化技術を導入した。図12 は、従来機のコー

ト紙におけるグロスをオフセット印刷と比較し

た結果である。従来機はオフセット印刷に比べ

て、ハイライト部のグロスが低いにも関わらず、

シャドウ部のグロスが高くなっており、階調間

におけるグロス差が非常に大きかった。この課

題に対し、Color Press では、トナーおよび定

着器をオイルレス化し、トナーの粘弾性および

定着条件を 適化することにより、シャドウ部

のグロスをオフセット印刷並みに抑えることが

できた。また、従来機では紙種によらず同等に

制御していた単位面積あたりのトナー量を、普

通紙/コート紙別に 適となるように制御する

ための電位制御と階調制御プロセスコントロー

ル技術を導入した。これにより、コート紙では

トナー層の厚みが抑えられ、かつハイライト部

のグロスが用紙グロスより低くならないように

することができた。また、トナー層の厚みを抑

えることにより画像の段差感が低減し、オフ

セット印刷に近い光沢感をお客様に提供できる

ようになった。

トナー量を普通紙/コート紙別に制御する技

術は、階調性の改善にも効果がある。普通紙の

トナー量は、オフセット印刷並みのベタ部濃度

を目標に設定されるが、図 13 に示すように、

コート紙において普通紙同等のトナー量に設定

すると、ベタ部の濃度が高くなってしまう。カ

ラーマネージメントシステムを用いて、コート

紙のベタ部濃度を普通紙同等に制御することは

可能であるが、普通紙の半分程度の階調数とな

り、トーンジャンプが発生しやすい。この課題

に対し、コート紙のトナー量を普通紙よりも低

減させ、ベタ部濃度を普通紙同等に設定するこ

とにより、階調性を改善した。そして、このト

ナー量 適化に加え、別項で示すスクリーンお

よび階調制御の高精度化を組み合わせることに

より、従来機に比べトーンジャンプの少ないプ

リントをお客様に提供できるようになった。

図 14 は、従来機の面内ムラをオフセット印刷

と比較した結果である。従来機はオフセット印刷

よりも面内ムラが大きいことがわかる。Color

Press では、画像形成部の各種パラメーターに対

する面内ムラの感度を求め、感度の大きいパラ

メーターに対するバラツキ低減対策を講じた。ゼ

ログラフィプロセスは感光体を中心に現像器、転

写部材が配置されており、中心に位置する感光体

の振れを抑制することが必要である。そこで、感

光体基材・フランジの精度向上、回転軸の構成の

見直しに加えて、隣接する現像器と転写部材の部

品精度を向上させ、さらに部品公差でのバラツキ

に対して高精度デジタル露光分布補正技術を導

入することにより、オフセット印刷同等の面内ム

ラをお客様に提供することができた。

0

0.5

1

1.5

2

2.5

0 20 40 60 80 100

Coverage(%)

Den

sity

ベタ部の目標濃度

普通紙 コート紙(普通紙同等トナー量)

コート紙(コート紙最適トナー量)

図 13. 階調性

Tone Reproduction

図 12. グロス

Gloss

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

100

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100L*

Glo

ss

オフセット印刷 DocuColor 8000 Color 1000 Press

用紙グロス

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011 115

3.7 画像処理による画質向上

3.7.1 階調性向上

Color Press では、内部処理分解能を向上さ

せて階調ジャンプの発生を抑制し、高画質を実

現している。

従来のスクリーン処理は線形演算であり、一

方、マーキングエンジンの階調再現特性は非線

形となるのが一般的である。そして、その階調

のゆがみをプリントサーバーで階調補正すると

きに、補正の量子化誤差による階調ジャンプが

発生していた。また、マーキングエンジンの階

調経時変化を補正する際にも、従来の階調補正

分解能では、特にハイライトグレーバランスの

補正精度が不足しており、補正誤差による色味

変化や階調ジャンプが発生する場合があった。

そこで、マーキングエンジンの階調特性を考慮

したスクリーン処理を行なうために、非線形演

算スクリーンを採用した。さらに、階調経時変

化の補正とスクリーン処理 bit 数の処理分解能

を従来比で 4 倍に拡大することで、より高い補

正精度が得られ、階調補正の量子化誤差が軽減

し、階調再現性が向上した。

3.7.2 文字品質向上

従来、電子写真方式で出力された線画や文字

は、印刷に比べて太りや潰れの問題があった。

そこで、文字再現性向上を狙いとして、線や文

字部を検出し鮮鋭度をあげる画像処理である

「白抜き文字強調」機能をプリントサーバーに

搭載した。この機能はお客様が選択可能であり、

図 16 に示すように印刷により近い文字品質を

達成できた。

3.8 給紙および用紙搬送技術

給紙および用紙搬送は、お客様からの用紙に

関する幅広いニーズに応えるため、用紙汎用性

の向上(対応用紙坪量範囲の拡大、特殊紙対応)

と用紙搬送に起因する画質欠陥を低減する技術

を導入した。

給紙は、従来機種よりも広い範囲の薄紙から

厚紙まで同一の生産性を達成するために、従来

の Air Assist 技術(さばき)を全面的に見直し、

エアーの風量増加および多段階制御の導入を行

なった(図 17 参照)。また、用紙搬送路はスト

レートを基調とし、湾曲部においても大きな曲

率半径を持たせることにより厚紙の走行安定性

を高めた。

図 16. 白抜き文字強調処理有無による文字再現性の差

Character quality difference by processing

処理あり 処理なし

図 14. 面内ムラ

Uniformity

1

2

3

4

5 面

内ム

オフセット印刷

DocuColor 8000Color 1000 Press

図 15. 階調再現性の向上

Tone Reproduction improvement

階調ジャンプ評価

0

50

100

150

200

250

従来技術 新技術

階調ジャンプ評価値

悪い

良い

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

116 富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011

斜め送りの補正技術として、斜行ローラーと

サイドガイドを組み合わせた技術を採用した。

サイドガイド形状は、三次元シミュレーション

を用いて 適化することで薄紙の座屈による紙

詰まりを解消した。また、斜行ローラーの駆動

ローラーには新たな清掃部材を設け、従動ロー

ラーには低摩擦材料を新たに採用することによ

り、特殊紙においても各ローラーの摩擦係数を

維持し、安定した補正を可能とした(図 18 参

照)。

両面搬送路における用紙の画像側に位置する

従動ローラーには、ローラーの表面性を向上さ

せた樹脂ローラーを導入し、画像のキズを大幅

に低減させた。

3.9 カラーレジストレーション技術

高画質を達成するために、各色間のレジスト

レーションを合わせる技術が重要である、本項

ではカラーレジストレーション技術として中間

転写ベルトの斜行状態変化による色ずれ量補正

技術について説明する。

3.9.1 ベルト斜行状態変化による色ずれ量

補正技術

従来は、プリント画像を形成する前にレジス

トレーション検出用のテスト画像をベルト上に

形成し各色間の位置ずれを検知して露光装置に

よりプリント画像の位置ずれを補正している。

しかし、図 20(a)のように感光体ドラムと中

間転写ベルトの軸の平行度がずれているとドラ

ムとベルト間の静電吸着力により図 20(b)の

ように中間転写ベルトが斜行する。このような

場合、ベルトの斜行状態が安定する前にテスト

画像が形成されることで、プリント画像形成中

と斜行状態が異なり、テスト画像とプリント画

像でカラーレジストレーションが変化してしま

い、正確に位置ずれの補正ができないため、プ

リント画像の色ずれが大きくなってしまう問題

があった。

そこで本機ではベルト端部位置センサーを2

個設けてベルトの斜行状態を検知できるように

し、テスト画像形成中のベルト斜行量(X)とプ

リント画像形成中のベルト斜行量(Y)の差を考

慮して露光補正量を決定し、補正された画像を露

サイドガイド

清掃部材

斜行ローラー(駆動) 斜行ローラー(従動)

用紙

図 18. 斜行ローラーおよびサイドガイドの構成

Aligner Roll and SideGuide Layout

図 17. エアアシスト技術

Air Assist Technology

:Hot Blow :Cold Blow

Heater

Side Blower

Lead Blower

Paper Feed Direction

Tray

図 20. ベルトの斜行

BeltSkew

転写電圧 OFF 転写電圧 ON

DRUM

BELT

(a) (b)

図 19. 摩擦係数相対値推移(駆動ローラーvs 従動ローラー)

A coefficient of friction change

0 0.25 0.38 0.5 5 50

両面走行枚数(×1,000 枚)

摩擦

係数

相対

摩擦係数相対値

設計下限値

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011 117

光することによって中間転写ベルトの斜行状態

の変化による色ずれ悪化を抑制する(図 21)。

3.9.2 周期的な色ずれや濃度変動の抑制

一方、プリント中に行なう用紙トレイの出し

入れや、用紙のバリ取り装置で発生する衝撃振

動により周期的な色ずれや濃度変動が発生する。

に対して、ユニットと本体フレームとの接触部

に適度な硬さと厚さをもったゴムを挟み、振動

が伝わらないようにした。感光体ドラムは、遊

星ローラー減速機を用いており、ギアを用いた

場合に発生する噛み合い振動が全く発生しない。

また、感光体軸に直接取り付けたロータリーエ

ンコーダを用いたクローズドループ制御により、

感光体の位相と速度を安定させることで、バン

ディングとカラーレジずれの双方を低減させて

いる。中間転写体および現像器駆動はギアの精

度、および噛み合い率を上げることで噛み合い

振動を低減させている。

3.10 クリアトナーのアプリケーション

従来の4色カラー(Yellow/Magenta/Cyan

/Black)に加え、5 色目として透明なクリアト

ナーを付加することにより、デザイン性の向上

や表面に深い凹部のあるエンボス紙へのプリン

トを可能とし、高付加価の画像表現を実現して

いる。6)

3.10.1 デザイン性の向上

グロスを利用したデザイン用のプリケーショ

ンとして、以下の 5 種類がある(図 22)。

① テクスチャー:カラー画像部分にクリアト

ナーを追い刷りにより重ねることで凸凹感を

表現。

② 部分マット:カラー画像部分にクリアトナー

を追い刷りして、低光沢な文字や絵柄を追加。

③ 部分光沢:カラー画像とクリアトナー画像を

同時プリントし、画像を平滑化することによ

り、画像全体に光沢感を出し、画像段差やグ

ロス差を低減。

④ 透かし文字:カラー画像とクリアトナー画像

を同時プリントし、非画像部のみクリアト

ナーで文字をのせることにより、透かし文字

を表現。

⑤ スポットグロス:カラー画像とクリアトナー画

像を同時プリントし、カラー画像部よりも光沢

を出すことによりクリアトナーの絵柄を強調。

3.10.2 エンボス紙のプリント改善

エンボス紙は、用紙表面の凹部が深いため、

通常では用紙凹部で画像の転写不良や定着不良

が発生する。カラー画像とクリアトナー画像を

同時プリントし、クリアトナーを中間転写ベル

ト上の 下層にのせ、カラー画像トナーと中間

転写体との付着力を弱めることによって、カ

ラー画像の用紙凹部のへの転写を良好にしてい

る(凹部のクリアトナーは中間転写体に残って

もよい)。また、定着では定着温度、定着速度等

の 適化により、用紙凹部のトナーを十分溶か

して発色できるようにしている(図 23)。

図 21. ベルト斜行状態変化による

色ずれ量補正技術

Correction of color misalignmentdue to belt skew

制御部

ベルト端面位置センサー

画像書き込み位置制御信号

露光装置

中間転写ベルト

ベルト斜行状態 テスト画像作成中 プリント画像作成中

斜行量(X) 斜行量(Y)

①テクスチャープリント

②部分マットプリント

③部分光沢プリント

④透かし文字プリント

⑤スポットグロス

図 22. デザイン用アプリケーション例

Example of design application.

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

118 富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011

3.11 ストックライブラリー機能

印刷市場を目指した Color Press では、広範な

用紙種に対応して高画質印刷ができる機能を準

備している。Color Press はプロユーザーが求

める多様なメディアに高品質な出力をするため

に、用紙(サイズ、紙種、坪量、紙目)に合わ

せて、各種パラメーター(転写電圧、定着温度、

カール量など)をお客様が設定可能になってお

り、これらのパラメーター設定を保存・再利用

することができる機能がストックライブラリー

である。予め主な用紙ブランドごとに弊社推奨

パラメーターを提供しており、これにより初め

てご使用になるお客様も本製品が持つ性能を容

易に引き出すことができるようにした。またこ

のライブラリーは設定自体をお客様が変更した

場合、ストックファイルとして保存し、インポー

ト/エクスポートを可能にしたことで、お客様の

他サイトにある Color Press にライブラリーを

移植することができるため、異なる場所で同様

のプリントを再現可能となった。

3.12 PX1000 Print Server

3.12.1 高速 RIP 技術

PX1000 Print Server は、Color Press 用

に開発されたコントローラーであり、Adobe®

PostScript® RIP、画像処理、Job 編集などの

機能を実現する Front End 部と、エンジン制

御を行なう Back End 部から構成されている。

Front End 部は汎用性と性能の定期的な性

能向上を重視しWindows®ベースのPCアーキ

テクチャを採用している(図 24 参照)。

PX1000 Print Server では多ページジョブ、

大量の複数ジョブをストレスなく、100ppm

の高速出力を実現するために、 新の Dual

Core CPUx2 を採用。また、OS には 64 ビッ

ト版 Windows® 2008 Server を採用。64

ビット版 OS を採用することにより、多くのメ

モリーを使用する高画質処理も仮想メモリーを

使用することなく、実メモリー上で処理が可能

となる。また、Server 版 OS を採用すること

により、クライアント PC との接続数にも制限

なく、ネットワークプリンターとしての威力を

発揮することが可能である。そして、Dual Disk

System 構成とすることで、多ページの大容量

ジョブでもストレスなくジョブ編集処理やサム

ネイル編集、ビルドジョブ編集等の操作を可能

とし、また、高速な再出力を可能とする RAID

DISK(Redundant Arrays of Inexpensive

Disk)を採用した。

Back End 部はエンジン固有の制御やフレー

ムバッファ、階調補正回路等を PCI-Express

Card ( Peripheral Component

Interconnect-Express Card)(図 25 参照)

上に実装し Real Time OS で制御する構成とし

ている。この構成により、Front End 部の

Windows®の処理性能を気にすることなく、高速

エンジンの制御が可能である。また、PX1000

Print Server では 5 色目のトナー(クリアト

ナー)制御のため、サブボードを 1 枚追加する

ことによって可能な構成としている。

図 24. サーバー構成図

Print Server Block Diagram

図 23. エンボス転写の画像構造

Image structure of embossed papertransfer.

クリア

クリア

エンボス紙

M Y

C

中間転写ベルト

転写

Y M C

エンボス紙

用紙凹部

クリア

中間転写ベルト

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011 119

3.12.2 クリアトナー対応

PX1000 Print Server で は こ れ ま で の

CMYK トナーでは実現できなかった透かし模様

や部分的な光沢感の表現といった付加価値を提

供するため、以下のクリアトナーによるドキュメ

ントの加工手段を提供している(図 26 参照)。

1)パターンにのせる

2)写真のみにのせる

3)特色/RGB/CMYK にのせる

4)指定版を置換する

5)有色部にのせる(エンボス)

また、CMYK トナーと一緒にのせる方法以外

に、クリアトナーのみを上塗りする追い刷り

モードも簡単な操作で指定可能としている。

さらに、これらの加工手段を差込印刷や

PPML/VIPP などのバリアブル印刷で使用する

ことによって、フォームとしてクリアトナーを使

用することはもちろんのこと、逆に、バリアブル

データをクリアトナーで表現することも可能と

なり、多彩なドキュメント作成が可能である。

そして、PX1000 Print Server ではプリン

ト前に出力イメージをモニター上で確認する機

能として Raster Image Viewer を提供してい

るが、クリアトナーの出力イメージを確認する

ことももちろん可能である(図 27 参照)。

① パターンにのせる

PX1000 Print Server の GUI にてパターン

登録し、プリント時にはそのパターン番号を

指定するだけで簡単にドキュメントの上にク

リアトナーの模様(パターン)をのせること

が可能である(図 28 参照)。パターンとして

登録するデータにはアプリケーションの制限

などはなく、特別な技術は必要としない。模

様として地紋のようなパターンを登録するこ

とによって、和紙やエンボス紙のような風合

いをだすことも可能である。

図 27. Raster Image Viewer

図 26. クリアトナー指定

Clear Toner Pattern Select on Display

図 28. クリアパターン登録

Clear Pattern Resistrarion

図 25. PCI-Express Card

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

120 富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011

プリセットとして全面パターンも用意してい

る。このパターンを使用することによって、

全面にクリアパターンを載せることが可能で

ある。

② 写真のみにのせる

写真部分に光沢感を出したい場合、このモー

ドを選択することにより、写真部分のみを自

動判断し、クリアトナーをのせる。

③ 特色/RGB/CMYK にのせる

ロゴや文字部分だけに部分的にアクセント、

光沢感を出したい場合。このモードでは指定

した RGB 値にのみクリアトナーをのせるこ

とが可能なため、特別なDTP向けアプリケー

ションを必要とはしない。

④ 指定版を置換する

ドキュメントをデザインする段階で、ある特

色をクリアトナー版と見立てて作成し、プリ

ント時にこのモードにてその特色を指定する

ことによって、クリアトナーに置き換えて出

力することが可能。

⑤ 有色部にのせる(エンボス)

ドキュメント全体に光沢感を増すことが可能。

また、反転モードを使用することによって、

無色部のみ載せることも可能であり、用紙上

のレリーフ感(トナーの凹凸感)を低減する

ことが可能である。エンボス紙の転写性改善

にクリアトナーを用いる場合にも、この機能

を使用する。

3.13 インラインセンサーによる自動画質

制御技術

3.13.1 インラインセンサーによる新たな価

値の提供

近年の POD 市場向けの製品には、高生産、

高画質とともに、その画質の維持が強く求めら

れる。従来、画質を維持するためには、エンジ

ニアによる調整や、トレーニングを受けたお客

様による調整が都度必要であった。

インラインセンサー(以後 ILS と略す)は、搬

送中の出力プリントの画像を読み込み、そのRGB

値や線画の位置などを抽出することができる。

Color 1000 Press・Color 800 Press で

は、本体の調整機能にこれらの読み取り結果を

フィードバックすることで、調整作業を自動的

に実施することが可能となった。ILS による調

整は本体操作画面上のから、お客様がいつでも

好きなときに調整を行なうことができる。また、

調 整 機 能 は 、 画 像 の 階 調 補 正 を 行 な う

CTRACS 機能、面内の濃度を均一に保つ面内

ムラ補正機能、表裏見当を調整するアライメン

ト調整機能、およびプリントサーバーから画像

の階調補正を実行させる機能を装備した。

3.13.2 ILS のレイアウト概要/工夫点

構成は一般の画像読み取り用スキャナーとほ

ぼ同一で、図 29 に示す結像部、照明部、画像

処理部、およびセンサー校正部からなる。

プリンター内での搭載位置は、読み取り画像

の発色が完了し、用紙のカールが除去されて姿

勢が安定する用紙排出部の近傍とし、画像濃度

や位置の読み取り精度を確保した。また、プリ

ンター内の振動や高温・高湿な環境でも対応可

能な、機構強度とエアフローを備えている。

結像部はカラー画像に対応し、機械的な走査

のない縮小投影光学系を採用、照明部はレンズ

光軸方向の読み取り精度を確保するため、リニ

ア型キセノンランプを採用し、用紙走行時に安

定した読み取り精度を得るために充分な照明深

度を確保した。

ILS が通常のスキャナーと異なる点として、

センサー校正部がある。各種検査ターゲットを

画像読み取り位置に搭載し、ILS の読み取り精

度の自動校正を行なうことで、計測装置として

の性能を確保している。

図 29. ILS 構成

ILS Construction

カラーCCD センサー

プリント画像が通過

上面が読み取り面

照明部

センサー校正部

画像処理部

結像部

エアフロー

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011 121

3.13.3 ILS エレキハードウエア構成

ILS では、カラー複合機に搭載されているス

キャナーと同じ3色 CCD を使用している。

大量生産する複合機では、読み取り処理専用

の LSI(大規模集積回路)を開発しているが、

出荷台数が少ない本装置において安価にお客様

へ提供できるよう、ソフトウエアで高速処理を

実現できるリコンフィギュアラブルプロセッサ

(DAPDNA-IMX)を選択した。

DAPDNA-IMX は、CCD から出力される画

像データに対し、リアルタイムでシェーディン

グ補正(読み取りバラツキ補正)を行ないなが

ら、専用チャート用紙の角座標、アライメント

マークの座標の算出、カラーパッチの色情報の

算出を行なう。これにより、専用チャートプリ

ント終了後には、直ちにシステム側に計測情報

を送信することができる(図 30)。

3.13.4 階調補正機能

通常のプロセスコントロール制御では中間転

写ベルト上に階調濃度を検出する専用チャート

を形成し、各種パラメーターへのフィードバッ

クを行なっているが、制御可能な階調数やオブ

ジェクト種類に限りがあること、およびトナー

像の用紙への転写や定着バラツキの影響を補正

できないことから、階調性の安定性に課題が

あった。そこで用紙上階調濃度を ILS で高精度

に検出し、階調補正を行なうことで更なる用紙

上階調安定化が図られた。

3.13.5 面内ムラ補正機能

プロダクション市場では従来機でも、面内ム

ラ調整機能を搭載していたが、サービスエンジ

ニアによる調整であったため、お客様が必要と

感じた時にすぐに調整できないという課題が

あった。お客様に常に面内均一性の良いプリン

トを提供することを目的として ILS を用いた自

動調整技術を開発した。本技術は、面内ムラ測

定専用パターンを用紙上に出力しそれを ILS で

読み取り、面内ムラ調整パラメーターを自動的

に決定し、フィードバックをかけている。

3.13.6 アライメント調整機能

従来のアライメント調整作業は、お客さまが

専用サイクルで出力したプリントの特定の位置

を定規等で測定し、補正値を求めて本体操作画

面に入力するという煩雑な作業であった。

今回開発したアライメント調整方式は、調整

用の専用チャートを出力し、その画像位置など

を ILS で読み取り、機械的な調整機構や画像処

理による調整機構にその補正量を反映し、専用

チャートを出力しながら各調整を順番に行なう

ことで、自動的に表裏見当を合わせる調整が可

能とした。

3.13.7 コントローラーによるキャリブレー

ション機能

Print Server には常に安定した色再現が得ら

れるようにキャリブレーション機能を実装して

いる。従来キャリブレーションはお客様が測色

器を使い測色作業を行なう必要があったが、ILS

を使うことでプリントと同時に自動測色が可能

となり、操作性および作業時間の改善ができた。

本機能は安定性を目指す点では階調補正機能と

同じであるが、コントローラーの機能と処理能

力を生かした高度なキャリブレーション、ファ

イル管理を可能としている。例えば、お客様が

使用する用紙に合わせて個別にキャリブレー

ション用画像(ターゲット)を作成する機能や、

これらターゲット用いて作成したキャリブレー

ションファイルを各用紙トレイに割り当てた情

報をファイルとして登録することでジョブの編

集画面からでダイレクトにキャリブレーション

ファイルを指定することができる。

図 30. ILS エレキハードウエア構成

ILS PWBA Diagram

EtherNet

Inline Sensor(ILS) PWBA DAP/DNA (DSP)Software IPS

FROM

DRAM

ROM

DDR2 UART

CircLINK Cont

H8S IO Cont

Communication

CCD PWBA FPGA

CCD Cont

PS PWBA・LV ・LUMP ・MOTOR ・FAN

・・

・・

CircLink

DFE

ILS Detection data flow

IOT_MainPWBA

Sys/UIPWBA

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

122 富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011

4. 結び

Color 1000 Press・Color 800 Press は

ワールドワイドに販売され、その高い画質・維

持性・生産性・耐久性によりお客様の信頼を得

ると同時に、保守サービスからも信頼性の高い

機械との評判を得ており、市場に受け入れられ

ている。Color 1000 Press・Color 800

Press に対するお客様の声に真摯に耳を傾け、

更なるお客様価値の提供と高い品質を目指して

商品開発を進めて行きたい。

5. 商標について

Adobe® PostScript® は 、 Adobe

Corporation の米国およびその他の国にお

ける登録商標または商標です。

Microsoft®、Windows®、Active Directory®、

Microsoft® Windows Server® は 、

Microsoft Corporation の米国およびその

他の国における登録商標または商標です。

PCI Express は PCI-SIG 社の登録商標です。

その他、掲載されている会社名、製品名は、

各社の登録商標または商標です。

6. 参考文献

1) 小原裕美ほか . マーケティング・コラテラ

ルを中心としたデジタルプリント・ワーク

フロー技術 . 富士ゼロックステクニカル

レポート . No.20 p37~45(2011)

2) 金子茂樹 . 画像品質を高める電子写真技

術 ( 前 編 ) . 印 刷 雑 誌 .

Vol.93,No.3,p.31-35(2010)

3) 金子茂樹 . 画像品質を高める電子写真技

術 ( 後 編 ) . 印 刷 雑 誌 .

Vol.93,No.4,p.39-43(2010)

4) 中村博史、市川順一、重崎聡、ほか . 「プ

ロダクション市場向け架橋型オーバーコー

ト感光体とそのクリーニング技術」第 105

回日本画像学会年次大会論文集

5) 岡 林 康 人 「 富 士 ゼ ロ ッ ク ス

Color1000/800Press 搭載高速カラー

高速システム」. 日本画像学会 2010 年度

シンポジウム 論文集

6) 沼尾和則ほか . クリアトナー画像形成技

術 . 富士ゼロックステクニカルレポート .

No.20 p20~26(2011)

筆者紹介

森 浩隆 商品開発本部 第一商品開発部に所属

Product Development Ⅰ 専門分野:エレキシステム設計

小西 正孝 デバイス開発本部 マーキングプラットフォーム開発部に所属

Marking Platform Development Device Development Group 専門分野:定着設計

川端 隆 デバイス開発本部 マーキングプラットフォーム開発部に所属

Marking Platform Development Device Development Group 専門分野:パラメーター設計

原 朋士 デバイス開発本部 イメージングプラットフォーム開発部に所属

Imaging Platform Development Device Development Group 専門分野:画質設計

久保 昌彦 デバイス開発本部 イメージングプラットフォーム開発部に所属

Imaging Platform Development Device Development Group 専門分野:画質設計

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商品術解説

Color 1000 Press, Color 800 Press

富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011 123

田中 智 デバイス開発本部 マーキングプラットフォーム開発部に所属

Marking Platform Development Device Development Group 専門分野:プロセスコントロール

美斉津 亨 デバイス開発本部 イメージングプラットフォーム開発部に所属

Imaging Platform Development Device Development Group 専門分野:画像処理/画質設計

阿部 隆 富士ゼロックスアドバンストテクノロジー株式会社

Module PF 開発統括部 Paper Handling 開発部に所属

Paper Handling Development Module Platform Development Unit 専門分野:用紙搬送システム設計

藤倉 寛明 富士ゼロックスアドバンストテクノロジー株式会社

Module PF 開発統括部 Input Module 開発部に所属

Input Module Development Module Platform Development Unit 専門分野:給紙設計

長谷川 陽介 富士ゼロックスアドバンストテクノロジー株式会社

Module PF 開発統括部 Paper Handling 開発部に所属

Paper Handling Development Module Platform Development Unit 専門分野:用紙レジストレーション設計

岩坂 啓 富士ゼロックスアドバンストテクノロジー株式会社

Module PF 開発統括部 Paper Handling 開発部に所属

Paper Handling Development Module Platform Development Unit 専門分野:用紙搬送設計

木内 賢二 デバイス開発本部 デバイスシステムプラットフォーム開発部に所属

Device System Platform Development Device Development Group専門分野:機械設計

竜崎 照代 デバイス開発本部 デバイスシステムプラットフォーム開発部に所属

Device System Platform Development Device Development Group専門分野:機械設計

星野 高志 デバイス開発本部 イメージングプラットフォーム開発部に所属

Imaging Platform Development Device Development Group 専門分野:機械設計、計測制御

大野 茂雄 デバイス開発本部 マーキングプラットフォーム開発部に所属

Marking Platform Development Device Development Group 専門分野:マーキングインテグレーション

伊藤 昌夫 研究技術開発本部 マーキング要素技術研究所に所属

Marking & Material Technology Lab. Research & Technology Group専門分野:光学設計

石井 昭 研究技術開発本部 マーキング要素技術研究所に所属

Marking & Material Technology Lab. Research & Technology Group専門分野:画像処理システム

高橋 延和 デバイス開発本部 イメージングプラットフォーム開発部に所属

Imaging Platform Development Device Development Group 専門分野:画質設計

風間 敏之 デバイス開発本部 イメージングプラットフォーム開発部に所属

Imaging Platform Development Device Development Group 専門分野:アライメント設計

佐藤 亮一 デバイス開発本部 イメージングプラットフォーム開発部に所属

Imaging Platform Development Device Development Group 専門分野:画質設計

河原 幸一 コントローラ開発本部 コントローラプラットフォーム

第一開発部に所属

Controller Platform Development I 専門分野:コントローラーシステム設計

三浦 昌明 商品開発本部 第一商品開発部に所属

Product Development Ⅰ 専門分野:システム設計

重崎 聡 デバイス開発本部 マーキングプラットフォーム開発部に所属

Marking Platform Development Device Development Group 専門分野:パラメーター設計

中村 博史 画像形成材料開発本部 機能部材開発部に所属

Essential Components & Materials Development, Marking Materials Technology Group 専門分野:材料設計