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岩手県における肝疾患拠点病院活動の現状と課題
岩手医科大学 消化器内科肝臓分野
滝川康裕
2018.1.26 肝疾患拠点病院会議, 於東京
医療機関の連携と患者に対するサポート
拠点病院 1 専門医療機関 16 かかりつけ医 68 一般医療機関 約850
肝炎 患者
C型肝炎患者会 「いわて肝友ネット」
行政 健診,フォローアップ事業 医療費助成事業 肝疾患アドバイザー養成
拠点病院 肝疾患ネットワーク事業 肝疾患相談室 肝臓病教室 岩手県における
1. 健診事業とその成果 2. アドバイザー養成事業とその活動
岩手県の肝炎ウイルス検診,フォローアップ体制
検診対象住民 節目,節目外, 出張型(職域)
岩手県予防医学協会
集団検診 51市町村
個別検診 7市町村
HBV陽性者 HCV陽性者 結果通知
はがき添付
医療機関
ウイルス肝炎 対策委員会
はがき持参 はがき回答
アンケート 追跡調査 (1 / 年)
未受診者通知
課題・対策 の協議
累積受診者数 受検率 受診率
HBV 562,836 57.1 66.6
HCV 466,098 53.2 66.8
岩手県の肝炎ウイルス検診,フォローアップ体制の特徴
全県の検診をほぼ単独の検査機関が実施し,行政と肝疾患診療ネットワークがバックアップ 県全体の動向調査が可能 他の検診との比較(学童検診など) 歴史的変遷の把握が可能 厚労省班会議との連携(田中班,須磨崎班) フォローアップ体制が確立
岩手県の検診・フォローアップシステムによる肝炎患者の動向調査
HCV患者の1年間の病態変化 HCV陽性患者の年齢と病態
岩手県における肝炎ウイルス検診のまとめ
検診期間 受検者数 陽性者 陽性率 40-79才受検率
HBs抗原 1986-2017 599,991 11,272 1.88 61.2 HBs抗体 1986-2017 177,922 66,486 23.9 - HCV抗体 1996-2017 489,250 2,983
(キャリア) 0.61 54.5
出生年コホート別にみたHBs抗原陽性率
検診期間1986.4月 ~ 2017.3月
(2016年3月の年齢)
(出生年)
0.0%
1.0%
2.0%
3.0%
4.0%
5.0%
出生年コホート別HBs抗原陽性率
1981~1984年 0.46%
検査方法 : R-PHA法 検査期間 : 1986年4月~2016年3月 検査数 : 570,504人 出生年 : 1915年~1986年 出生年別検査数1,000人以上について表示した。
65 歳 85 歳 55 歳 75 歳 45 歳 35 歳 95歳
ピークⅠ 1917年
ピークⅡ 1947年
ピークⅢ 1968年
0.98
0.64 0.7
0.47
0.25
0.16 0.18 0.2
0.04 0.06 0.03 0.03 0.02 0.02 0.03
0.13
0.02 0.04 0.02 0 0.03 0.02
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
HBs
抗原
陽性
率[
%]
岩手県における出生年度別HBs抗原陽性率 - 学童検診 -
出生年度
出生年コホート別にみたHCVキャリア率
検診期間:1996.4 ~ 2017.3
2016年3月の年齢
検査期間 : 1996年4月~2017年3月 検査総数 : 460,449人 出生年 : 1922年~1985年 ※出生年別検査数1,000人以上の出生年について表示した。
65 歳 55 歳 75 歳 45 歳 35 歳 85歳
(出生年 )
1922~1930年 1.74%
1961~1970年0.45% 1981~1990年
0.02%
医療機関受診状況 -年度別推移-
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
記載なし
その他
他科受診
他医院紹介
来院せず
不定期受診
定期的受診
HCVキャリア HBVキャリア
-年度-
定期受診(著効)
来院せず(著効)
-年度-
2015年度アンケート結果
HCVキャリア N=1,311人
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
50歳未満 50歳代 60歳代 70歳代 80歳以上
その他
他病受診
他院紹介
著効来院せず
来院せず
不定期受診
著効定期受診
定期受診
N=126 N=214 N=439 N=327 N=205
医療機関受診状況 -年代別-
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
50歳未満 50歳代 60歳代 70歳代 80歳以上
その他
他院紹介
来院せず
不定期受診
定期的受診
2015年度アンケート結果
N=128 N=108
N=281 N=295 N=130
HBVキャリア N=942人
定期受診(著効)
来院せず(著効)
岩手県の肝炎診療の課題
受検査率 50%台
受診率 60%台
定期受診率 30%台
治療率 おそらく低い
拠点病院
肝炎患者 (1-2%)
専門医療機関
一般住民
かかりつけ 医療機関
一般医療機関
1
16
66
約850
検診
高度治療 専門治療 一般治療 定期観察 ?
住民啓発
自治体,職場 との協力
一般医療機関, 医師会との協力
肝疾患コーディネーター(アドバイザー)の役割
岩手県の肝疾患アドバイザー養成の実績
職 種 2011 2012 2013 2014 2015 2016 計
医 師 1 1
栄養士 1 1
看護師 25 15 10 12 16 12 90
事務職 1 1
保健師 15 13 14 37 15 15 109
臨床検査技師 1 1
計 42 29 24 50 31 27 203
受講者総数 4年で更新のため重複あり,実数は総計176名 2017年58名受講し,実数も200名を超える.
田野畑村
岩泉町
山田町
宮古市
大槌町
釜石市
住田町
陸前高田市
大船渡市
一戸町九戸村
軽米町
二戸市
野田村
普代村
洋野町
久慈市
滝沢市
紫波町
岩手町
葛巻町
雫石町
八幡平市
矢巾町
盛岡市
平泉町
金ケ崎町
西和賀町 遠野市
一関市
奥州市
北上市
花巻市
:市町村保健師受講済
:それ以外の受講
職種
2 19
14
0
5
4 2
71
4 8
1
看護師(行政) 看護師(外来) 看護師(病棟)
看護師(透析) 看護師(健診) 看護師(企業)
看護師(他) 保健師(行政) 保健師(健診)
保健師(企業) 職員(町)
地域肝疾患アドバイザーの活動状況に関するアンケート調査
行政保健師
外来
病棟
病院看護師
地域肝疾患アドバイザーの活動状況に関するアンケート調査
67 69
45 29
5 19 10
29 26 6
53 51
85 101
125 111 120
101 104 124
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
No
Yes
1. 「肝臓病」「肝炎ウイルス感染予防」「肝炎治療」「医療費助成制度」などについての正しい知識の普及啓発 2. 肝炎ウイルス検査の受診勧奨 3. キャリアへの受診勧奨 4. キャリア・患者への肝臓専門医や専門医療機関の紹介 5. かかりつけ医から肝臓専門医の橋渡し 6. キャリア・患者への治療の受療勧奨 7. フォロアップシステムの説明 8. キャリア・患者・家族への精神的ケアや相談対応 9. 特段に活動なし 10. その他
活動状況
地域肝疾患アドバイザーの活動状況に関するアンケート調査 職種別の活動状況
32 47
42 27
0
10
20
30
40
50
60
70
80
知識の普及・啓発 受検勧奨
22
10
12
24
0
5
10
15
20
25
30
35
40
知識の普及・啓発 受検勧奨
行政保健師 医療機関看護師
HCV高浸淫地区S町の取り組み
HCV陽性率 5.93% (789 / 13298 人) 陽性者の65%が80才以上 肝癌死亡率: 57(人口10万対), cf 岩手県22.6/平成22年
町独自の肝炎対策検討会設置 肝疾患診療専門医,町医師団,検診機関 岩手県C型肝炎患者会 検診無料化 検診受診を個別受診勧奨 陽性者へのアドバイザー訪問,電話で受診勧奨 腹部超音波検診(未通院患者) 個別相談会 肝炎教室, 当事者交流会(出前講座:町内9地区) 町独自の助成事業 広報誌などでの啓発活動
ウイルス陽性者全員の把握とフォローアップ
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
平成年度
HCV高浸淫地区S町のHCV抗体検診陽性率の変遷
HCV高浸淫地区S町の肝癌死亡率(人口10万対)の変遷
S町 岩手県
HCV高浸淫地区S町の抗ウイルス治療状況(アンケート調査,2017.2)
27%
21% 6%
26%
4% 16%
治療状況
IFN治療
IFNフリー治療
両者
どちらもなし
解らない
未記入
54%が抗ウイルス治療 (岩手県平均約30%)
62% 15%
14% 8%
1%
治療効果
ウイルス排除
ウイルス残存
現在治療中
その他
未記入
77%が抗ウイルス治療. 排除・治療中と合わせ76%
HCV高浸淫地区S町のC型肝炎患者の受診状況(SVRを除く)
定期受診者 80%以上,岩手県平均 40%
行政の保健師の役割(まとめ1):事業開始15年を経て
1 肝炎ウイルス検査の受検勧奨 ○受診機会の提供 年2回集団検診の場を設定 ○受検勧奨 全戸へ総合検診の案内 40歳の方への個別通知 検診会場における受検勧奨 (受診履歴を確認し、履歴のない方には検査を勧める) ○無料検査ができる場所について広報で周知 (保健所及び肝炎診療ネットワーク医療機関) 2 肝炎ウイルス検査の結果、 陽性であった者への受診勧奨 ○家庭訪問による受診勧奨 正しい知識を説明をする → 不安の解消、受診行動に繋げる。 自覚症状の有無だけでは、病態の判断はできないことを説明 ○肝炎診療ネットワーク医療機関への受診を勧める
行政の保健師の役割(まとめ2)
3 肝炎治療継続への助言・相談対応 ○治療の対象とならない場合であっても、病態にあわせ定期的な血液 検査、画像検査が必要であることを伝え続ける。*次の受診日を尋ねる ○治療方法が進歩、治療の選択肢が広がっていることを情報提供する。 ○新規発見者や、未受診者には検査費用を助成するフォローアップ事 業について紹介する。 ※個別相談会、肝炎教室、地区健康相談などの機会を活用 ※県が作成し、保健所や医療機関で配布している肝炎手帳も活用
行政の保健師の役割(まとめ3)
4 肝炎治療費助成制度等に係る情報提供 県の治療費助成事業について 町の治療費助成事業について ※町の事業の案内を郵送する際、助成事業を紹介するチラシを同封 5 その他肝疾患及び肝炎対策に係る啓発 ○ 「肝炎教室」を開催し、新たな治療法等に関する情報や、日常生活 上役立つ情報を提供する。 ○ ウイルス性肝疾患に対する正しい知識を普及する。偏見の解消
岩手県における肝疾患拠点病院活動 全県での検診データの把握とフォローアップ事業への展開 アドバイザーの養成,活動による受診・治療率の向上